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特開2024-171623行動変容支援装置、行動変容支援方法及び行動変容支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171623
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】行動変容支援装置、行動変容支援方法及び行動変容支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20241205BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20241205BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088736
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大上 剛史
(72)【発明者】
【氏名】佐川 将直
(72)【発明者】
【氏名】植田 武
(72)【発明者】
【氏名】松田 昇平
(72)【発明者】
【氏名】鶴 直樹
(72)【発明者】
【氏名】蔵田 雛子
(72)【発明者】
【氏名】大井 美喜江
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 奈臣
(72)【発明者】
【氏名】半田 香
(72)【発明者】
【氏名】峯 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】陳 薇雅
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】管理者の対応なしに働く人の幸福度を高められるようにする。
【解決手段】影響検出部21は、仕事中のユーザの働きがいに影響する、賛辞及び心の乱れといった影響データを検出する。フィードバック部22は、影響検出部21によって検出された影響データに応じて、ユーザに対して働きがいを高めるためのフィードバックを行う。これにより、行動変容支援装置10は、ユーザが働きがいを感じ易くし、幸福度を高められるようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕事中のユーザの働きがいに影響する影響データを検出する影響検出部と、
前記影響検出部によって検出された前記影響データに応じて、前記ユーザに対して前記働きがいを高めるためのフィードバックを行うフィードバック部と
を備える行動変容支援装置。
【請求項2】
前記影響検出部は、仕事中に発せられた言葉から賛辞を検出し、
前記フィードバック部は、フィードバックタイミングになると、検出された前記賛辞を示すフィードバックデータを出力する
請求項1に記載の行動変容支援装置。
【請求項3】
前記影響検出部は、会話相手によってユーザに対して発せられた言葉から賛辞を他発賛辞として検出するとともに、前記ユーザが前記会話相手に対して発した言葉から賛辞を自発賛辞として検出し、
前記フィードバック部は、前記他発賛辞を示す前記フィードバックデータである他発データと、前記自発賛辞を示す前記フィードバックデータである自発データとを出力する請求項2に記載の行動変容支援装置。
【請求項4】
前記影響検出部は、賛辞辞書に設定された言葉である辞書語を前記賛辞として検出する請求項2に記載の行動変容支援装置。
【請求項5】
前記行動変容支援装置は、さらに、
前記ユーザの気持ちが上向いた向上状態を検出する状態検出部と、
前記状態検出部によって前記向上状態が検出される前に発せられた言葉である向上語を、前記辞書語として登録する辞書管理部と
を備える請求項4に記載の行動変容支援装置。
【請求項6】
前記賛辞辞書は、人毎に設定されており、
前記辞書管理部は、前記向上状態になった人の前記賛辞辞書に対して、前記向上語を前記辞書語として登録する
請求項5に記載の行動変容支援装置。
【請求項7】
前記状態検出部は、前記向上状態とともに、前記気持ちの上向き度合を示す向上度を検出し、
前記辞書管理部は、検出された前記向上度に応じて、前記向上語を前記辞書語として登録するか否か決定する
請求項5に記載の行動変容支援装置。
【請求項8】
前記影響検出部は、前記ユーザの心の乱れを検出し、
前記フィードバック部は、前記心の乱れが検出されると、前記心の乱れを癒すためのコンテンツを示すフィードバックデータを出力する
請求項1に記載の行動変容支援装置。
【請求項9】
前記影響検出部は、前記心の乱れを、前記心の乱れの種別とともに検出し、
前記フィードバック部は、前記心の乱れの種別に応じたコンテンツを示す前記フィードバックデータを出力する
請求項8に記載の行動変容支援装置。
【請求項10】
前記フィードバック部は、前記心の乱れに共感したメッセージを出力する
請求項8に記載の行動変容支援装置。
【請求項11】
前記フィードバック部は、前記ユーザからメッセージの入力を受け付け、前記メッセージに応じたメッセージを出力する
請求項8に記載の行動変容支援装置。
【請求項12】
前記フィードバック部は、前記心の乱れが検出された時点における前記ユーザの予定に応じた方法で、前記フィードバックデータを出力する
請求項8に記載の行動変容支援装置。
【請求項13】
コンピュータが、仕事中のユーザの働きがいに影響する影響データを検出し、
コンピュータが、検出された前記影響データに応じて、前記ユーザに対して前記働きがいを高めるためのフィードバックを行う行動変容支援方法。
【請求項14】
仕事中のユーザの働きがいに影響する影響データを検出する影響検出処理と、
前記影響検出処理によって検出された前記影響データに応じて、前記ユーザに対して前記働きがいを高めるためのフィードバックを行うフィードバック処理と
を行う行動変容支援装置としてコンピュータを機能させる行動変容支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、働く人の幸福度を高める技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業が働く人の働きがいを高めようとする取り組みが数多くみられる。働く人が前向きに仕事に取り組んで働きがいを感じている状態になると、企業の生産性を向上させることができる。前向きに仕事に取り組んで働きがいを感じている状態は、働く人の幸福度が高い状態である。
【0003】
特許文献1には、業務に従事する従業員の働きがいを示す働きがい評価情報と、業務の生産性を示す生産性評価情報とに基づいて、業務を評価する業務評価情報を生成するシステムが記載されている。特許文献1では、業務評価情報から得られるスコアが低い場合に、改善ポイントをアドバイスする等して、働きがいの向上を支援することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-047836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたシステムは、働きがいと生産性とを考慮した業務評価情報に基づいて働きがいの向上を支援しているため、生産性を考慮せずに働きがいの向上を支援することはできなかった。
本開示は、生産性を考慮せずに働く人の幸福度を高められるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る行動変容支援装置は、
仕事中のユーザの働きがいに影響する影響データを検出する影響検出部と、
前記影響検出部によって検出された前記影響データに応じて、前記ユーザに対して前記働きがいを高めるためのフィードバックを行うフィードバック部と
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、働きがいに影響する影響データを検出し、検出された影響データに応じて働きがいを高めるためのフィードバックを行う。これにより、管理者の対応なしに働く人の幸福度を高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る行動変容支援装置10の構成図。
図2】実施の形態1に係る行動変容支援装置10の概要動作の説明図。
図3】実施の形態1に係る行動変容支援装置10の詳細動作のフローチャート。
図4】実施の形態1に係る行動変容支援装置10の詳細動作の説明図。
図5】実施の形態1に係るメモリ12に記憶される情報の説明図。
図6】実施の形態2に係る行動変容支援装置10の構成図。
図7】実施の形態2に係る行動変容支援装置10の詳細動作のフローチャート。
図8】実施の形態3に係る行動変容支援装置10の概要動作の説明図。
図9】実施の形態3に係る行動変容支援装置10の詳細動作のフローチャート。
図10】実施の形態3に係る行動変容支援装置10の詳細動作の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係る行動変容支援装置10の構成を説明する。
行動変容支援装置10は、コンピュータである。
行動変容支援装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信インタフェース14とのハードウェアを備える。プロセッサ11は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0010】
プロセッサ11は、プロセッシングを行うICである。ICはIntegrated Circuitの略である。プロセッサ11は、具体例としては、CPU、DSP、GPUである。CPUは、Central Processing Unitの略である。DSPは、Digital Signal Processorの略である。GPUは、Graphics Processing Unitの略である。
【0011】
メモリ12は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ12は、具体例としては、SRAM、DRAMである。SRAMは、Static Random Access Memoryの略である。DRAMは、Dynamic Random Access Memoryの略である。
【0012】
ストレージ13は、データを保管する記憶装置である。ストレージ13は、具体例としては、HDDである。HDDは、Hard Disk Driveの略である。また、ストレージ13は、SD(登録商標)メモリカード、CompactFlash(登録商標)、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク、DVDといった可搬記録媒体であってもよい。SDは、Secure Digitalの略である。DVDは、Digital Versatile Diskの略である。
【0013】
通信インタフェース14は、外部の装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース14は、具体例としては、Ethernet(登録商標)、USB、HDMI(登録商標)のポートである。USBは、Universal Serial Busの略である。HDMIは、High-Definition Multimedia Interfaceの略である。
【0014】
行動変容支援装置10は、機能構成要素として、影響検出部21と、フィードバック部22とを備える。行動変容支援装置10の各機能構成要素の機能はソフトウェアにより実現される。
ストレージ13には、行動変容支援装置10の各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ11によりメモリ12に読み込まれ、プロセッサ11によって実行される。これにより、行動変容支援装置10の各機能構成要素の機能が実現される。
【0015】
図1では、プロセッサ11は、1つだけ示されていた。しかし、プロセッサ11は、複数であってもよく、複数のプロセッサ11が、各機能を実現するプログラムを連携して実行してもよい。
【0016】
***動作の説明***
図2から図5を参照して、実施の形態1に係る行動変容支援装置10の動作を説明する。
実施の形態1に係る行動変容支援装置10の動作手順は、実施の形態1に係る行動変容支援方法に相当する。また、実施の形態1に係る行動変容支援装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態1に係る行動変容支援プログラムに相当する。
【0017】
以下の説明では、対象とする人をユーザと呼び、ユーザと会話をしている人を会話相手と呼ぶ。
【0018】
図2を参照して、実施の形態1に係る行動変容支援装置10の概要動作を説明する。
行動変容支援装置10の影響検出部21は、仕事中のユーザの働きがいに影響する影響データを検出する。そして、行動変容支援装置10のフィードバック部22は、影響検出部21によって検出された影響データに応じて、ユーザに対して働きがいを高めるためのフィードバックを行う。
JD-R理論に基づき、フィードバックすることは働きがいを高めるものである。JD-R理論は、Job Demands-Resources Theoryの略である。ここで、働きがいが高い状態とは、「仕事に誇りや、やりがいを感じている」(熱意)、「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)、「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力)の3つが揃っており仕事に対して前向きな状態である。働きがいに関する定義は、文献「平成30年版 労働経済の分析」厚生労働省、p.191 コラム2-5」の「ワーク・エンゲージメントが労働者の健康・仕事のパフォーマンス等へ与える影響について」に記載されている。ワーク・エンゲージメントは働きがいと同じ意味で用いられる用語である。
【0019】
実施の形態1では、行動変容支援装置10は以下のように動作する。
仕事中には、行動変容支援装置10の影響検出部21は、ユーザと会話相手との音声又は文字等による会話を監視する。そして、影響検出部21は、発せられた言葉から賛辞を検出する。つまり、影響検出部21は、影響データとして賛辞を検出する。具体的には、影響検出部21は、会話相手がユーザを褒めたこと、ユーザが会話相手を褒めたことを検出する。影響検出部21は、検出された賛辞をメモリ12に記録しておく。
フィードバックタイミングになると、フィードバック部22は、検出された賛辞(褒めたこと及び褒められたこと)を示すアニメーション等のフィードバックデータを出力する。フィードバックタイミングは、例えば、仕事を終えるタイミングである。フィードバックデータには、検出された賛辞が含まれる。
仕事終わりには、仕事中に発せられた賛辞がフィードバックされ、賛辞を振り返ったことにより、ユーザの気分が良くなる。これにより、働きがいを感じ易くなる。
【0020】
図3及び図4を参照して、実施の形態1に係る行動変容支援装置10の詳細動作を説明する。
まず、事前準備として、行動変容支援装置10は、ユーザと会話相手との会話を監視できるように設定される。具体的には、行動変容支援装置10は、マイクにより、ユーザと会話相手との声を取得できるように設定される。また、行動変容支援装置10は、オンライン会議等で使用されるソフトウェアのチャットボックスに入力された文字を取得できるように設定される。
この際、行動変容支援装置10は、カメラによってユーザの周辺の画像データを取得できるように設定されてもよい。また、オンライン会議等で使用されるソフトウェアの画面のハードコピーを取得できるように設定されてもよい。
【0021】
(ステップS11:影響検出処理)
影響検出部21は、仕事中に発せられた言葉から賛辞を検出する。ここでは、影響検出部21は、会話相手によってユーザに対して発せられた言葉から賛辞を他発賛辞として検出する。また、影響検出部21は、ユーザが会話相手に対して発した言葉から賛辞を自発賛辞として検出する。
具体的には、影響検出部21は、賛辞辞書に設定された言葉である辞書語を賛辞として検出する。実施の形態1では、賛辞辞書は、メモリ12又はストレージ13に事前に設定されているものとする。辞書語は、例えば、分かり易い、よく書けている、すごい、素晴らしい、ありがとう、よくできている、完璧です、助かった、あなたのおかげで、論理的ですといった言葉である。誰が発した賛辞であるかは、音声に基づき識別可能である。また、誰に対する賛辞であるかは、会話の流れ及び会話の内容から推定可能である。
図5に示すように、影響検出部21は、他発賛辞と自発賛辞とを別々にメモリ12に記憶する。この際、影響検出部21は、他発賛辞とともに、検出された日時と、誰からの賛辞であるかとを記憶する。また、影響検出部21は、自発賛辞とともに、検出された日時と、誰に対する賛辞であるかとを記憶する。
【0022】
(ステップS12:タイミング判定処理)
フィードバック部22は、フィードバックタイミングになったか否かを判定する。フィードバック部22は、フィードバックタイミングになった場合には、処理をステップS13に進める。一方、フィードバック部22は、フィードバックタイミングになっていない場合には、処理をステップS11に戻す。
ここでは、フィードバックタイミングは、仕事を終えるタイミング等のように事前に決められたタイミングである。仕事を終えるタイミングは、例えば、退勤の処理を行ったタイミングである。
【0023】
(ステップS13:フィードバック処理)
フィードバック部22は、検出された賛辞を示すフィードバックデータを出力する。実施の形態1では、フィードバック部22は、その日の仕事中に検出された賛辞を示すフィードバックデータを出力する。
具体的には、フィードバック部22は、検出された賛辞を、会話相手のアバター等を用いたアニメーションに埋め込んで表示する。会話相手とは、他発賛辞であれば、ユーザを褒めた人であり、自発賛辞であれば、ユーザが褒めた人である。この際、フィードバック部22は、賛辞が発せられた日時と、その時に実施していたタスクとも表示してもよい。タスクは、例えば、会議の名称である。タスクは、ユーザの予定を管理するスケジューラを参照することにより特定可能である。
なお、フィードバック部22は、アニメーションにすることなく、単純に賛辞と会話相手と日時とタスクとを1セットずつ順に表示してもよい。また、フィードバック部22は、賛辞が発せられた時の映像を出力してもよい。例えば、カメラによってユーザの周辺の画像データを取得できるように設定されている場合には、フィードバック部22は、賛辞が発せられた時のユーザの周辺の画像データから成る映像データを、音声データとともに出力してもよい。オンライン会議等で使用されるソフトウェアの画面のハードコピーを取得できるように設定されている場合には、フィードバック部22は、賛辞が発せられた時の画面のハードコピーから成る映像データを、音声データとともに出力してもよい。
【0024】
***実施の形態1の効果***
以上のように、実施の形態1に係る行動変容支援装置10は、働きがいに影響する影響データを検出し、検出された影響データに応じて働きがいを高めるためのフィードバックを行う。これにより、管理者の対応なしに働く人の幸福度を高めることが可能になる。
【0025】
実施の形態1では、行動変容支援装置10は、影響データとして賛辞を検出する。そして、行動変容支援装置10は、フィードバックタイミングになると、賛辞を示すフィードバックデータを出力する。これにより、仕事中に発せられた賛辞がフィードバックされ、賛辞を振り返ったことにより、ユーザの気分が良くなる。賛辞により「仕事に誇りや、やりがいを感じている」(熱意)が高まるフィードバックが行われたためである。その結果、働きがいを感じ易くなり、ユーザの幸福度が高くなる。
特許文献1では、生産現場を活性化する情報に基づいた働きがいを向上させる内容を端末に表示している。これに対して、実施の形態1では、行動変容支援装置10は、検出された賛辞に応じてフィードバックを行う。そのため、より高い効果が得られる。
【0026】
実施の形態1では、行動変容支援装置10は、賛辞として、他発賛辞だけでなく、自発賛辞も検出する。つまり、行動変容支援装置10は、ユーザが会話相手から褒められたことだけでなく、ユーザが会話相手を褒めたことも検出する。そして、行動変容支援装置10は、他発賛辞だけでなく、自発賛辞もフィードバックする。
他発賛辞は、自己効力感を高める言語的説得に対応しており、ユーザが働きがいを感じ易くなる。一方、自発賛辞は、自己効力感を高める代理経験に対応しており、ユーザが働きがいを感じ易くなる。そのため、他発賛辞だけでなく、自発賛辞もフィードバックすることは、働きがいを感じ易くするために有効である。
【0027】
実施の形態1では、行動変容支援装置10は、個々のユーザの働きがいに影響を与えるデータに応じてフィードバックを行う。そのため、組織、グループといった複数のユーザに向けたフィードバックよりも高い効果が得られる。また、あらかじめ用意された一般的なフィードバックの内容よりも高い効果が得られる。
【0028】
***他の構成***
<変形例1>
フィードバック部22は、他発賛辞を示すフィードバックデータである他発データと、自発賛辞示すフィードバックデータである自発データとを別々に出力してもよい。
また、上記説明では、フィードバックタイミングは、事前に決められたタイミングであるとした。しかし、フィードバックタイミングは、ユーザから指示があったタイミングであってもよい。例えば、フィードバックタイミングは、ユーザからフィードバックを受ける旨の指示が入力されたタイミングである。この際、他発賛辞と自発賛辞とのどちらか一方だけのフィードバックを受けるという指示が入力されてもよい。
【0029】
<変形例2>
行動変容支援装置10は、機能構成要素として、ステップS11で検出された賛辞を可視化する可視化部を備えてもよい。具体的には、可視化部は、検出された賛辞の数に応じた表示を行う。例えば、オンライン会議中であれば、その会議において検出された賛辞の数に応じた数の絵柄を表示する。絵柄としては、拍手している絵柄又はハートの絵柄等が想定される。賛辞が多いことは、会議参加者同士のコミュニケーションの多さを示す。
【0030】
上記例では、可視化部は、リアルタイムに賛辞を可視化した。これとは別に、可視化部は、賛辞を一覧化してもよい。例えば、可視化部は、いつ、誰が、誰に、どのようなことで、どのように褒めたかを一覧にしてもよい。これにより、どのような賛辞が発せられているかを分析することが可能になる。
【0031】
また、可視化部は、日毎、週毎、月毎のような期間毎に賛辞の統計をとってもよい。この際、可視化部は、人毎、組織毎のような単位毎に賛辞の統計をとってもよい。これにより、各期間における各単位のコミュニケーションの濃淡を可視化することができる。
【0032】
<変形例3>
実施の形態1では、各機能構成要素がソフトウェアで実現された。しかし、変形例3として、各機能構成要素はハードウェアで実現されてもよい。この変形例3について、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0033】
各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、行動変容支援装置10は、プロセッサ11とメモリ12とストレージ13とに代えて、電子回路を備える。電子回路は、各機能構成要素と、メモリ12と、ストレージ13との機能とを実現する専用の回路である。
【0034】
電子回路としては、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、FPGAが想定される。GAは、Gate Arrayの略である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略である。
各機能構成要素を1つの電子回路で実現してもよいし、各機能構成要素を複数の電子回路に分散させて実現してもよい。
【0035】
<変形例4>
変形例4として、一部の各機能構成要素がハードウェアで実現され、他の各機能構成要素がソフトウェアで実現されてもよい。
【0036】
プロセッサ11とメモリ12とストレージ13と電子回路とを処理回路という。つまり、各機能構成要素の機能は、処理回路により実現される。
【0037】
実施の形態2.
実施の形態2は、気持ちが上向いた向上状態を検出して、賛辞辞書を更新する点が実施の形態1と異なる。実施の形態2では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
【0038】
***構成の説明***
図6を参照して、実施の形態2に係る行動変容支援装置10の構成を説明する。
行動変容支援装置10は、機能構成要素として、状態検出部23と、辞書管理部24とを備える点が実施の形態1と異なる。状態検出部23と辞書管理部24との機能は、他の機能構成要素と同様に、ソフトウェア又はハードウェアによって実現される。
【0039】
***動作の説明***
図7を参照して、実施の形態2に係る行動変容支援装置10の動作を説明する。
実施の形態2に係る行動変容支援装置10の動作手順は、実施の形態2に係る行動変容支援方法に相当する。また、実施の形態2に係る行動変容支援装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態2に係る行動変容支援プログラムに相当する。
【0040】
(ステップS21:状態検出処理)
状態検出部23は、ユーザの生体情報を監視して、ユーザの気持ちが上向いた向上状態になったことを検出する。具体的には、状態検出部23は、ユーザの脈拍と瞳孔の状態と声の音質と表情筋の変化と顔の温度といった生体情報を取得する。状態検出部23は、取得された生体情報の状態の組合せにより、向上状態になったことを検出する。この際、状態検出部23は、気持ちの上向き度合を示す向上度も検出してもよい。
【0041】
(ステップS22:辞書管理処理)
辞書管理部24は、向上状態が検出される直前の基準期間に発せられた言葉である向上語を特定し、向上語を辞書語として賛辞辞書に登録する。つまり、辞書管理部24は、ユーザを向上状態にした要因となった言葉を辞書語として賛辞辞書に登録する。
【0042】
辞書管理部24は、1つの言葉が基準回数だけ向上状態にしたと認められる場合に、その言葉を辞書語として賛辞辞書に登録してもよい。この場合には、ステップS22では、辞書管理部24は、向上語を特定し、向上語についてのカウンタに1加算する。そして、辞書管理部24は、カウンタの値が基準回数になった場合に、向上語を辞書語として賛辞辞書に登録する。
【0043】
辞書管理部24は、向上度に応じて、向上語を辞書語として登録するか否か決定してもよい。例えば、辞書管理部24は、向上度が閾値よりも高い場合にのみ、向上語を辞書語として登録する。あるいは、特定された向上語についての向上度の累積値が基準値を超えた場合に、向上語を辞書語として登録してもよい。また、あるいは、1月といった一定期間に渡って向上度により向上語のランキングをつけ、ランキングにおいて上位基準個の向上語を辞書語として登録してもよい。
【0044】
***実施の形態2の効果***
以上のように、実施の形態2に係る行動変容支援装置10は、気持ちが上向いた向上状態を検出して、賛辞辞書を更新する。これにより、より適切に賛辞を検出可能になる。その結果、働きがいを感じさせるフィードバックを適切に行うことができるようになる。また、アンケートで得られるデータのような主観的なデータではなく、客観的なデータである生体情報を取得することにより向上状態を検出しているため、より適切に向上状態を検出することができる。
【0045】
***他の構成***
<変形例5>
賛辞辞書は、人毎に設定されていてもよい。この場合には、辞書管理部24は、向上状態になった人の賛辞辞書に対して、向上語を前記辞書語として登録する。人によって気持ちが上向き易い言葉が異なる。そのため、人毎に賛辞辞書を設定することで、より適切に賛辞を検出可能になる。
【0046】
<変形例6>
フィードバック部22は、向上度に応じてフィードバックデータを生成してもよい。例えば、フィードバック部22は、複数の賛辞が検出された場合には、向上度が高い賛辞のみを示すフィードバックデータを生成してもよい。あるいは、複数の賛辞が検出された場合には、向上度が高い賛辞ほど長い時間表示等されるようにフィードバックデータを生成してもよい。
【0047】
実施の形態3.
実施の形態3は、心の乱れを検出する点が実施の形態1と異なる。実施の形態3では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
【0048】
***動作の説明***
図8から図10を参照して、実施の形態3に係る行動変容支援装置10の動作を説明する。
実施の形態3に係る行動変容支援装置10の動作手順は、実施の形態3に係る行動変容支援方法に相当する。また、実施の形態3に係る行動変容支援装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態3に係る行動変容支援プログラムに相当する。
【0049】
図8を参照して、実施の形態3に係る行動変容支援装置10の概要動作を説明する。
実施の形態3では、行動変容支援装置10は以下のように動作する。
事前準備として、キャラクター又は写真等の癒し効果のある画像データが設定される。仕事中には、行動変容支援装置10の影響検出部21は、ユーザの生体情報を取得して、ユーザの心の状態を監視する。そして、影響検出部21は、心の乱れを検出する。つまり、影響検出部21は、影響データとして心の乱れを検出する。
心の乱れが検出されると、フィードバック部22は、心の乱れを癒すためのコンテンツを示すフィードバックデータを出力する。コンテンツは、事前準備で設定された画像データを用いて構成される。例えば、コンテンツは、ユーザによって選ばれたキャラクターが、ユーザの心の状態に共感するメッセージを言っているアニメーションである。また、フィードバック部22は、ユーザからのメッセージ入力を受け付け、受け付けたメッセージに応じたメッセージを出力してもよい。これにより、ユーザとキャラクターとが会話しているような状態にしてもよい。
癒し効果のある画像データを見る、心の状態に共感してもらう、会話をしてもらう等することにより、心が落ち着き、考えが整理され、平常心に戻ることができる。つまり、心が乱れ、働きがいを感じ辛い状態を解消することができる。
【0050】
図9及び図10を参照して、実施の形態3に係る行動変容支援装置10の詳細動作を説明する。
まず、事前準備として、行動変容支援装置10は、自分好みのキャラクター又は家族の写真等の癒し効果のある画像データが設定される。また、行動変容支援装置10は、ユーザの生体情報を監視できるように設定される。具体的には、行動変容支援装置10は、ユーザの脈拍と瞳孔の状態と声の音質と表情筋の変化と顔の温度といった生体情報を取得できるように設定される。
【0051】
(ステップS31:影響検出処理)
影響検出部21は、仕事中におけるユーザの生体情報を取得して、ユーザの心の乱れを検出する。具体的には、影響検出部21は、ユーザの脈拍と瞳孔の状態と声の音質と表情筋の変化と顔の温度といった生体情報を取得する。影響検出部21は、取得された生体情報の状態の組合せにより、ユーザの心の乱れを検出する。
この際、影響検出部21は、イライラしている状態と落ち込んでいる状態とのような心の乱れの種別も検出してもよい。
【0052】
(ステップS32:乱れ判定処理)
フィードバック部22は、ステップS31で心の乱れが検出されたか否かを判定する。フィードバック部22は、検出された場合には、処理をステップS33に進める。一方、フィードバック部22は、検出されなかった場合には、処理をステップS31に戻す。
【0053】
(ステップS33:フィードバック処理)
フィードバック部22は、心の乱れを癒すためのコンテンツを示すフィードバックデータを出力する。
ユーザは必要に応じてメッセージを入力してもよい。メッセージが入力されると、フィードバック部22は、入力されたメッセージを受け付け、受け付けたメッセージに応じたメッセージを出力する。これにより、ユーザが会話しているような状態になる。この際、フィードバック部22は、5W1H(When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(だれが)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように))に従った質問をメッセージとして出力する。ユーザは、この質問に回答することで、考えが整理され、心の乱れが解消する可能性がある。
【0054】
ステップS31で心の乱れの種別が検出されている場合には、フィードバック部22は、心の乱れの種別に応じたコンテンツを示すフィードバックデータを出力してもよい。例えば、フィードバック部22は、イライラしている状態の場合には、アンガーマネジメントにおける数字のカウントダウンをさせるコンテンツを出力することが考えられる。また、フィードバック部22は、落ち込んでいる状態の場合には、格言を示したコンテンツを出力することが考えられる。
【0055】
フィードバック部22は、心の乱れが検出された時点におけるユーザの予定に応じた方法で、フィードバックデータを出力してもよい。例えば、ユーザがオンライン会議中の場合には、オンライン会議で使用している端末にフィードバックデータを表示してしまうと都合が悪い可能性がある。そこで、フィードバック部22は、オンライン会議で使用している端末とは異なる端末にフィードバックデータを出力することが考えられる。また、ユーザが在宅作業中の場合には、フィードバック部22は、音声通話によりフィードバックデータを出力することが考えられる。
【0056】
***実施の形態3の効果***
以上のように、実施の形態3に係る行動変容支援装置10は、影響データとして心の乱れを検出する。そして、行動変容支援装置10は、心の乱れが検出されると、心の乱れを癒すためのコンテンツを示すフィードバックデータを出力する。これにより、心が乱れ、働きがいを感じ辛い状態を解消することができる。その結果、働きがいを感じ易くなり、ユーザの幸福度が高くなる。
【0057】
実施の形態3では、行動変容支援装置10は、ユーザからのメッセージに応じたメッセージを出力する。これにより、ユーザとの間で会話をしている状態になる。ユーザは会話をすることにより、考えが整理され、心の乱れが解消する可能性がある。
【0058】
***他の構成***
<変形例7>
行動変容支援装置10は、実施の形態1で説明したように影響データとして賛辞を検出する動作をしつつ、実施の形態3で説明したように影響データとして心の乱れを検出する動作をしてもよい。
【0059】
なお、以上の説明における「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「処理回路」に読み替えてもよい。
【0060】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
仕事中のユーザの働きがいに影響する影響データを検出する影響検出部と、
前記影響検出部によって検出された前記影響データに応じて、前記ユーザに対して前記働きがいを高めるためのフィードバックを行うフィードバック部と
を備える行動変容支援装置。
(付記2)
前記影響検出部は、仕事中に発せられた言葉から賛辞を検出し、
前記フィードバック部は、フィードバックタイミングになると、検出された前記賛辞を示すフィードバックデータを出力する
付記1に記載の行動変容支援装置。
(付記3)
前記影響検出部は、会話相手によってユーザに対して発せられた言葉から賛辞を他発賛辞として検出するとともに、前記ユーザが前記会話相手に対して発した言葉から賛辞を自発賛辞として検出し、
前記フィードバック部は、前記他発賛辞を示す前記フィードバックデータである他発データと、前記自発賛辞を示す前記フィードバックデータである自発データとを出力する付記2に記載の行動変容支援装置。
(付記4)
前記影響検出部は、賛辞辞書に設定された言葉である辞書語を前記賛辞として検出する付記2又は3に記載の行動変容支援装置。
(付記5)
前記行動変容支援装置は、さらに、
前記ユーザの気持ちが上向いた向上状態を検出する状態検出部と、
前記状態検出部によって前記向上状態が検出される前に発せられた言葉である向上語を、前記辞書語として登録する辞書管理部と
を備える付記4に記載の行動変容支援装置。
(付記6)
前記賛辞辞書は、人毎に設定されており、
前記辞書管理部は、前記向上状態になった人の前記賛辞辞書に対して、前記向上語を前記辞書語として登録する
付記5に記載の行動変容支援装置。
(付記7)
前記状態検出部は、前記向上状態とともに、前記気持ちの上向き度合を示す向上度を検出し、
前記辞書管理部は、検出された前記向上度に応じて、前記向上語を前記辞書語として登録するか否か決定する
付記5又は6に記載の行動変容支援装置。
(付記8)
前記影響検出部は、前記ユーザの心の乱れを検出し、
前記フィードバック部は、前記心の乱れが検出されると、前記心の乱れを癒すためのコンテンツを示すフィードバックデータを出力する
付記1に記載の行動変容支援装置。
(付記9)
前記影響検出部は、前記心の乱れを、前記心の乱れの種別とともに検出し、
前記フィードバック部は、前記心の乱れの種別に応じたコンテンツを示す前記フィードバックデータを出力する
付記8に記載の行動変容支援装置。
(付記10)
前記フィードバック部は、前記心の乱れに共感したメッセージを出力する
付記8又は9に記載の行動変容支援装置。
(付記11)
前記フィードバック部は、前記ユーザからメッセージの入力を受け付け、前記メッセージに応じたメッセージを出力する
付記8から10までのいずれか1項に記載の行動変容支援装置。
(付記12)
前記フィードバック部は、前記心の乱れが検出された時点における前記ユーザの予定に応じた方法で、前記フィードバックデータを出力する
付記8から11までのいずれか1項に記載の行動変容支援装置。
(付記13)
コンピュータが、仕事中のユーザの働きがいに影響する影響データを検出し、
コンピュータが、検出された前記影響データに応じて、前記ユーザに対して前記働きがいを高めるためのフィードバックを行う行動変容支援方法。
(付記14)
仕事中のユーザの働きがいに影響する影響データを検出する影響検出処理と、
前記影響検出処理によって検出された前記影響データに応じて、前記ユーザに対して前記働きがいを高めるためのフィードバックを行うフィードバック処理と
を行う行動変容支援装置としてコンピュータを機能させる行動変容支援プログラム。
【0061】
以上、本開示の実施の形態及び変形例について説明した。これらの実施の形態及び変形例のうち、いくつかを組み合わせて実施してもよい。また、いずれか1つ又はいくつかを部分的に実施してもよい。なお、本開示は、以上の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
10 行動変容支援装置、11 プロセッサ、12 メモリ、13 ストレージ、14 通信インタフェース、21 影響検出部、22 フィードバック部、23 状態検出部、24 辞書管理部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10