IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-コイルの製造方法 図1
  • 特開-コイルの製造方法 図2
  • 特開-コイルの製造方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171612
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】コイルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/04 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H02K15/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088711
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 雅志
(72)【発明者】
【氏名】白井 謙
(72)【発明者】
【氏名】川村 葉月
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615PP12
5H615QQ03
5H615QQ12
5H615RR00
5H615SS03
5H615SS31
5H615TT15
(57)【要約】
【課題】クラックの発生を回避して製品性を向上させることができるコイルの製造方法を提供すること。
【解決手段】コイルの製造方法は、アルミ板をセグメントコイル形状にプレス加工するプレス工程と、プレス加工したコイルにアルマイト処理を施すアルマイト処理工程と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミ板をセグメントコイル形状にプレス加工するプレス工程と、
プレス加工したコイルにアルマイト処理を施すアルマイト処理工程と、
を含むコイルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、銅線の周囲にアルミ線を配置してプレス加工を行うことにより、銅線の周囲にアルミニウム被膜を形成し、当該アルミニウム被膜の表面にアルマイト膜を形成するコイルの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-098871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示された技術では、アルマイト処理後のアルミ線をセグメントコイル化する際に、ストレスによってクラックが発生するおそれがある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、クラックの発生を回避して製品性を向上させることができるコイルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るコイルの製造方法は、アルミ板をセグメントコイル形状にプレス加工するプレス工程と、プレス加工したコイルにアルマイト処理を施すアルマイト処理工程と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、クラックの発生を回避して製品性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るコイルの製造方法の流れを示す概略図である。
図2図2は、実施形態に係るコイルの製造方法で製造したコイルをステータコアに組み付けた場合の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係るコイルの製造方法で製造したコイルをステータコアに組み付けた場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態に係るコイルの製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
実施形態に係るコイルの製造方法について、図1図3を参照しながら説明する。実施形態に係るコイルの製造方法は、例えば組み立て式ステータに用いるコイルを製造するための方法である。実施形態に係るコイルの製造方法では、プレス工程と、アルマイト処理工程と、組み立て工程と、を行う。以下、各工程について、図1を参照しながら説明する。
【0011】
(プレス工程)
プレス工程では、公知のプレス加工装置等を用いて、図1の(a)に示すアルミ板1を、図1の(b)に示すようなセグメントコイル形状のコイル2にプレス加工する。
【0012】
(アルマイト処理工程)
プレス工程では、公知のアルマイト処理装置等を用いて、図1の(c)に示すように、プレス加工したコイル2にアルマイト処理を施す。これにより、コイル2の周囲にアルマイト膜3を形成する。
【0013】
(組み立て工程)
組み立て工程では、図1の(d)に示すように、アルマイト処理後のコイル4をステータコアに組み付けることにより、組み立て式ステータ5を製造する。
【0014】
ここで、一般的なモータおよび当該モータに用いられるコイルには、以下のような課題がある。
(1)モータのコイルに一般的に使われる銅は、埋蔵量が少なく、比重も高い。
(2)アルマイト処理したアルミ線は、絶縁性が高いためコイル線として使用したいが、セグメントコイル化する際に、ストレスによってアルマイト膜にクラックが発生するおそれがある。
(3)アルミは銅よりも抵抗が高いため、損失の面で銅よりも不利である。
(4)アルマイト処理を施すだけでは、必要な絶縁性を確保することができないおそれがある。
【0015】
上記の課題(1)について、実施形態に係るコイルの製造方法では、埋蔵量が多く比重の軽いアルミを用いる。これにより、銅を用いた場合よりも製造時のコストを削減することができるとともに、軽量化を図ることができる。
【0016】
上記の課題(2)について、実施形態に係るコイルの製造方法では、アルミ板1をプレス加工することによりセグメントコイル形状を製造し、その後アルマイト処理を施したコイル4を用いて組み立て式ステータ5を製造する。これにより、アルマイト膜3のクラックを回避することが可能となる。
【0017】
上記の課題(3)については、コイル4をステータコア7に組み付ける際に、例えば図2に示すように、アルミ製のコイル4を最内周のみに組み付け、それ以外の部分に銅製のコイル6を組み付ければよい。あるいは図3に示すように、アルミ製のコイル4を最外周のみに組み付け、それ以外の部分に銅製のコイル6を組み付ければよい。図2のようにアルミ製のコイル4を最内周のみに組み付けることにより、渦電流損失を低減することができる。また、図3のようにアルミ製のコイル4を最外周のみに組み付けることにより、周長を長くし、かつ体積を大きくすることができるため、低損失化かつ軽量化を図ることができる。
【0018】
上記の課題(4)については、例えばアルマイトの多孔質性を利用し、アルマイト膜3の多孔質な穴に樹脂を含侵させることにより、絶縁性が必要なコイル4についてのみ、高絶縁皮膜を形成することできる。従って、十分な絶縁性を確保することができる。
【0019】
以上説明したコイルの製造方法によれば、アルミ板1をプレス加工することによりセグメントコイル形状を製造し、その後アルマイト処理を施すことにより、クラックの発生を回避して製品性を向上させることができる。
【0020】
更なる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表わし、かつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 アルミ板
2,4,6 コイル
3 アルマイト膜
5 組み立て式ステータ
7 ステータコア
図1
図2
図3