(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171615
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】在庫管理システム、在庫管理方法、および在庫管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20241205BHJP
G06Q 10/087 20230101ALI20241205BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20241205BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q10/087
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088715
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】514317108
【氏名又は名称】株式会社スマートショッピング
(74)【代理人】
【識別番号】100147142
【弁理士】
【氏名又は名称】石森 昭慶
(74)【代理人】
【識別番号】230122390
【弁護士】
【氏名又は名称】石原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167508
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 憲孝
(72)【発明者】
【氏名】林 英俊
(72)【発明者】
【氏名】長島 圭一朗
【テーマコード(参考)】
3C100
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA29
3C100AA38
3C100AA45
3C100BB33
3C100BB36
3C100CC02
5L010AA06
5L049AA06
5L049BB63
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】リアルタイムおよび最速のタイミングで実在庫の増減を把握し、いつまでに何をどれだけの量用意すればいいのかを管理することができる在庫管理システムを提供する。
【解決手段】在庫管理システム1は、一または複数の仕掛物6の重量を計測する重量計測部2と、補充が必要な仕掛物6の数量に相当する補充要求値を設定する補充要求部と、計測した仕掛物6の重量計測値が、補充要求値よりも増加または減少したことを判定する在庫管理部3と、重量計測値が、補充要求値よりも増加または減少したことが判定された場合に、仕掛物6の補充情報を自動で通知する補充通知部と、補充通知部から通知される補充情報を受信して表示する表示部5と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一または複数の仕掛物の重量を計測する重量計測部と、
補充が必要な前記仕掛物の数量に相当する補充要求値を設定する補充要求部と、
計測した前記仕掛物の重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことを判定する在庫管理部と、
前記重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことが判定された場合に、前記仕掛物の補充情報を自動で通知する補充通知部と、
前記補充通知部から通知される前記補充情報を受信して表示する表示部と、
を備える、在庫管理システム。
【請求項2】
前記重量計測部は、
各々が独立した重量計測手段として利用可能な可搬型のフラットパネル形態を有し、
通信網を介して外部の情報機器と連携しながら、前記仕掛物の在庫管理を支援する制御部と、
外部の通信網と前記制御部の間でデータのやり取りを仲介する通信部と、載置された前記仕掛物の前記重量計測値を前記制御部に出力可能な重量計測センサと、を備え、
前記フラットパネル形態は、互いに隙間なく並べて整列することが可能な2次元形状を有し、一つ以上の前記フラットパネル形態に跨って形成される天面上に載置された任意の寸法形状の前記仕掛物の重量を、前記在庫管理の支援のために前記情報機器にて集計および変動追跡させるものである、請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項3】
前記重量計測部が、前記重量計測値を定期的または前記重量の変化時に前記在庫管理部へ送信する、請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項4】
前記重量計測部が、前記重量計測値が前記補充要求値よりも増加または減少した場合にアラートを発生させる、請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項5】
前記補充通知部が、かんばん方式の前記補充情報を自動で通知する、請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項6】
前記補充通知部が、ガントチャート方式の前記補充情報を自動で通知する、請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項7】
前記在庫管理部が、複数の生産ラインの前工程における前記仕掛物の在庫数を管理して、前記仕掛物の必要数を有する最適な生産ラインを判定し、
前記補充通知部が、前記最適な生産ラインの前記前工程に、前記仕掛物の必要数の補充情報を自動で通知する、請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項8】
一または複数の仕掛物の重量を計測するステップと、
補充が必要な前記仕掛物の数量に相当する補充要求値を設定するステップと、
計測した前記仕掛物の重量計測値を定期的または前記重量の変化時に外部へ送信するステップと、
送信された前記重量計測値を受信し、前記重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことを判定するステップと、
前記重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことが判定された場合に、前記仕掛物の補充情報を自動で通知するステップと、
通知された前記補充情報を受信して表示するステップと、
を含む在庫管理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
一または複数の仕掛物の重量を計測するステップと、
補充が必要な前記仕掛物の数量に相当する補充要求値を設定するステップと、
計測した前記仕掛物の重量計測値を定期的または前記重量の変化時に外部へ送信するステップと、
送信された前記重量計測値を受信し、前記重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことを判定するステップと、
前記重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことが判定された場合に、前記仕掛物の補充情報を自動で通知するステップと、
通知された前記補充情報を受信して表示するステップと、
を実行させる在庫管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産工程において、「必要なものを必要な時に必要なだけ作る」というジャストインタイム(JIT)を可能にする在庫管理システム、在庫管理方法、および在庫管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生産現場で、連続する工程間の仕掛在庫を最少にするための仕組みである「かんばん方式」で生産管理を行う場合に、ヒューマンエラーを低減して誤出荷を防止し、かつ、作業効率を向上させることが可能な生産管理技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、制御部と記憶部を備え、かんばん方式で商品の生産を行う場合の生産管理装置であって、前記記憶部には、取引先識別情報及び商品識別情報毎に、かんばん番号、数量、規格、公差情報を含むかんばん情報を登録するかんばんマスタが格納されており、前記制御部は、受注の際に、対象の商品について、前記かんばんマスタにかんばん情報を登録するマスタメンテ手段と、出荷の際に、対象の商品について、生産工程の終了時に行われる検品検査の検品情報と前記かんばんマスタの対応するかんばん情報とを照合して、照合結果を出力する照合手段と、を備えたことを特徴とする生産管理装置、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、対象の商品の検品情報とかんばん情報とを照合して生産管理を行っているが、実在庫の増減をリアルタイムで把握することまでは行われていないため、さらなる技術の向上が望まれる。
【0006】
そこで、本発明は、前記課題に鑑みてなされ、リアルタイムおよび最速のタイミングで実在庫の増減を把握し、いつまでに何をどれだけの量用意すればいいのかを管理することができる在庫管理システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る在庫管理システムは、一または複数の仕掛物の重量を計測する重量計測部と、補充が必要な前記仕掛物の数量に相当する補充要求値を設定する補充要求部と、計測した前記仕掛物の重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことを判定する在庫管理部と、前記重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことが判定された場合に、前記仕掛物の補充情報を自動で通知する補充通知部と、前記補充通知部から通知される前記補充情報を受信して表示する表示部と、を備える。
【0008】
また、本発明に係る在庫管理方法は、一または複数の仕掛物の重量を計測するステップと、補充が必要な前記仕掛物の数量に相当する補充要求値を設定するステップと、計測した前記仕掛物の重量計測値を定期的または前記重量の変化時に外部へ送信するステップと、送信された前記重量計測値を受信し、前記重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことを判定するステップと、前記重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことが判定された場合に、前記仕掛物の補充情報を自動で通知するステップと、通知された前記補充情報を受信して表示するステップと、を含む。
【0009】
さらに、本発明に係る在庫管理方法を実行させるためのプログラムは、一または複数の仕掛物の重量を計測するステップと、補充が必要な前記仕掛物の数量に相当する補充要求値を設定するステップと、計測した前記仕掛物の重量計測値を定期的または前記重量の変化時に外部へ送信するステップと、送信された前記重量計測値を受信し、前記重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことを判定するステップと、前記重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことが判定された場合に、前記仕掛物の補充情報を自動で通知するステップと、通知された前記補充情報を受信して表示するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る在庫管理システムによれば、リアルタイムおよび最速のタイミングで実在庫の増減を把握し、いつまでに何をどれだけの量用意すればいいのかを管理することができる。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る在庫管理システムを示す概略構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る在庫管理システム内の重量計測部の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る在庫管理システム内の在庫管理部の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る在庫管理方法の流れを示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る在庫管理方法の一例を示す模式図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る在庫管理システムの一例を示す模式図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る在庫管理方法の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が限定されることはなく、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形、および変更が可能である。
【0013】
<第1実施形態>
図1から
図5を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
【0014】
<1.在庫管理システムの構成>
まず、
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る在庫管理システム1について説明する。
図1は、本実施形態に係る在庫管理システム1を示す概略構成図である。
【0015】
図1に示すように、在庫管理システム1は、重量計測部2と、在庫管理部3と、表示装置5とを有している。重量計測部2と在庫管理部3と表示装置5とは、インターネット等のネットワーク4を介して互いに通信可能に接続されている。ネットワーク4 は、有線回線と無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。なお、重量計測部2と在庫管理部3と表示装置5の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。
【0016】
このうち表示装置5は、仕掛物6の生産者等のユーザが使用するものであり、例えば、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末、ノートブックコンピュータ、またはデスクトップコンピュータなどの電子機器である。
【0017】
表示装置5が有する表示部は、表示装置5からユーザに対して各種情報を表示するインターフェースであり、例えば、液晶ディスプレイ等の映像表示手段である。具体的には、表示装置5の表示部は、ユーザからの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示してもよい。
【0018】
<2.重量計測部の構成>
次に、重量計測部2の構成を説明する。
【0019】
図1に示すように、重量計測部2は、汎用性の重量計測手段であって、在庫管理に使用可能である。本明細書において「汎用性」とは、計測対象の商品に限定がなく、その上に載置できる商品であれば、どのような商品であっても重量を計測できることを意味する。
【0020】
本実施形態では、重量計測部2は、重量計測マットとして構成されている。本明細書において「重量計測マット」とは、マットのように対象物の下に敷くことができる、対象物を載せる台が板状の重量計測手段を意味する。以下の説明では、重量計測部2を、重量計測マット2と呼ぶことがある。
【0021】
図1に示す例では、重量計測マット2は、フラットパネル形状を有しており、フラットパネル形状の上に載置できるものであれば、どのようなものであっても重量を計測することが可能である。なお、本明細書において「フラットパネル形状」とは、その上に載置される対象物を水平に保って計測できる形状を意味する。その上に載置される対象物を水平に保って計測できる限りでは、「フラットパネル形状」の天板は平坦であってもよいし、滑り止めの微細な凹凸があってもよい。また、図示された例では、重量計測マット2の平面形状は、四角形であるが、これに限られるものではなく、円形であってもよいし、三角形であってもよいし、五角形以上の多角形であってもよい。
【0022】
本実施形態では、重量計測マット2は、平面形状が特定の規格に従うサイズを有している。具体的には、例えば、重量計測マット2の平面形状は、JIS P0138に規定された紙加工仕上寸法の規格に従うA3サイズ(40cm×30cm)ないしA4サイズ(30cm×20cm)である。規格化された平面形状を有することにより、重量計測マット2を平面方向に複数組み合わせて設置することが容易である。
【0023】
重量計測マット2は、平面方向に複数(例えば、2枚)組み合わせ可能である。重量計測マット2を平面方向に複数組み合わせることで、大型の商品であっても重量を計測することが可能となる。
【0024】
図2は、重量計測マット2の構成の一例を示す図である。以下、
図2を用いて重量計測マット2の構成を説明する。
【0025】
図2に示すように、重量計測マット2は、筐体20と、マット通信部21と、マット制御部22と、マット記憶部23と、重量センサ24と、計測ボタン25と、ランプ26と、バッテリ収容部27とを有している。筐体20は、フラットパネル形状を有しており、各部21~27は、筐体20の内側に収容されている。
【0026】
マット通信部21は、重量計測マット2とネットワーク4との間の通信インターフェースである。本実施形態では、マット通信部21は、無線通信によりネットワーク4に接続可能であり、重量計測マット2とサーバとの間で情報を送受信する。無線通信の規格としては、例えば、Wi-Fi、LTE/5G、Cat.M1、NB-IoTなどが利用される。
【0027】
マット記憶部23は、例えば、マイコンの内蔵メモリや外部メモリ(SDメモリカード等)などのデータストレージである。マット記憶部23には、マット制御部22が取り扱う各種データが記憶される。例えば、マット記憶部23は、計測頻度の設定値231と、通信先IPアドレスの設定値232とを含んでいる。計測頻度の設定値231および通信先IPアドレスの設定値232は、在庫管理者の端末装置5からネットワーク4を介して設定可能であってもよい。
【0028】
マット制御部22は、重量計測マット2の各種処理を行う制御手段である。マット制御部22は、重量計測マット2内のマイコンのプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0029】
マット制御部22は、計測頻度の設定値231で設定された計測頻度(例えば、1時間に1回)で、重量センサ24から商品の重量の計測データを取得し、通信先IP アドレスの設定値232で特定されるサーバへと、取得した計測データを、マット毎に固有のID情報とともに送信する。また、マット制御部22は、所定の頻度(例えば、1日に1回)で、バッテリ収容部27に収容されたバッテリの残量を電圧に基づいて把握し、バッテリの残量情報をID情報とともにサーバへと送信してもよい。また、マット制御部22は、所定の頻度(例えば、1日に1回)で、サーバに接続し、サーバ内の時計の時刻情報に基づいて、重量計測マット2内の時計を補正するとともに、サーバ上の最新ファームウェアを確認してもよい。また、マット制御部22は、上記動作時以外は、消費電流を例えば500μAh以下まで低下させるスリープ状態に入ってもよい。これにより、バッテリ収容部27に収容されたバッテリを電源として使用していても、1年以上支障なく安定して稼働させることができる。
【0030】
バッテリ収容部27には、各部21~26に電力を供給する、例えば乾電池や蓄電池などのバッテリが収容される。本実施形態では、重量計測マット2には、電源スイッチが設けられておらず、バッテリ収容部27にバッテリが挿入されることで、重量計測マット2が起動するようになっている。これにより、電源スイッチの入れ忘れを防ぐことができるとともに、重量計測マット2の操作インターフェースが計測ボタン25だけという極めてシンプルな構成となり、ユーザにとって非常に使いやすいものとなっている。
【0031】
重量センサ24は、例えばロードセルである。本実施形態では、重量センサ24は、平面視四角形状(または角にアールが付けられた略四角形状)を有する重量計測マット2の筐体20の天板20(
図1参照)に設けられており、天板20の上に載置される商品の重量を計測する。
【0032】
計測ボタン25は、重量計測マット2の筐体20の一角に設けられている。ユーザにより計測ボタン25が押されると、マット制御部22は、重量センサ24から商品の重量の計測データを取得し、取得した計測データをサーバへと送信する。
【0033】
ランプ26は、重量計測マット2の筐体20の一角に、計測ボタン25と隣り合って設けられている。本実施形態では、ユーザにより計測ボタン25が押された際に、計測データの取得および計測データの送信の両方に成功した場合には、ランプ26が第1態様(例えば、緑色)で点灯し、計測データの取得および計測データの送信のいずれか一方または両方に失敗した場合には、ランプ26が第1態様とは異なる第2態様(例えば、赤色)で点灯する。また、バッテリ収容部27に収容されたバッテリの残量が無くなった場合には、計測ボタン25が押されても、ランプ26は点灯しない。これにより、計測ボタン25を押した際にランプ26が点灯するか否かで、ユーザはバッテリ収容部27内のバッテリに残量が残っているか否かを容易に確認できるようになっている。
【0034】
<3.在庫管理部の構成>
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る在庫管理システム1内の在庫管理部3の機能構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る在庫管理システム1内の在庫管理部3の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0035】
図3に示すように、在庫管理部3は、在庫管理入力部51と、在庫管理制御部52と、在庫管理記憶部53と、在庫管理判定部54と、補充通知部55と、補充要求部56と、を有している。各部は、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0036】
在庫管理入力部51は、ユーザが在庫管理部3に情報を入力するためのインターフェースであり、例えば、モバイル端末におけるタッチパネルやマイクロフォン、ノートブックコンピュータにおけるタッチパッド、キーボードまたはマウスなどである。
【0037】
在庫管理制御部52は、在庫管理部3の各種処理を行う制御手段である。在庫管理制御部52は、在庫管理部3内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0038】
在庫管理記憶部53は、例えば、内蔵メモリや外部メモリ(SDメモリカード等)などのデータストレージである。在庫管理記憶部53には、在庫管理制御部52が取り扱う各種データが記憶される。
【0039】
補充要求部56は、例えば、自工程で補充が必要な仕掛物6の数量に相当する補充要求値を設定する。
【0040】
在庫管理判定部54は、重量計測部2で一または複数の仕掛物6の重量を計測した重量計測値が、補充が必要な仕掛物6の数量に相当する補充要求値よりも増加または減少したことを判定する。
【0041】
補充通知部55は、在庫管理判定部54により、重量計測値が補充要求値よりも増加または減少したことが判定された場合に、仕掛物6の補充情報を、例えば表示装置5に、自動で通知する。表示装置5は、補充通知部55から通知される補充情報を受信して表示する。
【0042】
補充通知部55は、かんばん方式の仕掛物6の補充情報を表示装置5等に自動で通知することができる。また、補充通知部55は、ガントチャート方式の仕掛物6の補充情報を表示装置5等に自動で通知することもできる。ここで、ガントチャートとは、プロジェクト管理や生産管理などで工程管理に用いられる表の一種で、作業計画を視覚的に表現するために用いられる一種の棒グラフをいう。なお、本実施形態に係る在庫管理システム1の通知方式は、かんばん方式およびガントチャート方式に限られない。
【0043】
重量計測部2は、重量計測値を定期的または仕掛物6の重量の変化時に在庫管理部3へ送信することができる。また、重量計測部2は、重量計測値が補充要求値よりも増加または減少した場合にアラートを発生させることができる。
【0044】
<4.問題点の見える化>
次に、在庫管理システム1による作業効率や作業工程の不具合等の問題点(ボトルネック)を把握して「見える化」する工程管理について説明する。
【0045】
在庫管理システム1による工程管理は、各工程において、原料、部品、および仕掛物6などの搬入側(In側)と、仕掛物6や完成物などの搬出側(Out側)に、それぞれ重量計測部2を配置し、作業効率や作業工程の不具合等の問題点を把握して「見える化」する。これにより、在庫管理システム1は、ボトルネックをリアルタイムで特定することができる。
【0046】
具体的には、第1に、「レシピ」ズレを把握することができる。在庫管理システム1は、各工程の搬入側と搬出側の数量の増減とレシピの差分とをリアルタイムで確認する。これにより、搬入側の数量が多過ぎたり少な過ぎたりした場合、仕掛物6等の紛失や不良品である等の可能性を把握することができる。また、搬出側の数量が足りない場合も、仕掛物6等が不良品である等の可能性を把握することができる。さらに、仕掛物6等の取り違えを防ぐこともできる。
【0047】
第2に、各工程の生産実時間を把握することができる。例えば、各工程の搬入側の重量計測部2の在庫が増加または減少した時間と搬出側の重量計測部2の在庫が増加または減少した時間との差分から、工程作業の実時間を把握することができる。
【0048】
第3に、作業計画とのギャップを把握することができる。例えば、搬出側の重量計測部2の生産計画の予定時間と実時間とを比較し、遅延があるかをリアルタイムで計測することができる。また、遅延理由の所在をリアルタイムで特定し、即座に原因を追求することができる。
【0049】
さらに、在庫管理システム1は、重量計測部2を各工程の搬入側および搬出側以外にも配置して計測地点を増やし、生産効率向上のためのボトルネック箇所を特定することで、所定の2工程間での物の移動の澱みの有無を見極めることができる。
【0050】
具体的には、第1に、工程間の澱みの有無を特定することができる。例えば、前工程Aおよび後工程Bの2工程間において、前工程Aの搬出側の重量計測部2と後工程Bの搬入の重量計測部2との在庫数の変動が一定の範疇で収まっていれば、澱みなしと判断することができる。このとき、前工程Aの搬出側の在庫が過剰な場合、物の移動が停滞しているか、後工程Bの生産許容量が低いか、前工程Aで過剰見込の生産がされていると、判断することができる。
【0051】
第2に、重量計測部2による計測地点を増やしていくことで、詳細な澱みの場所を特定することができる。例えば、澱みがあると考えられる前工程Aおよび後工程Bの2工程間に、さらに重量計測部2を配置して計測地点を増やしていき、徐々に範囲を狭めていくことで、詳細なよどみの場所を特定することができる。これにより、キャパシティ調整や、円滑な物の移動で澱みを改善し、生産効率を向上させ、計画自体の精度を向上させることができる。
【0052】
<5.在庫管理方法>
次に、在庫管理システム1を用いて仕掛物6の在庫を管理する在庫管理方法について説明する。
図4は、本実施形態に係る在庫管理方法の流れを示すフローチャートである。
【0053】
図4に示すように、ステップS1において、重量計測部2は、一または複数の仕掛物6の重量を計測する。
【0054】
次に、補充要求部56が、自工程で補充が必要な仕掛物6の数量に相当する補充要求値を設定する。なお、補充要求値の設定は、ステップS1よりも前に、または、ステップS1と同時に行ってもよい。
【0055】
ステップS2において、重量計測部2は、ステップS1で計測した仕掛物6の重量計測値を定期的または仕掛物6の重量の変化時に在庫管理部3等の外部へ送信する。
【0056】
ステップS3において、在庫管理部3は、重量計測部2から送信された重量計測値を受信し、自工程での仕掛物6の在庫を管理する。
【0057】
ステップS4において、在庫管理判定部54は、重量計測値が、設定した補充要求値よりも増加または減少したか否かを判定する。補充要求値よりも増加または減少した場合(YESの場合)は、ステップS5に進む。補充要求値よりも増加または減少していない場合(NOの場合)は、エンドに進み、処理を終了する。
【0058】
ステップS5において、補充通知部55は、ステップS4において、重量計測値が設定した補充要求値よりも増加または減少したと判定された場合に、仕掛物6の補充情報を表示装置5に自動で通知する。
【0059】
ステップS6において、表示装置5は、補充通知部55から通知された仕掛物6の補充情報を受信して表示し、処理を終了する。
【0060】
次に、
図5を参照して、2つの作業工程間における在庫管理方法の一例について説明する。
図5は、本実施形態に係る在庫管理方法の一例を示す模式図である。
【0061】
図5に示すように、まず、前工程で仕掛物6が例えば3個製造されると、それら3個の仕掛物6が自工程(後工程)に搬送される。
【0062】
搬送された仕掛物6は、自工程で重量計測部2に載置されて重量を計測される。重量計測部2で計測された仕掛物6の重量計測値は在庫管理部3へ送信され、自工程での仕掛物6の在庫が管理される。
【0063】
ここで、補充要求部56は、自工程で補充が必要な仕掛物6の数量に相当する補充要求値を、例えば6個に設定する。
【0064】
次に、自工程で仕掛物6を2個使用して、例えば、当日の15時までに完成品を製造する。すると、重量計測部2に載置された仕掛物6の在庫が減少するため、在庫管理判定部54は、自工程の仕掛物6の重量計測値(1個分)が、設定した補充要求値(6個分)よりも減少したことを判定する。
【0065】
在庫管理判定部54が、重量計測値が設定した補充要求値よりも減少したと判定したので、補充通知部55は、仕掛物6の補充情報を表示装置5に自動で通知する。仕掛物6の補充情報は、例えば、本日14時までに仕掛物6を6個補充することを要求する情報である。
【0066】
そして、表示装置5は、補充通知部55から通知された仕掛物6の補充情報を受信して表示する。前工程の作業員等のユーザは、表示装置5に表示された補充情報に従って、仕掛物6を6個製造する。
【0067】
本実施形態に係る在庫管理システム1によれば、前工程と自工程の在庫情報が重量計測部2を介して自動で紐付けされているため、リアルタイムおよび最速のタイミングで実在庫の増減を把握し、いつまでに何をどれだけの量用意すればいいのかを管理することができる。
【0068】
<第2実施形態>
次に、
図6および
図7を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る在庫管理システムの一例を示す模式図である。
図7は、本実施形態に係る在庫管理方法の一例を示す模式図である。本実施形態が第1実施形態と異なる点は、生産ラインが複数ある場合に適用できる点である。
【0069】
図6に示すように、本実施形態に係る在庫管理システムは、例えば、生産ラインが4つある場合の工程1(前工程)と工程2(自工程)との間の仕掛物(キットD)の在庫を管理することができる。
【0070】
本実施形態に係る在庫管理システムでは、在庫管理部が、複数の生産ラインの前工程における仕掛物の在庫数を管理して、仕掛物の必要数を有する最適な生産ラインを判定することができる。そして、本実施形態に係る在庫管理システムの補充通知部は、最適な生産ラインの前工程に、仕掛物の必要数の補充情報を自動で通知することができる。
【0071】
図7を用いて、本実施形態に係る在庫管理システムを用いた在庫管理方法の流れについて説明する。一例として、自転車を10台製造する場合について説明する。
【0072】
第1に、完成品である自転車の重量を計測する重量計測マットで、現在の自転車の在庫数を計測する。例えば、自転車3台しか計測できなかった場合、あと7台自転車を製造しなければならないことになる。
【0073】
第2に、仕掛物であるタイヤの重量を重量計測マットで、例えば、11個在庫があるので、3個補充が必要であることを計測する。一方、仕掛物であるサドルの重量を重量計測マットで、例えば、10個在庫があるので補充は不要であることを計測する。
【0074】
第3に、仕掛物の補充が必要な第4生産ラインの工程2から、第2生産ラインの工程1の表示装置に対してタイヤ3個の補充情報を送信する。
【0075】
第4に、タイヤ3個の補充情報を受信した第2生産ラインの工程1で、タイヤの在庫の重量を重量計測マットで計測する。例えば、1個在庫があると計測した場合、さらに2個タイヤを製造する必要がある。
【0076】
第5に、タイヤ2個を製造するために必要な部品の数量を確認する。例えば、チューブ、ホイール、およびネジ、のそれぞれの残量を重量計測マットで計測し、ホイールおよびネジは必要な在庫数があるが、チューブは1個補充が必要であることを確認する。
【0077】
第6に、第2生産ラインの工程1の表示装置に、タイヤマット1にタイヤ3個の補充情報を通知し、チューブマット1にチューブ1個の補充情報を通知する。
【0078】
第7に、補充情報を受信した第2生産ラインの工程1で、タイヤ3個およびチューブ1個を製造し、第4生産ラインの工程2に搬送する。
【0079】
本実施形態に係る在庫管理システムによれば、第1実施形態に係る在庫管理システム1と同様に、リアルタイムおよび最速のタイミングで実在庫の増減を把握し、いつまでに何をどれだけの量用意すればいいのかを管理することができる。
【0080】
また、本実施形態に係る在庫管理システムによれば、複数の生産ラインの在庫を紐付けて管理するため、よりリアルタイムおよび最速のタイミングで実在庫の増減を把握することができる。
【0081】
本発明は、以下の構成とすることができる。
(1)
一または複数の仕掛物の重量を計測する重量計測部と、
補充が必要な前記仕掛物の数量に相当する補充要求値を設定する補充要求部と、
計測した前記仕掛物の重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことを判定する在庫管理部と、
前記重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことが判定された場合に、前記仕掛物の補充情報を自動で通知する補充通知部と、
前記補充通知部から通知される前記補充情報を受信して表示する表示部と、
を備える、在庫管理システム。
(2)
前記重量計測部は、
各々が独立した重量計測手段として利用可能な可搬型のフラットパネル形態を有し、
通信網を介して外部の情報機器と連携しながら、前記仕掛物の在庫管理を支援する制御部と、
外部の通信網と前記制御部の間でデータのやり取りを仲介する通信部と、載置された前記仕掛物の前記重量計測値を前記制御部に出力可能な重量計測センサと、を備え、
前記フラットパネル形態は、互いに隙間なく並べて整列することが可能な2次元形状を有し、一つ以上の前記フラットパネル形態に跨って形成される天面上に載置された任意の寸法形状の前記仕掛物の重量を、前記在庫管理の支援のために前記情報機器にて集計および変動追跡させるものである、(1)に記載の在庫管理システム。
(3)
前記重量計測部が、前記重量計測値を定期的または前記重量の変化時に前記在庫管理部へ送信する、(1)または(2)に記載の在庫管理システム。
(4)
前記重量計測部が、前記重量計測値が前記補充要求値よりも増加または減少した場合にアラートを発生させる、(1)から(3)のいずれか一つに記載の在庫管理システム。
(5)
前記補充通知部が、かんばん方式の前記補充情報を自動で通知する、(1)から(4)のいずれか一つに記載の在庫管理システム。
(6)
前記補充通知部が、ガントチャート方式の前記補充情報を自動で通知する、(1)から(5)のいずれか一つに記載の在庫管理システム。
(7)
前記在庫管理部が、複数の生産ラインの前工程における前記仕掛物の在庫数を管理して、前記仕掛物の必要数を有する最適な生産ラインを判定し、
前記補充通知部が、前記最適な生産ラインの前記前工程に、前記仕掛物の必要数の補充情報を自動で通知する、(1)から(6)のいずれか一つに記載の在庫管理システム。
(8)
一または複数の仕掛物の重量を計測するステップと、
補充が必要な前記仕掛物の数量に相当する補充要求値を設定するステップと、
計測した前記仕掛物の重量計測値を定期的または前記重量の変化時に外部へ送信するステップと、
送信された前記重量計測値を受信し、前記重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことを判定するステップと、
前記重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことが判定された場合に、前記仕掛物の補充情報を自動で通知するステップと、
通知された前記補充情報を受信して表示するステップと、
を含む在庫管理方法。
(9)
コンピュータに、
一または複数の仕掛物の重量を計測するステップと、
補充が必要な前記仕掛物の数量に相当する補充要求値を設定するステップと、
計測した前記仕掛物の重量計測値を定期的または前記重量の変化時に外部へ送信するステップと、
送信された前記重量計測値を受信し、前記重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことを判定するステップと、
前記重量計測値が、前記補充要求値よりも増加または減少したことが判定された場合に、前記仕掛物の補充情報を自動で通知するステップと、
通知された前記補充情報を受信して表示するステップと、
を実行させる在庫管理プログラム。
【符号の説明】
【0082】
1 在庫管理システム
2 重量計測部(重量計測マット)
3 在庫管理部
4 ネットワーク
5 表示部
6 仕掛物
21 マット通信部
22 マット制御部
23 マット記憶部
24 重量センサ
25 計測ボタン
26 ランプ
27 バッテリ収容部
51 在庫管理入力部
52 在庫管理制御部
53 在庫管理記憶部
54 在庫管理判定部
55 補充通知部
56 補充要求部
231 計測頻度の設定値
232 通信先I P アドレスの設定値