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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171636
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ドラムスタンド
(51)【国際特許分類】
   G10D 13/10 20200101AFI20241205BHJP
   G10G 5/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G10D13/10 140
G10G5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088756
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大夢
【テーマコード(参考)】
5D182
【Fターム(参考)】
5D182BB11
(57)【要約】
【課題】ドラムを支持する態様を簡単に切り替えることが可能なドラムスタンドを提供する。
【解決手段】ドラムスタンド1は、支柱20と、支柱20の軸方向から見て支柱20から放射状に延びた状態でドラムDRを支持する複数のアーム30と、を備える。複数のアーム30は、支柱20の軸方向から見て、支柱20から支柱20の径方向に延びる第一支持位置P1と、第一支持位置P1とは異なる態様で支柱20から支柱20の径方向に延びる第二支持位置と、を有し、第一支持位置P1と第二支持位置との間で支柱20に対して回転可能に取り付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、前記支柱の軸方向から見て前記支柱から放射状に延びた状態でドラムを支持する複数のアームと、を備え、
前記複数のアームのうち少なくとも1つの前記アームは、前記支柱の軸方向から見て、前記支柱から前記支柱の径方向に延びる第一支持位置と、前記第一支持位置とは異なる態様で前記支柱から前記支柱の径方向に延びる第二支持位置と、を有し、前記第一支持位置と前記第二支持位置との間で前記支柱に対して回転可能に取り付けられるドラムスタンド。
【請求項2】
少なくとも1つの前記アームは、前記支柱の軸方向に延びる収納位置をさらに有し、
前記アームは、前記収納位置から前記支柱に対して第一回転方向に回転することで前記第一支持位置に配置され、前記収納位置から前記第一回転方向と逆向きの第二回転方向に回転することで前記第二支持位置に配置される請求項1に記載のドラムスタンド。
【請求項3】
前記支柱から延びる前記アームのうち少なくとも先端側の部位は、前記アームをその長手方向から見て前記支柱と重ならないように位置する請求項2に記載のドラムスタンド。
【請求項4】
複数の前記アームは、それぞれ前記支柱から離れた前記アームの先端部に位置し、前記第一支持位置及び前記第二支持位置に配置された状態で前記ドラムを把持するフックを有し、
前記支柱の軸方向から見て、前記支柱から前記アームの前記フックまでの距離が、前記第一支持位置と前記第二支持位置とで異なる請求項2又は請求項3に記載のドラムスタンド。
【請求項5】
少なくとも1つの前記アームの回転軸線が、前記支柱の軸線に対して直交し、かつ、前記支柱の軸線と交わらない請求項4に記載のドラムスタンド。
【請求項6】
前記フックには、前記アームが前記第一支持位置に配置された状態で前記ドラムを把持する第一フックと、前記アームが前記第二支持位置に配置された状態で前記ドラムを把持する第二フックと、があり、
前記第一フックと前記第二フックとが、前記アームの長手方向において異なる位置に配されている請求項4に記載のドラムスタンド。
【請求項7】
前記支柱が貫通し、前記支柱に対して当該支柱の軸方向に移動可能とされた第一リンクベースと、
前記第一リンクベースと前記複数のアームとをそれぞれ連結する複数の第一アームリンクと、
前記支柱が貫通し、前記支柱に対して当該支柱の軸方向に移動可能とされた第二リンクベースと、
前記第二リンクベースと前記複数のアームとをそれぞれ連結する複数の第二アームリンクと、をさらに備え、
前記複数の第一アームリンクは、それぞれ前記アームに対して回転自在に取り付けられた第一端部と、前記第一リンクベースに対して回転自在に取り付けられた第二端部と、を有し、
前記複数の第二アームリンクは、それぞれ前記アームに対して回転自在に取り付けられた第一端部と、前記第二リンクベースに対して回転自在に取り付けられた第二端部と、を有し、
前記アームと当該アームに取り付けられた前記第一アームリンクとが平行する前記アームの第一回転位置、及び、前記アームと当該アームに取り付けられた前記第二アームリンクとが平行する前記アームの第二回転位置、が互いに異なる請求項2又は請求項3に記載のドラムスタンド。
【請求項8】
前記支柱が貫通し、前記支柱に対して当該支柱の軸方向に移動可能とされた第一リンクベースと、
前記第一リンクベースと前記複数のアームとをそれぞれ連結する複数の第一アームリンクと、
前記支柱が貫通し、前記支柱に対して当該支柱の軸方向に移動可能とされた第二リンクベースと、
前記第二リンクベースと前記複数のアームとをそれぞれ連結する複数の第二アームリンクと、をさらに備え、
前記複数の第一アームリンクは、それぞれ前記アームに対して回転自在に取り付けられた第一端部と、前記第一リンクベースに対して回転自在に取り付けられた第二端部と、を有し、
前記複数の第二アームリンクは、それぞれ前記アームに対して回転自在に取り付けられた第一端部と、前記第二リンクベースに対して回転自在に取り付けられた第二端部と、を有し、
同一の前記アームに取り付けられた前記第一アームリンクの第二端部及び前記第二アームリンクの第二端部は、前記支柱の周方向において異なる位置に配置される請求項2又は請求項3に記載のドラムスタンド。
【請求項9】
前記アームは、当該アームが前記第一支持位置に配置された状態で前記ドラムに接触して前記ドラムを支持する第一支持部と、前記アームが前記第二支持位置に配置された状態で前記ドラムに接触して前記ドラムを支持する第二支持部と、を有し、
前記ドラムを支持する特性が、前記第一支持部と前記第二支持部とで異なる請求項1又は請求項2記載のドラムスタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラムスタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドラムを所定の高さ位置に配置するためのドラムスタンドが開示されている。ドラムスタンドは、支柱と、支柱から放射状に延びてドラムを支持する複数のアームと、を有する。特許文献1のドラムスタンドでは、第一アームの長さが可変となっており、第二アームが第一アームに対して開閉するように支柱の周方向に回動可能となっている。これにより、複数のアームによってドラムを支持する複数の態様に切り替えることができる。具体的には、第一アームの長さを変えると共に、第一アームに対して第二アームの回転位置を変えることで、複数のアームにより様々な径寸法のドラムを支持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-161821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のドラムスタンドでは、ドラムを支持する態様を切り替えるための作業が面倒である。具体的には、第一アームの長さを適切な長さに調整したり保持したりする作業、及び、第二アームの回転位置を所定の位置に調整したり固定したりするための作業が必要であるため、面倒である。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ドラムを支持する態様を簡単に切り替えることが可能なドラムスタンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、支柱と、前記支柱の軸方向から見て前記支柱から放射状に延びた状態でドラムを支持する複数のアームと、を備え、前記複数のアームのうち少なくとも1つの前記アームは、前記支柱の軸方向から見て、前記支柱から前記支柱の径方向に延びる第一支持位置と、前記第一支持位置とは異なる態様で前記支柱から前記支柱の径方向に延びる第二支持位置と、を有し、前記第一支持位置と前記第二支持位置との間で前記支柱に対して回転可能に取り付けられるドラムスタンドである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ドラムを支持する態様を簡単に切り替えることが可能なドラムスタンドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一実施形態に係るドラムスタンドであって、複数のアームが第一支持位置に配置された状態を示す斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係るドラムスタンドであって、複数のアームが第一支持位置に配置された状態を示す上面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係るドラムスタンドであって、複数のアームが第二支持位置に配置された状態を示す斜視図である。
図4】本発明の第一実施形態に係るドラムスタンドであって、複数のアームが第二支持位置に配置された状態を示す上面図である。
図5】本発明の第一実施形態に係るドラムスタンドであって、複数のアームが収納位置に配置された状態を示す斜視図である。
図6】本発明の第一実施形態に係るドラムスタンドであって、アームを第一支持位置に配置した状態におけるアームの先端部を拡大して示す斜視図である。
図7】本発明の第一実施形態に係るドラムスタンドであって、アームを第二支持位置に配置した状態におけるアームの先端部を拡大して示す斜視図である。
図8】フックの変形例を示す図である。
図9】本発明の第二実施形態に係るドラムスタンドのドラム取付部であって、複数のアームが第一支持位置に配置された状態を示す斜視図である。
図10】本発明の第二実施形態に係るドラムスタンドのドラム取付部であって、複数のアームが第二支持位置に配置された状態を示す斜視図である。
図11】本発明の第三実施形態に係るドラムスタンドであって、複数のアームが第一支持位置に配置された状態を示す斜視図である。
図12】本発明の第一実施形態に係るドラムスタンドであって、複数のアームが第一支持位置から収納位置に向かう途中の位置に配置された状態を示す斜視図である。
図13】本発明の第一実施形態に係るドラムスタンドであって、複数のアームが収納位置に配置された状態を示す斜視図である。
図14】本発明の第四実施形態に係るドラムスタンドであって、複数のアームが第一支持位置に配置された状態を示す上面図である。
図15】本発明の第四実施形態に係るドラムスタンドであって、複数のアームが第二支持位置に配置された状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
以下、図1図7を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
図1図3図5に示すように、本実施形態のドラムスタンド1は、スタンド支柱2と、スタンド支柱2の下部に設けられた脚部3と、スタンド支柱2の上部に設けられたドラム取付部4と、を有する。
【0010】
スタンド支柱2は、複数(図示例では2つ)のパイプ11,12によって構成されている。これにより、スタンド支柱2の長さが調整可能となっている。なお、スタンド支柱2は、例えば1つのパイプだけで構成されてもよい。
【0011】
図1~5に示すように、脚部3は、複数(図示例では3つ)の脚13を有している。複数の脚13は、スタンド支柱2の周方向に並び、スタンド支柱2に対して折り畳み可能である。脚部3は、複数の脚13をスタンド支柱2に対して展開した状態で、スタンド支柱2が上下方向に延びるようにスタンド支柱2を支持する(特に図1図3図5参照)。
【0012】
図1図3図5に示すように、ドラム取付部4は、角度調整機構5を介してスタンド支柱2の上部に設けられている。角度調整機構5は、ドラム取付部4をスタンド支柱2に対して任意の角度姿勢に設定する。角度調整機構5の具体的な構成は、任意であってよい。本実施形態の角度調整機構5は、球状体14及びリテーナ部15を有するボールクランプによって構成されている。球状体14は、後述するドラム取付部4の取付用支柱20の下端部に設けられている。リテーナ部15は、スタンド支柱2の上端部に設けられ、球状体14を回転可能に保持する。また、リテーナ部15は、球状体14を回転可能な状態と回転不能な状態とに切り替え可能に構成されている。
【0013】
図1~5に示すように、ドラム取付部4は、取付用支柱20(支柱)と、ドラムDRを支持する複数のアーム30と、を備える。また、ドラム取付部4は、リンクベース41と、複数のアームリンク42と、調整ナット43と、を備える。
【0014】
取付用支柱20の上端部には、複数のアーム30を取り付けるためのアーム取付部21が設けられている。
本実施形態のアーム取付部21は、取付用支柱20の軸方向から見て正多角形のブロックに形成されている。取付用支柱20の軸方向から見て、アーム取付部21の正多角形の中心は、取付用支柱20の軸線A2と一致する、または、当該軸線A2から微小にずれて位置する。アーム取付部21における正多角形の角数(辺の数)は、アーム30の数に対応している。
取付用支柱20の外周には、雄ねじが形成されている。
【0015】
図1~4に示すように、複数のアーム30は、取付用支柱20の軸方向から見て取付用支柱20から放射状に延びた状態でドラムDRを支持する。すなわち、複数のアーム30は、ドラムDRを支持する状態において、それぞれ取付用支柱20からその径方向に延び、取付用支柱20の周方向に並ぶ。
【0016】
複数のアーム30は、図1図2に示す第一支持位置P1と、図3図4に示す第二支持位置P2とを有する。また、複数のアーム30は、図5に示す収納位置P3も有する。
図1図4に示すように、第一支持位置P1及び第二支持位置P2は、いずれも、取付用支柱20の軸方向から見て、複数のアーム30が、それぞれ取付用支柱20から当該取付用支柱20の径方向に延びてドラムDRを支持する位置である。ただし、第一支持位置P1と第二支持位置P2とでは、後述するように互いに異なる態様で取付用支柱20から延びる。複数のアーム30は、それぞれ第一支持位置P1と第二支持位置P2との間で取付用支柱20に対して回転可能に取り付けられる。
【0017】
図5に示すように、収納位置P3は、複数のアーム30がそれぞれ取付用支柱20の軸方向に延びる位置である。複数のアーム30は、それぞれ収納位置P3に対して第一回転方向R1に回転することで、図1,2に示す第一支持位置P1に配置される。また、複数のアーム30は、それぞれ収納位置P3に対して第一回転方向R1と逆向きの第二回転方向R2に回転することで、図3,4に示す第二支持位置P2に配置される。図1,3,5では、1つのアーム30の第一回転方向R1及び第二回転方向R2が示されている。
【0018】
図2図4に示すように、取付用支柱20に対して回転移動する各アーム30の回転軸線A3は、取付用支柱20の軸線A2に対して直交する。複数のアーム30の回転軸線A3は、取付用支柱20の軸線A2を中心とする周方向に等間隔で配置される。これにより、複数のアーム30が、取付用支柱20の周方向に等間隔で配置される。
【0019】
以下、取付用支柱20に対する複数のアーム30の取付態様についてより具体的に説明する。複数のアーム30の長手方向の基端部は、それぞれ取付用支柱20のアーム取付部21に対して回転可能に取り付けられる。各アーム30の基端部は、当該アーム30の長手方向が正多角形の辺をなし取付用支柱20の軸方向に延びるアーム取付部21の側面に重ねて配置される。各アーム30は、その基端部が配置されたアーム取付部21の側面に直交する回転軸線A3を中心として、アーム取付部21に対して回転可能である。各アーム30は、第一支持位置P1又は第二支持位置P2に配置された状態で、アーム取付部21の正多角形の辺に沿うように延びる(特に図2図4参照)。複数のアーム30は、アーム取付部21において正多角形の互いに異なる辺に対応するアーム取付部21の側面に重ねて配置される。
【0020】
この状態において、各アーム30は、当該アーム30の長手方向から見て取付用支柱20と重ならないように位置する。これにより、アーム30が収納位置P3を介して第一支持位置P1と第二支持位置P2との間で回転しても、アーム30が取付用支柱20と干渉することはない。
【0021】
図1図3に示すように、複数のアーム30は、それぞれフック31(31-1,31-2)を有する。フック31は、取付用支柱20から離れたアーム30の先端部に位置する。複数のアーム30のフック31は、複数のアーム30が第一支持位置P1及び第二支持位置P2に配置された状態でドラムDRを把持する。
各アーム30のフック31には、第一フック31-1と、第二フック31-2と、がある。第一フック31-1と第二フック31-2とは、アーム30の先端部から互いに逆向きに突出する。第一フック31-1と第二フック31-2とは、アーム30の長手方向において互いにずれずに位置する。
【0022】
図1に示すように、第一フック31-1は、アーム30が第一支持位置P1に配置された状態でアーム30の先端部から概ね上方に突出する。これにより、複数のアーム30が第一支持位置P1に配置された状態では、複数のアーム30の第一フック31-1がドラムDRを把持する。図3に示すように、第二フック31-2は、アーム30が第二支持位置P2に配置された状態でアーム30の先端部から概ね上方に突出する。これにより、複数のアーム30が第二支持位置P2に配置された状態では、複数のアーム30の第二フック31-2がドラムDRを把持する。
【0023】
図1図3に示すように、複数のアーム30は、それぞれ支持部33を有する。支持部33は、アーム30が第一支持位置P1及び第二支持位置P2に配置された状態でドラムDRに接触してドラムDRを支持する。本実施形態の支持部33は、アーム30の先端部に位置し、前述したフック31を含む。
図6図7に示すように、支持部33(33-1,33-2)は、ドラムDRの下部に接触する支持底面33aと、フック31としても構成されてドラムDRの側部に接触する支持側面33bと、を有する。支持部33は、ゴム等によって構成されてよい。
【0024】
支持部33には、第一支持部33-1と、第二支持部33-2と、がある。第一支持部33-1は、アーム30が第一支持位置P1に配置された状態でドラムDRに接触して支持する。第二支持部33-2は、アーム30が第二支持位置P2に配置された状態でドラムDRに接触して支持する。
【0025】
図1図3図5に示すように、リンクベース41には、取付用支柱20が貫通している。リンクベース41は、取付用支柱20に対してその上端部と下端部との間で移動可能とされている。
調整ナット43は、取付用支柱20の雄ねじに噛み合う雌ねじ(不図示)を有する。調整ナット43は、リンクベース41と取付用支柱20の下端部との間に配置され、リンクベース41を支持する。調整ナット43は、取付用支柱20に対して回転することで取付用支柱20の軸方向に移動可能である。
【0026】
アームリンク42の数は、アーム30の数に対応している。各アームリンク42の長手方向の第一端部は、基端部を除くアーム30の任意の部分(図示例ではアーム30の長手方向の中途部)に対して回転自在に取り付けられる。アームリンク42の長手方向の第二端部は、リンクベース41に対して回転自在に取り付けられる。このため、複数のアーム30は、それぞれアームリンク42を介してリンクベース41に連結されている。これにより、複数のアーム30は互いに連動して第一支持位置P1と第二支持位置P2との間で回転移動する。すなわち、複数のアーム30が互いに独立して回転移動することはない。
複数のアーム30が第一支持位置P1又は第二支持位置P2に配置された状態においては、調整ナット43がリンクベース41を支持する。これにより、アーム30が第一支持位置P1からさらに第一回転方向R1に移動したり、アーム30が第二支持位置P2からさらに第二回転方向R2に移動したりすることが防止される。
【0027】
本実施形態のドラム取付部4では、各アーム30において、アーム30の回転軸線A3から第一フック31-1に至る長さと第二フック31-2に至る長さとが互いに同じである。また、複数のアーム30の間でも、アーム30の回転軸線A3からフック31に至る長さが互いに同じである。
一方、図2図4に示すように、各アーム30の回転軸線A3は、取付用支柱20の軸線A2に対して直交し、かつ、取付用支柱20の軸線A2と交わらない。各アーム30の回転軸線A3は、取付用支柱20を軸方向から見て、取付用支柱20の軸線A2に交わる位置に相当する正多角形の辺の中間からずれて位置している。これにより、各アーム30では、取付用支柱20の軸方向から見て、取付用支柱20の軸線A2からアーム30のフック31までの距離D1,D2が、第一支持位置P1と第二支持位置P2とで異なる。すなわち、複数のアーム30は、第一支持位置P1と第二支持位置P2との間で互いに異なる態様で取付用支柱20から取付用支柱20の径方向に延びる。
【0028】
具体的に説明すれば、複数のアーム30においてはそれぞれ、アーム30の回転軸線A3が、取付用支柱20の軸線A2に交わる位置から、アーム30が第一支持位置P1に配置されたときのアーム30の基端部から先端部に向かう方向にずれて位置する(図2参照)。取付用支柱20の軸線A2に対するアーム30の回転軸線A3のずれ量は、複数のアーム30において互いに同じである。これにより、複数のアーム30が第一支持位置P1に配置された状態で取付用支柱20の軸線A2から各アーム30のフック31に至る第一距離D1(図2)が、複数のアーム30が第二支持位置P2に配置された状態で取付用支柱20の軸線A2から各アーム30のフック31に至る第二距離D2(図4)よりも長くなる。
これら第一距離D1、第二距離D2は、複数のアーム30によって把持できるドラムDRの径寸法に相当する。すなわち、複数のアーム30を第一支持位置P1と第二支持位置P2とに切り替えて配置することで、径寸法が異なるドラムDRを把持することができる。
【0029】
また、本実施形態のドラム取付部4においては、図6に示すように、第一支持部33-1の支持底面33aが、平坦面となっている。また、第一支持部33-1の支持側面33bが、幅方向において両端部よりも中央部が膨らむ膨出面となっている。一方、図7に示すように、第二支持部33-2の支持底面33aは、平坦面と、幅方向における平坦面の両端部から突出しアーム30の長手方向に延びる2つの突条部34と、を含む。また、第二支持部33-2の支持側面33bは、幅方向において両端部よりも中央部が膨らむ膨出面と、幅方向における膨出面の両端部から突出し第二フック31-2の突出方向に延びる2つの突条部35と、を含む。すなわち、第一支持部33-1の支持底面33a及び支持側面33bの態様と、第二支持部33-2の支持底面33a及び支持側面33bの態様とが互いに異なる。このため、複数のアーム30が第一支持位置P1に配置された状態で第一支持部33-1がドラムDRに接触してドラムDRを支持する態様と、複数のアーム30が第二支持位置P2に配置された状態で第二支持部33-2がドラムDRに接触してドラムDRを支持する態様と、が互いに異なる。すなわち、ドラムDRを支持する特性が、第一支持部33-1と第二支持部33-2とで異なる。上記した第一支持部33-1と第二支持部33-2との違いより、複数のアーム30は、第一支持位置P1と第二支持位置P2との間で互いに異なる態様で取付用支柱20から取付用支柱20の径方向に延びる。
【0030】
以上説明したように、第一実施形態のドラムスタンド1では、複数のアーム30が、第一支持位置P1と第二支持位置P2との間で互いに異なる態様で取付用支柱20から取付用支柱20の径方向に延びる。また、複数のアーム30は、第一支持位置P1と第二支持位置P2との間で取付用支柱20に対して回転可能に取り付けられる。すなわち、複数のアーム30を取付用支柱20に対して回転させるだけで、第一支持位置P1及び第二支持位置P2の2つの位置に配置することができる。すなわち、ドラムスタンド1が、ドラムDRを支持する2つの態様を有する。これにより、ドラムスタンド1によってドラムDRを支持する態様を、簡単に切り替えることができる。
【0031】
また、第一実施形態のドラムスタンド1において、複数のアーム30は、それぞれ収納位置P3から取付用支柱20に対して第一回転方向R1に回転することで第一支持位置P1に配置される。また、複数のアーム30は、それぞれ収納位置P3から第二回転方向R2に回転することで第二支持位置P2に配置される。このように、複数のアーム30を、それぞれ収納位置P3を基準として逆向きに回転させるだけで、ドラムスタンド1によってドラムDRを支持する態様を簡単に切り替えることができる。
【0032】
また、第一実施形態のドラムスタンド1において、複数のアーム30は、それぞれアーム30の長手方向から見て取付用支柱20と重ならないように位置する。これにより、アーム30が収納位置P3を介して第一支持位置P1と第二支持位置P2との間で回転しても、アーム30が取付用支柱20と干渉することを防止できる。すなわち、アーム30を確実に第一支持位置P1と第二支持位置P2との間で回転させることができる。
【0033】
また、第一実施形態のドラムスタンド1では、取付用支柱20の軸方向から見て、取付用支柱20から各アーム30のフック31までの距離D1,D2が、第一支持位置P1と第二支持位置P2とで異なる。これにより、複数のアーム30を第一支持位置P1と第二支持位置P2とに切り替えて配置することで、径寸法が異なるドラムDRを把持することができる。
【0034】
また、第一実施形態のドラムスタンド1では、複数のアーム30の回転軸線A3が、それぞれ取付用支柱20の軸線A2に対して直交し、かつ、取付用支柱20の軸線A2と交わらない。これにより、取付用支柱20からアーム30のフック31までの距離D1,D2を、確実に第一支持位置P1と第二支持位置P2とで異ならせることができる。
【0035】
また、第一実施形態のドラムスタンド1において、複数のアーム30はそれぞれ、アーム30が第一支持位置P1に配置された状態でドラムDRに接触してドラムDRを支持する第一支持部33-1と、アーム30が第二支持位置P2に配置された状態でドラムDRに接触してドラムDRを支持する第二支持部33-2と、を有する。そして、ドラムDRを支持する特性が、第一支持部33-1と第二支持部33-2とで異なる。すなわち、第一支持部33-1と第二支持部33-2とでドラムDRを支持する態様が異なる。これにより、ドラムDRを第一、第二支持部33-1,33-2のいずれかで支持することで、ドラムDRにおいて発生する音の特性(例えば音色や音の持続時間(サスティーン))を変えることができる。
【0036】
第一実施形態において、取付用支柱20の軸線A2からフック31に至る距離D1,D2を第一支持位置P1と第二支持位置P2とで異ならせる具体的な構成は、例えば図8に示すように、各アーム30において第一フック31-1と第二フック31-2とが、アーム30の長手方向において異なる位置に配される構成であってもよい。このような構成では、取付用支柱20の軸線A2に対して直交する各アーム30の回転軸線A3が、取付用支柱20の軸線A2に対して交差しても、取付用支柱20の軸線A2からフック31までの距離D1,D2を、第一支持位置P1と第二支持位置P2とで異ならせることができる。
【0037】
第一実施形態において、ドラムDRを支持する特性が第一支持部33-1と第二支持部33-2とで異なる具体的な構成は、図6図7に例示した構成に限られない。例えば、第一支持部33-1と第二支持部33-2とで弾性率が異なってもよい。このような構成であっても、第一実施形態の場合と同様に、ドラムDRを第一、第二支持部33-1,33-2のいずれかで支持することで、ドラムDRを発生した際に発生する音の特性(例えば音色や音の持続時間(サスティーン))を変えることができる。
【0038】
ドラムDRを支持する特性が第一支持部33-1と第二支持部33-2とで異なる構成は、例えば第一支持位置P1と第二支持位置P2とで同じ径寸法のドラムDRを把持する構成に適用されてもよい。
【0039】
<第二実施形態>
次に、図9図10を参照して本発明の第二実施形態について説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0040】
図9図10に示すように、第二実施形態のドラムスタンドは、第一実施形態と同様に、ドラム取付部4Dを有する。図9図10においては、スタンド支柱2、脚部3及び調整ナット43(図1等参照)を省略している。
複数のアーム30Dは、第一実施形態と同様に、図9に示す第一支持位置P1と、図10に示す第二支持位置P2と、を有する。図示しないが、複数のアーム30Dは、第一実施形態と同様の収納位置P3(図5参照)も有する。
【0041】
第二実施形態において、取付用支柱20の上端部に設けられるアーム取付部21は、径方向において取付用支柱20の外側に延びる複数の取付板部23Dを有する。取付板部23Dの数は、アーム30Dの数に対応する。複数の取付板部23Dは、取付用支柱20の周方向に等間隔に配置される。各取付板部23Dの板厚方向は、複数の取付板部23Dの配列方向に向いている。各取付板部23Dには、アーム30Dが回転可能に取り付けられる。
【0042】
第二実施形態において、複数のアーム30Dは、それぞれ基端部301Dと、先端側の部位302Dと、接続部303Dと、を有する。
各アーム30Dの基端部301Dは、取付板部23Dに対してその板厚方向に重ねて配置される。各アーム30Dは、その基端部301Dにおいて取付板部23Dの板厚方向に延びる回転軸線A3を中心として、取付板部23Dに対して回転可能である。このため、各アーム30Dの基端部301Dは、各アーム30Dが第一、第二支持位置P1,P2に配置された状態で、各アーム30Dの長手方向から見て取付用支柱20と重なる。
【0043】
各アーム30Dの先端側の部位302Dは、基端部301Dに対してアーム30Dの回転軸線A3から離れる方向に延びる部位であり、基端部301Dに対してアーム30Dの回転軸線A3に沿う方向にずれて位置する。これにより、各アーム30Dの先端側の部位302Dは、各アーム30Dの長手方向から見て取付用支柱20と重ならない。
各アーム30Dの接続部303Dは、基端部301Dから先端側の部位302Dまでアーム30Dの回転軸線A3に沿って延び、基端部301Dと先端側の部位302Dとを接続する。
【0044】
上記したように取付用支柱20に取り付けられる各アーム30Dの先端側の部位302Dは、当該アーム30Dの長手方向から見て取付用支柱20と重ならないように位置する。これにより、アーム30Dが収納位置P3を介して第一支持位置P1と第二支持位置P2との間で回転しても、アーム30Dが取付用支柱20と干渉することはない。
【0045】
また、取付用支柱20に取り付けられた各アーム30Dの回転軸線A3は、第一実施形態と同様に、取付用支柱20の軸線A2に対して直交し、かつ、取付用支柱20の軸線A2と交わらない。これにより、第二実施形態においても、各アーム30Dでは、取付用支柱20の軸方向から見て、取付用支柱20の軸線A2からアーム30Dのフック31(31-1,31-2)までの距離が、第一支持位置P1と第二支持位置P2とで異なる。
【0046】
具体的に、各アーム30Dの回転軸線A3は、取付用支柱20の軸線A2に対して、アーム30Dを第一支持位置P1に配置した状態でアーム30Dの基端部301Dから先端部(フック31)に向かう方向にずれて位置する。これにより、複数のアーム30Dを第一支持位置P1に配置したときに取付用支柱20の軸線A2から各アーム30Dのフック31に至る第一距離が、複数のアーム30Dが第二支持位置P2に配置された状態において取付用支柱20の軸線A2から各アーム30Dのフック31に至る第二距離よりも長い。すなわち、複数のアーム30Dは、第一支持位置P1と第二支持位置P2との間で互いに異なる態様で取付用支柱20から取付用支柱20の径方向に延びる。
【0047】
第二実施形態のドラムスタンドによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
【0048】
第二実施形態において、アーム30は、例えば第一実施形態と同様の支持部33(第一支持部33-1、第二支持部33-2)を有してよい。
また、第二実施形態においては、図8に例示したように、第一フック31-1と第二フック31-2とが、アーム30の長手方向において異なる位置に配置されてもよい。
【0049】
<第三実施形態>
次に、図11図13を参照して本発明の第三実施形態について説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0050】
図11図13に示すように、第三実施形態のドラムスタンドは、第一実施形態と同様に、ドラム取付部4Eを有する。図11図13においては、スタンド支柱2及び脚部3(図1等参照)を省略している。
複数のアーム30は、第一実施形態と同様に、図11に示す第一支持位置P1と、図13に示す収納位置P3と、を有する。図示しないが、複数のアーム30は、第一実施形態と同様の第二支持位置P2(図3参照)も有する。
【0051】
第三実施形態のドラム取付部4Eは、第一リンクベース41-1、複数の第一アームリンク42-1、第二リンクベース41-2及び複数の第二アームリンク42-2を有する。第一アームリンク42-1及び第二アームリンク42-2の数は、それぞれアーム30の数に対応している。
第一リンクベース41-1及び第二リンクベース41-2には、それぞれ取付用支柱20が貫通している。第一リンクベース41-1及び第二リンクベース41-2は、それぞれ取付用支柱20に対してその軸方向に移動可能とされている。
【0052】
複数の第一アームリンク42-1は、第一リンクベース41-1と複数のアーム30とをそれぞれ連結する。各第一アームリンク42-1の長手方向の第一端部は、基端部を除くアーム30の任意の部分(図示例ではアーム30の長手方向の中途部)に対して回転自在に取り付けられる。第一アームリンク42-1の長手方向の第二端部は、第一リンクベース41-1に対して回転自在に取り付けられる。このため、複数のアーム30は、それぞれ第一アームリンク42-1を介して第一リンクベース41-1に連結されている。これにより、複数のアーム30は互いに連動して第一支持位置P1と第二支持位置P2との間で回転移動する。すなわち、複数のアーム30が互いに独立して回転移動することはない。
【0053】
複数の第二アームリンク42-2は、第二リンクベース41-2と複数のアーム30とをそれぞれ連結する。各第二アームリンク42-2の長手方向の第一端部は、基端部を除くアーム30の任意の部分(図示例ではアーム30の長手方向の中途部)に対して回転自在に取り付けられる。第二アームリンク42-2の長手方向の第二端部は、第二リンクベース41-2に対して回転自在に取り付けられる。このため、複数のアーム30は、それぞれ第二アームリンク42-2を介して第二リンクベース41-2に連結されている。これにより、複数のアーム30は互いに連動して第一支持位置P1と第二支持位置P2との間で回転移動する。すなわち、複数のアーム30が互いに独立して回転移動することはない。
【0054】
同一のアーム30に取り付けられた第一アームリンク42-1の第二端部及び第二アームリンク42-2の第二端部は、取付用支柱20の周方向において異なる位置に配置されている、すなわち、取付用支柱20の周方向に互いにずれて位置する。このため、同一のアーム30に取り付けられた第一アームリンク42-1と第二アームリンク42-2とが平行することはない。
【0055】
第三実施形態では、第二アームリンク42-2の第一端部が、アーム30の長手方向において第一アームリンク42-1の第一端部よりもアーム30の基端部側に位置しているが、これに限ることはない。第二アームリンク42-2の第一端部は、アーム30の長手方向において第一アームリンク42-1の第一端部よりもアーム30の先端部側に位置してもよいし、第一アームリンク42-1の第一端部と同じ個所に位置してもよい。
【0056】
図13に示すように、第一支持位置P1と第二支持位置P2との間に位置するアーム30の第一回転位置P4においては、アーム30と当該アーム30に取り付けられた第一アームリンク42-1とが平行する。また、アーム30の第一回転位置P4においては、アーム30と当該アーム30に取り付けられた第二アームリンク42-2とが相対的に傾斜する。第三実施形態においては、第一回転位置P4が収納位置P3に一致しているが、これに限ることはない。
【0057】
図12に示すように、第一支持位置P1と第二支持位置P2との間に位置するアーム30の第二回転位置P5においては、アーム30と当該アーム30に取り付けられた第二アームリンク42-2とが平行する。また、アーム30の第二回転位置P5においては、アーム30と当該アーム30に取り付けられた第一アームリンク42-1とが相対的に傾斜する。第三実施形態においては、第二回転位置P5が第一支持位置P1と収納位置P3との間に位置するが、これに限ることはない。
上記したアーム30の第一回転位置P4及び第二回転位置P5は、互いに異なる。
【0058】
以上のように構成される第三実施形態のドラム取付部4Eにおいては、図11図12に示すように、第二リンクベース41-2が、アーム30を第一支持位置P1から第二回転位置P5まで回転させることで上方に移動する。また、図12図13に示すように、第二リンクベース41-2は、アーム30を第二回転位置P5からさらに第二支持位置P2に向けて回転させることで下方に移動する。すなわち、アーム30の第二回転位置P5が、第二リンクベース41-2の死点の位置に対応している。
一方、図11図13に示すように、第一リンクベース41-1は、アーム30を第一支持位置P1から第一回転位置P4まで回転させることで上方に移動する。また、図示しないが、第二リンクベース41-2は、アーム30を第一回転位置P4からさらに第二支持位置P2に向けて回転させることで下方に移動する。すなわち、アーム30の第一回転位置P4が、第一リンクベース41-1の死点の位置に対応している。
【0059】
第三実施形態のドラムスタンドによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、第三実施形態のドラムスタンドでは、アーム30とこれに取り付けられた第一アームリンク42-1とが平行するアーム30の第一回転位置P4と、アーム30とこれに取り付けられた第二アームリンク42-2とが平行するアーム30の第二回転位置P5とが互いに異なる。このため、第一、第二リンクベース41-1,41-2の位相(死点の位置)を異ならせることができる。これにより、ドラムスタンドの使用者が一部(例えば2つ)のアーム30を把持して第一支持位置P1と第二支持位置P2との間で回転させる際に、第一リンクベース41-1、第二リンクベース41-2の死点及びその近傍(アーム30の第一、第二回転位置P4,P5及びその近傍)において、把持していないアーム30が回転しにくくなることを抑制または防止することができる。したがって、ドラムスタンドの使用者が一部のアーム30を把持して第一支持位置P1と第二支持位置P2との間で回転させる際に、把持していないアーム30も含む全てのアーム30を滑らかに回転させることができる。
【0060】
また、第三実施形態のドラムスタンドでは、同一のアーム30に取り付けられた第一アームリンク42-1の第二端部及び第二アームリンク42-2の第二端部が、取付用支柱20の周方向において異なる位置に配置される。これにより、アーム30とこれに取り付けられた第一アームリンク42-1とが平行するアーム30の第一回転位置P4と、アーム30とこれに取り付けられた第二アームリンク42-2とが平行するアーム30の第二回転位置P5とを確実に異ならせることができる。したがって、使用者が一部のアーム30を把持して第一支持位置P1と第二支持位置P2との間で回転させる際に、把持していないアーム30も含む全てのアーム30を滑らかに回転させることができる。
【0061】
<第四実施形態>
次に、図14図15を参照して本発明の第四実施形態について説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0062】
図14図15に示すように、第四実施形態のドラムスタンド1Fは、第一実施形態と同様に、ドラム取付部4F及び脚部3を有する。図14図15においては、ドラムスタンド1Fのスタンド支柱2(図1等参照)を省略している。
複数のアーム30は、第一実施形態と同様に、図14に示す第一支持位置P1と、図15に示す第二支持位置P2と、を有する。
【0063】
第四実施形態において、取付用支柱20の上端部に設けられるアーム取付部21は、第一実施形態と同様に、取付用支柱20の軸方向から見て正多角形に形成されている。アーム取付部21の正多角形の辺の数は、アーム30の数に対応する。
【0064】
第四実施形態において、取付用支柱20に対して回転移動する各アーム30の回転軸線A3は、取付用支柱20の軸線A2に平行する。図14図15において、各アーム30の回転軸線A3及び取付用支柱20の軸線A2は、紙面に直交する方向に延びている。複数のアーム30の回転軸線A3は、取付用支柱20の軸線A2を中心とする周方向に等間隔で配置される。これにより、複数のアーム30が、取付用支柱20の周方向に等間隔で配置される。
【0065】
以下、取付用支柱20に対する複数のアーム30の取付態様についてより具体的に説明する。複数のアーム30の長手方向の基端部は、それぞれ取付用支柱20のアーム取付部21に対して取付用支柱20の軸方向に重ねて配置される。各アーム30は、その基端部を通る回転軸線A3を中心として、アーム取付部21に対して回転可能である。各アーム30は、第一支持位置P1又は第二支持位置P2に配置された状態で、アーム取付部21の正多角形の辺に沿うように延びる(図2図4参照)。ここで、複数のアーム30は、アーム取付部21において正多角形の互いに異なる辺に沿うように配置される。
【0066】
各アーム30の回転軸線A3は、アーム取付部21の正多角形の辺の中間から当該辺に沿う方向にずれて位置している。これにより、各アーム30では、取付用支柱20の軸方向から見て、取付用支柱20の軸線A2からアーム30のフック31までの距離D1,D2が、第一支持位置P1と第二支持位置P2とで異なる。
具体的に、各アーム30の回転軸線A3は、アーム取付部21の正多角形の辺の中間から、アーム30が第一支持位置P1に配置されたときのアーム30の基端部から先端部に向かう方向にずれて位置する(図2参照)。取付用支柱20の軸線A2に対するアーム30の回転軸線A3のずれ量は、複数のアーム30において互いに同じである。これにより、複数のアーム30が第一支持位置P1に配置されたときに取付用支柱20の軸線A2から各アーム30のフック31に至る第一距離D1(図14)が、複数のアーム30が第二支持位置P2に配置された状態において取付用支柱20の軸線A2から各アーム30のフック31に至る第二距離D2(図15)よりも長くなる。
【0067】
第四実施形態のドラムスタンド1Fによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
【0068】
第四実施形態においては、図8に例示したように、第一フック31-1と第二フック31-2とが、アーム30の長手方向において異なる位置に配置されてもよい。
【0069】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0070】
本発明において、ドラムスタンドは、例えば角度調整機構5を備えなくてもよい。すなわち、ドラム取付部4の取付用支柱20が、スタンド支柱2に直接接続されてもよい。
【0071】
本発明においては、ドラムDRを支持する複数のアーム30,30Dのうち少なくとも1つのアーム30,30Dが、第一支持位置P1と第二支持位置P2との間で取付用支柱20に対して回転可能であってよい。このような構成であっても、上記した実施形態の場合と同様に、ドラムスタンドによってドラムDRを支持する態様を簡単に切り換えること(例えば支持するドラムDRの径寸法を変えること)ができる。
【符号の説明】
【0072】
1,1F…ドラムスタンド、20…取付用支柱(支柱)、30,30D…アーム、31…フック、31-1…第一フック、31-2…第二フック、33…支持部、33-1…第一支持部、33-2…第二支持部、41-1…第一リンクベース、41-2…第二リンクベース、42-1…第一アームリンク、42-2…第二アームリンク、301D…基端部、302D…先端側の部位、A2…取付用支柱20の軸線、A3…回転軸線、D1…第一距離、D2…第二距離、DR…ドラム、P1…第一支持位置、P2…第二支持位置、P3…収納位置、P4…第一回転位置、P5…第二回転位置、R1…第一回転方向、R2…第二回転方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15