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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171609
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20241205BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20241205BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01L29/78 652N
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/78 652D
H01L29/78 652P
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
H01L29/78 652Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088707
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161562
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 朗
(72)【発明者】
【氏名】林 真吾
(57)【要約】
【課題】半導体装置内で電子と正孔が再結合し発生する光により、半導体装置周辺に配置される封止樹脂が劣化することを抑制できる半導体装置を提供する。
【解決手段】主電流が流れる領域である活性領域1と、活性領域1を囲むエッジ終端領域2と、エッジ終端領域2を囲む段差面51と、段差面51を囲むダイシングライン3と、を有する半導体装置において、活性領域1は、第1半導体領域20と第2半導体層42との第1のpn接合と、外周領域25と第2半導体層42と、の第2のpn接合とを有する。段差面51には活性領域内の第1および第2のpn接合に順方向電流が流れることで発生した光を遮蔽する第1の保護膜34が設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイドバンドギャップ半導体からなり、第1主面と第2主面とを有する半導体基板と、前記半導体基板の第1主面側からみて中央部に設けられた活性領域と、前記活性領域の周囲を囲むエッジ終端領域と、前記エッジ終端領域の周囲を囲むダイシングラインと、を有し、前記活性領域は第1導電型領域と第2導電型領域からなる異なる導電型の接合を少なくとも1つ備え、該異なる導電型の接合より前記第2主面の側となるように前記エッジ終端領域と前記ダイシングラインとの間の前記第1主面の側に設けられた段差面を備え、前記段差面は光透過率が低い第1の保護膜で覆われていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記活性領域は、絶縁ゲートを備えたMOS型半導体装置であって、前記第1導電型領域はドリフト領域であり、前記第2導電型領域はベース領域であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の保護膜は、前記段差面に加えて、前記エッジ終端領域の第1主面側に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の保護膜は、可視光波長領域の光透過率が、5%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の保護膜は、青色より波長が短い可視光の透過率が、5%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の保護膜は紫外光の透過率が5%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の保護膜は、ポリイミドによる有機膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の保護膜はノンドープのポリシリコンまたはアモルファスシリコンによる無機膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の保護膜は、膜厚が10μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記段差面において、前記半導体基板と、前記第1の保護膜との間に、第2の保護膜をさらに設けることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2の保護膜は、膜厚が10μm以上であることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2の保護膜は、ポリイミド等で形成される有機膜であることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2の保護膜は、ノンドープのポリシリコンまたはアモルファスシリコンによる無機膜であることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイドバンドギャップ半導体を用いた半導体装置において、半導体チップのpn接合で発生する光による封止樹脂の劣化を防ぐため、半導体チップと封止樹脂間に、封止樹脂を劣化させる特定の波長を有する光を遮断する機能領域を備える半導体装置が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6892997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体チップ内において電子と正孔が再結合し発生する光によるチップ側端部の封止樹脂の劣化を抑制することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明に係る半導体装置は次の特徴を有する。
【0006】
ワイドバンドギャップ半導体からなり、第1主面と第2主面とを有する半導体基板と、前記半導体基板の第1主面側からみて中央部に設けられた活性領域と、前記活性領域の周囲を囲むエッジ終端領域と、前記エッジ終端領域を囲むダイシングラインと、を有し、前記活性領域は第1導電型領域と第2導電型領域からなる異なる導電型の接合を少なくとも一つ備え、該異なる導電型の接合より前記第2主面の側となるように前記エッジ終端領域と前記ダイシングラインとの間の前記第1主面の側に設けられた段差面を備え、前記段差面は光透過率が低い第1の保護膜で覆われていることを特徴とする。
【0007】
前記活性領域は絶縁ゲートを備えたMOS型半導体装置であって、前記第1導電型領域はドリフト領域であり、前記第2導電型領域はベース領域である。
【0008】
前記第1の保護膜は、前記段差面に加えて、前記エッジ終端領域の第1主面側に設けられることを特徴とする。
【0009】
前記第1の保護膜は、可視光波長領域の光透過率が5%以下であることを特徴とする。
【0010】
前記第1の保護膜は、青色より波長の短い可視光の透過率が5%以下であることを特徴とする。
【0011】
前記第1の保護膜は、紫外光の透過率が5%以下であることを特徴とする。
【0012】
前記第1の保護膜は、ポリイミドによる有機膜であることを特徴とする。
【0013】
前記第1の保護膜はノンドープのポリシリコンまたはアモルファスシリコンによる無機膜であることを特徴とする。
【0014】
前記第1の保護膜は、膜厚が10μm以上であることを特徴とする。
【0015】
前記段差面において、前記半導体基板と、前記第1の保護膜との間に、第2の保護膜をさらに設けることを特徴とする。
【0016】
前記第2の保護膜は、膜厚が10μm以上であることを特徴とする
前記第2の保護膜は、ポリイミド等で形成される有機膜であることを特徴とする。
【0017】
前記第2の保護膜は、ノンドープのポリシリコンまたはアモルファスシリコン等の無機膜であることを特徴とする。
【0018】
上記の発明によれば、半導体装置において、耐圧構造が設けられるエッジ終端領域と、エッジ終端領域を囲むように設けられるダイシングラインとの間に段差面が形成される。段差面には、半導体装置内で発生した光を遮断する第1の保護膜が設けられる。半導体装置内で発生する光は主にチップ側面のドリフト領域から放出されるため、チップ側面側のドリフト領域を覆うように第1の保護膜を少なくとも設けることで、チップ側面側の封止樹脂やゲルの特性劣化を防ぐことができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる半導体装置によれば、半導体チップ内で電子と正孔が再結合し発する光により封止樹脂が劣化することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示した断面図である。
図2】実施の形態1にかかる半導体装置の他の態様を示した断面図である。
図3】実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示した断面図である。
図4】実施の形態2にかかる半導体装置の他の態様を示した断面図である。
図5】実施の形態3にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。
図6】比較例とした半導体装置の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置の好適な実施の形態を説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。+および-を含めたnやpの表記が同じ場合は近い濃度であることを示すが、濃度が同等とは限らない。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
本明細書においては、半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称し、半導体基板の深さ方向と垂直な方向を「横方向」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は、重力方向または半導体装置の実装時における方向に限定されない。
【0023】
半導体基板の深さ方向における中心から、半導体基板の上面までの領域を、上面側と称する場合がある。同様に、半導体基板の深さ方向における中心から、半導体基板の下面までの領域を下面側と称する場合がある。
【0024】
本明細書において「同等」または「等しい」のように称した場合、製造ばらつき等に起因する誤差を含んでもよい。当該誤差は、例えば10%以内である。
【0025】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる半導体装置の構造について説明する。図1は、実施の形態1にかかる半導体装置10の構造を示す断面図である。一例として、半導体装置10は、MOSFETである。半導体装置10は、シリコン(Si)よりバンドギャップの広いワイドバンドギャップ半導体からなる半導体基板40を有し、半導体基板40において、活性領域1と、エッジ終端領域2と、ダイシングライン3と、を備える。
【0026】
半導体基板40は例として、炭化珪素からなる。半導体基板40は、n+型出発基板41と、n+型出発基板41に接して形成されるn-型炭化珪素層42からなる。半導体基板40は、n-型炭化珪素層42側の主面をおもて面(第1主面)とし、n+型出発基板41側の主面を裏面(第2主面)とする。また、半導体装置10において、n+型出発基板41はn+型ドレイン領域11となり、n-型炭化珪素層42はn-型ドリフト領域12となる。
【0027】
活性領域1は半導体基板40の略中央に設けられ、エッジ終端領域2は活性領域1の外周を囲むように設けられる。また、ダイシングライン3はエッジ終端領域2の外周を囲むように設けられ、活性領域1と横方向に対向して位置するチップ端部52で終端する。
【0028】
半導体基板40は、活性領域1とエッジ終端領域2のおもて面全域にわたって略平坦でもよい。略平坦とは、プロセスばらつきによる許容誤差を含む範囲で水平面であることを意味する。
【0029】
活性領域1には、MOSFETの同一機構(素子構造)の複数の単位セルが隣接して配置された活性領域中央部1aが設けられる。活性領域中央部1aは、MOSFETのオン時に主電流(ドリフト電流)が流れる領域である。また、活性領域中央部1aを囲むように活性領域周縁部1bが設けられる。活性領域周縁部1bは、半導体装置10のオフ時に、エッジ終端領域2での正孔電流集中を抑制するための領域であり、MOSFETの同一機構(素子構造)の複数の単位セルは設けられない。
【0030】
活性領域1において、半導体基板40の内部で第1主面に接し、かつn-型ドリフト領域12と接するようにp型ベース領域13が設けられる。p型ベース領域13は、半導体基板40のおもて面とn-型ドリフト領域12との間の全域に設けられてよい。
【0031】
活性領域中央部1aにはトレンチゲート構造が設けられている。トレンチゲート構造は、p型ベース領域13、n+型ソース領域14、p++型コンタクト領域15、トレンチ16、ゲート絶縁膜17、およびゲート電極18で構成された同一の単位セルを複数並べて接続した構造である。p型ベース領域13、n+型ソース領域14およびp++型コンタクト領域15は、n-型炭化珪素層42の内部にイオン注入により形成された拡散領域である。
【0032】
n+型ソース領域14およびp++型コンタクト領域15は、半導体基板40のおもて面とp型ベース領域13との間にそれぞれ選択的に設けられ、第2主面側(下面側)でp型ベース領域13に接する。n+型ソース領域14は、活性領域中央部1aのp++型コンタクト領域15に接して設けられている。n+型ソース領域14およびp++型コンタクト領域15はおもて面側でソース電極26に接触する。
【0033】
活性領域1において、半導体基板40のおもて面に接するように層間絶縁膜19が設けられる。
【0034】
ソース電極26は、層間絶縁膜19のコンタクトホールを埋め込むように、層間絶縁膜19上に設けられている。ソース電極26は活性領域中央部1aの全域に設けられてよく、ソース電極26はn+型ソース領域14、p++型コンタクト領域15、p型ベース領域13、およびp+型領域21、22に電気的に接続されている。
【0035】
p型ベース領域13とn-型ドリフト領域12との間において、トレンチ16の底面よりもn+型ドレイン領域11側(第2主面側)に深い位置に、トレンチ下のp+型領域21(以下、p+型領域21)と、ゲート電極間のp+型領域22(以下、p+型領域22)が選択的に設けられている。
【0036】
p+型領域21は、トレンチ16の底面でゲート絶縁膜17に接してもよいし、トレンチ16の底面から離れていてもよい。p+型領域21の幅はトレンチ16の幅と同じか、またはトレンチ16の幅より広くてもよい。
【0037】
p+型領域22は、互いに隣り合うトレンチ16間に、p+型領域21およびトレンチ16と離れて設けられている。p+型領域22は、上面でp型ベース領域13に接し、p型ベース領域13を介してソース電極26と電気的に接続されている。p+型領域22は、深さ方向に、n-型炭化珪素層42の内部でおもて面側に形成される上部p+型領域24と、n-型炭化珪素層42の内部で下面側に形成される下部p+型領域23と、が隣接して2層として形成してよく、同時に形成された1層としてもよい。
【0038】
p+型領域21、22は、ソース電極26の電位に固定されており、半導体装置10のオフ時に空乏化して、ゲート絶縁膜17にかかる電界を緩和させる効果を有する。p+型領域21は、p型ベース領域13と離して設けられ、深さ方向にトレンチ16の底面と対向する。また、p+型領域21は図示省略する部分でp+型領域22に接続する箇所を有しており、ソース電極26と電気的に接続される。
【0039】
n-型ドリフト領域12は、p型ベース領域13および、p+型領域21、22に接し、かつトレンチ16のゲート絶縁膜17に接してよい。
【0040】
半導体装置10はp型ベース領域13とn-型ドリフト領域12との間において、トレンチ16の底面よりもn+型ドレイン領域11側に深い位置に、キャリアの広がり抵抗を低減させるn型電流拡散領域(不図示)を設けてもよい。n型電流拡散領域は、p+型領域21、22よりもn+型ドレイン領域11側に深い位置に達してよい。
【0041】
n型電流拡散領域を設ける場合、互いに隣り合うp+型領域21、22間において、これらの領域に接し、かつ半導体基板40のおもて面に平行な方向に延在してトレンチ16まで達し、ゲート絶縁膜17に接する。また、n型電流拡散領域は、おもて面側でp型ベース領域13に接し、下面側でn-型ドリフト領域12に接する。
【0042】
p+型領域21、22は下面側においてn-型ドリフト領域12(n型電流拡散層を設ける場合はn型電流拡散領域)に達し、第1のpn接合(内蔵ダイオード61)を形成する。第1のpn接合(内蔵ダイオード61)で順方向電流が流れると、電子と正孔が再結合し、青色光60(青色より波長が短い紫外光を含む)が発生する。
【0043】
活性領域周縁部1bは、活性領域1において活性領域中央部1aの周囲を略矩形状に囲む領域であり、活性領域中央部1aの最も外側に設けられた、MOSFETの単位セルの外側よりチップ端部52側の領域を指す。
【0044】
活性領域周縁部1bには、n-型ドリフト領域42内に半導体基板おもて面側から、深さ方向に隣接して、p++型コンタクト領域15、p型ベース領域13およびp+型延在領域24a、p+型延在領域23aが設けられる。これらの領域は、活性領域中央部1aのp++型コンタクト領域15、p型ベース領域13、およびゲート電極間の下部p+型領域23、ゲート電極間の上部p+型領域24を延在させた領域である。上記の複数のp型領域で、n-型炭化珪素層42のおもて面と、n-型ドリフト領域12との間にp型外周領域25が構成される。
【0045】
活性領域周縁部1bのp型外周領域25は、活性領域中央部1aを囲むように形成されてよい。p型外周領域25は、半導体装置10のオフ時にエッジ終端領域2のn-型ドリフト領域12で発生して、活性領域1に向かって流れるホール電流をソース電極26へ引き抜くための領域である。MOSFETのオフ時にエッジ終端領域2で発生した正孔電流は、p型外周領域25を経由してソース電極26へ引き抜かれることで、エッジ終端領域2でのアバランシェ降伏時の正孔電流集中が抑制される。
【0046】
p型外周領域25は、n-型ドリフト領域12と第2のpn接合(内蔵ダイオード61)を形成する。第2のpn接合(内蔵ダイオード61)で順方向電流が流れると、電子と正孔が結合し、青色光60が発生する。
【0047】
エッジ終端領域2は、半導体基板40において活性領域1の外周に設けられ、p++型コンタクト領域15、p型ベース領域13、およびn型ソース領域14が除去された領域である。また、エッジ終端領域2では、半導体基板40のおもて面に接するように層間絶縁膜19が形成されている。
【0048】
エッジ終端領域2には、半導体基板40の上面側の電界を緩和する耐圧構造30が設けられる。耐圧構造30は例えば、接合終端(JTE:Junction Termination Extension)構造を構成するp型領域や、ガードリング、フィールドプレート、またはリサーフ等の耐圧構造が設けられてよい。本説明においては、例えばJTE構造を空間変調構造とした空間変調JTE構造とし、半導体基板40のおもて面に選択的に設けられた複数のp型領域31および複数のp-型領域32で構成される。複数のp型領域31および複数のp-型領域32はn-型炭化珪素層42の表面領域にイオン注入により形成された拡散領域である。
【0049】
複数のp型領域31は、活性領域1の周囲を囲む同心状に互いに離れて配置されている。外側に配置されたp型領域31ほど、幅(半導体装置の内側から外側へ向かう横方向の幅)が狭く、かつ内側に隣り合うp型領域31との間隔が広い。最も内側のp型領域31は、p++型コンタクト領域15の外側に隣接して配置される。
【0050】
複数のp-型領域32は、活性領域1の周囲を囲む同心状に互いに離れて配置されている。外側に配置されたp-型領域32ほど幅(横方向の幅)が狭く、かつ内側に隣り合うp-型領域32との間隔が広い。最も外側のp-型領域32の幅は、内側に隣りあうp-型領域32の幅より広くてもよい。最も内側のp-型領域32の幅は、互いに隣り合うすべてのp型領域31間に配置され、横方向に両側のp型領域31に隣接して、すべてのp型領域31の底部のコーナー部を囲む。
【0051】
最も内側のp-型領域32の内側端部は、最も内側のp型領域31の内側端部と同じ位置か、または最も内側のp型領域31の内側端部よりも外側で終端している。最も内側のp-型領域32以外のp-型領域32は、p型領域31よりも外側に配置される。n-型ドリフト領域12は、互いに隣り合うすべてのp-型領域32間に延在して半導体基板40のおもて面に達し、横方向に両側のp-型領域32に隣接する。
【0052】
また、半導体基板40のおもて面の、耐圧構造30よりチップ端部52側にn+型チャネルストッパ領域33が設けられる。n+型チャネルストッパ領域33は、n-型炭化珪素層42の表面領域にイオン注入により形成された拡散領域である。n+型チャネルストッパ領域33は、耐圧構造30と離して設けられ、耐圧構造30の周囲を囲むように設けられる。
【0053】
n+型チャネルストッパ領域33はフローティング(浮遊)電位を有し、下面側がn-型炭化珪素層42、上面側が層間絶縁膜19に接する。エッジ終端領域2において、n+型チャネルストッパ領域33に代えて、p+型チャネルストッパ領域が設けられてもよい。
【0054】
エッジ終端領域2では、半導体基板40のおもて面に接するように層間絶縁膜19が形成される。
【0055】
ダイシングライン3は、半導体基板40において、エッジ終端領域2の外周に設けられる。ダイシングライン3のおもて面は、エッジ終端領域2のおもて面より第2主面側で略平坦に設けられており、エッジ終端領域2とダイシングライン3の境界にはn-型炭化珪素層42とn+型チャネルストッパ領域33が半導体チップ側面側(チップ端部52側)で露出するように段差面51が形成される。
【0056】
段差面51はエッジ終端領域2のおもて面に対して垂直でよく、n+型チャネルストッパ領域33とn-型炭化珪素層42が露出するように設けられる。段差面51の最深部はn-型炭化珪素層42内で終端するか、もしくはn+型出発基板41とn-型炭化珪素層42との界面に到達するように設けられる。また、ダイシングライン3のおもて面は段差面51と同じ深さに設けられる。
【0057】
段差面51の表面(n+型チャネルストッパ領域33とn-型炭化珪素層42が露出した領域)全域に接するように、第1の保護膜34(不透明の保護膜)が形成されてよい。ここでの不透明とは、青色光60を遮蔽し、透過しないことであり、半導体装置外部へ向かう青色光60が、半導体装置の外部に漏れることを防ぐことができる。
【0058】
第1の保護膜34は、例えば黒い保護膜であり、有機膜の黒いポリイミド膜で形成される。黒いとは、上記青色光60を含む光を透過しないことである。
【0059】
ここで、光を透過しないとは、第1の保護膜34において、可視光波長領域(400nm~780nm)の光透過率が、規定の値以下となることである。第1の保護膜34は、可視光波長領域の光透過率が5%以下であればよく、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下であるのがよい。
【0060】
第1の保護膜34において、可視光波長領域の光透過率を5%以下とすることで、半導体装置内部で発生する青色光60が半導体装置の外部に漏れることを抑制できる。
【0061】
半導体装置内部で発生する青色光60は、可視光の青色より波長が短い領域(400nm~490nm)の光を、少なくとも含む。従って、第1の保護膜34は、可視光の青色より波長が短い光透過率が低いことが望ましい。第1の保護膜34は、可視光の青色波長領域より波長が短い光透過率が5%以下であるのがよく、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下であるのがよい。
【0062】
また、半導体装置内部で発生する青色光60は、可視光より波長が短い紫外光(390nmピーク)を含む。従って、第1の保護膜34は、可視光線よりも波長の短い紫外光(400nm以下)の透過率が低いことが望ましい。紫外光の透過率は例えば5%以下であるのがよく、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下であるのがよい。
【0063】
黒いポリイミド膜は、ポリイミドに酸素(O2)を注入することで作成できる。また、黒いポリイミド膜は、ポリイミド塗布後、キュア温度を400℃以上にすることで作成できる。また、黒いポリイミド膜は、酸素を注入しない感光性膜としてもよく、15μm以上の厚さにすることで作成できる。
【0064】
黒いポリイミド膜は、ポリイミドにカーボンブラック、もしくはチタンブラックを含ませて形成してもよい。
【0065】
また、段差面51の表面と第1の保護膜34(不透明の保護膜)との間に第2の保護膜36(半透明の保護膜)を設けて良い。ここでの半透明とは、少なくとも青色光60を完全に遮蔽せず、青色光60のすべて、もしくは一部を透過することである。
【0066】
第2の保護膜36は有機膜としてポリイミド等を用いてよく、ここでは、例えば半透明のポリイミド膜が形成される。
【0067】
第2の保護膜36は、上記の通り、半導体装置10内で発生する青色光60の少なくとも一部を透過する。したがって、青色光60が半導体装置10の外部に漏れることを防止するためには、第2の保護膜36(半透明の保護膜)の表面に、第1の保護膜34(不透明の保護膜)を設ける必要がある。
【0068】
第1の保護膜34と、第2の保護膜36は例えば、ノンドープのポリシリコン膜やアモルファスシリコン膜等の無機膜であってもよい。ノンドープのポリシリコン膜は抵抗が高ければよいので、完全にノンドープである必要はなく、例えば正味の不純物量が1×1015/cm以下であればよい。また、第1、第2の保護膜は、それぞれ絶縁性を確保するため、10μm以上の厚さで形成されることが好ましく、パターニング精度を上げるため20μm以下で形成されることが好ましい。
【0069】
活性領域周縁部1bの内蔵ダイオード61で発生した青色光60は、主に半導体装置の内側から外側へ向かう横方向に、半導体基板表面と平行に進み、n-型炭化珪素層42の側面(段差面51)から外部に漏れる。
【0070】
エッジ終端領域2におけるn-型炭化珪素層42のおもて面から段差面51の最深部(ダイシングライン3が露出する位置)までの深さをd1とし、n-型炭化珪素層42のおもて面から、第1のpn接合、もしくは第2のpn接合のいずれかで、半導体基板40の第2主面側に近い位置に形成される方との深さ方向(半導体基板40のおもて面に対して垂直な方向)の距離をd2とする。青色光60はpn接合の界面から発生し、横方向に進むため、段差面51の深さd1は、d2より深く設定されることが好ましい。例として、トレンチゲート構造を有するMOSFETの場合、トレンチ深さを約1μmに設定することが多く、青色光60はトレンチにかかる電界を保護するp型領域20から注入される正孔が基板であるn+領域に到達するまでに電子と再結合することで生じる。そのため、段差面51の深さは少なくとも1μm以上であることが好ましい。
【0071】
青色光60は、上記の通りp型領域20とn+型出発基板41との間で発生し、主にn-型炭化珪素層42の側面から漏れるため、段差面51の深さd1を、n-型炭化珪素層42のおもて面から、n-型炭化珪素層42とn+型出発基板41との界面までの距離と等しくすることが、より好ましい。
【0072】
段差面51が形成される深さを上記のように設定し、第1の保護膜34を段差面51の表面側に形成することで、段差面51から漏れる青色光60を遮断することが可能となる。
【0073】
第1の保護膜34は、少なくとも段差面51の表面に設けられることが好ましい。また、第1の保護膜34はエッジ終端領域2において、層間絶縁膜19上にも設けられることが好ましい。これにより、半導体装置10のエッジ終端領域2のおもて面から、青色光60が漏れることを抑制できる。
【0074】
第1の保護膜34は、ダイシングライン3(段差面51よりチップ端部側52寄りで半導体基板40が略平坦に露出した領域)に接するようにチップ端部52側に延在して設けられてもよい。また、半導体チップ(半導体基板40)の切断時を考慮し、ダイシングライン3のおもて面において、チップ端部52から活性領域1側に向かい10~80μm程度、層間絶縁膜19、第1の保護膜34、第2の保護膜36等の各種保護膜が設けられない領域が設けられることが好ましい。
【0075】
活性領域1とエッジ終端領域2において、半導体素子内部へのイオン拡散を防止し、半導体素子を絶縁するため、層間絶縁膜19の上面側に接するように第2の保護膜36が形成されてよい。
【0076】
半導体装置10は、絶縁保護のため、封止樹脂(不図示)によって全体を覆われる。封止樹脂(不図示)は、熱硬化性樹脂組成物から構成することができ、特には高耐熱性の熱硬化性樹脂組成物から構成することが好ましい。熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂主剤を含み、任意選択的に、無機充填材、硬化剤、硬化促進剤、及び必要な添加剤を含んでいてもよい。
【0077】
上記の通り、少なくとも段差面51の表面上に第1の保護膜34を設けることで、pn接合から発生し横方向に進む青色光60が、第1の保護膜34で遮蔽される。これにより、青色光60がチップ側面側の封止樹脂に達することがなくなり、封止樹脂の劣化を抑制できる。このため、封止樹脂と第1の保護膜34との密着性は良好となり、層間絶縁膜19等の膜質の特性劣化はなく、半導体装置10の信頼性が高くなる。
【0078】
図2は、活性領域中央部1aがプレーナゲート構造を有する場合を示しており、活性領域1以外の構造は図1に示した構造と共通である。プレーナゲート構造は、p型ベース領域13、n+型ソース領域14、ゲート絶縁膜17、およびゲート電極18で構成される。p型ベース領域13は、活性領域中央部1aにおいて半導体基板40のおもて面とn-型ドリフト領域12との間に設けられ、活性領域周縁部1bで終端している。
【0079】
隣り合うゲート電極18間において、p型ベース領域13の下面側に接し、かつn-型ドリフト領域12内で終端するようにp+型領域20が設けられる。p+型領域20はソース電極26の電位に固定されており、半導体装置10のオフ時の電流を、p+型領域20、およびp型ベース領域13を経由しソース電極26に引き抜くことでゲート絶縁膜17にかかる電界を緩和させる効果を有する。
【0080】
活性領域周縁部1bには、n-型ドリフト領域12内に半導体基板おもて面側から、深さ方向に隣接して、p++型コンタクト領域15、p型ベース領域13およびp+型延在領域24a、p+型延在領域23aが設けられる。これらの領域は、活性領域中央部1aのp++型コンタクト領域15、p型ベース領域13、およびゲート電極間の下部p+型領域23、ゲート電極間の上部p+型領域24を延在させた領域である。上記の複数のp型領域で、n-型炭化珪素層42のおもて面と、n-型ドリフト領域12との間にp型外周領域25が構成される。
【0081】
p+型領域20の下面側は、n-型ドリフト領域12とで第1のpn接合(内蔵ダイオード61)を形成し、p型外周領域25の下面側は、n-側ドリフト領域12とで第2のpn接合(内蔵ダイオード61)を形成する。第1のpn接合、および第2のpn接合では、順方向電流が流れた際に青色光60が発生する。
【0082】
エッジ終端領域2におけるn-型炭化珪素層42のおもて面から段差面51の最深部(ダイシングライン3が露出する位置)までの深さをd1とし、n-型炭化珪素層42のおもて面から、第1のpn接合、第2のpn接合のいずれかで、半導体基板40の第2主面側に近い位置に形成される方との深さ方向(半導体基板40のおもて面に対して垂直な方向)の距離をd3とする。青色光60はpn接合の界面から発生し、主に横方向に漏れるため、段差面51の深さd1は、d3より深く設定されることが好ましい。
【0083】
青色光60は、上記の通り、主にn-型炭化珪素層42の側面(チップ端部52側)から漏れるため、段差面51の深さd1を、n-型炭化珪素層42のおもて面から、n-型炭化珪素層42とn+型出発基板41との界面までの距離と等しくすることが、より好ましい。
【0084】
実施の形態1にかかる半導体装置10では、第1の保護膜34および第2の保護膜36が活性領域1にも設けられてよいが、ソース電極26が配置される箇所は第1、2の保護膜を設ける必要がない。これは、ソース電極26が青色光60を遮るため、封止樹脂に対する影響を抑えることができるためである。
【0085】
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる半導体装置について説明する。図3、4は実施の形態2にかかる半導体装置10の構造を示す断面図である。図3、4における半導体装置10は、エッジ終端領域2における半導体基板40のおもて面が、活性領域1における半導体基板40のおもて面より低く形成される。エッジ終端領域2は、p++型コンタクト領域15と、p型ベース領域13とが除去された深さだけ、活性領域1より低く形成される。図3に記載の構造は、上記の構造以外において、図1に記載のトレンチゲート構造を有する半導体装置10と同様である。また、図4に記載の構造も、活性領域1とエッジ終端領域2との間に段差が形成されること以外は、図2に記載のプレーナゲート構造を有する半導体装置10と同様である。
【0086】
図3に記載の半導体装置は、エッジ終端領域2におけるn-型炭化珪素層42のおもて面から段差面51の最深部(ダイシングライン3が露出する位置)までの深さをd4とし、n-型炭化珪素層42のおもて面から、第1のpn接合、第2のpn接合のいずれかで、半導体基板40の第2主面側に近い位置に形成される方との深さ方向(半導体基板40のおもて面に対して垂直な方向)の距離をd5とする。段差面51の深さd4は、d5より深く設定されることが好ましく、n-型炭化珪素層42のおもて面から、n-型炭化珪素層42とn+型出発基板41との界面までの距離と等しくすることが、より好ましい。
【0087】
図4に記載の半導体装置は、エッジ終端領域2におけるn-型炭化珪素層42のおもて面から段差面51の最深部(ダイシングライン3が露出する位置)までの深さをd4とし、n-型炭化珪素層42のおもて面から、第1のpn接合、第2のpn接合のいずれかで、半導体基板40の第2主面側に近い位置に形成される方との深さ方向(半導体基板40のおもて面に対して垂直な方向)の距離をd6とする。段差面51の深さd4は、d6より深く設定されることが好ましく、n-型炭化珪素層42のおもて面から、n-型炭化珪素層42とn+型出発基板41との界面までの距離と等しくすることが、より好ましい。
【0088】
(実施の形態3)
実施の形態3にかかる半導体装置について説明する。図5は実施の形態3にかかる半導体装置10の構造を示す断面図である。図5に示す実施の形態3に係る半導体装置10は、実施の形態1、2に示す半導体装置10と比較して、段差面51をより深く設けた構造である。本構造では、段差面51とチップ端部52との間の領域でn-型炭化珪素層42がすべて除去され、またn+型出発基板41の一部も除去される。
【0089】
また、実施の形態3にかかる半導体装置は、段差面51より活性領域1側(中央側)の領域において、実施の形態1に記載の半導体装置と同一の構造でよく、実施の形態2に記載の半導体装置と同一の構造でもよい。一例として、図5に記載の半導体装置は、活性領域1とエッジ終端領域2において、図1に記載の半導体装置と同一の構造である。
【0090】
段差面51には、段差面51に接するように第2の保護膜36(半透明の保護膜)が設けられ、その表面に接するように第1の保護膜34(不透明の保護膜)が設けられる。また、段差面51に接するように第1の保護膜34を設け、第2の保護膜36を設けない構成としてもよい。
【0091】
段差面51の最深部が、n+型出発基板41とn-型炭化珪素層42との界面より第2主面側に設けられる場合、第2の保護膜36はダイシングライン3のおもて面において、チップ端部52側に延在するように設けられてよい。また、ダイシングライン3のおもて面に延在する第2の保護膜36の表面に接するように第1の保護膜34が設けられてよい。
【0092】
ダイシングライン3のおもて面において、延在するように設けられた第2の保護膜36の上面(おもて面)は、n+型出発基板41とn-型炭化珪素層42との界面より、第2主面側に設けられることが好ましい。上記の構造により、ダイシングライン3のおもて面に延在する第2の保護膜36がチップ端部52側に露出しても、n-型炭化珪素層42の側面は第1の保護膜34に覆われているため、青色光60が漏れることを抑制できる。
【0093】
(比較例とした構造)
図6は比較例とした半導体装置の断面図である。比較例とした半導体装置110はn+型出発基板141と、n+型出発基板141のおもて面に接するように設けられたn-型炭化珪素層142とで形成される半導体基板140を有する。
【0094】
半導体装置110は、半導体基板140の略中央に設けられる活性領域101と、活性領域101を囲むように設けられるエッジ終端領域102と、エッジ終端領域102を囲むように設けられるダイシングライン103と、を有する。
【0095】
半導体装置110は、活性領域101と活性領域周縁部102において、半導体基板140のおもて面より上の構造を除き、本発明にかかる半導体装置と同様の構造を有している。本例では、一例として実施の形態1の図1に記載の、トレンチゲート構造を有する半導体装置10と同様である。
【0096】
半導体装置110は、半導体基板140のおもて面全域において、層間絶縁膜119が設けられてよい。また、活性領域101、およびエッジ終端領域102では、半導体装置内部へのイオン拡散を防止し、半導体装置を絶縁するため、層間絶縁膜119の上面側に接するように保護膜134(半透明の保護膜)が設けられる。
【0097】
比較例とした半導体装置110の保護膜134は、ポリイミド等の有機膜や、ノンドープのポリシリコン、またはアモルファスシリコン等の無機膜である。
【0098】
半導体装置110のエッジ終端領域102では、半導体基板140のおもて面とn-型ドリフト領域142との間で耐圧構造130よりもチップ端部152寄りにチャネルストッパ領域133が選択的に設けられる。
【0099】
チャネルストッパ領域133は、エッジ終端領域102からダイシングライン103のチップ端部152まで延在し、チップ端部152において露出する。また第1の保護膜134は半導体装置110の切断を考慮し、n+型チャネルストッパ領域133のおもて面側で終端する。
【0100】
半導体装置110のおもて面において、エッジ終端領域102とチップ端部52との間で、第1の保護膜134が形成されない領域がダイシングライン103である。
【0101】
半導体装置110の活性領域中央部101aおよび、活性領域周縁部101bでは、本発明にかかる半導体装置と同様にp型ベース領域、n-型ドリフト領域等からなる内蔵ダイオード161を有している。MOSFETをFWDやダイオードとして使用し、内蔵ダイオードがオン状態となると、電導度変調による電子と正孔の再結合により、pn接合から青色光160が発生し、主に活性領域101からエッジ終端領域102へ向かう横方向に進む。半導体装置110のチップ端部52では層間絶縁膜119、チャネルストッパ領域133、n-型ドリフト領域142、n+型出発基板141が露出しているため、青色光160はn-型ドリフト領域142から、半導体装置110の外側に設けられる封止樹脂(不図示)に容易に到達する。この青色光160が封止樹脂の劣化を引き起こし、半導体装置110と封止樹脂の密着性、または封止樹脂の寿命が悪化する可能性があった。
【0102】
本発明にかかる半導体装置によれば、エッジ終端領域2の耐圧構造30よりチップ端部52側に段差面51を設け、該段差面に第2の保護膜36(半透明の保護膜)と、第1の保護膜34(不透明の保護膜)を設けることで、チップ側面側(チップ端部52側)からの青色光60が漏れることを抑制できる。青色光が封止樹脂に到達することが抑制されることで、封止樹脂と保護膜の密着性低下、および封止樹脂の寿命低下を抑制することができる。
【0103】
本発明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能であり、上述した各実施の形態において、各部の寸法や不純物濃度等は要求される仕様により設定されてよい。例えば不透明の保護膜として、ポリシリコン膜だけでなく、アモルファスシリコン膜を用いてもよく、さらには、バンドギャップが2eV以下の半導体を用いてもよい。また、各実施の形態では半導体として炭化珪素(SiC)を用いたが、これに代えて窒化ガリウム(GaN)等にも適用可能である。また、各実施の形態ではMOSFETを例に説明したが、内部にpn接合を有する半導体装置、例えばIGBT、pnダイオード、Junction Barrier Schottky(JBS)構造を採用したショットキーバリアダイオード(SBD:Schottky Barrier Diode)にも適用可能である
【産業上の利用可能性】
【0104】
以上のように、本発明に係る半導体装置は、産業用機械や自動車等に用いられる電力変換装置や電源装置等に使用されるパワー半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0105】
1、101 活性領域
1a、101a 活性領域中央部
1b、101b 活性領域周縁部
2、102 エッジ終端領域
3、103 ダイシングライン
10、110 半導体装置
11、111 n+型ドレイン領域
12、112 n-型ドリフト領域
13、113 p型ベース領域
14、114 n+型ソース領域
15、115 p++型コンタクト領域
16、116 トレンチ
17、117 ゲート絶縁膜
18、118 ゲート電極
19、119 層間絶縁膜
20、120 p+型領域
21、121 トレンチ下のp+型領域
22、122 ゲート電極間のp+型領域
23、123 ゲート電極間の下部p+型領域
23a、123a p+型延在部の下部
24、124 ゲート電極間の上部p+型領域
24a、124a p+型延在部の上部
25、125 p型外周領域
26、126 ソース電極
30、130 耐圧構造
31、131 耐圧構造の第1のp型領域
32、132 耐圧構造の第2のp型領域
33、133 チャネルストッパ領域
34 第1の保護膜
134 半透明の保護膜
36 第2の保護膜
40、140 半導体基板
41、141 n+型出発基板
42、142 n-型炭化珪素層
45、145 ドレイン電極
51 段差面
52、152 チップ端部
60 青色光
61、161 内蔵ダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項11
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項11】
前記第2の保護膜は、膜厚が10μm以上であることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項12
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項12】
前記第2の保護膜は、ポリイミド等で形成される有機膜であることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項13
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項13】
前記第2の保護膜は、ノンドープのポリシリコンまたはアモルファスシリコンによる無機膜であることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。