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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171601
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】車両用ゲート開閉装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20241205BHJP
   E01F 9/00 20160101ALI20241205BHJP
   E01F 9/608 20160101ALI20241205BHJP
   E01F 13/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G08G1/09 R
E01F9/00
E01F9/608
E01F13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088694
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】392001391
【氏名又は名称】株式会社市川工務店
(71)【出願人】
【識別番号】308003356
【氏名又は名称】大久保 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100129698
【弁理士】
【氏名又は名称】武川 隆宣
(72)【発明者】
【氏名】宮口 祐哉
(72)【発明者】
【氏名】原田 宣男
(72)【発明者】
【氏名】大久保 陽一
【テーマコード(参考)】
2D064
2D101
5H181
【Fターム(参考)】
2D064AA11
2D064AA21
2D064EA01
2D064EA13
2D064FA01
2D101CA12
2D101EA05
5H181AA01
5H181AA07
5H181AA28
5H181CC04
5H181CC11
5H181FF33
5H181LL07
5H181LL11
(57)【要約】
【課題】 工事現場などの管理区域から出る車両を一旦停止させ、運転手に対し荷台などの状況確認を促す車両用ゲート開閉装置を提供すること。
【解決手段】
本発明は、車両を検知するように隣接して設置された第1及び第2のセンサーS1,S2と、車両を一旦停止させるためのゲートGと、運転手に対して荷台などの状況確認を促す注意喚起手段6,7,8と、それらを制御する制御装置2と、を有し、前記第1のセンサーS1は低位置に設置され、前記第2のセンサーS2は、車高の高い車両のみを検知するように高位置に設置されており、前記ゲートGは、第1のセンサーS1に引き続いて第2のセンサーS2が車両を検知した場合であって、かつ、第1及び第2のセンサーS1,S2が車両を共に検知している場合にのみ閉じ、一旦停止した車両の運転手に対し、荷台などの状況確認が促された後、ゲート開放スイッチ3の操作に基づいて開く車両用ゲート開閉装置1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事現場などの管理区域の出入口から出る車両を一旦停止させるための車両用ゲート開閉装置であって、
前方に存在する車両を検知する第1のセンサーと、
当該第1のセンサーと隣接し、かつ、当該第1のセンサーよりも出入口側に設置されて前方に存在する車両を検知する第2のセンサーと、
当該第2のセンサーよりもさらに出入口側に設置されて車両を一旦停止させるためのゲートと、
車両の運転手に対して荷台又はブームなどの状況確認を促す注意喚起手段と、
それらの動作を制御する制御装置と、
を有する車両用ゲート開閉装置であって、
前記第1のセンサーは、車高の低い車両及び車高の高い車両の両者を検知するように低位置に設置されており、
前記第2のセンサーは、車高の高い車両のみを検知するように前記第1のセンサーよりも高位置に設置されており、
前記ゲートは、前記第1のセンサーに引き続いて前記第2のセンサーが車両を検知した場合であって、かつ、前記第1のセンサーと前記第2のセンサーが車両を共に検知している場合にのみ閉じるように制御され、車両の運転手がゲート開放スイッチを操作することで開くように制御されるものであり、
前記制御装置は、閉じられた前記ゲートの手前で一旦停止した車両の運転手に対し、前記注意喚起手段にて荷台又はブームなどの状況確認が促された後、前記ゲート開放スイッチの操作に基づいて前記ゲートを開くように構成されていることを特徴とする車両用ゲート開閉装置。
【請求項2】
前記注意喚起手段は、音声によって車両の運転手に対して荷台又はブームなどの状況確認を促すものであることを特徴とする請求項1に記載の車両用ゲート開閉装置。
【請求項3】
前記ゲート開放スイッチは、車両の運転席の高さの違いに対応できるように、上下方向に伸びる紐状又は棒状の操作部を有しているものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用ゲート開閉装置。
【請求項4】
前記ゲート開放スイッチは、車両の停止位置が前後しても対応できるように、離れた位置にある複数の操作部を有していることを特徴とする請求項3に記載の車両用ゲート開閉装置。
【請求項5】
荷台又はブームなどの様子を視認できるミラー、又は、カメラにて撮影した荷台又はブームなどの様子を視認できる画像表示装置がさらに設置されており、
前記ゲート開放スイッチは、車両の運転手が操作する際に前記ミラー又は前記画像表示装置を見易い位置に設置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用ゲート開閉装置。
【請求項6】
太陽光発電パネル及び充電式バッテリーをさらに備えており、
外部電源から独立して運用可能とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用ゲート開閉装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記第1のセンサーと前記第2のセンサーが何れも車両を検知していない場合に、前記ゲートが閉じられている状態を検知した場合には、前記ゲート開放スイッチの操作状況に関係なく、当該ゲートを開くように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用ゲート開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場などの管理区域から出る車両の荷台又はブーム(ジブ)などの下げ忘れを防ぐために、それらの車両を一旦停止させ、車両の運転手に対し、荷台又はブームなどの状態を確実に確認させるのに適した車両用ゲート開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、荷下ろし作業を行う工事現場などの管理区域から出る車両(特にダンプカー)がその荷台を下げ忘れてそのまま公道を走行し、信号機や道路標識などに衝突する事故が起きており、そのような事故を防ぐための対策が提案されている(特許文献1~3)。
それらの従来技術において、荷台が下げられているか上がったままであるかを判断する装置を備えている場合には、装置による検出漏れの虞があったり、正確に荷台の状態を判断できない場合があるという問題がある。
さらに、荷台が上げられた状態を検出するには、かなり高い支柱を立設する必要があるため、装置が大がかりなものとなったり、装置の安定性が悪く安全性に欠けるという問題がある。
なお、工事現場などの管理区域に入る車両(進入車両)については、大型の車両であっても小型の車両であっても、装置による荷台の状態検知は不要であり、小型の車両が工事現場から出る場合においても荷台の状態検知は不要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-26522号公報
【特許文献2】特開2002-30623号公報
【特許文献3】特開2007-132019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、工事現場などの管理区域から車高が高い車両が出る場合においてのみ機能し、車両の荷台やブームなどの状態を確認することを運転手に対して確実に促すことができる車両用ゲート開閉装置を提供することにある。
本発明は、荷台が上げられた状態を検出するための高い支柱を立設する必要がなく、装置の安定性及び安全性に優れ、コンパクトで設置及び移動が容易な車両用ゲート開閉装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、車両の運転席の高さが違ったり、車両の停止位置が異なっていてもゲートを開く操作に対応できる車両用ゲート開閉装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、商用電源などの外部電源に接続する必要が無い車両用ゲート開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明は、「工事現場などの管理区域の出入口から出る車両を一旦停止させるための車両用ゲート開閉装置であって、前方に存在する車両を検知する第1のセンサーと、当該第1のセンサーと隣接し、かつ、当該第1のセンサーよりも出入口側に設置されて前方に存在する車両を検知する第2のセンサーと、当該第2のセンサーよりもさらに出入口側に設置されて車両を一旦停止させるためのゲートと、車両の運転手に対して荷台又はブームなどの状況確認を促す注意喚起手段と、それらの動作を制御する制御装置と、を有する車両用ゲート開閉装置であって、
前記第1のセンサーは、車高の低い車両及び車高の高い車両の両者を検知するように低位置に設置されており、前記第2のセンサーは、車高の高い車両のみを検知するように前記第1のセンサーよりも高位置に設置されており、前記ゲートは、前記第1のセンサーに引き続いて前記第2のセンサーが車両を検知した場合であって、かつ、前記第1のセンサーと前記第2のセンサーが車両を共に検知している場合にのみ閉じるように制御され、車両の運転手がゲート開放スイッチを操作することで開くように制御されるものであり、前記制御装置は、閉じられたゲートの手前で一旦停止した車両の運転手に対し、前記注意喚起手段にて荷台又はブームなどの状況確認が促された後、前記ゲート開放スイッチの操作に基づいて前記ゲートを開くように構成されている車両用ゲート開閉装置」を最も主要な特徴とするものである。
【0006】
(2)本発明の車両用ゲート開閉装置において、前記注意喚起手段は、音声によって車両の運転手に対して荷台又はブームなどの状況確認を促すものであっても良い。
(3)本発明の車両用ゲート開閉装置において、前記ゲート開放スイッチは、車両の運転席の高さの違いに対応できるように、上下方向に伸びる紐状又は棒状の操作部を有しているものであっても良い。
(4)本発明の車両用ゲート開閉装置において、前記ゲート開放スイッチは、車両の停止位置が前後しても対応できるように、離れた位置にある複数の操作部を有しているものであっても良い。
【0007】
(5)本発明の車両用ゲート開閉装置において、荷台又はブームなどの様子を視認できるミラー、又は、カメラにて撮影した荷台又はブームなどの様子を視認できる画像表示装置がさらに設置されており、前記ゲート開放スイッチは、車両の運転手が操作する際に前記ミラー又は前記画像表示装置を見易い位置に設置されているものであっても良い。
(6)本発明の車両用ゲート開閉装置において、太陽光発電パネル及び充電式バッテリーをさらに備えており、外部電源から独立して運用可能とされているものであっても良い。
(7)本発明の車両用ゲート開閉装置において、前記制御装置は、前記第1のセンサーと前記第2のセンサーが何れも車両を検知していない場合に、前記ゲートが閉じられている状態を検知した場合には、前記ゲート開放スイッチの操作状況に関係なく、当該ゲートを開くように構成されているものであってもよい。
【発明の効果】
【0008】
(1)上記のように構成した本発明の車両用ゲート開閉装置は、高さが異なる2個のセンサーを車両の進行方法(通路)に沿って隣接して設置しているため、車両の進行方向を判断でき、管理区域に入る車両(進入車両)を停止させることが無く、出入口における車両の流れを阻害することを防ぐことができる。また、管理区域に入る車両のための入口と、管理区域から出る車両のための出口を分ける必要も無く、管理区域から出る車両(退出車両)の運転手に対してのみ必要な注意喚起を効率的かつ確実に行うことができる。
さらに、本発明の車両用ゲート開閉装置は、乗用車、二輪車、人などの通過に対しては作動せず、管理区域から出る車高が高い車両についてのみ一律に一旦停止を求める構成であり、車両の荷台又はブームなどが上げられた状態の車両であることまでを判別する必要が無いため、信号機に衝突するような高い位置における車両の状態を検知するセンサーなどを必要としない。
従って、本発明は、出入口における車両の流れを阻害することが無く、簡易なシステムにて構成でき、装置全体を小型化することができ、装置の安定性及び安全性に優れ、設置及び移動が容易な車両用ゲート開閉装置を提供することができる。
【0009】
(2)本発明の車両用ゲート開閉装置において、前記注意喚起手段が音声によって車両の運転手に対して荷台などの状況確認を促すものである場合には、車両の運転手に対して簡潔に荷台などの状態を確認するように促すことができる。
(3)本発明の車両用ゲート開閉装置において、前記ゲート開放スイッチが運転席の高さの違いに対応できるように、上下方向に伸びる紐状又は棒状の操作部を有している場合には、様々な車種の運転手においてもゲート開放スイッチに対するアクセスが容易となり、操作性・利便性に優れたものとすることができる。
【0010】
(4)本発明の車両用ゲート開閉装置において、前記ゲート開放スイッチが、車両の停止位置が前後しても対応できるように、離れた位置にある複数の操作部を有している場合には、停止位置が一様で無い個々の車両の運転手においてもゲート開放スイッチに対するアクセスが容易となり、操作性・利便性に優れたものとすることができる。
(5)本発明の車両用ゲート開閉装置において、荷台又はブームなどの様子を視認できるミラー、又は、カメラにて撮影した荷台又はブームなどの様子を視認できる画像表示装置がさらに設置されており、前記ゲート開放スイッチは、運転手が操作する際に前記ミラー又は前記画像表示装置を見易い位置に設置されている場合には、ゲート開放スイッチの操作時において荷台などの状態確認を自然な動作の流れの中で行うことができ、利便性を高めるとともに、確認漏れの発生を防ぐ効果を高めることができる。
(6)本発明の車両用ゲート開閉装置において、太陽光発電パネル及び充電式バッテリーをさらに備えており、外部電源から独立して運用可能とされているものである場合には、山間部や河川敷など様々な管理区域において運用が可能であり、利便性及び汎用性に優れたものとすることができる。
(7)本発明の車両用ゲート開閉装置において、前記制御装置が、第1のセンサーと第2のセンサーが何れも車両を検知していない場合に、前記ゲートが閉じられている状態を検知した場合には、前記ゲート開放スイッチの操作状況に関係なく、当該ゲートを開くように構成されているものである場合には、車両が存在しない通常時(待機時)において常にゲートが開いた状態を維持することができ、システムの信頼性及び利便性に優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は本発明を具体化した車両用ゲート開閉装置の一実施形態を示し、(A)は装置の概要を示す正面図、(B)はその制御装置と各構成部分の関係を示す図である。
図2図2は本発明を具体化した車両用ゲート開閉装置の一実施形態のセンサーによる車両の検出高さと、車高が高い車両との位置関係を示す図である。
図3図3は本発明を具体化した車両用ゲート開閉装置の一実施形態のセンサーによる車両の検出高さと、車高が低い車両との位置関係を示す図である。
図4図4は本発明を具体化した車両用ゲート開閉装置において用いることができる注意喚起手段としての看板(表示)の複数の具体例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、工事現場、工場、雪捨て場、鉱山、河川敷などの管理区域の出入口から出る車両を一旦停止させるための車両用ゲート開閉装置であって、前方に存在する車両を検知する第1のセンサーと、当該第1のセンサーと隣接し、かつ、当該第1のセンサーよりも出入口側に設置されて前方に存在する車両を検知する第2のセンサーと、当該第2のセンサーよりもさらに出入口側に設置されて車両を一旦停止させるためのゲートと、車両の運転手に対して荷台又はブームなどの状況確認を促す注意喚起手段と、それらの動作を制御する制御装置と、を有する車両用ゲート開閉装置であって、前記第1のセンサーは、車高の低い車両及び車高の高い車両の両者を検知するように低位置に設置されており、前記第2のセンサーは、車高の高い車両のみを検知するように前記第1のセンサーよりも高位置に設置されており、前記ゲートは、前記第1のセンサーに引き続いて前記第2のセンサーが車両を検知した場合であって、かつ、前記第1のセンサーと前記第2のセンサーが車両を共に検知している場合にのみ閉じるように制御され、車両の運転手がゲート開放スイッチを操作することで開くように制御されるものであり、前記制御装置は、閉じられたゲートの手前で一旦停止した車両の運転手に対し、前記注意喚起手段にて荷台又はブームなどの状況確認が促された後、前記ゲート開放スイッチの操作に基づいて前記ゲートを開くように構成されている車両用ゲート開閉装置(安全管理システム)である。
そして、本発明は、以下において説明する実施形態などによって好適に具体化することができるものである。
【0013】
以下、本発明を具体化した車両用ゲート開閉装置1の一実施形態について説明する。
図1図3に示すように、本発明の一実施形態の車両用ゲート開閉装置1は、荷下ろし作業を行う工事現場などの管理区域と外部(公道など)との出入口付近に設置されるゲートGと、当該ゲートGの管理区域側に配置された第1のセンサーS1及び第2のセンサーS2と、車両の運転手に対する注意喚起手段と、それらの動作を必要に応じて制御する制御装置2と、ゲート開放スイッチ3とを備えている。
前記ゲートGは、管理区域の出入口における車両の通行を規制し、車両を一旦停止させるためのものであり、支柱と、長さ2m程度の長尺状のバー4とから構成され、支柱の上部にて一端部が回動可能に固定され、直立した状態から水平な状態へとモーター5にて電気駆動されるものを好適に採用することができる。
【0014】
前記第1のセンサーS1は、前方に存在する車両を検知できるものであって、図2及び図3における第1のセンサーによる検出高さ位置を示すエリアE1に示すように、前方を通過する車高の低い車両及び車高の高い車両の両者を検知することができる。
当該第1のセンサーS1は、前記ゲートGから車両1台分(好適実施例では約4m)程度離れた位置に配置され、地上から約1m程度の高さの低位置にて車両の通路側に向けて設置固定されている。
この第1のセンサーS1を支持固定する支柱は、コンクリートブロック、又は、好適実施例において、安定感のある汎用品のパレットPなどに固定して地上に設置することができる。
【0015】
同様に、前記第2のセンサーS2は、前方に存在する車両を検知できるものであって、図2における第2のセンサーによる検出高さ位置を示すエリアE2に示すように、前方を通過する車高の高い車両のみを検知することができる。
当該第2のセンサーS2は、前記第1のセンサーS1の前方を通過して前記ゲートGに向かう車両(退出車両)を検知するためのものであり、前記第1のセンサーS1よりも高い地上から約2m程度の高位置にて設置固定されている。
そして当該第2のセンサーS2の設置位置は、前記第1のセンサーS1と車両1台分以内の距離(好適実施例では約2m離れた位置)となるように設定される。
従って、車高の高い大型車両が当該両センサーS1,S2の前方を通過すると、当該両センサーS1,S2が同時に(共に)車両の存在を検知(検出)している状態を得ることができる。
【0016】
前記第1のセンサーS1及び第2のセンサーS2としては、公知の各種センサーを採用できるが、好適実施例においては超音波距離センサーを使用することができる。そして、通路の幅とゲートGまでの距離などを考慮し、通路側前方4m以上は検知せず、通路側前方2m以内の車両を検知できるものを好適に用いることができる。
また、好適実施例においては、前記第1のセンサーS1及び第2のセンサーS2は、省電力化のため、0.5秒に1回のみというように間欠的に超音波を発し、車両の検知を行うと良い。
【0017】
前記注意喚起手段は、好適にはスピーカー6であり、ゲートGの手前で停車した車両の運転手に対して「お疲れ様です。荷台を確認して下さい」又は「荷台又はブームなどの状態をご確認下さい」などという趣旨の音声による注意喚起を行うことができるものであると良い。
この注意喚起手段としては、電光掲示板又は液晶モニター7などによって車両の運転手に対して視覚的に荷台の状態確認を促すことができる装置を採用しても良い。また、注意喚起手段としては、前記制御装置2から切り離された簡易な看板8や表示装置であってもよい。
当該看板8には、一例として、「大型車停止位置」、「バーが下がったら荷台やブームの安全確認」、「上空施設事故防止装置作動中」などの文言・表示やゲートを開く方法などを記載した立て看板(図4参照)又は垂れ幕などを用いることができる。
さらに、別途設置したカメラ9によって撮影した車両及び荷台の様子についても、前記液晶モニター7に表示することで、運転手による荷台又はブームなどの確認を容易にすることもできる。
【0018】
前記ゲートGを駆動するためのモーター5は、前記バー4を閉じる際には電力を供給し続ける必要は無く、駆動開始時のみモーター5に電力を供給し、水平状態となるまでに断続的にモーター5に電力を供給することで、省電力化及びバー4を滑らかに閉じることができるようにすると良い。
その場合、モーター5への負荷を減らすこともでき、バー4を開閉操作する耐久性を高めることもできる。
前記車両用ゲート開閉装置1を動作させるための電源としては、太陽光発電パネル10及び充電式バッテリーを含む電源部11を好適に用いることができる。さらに、当該太陽光発電パネル10に代えて、又は、それらに加えて当該電源部11に接続した電源プラグ12を商用電源又は他の外部電源に接続することで、装置駆動用の電源を得ることもできる。
その様な電源プラグ12を設けた場合には、太陽光発電パネル10による発電量が不足した場合にも充電式バッテリーを充電することができ、回転灯や夜間における照明を本発明の装置1のシステムに追加して制御し動作させる能力を向上させることもできる。
【0019】
前記制御装置2は、前記第1のセンサーS1及び第2のセンサーS2が同時に(共に)車両の存在を検知している場合であって、前記第1のセンサーS1に続いて第2のセンサーS2が車両の存在を検知した場合にのみゲートGを閉じるように制御するため、管理区域に入る車両(進入車両)の通行が妨げられることは無い。
また、前記制御装置2は、前記第1のセンサーS1及び第2のセンサーS2が共に車両の存在を検知している場合にのみゲートGを閉じるように制御するため、人などの出入りが妨げられることは無い。
そして、前記制御装置2は、前記第2のセンサーS2の近くに設置された前記ゲート開放スイッチ3が操作されると、閉じられたゲートGを開くように、前記モーター5を駆動する。
【0020】
好適実施形態においては、前記ゲート開放スイッチ3は、運転席の高さの違いに対応できるように、上下方向に伸びる紐状(チェーンを含む)又は棒状の操作部3aを有しているものであると良い。さらに、前記ゲート開放スイッチ3は、車両の停止位置が前後しても対応できるように、離れた位置にある複数の操作部3aを有していても良い(操作スイッチ3自体が複数設置されている場合を含む)。
また、好適実施形態においては、荷台又はブームなどの様子を視認できるミラー(凸面鏡)13、又は、カメラ9にて撮影した荷台又はブームなどの様子を視認できる画像表示装置(前記液晶モニター7にて兼用可能)が前記第2のセンサーS2の近くにさらに設置されており、前記ゲート開放スイッチ3は、運転手が操作する際に当該ミラー13又は前記画像表示装置(前記液晶モニター7)を見易い位置に設置される。
【0021】
さらに、好適実施形態においては、前記制御装置2は、前記第1のセンサーS1と第2のセンサーS2が何れも車両を検知していない場合に、前記ゲートGが閉じられている状態を検知した場合には、前記ゲート開放スイッチ3の操作状況に関係なく、当該ゲートGを開くように構成されている。
この場合、車両がゲートGによって一旦停止した後、運転手がゲート開放スイッチ3を操作すること無く車両を後退させ、再び管理区域内に戻ってしまったような場合においても、閉じられたままのゲートGによる不都合な事態の発生を防止することができる。
【0022】
本発明において、車両用ゲート開閉装置1は、バー4を上げ下げするゲート部分のユニットと、第1のセンサーS1を支持するユニットと、第2のセンサーS2及びスピーカー6などからなるその他のユニットに分離することができ、ワンボックスカー又は軽トラック程度の車両で運搬が可能となる。
また、各ユニットは、安定感のある汎用品のパレットPに固定し、剛性を備えた軽量の鋼材、樹脂管又は木材などにて連結しておくことで、互いの距離(適正な位置関係)を保持するとともに装置1全体の剛性、安定性及び安全性を高めることができる。
【0023】
上記構成した本発明の車両用ゲート開閉装置1は、一般に入手が容易な公知の機材・資材と、簡易なマイコンからなる電気回路とを組み合わせることで、製造可能であり、簡易なプログラムにて適宜カスタマイズして動作・制御することができる。
【0024】
次に、上記にて説明した本発明の車両用ゲート開閉装置1を用いることで、工事現場などの管理区域における安全を管理するシステムが運用される様子について説明する。
本発明の車両用ゲート開閉装置1は、それが設置された工事現場などの管理区域の出入口から乗用車のような小型車、普通車又はダンプカーなどの大型車が入る場合には、ゲートGは開かれたままであり、何れの進入車両であっても自由に通過できる。
本発明の車両用ゲート開閉装置1は、それが設置された工事現場などの管理区域の出入口から乗用車など車高の低い車両が出る場合にも、ゲートGは開かれたままであり、自由に通過できる。
一方、本発明の車両用ゲート開閉装置1は、それが設置された工事現場などの管理区域の出入口からダンプカーなどの車高の高い車両が出る場合には、ゲートGが閉じられ、一旦停止が求められる。
【0025】
そして、そのような退出車両の運転手に対し、看板、音声などによって荷台などが下ろされていることの確認を促す案内(注意喚起)がされる。そこで運転手が荷台などの状況を確認し、必要に応じて荷台などを下げる処置などを行った後、運転手がゲート開放スイッチ3を操作することで、ゲートGが開かれ、ゲートGを通過することが可能となる。
なお、運転手がゲート開放スイッチ3を操作した後、ゲートGが開かれるまでには、運転手が確実に荷台の状況を確認し荷台を下げる操作を行うように、若干の遅延時間を設定しても良い。この遅延時間により、運転手が荷台の状態を確認せず、安易にゲートGを通過してしまうという事態を防止することができる。
【0026】
次に、上記にて説明した本発明の「車両用ゲート開閉装置1」の制御方法について説明する。
本発明の車両用ゲート開閉装置1は、車高の高い大型車両が工事現場などの管理区域から出る場合以外には常時ゲートGが開かれた初期状態にセットされている。
即ち、本発明の車両用ゲート開閉装置1は、車高の高い大型車両が工事現場などの管理区域から出る場合にのみ、ゲートGを閉じるなどの動作を行うように制御されている。
このゲートGを閉じるなどの動作は、以下の手順にて行われる。
1)まず、ゲートGから離れた位置に設置され、前方を通過する全ての車両を検出できる第1のセンサーS1が、通過車両の存在を検知する。
2)次いで(その後に)、第2のセンサーS2が車高の高い車両を検知した場合においてのみ、ゲートGを閉じる制御が行われる。
3)そこで、車両の運転手が荷台などの状態を確認するように、注意喚起手段としてのスピーカー6による音声及び/又は立て看板8などによる案内・注意喚起がされる。
4)車両の運転手がゲート開放スイッチ3を操作すると、直ちに、又は、運転手が荷台などの状態確認を行うための猶予時間(遅延時間)として数秒~十数秒程度の一定時間を待った後に、ゲートGを開く動作を行うように制御され、初期状態(待機状態)に復帰する。
【0027】
本発明の車両用ゲート開閉装置1においては、前記第1のセンサーS1及び第2のセンサーS2が設置される高さを適宜変更することで、ゲートGを閉じる(バー4を下ろす)対象車両を選定することができる。
本発明の車両用ゲート開閉装置1は、上記にて説明した好適実施形態及び実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して具体化しても良い。
例えば、AI技術を用いてより高度な車両検知及び車両識別を行うシステムを採用しても良い。
また、ゲートGを両開きのものとしたり、回動式に代えて昇降式のものとしたり、横断膜や旗状のものとして具体化して実施しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、安定性及び安全性に優れ、コンパクトで設置及び移動が容易な車両用ゲート開閉装置であって、車高が高い車両が管理区域の出入口から出る場合において、当該車両の運転手に対し、荷台又はブームなどの状態確認を効率的かつ確実に促すことができる車両用ゲート開閉装置として産業上好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 車両用ゲート開閉装置
2 制御装置
3 ゲート開放スイッチ
3a 操作部
4 長尺状のバー
5 モーター
6 スピーカー(注意喚起手段)
7 液晶モニター(画像表示装置、注意喚起手段)
8 看板(注意喚起手段)
9 カメラ
10 太陽光発電パネル
11 電源部(充電式バッテリー含む)
12 電源プラグ
13 ミラー
E1 第1のセンサーによる検出高さ位置を示すエリア
E2 第2のセンサーによる検出高さ位置を示すエリア
G ゲート
P パレット
S1 第1のセンサー
S2 第2のセンサー
図1
図2
図3
図4