(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171610
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/07 20060101AFI20241205BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20241205BHJP
F16N 21/00 20060101ALI20241205BHJP
F16C 29/06 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B66F9/07 C
B65G1/04 531B
B66F9/07 Z
F16N21/00
F16C29/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088708
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】川島 智彦
【テーマコード(参考)】
3F022
3F333
3J104
【Fターム(参考)】
3F022JJ07
3F022MM11
3F333AA04
3F333AB07
3F333BD05
3F333BG03
3F333DA02
3F333DB05
3J104AA03
3J104AA23
3J104AA65
3J104AA69
3J104AA74
3J104AA76
3J104BA80
3J104DA05
3J104EA04
(57)【要約】
【課題】容易にリニアガイドブロックにグリスを注入することができる搬送装置を実現する。
【解決手段】搬送装置(1)は、支柱(10)と、搬送対象物を搭載可能であり、支柱(10)に沿って昇降する昇降部(30)と、を備え、支柱(10)には、リニアガイドレール(12)が敷設されており、昇降部(30)には、リニアガイドレール(12)に直線移動可能に係合するリニアガイドブロック(34)と、リニアガイドブロック(34)に供給されるグリスをリニアガイドブロック(34)から離間した位置から注入可能とする注入部(60)が設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、
搬送対象物を搭載可能であり、前記支柱に沿って昇降する昇降部と、を備え、
前記支柱には、
リニアガイドレールが敷設されており、
前記昇降部には、
前記リニアガイドレールに直線移動可能に係合するリニアガイドブロックと、
前記リニアガイドブロックに供給されるグリスを前記リニアガイドブロックから離間した位置から注入可能とする注入部が設けられている、搬送装置。
【請求項2】
前記注入部の前記グリスの注入口は前記リニアガイドレールから離間する方向に開口している、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記支柱を2式備え、
前記昇降部は、2式の前記支柱の間に配置されており、
前記注入口は、一方の前記支柱から他方の前記支柱に向かう方向に開口している、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記注入部は、前記リニアガイドブロックに接続された管部材から構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記管部材の終端で前記グリスの注入口が開口している、請求項4に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に開示されているように、マスト(支柱)に沿って昇降する昇降部に物品を搭載し搬送する搬送装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような搬送装置において、昇降部をマストに沿って滑らかに昇降可能とするために、マストにリニアガイドレールを敷設し、リニアガイドレールに直線移動可能に係合するリニアガイドブロックを昇降部に設けることが行われている。リニアガイドブロックに対してグリスを切らさないように適宜注入するメンテナンスが必要となる。
【0005】
しかしながら工場や倉庫等に設置されたこのような搬送装置において、グリスの注入のためにリニアガイドブロックにアクセスすることは必ずしも容易ではなく、メンテナンス性の改善が求められる。
【0006】
本発明の一態様は、容易にリニアガイドブロックにグリスを注入することができる搬送装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る搬送装置は、支柱と、搬送対象物を搭載可能であり、前記支柱に沿って昇降する昇降部と、を備え、前記支柱には、リニアガイドレールが敷設されており、前記昇降部には、前記リニアガイドレールに直線移動可能に係合するリニアガイドブロックと、前記リニアガイドブロックに供給されるグリスを前記リニアガイドブロックから離間した位置から注入可能とする注入部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、容易にリニアガイドブロックにグリスを注入することができる搬送装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る搬送装置を示す斜視図である。
【
図3】上記昇降部の本体部及び第1フレームを除いた構成を示す斜視図である。
【
図4】
図3の3001から第2フレームを除いた構成を示す斜視図である。
【
図5】上記搬送装置の一部において本体部及び第1フレームを除いた昇降部と、一対のリニアガイドレールとを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。ただし、以下の説明は本発明に係る搬送装置1の一例であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。なお、説明を簡単にするために、以下において、
図1の搬送装置1に対して、上部フレーム11側を上方向、走行台車20側を下方向、支柱10Aが配置される側を左方向、支柱10Bが配置される側を右方向として説明する。
【0011】
〔搬送装置の概略〕
従来、各種の機器において、滑らかな直線運動を実現する機構として、リニアガイドレール及び当該リニアガイドレールに係合するリニアガイドブロックを用いることが知られている。リニアガイドレール及びリニアガイドブロックの具体的な構成として、例えば、国際公開WO00/29160には、リニアガイドブロックにボール循環式のリニアモーションボールベアリングが組み込まれ、リニアガイドレールにはリニアモーションボールベアリングのボールの転動面が設けられる構成が開示されている。リニアガイドブロックは、上記ボールを転動面に沿って転動させながら、リニアガイドレールに沿って直線運動する。
【0012】
上述のような機構は、物品を搭載する昇降部が支柱に沿って昇降し物品を搬送する搬送装置にも用いられる。例えば、搬送装置において、支柱にリニアガイドレールが敷設され、当該リニアガイドレールに係合するリニアガイドブロックが昇降部に配置されることで、搬送装置の昇降部の滑らかな昇降を実現する。
【0013】
搬送装置に用いられるリニアガイドレール及びリニアガイドブロックが上記国際公開WO00/29160に開示されている構成を有する場合、リニアモーションボールベアリングが組み込まれている空間がグリスで満たされることで、リニアガイドレールに対してリニアガイドブロックがさらに円滑に動くことができ、支柱に沿って昇降部がより円滑に昇降することができる。
【0014】
したがって、昇降部のより滑らかな昇降を維持するためには、リニアガイドブロックに対してグリスを切らさないように適宜グリスを注入するメンテナンスが必要となる。
【0015】
しかしながら、昇降部において搬送対象物を載置する本体部と、リニアガイドブロックとの間に、本体部と、リニアガイドブロックとを固定するフレームが存在する場合、昇降部側からリニアガイドブロックにアクセスできない。そのため、リニアガイドブロックにグリスを注入するためには、支柱にリニアガイドブロックにアクセスするための開口部を設けるなどの加工が必要となる。また、支柱の下部には、制御用装置等が設けられていることが多く、支柱に開口部を設ける場合は、それらを避けるために床面から高い位置に開口部を設けざるをえない。その場合、グリスの注入作業を床面から高い位置で行わなければならず、作業性が悪くなる。
【0016】
図1は本発明の実施形態に係る搬送装置1を示す斜視図である。
図1に示すように、搬送装置1は支柱10に沿って昇降する昇降部30に物品を搭載し搬送する。搬送装置1では、支柱10にリニアガイドレール12が敷設され、昇降部30にリニアガイドレール12に直線移動可能に係合するリニアガイドブロック34が設けられている。これにより、リニアガイドブロック34がリニアガイドレール12に係合しながら移動することで、昇降部30はリニアガイドレール12にガイドされ、支柱10に沿って昇降する。
【0017】
本実施形態では、このような搬送装置1において上述の課題を解決するために、
図2に示すように、昇降部30にリニアガイドブロック34に供給されるグリスをリニアガイドブロック34から離間した位置から注入可能とする注入部60が設けられている。
図2は搬送装置1の一部を拡大した図面である。より詳しくは、
図2の2001は
図1の範囲R1を拡大した図であり、
図2の2002は、
図2の2001の範囲R2をさらに拡大した図である。
【0018】
これにより、支柱10にリニアガイドブロック34にアクセスするため加工を必要とすることなく、グリスをリニアガイドブロック34に注入することが可能となる。その結果、容易にリニアガイドブロック34にグリスを注入することができる搬送装置1を実現することができる。
【0019】
本発明が適用される搬送装置1は、搬送対象物を上下方向に搬送する装置であればよい。走行台車を備えたスタッカークレーン、走行機能を有しないリフタ、収容物としての搬送対象物を上下方向に搬送する機能を有したストッカ等も本発明が適用され得る搬送装置1の一例である。
【0020】
(搬送装置)
図1に示すように、搬送装置1は、支柱10と、走行台車20と、昇降部30と、を備えている。支柱10は、上下方向に延伸する柱状の部材である。搬送装置1には、一対の2式の支柱10が設けられている。なお、上記に限らず支柱10は1本であってもよい。以下の説明において、一対の2式の支柱10のうち、一方の支柱10については支柱10Aと称し、他方の支柱10については支柱10Bと称する場合がある。支柱10A及び支柱10Bは、左右方向において離間している。支柱10Aと支柱10Bとの間には後述する昇降部30が配置されている。
【0021】
支柱10の上方には、上部フレーム11が設けられている。上部フレーム11は、支柱10Aの上方の端部と支柱10Bの上方の端部を接続するように設けられる。上部フレーム11は、例えば、図示していない上部ガイドレールと係合し、上部ガイドレールにより図示の左右方向に搬送装置1を案内する。なお、上部ガイドレールは備えていなくてもよい。また、例えば、搬送装置1は左右方向に移動せず搬送対象物を上下方向に搬送する機能のみを備えていてもよく、その場合、上部ガイドレール及び後述する走行台車20は備えていなくてもよい。
【0022】
リニアガイドレール12は、支柱10A及び支柱10Bのそれぞれに敷設されている。リニアガイドレール12は昇降部30の上下方向の移動をガイドする。リニアガイドレール12は上下方向に直線的に延伸する部材である。リニアガイドレール12は、支柱10において昇降部30側に露出するように支柱10の内部に敷設されている。リニアガイドレール12の形状は特に限定されない。例えば、上下方向に垂直かつ左右方向に平行な面での切断面が略円形となってもよく、上記切断面が略I字形状であってもよい。
【0023】
支柱10の下方には、昇降部30を支柱10に対して昇降させるための駆動部である昇降モータユニット15が設けられている。支柱10A及び支柱10Bにはそれぞれ、昇降モータユニット15A及び昇降モータユニット15Bが設けられている。昇降モータユニット15は、支柱10の下方に設けられた駆動ドラム(図示無)を駆動する昇降モータ(図示無)を有する。
【0024】
例えば、昇降モータは駆動ドラムを駆動する。駆動ドラムには、一端が昇降部30に固定される昇降ベルト(図示無)が巻回されている。昇降ベルトは、支柱10の上方において、支柱10に設けられたプーリ(図示無)により係止されている。プーリは、昇降ベルトの進退により回転する。昇降モータが正回転または逆回転することにより、昇降ベルトが進退する。これにより、昇降部30は、支柱10に沿って上下方向に移動(昇降)する。なお、上述した昇降モータ、昇降ベルト及びプーリの構成は、昇降部30を昇降させる機構の一例である。
【0025】
走行台車20は、台車フレーム21と、走行モータユニット25とを有している。走行台車20は、走行部の一例である。台車フレーム21には、支柱10が立設され、車輪22が設置されている。
【0026】
台車フレーム21には、搬送装置1を走行させるための駆動部である走行モータユニット25が設けられている。走行モータユニット25は、走行モータ(図示無)を有し、走行モータからの駆動力が車輪22に伝達されることで車輪22が回転する。車輪22が回転すると、搬送装置1は、例えば、左右方向に延伸するように配置された走行ガイドレールに案内され、左右方向に走行する。
【0027】
(昇降部)
昇降部30は、搬送対象物を搭載可能であり、支柱10に沿って昇降する。昇降部30は、2式の支柱10A及び支柱10Bの間に配置されており、支柱10A及び支柱10Bに敷設されたリニアガイドレール12A及びリニアガイドレール12Bに案内されて上下に移動するため、安定して昇降することができる。
【0028】
昇降部30は、本体部31と、第1フレーム32と、第2フレーム33と、リニアガイドブロック34と、注入部60と、を備えている。第1フレーム32、第2フレーム33、リニアガイドブロック34及び注入部60は、本体部31の左右方向の両側において、本体部31に対して略対象にそれぞれ設置される。また、第1フレーム32、第2フレーム33、リニアガイドブロック34及び注入部60は、支柱10A側または支柱10B側のどちら側に配置されていても同様の構成を有する。そのため、
図2から
図4においては、リニアガイドレール12及び上述の構成について、支柱10A側または支柱10B側のどちら側に設置されているかを区別せずに図示する。
【0029】
本体部31は、搬送対象物を搭載する。
図2の2001に示すように、本体部31は、搬送対象物を載置可能な載置面31aを有し、載置面31aに搬送対象物を載置することで、搬送対象物を搭載する。昇降部30では、例えば、本体部31と荷棚との間で搬送対象物の出し入れが行われてもよい。
【0030】
第1フレーム32は、本体部31の左右方向の両側に設置され、本体部31の左右方向の両側において、本体部31を第2フレーム33に固定する。第1フレーム32は板状の部材であり、上下方向に略平行かつ左右方向に略垂直に配置されている。第1フレーム32のリニアガイドレール12側とは反対側の面である表面32aには、本体部31が固定されている。第1フレーム32のリニアガイドレール12側の面である裏面32bにおいて、第1フレーム32は第2フレーム33に固定されている。
【0031】
第1フレーム32には、開口部321が設けられている。
図2の2002に示すように、開口部321は、第1フレーム32を本体部31側からリニアガイドレール12側に、第1フレーム32の厚さ方向に第1フレーム32を貫通する。開口部321は、第1フレーム32において、後述する注入部60の注入口62に対応する位置に設けられている。開口部321の大きさは特に限定されないが、少なくとも後述する2つの注入口62(注入口621及び注入口622)を包含できる大きさを有することが望ましい。
【0032】
これにより、搬送装置1の保守作業員は、容易に本体部31側から注入部60にアクセスすることができ、支柱10に加工を施すことなく、リニアガイドブロック34にグリスを注入することができる。
【0033】
図3は、昇降部30の本体部31及び第1フレーム32を除いた構成を示す斜視図である。
図3では理解を容易にするために、支柱10を図示せずリニアガイドレール12のみを図示している。
図3の3001は、上記構成を本体部31側からの斜視図を示し、
図3の3002は、上記構成を
図3の3001の反対側からみた斜視図を示す。
【0034】
図2及び
図3に示すように、第2フレーム33は、第1フレーム32とリニアガイドブロック34との間に配置され、第1フレーム32とリニアガイドブロック34とを固定する。
図3の3001に示すように、第2フレーム33は、第2フレーム33の上部及び下部において本体部31側の面にリニアガイドレール12側から本体部31側に凸となる固定部331を有する。第2フレーム33は、固定部331において、第1フレーム32を第2フレーム33に固定する。
【0035】
第2フレーム33の本体部31側の面には、後述する注入口62が設けられている。例えば、固定部331の左右方向への長さL1を、注入口62の左右方向への長さL2より長くすることにより、第2フレーム33の本体部31側の面に注入口62を設けつつ、同面において第1フレーム32を容易に固定することができる。
【0036】
また、上述したように、第1フレーム32には、開口部321が設けられている。これにより、注入口62と本体部31との間に第1フレーム32があっても支柱10に加工を必要とすることなく、注入口62にアクセスすることができる。
【0037】
昇降部30において、本体部31、第1フレーム32は支柱10の外部に配置され、第2フレーム33及びリニアガイドブロック34は、リニアガイドレール12と共に支柱10の内部に配置されている。リニアガイドレール12は、支柱10において昇降部30側に露出するように敷設されているため、第2フレーム33及びリニアガイドブロック34が支柱10の内部に配置されていても、昇降部30は支柱10に沿って昇降することできる。
【0038】
(リニアガイドブロック)
リニアガイドブロック34は、リニアガイドレール12に直線移動可能に係合する。リニアガイドブロック34は、例えば、昇降ベルトに固定された第2フレーム33が昇降ベルトにより進退することでリニアガイドレール12に対して摺動する。
【0039】
図4は、
図3の3001から第2フレーム33を除いた構成を示す斜視図である。
図3及び
図4に示すように、リニアガイドブロック34は、1つのリニアガイドレール12に対して上下方向に並んで2つ配置されるように昇降部30に備えられている。以下の説明において、上側に配置されるリニアガイドブロック34をリニアガイドブロック341、下側に配置されるリニアガイドブロック34をリニアガイドブロック342と称する場合がある。
【0040】
リニアガイドブロック34のリニアガイドレール12の側の面には、リニアガイドレール12側から本体部31側に凹となる溝部34aが上下方向に沿って、形成されている。溝部34aは、上下方向に移動可能にリニアガイドレール12と係合するようにリニアガイドブロック34に形成されている。リニアガイドブロック341及びリニアガイドブロック342にはそれぞれ、溝部341a(34a)及び溝部342a(34a)が設けられている。
【0041】
これにより、例えば、リニアガイドブロック34は昇降ベルトにより上下方向へ移動する際にリニアガイドレール12に案内されるので、本体部31は昇降ベルトの移動にあわせて上下方向に安定して移動可能となる。
【0042】
また、リニアガイドブロック34について、リニアガイドレール12に沿って円滑に摺動するための構成は特に限定されない。例えば、上述した国際公開WO00/29160に示すような構成を有していてもよい。
【0043】
(注入部)
注入部60は、リニアガイドブロック34から離間した位置から、リニアガイドブロック34に供給されるグリスを注入可能とする。そのため、搬送装置1では、注入部60により、リニアガイドブロック34にアクセスすることなく、グリスを容易にリニアガイドブロック34に注入することができる。
【0044】
注入部60は、リニアガイドブロック34に接続された管部材61及び注入口62から構成されている。管部材61は、終端に注入口62が配置され、注入口62とリニアガイドブロック34とを接続する。そのため、例えば、注入口62から管部材61にグリスを注入することで、グリスがリニアガイドブロック34に確実に注入される。管部材61の材質は、金属であることが望ましい。
【0045】
リニアガイドブロック341及びリニアガイドブロック342にはそれぞれ、注入部601及び注入部602が接続されている。注入部601及び注入部602は同様の構成を有する。注入部601は管部材611及び注入口621を有し、注入部602は管部材612及び注入口622を有する。
【0046】
管部材611は、リニアガイドブロック341の下面に接続され、リニアガイドレール12に沿って下方向に所定距離延伸した後、本体部31側に左右方向に略平行に延伸する。管部材611のリニアガイドブロック341側の始端は、例えば、管部材611に注入されたグリスが、リニアガイドレール12とリニアガイドブロック34との間にボールが配置される空間に注入されるように、リニアガイドブロック341の下面に接続されている。
【0047】
管部材611のリニアガイドブロック341に接続されていない側の終端は、第2フレーム33の本体部31側の面において、注入口621(注入口62)が本体部31側に向かって開口している。言い換えると、注入部601(注入部60)のグリスの注入口621(注入口62)はリニアガイドレール12から離間する方向に開口している。
【0048】
グリスの注入口621がリニアガイドレール12から離間する方向に開口されているので、グリスを注入部601に注入する際にリニアガイドレール12が妨げとならない。また、管部材611の終端でグリスの注入口621が開口しているため、管部材611へのグリスの注入が容易となる。
【0049】
注入口621には、ノズルの押し込みにより開口する蓋が付いていてもよい。これにより、グリスを注入するときのみ注入口621が開口するので、注入部601に異物が入ることを防ぐことができる。
【0050】
管部材612は、リニアガイドブロック342の上面に接続され、リニアガイドレール12に沿って上方向に所定距離延伸した後、本体部31側に左右方向に略平行に延伸する。管部材612のリニアガイドブロック342側の始端は、リニアガイドブロック342の上面に接続されている。管部材612のリニアガイドブロック341に接続されていない側の終端は、第2フレーム33の本体部31側の面において、注入口622が本体部31側に向かって開口している。言い換えると、注入部602のグリスの注入口622はリニアガイドレール12から離間する方向に開口している。
【0051】
また、注入口62は昇降部30が備えているため、グリスの注入は昇降部30の位置する場所から行うことができる。そのため、昇降部30を作業しやすい位置に移動してグリスの注入を行うことができるので、メンテナンスの作業性が向上する。
【0052】
なお、リニアガイドブロック34にグリスが注入されると、リニアガイドブロック34に残っている古いグリスを含む余剰なグリスは、リニアガイドブロック34から排出され、例えば、支柱10の下部に導かれて支柱10の外部に排出される。
【0053】
図5は、搬送装置1の一部において、本体部31及び第1フレーム32を除いた昇降部30と、一対のリニアガイドレール12とを示す図である。リニアガイドレール12Bには、リニアガイドレール12Aに設置されている第2フレーム33、リニアガイドブロック34及び注入部60が同様に設置されている。
【0054】
図5に示すように、リニアガイドレール12Aに係合するリニアガイドブロック34にグリスを注入するための注入口62は、リニアガイドレール12Aからリニアガイドレール12Bに向かう方向に開口している。言い換えると、注入口62は、一方の支柱10Aから他方の支柱10Bに向かう方向に開口している。また、リニアガイドレール12Bに係合するリニアガイドブロック34にグリスを注入するための注入口62は、リニアガイドレール12Bからリニアガイドレール12Aに向かう方向に開口している。
【0055】
そのため、支柱10A及び支柱10Bそれぞれに敷設されているリニアガイドレール12A及びリニアガイドレール12Bに係合するリニアガイドブロック34の両方に、支柱10A及び支柱10B間からグリスを注入することができる。これにより、メンテナンスの作業性が向上する。
【0056】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る搬送装置(1)は、支柱(10)と、搬送対象物を搭載可能であり、前記支柱(10)に沿って昇降する昇降部(30)と、を備え、前記支柱(10)には、リニアガイドレール(12)が敷設されており、前記昇降部(30)には、前記リニアガイドレール(12)に直線移動可能に係合するリニアガイドブロック(34)と、前記リニアガイドブロック(34)に供給されるグリスを前記リニアガイドブロック(34)から離間した位置から注入可能とする注入部(60)が設けられている。
【0057】
上記の構成によれば、昇降部は支柱に敷設されているリニアガイドレールと直線移動可能に係合するリニアガイドブロックにより、支柱に沿って昇降する。リニアガイドブロックにグリスが供給されることで、リニアガイドレールに対して、リニアガイドレールに係合するリニアガイドブロックが円滑に動くことができ、これにより昇降部の支柱に沿った円滑な昇降が可能となる。
【0058】
また、昇降部には、リニアガイドブロックに供給されるグリスをリニアガイドブロックから離間した位置から注入可能とする注入部が設けられている。これにより、リニアガイドブロックに直接グリスを注入するなどの、リニアガイドブロックへのアクセスを必要とすることなく、グリスをリニアガイドブロックに供給することができる。
【0059】
また、グリスの注入は、昇降部の位置する場所から行うことができるため、昇降部を作業しやすい位置に移動してグリスの注入を行うことができる。その結果、容易にリニアガイドブロックにグリスを供給することができる搬送装置を実現することができる。
【0060】
本発明の態様2に係る搬送装置(1)では、上記態様1において、前記注入部(60)の前記グリスの注入口(62)は前記リニアガイドレール(12)から離間する方向に開口していてもよい。
【0061】
上記の構成によれば、グリスの注入口がリニアガイドレールから離間する方向に開口されているので、グリスを注入する際にリニアガイドレールが妨げとならない。そのため、容易にリニアガイドブロックにグリスを注入することができる。
【0062】
本発明の態様3に係る搬送装置(1)は、上記態様2において、前記支柱(10)を2式備え、前記昇降部(30)は、2式の前記支柱(10)の間に配置されており、前記注入口(62)は、一方の前記支柱(10)から他方の前記支柱(10)に向かう方向に開口していてもよい。
【0063】
上記構成によれば、昇降部は2式の支柱の間に配置されているため、安定して昇降することができる。また、注入口が一方の支柱から他方の支柱に向かう方向に開口されているため、2式の支柱それぞれに敷設されているリニアガイドレールに係合するリニアガイドブロックの両方に、2式の支柱間からグリスを注入することができる。そのため、メンテナンスの作業効率が向上する。
【0064】
本発明の態様4に係る搬送装置(1)は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記注入部(60)は、前記リニアガイドブロック(34)に接続された管部材(61)から構成されていてもよい。
【0065】
上記構成によれば、注入部がリニアガイドブロックに接続された管部材から構成されているため、例えば、注入部の管部材にグリスを注入することで、容易にグリスをリニアガイドブロックに確実に注入することができる。
【0066】
本発明の態様5に係る搬送装置(1)は、上記態様4において、前記管部材(61)の終端で前記グリスの注入口(62)が開口していてもよい。
【0067】
上記構成によれば、管部材の終端でグリスの注入口が開口しているため、管部材へのグリスの注入が容易となる。
【0068】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 搬送装置
10、10A、10B 支柱
11 上部フレーム
12、12A、12B リニアガイドレール
30 昇降部
34、341、342 リニアガイドブロック
60、601、602 注入部
62、621、622 注入口
61、611、612 管部材