(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171590
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 45/22 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
A01D45/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088676
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(71)【出願人】
【識別番号】599118768
【氏名又は名称】株式会社斎藤農機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】木下 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】村上 健太
(72)【発明者】
【氏名】岩切 雅也
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 満
(72)【発明者】
【氏名】高橋 草太
【テーマコード(参考)】
2B075
【Fターム(参考)】
2B075AC01
2B075AC03
2B075AC07
2B075AC10
2B075FA01
2B075FA03
2B075FA04
2B075FA05
2B075FA07
2B075FA09
(57)【要約】
【課題】圃場の作物を左右の無端回動搬送ベルトの搬送経路側部によって挟持搬送することによって作物を収穫して搬送する作物収穫搬送部が備えられた収穫機において、作物の引き抜き残し、姿勢乱れ、実の損傷などを発生し難くしながら作物収穫が行えるようにする。
【解決手段】左右の無端回動搬送ベルト30a,30bそれぞれの搬送経路側部34a,34bの搬送方向での複数箇所に、無端回動搬送ベルト30a,30bの内周側から搬送経路側部34a,34bを支持する回転輪体35,41が備えられている。左右の無端回動搬送ベルト30a,30bのうちの一方の無端回動搬送ベルト30aにおける複数箇所の回転輪体35と、左右の無端回動搬送ベルト30a,30bのうちの他方の無端回動搬送ベルト30bにおける複数箇所の回転輪体41とは、作物搬送方向において交互に並んでいる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向下手側ほど上方に位置する後上がり姿勢で備えられ、機体横幅方向に並ぶ左右の無端回動搬送ベルトと、前記左右の無端回動搬送ベルトそれぞれの搬送経路側部の搬送方向での複数箇所に備えられ、前記搬送経路側部に対して前記無端回動搬送ベルトの内周側から前記搬送経路側部を支持する回転輪体と、を有し、圃場の作物を前記左右の無端回動搬送ベルトの前記搬送経路側部によって挟持搬送することによって作物を収穫して搬送する作物収穫搬送部が備えられ、
前記左右の無端回動搬送ベルトのうちの一方の無端回動搬送ベルトにおける前記複数箇所の前記回転輪体と、前記左右の無端回動搬送ベルトのうちの他方の無端回動搬送ベルトにおける前記複数箇所の前記回転輪体とは、作物搬送方向において交互に並んでいる収穫機。
【請求項2】
前記左右の無端回動搬送ベルトのうちの一方の無端回動搬送ベルトにおける前記複数箇所の前記回転輪体は、前記搬送経路側部に押し付け付勢されている請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
前記回転輪体は、揺動可能に保持され、揺動付勢されることによって前記搬送経路側部に押し付け付勢されている請求項2に記載の収穫機。
【請求項4】
搭乗型の運転部が備えられ、
前記作物収穫搬送部は、前記運転部に対して機体横幅方向での一方の横側方に設けられており、
前記左右の無端回動搬送ベルトのうち前記運転部から遠い方の前記無端回動搬送ベルトにおける前記複数箇所の前記回転輪体が前記搬送経路側部に押し付け付勢されている請求項1から3のいずれか一項に記載の収穫機。
【請求項5】
前記作物収穫搬送部は、前記左右の無端回動搬送ベルトそれぞれの搬送始端部を巻回した始端部回転輪体を有し、
前記左右の無端回動搬送ベルトのうちの一方の無端回動搬送ベルトの前記始端部回転輪体のベルト巻回径が前記左右の無端回動搬送ベルトのうちの他方の無端回動搬送ベルトの前記始端部回転輪体のベルト巻回径よりも小に設定され、
ベルト巻回径が小さい方の前記始端部回転輪体に巻回された前記無端回動搬送ベルトにおける前記複数箇所の前記回転輪体のうちの最も搬送始端側に位置する回転輪体の前端部が、ベルト巻回径が大きい方の前記始端部回転輪体に巻回された前記無端回動搬送ベルトにおける前記複数箇所の前記回転輪体のうちの最も搬送始端側に位置する回転輪体の前端部よりも搬送始端側に位置している請求項1から3のいずれか一項に記載の収穫機。
【請求項6】
ベルト巻回径が小さい方の前記始端部回転輪体の前端部が、ベルト巻回径が大きい方の前記始端部回転輪体の前端部よりも機体前方側に位置している請求項5に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、搬送方向下手側ほど上方に位置する後上がり姿勢で備えられ、機体横幅方向に並ぶ左右の無端回動搬送ベルト(搬送ベルト)と、左右の無端回動搬送ベルトそれぞれの搬送経路側部(合わせ部分)の搬送方向での複数箇所に備えられ、搬送経路側部に対して無端回動搬送ベルトの内周側から搬送経路側部を支持する回転輪体(ローラ)と、を有し、圃場の作物を左右の無端回動搬送ベルトの搬送経路側部によって挟持搬送することによって作物を収穫して搬送する作物収穫搬送部が備えられた収穫機(枝豆収穫機)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した収穫機では、左右の無端回動搬送ベルトの搬送経路側部によって作物が挟持搬送されることによって作物が圃場から引き抜かれて収穫され、収穫された作物が左右の搬送経路側部によって挟持されて搬送される。従来、作物挟持力が作物搬送方向において変化し、作物挟持力が弱い部位で作物の引き抜きが行われると、作物の引き抜き残しが発生することがある。作物挟持力が弱い部位で作物が挟持搬送されると、作物の搬送姿勢が乱れてしまうことがある。作物挟持力が強い部位で搬送経路側部の間に実が挟まってしまうと、実が損傷することがある。
【0005】
本発明は、作物の引き抜き残し、搬送作物の姿勢乱れ、実の損傷などを発生し難くしながら作物収穫が行える収穫機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による収穫機は、
搬送方向下手側ほど上方に位置する後上がり姿勢で備えられ、機体横幅方向に並ぶ左右の無端回動搬送ベルトと、前記左右の無端回動搬送ベルトそれぞれの搬送経路側部の搬送方向での複数箇所に備えられ、前記搬送経路側部に対して前記無端回動搬送ベルトの内周側から前記搬送経路側部を支持する回転輪体と、を有し、圃場の作物を前記左右の無端回動搬送ベルトの前記搬送経路側部によって挟持搬送することによって作物を収穫して搬送する作物収穫搬送部が備えられ、前記左右の無端回動搬送ベルトのうちの一方の無端回動搬送ベルトにおける前記複数箇所の前記回転輪体と、前記左右の無端回動搬送ベルトのうちの他方の無端回動搬送ベルトにおける前記複数箇所の前記回転輪体とは、作物搬送方向において交互に並んでいる。
【0007】
本構成によると、左右一方の無端回動搬送ベルトにおける搬送経路側部のうちの回転輪体によって支持される部位と、左右他方の無端回動搬送ベルトにおける搬送経路側部のうちの回転輪体によって支持される部位と、が作物搬送方向において交互に並ぶので、左右の無端回動搬送ベルトにおける搬送経路側部による作物挟持力を作物搬送方向においてあまり変化しないように均一化することができる。作物挟持力が作物搬送方向においてあまり変化しないことにより、搬送経路側部のいずれの部位でも過不足がない作物挟持力によって作物の引き抜きおよび搬送が行われるようにできるので、作物の引き抜き残し、搬送作物の姿勢乱れなどを発生し難くしながら作物収穫が行えるようにできる。搬送経路側部のいずれの部位でも過剰な作物挟持力を発揮しないことにより、実が搬送経路側部の間に挟まってしまっても損傷され難くしながら作物収穫が行える。
【0008】
本発明においては、
前記左右の無端回動搬送ベルトのうちの一方の無端回動搬送ベルトにおける前記複数箇所の前記回転輪体は、前記搬送経路側部に押し付け付勢されていると好適である。
【0009】
本構成によると、作物収穫搬送部によって挟持搬送される作物のボリュームによっては、回転輪体が作物によって押し付け付勢に抗して押し戻される。回転輪体が押し戻されることにより、作物が強く挟持されて損傷することを回避し易い。
【0010】
本発明においては、
前記回転輪体は、揺動可能に保持され、揺動付勢されることによって前記搬送経路側部に押し付け付勢されていると好適である。
【0011】
本構成によると、作物収穫搬送部によって挟持搬送される作物によって回転輪体が押し付け付勢に抗して押し戻される際、回転輪体が揺動によってスムーズに押し戻される。回転輪体がスムーズに押し戻されることにより、作物が強く挟持されて損傷することを回避し易い。
【0012】
本発明においては、
搭乗型の運転部が備えられ、前記作物収穫搬送部は、前記運転部に対して機体横幅方向での一方の横側方に設けられており、前記左右の無端回動搬送ベルトのうち前記運転部から遠い方の前記無端回動搬送ベルトにおける前記複数箇所の前記回転輪体が前記搬送経路側部に押し付け付勢されていると好適である。
【0013】
本構成によると、作物収穫搬送部に対して運転部側とは反対側に未刈地が位置する状態で収穫作業が行われ、収穫対象の作物が未刈地から作物収穫搬送部に引き込まれ、株元側部が前後方向視で圃場から搬送経路側部に向かって斜めに立ち上がる傾斜姿勢になることがある。この傾斜姿勢で作物が挟持搬送されて作物に強い引張り力が掛かった場合、引張り力によって回転輪体が押し付け付勢に抗して戻されて作物に掛かる引張り力が緩和される。挟持搬送される作物の株元側部に強い引張り力が掛かっても引張り力が緩和されるので茎が千切れるなどの作物の損傷を回避し易い。
【0014】
本発明においては、
前記作物収穫搬送部は、前記左右の無端回動搬送ベルトそれぞれの搬送始端部を巻回した始端部回転輪体を有し、前記左右の無端回動搬送ベルトのうちの一方の無端回動搬送ベルトの前記始端部回転輪体のベルト巻回径が前記左右の無端回動搬送ベルトのうちの他方の無端回動搬送ベルトの前記始端部回転輪体のベルト巻回径よりも小に設定され、ベルト巻回径が小さい方の前記始端部回転輪体に巻回された前記無端回動搬送ベルトにおける前記複数箇所の前記回転輪体のうちの最も搬送始端側に位置する回転輪体の前端部が、ベルト巻回径が大きい方の前記始端部回転輪体に巻回された前記無端回動搬送ベルトにおける前記複数箇所の前記回転輪体のうちの最も搬送始端側に位置する回転輪体の前端部よりも搬送始端側に位置していると好適である。
【0015】
左右一方の無端回動搬送ベルトにおける回転輪体と、左右他方の無端回動搬送ベルトにおける回転輪体とが作物搬送方向において交互に並ぶものにおいて、左右一方の始端部回転輪体のベルト巻回径が左右他方の始端部回転輪体のベルト巻回径よりも小さくなるようにベルト巻回径を相違させて設定した場合、および、左右両方の始端部回転輪体のベルト巻回径が同じになるようにベルト巻回径を同じに設定した場合のそれぞれにおける左右一方の始端部回転輪体とこの始端部回転輪体に隣り合う回転輪体との作物搬送方向での位置関係、左右他方の始端部回転輪体とこの始端部回転輪体に隣り合う回転輪体との作物搬送方向での位置関係について検討する。
左右一方の始端部回転輪体とこの始端部回転輪体に隣り合う回転輪体とのスパンを、ベルト巻回径を相違させて設定した場合と、同じに設定した場合とで同じように短く設定することがきるが、左右他方の始端部回転輪体とこの始端部回転輪体に隣り合う回転輪体とのスパンは、ベルト巻回径を同じに設定した場合よりも相違させて設定した場合の方が短く設定できる。
つまり、本構成によると、左右一方の始端部回転輪体に隣り合う回転輪体、および、左右他方の始端部回転輪体に隣り合う回転輪体を始端部回転輪体にできるだけ近付けて左右いずれの始端部回転輪体とこの始端部回転輪体に隣り合う回転輪体とのスパンを短くすることができ、始端部回転輪体とこの始端部回転輪体に隣り合う回転輪体との間において作物がしっかり挟持されるようにできる。
【0016】
本発明においては、
ベルト巻回径が小さい方の前記始端部回転輪体の前端部が、ベルト巻回径が大きい方の前記始端部回転輪体の前端部よりも機体前方側に位置していると好適である。
【0017】
本構成によると、ベルト巻回径が小さい始端部回転輪体に巻回する無端回動搬送ベルトが、ベルト巻回径が大きい始端部回転輪体に巻回する無端回動搬送ベルトよりも前側で収穫対象の作物を左右の搬送経路側部の間に向けて引き込むので収穫対象の作物が左右の搬送経路側部の間に導入され易い。
ベルト巻回径が小さい始端部回転輪体が、ベルト巻回径が大きい始端部回転輪体に対して運転部側とは反対側に位置する場合、左右の始端部回転輪体のうちのベルト巻回径が小さい始端部回転輪体が未刈地側に位置する状態で収穫作業が行われる。すると、ベルト巻回径が小さい始端部回転輪体に巻回している無端回動搬送ベルトが収穫対象の作物を未刈地側から左右の搬送経路側部の間に向けて引き込むので収穫対象の作物が左右の搬送経路側部の間に導入され易い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】枝豆収穫機を左横側方から見た側面図である。
【
図5】前作物収穫搬送部による枝豆収穫の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、枝豆収穫機(「収穫機」の一例)の走行機体に関し、
図1,2に示される矢印Fの方向を「機体前側」、矢印Bの方向を「機体後側」、
図1に示される矢印Uの方向を「機体上側」、矢印Dの方向を「機体下側」、
図2に示される矢印Lの方向を「機体左側」、矢印Rの方向を「機体右側」とする。機体左右方向が機体横幅方向に対応する。
【0020】
〔枝豆収穫機の全体の構成〕
図1,2に示されるように、枝豆収穫機は、角パイプ材などの複数の鋼材を連結して構成された機体フレーム1、機体フレーム1の下部に備えられた左右一対のクローラ式走行装置2を有する走行機体3を備えている。走行機体3の前部の右横端側に、搭乗型の運転部4が設けられている。運転部4には、運転座席5、運転座席5の前方に位置する操縦塔6、運転座席5の左横側方に位置するサイドパネル7が備えられている。運転部4の左横側方に、圃場に植立する作物としての枝豆15を収穫して収穫した枝豆15を走行機体3の所定箇所に搬送する作物収穫搬送部8が設けられている。作物収穫搬送部8の後方に、作物収穫搬送部8からの枝豆15が供給され、供給された枝豆15の茎から実Aを分離させる分離部9が設けられている。走行機体3の右横側部に、分離部9によって得られた実Aを回収して貯留する貯留部10が設けられている。
【0021】
〔収穫搬送部について〕
図1,2に示されるように、作物収穫搬送部8には、作物収穫搬送部8の前部に設けられ、圃場に植立する枝豆15から収穫対象の枝豆15を分離させるデバイダ11、デバイダ11によって分離された収穫対象の枝豆15を圃場から引き抜いて収穫して後上方に作物収穫搬送部8の途中箇所に搬送する前作物収穫搬送部8A、前作物収穫搬送部8Aからの枝豆15を受け継いで後上方に走行機体3の所定箇所に搬送する後作物収穫搬送部8Bが備えられている。作物収穫搬送部8には、左右の上カバー14が備えられている。左右の上カバー14は、前作物収穫搬送部8Aの前部から後作物収穫搬送部8Bの後部にわたって位置している。
図1,3に示されるように、前作物収穫搬送部8Aの下方に、圃場に敷かれたマルチを引き抜かれる枝豆15に付いて上がらないように枝豆15の引き抜き前に切断するマルチカッター12が設けられている。マルチカッター12の両横側方に、マルチを押さえるソリ体13が設けられている。
【0022】
〔前作物収穫搬送部について〕
前作物収穫搬送部8Aには、
図1,2に示されるように、走行機体3の横幅方向に並ぶ左右の無端回動搬送ベルト30が備えられている。左右の無端回動搬送ベルト30は、
図1,3に示されるように、搬送方向下手側ほど上方に位置する後上がり姿勢で備えられている。左右の無端回動搬送ベルト30は、弾性を有する搬送ベルト(たとえばスポンジ製の搬送ベルト)によって構成されている。
【0023】
詳述すると、
図2,3,4に示されるように、左右の無端回動搬送ベルト30のうちの左の無端回動搬送ベルト30aは、前作物収穫搬送部8Aの搬送始端部に位置する左右の始端部回転輪体31のうちの左の始端部回転輪体31aと、前作物収穫搬送部8Aの搬送終端部に位置する左右の終端部回転輪体32のうちの左の終端部回転輪体32aとに巻回されている。左の始端部回転輪体31aは、左搬送部フレーム33aの前端部に傾斜姿勢の軸芯P1まわりに回転可能に保持され、左の終端部回転輪体32aは、左の始端部回転輪体31aよりも後方かつ上方において左搬送部フレーム33aの前後方向での途中箇所に傾斜姿勢の軸芯P2まわりに回転可能に保持されている。
【0024】
図2,4に示されるように、右の無端回動搬送ベルト30bは、左右の始端部回転輪体31のうちの右の始端部回転輪体31bと、左右の終端部回転輪体32のうちの右の終端部回転輪体32bとに巻回されている。
図4に示されるように、右の始端部回転輪体31bは、右搬送部フレーム33bの前端部に傾斜姿勢の軸芯P3まわりに回転可能に保持されている。右の終端部回転輪体32bは、右の始端部回転輪体31bよりも後方かつ上方において右搬送部フレーム33bの前後方向での途中箇所に傾斜姿勢の軸芯P4まわりに回転可能に保持されている。
【0025】
図4に示されるように、左の無端回動搬送ベルト30aのうちの作物搬送経路に沿う搬送経路側部34aにおける搬送方向での3箇所に、搬送経路側部34aに対して無端回動搬送ベルト30aの内周側から搬送経路側部34aを支持する左用の回転輪体35が備えられている。
図4に示されるように、3箇所の左用の回転輪体35のそれぞれは、左搬送部フレーム33aから延びる支持アーム36に輪体支軸35aを介して保持され、輪体支軸35aの軸芯のまわりに回転可能な状態で支持アーム26を介して左搬送部フレーム33aに支持されている。
【0026】
左の無端回動搬送ベルト30aのうちの戻り経路側部37aは、第1左ガイド輪体38、および、第2左ガイド輪体39に巻回されている。第1左ガイド輪体38は、戻り経路側部37aに対して無端回動搬送ベルト30aの内周側に位置している。第2左ガイド輪体39は、第1左ガイド輪体38と終端部回転輪体32aとの間において戻り経路側部37aに対して無端回動搬送ベルト30aの外周側に位置している。第1左ガイド輪体38および第2左ガイド輪体39は、左搬送部フレーム33aに備えられた支持部40に回転可能に保持されている。
【0027】
図4に示されるように、右の無端回動搬送ベルト30bのうちの作物搬送経路に沿う搬送経路側部34bにおける搬送方向での3箇所に、搬送経路側部34bに対して無端回動搬送ベルト30bの内周側から搬送経路側部34bを支持する右用の回転輪体41が備えられている。3箇所の右用の回転輪体41は、右搬送部フレーム33bに備えられた第1支持部42に輪体支軸41aを介して回転可能に保持されている。3箇所の右用の回転輪体41は、所定位置にて第1支持部42に固定され、搬送経路側部34bに押し付け付勢されていない。
【0028】
右の無端回動搬送ベルト30bのうちの戻り経路側部37bは、第1右ガイド輪体43、および、2つの第2右ガイド輪体44に巻回されている。第1右ガイド輪体43は、戻り経路側部37bに対して無端回動搬送ベルト30bの内周側に位置している。2つの第2右ガイド輪体44のうちの一方の第2右ガイド輪体44は、第1右ガイド輪体43と終端部回転輪体32bとの間において戻り経路側部37bに対して無端回動搬送ベルト30bの外周側に位置している。2つの第2右ガイド輪体44のうちの他方の第2右ガイド輪体44は、第1右ガイド輪体43と始端部回転輪体31bとの間において戻り経路側部37bに対して無端回動搬送ベルト30bの外周側に位置している。第1右ガイド輪体43、および、2つの第2右ガイド輪体44は、右搬送部フレーム33bに備えられた第2支持部45に回転可能に保持されている。
【0029】
前作物収穫搬送部8Aにおいては、
図3に示されるように、左の終端部回転輪体32aの支軸46が後作物収穫搬送部8Bの左の始端部回転輪体47に連結され、後作物収穫搬送部8Bの左の無端回動搬送ベルト16の駆動力が左の始端部回転輪体47に伝達されてこの始端部回転輪体47の動力が支軸46を介して左の終端部回転輪体32aに伝達される。これにより、左の終端部回転輪体32aが後作物収穫搬送部8Bの左の無端回動搬送ベルト16の駆動力によって駆動される。右の終端部回転輪体32の支軸49が後作物収穫搬送部8Bの右の始端部回転輪体47に連結され、後作物収穫搬送部8Bの右の無端回動搬送ベルト16の駆動力が右の始端部回転輪体47に伝達されてこの始端部回転輪体47の動力が支軸49を介して右の終端部回転輪体32bに伝達される。これにより、右の終端部回転輪体32bが後作物収穫搬送部8Bの右の無端回動搬送ベルト16の駆動力によって駆動される。
【0030】
左の無端回動搬送ベルト30aは、左の終端部回転輪体32aによって駆動されて左の無端回動搬送ベルト30aの搬送経路側部34aが左の始端部回転輪体31aから左の終端部回転輪体32aに向けて移送される。右の無端回動搬送ベルト30bが右の終端部回転輪体32bによって駆動されて右の無端回動搬送ベルト30bの搬送経路側部34bが右の始端部回転輪体31bから右の終端部回転輪体32bに向けて移送される。デバイダ11からの枝豆15が左の搬送経路側部34aと右の搬送経路側部34bとによって挟持されて持ち上げられることによって枝豆15が圃場から引き抜かれ、引き抜かれた枝豆15が左の搬送経路側部34aと右の搬送経路側部34bとによって挟持されて縦向き姿勢でさらに後上方に後作物収穫搬送部8Bに向けて搬送される。
【0031】
図4に示されるように、左の無端回動搬送ベルト30aにおける3箇所の左用の回転輪体35と、右の無端回動搬送ベルト30bにおける3箇所の右用の回転輪体41とは、作物搬送方向において交互に並んでいる配置、いわゆる千鳥配置で設けられている。左の搬送経路側部34aのうちの左用の回転輪体35によって支持される部位と、右の搬送経路側部34bのうちの右用の回転輪体41によって支持される部位と、が作物搬送方向において交互に並び、左の搬送経路側部34aと右の搬送経路側部34bによる作物挟持力が作物搬送方向においてあまり変化しないように均一化することができる。
【0032】
図4に示されるように、左の始端部回転輪体31aのベルト巻回径R1が右の始端部回転輪体31bのベルト巻回径R2よりも小に設定されている。前作物収穫搬送部8Aは、左の無端回動搬送ベルト30aにおける3箇所の左用の回転輪体35のうちの最も搬送始端側に位置する左用の回転輪体35の前端部が、右の無端回動搬送ベルト30bにおける3箇所の右用の回転輪体41のうちの最も搬送始端側に位置する右用の回転輪体41の前端部よりも搬送始端側に位置するように構成されている。左の始端部回転輪体31aのベルト巻回径R1と右の始端部回転輪体31bのベルト巻回径R2とを同じに設定した場合に比べ、3箇所の左用の回転輪体35と3箇所の右用の回転輪体41とを千鳥配置しながら、左の始端部回転輪体31aとこの始端部回転輪体31aに隣り合う左用の回転輪体35とのスパン、および、右の始端部回転輪体31bとこの始端部回転輪体31bに隣り合う右用の回転輪体41とのスパンを短くすることができる。
【0033】
図4に示されるように、前作物収穫搬送部8Aは、ベルト巻回径R1が小さい方の始端部回転輪体31aの前端部F1が、ベルト巻回径R2が大きい方の始端部回転輪体31bの前端部F2よりも機体前方側に位置するように構成されている。ベルト巻回径R1が小さい方の始端部回転輪体31aに巻回する無端回動搬送ベルト30aの前端部が、ベルト巻回径R2が大きい方の始端部回転輪体31bに巻回する無端回動搬送ベルト30bの前端部に対して間隔Sを隔て前方に位置して無端回動搬送ベルト30aが無端回動搬送ベルト30bよりも前側で収穫対象の枝豆15を左の搬送経路側部34aと右の搬送経路側部34bとの間に向けて引き込み、収穫対象の枝豆15が左の搬送経路側部34aと右の搬送経路側部34bとの間に導入され易い。
【0034】
図4に示されるように、左の無端回動搬送ベルト30aにおける3箇所の左用の回転輪体35は、搬送経路側部34aに押し付け付勢されている。
【0035】
詳述すると、
図3,4,5に示されるように、3箇所の左用の回転輪体35を各別に保持している3つの支持アーム36は、左搬送部フレーム33aにアーム支軸50を介して揺動可能に保持されている。支持アーム36に、支持アーム36の揺動付勢を行うスプリング51が連結されている。スプリング51の支持アーム側とは反対の端部は、調節軸52を介してステー53に連結されている。ステー53は、左搬送部フレーム33aに備えられた支持部40に連結されて左搬送部フレーム33aによって保持されている。ステー53の支持部40への連結は、溶接によって行われる。3箇所の左用の回転輪体35のそれぞれは、支持アーム36を介して左搬送部フレーム33aに揺動可能に保持され、支持アーム36がスプリング51によって揺動付勢されることによって搬送経路側部34aに押し付け付勢されている。
【0036】
調節軸52は、ネジ軸によって構成されている。調節軸52に係合しているネジ孔部材54(たとえばナット)を回転操作することにより、ステー53に対する調節軸52の連結位置が変更されて調節軸52がスプリング51の付勢力の調節を行う。ネジ孔部材54の回転操作によって左用の回転輪体35の搬送経路側部34aへの押付け力を調節することができる。
【0037】
この枝豆収穫機にあっては、作物収穫搬送部8に対して運転部4が位置する側とは反対側を未刈地にして走行して収穫作業が行われ、左の無端回動搬送ベルト30aおよび右の無端回動搬送ベルト30bのうち、左の無端回動搬送ベルト30aが運転部4から遠い方に位置する。
図5に示されるように、収穫対象の枝豆15が未刈地から前作物収穫搬送部8Aに引き込まれ、前後方向視において枝豆15の株元側部15aが圃場から搬送経路側部34a,34bに向かって斜めに立ち上がる傾斜姿勢で枝豆15の後上方への挟持搬送が行われ、株元側部15aに強い引張り力が掛かることがある。この場合、引張り力によって左用の回転輪体35が押し付け付勢(スプリング51)に抗して戻し操作されて株元側部15aに掛かる引張り力が緩和される。
【0038】
〔後作物収穫搬送部について〕
後作物収穫搬送部8Bには、
図1,2に示されるように、走行機体3の横幅方向に並ぶ左右の無端回動搬送ベルト16が備えられている。左右の無端回動搬送ベルト16は、
図1に示されるように、搬送方向下手側ほど上方に位置する後上がり姿勢で備えられている。左右の無端回動搬送ベルト16は、弾性を有する搬送ベルト(たとえばスポンジ製の搬送ベルト)によって構成されている。
【0039】
詳述すると、
図2,3,4に示されるように、左右の無端回動搬送ベルト16は、後作物収穫搬送部8Bの搬送始端部において前作物収穫搬送部8Aの終端部回転輪体32a,32bの下方に位置する始端部回転輪体47と、後作物収穫搬送部8Bの搬送終端部に位置する終端部回転輪体55とに巻回されている。終端部回転輪体55は、始端部回転輪体47よりも後方かつ上方に設けられている。
【0040】
図2に示されるように、左右の無端回動搬送ベルト16それぞれの搬送経路側部16aの搬送方向での複数箇所に、搬送経路側部16aに対して無端回動搬送ベルト16の内周側から搬送経路側部16aを支持する回転輪体17が備えられている。
【0041】
後作物収穫搬送部8Bにおいては、左右の無端回動搬送ベルト16それぞれにおける終端部回転輪体55がエンジン(図示せず)からの動力によって駆動され、左右の無端回動搬送ベルト16のそれぞれが終端部回転輪体55によって駆動されて左右の無端回動搬送ベルト16それぞれの搬送経路側部16aが始端部回転輪体47から終端部回転輪体55に向けて移送される。前作物収穫搬送部8Aからの枝豆が左右の無端回動搬送ベルト16の搬送経路側部16aによって受け継がれて挟持されて縦向き姿勢で後上方に作物収穫搬送部8の終端部に搬送される。
【0042】
〔分離部について〕
図1,2に示されるように、作物収穫搬送部8よりも後側に、作物収穫搬送部8からの枝豆15を分離部9の作物受入口9aに導入する作物導入路18が設けられている。作物導入路18には、作物収穫搬送部8からの縦向き姿勢の枝豆を横倒れ姿勢に姿勢変更して分離部9の無端回動搬送体19の搬送始端部に供給する供給装置20が備えられている。
図1,2に示されるように、作物導入路18は、導入路カバー21によって覆われている。供給装置20によって姿勢変更される枝豆15から発生する塵埃の飛散が導入路カバー21によって防止される。
【0043】
図1,2に示されるように、作物導入路18において、作物収穫搬送部8からの枝豆15が供給装置20によって縦向き姿勢から横倒れ姿勢に姿勢変更され、横倒れ姿勢になった枝豆15の株元側部が供給装置20によって分離部9の無端回動搬送体19の搬送始端部に供給される。横倒れ姿勢の枝豆15が無端回動搬送体19によって分離部9の後方に向けて搬送され、枝豆15の穂先側部が作物受入口9aから分離室に導入されて前分離処理部22および後分離処理部23に供給される。前分離処理部22および後分離処理部23のそれぞれにおいて、穂先側部が上下に並ぶ分離回転体22a,23aの間を通り、分離回転体22a,23aによって実Aが茎から外される。
【0044】
〔貯留部について〕
貯留部10は、分離部9によって得られた実Aが分離部9の後下方から貯留部10の後部へ延びる横搬送コンベヤ24によって供給され、供給された実Aを回収して貯留する。貯留部10は、走行機体3の前後方向に沿って延びるベルトコンベヤによって構成され、収穫走行時には、ベルトコンベヤが前向き移動側に駆動されることにより、回収した実Aが順次に貯留部10の前側に移送されて貯留部10の全長にわたって実Aが貯留される。ベルトコンベヤが後向き移動側に駆動されることにより、貯留した実Aが貯留部10から後方に排出され、貯留部10よりも後側に設置した容器に実Aを取り入れることができる。
【0045】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、回転輪体35,41が搬送経路側部34a,34bの3箇所に備えられた例を示したが、2箇所、あるいは4箇所以上に備えられたものであってもよい。
【0046】
(2)上記した実施形態では、左用の回転輪体35が右用の回転輪体41よりも搬送始端側に位置した状態で左右の回転輪体35,41が搬送方向において交互に並ぶ配置を採用した例を示したが、これに限らず、右用の回転輪体41が左用の回転輪体35よりも搬送始端側に位置した状態で左右の回転輪体35,41が搬送方向に交互に並ぶ配置を採用したものであってもよい。
【0047】
(3)上記した実施形態では、作物収穫搬送部8が運転部4の左横側方に設けられた例を示したが、運転部4が走行機体3の左横端側に設けられ、作物収穫搬送部8が運転部4の右横側方に設けられたものであってもよい。運転部4に対して機体横幅方向での一方の横側方に作物収穫搬送部8が設けられたものであればよい。
【0048】
(4)上記した実施形態では、左右の無端回動搬送ベルト30のうちの運転部4から遠い方の無端回動搬送ベルト30aにおける回転輪体35が搬送経路側部34aに押し付け付勢され、左右の無端回動搬送ベルト30のうちの運転部4に近い方の無端回動搬送ベルト30bにおける回転輪体41が搬送経路側部34bに押し付け付勢されていない例を示した。しかし、これに限らず、運転部4に近い方の無端回動搬送ベルト30bにおける回転輪体41が搬送経路側部34bに押し付け付勢され、運転部4から遠い方の無端回動搬送ベルト30aにおける回転輪体35が搬送経路側部34aに押し付け付勢されないもの、あるいは、左右の無端回動搬送ベルト30の両方における回転輪体35,41が搬送経路側部34a,34bに押し付け付勢されているものであってもよい。また、左右の無端回動搬送ベルト30の両方における回転輪体35,41が搬送経路側部34a,34bに押し付け付勢されていないものであってもよい。
【0049】
(5)上記した実施形態では、回転輪体35が揺動付勢されることで搬送経路側部34aに押し付け付勢されている例を示したが、これに限らず、回転輪体35がスライド可能に保持され、スライド付勢されることによって搬送経路側部34aに押し付け付勢されるものであってもよい。
【0050】
(6)上記した実施形態では、左右の無端回動搬送ベルト30のうち、運転部4から遠い方の無端回動搬送ベルト30aにおける始端部回転輪体31aのベルト巻回径R1が運転部4に近い方の無端回動搬送ベルト30bにおける始端部回転輪体31bのベルト巻回径R2よりも小さく設定された例を示したが、これに限らず、左右の無端回動搬送ベルト30の両方における始端部回転輪体31a,31bのベルト巻回径が同じであるものでもよい。また、左右の無端回動搬送ベルト30における始端部回転輪体31a,31bのベルト巻回径を相違させるものにあっては、運転部4に近い方の無端回動搬送ベルト30bにおける始端部回転輪体31bのベルト巻回径が運転部4から遠い方の無端回動搬送ベルト30aにおける始端部回転輪体31aのベルト巻回径よりも小さく設定されたものであってもよい。
【0051】
(7)上記した実施形態では、ベルト巻回径R1が小さい方の始端部回転輪体31aの前端部F1が、ベルト巻回径R2が大きい方の始端部回転輪体31bの前端部F2よりも機体前方側に位置する例を示したが、これに限らず、両方の始端部回転輪体31a,31bの前端部が機体前後方向において同じ位置に位置するものであってもよい。
【0052】
(8)上記した実施形態では、作物収穫搬送部8が前作物収穫搬送部8Aと後作物収穫搬送部8Bとに分割され、前作物収穫搬送部8Aにおいて、左右の無端回動搬送ベルト30の複数箇所の回転輪体35,41が作物搬送方向において交互に並ぶ例を示した。しかし、これに限らず、作物収穫搬送部8が前作物収穫搬送部8Aと後作物収穫搬送部8Bとに分割されず、作物収穫搬送部8の全体にわたって左右の無端回動搬送ベルトの複数箇所の回転輪体が作物搬送方向において交互に並ぶように構成したものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、機体横幅方向に並ぶ左右の無端回動搬送ベルトそれぞれの搬送経路側部の搬送方向での複数箇所に、無端回動搬送ベルトの内周側から搬送経路側部を支持する回転輪体が備えられ、圃場の作物を左右の無端回動搬送ベルトの搬送経路側部によって挟持搬送することによって作物を収穫して搬送する作物収穫搬送部が備えられた収穫機に適用できる。また、枝豆収穫機の他、人参収穫機、大根収穫機等の野菜収穫機にも適用できる。
【符号の説明】
【0054】
8A 前作物収穫搬送部(作物収穫搬送部)
30a 無端回動搬送ベルト
30b 無端回動搬送ベルト
31a 始端部回転輪体
31b 始端部回転輪体
34a 搬送経路側部
34b 搬送経路側部
35 回転輪体
41 回転輪体
F1 前端部
F2 前端部
R1 ベルト巻回径
R2 ベルト巻回径