(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171559
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】O/W型化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20241205BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20241205BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61K8/06
A61Q17/04
A61K8/37
A61K8/34
A61K8/44
A61K8/41
A61Q1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088629
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】弁理士法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小谷 康祐
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB052
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB292
4C083AB432
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC152
4C083AC242
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC792
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD172
4C083AD332
4C083AD492
4C083AD532
4C083BB21
4C083BB46
4C083CC12
4C083CC19
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】良好な流動性と保湿性によるみずみずしい使用感を維持しつつ、均一な塗膜形成と、色移り抑制効果とを発揮するO/W型化粧料を提供する。
【解決手段】(A)紫外線吸収剤と、(B)アルキル鎖が16以上のアシルグリセロールと、(C)高級アルコールと、(D)アルキル鎖が16以下のアシルアミノ酸塩と、(E)顔料粉体と、を含有するO/W型化粧料であって、(C)高級アルコールを、O/W型化粧料の全質量基準で、1質量%以上含み、(C)高級アルコールとして、アルキル鎖が18~22の高級アルコールを含むO/W型化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)紫外線吸収剤と、
(B)アルキル鎖が16以上のアシルグリセロールと
(C)高級アルコールと、
(D)アルキル鎖が16以下のアシルアミノ酸塩と、
(E)顔料粉体と、を含有するO/W型化粧料であって、
前記(C)高級アルコールを、前記O/W型化粧料の全質量基準で、1質量%以上含み、
前記(C)高級アルコールとして、アルキル鎖が18~22の高級アルコールを含むことを特長とするO/W型化粧料。
【請求項2】
前記(C)高級アルコールとして、アルキル鎖が18~22の高級アルコールを2種以上含むことを特長とする請求項1に記載のO/W型化粧料。
【請求項3】
前記(C)高級アルコールとして、アルキル鎖が18~22の水添ナタネ油アルコールを1種含むことを特長とする請求項1に記載のO/W型化粧料。
【請求項4】
前記(C)高級アルコールを、前記O/W型化粧料の全質量基準で、2質量%~6質量%含むことを特長とする請求項2または3に記載のO/W型化粧料。
【請求項5】
前記O/W型化粧料の粘度が、5000mPa・s以下であることを特長とする請求項1に記載のO/W型化粧料。
【請求項6】
前記(B)アルキル鎖が16以上のアシルグリセロールが、モノステアリン酸モノグリセリルであることを特長とする請求項1に記載のO/W型化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料粉体を含有するO/W型化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、メイクやサンスクリーンは着色、使用感調整、紫外線防御などを目的として様々な粉体を乳化物に配合させてきた。近年、スキンケア効果やライトメイク需要などから流動性のある低粘度で、かつ保湿感やみずみずしさが感じられるメイクやサンスクリーンが求められてきている。その中でも低粘度のO/W型乳化物は塗布時がみずみずしく、多くの保湿剤を配合することが可能であるためこれらの需要に応えやすい。一方で、粉体の安定配合や、塗布ムラ(均一性)、塗布後に衣類やマスクなどに顔料が色移りするなどの課題があり、O/W型乳化物の使用感の良さとメイク・サンスクリーンの機能性の両立が難しかった。
【0003】
上述の課題を解決する手段としていくつかの技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
特許文献1には、反応性シリル基含有ポリマーを用いた二次付着(色移り)を防止した技術が開示されている。十分な被膜を作るため被膜形成用の高分子を一定以上配合しなければならず、塗布時にぬめりや重たさが発生するなどの課題があった。また、高分子の被膜形成剤で色移りを防止する際には配合量や塩の影響によって膜のヨレが発生することがあった。
特許文献2には、高級アルコールや脂肪酸モノグリセリドなどを用いた日焼け止め製剤が開示されている。刺激性を緩和および耐水性や日焼け止め効果の持続性の技術であり、顔料の分散性や顔料の均一な塗布、色移り防止効果については十分な検討がなされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-53796号公報
【特許文献2】特開平8-310941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、良好な流動性と保湿性によるみずみずしい使用感を維持しつつ、均一な塗膜の形成と、色移り抑制効果とを発揮するO/W型化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]
(A)紫外線吸収剤と、
(B)アルキル鎖が16以上のアシルグリセロールと
(C)高級アルコールと、
(D)アルキル鎖が16以下のアシルアミノ酸塩と、
(E)顔料粉体と、を含有するO/W型化粧料であって、
(C)高級アルコールを、O/W型化粧料の全質量基準で、1質量%以上含み、
(C)高級アルコールとして、アルキル鎖が18~22の高級アルコールを含むO/W型化粧料。
[2]
(C)高級アルコールとして、アルキル鎖が18~22の高級アルコールを2種以上含む[1]に記載のO/W型化粧料。
[3]
(C)高級アルコールとして、アルキル鎖が18~22の水添ナタネ油アルコールを1種含む[1]に記載のO/W型化粧料。
[4]
(C)高級アルコールを、O/W型化粧料の全質量基準で、2質量%~6質量%含む[2]または[3]に記載のO/W型化粧料。
[5]
O/W型化粧料の粘度が、5000mPa・s以下である[1]に記載のO/W型化粧料。
[6]
(B)アルキル鎖が16以上のアシルグリセロールが、モノステアリン酸モノグリセリルである[1]に記載のO/W型化粧料。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、良好な流動性と保湿性によるみずみずしい使用感を維持しつつ、均一な塗膜の形成と、色移り抑制効果とを発揮するO/W型化粧料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施形態を挙げて本発明の説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
〔O/W型化粧料〕
本発明は、(A)紫外線吸収剤と、(B)アルキル鎖が16以上のアシルグリセロールと、(C)高級アルコールと、(D)アルキル鎖が16以下のアシルアミノ酸塩と、(E)顔料粉体と、を含有するO/W型化粧料であって、
(C)高級アルコールを、O/W型化粧料の全質量基準で、1質量%以上含み、
(C)高級アルコールとして、アルキル鎖が18~22の高級アルコールを含むO/W型化粧料に関する。
【0011】
本発明のO/W型化粧料(以下、単に「化粧料」ともいう)は特定の活性剤と高級アルコール、特定のアシルアミノ酸塩などを用いて紫外線吸収剤を乳化させることで、低粘度でありながら多くの粉体を安定に分散維持することができ、みずみずしい使用感を持ち、塗布時に速やかに均一な塗膜をつくることができる。更に、この形成された塗膜はマスクや生地に色移りしにくいといったメイク・サンスクリーン機能に優れており、また肌の塗膜として保湿性にも優れたスキンケア効果を有している。本発明は特に下地、ファンデーション、サンスクリーン製品での応用が期待される。以下、各成分等について説明する。
【0012】
(A)紫外線吸収剤
本発明では、(A)紫外線吸収剤を含むことが好ましい。紫外線防御効果が得られるからである。
紫外線吸収剤としては、化粧品に用いることができる紫外線防御効果を持つ成分であれば特に制限されず、種々のものを用いることができる。紫外線吸収剤の具体例としては、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルトリアゾン、オクトクリレン、ポリシリコーン-15、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸などが挙げられる。特に油溶性の紫外線吸収剤が好ましく、これらを1種または2種以上含むのが望ましい。
紫外線吸収剤の配合量は、目標とするSPF(Sun Protection Factor)やPA(Protection Grade of UVA)の値によって適宜調整することができる。具体的な配合量は、吸収剤の種類に応じて、化粧料の全質量基準で、1質量%~25質量%、好ましくは5質量%~20%程度で調整することができる。
【0013】
(B)アシルグリセロール
本発明では、(B)アシルグリセロールを含むことが好ましい。安定した乳化状態を維持できるからである。
アシルグリセロールは、グリセリンと脂肪酸のモノエステル体もしくはジエステル体のことを指し、化粧品に用いることができるものであれば特に制限されず、種々のものを用いることができる。
本発明ではアルキル鎖が16以上の物を用いることが好ましい。アシルグリセロールの具体例としモノエステル体としては、ステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリルなど、ジエステル体としては、ジステアリン酸グリセリル、ジベヘン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリルなどが挙げられる。特にモノエステル体が好ましく、その中でも、ステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリルなどの直鎖飽和脂肪酸とのモノエステル体がより好ましい。
【0014】
(C)高級アルコール
本発明では(C)高級アルコールとして、アルキル鎖が18~22の高級アルコールを用いることが好ましい。色写りを防止でき、また保湿効果を発揮させることができるからである。
高級アルコールの具体例としては、例えばステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコールが挙げられる。これらの高級アルコールを1種以上、好ましくは2種以上組み合わせることが望ましい。
また、アルキル鎖が18~22であれば、植物油や動物油などの混合脂肪酸を用いて合成された複数のアルキル鎖を含む高級アルコール混合物でも代用が可能である。高級アルコール混合物の具体例としては、水添ナタネ油アルコール、水添ホホバアルコールなどが挙げられる。高級アルコール混合物を使用する場合には1種以上で本発明の効果を十分に発揮することができる。
(C)高級アルコールの配合量は、化粧料の全質量基準で、1質量%~8質量%が好ましい。上記下限値未満だと、色写り防止効果や保湿効果を十分に発揮しないからである。また上記上限値を超えた場合、化粧料の粘度が上昇することでクリーム感が増してしまい、化粧料のみずみずしい使用感が損なわれるからである。
(C)高級アルコールの配合量は、化粧料の全質量基準で、2質量%~6質量%がより好ましく、3質量%~4質量%程度がよりさらに好ましい。
【0015】
(D)アシルアミノ酸塩
本発明ではアルキル鎖が16以下のアシルアミノ酸塩を用いることが好ましい。粉体の分散性向上や均一塗膜の機能性を発揮しつつ、低粘度のみずみずしい使用感が得られるからである。
アシルアミノ酸塩としては化粧品で用いることができる成分であれば特に制限はなく、種々のものを用いることができる。例えば、ジェミニ型、モノアシル型、いずれも用いることができる。
ジェミニ型アシルアミノ酸塩の具体例としては、ジラウラミドグルタミドリシンNa、ジミリストイルグルタミドリシンNaなどが挙げられ、好ましくはジラウラミドグルタミドリシンNaが望ましい。
モノアシル型アミノ酸塩はアルキル鎖が炭素数16以下で直鎖飽和脂肪酸であるものが望ましく、例としてはラウロイルグリシン塩、ラウロイルサルコシン塩、ミリストイルサルコシン塩、パルミトイルサルコシン塩、カプロイルメチルタウリン塩、ラウロイルメチルタウリン塩、ミリストイルメチルタウリン塩、ラウロイルリシン塩などが挙げられる。アミノ酸としては特にグリシン、サルコシン、メチルタウリン、リシンなどが好ましい。金属塩についてはナトリウム塩やカリウム塩などが好ましい。アシル基としてラウロイル基のものがより好ましく、特に、ラウロイルグリシンNa、ラウロイルグリシンK、ラウロイルサルコシンNaがよりさらに好ましい。
アシルアミノ酸塩としては、ジェミニ型アシルアミノ酸塩とモノアシル型アミノ酸塩は併用しても単独で使用しても良い。
【0016】
(E)顔料粉体
本発明では、顔料粉体を用いることができる。メイクの際に使用者のシワやシミ等をカバーすることが期待できるからである。
顔料粉体の具体例としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、グンジョウ、コンジョウ、酸化チタン、マンガンバイオレット、酸化クロム、パール剤等が挙げられる。
本発明における顔料粉体には、感触及び質感を調整することを目的として添加される、タルク、マイカ、カオリン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、シリカ粉末、ベントナイト等の体質顔料等が含まれる。
顔料粉体の配合量は、化粧料の全質量基準で、0.1質量%~30質量%が好ましく、0.2質量%~15質量%がより好ましい。0.1質量%未満では塗布した時の塗布面の発色の程度が低いからである。
【0017】
(F)その他の成分
本発明の化粧料は、用途に基づいて、通常化粧料に用いられる他の成分を含有することができる。このような他の成分としては、例えば、エタノール等の水溶性有機溶剤、キレート剤、美白剤、エモリエント剤、保湿剤、酸化防止剤、色剤、防腐剤、香料(精油含む)、各種の油性成分、各種の水性成分などを挙げることができ、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。
【0018】
〔O/W型化粧料の物性〕
化粧料の主な物性は以下の通りである。
(1)乳化安定性
5℃、25℃、40℃で1ヶ月保管後に光学顕微鏡および目視観察した場合、いずれの条件においても、乳化粒子の大きさが均一であり、バルク表面に油浮きや離水などが確認されないという良好な乳化安定性を有する。
(2)粉体分散安定性
5℃、25℃、40℃で1ヶ月保管後にバルクを目視観察した場合、いずれの条件においても、色ムラ、沈降・分離、外観色の変化などが見られないという良好な粉体分散安定性を有する。
(3)流動性
医薬部外品原料規格の粘度測定法第2法に準拠したB型粘度計で測定した場合、粘度は5000mPa・s以下、好ましくは3000mPa・s以下である。
(4)保湿性
官能評価にて、しっとりとした保湿感が持続的に感じられる。
(5)塗膜の均一性
スライドガラスにバルクを約0.05g秤量し、スパチュラで塗り広げながら塗布した後に33℃の恒温で5分静置した後に形成された膜を光学顕微鏡で確認した場合、
図1Bに示すように、粉体が均一に分散している。
(6)色移り抑制効果
バイオスキンシートに0.1gのバルクを塗布し、1分経過した後にキムワイプを塗布面に乗せてプレスした後にキムワイプに付着した顔料を目視で観察した場合、
図2Bに示すように色移りが殆ど見られない。
【0019】
本発明の化粧料は、みずみずしい使用感とメイク・サンスクリーンの機能性とを併せ持つ。理由は定かではないが、低粘度かつ高級アルコールの配合量を多くしたことで、高粘度のクリームと比較して、強固で均一な膜が肌上に広がることで、色移り抑制効果が得られると考えられる。またD成分の鎖長が、B、C成分の鎖長に比べて短いことから、化粧料の粘度の上昇が抑制されたことで、みずみずしい使用感が維持されると考えられる。
【0020】
〔O/W型化粧料の製造方法〕
本発明のO/W型化粧料の製造方法は特に制限はなく、種々の周知慣用された乳化方法を用いることができる。例えば、通常の乳化のほかに、多段階乳化、D相乳化、転相乳化、液晶乳化、PIT乳化、ゲル乳化、セパレート乳化などが選択できる。乳化装置も特に制限はなく、種々の装置、例えばスターラー、インペラー攪拌、ホモミキサーなどの通常の乳化装置のほかに、マイクロフルイダイザー、ナノマイザー、スターバーストなどの高圧乳化機も使用でき、これら1つ又は2つ以上を組み合わせて必要な粒子径を得ることができる。
【0021】
〔処方例〕
O/W型化粧料の具体例として、以下に処方例1(日焼け止め)、処方例2(下地)、処方例3(ファンデーション)を示す。処方例1~3によれば安定性・使用性・機能性に優れた化粧料が得られる。各処方例における成分量は質量%基準である。なお、下記成分※1~3については後述の実施例の欄で説明する製品と同様のものを用いることができる。
【0022】
[処方例1]:日焼け止め (質量%)
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 10.00
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2.00
ジメチコン処理酸化チタン 3.00
ステアリン酸グリセリル 0.50
水添ナタネ油アルコール 3.00
ジメチコン 1.00
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 0.24
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 1.50
カプリリルメチコン 1.00
テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル 1.00
シクロペンタシロキサン 2.00
ラウロイルグリシンNa(※2) 0.25
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 0.50
グリセリン 8.00
DPG 5.00
エタノール 3.00
酸化セリウム 0.50
グリチルリチン酸ジカリウム 0.20
精製水 残差
【0023】
[処方例2]:下地 (質量%)
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 8.00
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 1.50
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1.00
ジメチコン処理酸化鉄 0.20
ステアリン酸処理酸化チタン 2.00
偏光パール 0.50
ステアリン酸グリセリル 0.50
ベヘニルアルコール 2.00
アラキジルアルコール 1.50
マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル 1.00
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 2.00
トリエチルヘキサノイン 1.00
ジラウラミドグルタミドリシンNa水溶液(29%aq)(※1) 0.40
ラウロイルサルコシンNa 0.25
グリセリン 6.00
ジグリセリン 3.00
フェノキシエタノール 0.20
ヒドロキシアパタイト 0.40
アクリレーツクロスポリマー 1.60
精製水 残差
【0024】
[処方例3]:ファンデーション (質量%)
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 6.00
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 1.50
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1.50
ジメチコン処理酸化鉄 0.90
ジメチコン処理酸化チタン 4.00
ジメチコン処理タルク 2.00
ステアリン酸グリセリル 0.50
ベヘニルアルコール 2.00
ステアリルアルコール 1.20
(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー 0.50
トリエチルヘキサノイン 1.00
ラウロイルグリシンK(※3) 0.30
グリセリン 5.00
トリメチルシロキシケイ酸 1.00
シクロペンタシロキサン 1.00
加水分解ヒアルロン酸 0.01
ヒアルロン酸Na 0.01
精製水 残差
【0025】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
化粧下地やファンデーションなどのベースメイクアップ化粧料、日焼け止め化粧料として用いることできる。日焼け止め化粧料の形態としては、サンスクリーンローション、サンケアスプレー、サンスクリーンエマルジョン、サンスクリーンムース等が挙げられる。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【実施例0026】
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されることはない。
表1、表2は、それぞれ実施例及び比較例に係る組成を示す。表3は顔料粉体混合物の組成を示す。各実施例及び比較例において顔料粉体混合物は固定して実験を行った。
【0027】
[実施例1]
表1に示す成分を用意し、下記の方法により、実施例1に係る試料を調製した。
B成分とC成分を加温混合した。得られた混合物にD成分(※1)としてジラウラミドグルタミドリシンNa(旭化成ファインケム(株)製、商品名「ペリセアL-30」)とグリセリンと水の一部を加温混合したものを投入し、ホモミキサーで攪拌し、均一にした。さらに、A成分とE成分を混合したものを、投入し、ホモミキサーで攪拌し、均一にした。さらに、保湿剤と水を混合溶解したものをホモミキサーで攪拌しながら投入し、投入後ホモミキサーで10分攪拌後、室温まで冷却することで、試料を得た。
なお顔料混合物は、事前に表3に示す成分を、ミキサーにて混合し均一にしたものを用いた。
その後、後述の評価基準に従い、物性を評価した。
【0028】
[実施例2~12]
成分や組成比を表1に示す内容に変更したことを除き、実施例1と同様にして、試料を調製し、試料の物性を評価した。
なおラウロイルグリシン塩は、事前に、ラウロイルグリシンを水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムで中和して得たものを用いた。
【0029】
[比較例1~12]
成分や組成比を表2に示す内容に変更したことを除き、実施例1と同様にして、試料を調製し、試料の物性を評価した。
【0030】
〔評価方法〕
(1)乳化安定性
5℃、25℃、40℃で1ヶ月保管後に光学顕微鏡および目視観察によって行った。
○=乳化粒子の大きさが均一である。バルク表面に油浮きや離水などが確認されない。
×=乳化粒子の大きさが不均一である。バルク表面に油浮きや離水などが確認された。
(2)粉体分散安定性の評価
5℃、25℃、40℃で1ヶ月保管後にバルクを目視観察して行った。
○=色ムラ、沈降・分離、外観色の変化(赤味や黄味が増える)などが見られない。
×=色ムラ、沈降・分離、外観色の変化が確認された。
(3)流動性
医薬部外品原料規格の粘度測定法第2法に準拠し、B型粘度計にて測定を行った。流動性の基準はリキッドや乳液タイプのファンデーションとして実用的な粘性を目安とした。
〇=5000mPa・s以下
×=5000mPa・sより高い
(4)保湿性
専門パネラー3名の合議により、各化粧料を前腕内側部に約0.3mL塗布した直後の感覚について下記の評点基準で官能評価した。
○=しっとりとした保湿感が持続的に感じられる。
×=粉っぽさや乾燥感が感じられる。
(5)塗膜の均一性
スライドガラスにバルクを約0.05g秤量し、スパチュラで塗り広げながら塗布した後に33℃の恒温で5分静置した後に形成された膜を光学顕微鏡で確認した。
図1に塗膜の均一性の評価基準を示す。
○=粉体が均一に分散している。
×=粉体が局所的に凝集している。
(6)色移り抑制効果
バイオスキンシートに0.1gのバルクを塗布し、1分経過した後にキムワイプを塗布面に乗せてプレスした後にキムワイプに付着した顔料を目視で観察した。
図2に色移りの評価基準を示す。
〇=色移りが殆ど見られない。
×=色移りが見られる。
なお、上記評価方法において、(1)、(2)は安定性、(3)、(4)は使用性、(5)、(6)は機能性の指標である。
【0031】
得られた結果を表1、表2にまとめて示す。顔料混合物の詳細を表3に示す。
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
実施例1~6より、(B)アシルグリセロールをステアリン酸グリセリル、(D)アシルアミノ酸塩をジラウラミドグルタミドリシンNaに固定し、(A)紫外線吸収剤、(C)高級アルコール及び(E)顔料粉体の種類と、各成分の量を変えながら検討したところ、いずれも安定性・使用性・機能性に優れた化粧料が得られることを確認した。
また、実施例7~12より、(D)アシルアミノ酸塩についてはアシル基の炭素数が18よりも低いものであれば使用性と機能性を有した化粧料が出来ることが分かった。特にラウロイルグリシン塩は塗布時に滑らかな使用感があり、優れた化粧料になる傾向が見られた。
【0036】
(A)紫外線吸収剤を含まないことを除き、実施例5と類似の組成を有する比較例1は、粘度が高いクリーム状態が出来上がり流動性は殆どなかった。また、バルクの外観に縞模様などのムラが確認され、塗布した際も色ムラが見られた。比較例1は安定性(粉体分散性)、使用性(流動性)、機能性(塗膜の均一性)が悪かった。
(B)ステアリン酸グリセリルを含まないことを除き、実施例5と類似の組成を有する比較例2は、流動性は良好であったが、その他の項目の評価は悪かった。
(B)ステアリン酸グリセリルを表に示す(B)’成分に置き換えたことを除き、実施例2と類似の組成を有する比較例8、9、10は、使用性(流動性と保湿性)は良好であったが、その他の項目の評価は悪かった。
(C)水添ナタネ油アルコールを含まないことを除き、実施例5と類似の組成を有する比較例3は、使用性(流動性)は良好であったが、その他の項目の評価は悪かった。調整後すぐに分離してしまい、使用性(保湿性)、機能性(塗膜の均一性と色移り防止効果)の項目については評価ができなかった。
(D)ジラウラミドグルタミドリシンNa水溶液を含まないことを除き、実施例4と類似の組成を有する比較例4は、安定性(乳化安定性と粉体分散性)、使用性(保湿性)は良好であったが、その他の項目の評価は悪かった。
(D)ジラウラミドグルタミドリシンNa水溶液を表に示す(D)’成分に置き換えたことを除き、実施例7と同様の組成を有する比較例5,6,7は、安定性(乳化安定性と粉体分散性)、使用性(保湿性)は良好であったが、その他の項目の評価は悪かった。
【0037】
表1,2中のラウロイルグリシンNa(※2)、ラウロイルグリシンK(※3)としては、それぞれラウロイルグリシン(東京化成工業(株)製、「N-Lauroylglycine」(試薬))を水酸化ナトリウム(東京応化工業(株)製、「特級 水酸化ナトリウム」)と水酸化カリウム(東京応化工業(株)製、「特級 水酸化カリウム」)で中和して得た物を用いた。
【0038】
以上の検討によって、低粘度のO/W化粧料において乳化安定性、粉体分散性を維持しつつ、速やかに塗膜を形成することで均一な塗膜の形成、色移り抑制、保湿の持続効果などの機能を持たせることができた。これらの安定性・使用性・機能性は本発明の必須とする成分を配合することで解決することを見出した。
本発明によれば、みずみずしい使用感を維持しつつ、均一な塗膜の形成と、色移り防止効果とを発揮するO/W型化粧料が提供される。この特性より、本発明は特に下地、ファンデーション、サンスクリーン製品での応用が期待される。