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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171564
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】浴室、ヘッドレスト及び浴室用枕
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/12 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
A47K3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088636
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000104973
【氏名又は名称】クリナップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】堀田 蕗敏
【テーマコード(参考)】
2D132
【Fターム(参考)】
2D132DA00
(57)【要約】
【課題】座る姿勢を変えてもヘッドレストを使うことができる浴室、ヘッドレスト、及び浴室用枕を提供する。
【解決手段】槽底部23及び槽底部から立設し、少なくとも一部に入浴者Pが背中をもたれかける背もたれ壁部28を含む槽側壁部24を有する浴槽と、背もたれ壁部にもたれかかった入浴者の頭首部P1を支持する支持面7aを有するヘッドレスト7と、ヘッドレストを背もたれ壁部に対応した位置に取り付け可能な取付部6と、を備え、ヘッドレストと取付部とは、ヘッドレストの背もたれ壁部に対する取付姿勢が、第一取付姿勢と、第一取付姿勢よりも支持面が上方に位置する第二取付姿勢と、に姿勢変更可能に構成されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽底部及び該槽底部から立設し、少なくとも一部に入浴者が背中をもたれかける背もたれ壁部を含む槽側壁部を有する浴槽と、
前記背もたれ壁部にもたれかかった入浴者の頭首部を支持する支持面を有するヘッドレストと、
前記ヘッドレストを前記背もたれ壁部に対応した位置に取り付け可能な取付部と、を備え、
前記ヘッドレストと前記取付部とは、前記ヘッドレストの背もたれ壁部に対する取付姿勢が、第一取付姿勢と、該第一取付姿勢よりも前記支持面が上方に位置する第二取付姿勢と、に姿勢変更可能に構成された浴室。
【請求項2】
前記第二取付姿勢では、前記第一取付姿勢よりも前記支持面が水平面に対して起立した姿勢となるように構成された請求項1に記載の浴室。
【請求項3】
前記支持面は、前記第一取付姿勢で入浴者に接する第一接触面と、前記第二取付姿勢で前記入浴者に接する第二接触面と、を備える請求項1または2に記載の浴室。
【請求項4】
前記第一接触面と前記第二接触面を異なる形状に構成された請求項3に記載の浴室。
【請求項5】
槽底部及び該槽底部から立設し、少なくとも一部に入浴者が背中をもたれかける背もたれ壁部を含む槽側壁部を有する浴槽と、取付部と、を備える浴室に設置可能なヘッドレストであって、
前記取付部は、前記ヘッドレストを前記背もたれ壁部に対応した位置に取り付け可能であり、
前記ヘッドレストは、
前記背もたれ壁部にもたれかかった入浴者の頭首部を支持する支持面を有するとともに、
前記取付部に取り付けられた状態における前記ヘッドレストの前記背もたれ壁部に対する取付姿勢が、第一取付姿勢と、該第一取付姿勢よりも前記支持面が上方に位置する第二取付姿勢と、に姿勢変更可能に構成されたヘッドレスト。
【請求項6】
槽底部及び該槽底部から立設し、少なくとも一部に入浴者が背中をもたれかける背もたれ壁部を含む槽側壁部を有する浴槽を備える浴室に設置可能な浴室用枕であって、
前記背もたれ壁部にもたれかかった入浴者の頭首部を支持する支持面を有するヘッドレストと、前記ヘッドレストに設けられ、前記ヘッドレストを前記背もたれ壁部に対応した位置に取り付け可能な取付部と、を備え、
前記ヘッドレストと前記取付部とは、前記ヘッドレストの前記背もたれ壁部に対する取付姿勢が、第一取付姿勢と、該第一取付姿勢よりも前記支持面が上方に位置する第二取付姿勢と、に姿勢変更可能に構成された浴室用枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室、並びに、浴室に配置されるヘッドレスト及び浴室用枕に関する。
【背景技術】
【0002】
上記浴室として、特許文献1に記載のヘッドレストを有する浴室が知られている。浴室は、浴槽と、浴槽の上面に立設された取付バーと、一方の端部に取付バーに嵌合可能な係合溝が形成されたヘッドレストと、を備える。ヘッドレストは、取付バーに対して着脱可能であり、かつ、取付バーを軸に回転可能である。
【0003】
上記のような構成のヘッドレストでは、ヘッドレストが浴槽表面に着座した使用位置と、浴槽表面から離れた不使用位置と、を切り替え可能であり、不使用位置では風呂蓋をヘッドレストに邪魔されることなく使用できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2507846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のようなヘッドレストを有する浴室では、入浴者が使用位置のヘッドレストに対して都合の良い頭の位置となるように座れば、ヘッドレストを問題なく使用できる。一方で、例えば、リラックスするために浴槽に寝そべるように浅く座ったり、姿勢を正すために深く座ったりした場合には、ヘッドレストの位置に頭が合わないという不都合がある。
【0006】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、座る姿勢を変えてもヘッドレストを使うことができる浴室、ヘッドレスト、及び浴室用枕の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の浴室は、槽底部及び該槽底部から立設し、少なくとも一部に入浴者が背中をもたれかける背もたれ壁部を含む槽側壁部を有する浴槽と、前記背もたれ壁部にもたれかかった入浴者の頭首部を支持する支持面を有するヘッドレストと、前記ヘッドレストを前記背もたれ壁部に対応した位置に取り付け可能な取付部と、を備え、前記ヘッドレストと前記取付部とは、前記ヘッドレストの背もたれ壁部に対する取付姿勢が、第一取付姿勢と、該第一取付姿勢よりも前記支持面が上方に位置する第二取付姿勢と、に姿勢変更可能に構成される。
【0008】
上記構成の浴室によれば、浴槽に対して浅く座る時にはヘッドレストを第一取付姿勢に、深く座る時にはヘッドレストを第二取付姿勢にすることで、座る姿勢を変えても好適にヘッドレストを使用できる。
【0009】
本発明の浴室において、前記第二取付姿勢では、前記第一取付姿勢よりも前記支持面が水平面に対して起立した姿勢となるように構成することもできる。
【0010】
上記構成の浴室によれば、入浴者が浴槽に座る姿勢に応じて支持面の角度が設定されるので、支持面で入浴者の頭首部をしっかり支持できる。
【0011】
本発明の浴室において、前記支持面は、前記第一取付姿勢で入浴者に接する第一接触面と、前記第二取付姿勢で前記入浴者に接する第二接触面と、を備えるように構成することもできる。
【0012】
上記構成の浴室によれば、第一取付姿勢と第二取付姿勢で入浴者に接する面を変えることができる。
【0013】
本発明の浴室において、前記第一支持面と前記第二支持面を異なる形状に構成することもできる。
【0014】
上記構成の浴室によれば、ヘッドレストは第一支持面と第二支持面の形状が異なるので、入浴者の姿勢に応じて適切に入浴者に接することができる。
【0015】
また、本発明のヘッドレストは、槽底部及び該槽底部から立設し、少なくとも一部に入浴者が背中をもたれかける背もたれ壁部を含む槽側壁部を有する浴槽と、取付部と、を備える浴室に設置可能なヘッドレストであって、前記取付部は、前記ヘッドレストを前記背もたれ壁部に対応した位置に取り付け可能であり、前記ヘッドレストは、前記背もたれ壁部にもたれかかった入浴者の頭首部を支持する支持面を有するとともに、前記取付部に取り付けられた状態における前記ヘッドレストの前記背もたれ壁部に対する取付姿勢が、第一取付姿勢と、該第一取付姿勢よりも前記支持面が上方に位置する第二取付姿勢と、に姿勢変更可能である。
【0016】
上記構成のヘッドレストでは、浴槽に対して浅く座る時にはヘッドレストを第一取付姿勢に、深く座る時にはヘッドレストを第二取付姿勢にすることで、座る姿勢を変えても好適にヘッドレストを使用できる。
【0017】
また、本発明の浴室用枕は、槽底部及び該槽底部から立設し、少なくとも一部に入浴者が背中をもたれかける背もたれ壁部を含む槽側壁部を有する浴槽を備える浴室に設置可能な浴室用枕であって、前記背もたれ壁部にもたれかかった入浴者の頭首部を支持する支持面を有するヘッドレストと、前記ヘッドレストに設けられ、前記ヘッドレストを前記背もたれ壁部に対応した位置に取り付け可能な取付部と、を備え、前記ヘッドレストと前記取付部とは、前記ヘッドレストの前記背もたれ壁部に対する取付姿勢が、第一取付姿勢と、該第一取付姿勢よりも前記支持面が上方に位置する第二取付姿勢と、に姿勢変更可能である。
【0018】
上記構成の浴室用枕では、浴槽に対して浅く座る時にはヘッドレストを第一取付姿勢に、深く座る時にはヘッドレストを第二取付姿勢にすることで、座る姿勢を変えても好適にヘッドレストを使用できる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の浴室、ヘッドレスト、及び浴室用枕は、入浴者が様々な姿勢でヘッドレストを使用できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態にかかる浴室を示す正面図である。
図2】同浴室を示す平面図である。
図3図2に示すIII-III断面図である。
図4図2に示すIV-IV断面図である。
図5図2に示すV-V断面図である。
図6】第一取付姿勢における浴室用枕を示す図である。
図7】第二取付姿勢における浴室用枕を示す図である。
図8】入浴者が浴槽に浅く腰かけた状態を示す図である。
図9図8に示すIX部拡大図である。
図10】入浴者が浴槽に深く腰かけた状態を示す図である。
図11図10に示すXI部拡大図である。
図12】本発明の他の実施形態にかかる浴室に配置される浴室用枕を示す図である。
図13】(a)第一取付姿勢における同浴室用枕を示す図である。(b)第二取付姿勢における同浴室用枕を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態にかかる浴室1について、図1乃至図11を参照して説明する。前後方向、上下方向、及び左右方向は、入浴者Pを基準に説明するものとし、具体的には図1及び図2に記載の方向を基準に説明する。
【0022】
図1及び図2に示すように、浴室1は、床面11と、床面11から立設される壁面12と、天井面(図示しない)と、に囲まれた部屋であり、内部に浴槽2と洗い場3と、を備える。具体的に、壁面12は、左壁面121と、右壁面122と、前壁面123と、後壁面124と、を備え、浴室1は、全体として直方体状である。本実施形態の浴室1では、浴槽2が浴室1の右端に配置されており、浴槽2よりも左側の部分が洗い場3として構成されている。また、洗い場3には、水栓31と、載置台32と、鏡33と、が配置されている。水栓31、載置台32、及び鏡33は、いずれも前壁面123に固定されている。さらに、浴室1は、浴槽2に対応した位置に配置される手指係止部4と、浴室用枕5と、を備える。
【0023】
浴槽2は、浴槽本体21と、浴槽本体21に設けられる噴出部22と、を備える。浴槽本体21は、槽底部23と、槽底部23の周縁から立設される槽側壁部24と、を備え、槽底部23及び槽側壁部24に囲まれた入浴空間2aを形成する。入浴空間2aは、湯を溜めることができ、湯を溜めた状態で使用者が入浴可能な空間である。槽底部23は、入浴空間2aの底を形成する部分であり、入浴空間2a内の湯を受けることができるように構成されている。浴槽2は、左右方向に比べて前後方向長さが長い、平面視四角形状である。槽底部23は、洗い場3の床面11と略同じ高さ又は床面11よりも上方に位置している。
【0024】
このような浴槽本体21には、入浴に適した適正量の湯が入れられる。本実施形態では、適正量として、浴槽本体21の容積の7割の量の湯が浴槽本体21に入れられる。入浴者Pが入浴していない状態における浴槽本体21に適正量の湯を入れた際の湯面高さを、適正湯面高さ2hとして説明する。
【0025】
槽側壁部24は、入浴空間2aの側方を形成する部分であり、水平方向における入浴空間2aの周囲を取り囲むように配置されている。具体的に、槽側壁部24は、槽底部23から立ち上がるように延びる立ち上がり部241と、立ち上がり部241の上端部から水平方向で入浴空間2a基準の外側に延び、槽側壁部24の上面を構成するフランジ部242と、を備える。また、槽側壁部24は、浴槽2の水平方向に沿う第一方向である短手方向(左右方向)に延びる一対の短手壁部26と、水平方向において第一方向と交差する方向である長手方向(前後方向)に延びる一対の長手壁部25と、を備える。一対の長手壁部25は浴槽2の短手方向で離間して配置されており、短手壁部26は、一対の長手壁部25の間にわたって延びるように、浴槽2の長手方向で離間して配置されている。また、隣接して配置される短手壁部26の立ち上がり部241と長手壁部25の立ち上がり部241、及び、隣接して配置される短手壁部26のフランジ部242と長手壁部25のフランジ部242は連続して延びるように設けられている。
【0026】
図2に示すように、入浴空間2aは、入浴者Pの胴部P2を収容する胴部収容領域21Aと、入浴者Pの脚部P3を収容する脚部収容領域21Bと、を含む。胴部収容領域21Aは、浴槽2の長手方向の一方側(後側)に形成されており、脚部収容領域21Bは、胴部収容領域21Aよりも長手方向の他方側(前側)に形成されている。本実施形態で、胴部収容領域21Aは、脚部収容領域21Bと比較して、短手方向の幅が大きい空間である。
【0027】
図2乃至図4に示すように、一対の長手壁部25は、短手方向の中央を基準にそれぞれ対称の形状である。また、一対の長手壁部25のうち、右側に位置する長手壁部25は、浴室1に右壁面122に面しており、左側に位置する長手壁部25は、洗い場3に面しており、洗い場3と入浴空間2aを仕切る。
【0028】
一対の長手壁部25の立ち上がり部241は、それぞれ、上方が下方よりも入浴空間2a基準で外側に位置するように槽底部23の周縁から上方に延びている。また、各長手壁部25は、長手方向の一部に位置し、後述する段部252が形成された段形成壁部25Aと、段部252が形成されていない段無壁部25Bと、を有する。本実施形態では、長手壁部25の後端部から中途部分までが段形成壁部25Aであり、段形成壁部25Aよりも前側の部分が段無壁部25Bである。さらに、長手壁部25は、一対の長手壁部25同士の短手方向における離間距離が、他の部分に比べて大きい幅広壁部25Wを有する。幅広壁部25Wは、下端部における幅(段部252よりも下方における幅)が他の部分に比べて大きくなるように形成された部分である。本実施形態の幅広壁部25Wは、長手方向の一端部(後側の端部)に位置し、下端部が他の部分と比べて入浴空間2a基準で外側に位置する部分である。
【0029】
図2乃至図4に示すように、段形成壁部25Aは、下端部が槽底部23に接続され、槽底部23から上方に立ち上がる下方部251と、下方部251の上端部と連結された段部252と、段部252からフランジ部242まで延びる上方部253と、を備える。下方部251及び上方部253は、いずれも上方が下方よりも入浴空間2a基準で外側に位置するように、槽底部23に対して傾斜している湾曲面である。また、本実施形態で、下方部251の槽底部23に対する傾斜角度は、上方部253の槽底部23に対する傾斜角度よりも小さい。即ち、上方部253は、下方部251よりも大きく立ち上がっている。さらに、上方部253は、入浴空間2a基準で下方部251よりも外側に位置している。
【0030】
段部252は、長手壁部25の上下方向の中途部分に形成された段である。段部252は、下方部251及び上方部253の延伸方向に対して交差する方向に延びる部分であり、下方部251の上端から上方部253の下端まで延びる。また、段部252は、槽底部23の周縁よりも入浴空間2a基準で外側に位置する。さらに段部252は、上方が下方よりも入浴空間2a基準で外側に位置するように水平方向に対して傾斜している。また、段部252は、適正湯面高さ2hよりも下方に位置しており、本実施形態では、入浴空間2aの底から段部252までの距離が、入浴空間2aの底から適正湯面高さ2hまでの距離の1/3以上2/3以下である。
【0031】
図2に示すように、段無壁部25Bは、下端部が槽底部23に接続され、上端部がフランジ部242に接続されるとともに、下端部から上端部まで段が形成されていない部分であり、本実施形態では湾曲面である。段無壁部25Bは、長手壁部25の前側(洗い場3における水栓31が設けられる側)の端部に配置されており、長手方向における入浴空間2aの長さの1/3以上にわたって延びるように設けられている。
【0032】
一対の短手壁部26の一方(本実施形態では後側の短手壁部26)は、入浴者Pが背中をもたれかける背もたれ壁部28である。背もたれ壁部28には、もたれかかった入浴者Pの背中の一部が当接する。背もたれ壁部28の立ち上がり部241は、槽底部23の周縁から後側に傾斜して立ち上がり、背もたれ壁部28のフランジ部242は、立ち上がり部241の上端から浴室1の後壁面124まで延びる。また、入浴空間2aのうち、背もたれ壁部28及び長手壁部25の幅広壁部25Wに囲まれた空間が胴部収容領域21Aである。
【0033】
背もたれ壁部28の立ち上がり部241は、適正湯面高さ2hに位置する背当たり部284と、背当たり部284から槽底部23まで延びる腰対向部283と、背当たり部284からフランジ部242まで延びる肩対向部281と、を備える。
【0034】
腰対向部283は、入浴者Pの腰部分に対向する部分である。腰対向部283は、槽底部23の周縁から後側に傾いて立ち上がる面であり、本実施形態では湾曲した面である。また、腰対向部283は、背当たり部284よりも前側に位置する。
【0035】
背当たり部284は、入浴者Pの背中が当接する部分であり、具体的には、深い姿勢で腰かけた入浴者Pの背中に当接する部分である。背当たり部284は、前後方向において、槽底部23の後側の端部と背もたれ壁部28のフランジ部242の前側の端部との間に位置している。
【0036】
肩対向部281は、入浴者Pの肩部分に対向する部分である。肩対向部281は、背当たり部284から後側に傾いて立ち上がる面であり、本実施形態では湾曲した面である。また、肩対向部281は、背当たり部284よりも後側に位置する。さらに、肩対向部281は、上端部に、フランジ部242と連結される肩連結部282を備える。肩連結部282は、湾曲しつつフランジ部242の前端部まで延びる。
【0037】
図2に示すように、噴出部22は、入浴空間2aに湯と気泡を噴出させることができるように構成されている。具体的に、噴出部22は、入浴空間2aの湯を吸引する吸引部(図示しない)と、吸引部が吸引した湯に気泡を混ぜて送出する送出機構(図示しない)と、送出機構が送出した湯及び気泡を入浴空間2aに噴出させる複数の噴出孔221と、を備える。噴出孔221は、一対の長手壁部25のそれぞれに配置される横側噴出孔222と、背もたれ壁部28に配置される後側噴出孔223と、を備える。
【0038】
図2及び図4に示すように、横側噴出孔222は、長手壁部25のうち下方部251に配置されている。即ち、横側噴出孔222は、段部252よりも下方に配置されている。本実施形態で、横側噴出孔222は、両長手壁部25に短手方向で対称となるように配置されている。また、横側噴出孔222は、下方部251から斜め上方(入浴空間2a基準で内側かつ上側)に向かって湯を噴出する。本実施形態の横側噴出孔222は、下方部251と略直交する方向に湯を噴出するように構成されている。
【0039】
図5に示すように、後側噴出孔223は、短手壁部26のうち腰対向部283に配置されている。即ち、後側噴出孔223は、背当たり部284よりも下方に配置されている。本実施形態で、後側噴出孔223は、短手方向で離間して2か所に配置されている。また、後側噴出孔223は、腰対向部283から斜め上方(入浴空間2a基準で内側かつ上側)に向かって湯を噴出する。本実施形態の後側噴出孔223は、腰対向部283と略直交する方向に湯を噴出するように構成されている。
【0040】
図2に示すように、手指係止部4は、入浴者Pが手指を係止させることができる部分である。手指係止部4は、複数設けられており、それぞれが槽側壁部24に対応した位置に配置されている。具体的に、手指係止部4は、第一壁部としての短手壁部26に対応して配置される短手手指係止部41と、第二壁部及び第三壁部としての一対の長手壁部25に対応して配置される長手手指係止部42と、を備える。本実施形態で、長手手指係止部42は、入浴空間2aの内部に配置され、短手手指係止部41は、入浴空間2aの外部に配置されている。
【0041】
図2乃至図4に示すように、長手手指係止部42は、一対の長手壁部25のそれぞれに対応して配置されており、本実施形態では、長手壁部25に直接設けられている。具体的に、長手手指係止部42は、長手壁部25から入浴空間2a基準で内方に向かって延びる長手連結部421と、長手連結部421に連結された長手係止本体部422と、を備える。本実施形態の長手手指係止部42は、段形成壁部25Aに配置されている。また、長手手指係止部42は、脚部収容領域21Bに配置されている。
【0042】
長手連結部421は、長手壁部25から入浴空間2a基準で内方に延出するように構成されており、本実施形態では、長手方向に離間して複数(具体的には2つ)配置されている。具体的に、長手連結部421は、段部252から上方かつ入浴空間2a基準で内方に向かって延出した柱状体であり、水平方向(左右方向)で上側が下側よりも長手壁部25から離れるように延びている。本実施形態の長手連結部421は、入浴空間2a基準で、先端(上端)が段部252よりも内方かつ槽底部23の周縁よりも外方に位置している。また、長手連結部421は、先端部が適正湯面高さ2hよりも下方に位置している。
【0043】
長手係止本体部422は、棒状体であり、長手連結部421の先端部に連結されている。本実施形態の長手係止本体部422は、段部252の上方に長手壁部25から離間して配置された、断面円形の棒状体である。また、本実施形態で、長手係止本体部422は、浴槽本体21の長手方向(前後方向)に沿って延びるように配置されている。さらに、長手係止本体部422は、入浴空間2a基準で、先端(上端)が段部252よりも内方かつ槽底部23の周縁よりも外方に位置している。
【0044】
長手手指係止部42は、上記のような構成であるので、入浴者Pは入浴時に長手手指係止部42を握ることができる。具体的には、棒状の長手係止本体部422と長手壁部25の間に手をいれて、長手係止本体部422の一部を握ることができる。よって、入浴者Pが手指を係止させることができる。
【0045】
長手手指係止部42と長手壁部25の間には、腕P4を配置可能な腕置空間42aが形成される。腕置空間42aは長手壁部25及び長手手指係止部42によって形成された、下側が上側に比べて狭くなる空間である。腕置空間42aには、入浴者Pが腕P4(特に前腕)を置くことができ、置かれた腕P4が長手手指係止部42と長手壁部25によって支持される。
【0046】
図2及び図5に示すように、短手手指係止部41は、短手壁部26(背もたれ壁部28)に対応して配置されている。具体的に、短手手指係止部41は、後壁面124の、短手壁部26よりも上方の位置に配置されている。短手手指係止部41は、後壁面124から前側に向かって延びる短手連結部411と、短手連結部411に連結された短手係止本体部412と、を備える。
【0047】
短手連結部411は、後壁面124から前側に延出するように構成された柱状体であり、本実施形態では、後壁面124から浴槽本体21の長手方向(前後方向)に沿って延びるように設けられている。また、短手連結部411は、左右方向(短手方向)に離間して複数配置されている。短手連結部411の先端部(前側の端部)は、背もたれ壁部28のフランジ部242の前側の端部よりも後側に位置している。
【0048】
短手係止本体部412は、背もたれ壁部28の上方に配置された、断面円形の棒状体である。また、本実施形態で、短手係止本体部412は、浴槽本体21の短手方向(左右方向)に沿って延びるように、後壁面124及びフランジ部242から離間して配置されている。本実施形態では、入浴空間2aの短手方向の幅よりも短手方向長さが長いように構成されており、短手方向の両端部が、一対の長手手指係止部42よりも短手方向基準で入浴空間2aよりも外側に位置する。また、短手係止本体部412は、背当たり部284よりも後側に位置するように配置されている。
【0049】
上記のような構成であるので、入浴者Pは入浴時に短手手指係止部41を握ることができる。具体的には、棒状の短手係止本体部412と後壁面124の間に手をいれて、短手係止本体部412の一部を握ることができる。よって、入浴者Pが手指を係止させることができる。
【0050】
図6及び図7に示すように、浴室用枕5は、浴室1に配置された取付部6と、取付部6に取付可能なヘッドレスト7と、を備える。本実施形態の浴室用枕5では、ヘッドレスト7と取付部6が別体として構成されている。このような浴室用枕5は、入浴者Pの頭首部P1に当接して、入浴者Pの頭首部P1を支持可能である。
【0051】
取付部6は、背もたれ壁部28に対応した位置にヘッドレスト7を取り付け可能な部材である。本実施形態では、短手手指係止部41が取付部6として機能するように構成されている。具体的に、取付部6は、ヘッドレスト7が取り付けられる取付棒部61(短手係止本体部412)と、取付棒部61を浴室1に連結する取付連結部62(短手連結部411)と、を備える。また、本実施形態の取付部6は、浴室1の壁面12(後壁面124)に固定されている。
【0052】
ヘッドレスト7は、背もたれ壁部28に対応した位置に配置可能であり、配置された状態で、入浴者Pの頭首部P1を支持可能に構成されている。具体的に、ヘッドレスト7は、浴室1に配置された取付部6と係合可能な被取付部71と、ヘッドレスト7の長さ方向の一端部74から他端部75まで延びる第一接触面72と、一端部74から他端部75まで延びる、第一接触面72とは反対側の面である第二接触面73と、を備える。本実施形態のヘッドレスト7では、第一接触面72及び第二接触面73の一方が入浴者Pの頭首部P1に当接する支持面7aとなり、具体的には、取付部6に取り付けられた状態で前側に位置する面で入浴者Pの頭首部P1を支持する。また、ヘッドレスト7は、頭首部P1を支持可能な程度の硬さの材料で構成されており、本実施形態では、硬質の樹脂で構成されている。
【0053】
本実施形態のヘッドレスト7は、左右方向長さが取付部6(短手手指係止部41)の左右方向長さよりも短く、ヘッドレスト7を取り付けた状態においても、短手手指係止部41の一部が露出した状態(ヘッドレスト7に覆われていない状態)となる。具体的に、ヘッドレスト7を左右方向における取付部6の中央部分に取り付けた場合には、ヘッドレスト7の右側及び左側に短手手指係止部41が露出した部分が形成され、入浴者Pは露出した部分に手指を係止させることができる。
【0054】
被取付部71は、ヘッドレスト7の長さ方向で一端部74寄りの位置に配置された、取付部6が嵌合可能な凹部である。本実施形態の被取付部71は、第二接触面73に形成された第一接触面72側に向かって窪む凹部であり、内部に取付棒部61(短手係止本体部412)を収容可能である。
【0055】
第一接触面72は、ヘッドレスト7の長さ方向の一端部74から他端部75まで延びる湾曲した面である。具体的に第一接触面72は、長さ方向の一端部74及び他端部75が第二接触面73と反対側に隆起し、長さ方向の中央部分が第二接触面73側に窪んだ接触凹部721である面である。
【0056】
第二接触面73は、ヘッドレスト7の長さ方向の一端部74から他端部75まで延びる湾曲した面であり、長さ方向の中央部分が第一接触面72と反対側に隆起した隆起部分731として構成されている。また、第二接触面73において、被取付部71は、隆起部分731よりも第一接触面72側の位置に形成されている。
【0057】
このような浴室用枕5は、ヘッドレスト7が取付部6に取り付けられた状態で、取付棒部61を軸としてヘッドレスト7を回動させることができ、回動によって、ヘッドレスト7の姿勢を、第一接触面72が第二接触面73よりも前側に位置する第一取付姿勢J1と、第二接触面73が第一接触面72よりも前側に位置する第二取付姿勢J2と、を切り替え可能である。
【0058】
図8及び図9に示すように、第一取付姿勢J1のヘッドレスト7及び取付部6は、第二接触面73が浴槽本体21に当接することで、ヘッドレスト7の取付部6に対する回動が規制されている。具体的に、第一取付姿勢J1のヘッドレスト7は、第二接触面73が背当たり部284の肩連結部282に当接することで、取付部6に対する回動が規制されている。また、図10及び図11に示すように、第二取付姿勢J2のヘッドレスト7は、第一接触面72が後壁面124に当接することで、取付部6に対する回動が規制されている。具体的に、第二取付姿勢J2のヘッドレスト7は、第一接触面72が、後壁面124のうち、取付部6よりも上方の部分に当接することで取付部6に対する回動が規制されている。
【0059】
図9に示すように、第一取付姿勢J1のヘッドレスト7は、第一接触面72が第二接触面73よりも前側(取付部6に対する後壁面124と反対側)に位置している。また、第一取付姿勢J1のヘッドレスト7はヘッドレスト7の長さ方向の他端部75が取付部6よりも前側に位置しており、本実施形態では背当たり部284よりも前側かつ槽底部23の周縁よりも後側に位置している(図8参照)。さらに、第一取付姿勢J1のヘッドレスト7は、ヘッドレスト7の長さ方向の他端部75が取付部6よりも下方に位置しており、本実施形態では、浴槽本体21のフランジ部242よりも下方かつ適正湯面高さ2hよりも上方に位置している。また、第一取付姿勢J1のヘッドレスト7では、第一接触面72の接触凹部721が取付部6よりも下方かつフランジ部242よりも上方に位置している。
【0060】
図11に示すように、第二取付姿勢J2のヘッドレスト7は、第二接触面73が第一接触面72よりも前側に位置している。また、第二取付姿勢J2のヘッドレスト7はヘッドレスト7の長さ方向の他端部75が取付部6よりも後側に位置している。即ち、第二取付姿勢J2のヘッドレスト7は、長さ方向の他端部75が、第一取付姿勢J1のヘッドレスト7における他端部75よりも後側に位置している。さらに、第一取付姿勢J1のヘッドレスト7は、ヘッドレスト7の長さ方向の他端部75が取付部6よりも上方に位置している。即ち、第二取付姿勢J2のヘッドレスト7は、長さ方向の他端部75が、第一取付姿勢J1のヘッドレスト7における他端部75よりも上方に位置している。また、第二取付姿勢J2のヘッドレスト7では、第二接触面73の隆起部分731が取付部6よりも上方に位置している。
【0061】
図9及び図11に示すように、第一取付姿勢J1における支持面7aである第一接触面72は、第二取付姿勢J2における支持面7aである第二接触面73に対して下方かつ前方に位置している。また、ヘッドレスト7の長さ方向の一端部74と他端部75を通る仮想線Xが、第一取付姿勢J1よりも第二取付姿勢J2のほうが水平方向に対して立ち上がった状態である。そのため、第一取付姿勢J1における支持面7aは、第二取付姿勢J2における支持面7aよりも水平面に対して倒れた状態(第二取付姿勢J2の支持面7aが第一取付姿勢J1の支持面7aよりも水平面に対して起立した状態)となっている。
【0062】
以上のような構成の浴室1の使用方法について説明する。浴室1を使用する使用者は、洗い場3から入浴空間2aに移動する。洗い場3から入浴空間2aに移動する際に使用者は、槽側壁部24をまたいで移動する。ここで、洗い場3と入浴空間2aを仕切る槽側壁部24は、段部252が形成されていない段無壁部25Bを有するので、入浴者Pが移動する際に、段部252や、段部252に配置された手指係止部4に足が引っかかることを抑制でき、洗い場3から入浴空間2aに移動しやすくなる。
【0063】
図8及び図10に示すように、入浴空間2aに移動した入浴者Pは、胴部収容領域21Aに胴部P2を収容するとともに脚部収容領域21Bに脚部P3を収容して、入浴空間2a内で座った姿勢となる。ここで、入浴者Pは、入浴空間2a内において、図8に示すような浅く腰かけた姿勢(浴槽本体21に対して寝そべった姿勢)や図10に示すような深く腰かけた姿勢をとる。浅く腰かけた姿勢では、入浴者Pの胴部P2全体が水平方向に対して倒れた状態となり、深く腰かけた姿勢では、浅く腰かけた姿勢に比べて入浴者Pの胴部P2全体が水平方向に対して起立した状態となる。また、浅く腰かけた姿勢では、深く腰かけた姿勢に比べて、首が前方に位置するとともに、入浴者Pの頭首部P1が水平方向に対して倒れた状態となる。さらに、深く腰かけた姿勢では、入浴者Pが背もたれ壁部28にもたれかかった状態となり、具体的には、入浴者Pが背中を背もたれ壁部28に当接させた姿勢となる。また、入浴者Pは、腕置空間42aに腕P4(前腕)を置くことで、腕P4が短手手指係止部41及び長手壁部25に支持された状態とすることができ、腕P4を休めることができる。
【0064】
図8に示すように、浅く腰かけた姿勢の入浴者Pは、ヘッドレスト7を第一取付姿勢J1とし、ヘッドレスト7の支持面7a(第一接触面72)に頭首部P1を当接させて、頭首部P1をヘッドレスト7に支持された状態とすることができる。ここで、第一取付姿勢J1のヘッドレスト7は、支持面7aが第二取付姿勢J2に比べて下方に位置しているので、浅く腰かけた姿勢の頭首部P1を適切に支持できる。また、第一取付姿勢J1のヘッドレスト7は、第二取付姿勢J2と比べて支持面7aが水平方向に対して倒れた状態となっているので、浅く腰かけた姿勢の入浴者Pの頭首部P1を楽な姿勢で支持できる。ここで、第一接触面72には接触凹部721が形成されているので、入浴者Pの首から後頭部にかけての範囲に沿って第一接触面72が面で当接することができる。よって、ヘッドレスト7は、頭首部P1の加重を分散して支持することができる。さらに、第一取付姿勢J1のヘッドレスト7は、浴槽本体21(肩連結部282)に当接しているので、入浴者Pの頭首部P1が当接して荷重がかかったとしても、該荷重をしっかりと受けることができる。
【0065】
図10に示すように、深く腰かけた姿勢の入浴者Pは、ヘッドレスト7を第二取付姿勢J2とし、ヘッドレスト7の支持面7a(第二接触面73)に頭首部P1を当接させて、頭首部P1をヘッドレスト7に支持された状態とすることができる。ここで、第二取付姿勢J2のヘッドレスト7は、支持面7aが第一取付姿勢J1に比べて上方に位置しているので、深く腰かけた姿勢の頭首部P1を適切に支持できる。また、第二取付姿勢J2のヘッドレスト7は、第一取付姿勢J1と比べて支持面7aが水平方向に対して起立した状態となっているので、深く腰かけた姿勢の入浴者Pの頭首部P1を楽な姿勢で支持できる。さらに、第二取付姿勢J2のヘッドレスト7は、支持面7aが背当たり部284よりも後側に位置しているので、背当たり部284に背中を当接させた使用者の頭首部P1を背当たり部284よりも後側で支持できる。ここで、第二接触面73には隆起部分731が形成されているので、入浴者Pの後頭部を隆起部分731で支持でき、また、隆起部分731よりも第一接触面72側の位置に被取付部71が形成されているので、被取付部71が入浴者Pに接することを抑制できる。さらに、第二取付姿勢J2のヘッドレスト7は、浴室1の壁面12(後壁面124)に当接しているので、入浴者Pの頭首部P1が当接して荷重がかかったとしても、該荷重をしっかりと受けることができる。
【0066】
また、入浴者Pは、入浴中に噴出部22を動作させて、噴出孔221から湯及び気泡を噴出させ、噴出孔221から噴出する湯を身体に当てることができる。ここで、横側噴出孔222は、入浴空間2a基準で内側かつ上側に向かって湯及び気泡を噴出させるように構成されているので、腹部に対して斜め上向きに湯及び気流を当てることができる。よって、腹部に適度な刺激を与えることができる。また、後側噴出孔223は、入浴空間2a基準で内側かつ上側に向かって湯及び気泡を噴出させるように構成されているので、背もたれ壁部28にもたれかかることで、水平方向に対して後ろ向きに倒れ掛かった状態となっている入浴者Pの腰又は背中に垂直に近い角度で湯及び気泡を当てることができる。よって、腰又は背中を強く刺激することができる。
【0067】
さらに、入浴者Pは、入浴中に体をひねるストレッチをすることができる。具体的には、図8又は図10に示すように、背もたれ壁部28に背中を対向させた状態で、手指係止部4に手指を係止させて、手指係止部4を支えとして体をひねる運動をすることができる。ここで、手指係止部4は、背もたれ壁部28に対応した位置と、背もたれ壁部28と交差する方向に延びる長手壁部25に対応した位置に配置されるので、右手及び左手の一方で背もたれ壁部28に対応した位置に配置された手指係止部4(短手手指係止部41)に手指を係止させ、右手及び左手の他方で長手壁部25に対応した位置に配置された手指係止部4(長手手指係止部42)に手指を係止させた状態で体をひねることができる。しかも、一対の長手壁部25のそれぞれに対応した位置に手指係止部4が配置されているので、入浴者Pは右側に体をひねることも左側に体をひねることもできる。しかも、胴部収容領域21Aは、脚部収容領域21Bに比べて、左右方向長さが長いので、ストレッチをする際に入浴空間2a内で動きやすい。
【0068】
本実施形態で、背もたれ壁部28(第一壁部)に対応して配置された手指係止部4(短手手指係止部41)は、フランジ部242よりも上方に配置されているので、体の背中側に配置されていても、手を伸ばして手指を係止させやすい。また、背もたれ壁部28と交差する方向に延びる長手壁部25(第二壁部及び第三壁部)に対応した配置された手指係止部4は、フランジ部242よりも下方に配置されているので、入浴者Pが入浴した際に腕P4が位置する自然な高さで手指を係止させることができる。よって、入浴中にストレッチをしやすい。さらに、短手手指係止部41は、入浴空間2aの短手方向の幅よりも短手方向長さが長いので、体の背中側に配置されていても手指を係止させやすい。
【0069】
以上のような構成の浴室1によれば、浴槽2に対して浅く座る時にはヘッドレスト7を第一取付姿勢J1に、深く座る時にはヘッドレスト7を第二取付姿勢J2にすることで、座る姿勢を変えても好適にヘッドレスト7を使用できる。
【0070】
また、入浴者Pが浴槽2に座る姿勢に応じて支持面7aの角度が設定されるので、支持面7aで入浴者Pの頭首部P1をしっかり支持できる。
【0071】
さらに、第一取付姿勢J1と第二取付姿勢J2で入浴者Pに接する面を変えることができる。そのため、入浴者Pが接していない側の面に付着した水分などを落とすことができるので衛生的である。
【0072】
また、第一接触面72と第二接触面73の形状が異なるので、入浴者Pの姿勢に応じて適切に入浴者Pに接することができる。
【0073】
さらに、手指係止部4が第一壁部、第二壁部、及び、第三壁部に対応した位置に配置されるので、入浴者Pが手指係止部4に手指を係止させて体をひねるなどのストレッチをしやすくなる。
【0074】
また、手指係止部4が短手壁部に対応して配置される短手手指係止部41及び一対の長手壁部に対応して配置される一対の長手手指係止部42を備えるので、短手壁部26にもたれかかった状態からスムーズにストレッチをすることができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0076】
例えば、浴槽本体21は、一対の長手壁部25と一対の短手壁部26を備える場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、平面視五角形状など種々の形状に構成することができる。このような構成であっても、第一壁部と第一壁部に対して交差する第二壁部及び第三壁部のそれぞれに対応した位置に手指係止部4が配置された構成とすることができる。
【0077】
また、手指係止部4は、手で握ることができるように構成される場合について説明したが、このような構成に限らず、手指を係止可能な種々の構成とすることができる。例えば、手指をひっかけることができる突起やくぼみとして構成することができる。
【0078】
さらに、短手手指係止部41が浴室1の壁面12に配置され、長手手指係止部42が長手壁部25に配置される場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、短手手指係止部41及び長手手指係止部42の両方が槽側壁部24に配置される構成とすることや、短手手指係止部41及び長手手指係止部42の両方が浴室1の壁面12に配置される構成とすることもできる。また、槽側壁部24に配置される場合にも、立ち上がり部241に配置される場合に限らず、フランジ部242に配置された構成とすることもできる。
【0079】
また、短手壁部26及び一対の長手壁部25に手指係止部4が配置される構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、手指係止部4は、長手壁部25に対応した位置に配置された長手手指係止部42と、一対の短手壁部26のそれぞれに対応した位置に配置された一対の短手手指係止部41と、を備える構成とすることもできる。このような構成を採用した場合には、使用者が浴槽2内で長手壁部25に背中が対抗する状態で座り、手指係止部4を用いてストレッチをすることができる。よって、入浴空間2aを長手方向に広く使ってのストレッチをすることができ、体をひねる運動や、体を伸ばす運動などをしやすくなる。
【0080】
さらに、短手手指係止部41は、浴室用枕5の取付部6と兼用される場合について説明したが、手指係止部4と取付部6が別体として構成されることもできる。
【0081】
また、浴室用枕5は、浴室1に固定された取付部6と、取付部6に取り付け可能なヘッドレスト7と、を備える場合について説明したが、このような構成に限らず、図12及び図13に示すように、ヘッドレスト7と取付部6が一体として構成され、ヘッドレスト7及び取付部6を浴室1の壁面12又は浴槽2に取り付け可能な構成とすることもできる。例えば、図12示すように、ヘッドレスト7は、支持面7aと、支持面7aと反対側の面である取付面76と、を備え、取付部6は、取付面76に固定された吸盤として構成することができる。また、ヘッドレスト7は、支持面7aの長さ方向の一方側に隆起部分731を有し、隆起部分731よりも他方側に接触凹部721を有する構成とすることができる。このような構成を採用する場合であっても、浴室1に対するヘッドレスト7の位置を変えることで、図13(a)に示す、浴室用枕5の姿勢を第一取付姿勢J1と、図13(b)に示す第二取付姿勢J2と、を変えることができる。また、支持面7aの長さ方向の一方側に隆起部分731を有し、隆起部分731よりも他方側に接触凹部721を有するので、隆起部分731が下方に位置する配置と隆起部分731が上方に位置する配置とを切り替えることで、入浴者Pの姿勢に応じて支持面7aが適切に入浴者Pに接することができる。
【0082】
さらに、ヘッドレスト7は、取付部6を軸に回動して第一取付姿勢J1と第二取付姿勢J2を切り替え可能な構成について説明したが、このような構成に限らず、例えば、取付部6が複数設けられ、ヘッドレスト7が取り付けられる取付部6を切り替えることで第一取付姿勢J1と第二取付姿勢J2を切り替え可能とすることや、第一取付姿勢J1のヘッドレスト7を取付部6から取り外して、裏向きにして取付部6に取り付けることで、第二取付姿勢J2に切り替えることができる構成とすることもできる。
【0083】
また、取付部6は、浴室1の壁面12に固定される場合について説明したが、このような構成に限らず、浴槽本体21に固定される構成とすることもできる。このような構成を採用する場合には、例えば、フランジ部242に取付部6が固定される構成とすることができる。
【0084】
さらに、ヘッドレスト7は、浴槽本体21又は浴室1の壁面12に当接して取付部6に対する回動が規制される場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、取付部6に回動規制手段を設け、該回動規制手段にヘッドレスト7が当接することで取付部6に対する回動が規制される構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0085】
1…浴室、11…床面、12…壁面、121…左壁面、122…右壁面、123…前壁面、124…後壁面、2…浴槽、2a…入浴空間、21…浴槽本体、21A…胴部収容領域、21B…脚部収容領域、22…噴出部、221…噴出孔、222…横側噴出孔、223…後側噴出孔、23…槽底部、24…槽側壁部、241…立ち上がり部、242…フランジ部、25…長手壁部、25A…段形成壁部、25B…段無壁部、25W…幅広壁部、251…下方部、252…段部、253…上方部、26…短手壁部、28…背もたれ壁部、281…肩対向部、282…肩連結部、283…腰対向部、284…背当たり部、3…洗い場、31…水栓、32…載置台、33…鏡、4…手指係止部、41…短手手指係止部、411…短手連結部、412…短手係止本体部、42…長手手指係止部、42a…腕置空間、421…長手連結部、422…長手係止本体部、5…浴室用枕、6…取付部、61…取付棒部、62…取付連結部、7…ヘッドレスト、7a…支持面、71…被取付部、72…第一接触面、73…第二接触面、74…一端部、75…他端部、76…取付面、P…入浴者、P1…頭首部、P2…胴部、P3…脚部、P4…腕、X…仮想線、J1…第一取付姿勢、J2…第二取付姿勢
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13