(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171574
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ステータ、モータ、送風機、およびステータの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 3/52 20060101AFI20241205BHJP
H02K 3/46 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H02K3/52 E
H02K3/46 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088651
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000228730
【氏名又は名称】ニデックアドバンスドモータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀哲
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604BB01
5H604BB10
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604PB03
5H604QA08
5H604QB03
5H604QB14
5H604QB17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コイル本体部と接続ピンとの間でコイル引出線が弛むことを抑制する。
【解決手段】本発明のステータの一態様は、モータが備えるステータであって、中心軸線を囲む環状のステータコアと、ステータコアに装着されるインシュレータと、インシュレータを介してステータコアに装着されるコイル本体部、およびコイル本体部から引き出されるコイル引出線を有するコイル部と、軸方向に延び、コイル引出線と接続される接続ピンと、を備える。インシュレータには、接続ピンが軸方向に貫通可能な貫通孔が設けられる。接続ピンは、少なくとも一部が貫通孔に嵌め合わされ、軸方向から見て円形状の本体部と、本体部の軸方向一方側の端部と繋がり、軸方向から見て非円形状の固定部と、を有する。コイル引出線は、半田によって固定部に固定される第1引出線部、および第1引出線部とコイル本体部との間の部分であり、接続ピンに巻かれる第2引出線部を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータが備えるステータであって、
中心軸線を囲む環状のステータコアと、
前記ステータコアに装着されるインシュレータと、
前記インシュレータを介して前記ステータコアに装着されるコイル本体部、および前記コイル本体部から引き出されるコイル引出線を有するコイル部と、
軸方向に延び、前記コイル引出線と接続される接続ピンと、
を備え、
前記インシュレータには、前記接続ピンが軸方向に貫通可能な貫通孔が設けられ、
前記接続ピンは、
少なくとも一部が前記貫通孔に嵌め合わされ、軸方向から見て円形状の本体部と、
前記本体部の軸方向一方側の端部と繋がり、軸方向から見て非円形状の固定部と、
を有し、
前記コイル引出線は、半田によって前記固定部に固定される第1引出線部、および前記第1引出線部と前記コイル本体部との間の部分であり、前記接続ピンに巻かれる第2引出線部を有する、ステータ。
【請求項2】
前記接続ピンは、前記固定部から軸方向一方側に突出する突出部を有する、請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
軸方向から見て、前記固定部は、長円状である、請求項1に記載のステータ。
【請求項4】
前記第2引出線部の少なくとも一部は、前記第1引出線部に巻かれている、請求項1に記載のステータ。
【請求項5】
前記固定部は、前記インシュレータと径方向に対向している、請求項1に記載のステータ。
【請求項6】
前記固定部は、前記コイル本体部と周方向に対向している、請求項1に記載のステータ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のステータと、
前記中心軸線を中心として回転可能なロータと、
前記ステータコアよりも軸方向他方側に配置され、前記ステータに電流を供給する回路基板と、
を備え、
前記接続ピンの軸方向他方側の部分は、前記回路基板と接続される、モータ。
【請求項8】
請求項7に記載のモータと、
前記ロータと接続され、前記中心軸線を中心として回転可能なインペラ部と、
を備える送風機。
【請求項9】
中心軸線を囲む環状のステータコアと、
前記ステータコアに装着されるインシュレータと、
前記インシュレータを介して前記ステータコアに装着されるコイル本体部、および前記コイル本体部から引き出されるコイル引出線を有するコイル部と、
軸方向に延びる接続ピンと、
を備えるステータの製造方法であって、
前記コイル引出線を前記接続ピンに接続する接続工程を有し、
前記インシュレータには、軸方向に貫通し、軸方向から見て円形状の貫通孔が設けられ、
前記接続ピンは、少なくとも一部が前記貫通孔に嵌め合わされ、軸方向から見て円形状の本体部と、前記本体部の軸方向一方側の端部と繋がり、軸方向から見て非円形状の固定部と、前記固定部の軸方向一方側の端部と繋がり、軸方向から見て非円形状の突出部と、を有し、
前記コイル引出線は、前記コイル引出線の端部を含む第1引出線部と、前記第1引出線部と前記コイル本体部との間の部分である第2引出線部と、を有し、
前記接続工程は、
半田によって前記第1引出線部を前記固定部に固定する固定工程と、
前記接続ピンを軸方向他方側に移動させ、且つ、前記突出部を回転させることにより前記接続ピンを回転させて前記第2引出線部を前記接続ピンに巻き取る巻取工程と、
を有する、ステータの製造方法。
【請求項10】
前記固定工程において、前記固定部は、前記インシュレータよりも軸方向一方側に位置し、
前記巻取工程において前記接続ピンを回転させる際に、前記固定部は、前記インシュレータと径方向に対向している、請求項9に記載のステータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータ、モータ、送風機、およびステータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
巻線体と積層鉄心とを絶縁する絶縁樹脂部材に保持される結線端子に巻線体の端部を固定する構成の固定子が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表WO2019/220635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような固定子の製造工程において、絶縁樹脂部材から軸方向に離れた位置で巻線体の端部を結線端子に例えば半田で固定した後に、結線端子を絶縁樹脂部材の結線端子保持部に挿入すると、巻線体のうち積層鉄心に装着される部分と結線端子に固定される部分との間の部分に弛みが生じ易かった。係る巻線体の弛んだ部分がロータ等に接触すると、巻線体が断線する等の不具合が発生する虞があった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記事情に鑑みて、コイル本体部と接続ピンとの間でコイル引出線が弛むことを抑制できるステータ、モータ、送風機、およびステータの製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のステータの一つの態様は、モータが備えるステータであって、中心軸線を囲む環状のステータコアと、前記ステータコアに装着されるインシュレータと、前記インシュレータを介して前記ステータコアに装着されるコイル本体部、および前記コイル本体部から引き出されるコイル引出線を有するコイル部と、軸方向に延び、前記コイル引出線と接続される接続ピンと、を備える。前記インシュレータには、前記接続ピンが軸方向に貫通可能な貫通孔が設けられる。前記接続ピンは、少なくとも一部が前記貫通孔に嵌め合わされ、軸方向から見て円形状の本体部と、前記本体部の軸方向一方側の端部と繋がり、軸方向から見て非円形状の固定部と、を有する。前記コイル引出線は、半田によって前記固定部に固定される第1引出線部、および前記第1引出線部と前記コイル本体部との間の部分であり、前記接続ピンに巻かれる第2引出線部を有する。
【0007】
本発明のモータの一つの態様は、上記のステータと、前記中心軸線を中心として回転可能なロータと、前記ステータコアよりも軸方向他方側に配置され、前記ステータに電流を供給する回路基板と、を備える。前記接続ピンの軸方向他方側の部分は、前記回路基板と接続される。
【0008】
本発明の送風機の一つの態様は、上記のモータと、前記ロータと接続され、前記中心軸線を中心として回転可能なインペラ部と、を備える。
【0009】
本発明のステータの製造方法は、中心軸線を囲む環状のステータコアと、前記ステータコアに装着されるインシュレータと、前記インシュレータを介して前記ステータコアに装着されるコイル本体部、および前記コイル本体部から引き出されるコイル引出線を有するコイル部と、軸方向に延びる接続ピンと、を備えるステータの製造方法であって、前記コイル引出線を前記接続ピンに接続する接続工程を有する。前記インシュレータには、軸方向に貫通し、軸方向から見て円形状の貫通孔が設けられる。前記接続ピンは、少なくとも一部が前記貫通孔に嵌め合わされ、軸方向から見て円形状の本体部と、前記本体部の軸方向一方側の端部と繋がり、軸方向から見て非円形状の固定部と、前記固定部の軸方向一方側の端部と繋がり、軸方向から見て非円形状の突出部と、を有する。前記コイル引出線は、前記コイル引出線の端部を含む第1引出線部と、前記第1引出線部と前記コイル本体部との間の部分である第2引出線部と、を有する。前記接続工程は、半田によって前記第1引出線部を前記固定部に固定する固定工程と、前記接続ピンを軸方向他方側に移動させ、且つ、前記突出部を回転させることにより前記接続ピンを回転させて前記第2引出線部を前記接続ピンに巻き取る巻取工程と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一つの態様によれば、ステータ、モータ、送風機、およびステータの製造方法において、コイル本体部と接続ピンとの間でコイル引出線が弛むことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態の送風機を示す上面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態の送風機を示す
図1のII-II断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のステータを示す断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のステータを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施形態のステータを示す側面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態の接続ピンを示す外観図である。
【
図7】
図7は、一実施形態の本体部を示す
図6のVII-VII断面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態の固定部を示す
図6のVIII-VIII断面図である。
【
図9】
図9は、一実施形態のステータの一部を示す第1の拡大側面図である。
【
図10】
図10は、一実施形態のステータの一部を示す第2の拡大側面図である。
【
図11】
図11は、一実施形態の接続工程を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、一実施形態のステータの製造方法を示す第1の外観図である。
【
図13】
図13は、一実施形態のステータの製造方法を示す第2の外観図である。
【
図14】
図14は、一実施形態のステータの製造方法を示す第3の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る送風機について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成を分かり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0013】
以下の説明において図には適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。Z軸方向は、モータの中心軸線Jが延びる方向を示す。各図に示す中心軸線Jは、仮想軸線である。以下の説明では、Z軸方向と平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。中心軸線Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。中心軸線Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を「軸方向一方側」または「上側」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「軸方向他方側」または「下側」と呼ぶ。なお、上側および下側は、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向である。Y軸方向は、Z軸方向およびX軸方向の両方と直交する方向である。
【0014】
周方向は、各図において矢印θで示される。周方向のうち矢印θが向く側(+θ側)を「周方向一方側」と呼ぶ。周方向のうち矢印θが向く側と反対側(-θ側)を「周方向他方側」と呼ぶ。周方向一方側は、上側から見て中心軸線J回りに反時計回りに進む側である。周方向他方側は、上側から見て中心軸線J回りに時計回りに進む側である。
【0015】
図1に示す本実施形態の送風機10は、例えば、電子機器を空冷するための電動式冷却ファンとして用いられる。本実施形態の送風機10は、軸方向に送風する軸流ファンである。
図2に示すように、送風機10は、モータ15と、ハウジング50と、インペラ部60と、を備える。
【0016】
インペラ部60は、中心軸線Jを中心として回転可能である。インペラ部60は、インペラカップ61と、複数の翼部62と、を有する。インペラカップ61は、中心軸線Jを中心として軸方向に延びる略円筒状である。インペラカップ61は、下側に開口する。インペラカップ61の内部には、モータ15が収容される。複数の翼部62のそれぞれは、インペラカップ61の外周面から径方向外側に突出する。
図1に示すように、インペラ部60は、5個の翼部62を有する。各翼部62は、インペラカップ61の外周面に沿って周方向に並んで配置される。インペラ部60が中心軸線Jを中心として回転すると、各翼部62は軸方向に向けて送風する。
【0017】
図2に示すように、ハウジング50は、モータ15およびインペラ部60を内部に収容する。ハウジング50は、モータ15およびインペラ部60を保持する。ハウジング50は、周壁部51と、モータ保持部55と、を有する。
図1および
図2に示すように、周壁部51は、軸方向に延びる角筒状である。
図2に示すように、周壁部51は、インペラ部60およびモータ15を径方向外側から囲む。モータ保持部55は、中心軸線Jを中心として軸方向に延びる円筒状である。モータ保持部55は、インペラカップ61の内部に配置される。
【0018】
モータ15は、周壁部51の内部に収容される。モータ15は、ロータ20と、ステータ30と、回路基板70と、を備える。本実施形態のモータ15は、ステータ30の径方向外側にロータ20が配置されるアウターロータのモータである。ロータ20は、中心軸線Jを中心に回転可能である。ロータ20は、インペラカップ61の内周面に保持される。これにより、インペラ部60は、ロータ20と接続される。ロータ20が中心軸線Jを中心として回転すると、インペラ部60は中心軸線Jを中心として回転する。ロータ20は、磁石22を有する。
【0019】
ステータ30は、中心軸線Jを囲む環状である。ステータ30は、ロータ20の内部に配置される。ステータ30は、磁石22と径方向に隙間を介して対向する。ステータ30は、ステータコア31と、コイル部35と、インシュレータ40と、接続ピン80と、を備える。
【0020】
ステータコア31は、中心軸線Jを囲む環状である。
図3に示すように、ステータコア31は、コアバック部32と、複数のティース部33と、を有する。コアバック部32は、中心軸線Jを中心とする環状である。
図2に示すように、コアバック部32は、モータ保持部55の外周面に固定される。
図3に示すように、各ティース部33は、コアバック部32の外周面から径方向外側に突出する。各ティース部33は、コアバック部32の外周面に沿って間隔をあけて配置される。本実施形態において、ステータコア31は、4個のティース部33を有する。各ティース部33は、コアバック部32の外周面から径方向外側に延びるティース本体部33aと、ティース本体部33aの先端から周方向の両側に突出するアンブレラ部33bと、を有する。
【0021】
インシュレータ40は、ステータコア31とコイル部35とを絶縁する。
図4に示すように、インシュレータ40は、ステータコア31に装着される。
図5に示すように、インシュレータ40は、インシュレータ本体部42と、第1円環部42aと、第2円環部42bと、筒状部43と、を有する。
【0022】
図4に示すように、インシュレータ本体部42は、ステータコア31のコアバック部32およびティース部33に装着される。
図5に示すように、第1円環部42aは、インシュレータ本体部42から上側に突出する。第1円環部42aの上端は、インシュレータ40の上端である。第2円環部42bは、インシュレータ本体部42から下側に突出する。第2円環部42bの下端は、インシュレータ40の下端である。第1円環部42aおよび第2円環部42bは、中心軸線Jを中心とする円環状である。図示は省略するが、軸方向に見て、第1円環部42aおよび第2円環部42bは、コアバック部32と重なる。
【0023】
筒状部43は、軸方向に延びる略円筒状である。軸方向において、筒状部43の上端は、インシュレータ本体部42よりも上側に位置し、第1円環部42aの上端よりも下側に位置する。軸方向において、筒状部43の下端は、第2円環部42bの下端と略同じ位置である。
図4に示すように、筒状部43は、インシュレータ本体部42と繋がる。筒状部43は、周方向に隣り合って配置されるティース本体部33a同士の間に配置される。筒状部43には、筒状部43を軸方向に貫通する貫通孔43aが設けられる。すなわち、インシュレータ40には、貫通孔43aが設けられる。本実施形態において、軸方向から見て、貫通孔43aは円形状である。軸方向から見て、貫通孔43aは、四角形状等の他の形状であってもよい。本実施形態において、インシュレータ40は、2個の筒状部43を有する。各筒状部43は、中心軸線Jを挟んで配置される。
【0024】
図6に示すように、接続ピン80は、軸方向に延びる柱状である。接続ピン80は、導電性を有する。
図4に示すように、本実施形態において、ステータ30は、2本の接続ピン80を有する。各接続ピン80は、互いに異なる貫通孔43aを軸方向に通される。すなわち、各貫通孔43aには、接続ピン80が軸方向に貫通可能である。
図5に示すように、軸方向において、各接続ピン80の上端は、筒状部43の上端と第1円環部42aの上端との間に位置する。各接続ピン80の下側の部分は、筒状部43よりも下側に位置し、回路基板70と接続される。
図6に示すように、接続ピン80は、本体部80aと、固定部80bと、突出部80cと、を有する。
【0025】
本体部80aは、軸方向に延びる柱状である。本体部80aの下端は、接続ピン80の下端である。
図7に示すように、本実施形態において、本体部80aは、軸方向から見て円形状である。
図5に示すように、本体部80aは、貫通孔43aを軸方向に通される。本体部80aの少なくとも一部は、貫通孔43aに嵌め合わされている。本実施形態において、本体部80aは、貫通孔43aに軽圧入されている。本体部80aの下側の部分は、回路基板70と接続される。
【0026】
図6に示すように、固定部80bは、軸方向に突出する柱状である。固定部80bは、本体部80aの上側の端部と繋がる。
図8に示すように、固定部80bは、軸方向から見て非円形状である。本実施形態において、固定部80bは、軸方向から見て長円状である。固定部80bは、軸方向から見て四角形状等の角形状および楕円状等の他の形状であってもよい。
図4に示すように、固定部80bは、インシュレータ40の第1円環部42aと径方向に対向している。すなわち、本実施形態によれば、固定部80bは、インシュレータ40と径方向に対向している。よって、固定部80bがインシュレータ40よりも上側に位置する場合と比較して、軸方向においてステータ30を小型化できる。したがって、モータ15および送風機10を小型化できる。
【0027】
図6に示すように、突出部80cは、固定部80bから上側に突出する柱状である。突出部80cは、固定部80bの上側の端部と繋がる。突出部80cの上端は、接続ピン80の上端である。図示は省略するが、突出部80cは、軸方向から見て非円形状である。本実施形態において、突出部80cは、軸方向から見て長円状である。固定部80bと突出部80cとは、軸方向から見て互いに同じ形状である。突出部80cの外周面と固定部80bの外周面とは、軸方向に繋がる。なお、軸方向から見て、突出部80cは、円形状、四角形状等の角形状および楕円状等の他の形状であってもよい。軸方向から見て、突出部80cの形状は、固定部80bの形状と異なっていてもよい。
【0028】
図5に示すように、突出部80cの上端は、第1円環部42aの上端よりも下側に位置する。すなわち、本実施形態では、接続ピン80の上端は、インシュレータ40の上端よりも下側に位置する。よって、本実施形態では、接続ピン80の上端が、インシュレータ40よりも上側に位置する構成と比較して、軸方向においてステータ30を小型化できる。したがって、モータ15および送風機10を小型化できる。
【0029】
回路基板70は、ステータコア31よりも下側に配置される。回路基板70は、軸方向と直交する方向に広がる板状である。上述のように、回路基板70は、接続ピン80と接続される。回路基板70は、接続ピン80を介して、コイル部35に電流を供給する。すなわち、回路基板70は、ステータ30に電流を供給する。
【0030】
図4に示すように、コイル部35は、接続ピン80を介して、回路基板70と電気的に接続される。コイル部35に回路基板70から電流が供給されると、ステータ30が構成する電磁石の磁極と磁石22との間の磁気力によって、ロータ20に回転トルクが発生する。コイル部35は、例えば銅製の導電線の周りを、例えばエナメル製の絶縁被膜で被覆したコイル線によって構成される。コイル部35は、コイル本体部36と、渡り線部37と、2本のコイル引出線38,39と、を有する。
【0031】
コイル本体部36は、インシュレータ40を介してステータコア31のティース本体部33aに装着される。本実施形態において、ステータ30は、4個のコイル本体部36を有する。各コイル本体部36は、インシュレータ本体部42を介して互いに異なるティース本体部33aに装着される。複数のコイル本体部36は、第1コイル本体部36a、第2コイル本体部36b、第3コイル本体部36cおよび第4コイル本体部36dを含む。
【0032】
第1コイル本体部36aは、一方の接続ピン80の周方向他方側(-θ側)、且つ、一方の接続ピン80と周方向に隣り合って配置されるティース本体部33aに装着される。他のコイル本体部36は、第1コイル本体部36aから周方向一方側(+θ側)に向かって、第2コイル本体部36b、第3コイル本体部36cおよび第4コイル本体部36dの順に配置される。各コイル本体部36は、第1コイル本体部36a、第2コイル本体部36b、第3コイル本体部36cおよび第4コイル本体部36dの順にインシュレータ40を介して各ティース本体部33aにコイル線が巻き回されて構成される。
【0033】
図5に示すように、一方の接続ピン80の固定部80bは、第1コイル本体部36aおよび第2コイル本体部36bと周方向に対向している。図示は省略するが、他方の接続ピン80の固定部80bは、第3コイル本体部36cおよび第4コイル本体部36dと周方向に対向している。これらにより、本実施形態によれば、接続ピン80の固定部80bは、コイル本体部36と周方向に対向している。よって、固定部80bがコイル本体部36よりも上側に位置する場合と比較して、軸方向においてステータ30を小型化できる。したがって、モータ15および送風機10を小型化できる。
【0034】
また、一方の接続ピン80の上端は、コイル本体部36の上端よりも下側に位置する。図示は省略するが、他方の接続ピン80の上端も、コイル本体部36の上端よりも下側に位置する。これらにより、本実施形態では、接続ピン80の上端は、コイル本体部36の上端よりも下側に位置する。よって、接続ピン80の上端が、コイル本体部36の上端よりも上側に位置する場合と比較して、軸方向においてステータ30を小型化できる。したがって、モータ15および送風機10を小型化できる。
【0035】
渡り線部37は、一対のコイル本体部36同士を接続する。
図3に示すように、本実施形態において、コイル部35は、3個の渡り線部37a,37b,37cを有する。渡り線部37aは、第1コイル本体部36aと第2コイル本体部36bとを接続する。渡り線部37bは、第2コイル本体部36bと第3コイル本体部36cとを接続する。渡り線部37cは、第3コイル本体部36cと第4コイル本体部36dとを接続する。
【0036】
図4に示すように、コイル引出線38,39は、コイル本体部36から引き出され、接続ピン80と接続される。より詳細には、コイル引出線38は、第1コイル本体部36aから引き出され、一方の接続ピン80に接続される。コイル引出線39は、第4コイル本体部36dから引き出され、他方の接続ピン80に接続される。これらにより、接続ピン80を介して、コイル部35と回路基板70とが電気的に接続される。上述のように、第1コイル本体部36aは、各コイル本体部36のうち、最初に構成されるコイル本体部である。本実施形態において、コイル引出線38の端部は、コイル部35の巻き始め側の端部である。上述のように、第4コイル本体部36dは、各コイル本体部36のうち、最後に構成されるコイル本体部である。本実施形態において、コイル引出線39の端部は、コイル部35の巻き終わり側の端部である。
【0037】
図9に示すように、コイル引出線38は、第1引出線部38aと、第2引出線部38bと、第3引出線部38cと、を有する。第1引出線部38aは、コイル引出線38の端部を含む。第1引出線部38aは、接続ピン80の固定部80bに巻かれている。本実施形態において、第1引出線部38aは、固定部80bに3周程度巻かれている。第1引出線部38aは、半田95によって固定部80bに固定される。
【0038】
第2引出線部38bは、コイル引出線38のうち、第1引出線部38aとコイル本体部36との間の部分である。第2引出線部38bは、第1引出線部38aと繋がる。第2引出線部38bは、接続ピン80に巻かれている。第2引出線部38bは、接続ピン80と固定されていない。第2引出線部38bのうち第1引出線部38a側の部分は、固定部80bに2周程度巻かれている。本実施形態において、第2引出線部38bのうち第1コイル本体部36a側の部分は、第1引出線部38aを介して、固定部80bに2周程度巻かれている。すなわち、第2引出線部38bの少なくとも一部は、第1引出線部38aに巻かれている。なお、第2引出線部38bは、第1引出線部38aに巻かれなくてもよい。
【0039】
第3引出線部38cは、コイル引出線38のうち、第2引出線部38bおよび第1コイル本体部36aと繋がる部分である。第3引出線部38cは、接続ピン80と第1コイル本体部36aとの間を略直線状に延びる。
【0040】
図10に示すように、コイル引出線39は、第1引出線部39aと、第2引出線部39bと、第3引出線部39cと、を有する。第1引出線部39aは、コイル引出線39の端部を含む。第1引出線部39aは、接続ピン80の固定部80bに巻かれている。第1引出線部39aは、半田95によって固定部80bに固定される。
【0041】
第2引出線部39bは、コイル引出線39のうち、第1引出線部39aとコイル本体部36との間の部分である。第2引出線部39bは、接続ピン80に巻かれている。第2引出線部39bは、接続ピン80と固定されていない。第2引出線部39bのうち第1引出線部39a側の部分は、固定部80bに2周程度巻かれている。本実施形態において、第2引出線部39bのうち第4コイル本体部36d側の部分は、第1引出線部39aを介して、固定部80bに2周程度巻かれている。すなわち、第2引出線部39bの少なくとも一部は、第1引出線部39aに巻かれている。
【0042】
第3引出線部39cは、コイル引出線39のうち、第2引出線部39bおよび第4コイル本体部36dと繋がる部分である。第3引出線部39cは、接続ピン80と第4コイル本体部36dとの間を略直線状に延びる。
【0043】
次に、本実施形態のステータ30の製造方法Msについて説明する。ステータ30の製造方法Msは、コイル引出線38,39を接続ピン80に接続する接続工程Pcを有する。
図11に示すように、接続工程Pcは、挿入工程S01と、固定工程S02と、巻取工程S03と、を有する。なお、以下の説明において、「作業者等」とは、各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。
【0044】
挿入工程S01では、インシュレータ40の貫通孔43aに接続ピン80を挿入する。
図12に示すように、作業者等は、2本の接続ピン80の本体部80aのそれぞれを、あらかじめステータコア31に装着されたインシュレータ40の貫通孔43aに上側から挿入する。本実施形態において、本体部80aは、貫通孔43aに挿入されると、貫通孔43aに軽圧入される。作業者等は、本体部80aの所定長さを貫通孔43aに挿入すると、接続ピン80の挿入を停止する。このとき、各接続ピン80の固定部80bは、インシュレータ40よりも上側に位置している。作業者等が接続ピン80の挿入を停止すると、挿入工程S01は終了する。
【0045】
固定工程S02では、半田95によって第1引出線部38a,39aを固定部80bに固定する。固定工程S02において、固定部80bは、インシュレータ40よりも上側に位置している。まず、作業者等は、第1引出線部38aを一方の接続ピン80の固定部80bに巻き付ける。次に、作業者等は、インシュレータ40を介して各ティース部33にコイル線を巻き付けて、第1コイル本体部36a、第2コイル本体部36b、第3コイル本体部36cおよび第4コイル本体部36dの順にコイル本体部36を構成する。次に、作業者等は、第1引出線部39aを他方の接続ピン80の固定部80bに巻き付けた後、コイル線を切断する。次に、作業者等は、半田鏝96を第1引出線部38a,39aに接触させて、半田95によって、第1引出線部38a,39aを固定部80bに固定する。第1引出線部38a,39aを固定部80bに固定すると、固定工程S02は終了する。
【0046】
巻取工程S03では、接続ピン80を下側に移動させ、且つ、突出部80cを回転させることにより接続ピン80を回転させて第2引出線部38b,39bを接続ピン80に巻き取る。まず、作業者等は、
図13に示すように、各接続ピン80の下端が第2円環部42bよりも下側に位置するまで、各接続ピン80を下側に移動させる。このとき、固定部80bは、インシュレータ40と径方向に対向し、コイル本体部36と周方向に対向する。各接続ピン80が下側に移動すると、コイル引出線38,39のそれぞれがコイル本体部36から引き出される部分と第1引出線部38a,39aとの間の距離が短くなるため、コイル引出線38,39のうちコイル本体部36と第1引出線部38a,39aとの間の部分が弛む。
【0047】
次に、作業者等は、各接続ピン80の突出部80cを保持した治具等を回転させることにより、突出部80cを回転させる。これにより、作業者等は、各接続ピン80を回転させる。
図14に示すように、各接続ピン80が回転すると、第2引出線部38b,39bは各接続ピン80の固定部80bに巻き取られる。これにより、第3引出線部38c,39cは直線状になるため、コイル本体部36と接続ピン80との間でコイル引出線38,39が弛むことを抑制できる。また、本実施形態では、
図9および
図10に示すように、第2引出線部38b,39bの一部は、第1引出線部38a,39aに巻かれる。作業者等が、第2引出線部38b,39bを接続ピン80に巻き取ると、巻取工程S03は終了する。巻取工程S03が終了すると、接続工程Pcは終了する。
【0048】
本実施形態によれば、ステータ30は、インシュレータ40と、ステータコア31に装着されるコイル本体部36、およびコイル本体部36から引き出されるコイル引出線38,39を有するコイル部35と、コイル引出線38,39と接続される接続ピン80と、を備える。インシュレータ40には、接続ピン80が軸方向に貫通可能な貫通孔43aが設けられ、接続ピン80は、少なくとも一部が貫通孔43aに嵌め合わされ、軸方向から見て円形状の本体部80aと、本体部80aの上側の端部と繋がり、軸方向から見て非円形状の固定部80bと、を有する。コイル引出線38,39は、半田95によって固定部80bに固定される第1引出線部38a,39a、および接続ピン80に巻かれる第2引出線部38b,39bを有する。上述のように、本体部80aは軸方向から見て円形状であるため、作業者等は、本体部80aが貫通孔43aに嵌め合わされている接続ピン80を容易に回転させることができる。よって、上述のように、巻取工程S03において、接続ピン80を下側に移動する際に弛んだ第2引出線部38b,39bを接続ピン80に巻き取ることができるため、コイル本体部36と接続ピン80との間でコイル引出線38,39が弛むことを抑制できる。これにより、モータ15および送風機10の動作時において、弛んだコイル引出線38,39がロータ20等に接触することを抑制できる。したがって、コイル引出線38,39が断線する等の不具合が発生することを抑制できるため、モータ15および送風機10を安定して動作させることができる。
【0049】
また、本実施形態では、固定部80bが非円形状であるため、固定部80bが円形状である場合と比較して、第2引出線部38b,39bが固定部80bの表面に引っ掛かり易い。そのため、第2引出線部38b,39bが固定部80bから解けて、コイル引出線38,39が弛むことを抑制できる。したがって、コイル引出線38,39がロータ20等に接触することを抑制できるため、モータ15および送風機10をより安定して動作させることができる。
【0050】
また、本実施形態では、第2引出線部38b,39bは、接続ピン80に固定されていない。よって、第2引出線部38b,39bが接続ピン80に固定される場合と比較して、モータ15および送風機10の動作時の振動等によって第2引出線部38b,39bと第3引出線部38c,39cとが繋がる部分に加わる応力を低減し易い。したがって、コイル引出線38,39が断線する等の不具合が発生することをより好適に抑制できる。
【0051】
本実施形態によれば、接続ピン80は、固定部80bから上側、すなわち軸方向一方側(+Z側)に突出する突出部80cを有する。接続ピン80が突出部80cを有しない場合、巻取工程S03において、作業者等は、第1引出線部38a,39aが固定された固定部80bを保持した治具等を回転させて、接続ピン80を回転させる必要がある。そのため、治具等に第1引出線部38a,39aが噛み込まれて、第1引出線部38a,39aが損傷する虞がある。これに対して、本実施形態では、作業者等は、突出部80cを保持した治具等を回転させて、接続ピン80を回転できる。よって、治具等に第1引出線部38a,39aが噛み込まれることを抑制できるため、第1引出線部38a,39aが損傷することを抑制し易い。
【0052】
本実施形態によれば、軸方向から見て、固定部80bは、長円状である。よって、円形状の接続ピン80に圧力を加えて変形させることによって、容易に固定部80bを長円状に構成できる。したがって、円形状の接続ピン80に切削加工等を行って、固定部80bを角形状等の形状に構成する場合と比較して、接続ピン80の製造工数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0053】
また、本実施形態では、突出部80cは、軸方向から見て長円状であり、突出部80cの外周面と固定部80bの外周面とは、軸方向に繋がる。よって、円形状の接続ピン80に圧力を加えて変形させることによって、固定部80bおよび突出部80cの両方を同時に非円形状に構成できる。したがって、接続ピン80の製造工数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0054】
本実施形態によれば、第2引出線部38b,39bの少なくとも一部は、第1引出線部38a,39aに巻かれている。よって、第2引出線部38b,39bが、第1引出線部38a,39aを固定部80bに固定する半田95に引っ掛かり易いため、第2引出線部38b,39bが固定部80bから解けることを抑制できる。したがって、コイル引出線38,39が弛むことを抑制できるため、モータ15および送風機10をより安定して動作させることができる。
【0055】
本実施形態によれば、ステータ30の製造方法Msは、コイル引出線38,39を接続ピン80に接続する接続工程Pcを有し、接続工程Pcは、半田95によって第1引出線部38a,39aを固定部80bに固定する固定工程S02と、接続ピン80を下側、すなわち軸方向他方側(-Z側)に移動させ、且つ、突出部80cを回転させることにより接続ピン80を回転させて第2引出線部38b,39bを接続ピン80に巻き取る巻取工程S03と、を有する。よって、上述のように、巻取工程S03において、コイル本体部36と接続ピン80との間で弛んだ第2引出線部38b,39bを固定部80bに巻き取ることができるため、コイル引出線38,39が弛むことを抑制できる。したがって、弛んだコイル引出線38,39がロータ20等に接触して、コイル引出線38,39が断線する等の不具合が発生することを抑制できる。
【0056】
また、本実施形態では、突出部80cは、軸方向から見て非円形状であるため、突出部80cが軸方向から見て円形状である場合と比較して、巻取工程S03において、突出部80cを保持する治具等によって突出部80cを回転させる際に、治具等が突出部80cの表面上を滑ることを抑制し易い。したがって、接続ピン80を容易に回転させることができるため、巻取工程S03の作業性を高めることができる。
【0057】
また、本実施形態では、軸方向から見て貫通孔43aおよび本体部80aは円形状であるため、巻取工程S03において、本体部80aを貫通孔43aに軽圧入した状態で、接続ピン80を容易に回転させることができる。したがって、巻取工程S03の作業性を高めることができる。
【0058】
また、本実施形態では、巻取工程S03において、接続ピン80を下側に移動させた後に、接続ピン80を回転させて第2引出線部38b,39bを接続ピン80に巻き取る。よって、接続ピン80を下側に移動させつつ、接続ピン80を回転させて第2引出線部38b,39bを接続ピン80に巻き取る場合と比較して、コイル引出線38,39に加わる引張応力を低減し易い。したがって、巻取工程S03において、コイル引出線38,39が断線する等の不具合が発生することを好適に抑制できる。
【0059】
本実施形態によれば、固定工程S02において、固定部80bは、インシュレータ40よりも上側に位置し、巻取工程S03において接続ピン80を回転させる際に、固定部80bは、インシュレータ40と径方向に対向している。よって、固定工程S02において、半田95によって第1引出線部38a,39aを固定部80bに固定する際に、半田鏝96がインシュレータ40と干渉することを抑制し易い。よって、固定工程S02の作業性を高めることができる。また、巻取工程S03が終了する際に、径方向から見て固定部80bをインシュレータ40と重ねて配置できるため、軸方向においてステータ30を小型化できる。
【0060】
以上に、本発明の一実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。例えば、上述した実施形態に示したステータ、モータおよび送風機の用途は特に限定されない。
【0061】
巻取工程において接続ピンが回転可能であれば、本体部および貫通孔の形状は本実施形態に限定されず、例えば、本体部は円形状であり、貫通孔は角形状であってもよいし、本体部は角形状であり、貫通孔は円形状であってもよい。また、固定部および突出部のそれぞれは、円形状等の他の形状であってもよいし、突出部は設けられなくてもよい。また、巻取工程では、接続ピンを下側に移動させながら、接続ピンを回転させて第2引出線部を接続ピンに巻き取ってもよい。
【0062】
コイル部の構成は本実施形態の構成に限定されず、例えば、各コイル本体部が構成される順番、渡り線部およびコイル引出線の配線等は、ステータの構成等に応じて適宜決められる。
【0063】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) モータが備えるステータであって、中心軸線を囲む環状のステータコアと、前記ステータコアに装着されるインシュレータと、前記インシュレータを介して前記ステータコアに装着されるコイル本体部、および前記コイル本体部から引き出されるコイル引出線を有するコイル部と、軸方向に延び、前記コイル引出線と接続される接続ピンと、を備え、前記インシュレータには、前記接続ピンが軸方向に貫通可能な貫通孔が設けられ、前記接続ピンは、少なくとも一部が前記貫通孔に嵌め合わされ、軸方向から見て円形状の本体部と、前記本体部の軸方向一方側の端部と繋がり、軸方向から見て非円形状の固定部と、を有し、前記コイル引出線は、半田によって前記固定部に固定される第1引出線部、および前記第1引出線部と前記コイル本体部との間の部分であり、前記接続ピンに巻かれる第2引出線部を有する、ステータ。
(2) 前記接続ピンは、前記固定部から軸方向一方側に突出する突出部を有する、(1)に記載のステータ。
(3) 軸方向から見て、前記固定部は、長円状である、(1)または(2)に記載のステータ。
(4) 前記第2引出線部の少なくとも一部は、前記第1引出線部に巻かれている、(1)から(3)のいずれか一項に記載のステータ。
(5) 前記固定部は、前記インシュレータと径方向に対向している、(1)から(4)のいずれか一項に記載のステータ。
(6) 前記固定部は、前記コイル本体部と周方向に対向している、(1)から(5)のいずれか一項に記載のモータ。
(7) (1)から(6)のいずれか一項に記載のステータと、前記中心軸線を中心として回転可能なロータと、前記ステータコアよりも軸方向他方側に配置され、前記ステータに電流を供給する回路基板と、を備え、前記接続ピンの軸方向他方側の部分は、前記回路基板と接続される、モータ。
(8) (7)に記載のモータと、前記ロータと接続され、前記中心軸線を中心として回転可能なインペラ部と、を備える送風機。
(9) 中心軸線を囲む環状のステータコアと、前記ステータコアに装着されるインシュレータと、前記インシュレータを介して前記ステータコアに装着されるコイル本体部、および前記コイル本体部から引き出されるコイル引出線を有するコイル部と、軸方向に延びる接続ピンと、を備えるステータの製造方法であって、前記コイル引出線を前記接続ピンに接続する接続工程を有し、前記インシュレータには、軸方向に貫通し、軸方向から見て円形状の貫通孔が設けられ、前記接続ピンは、少なくとも一部が前記貫通孔に嵌め合わされ、軸方向から見て円形状の本体部と、前記本体部の軸方向一方側の端部と繋がり、軸方向から見て非円形状の固定部と、前記固定部の軸方向一方側の端部と繋がり、軸方向から見て非円形状の突出部と、を有し、前記コイル引出線は、前記コイル引出線の端部を含む第1引出線部と、前記第1引出線部と前記コイル本体部との間の部分である第2引出線部と、を有し、前記接続工程は、半田によって前記第1引出線部を前記固定部に固定する固定工程と、前記接続ピンを軸方向他方側に移動させ、且つ、前記突出部を回転させることにより前記接続ピンを回転させて前記第2引出線部を前記接続ピンに巻き取る巻取工程と、を有する、ステータの製造方法。
(10) 前記固定工程において、前記固定部は、前記インシュレータよりも軸方向一方側に位置し、前記巻取工程において前記接続ピンを回転させる際に、前記固定部は、前記インシュレータと径方向に対向している、(9)に記載のステータの製造方法。
【符号の説明】
【0064】
10…送風機、15…モータ、20…ロータ、30…ステータ、31…ステータコア、35…コイル部、36…コイル本体部、38,39…コイル引出線、38a,39a…第1引出線部、38b,39b…第2引出線部、40…インシュレータ、43…筒状部、43a…貫通孔、60…インペラ部、70…回路基板、80…接続ピン、80a…本体部、80b…固定部、80c…突出部、J…中心軸線、Pc…接続工程、S02…固定工程、S03…巻取工程