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  • 特開-果菜類の果実移動装置 図1
  • 特開-果菜類の果実移動装置 図2
  • 特開-果菜類の果実移動装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171593
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】果菜類の果実移動装置
(51)【国際特許分類】
   A01D 27/02 20060101AFI20241205BHJP
   A01D 51/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A01D27/02
A01D51/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088680
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】592170558
【氏名又は名称】訓子府機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 謙
【テーマコード(参考)】
2B072
【Fターム(参考)】
2B072AA10
2B072BA04
2B072DA16
2B072DA20
2B072EA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、従来手作業で行われていた果実の移動を自動化することを課題とする。
【解決手段】本発明は、課題を解決するために、支柱無栽培で栽培された果菜類の果実移動装置Mであって、ガイド部7を備え、ガイド部7は、走行接地体Bの前に位置し、前方から後方に向けて斜設されており、走行接地体Bの進路上にある果実を走行接地体Bの進路からずれた位置まで誘導するものであることを特徴とする果実移動装置Mとした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱無栽培で栽培された果菜類の果実移動装置であって、
ガイド部を備え、
ガイド部は、走行接地体の前に位置し、前方から後方に向けて斜設されており、走行接地体の進路上にある果実を走行接地体の進路からずれた位置まで誘導するものであることを特徴とする果実移動装置。
【請求項2】
ガイド部は、左右に一対あり、一の走行接地体と他の走行接地体の間となる側を内側としたとき、それぞれの走行接地体の内側にずれた位置まで果実を誘導するものであり、または、それぞれの走行接地体の外側にずれた位置まで果実を誘導するものであることを特徴とする、請求項1記載の果実移動装置。
【請求項3】
さらに、蔓切り装置を備え、
蔓切り装置は、果菜類の蔓を蔓ガイドで持ち上げて蔓ガイドの後方にある切断部で蔓を切断するものであり、側方カバーを有しており、
側方カバーは、前方から後方に向けて斜設されており、
ガイド部の先端部は、側方カバーの後端と側面視重なって配置されており、側方カバーの後端より蔓ガイド側に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の果実移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱無栽培で栽培された果菜類の果実移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のような、支柱無栽培で栽培された果菜類の果実を収穫する装置が実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-34254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カボチャなどの無支柱栽培された果菜類は、隣の畝まで蔓が延び、果実が畝溝に結実してしまうことがあった。このような場合、トラクタや収穫作業機などを走行させると、結実した果実をトラクタや収穫作業機が踏みつぶしてしまうという問題があった。そのため、作業者は、収穫機による収穫作業を行う前に、畝溝を歩きながら、畝溝にある果実を畝の上に移動させる作業を強いられていた。
本発明は、従来手作業で行われていた果実の移動を自動化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、次の手段を採用することで課題を解決した。
支柱無栽培で栽培された果菜類の果実移動装置であって、ガイド部を備え、ガイド部は、走行接地体の前に位置し、前方から後方に向けて斜設されており、走行接地体の進路上にある果実を走行接地体の進路からずれた位置まで誘導するものであることを特徴とする果実移動装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、収穫作業前に使うことで、人手による果実の移動を不要にでき、収穫作業を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、蔓切り装置2を備えた果実移動装置Mの斜視図である。
図2図2(A)は、蔓切り装置の平面図であり、図2(B)は蔓切り装置の正面図である。
図3図3は、蔓切り装置2の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
本明細書でいう右・左とは、トラクタTの座席から観て右・左を意味する。また、前、後ろとは、作業中のトラクタTの進行方向を基準とし、進行方向を前とする。
本明細書は、トラクタTのタイヤなどを走行接地体Bと呼ぶ。走行接地体Bは、クローラやソリなど走行に必要とされる部材の総称である。
走行接地体Bが左右一対あるときは、一対ある走行接地体Bの間を内側と言う。走行接地体Bの外側と言うときは、一対ある走行接地体Bの間を内側としたため、トラクタTから離れる側が外側になる。
【0009】
(実施例)
【0010】
実施例の果実移動装置Mは、蔓切り装置2とガイド部7を組み合わせた例である。
実施例は、果実移動装置Mの一例を示すものであり、本発明は、ガイド部7を単独で備えた果実移動装置Mでもよいし、ガイド部7と収穫機と組み合わせた果実移動装置Mでもよい。
(蔓切り装置の装着機構)
【0011】
図1は、蔓切り装置2を備えた果実移動装置Mの斜視図である。実施例の蔓切り装置2は、トラクタTの前部に設けられた連結部1に取り付けられている。連結部1は、装着リンク11と横機枠13で構成されている。装着リンク11は、前方に横機枠13が取り付けられている。装着リンク11に設けられた昇降シリンダ12は、装着リンク11を伸び縮みさせ横機枠13を昇降させる。
【0012】
横機枠13は、中空部を有する形材である。横機枠13の両端にある開放端は、中空部に一回り小さい形材の一端を呑み込んでおり、一回り小さい形材を伸縮させることを可能にしている。左右幅調整部131は、一回り小さい形材と横機枠13を組み合わせることで構成されている。一回り小さい形材の他端は、蔓切り装置2が取り付けられている。このように、横機枠13は、左右幅を調節できる左右幅調整部131を有しており、一対ある蔓切り装置2の間隔を適宜な幅に調整できるようになっている。
【0013】
(畝溝内の果実と走行接地体との関係)
支柱無栽培で栽培された果菜類、たとえば、カボチャは、縦横無尽に蔓を延ばし、そこかしこに果実(カボチャ)を結実させる。
結実した多数ある果実(カボチャ)の一部は、畝溝UB内に結実することもある。畝溝UBに果実(カボチャ)がある場合、畝溝UBにある果実は、走行する走行接地体Bに果実(カボチャ)が踏みつぶされることになる。
【0014】
(蔓切り装置)
実施例の蔓切り装置2は、横機枠13の左に1台、右に1台の一対あり、横機枠13を介して装着リンク11に取り付けられている。
一対の蔓切り装置2は、左右幅調整部131を用いて、畝Uの幅よりやや狭くなる幅に2台の蔓切り装置2の間隔が調整されている。畝Uを超えて畝溝UBまで伸びている蔓は、蔓切り装置2により切断される。
蔓切り装置2は、収穫に使われる装置であり、収穫の邪魔になる絡まった蔓を切断し、果実(カボチャ)の収穫や移動を助ける。
【0015】
図2は、蔓切り装置2が備える各部の説明図であり、図2(A)は平面図、図2(B)は正面図である。
蔓切り装置2は、大きく分けて機枠部3と切断部4と蔓ガイド6で構成されており、各部はこの順に並んで配置されている。
【0016】
(蔓ガイド)
蔓ガイド6は、蔓切り装置2の前方に取り付けられており、切断しやすいように前方から後方に向けて蔓を持ち上げるように傾斜する部材である。実施例の蔓ガイド6は、杆状の部材であり、蔓ガイド6の最先端61は、地表面近くにある蔓を蔓ガイド6の上にピックアップして切断装置41(回転刃)に向けて持ち上げて送る作用を果たす。蔓ガイド6は、最先端61が鋭角の三角形の板状部材であってもよく、蔓ガイド6の上に蔓を載せ、切断部4に誘導できるのであれば、様々な構造形状を採り得る。
蔓ガイド6は、第1ソリ体64で支えられており、第1ソリ体64は、蔓ガイド6の先端が圃場面に追随するように機能する。
蔓ガイド6の最先端61は、第1ソリ体64の作用も相俟って、圃場面(畝Uの上面)に対して、圃場に突き刺さらない適切な位置に維持され、蔓をピックアップして行く。
【0017】
(切断装置)
蔓ガイド6の後方に、切断部4が配置されている。切断部4は、水平回転軸を有する切断装置41(回転刃)を備えている。切断装置41の周囲は、保護フレーム43が取り付けられている。
切断部4の下部は、第2ソリ体46が取り付けられており、切断部4の底面を塞いでいる。第2ソリ体46は圃場に接地して、蔓切り装置2全体が過剰に地面に沈むことを防いでいる。第1ソリ体64と第2ソリ体46は、併せて蔓切り装置2の地表面からの高さを決める作用を備えており、接地することで地表から切断装置41(回転刃)の回転軸の高さを一定に保つ。具体的な構造は説明しないが、実施例の第2ソリ体46は、高さを調整できるようになっており、切断部4の地表に対する高さを変えることができる。また、第1ソリ体64は、先端が軸支され、後方が上下動できるように設定されており、蔓ガイド6の高さを変更できる。
【0018】
(側方カバー)
切断部4は、畝溝UB側を外とし、畝Uの中央側を内とすると、図2から分かるように、内側方カバー45Bと外側方カバー45Aで左右側面が覆われている。外側方カバー45Aは、畝溝UBに向く面を覆う側方カバー45である。内側方カバー45Bは畝Uの中央に向く面を覆う側方カバー45である。
切断後の蔓は、側方カバー45に誘導され左右に押しやられる。
【0019】
側方カバー45の役割は2つある。
第1に、側方カバー45の役割は、切断装置41に絡みつくなどのトラブルが起きないように、地表面を這う蔓が切断部4に入り込まないようにする役割である。
第2に、側方カバー45の役割は、果実(カボチャ)を動かす役割である。
【0020】
(外側方カバー)
外側方カバー45Aは、果実(カボチャ)を畝溝UB側に押しやる役割を果たす。後述する、外側ガイド部7Aと連携して、外側方カバー45Aは、走行接地体Bの進路から外に果実(カボチャ)を移動させる。果実(カボチャ)は、畝溝UBから隣の畝Uまで移動されてもよい。
【0021】
(内側方カバー)
内側方カバー45Bは、果実(カボチャ)を畝Uの中央に向けて押しやる役割を果たす。内側方カバー45Bは、後述する内側ガイド部7Bと連携して、果実(カボチャ)を畝Uの中央側に集めるので、後に果実収穫装置を使って、果実(カボチャ)を収穫するとき、収穫作業効率を高める。
【0022】
(機枠部)
図2に図示した機枠部3は、切断部4を支えるものであり、接続部47は機枠部3と切断部4を連結する役割を果たしている。
【0023】
(ガイド部)
図3は、蔓切り装置2の側面図である。
ガイド部7は、畝溝UB側を外とし、畝Uの中央側を内とすると、機枠部3の左右を、外側ガイド部7Aと内側ガイド部7Bで覆っている。ガイド部7は、蔓などが機枠部3の内側に入り込み、機枠部3の動きを阻害しないように働く。
加えて、ガイド部7の先端部71は、側方カバー45と側面視重なって配置されている。ガイド部7の先端部71は、外側方カバー45Aの内側に配置されて見えない位置にある。そして、蔓切り装置2を側面から見ると、ガイド部7の先端部71は、側方カバー45の後端451より前方に位置する配置関係にある。
【0024】
このような位置関係にあるため、ガイド部7が外側ガイド部7Aであるときは、外側方カバー45Aで誘導された果実(カボチャ)は、外側ガイド部7Aにスムーズに受け継がれ、走行接地体Bの進路から外まで誘導される。
畝溝UBの幅や、走行接地体Bの幅にもよるが、果実(カボチャ)は、隣の畝Uまで誘導されてもよいし、畝溝UB内であって、走行接地体Bに踏まれない位置まで誘導されてもよい。
【0025】
ガイド部7が内側ガイド部7Bであるときは、内側方カバー45Bで誘導された果実(カボチャ)は、内側ガイド部7Bに受け継がれ、畝Uの中央に向かって誘導される。
【0026】
実施例のガイド部7は、蔓切り装置2に取り付けられているため、果実(カボチャ)の移動はスムーズである。蔓が切断装置41で切断されるため、蔓もまた果実(カボチャ)と一緒に、側方カバー45とガイド部7に誘導され移動する。
【0027】
ガイド部7の材質や形状は、果実(カボチャ)を誘導できればよく、様々な材質や形状にできる。実施例のガイド部7は、パイプを上下に並べた構造をしている。
また、ガイド部7の表面は、果実(カボチャ)を傷つけないように、滑らかであることが好ましい。
【0028】
実施例は、蔓切り装置2にガイド部7を取り付ける態様であった。本発明は、ガイド部7を単独で取り付けた果実移動装置Mも含む。また、実施例は、畝Uのある圃場を例に説明したが、畝Uのない圃場にも本発明を適用することが可能である。
【0029】
具体的な構成は、前述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0030】
また、前述の多様な態様は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 連結部
11 装着リンク
12 昇降シリンダ
13 横機枠
131 左右幅調整部
2 蔓切り装置
3 機枠部
4 切断部
41 切断装置(回転刃)
43 保護フレーム
45 側方カバー
45A 外側方カバー
45B 内側方カバー
451 後端
46 第2ソリ体
47 接続部
6 蔓ガイド
61 最先端
64 第1ソリ体
T トラクタ
7 ガイド部
7A 外側ガイド部
7B 内側ガイド部
71 先端部
B 走行接地体

M 果実移動装置
U 畝
UB 畝溝
図1
図2
図3