IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ CKD株式会社の特許一覧

特開2024-171637流体圧アクチュエータの動作検出システム
<>
  • 特開-流体圧アクチュエータの動作検出システム 図1
  • 特開-流体圧アクチュエータの動作検出システム 図2
  • 特開-流体圧アクチュエータの動作検出システム 図3
  • 特開-流体圧アクチュエータの動作検出システム 図4
  • 特開-流体圧アクチュエータの動作検出システム 図5
  • 特開-流体圧アクチュエータの動作検出システム 図6
  • 特開-流体圧アクチュエータの動作検出システム 図7
  • 特開-流体圧アクチュエータの動作検出システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171637
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】流体圧アクチュエータの動作検出システム
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/28 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
F15B15/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088757
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 健元
【テーマコード(参考)】
3H081
【Fターム(参考)】
3H081AA03
3H081BB03
3H081CC22
3H081FF03
3H081FF16
3H081GG05
3H081GG17
3H081HH04
(57)【要約】
【課題】流体圧アクチュエータにおけるピストンの移動の開始時点および停止時点を正確に検出することが可能な流体圧アクチュエータの動作検出システムを提供すること。
【解決手段】第1圧力作用室103の圧力値である第1圧力値を検出する第1圧力センサ3と、第2圧力作用室104の圧力値である第2圧力値を検出する第2圧力センサ4と、を備えること、第1圧力値(波形W11)と第2圧力値(波形W21)との加算値を求め、加算値(波形A11)の時間微分値を求め、前記時間微分値(波形D11)の時間経過に伴う変動に基づき、開始時点(時点t3,時点t7)および停止時点(時点t4,時点t8)を検出する検出プログラムを備える動作検出装置5と、を備えること。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンにより内部が第1圧力作用室と第2圧力作用室とに区画された複動型シリンダを備え、前記第1圧力作用室に対する操作エアの給気と前記第2圧力作用室に対する操作エアの給気との切り替えを行うことで、前記ピストンの移動の方向の切り替えが行われる流体圧アクチュエータの、前記移動の開始時点および前記移動の停止時点を検出するための流体圧アクチュエータの動作検出システムにおいて、
前記第1圧力作用室の圧力値である第1圧力値を検出する第1圧力検出手段と、前記第2圧力作用室の圧力値である第2圧力値を検出する第2圧力検出手段と、を備えること、
前記第1圧力値と前記第2圧力値との加算値を求め、前記加算値の時間微分値を求め、前記時間微分値の時間経過に伴う変動に基づき、前記開始時点および前記停止時点を検出する検出プログラムを備える検出手段と、を備えること、
を特徴とする流体圧アクチュエータの動作検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の流体圧アクチュエータの動作検出システムにおいて、
前記検出プログラムは、
前記時間微分値が、略ゼロから正の値に変動を開始した後、再び略ゼロに収束した時点を、前記開始時点であると判定すること、
を特徴とする流体圧アクチュエータの動作検出システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の流体圧アクチュエータの動作検出システムにおいて、
前記検出プログラムは、
前記時間微分値が、略ゼロから負の値に変動を開始した時点を、前記停止時点であると判定すること、
を特徴とする流体圧アクチュエータの動作検出システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の流体圧アクチュエータの動作検出システムにおいて、
前記検出プログラムは、
前記時間微分値が、略ゼロから正の値に変動を開始した時点を、前記第1圧力作用室に対する操作エアの給気と前記第2圧力作用室に対する操作エアの給気との切り替えが行われた時点であると判定すること、
を特徴とする流体圧アクチュエータの動作検出システム。
【請求項5】
請求項3に記載の流体圧アクチュエータの動作検出システムにおいて、
前記検出プログラムは、
前記時間微分値が、略ゼロから正の値に変動を開始した時点を、前記第1圧力作用室に対する操作エアの給気と前記第2圧力作用室に対する操作エアの給気との切り替えが行われた時点であると判定すること、
を特徴とする流体圧アクチュエータの動作検出システム。
【請求項6】
請求項1または2に記載の流体圧アクチュエータの動作検出システムにおいて、
前記検出プログラムは、
前記第1圧力値と前記第2圧力値との減算値を求め、前記減算値の時間微分値を求め、該時間微分値の時間経過に伴う変動に基づき、前記ピストンの移動方向を検出すること、
を特徴とする流体圧アクチュエータの動作検出システム。
【請求項7】
請求項6に記載の流体圧アクチュエータの動作検出システムにおいて、
前記検出プログラムは、前記移動方向の検出を、前記加算値の時間微分値の変動を検出したときに行うこと、
を特徴とする流体圧アクチュエータの動作検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧アクチュエータの動作検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、食品工場などで使用されるロボットアームやエアハンドの制御には、複動型シリンダを有する流体圧アクチュエータが用いられる。複動型シリンダの内部は、ピストンにより、第1圧力作用室と第2圧力作用室とに区画され、第1圧力作用室と第2圧力作用室のそれぞれに、操作エアを給気または排気する配管の一端が接続されている。該配管のもう一端には切替弁を介して操作エアの供給源が接続され、第1圧力作用室への給気と、第2圧力作用室への給気を切替弁によって切り替えることで、ピストンがシリンダ内を往復運動する。
【0003】
上記のような流体圧アクチュエータにおいては、例えば、操作エアの給気を開始してからピストンの移動が開始されるまでの時間の監視や、移動の開始から停止までの時間の監視により、流体圧アクチュエータの動作が正常であるか否かを監視する場合がある。この場合、ピストンの移動の開始時点、停止時点を正確に検出することが重要である。
【0004】
そのような中、例えば、特許文献1には、第1圧力作用室の圧力値(第1圧力値)の時間微分値と第2圧力作用室の圧力値(第2圧力値)の時間微分値との少なくともいずれかを監視することでピストンの動作状態を検出することが可能なシリンダの動作状態監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-59549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記先行技術には次のような問題があった。例えば、流体圧アクチュエータをプッシュ方向に動作させる場合に、第1圧力値の時間微分値は、ピストンが移動を開始したとき、移動を停止したとき、ともに正方向に変動する。このため、第1圧力値の時間微分値の変動を観察することによって、ピストンの移動の開始と停止を検出しようとしても、第1圧力値の時間微分値が正方向へ変動したとき、ピストンが移動を開始したのか、ピストンが移動を停止したのか判別することが困難である。また、第2圧力値の時間微分値は、ピストンが移動を開始したとき、移動を停止したとき、ともに負方向に変動する。このため、第2圧力値の時間微分値の変動を観察することによって、ピストンの移動の開始と停止を検出しようとしても、第2圧力値の時間微分値が負方向へ変動したとき、ピストンが移動を開始したのか、ピストンが移動を停止したのか判別することが困難である。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためのものであり、流体圧アクチュエータにおけるピストンの移動の開始時点および停止時点を正確に検出することが可能な流体圧アクチュエータの動作検出システムを提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の流体圧アクチュエータの動作検出システムは、次のような構成を有している。
【0009】
(1)ピストンにより内部が第1圧力作用室と第2圧力作用室とに区画された複動型シリンダを備え、前記第1圧力作用室に対する操作エアの給気と前記第2圧力作用室に対する操作エアの給気との切り替えを行うことで、前記ピストンの移動の方向の切り替えが行われる流体圧アクチュエータの、前記移動の開始時点および前記移動の停止時点を検出するための流体圧アクチュエータの動作検出システムにおいて、前記第1圧力作用室の圧力値である第1圧力値を検出する第1圧力検出手段と、前記第2圧力作用室の圧力値である第2圧力値を検出する第2圧力検出手段と、を備えること、前記第1圧力値と前記第2圧力値との加算値を求め、前記加算値の時間微分値を求め、前記時間微分値の時間経過に伴う変動に基づき、前記開始時点および前記停止時点を検出する検出プログラムを備える検出手段と、を備えること、を特徴とする。
【0010】
(2)(1)に記載の流体圧アクチュエータの動作検出システムにおいて、前記検出プログラムは、前記時間微分値が、略ゼロから正の値に変動を開始した後、再び略ゼロに収束した時点を、前記開始時点であると判定すること、が好ましい。
【0011】
(3)(1)または(2)に記載の流体圧アクチュエータの動作検出システムにおいて、前記検出プログラムは、前記時間微分値が、略ゼロから負の値に変動を開始した時点を、前記停止時点であると判定すること、が好ましい。
【0012】
(4)(1)乃至(3)いずれか1つに記載の流体圧アクチュエータの動作検出システムにおいて、前記検出プログラムは、前記時間微分値が、略ゼロから正の値に変動を開始した時点を、前記第1圧力作用室に対する操作エアの給気と前記第2圧力作用室に対する操作エアの給気との切り替えが行われた時点であると判定すること、が好ましい。
【0013】
流体圧アクチュエータは、第1圧力作用室に対する操作エアの給気と第2圧力作用室に対する操作エアの給気との切り替えを行うことで、ピストンの移動方向の切り替え(プッシュ方向とプル方向の切り替え)が行われるものであるところ、本発明者は、ピストンの移動方向に関わらず、第1圧力作用室の圧力値である第2圧力作用室の圧力値である第2圧力値とを加算して求めた値の時間微分をし、該時間微分をして求めた値の時間経過に伴う変動を監視することで、ピストンの移動の開始時点および停止時点を正確に検出可能であることを発見した。なお、以下においては、第1圧力値と第2圧力値とを加算して求めた値の時間微分をして求めた値のことを、「加算値の時間微分値」といい、加算値の時間微分値の時間経過に伴う変動のことを、「加算値の時間微分値の変動」という。
【0014】
例えば、本発明者は、加算値の時間微分値が、略ゼロから正の値に変動を開始した後、再び略ゼロに収束した時点(収束時点)は、ピストンの移動の開始時点と一致することを発見した。よって、加算値の時間微分値の変動を監視すれば、収束時点を以って、ピストンの移動の開始時点であると正確に判定することが可能である。
【0015】
また例えば、本発明者は、加算値の時間微分値が、略ゼロから負の値に変動を開始した時点(負変動開始点)は、ピストンの移動の停止時点と一致することを発見した。よって、加算値の時間微分値の変動を監視すれば、負変動開始点を以って、ピストンの移動の停止時点であると正確に判定することが可能である。
【0016】
また例えば、本発明者は、加算値の時間微分値が、略ゼロから正の値に変動を開始した時点(正変動開始点)は、第1圧力作用室に対する操作エアの給気と第2圧力作用室に対する操作エアの給気との切り替え(給気の切り替え)が行われた時点と一致することを発見した。よって、加算値の時間微分値の変動を監視すれば、正変動開始点を以って、給気の切り替えが行われた時点であると正確に判定することが可能である。なお、給気の切り替えとは、流体圧アクチュエータのピストンの移動を、プッシュ方向からプル方向に切り替え、または、プル方向からプッシュ方向に切り替えするために行うものである。なお、プッシュ方向とは、流体圧アクチュエータが、ピストンに結合された操作ロッドを備えるものとした場合に、該操作ロッドを複動型シリンダから突出させる方向のことをいう。またプル方向とは、プッシュ方向とは逆に、操作ロッドを複動型シリンダに収納する方向のことをいう。
【0017】
(5)(1)乃至(4)いずれか1つに記載の流体圧アクチュエータの動作検出システムにおいて、前記検出プログラムは、前記第1圧力値と前記第2圧力値との減算値を求め、前記減算値の時間微分値を求め、該時間微分値の時間経過に伴う変動に基づき、前記ピストンの移動方向を検出すること、が好ましい。
【0018】
(6)(5)に記載の流体圧アクチュエータの動作検出システムにおいて、前記検出プログラムは、前記移動方向の検出を、前記加算値の時間微分値の変動を検出したときに行うこと、が好ましい。
【0019】
上記(1)乃至(4)に記載した加算値の時間微分値の変動は、流体圧アクチュエータの動作がプッシュ方向かプル方向かに関わらず、正変動開始点の後の収束時点はピストンの移動の開始時点であり、負変動開始点はピストンの移動の停止時点である。したがって、加算値の時間微分値の変動を監視するのみでは、流体圧アクチュエータがプッシュ方向に動作しているのか、プル方向に動作しているのかの判定をすることが困難である。そのような中、本発明者は、第1圧力値と第2圧力値との減算を行い、該減算して求めた値の時間微分をし、該時間微分をして求めた値の時間経過に伴う変動を監視することで、流体圧アクチュエータがプッシュ方向に動作しているのか、プル方向に動作しているのか判定可能であることを発見した。なお、第1圧力値と第2圧力値とを減算して求めた値の時間微分をして求めた値のことを、「減算値の時間微分値」といい、減算値の時間微分値の時間経過に伴う変動のことを、「減算値の時間微分値の変動」という。
【0020】
例えば、本発明者は、流体圧アクチュエータがプッシュ方向に動作するとき、ピストンの移動の開始時点および停止時点で、減算値の時間微分値が、略ゼロから正の値に変動することを発見した。また、例えば、本発明者は、流体圧アクチュエータがプル方向に動作するとき、ピストンの移動の開始時点および停止時点で、減算値の時間微分値が、略ゼロから負の値に変動することを発見した。
【0021】
よって、加算値の時間微分値の変動の監視と併せて、減算値の時間微分値の変動を監視すれば、加算値の時間微分値の変動の収束時点のタイミングで、減算値の時間微分値が 正の値に変動していたか、負の値に変動していたかを以って、流体圧アクチュエータがプッシュ方向の動作を開始したのか、プル方向の動作を開始したのかが判定可能である。加えて、加算値の時間微分値の変動の負変動開始点のタイミングで、減算値の時間微分値が、正の値に変動するか、負の値に変動するかを以って、流体圧アクチュエータがプッシュ方向の動作を完了したのか、プル方向の動作を完了したのかが判定可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の流体圧アクチュエータの動作検出システムによれば、流体圧アクチュエータにおけるピストンの移動の開始時点および停止時点を正確に検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係る動作検出システムの概略構成を示す図である。
図2】流体圧アクチュエータをプッシュ方向へ動作させる場合の、第1圧力値と第2圧力値との時間経過に伴う変動を表すグラフである。
図3】流体圧アクチュエータをプッシュ方向へ動作させる場合の、第1圧力値と第2圧力値とを加算した値の時間経過に伴う変動を表すグラフである。
図4】流体圧アクチュエータをプッシュ方向へ動作させる場合の、第1圧力値と第2圧力値とを加算した値について、時間微分を行い求めた値の時間経過に伴う変動を表すグラフである。
図5】流体圧アクチュエータをプッシュ方向へ動作させる場合の、第1圧力値と第2圧力値とを減算した値の時間経過に伴う変動を表すグラフである。
図6】流体圧アクチュエータをプッシュ方向へ動作させる場合の、第1圧力値と第2圧力値とを減算した値について時間微分を行い求めた値の時間経過に伴う変動を表すグラフである。
図7】流体圧アクチュエータをプル方向へ動作させる場合の、第1圧力値と第2圧力値とを減算した値について時間微分を行い求めた値の時間経過に伴う変動を表すグラフである。
図8】検出装置が行う加算値の時間微分値および減算値の時間微分値の監視についてまとめたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の流体圧アクチュエータの動作検出システム1(以下、単に「動作検出システム1」という)の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。動作検出システム1は、流体圧アクチュエータ10の動作状態の検出を行うためのシステムである。
【0025】
<流体圧アクチュエータについて>
まず、流体圧アクチュエータ10の構成について説明する。流体圧アクチュエータ10は、図1に示すように、複動型シリンダ101と、ピストン102と、操作ロッド105と、を主な構成要素としている。
【0026】
ピストン102は、複動型シリンダ101の内部に摺動可能に保持されている。ピストン102が摺動する方向は、例えば、複動型シリンダ101の長手方向に沿った方向であり、図1中の左右方向である。また、ピストン102は、複動型シリンダ101の内部を、第1圧力作用室103と、第2圧力作用室104とに区画している。さらにまた、ピストン102の第2圧力作用室104の側の端面には、操作ロッド105が接続されている。この操作ロッド105は、複動型シリンダ101の長手方向の両端部のうち、第2圧力作用室104の側の端部(第2端部101b)を貫通し、複動型シリンダ101の外部に延出している。
【0027】
複動型シリンダ101の長手方向の両端部のうち、第1圧力作用室103の側の端部(第1端部101a)には、操作エアの給気または排気をするための第1配管11の一端が接続されている。第1端部101aに接続された第1配管11は、複動型シリンダ101の内部流路により、第1圧力作用室103に連通している。また、第1配管11のもう一端は、切替弁13の第1接続ポート131に接続されている。
【0028】
複動型シリンダ101の第2端部101bには、操作エアの給気または排気をするための第2配管12の一端が接続されている。第2端部101bに接続された第2配管12は、複動型シリンダ101の内部流路により、第2圧力作用室104に連通している。第2配管12のもう一端は、切替弁13の第2接続ポート132に接続されている。
【0029】
第1配管11上には、逆止弁141Aと流量調整弁142Aとからなる流量調整部14Aが設けられている。また、第2配管12上には、逆止弁141Bと流量調整弁142Bとからなる流量調整部14Bが設けられている。
【0030】
切替弁13は、切替弁13に操作エアを入力するための入力ポート133を有している。この入力ポート133には、給気配管15の一端が接続され、給気配管15のもう一端は、操作エアの供給源16に接続されている。
【0031】
切替弁13は、ダブルソレノイド型電磁弁であり、第1ソレノイド134Aと第2ソレノイド134Bとを備えている。第1ソレノイド134Aと第2ソレノイド134Bは、後述する制御コントローラ2に電気的に接続されている。したがって、制御コントローラ2は、第1ソレノイド134Aまたは第2ソレノイド134Bに電気信号を与えることができ、これにより、切替弁13の内部の弁体(図示せず)が駆動する。以下に、より具体的に説明する。
【0032】
第1ソレノイド134Aに電気信号が与えられると、切替弁13の弁体が、第1ソレノイド134A側に引き寄せられる。これにより、入力ポート133と、第1接続ポート131が連通するとともに、第2接続ポート132が切替弁13の外部に連通される。
【0033】
入力ポート133と、第1接続ポート131が連通することで、供給源16から切替弁13に入力される操作エアが、第1接続ポート131から第1配管11に出力される。第1配管11に出力された操作エアは、第1配管11を流れ、複動型シリンダ101の第1圧力作用室103に給気される。
【0034】
第1圧力作用室103に操作エアの給気がされると、第1圧力作用室103内部の圧力が上昇し、ピストン102が押圧される。これにより、ピストン102が第2端部101bの側に移動する。ピストン102が第2端部101bの側(プッシュ方向)に移動するとともに、第2圧力作用室104に給気されていた操作エアが、第2圧力作用室104から排気される。第2圧力作用室104から排気された操作エアは、第2配管12、第2接続ポート132を介して切替弁13に流入される。このとき、第2接続ポート132が切替弁13の外部に連通しているため、切替弁13に流入された操作エアは外部に排出される。
【0035】
一方、第2ソレノイド134Bに電気信号が与えられると、切替弁13の弁体が、第2ソレノイド134B側に引き寄せられる。これにより、入力ポート133と、第2接続ポート132が連通するとともに、第1接続ポート131が切替弁13の外部に連通される。
【0036】
入力ポート133と、第2接続ポート132が連通することで、供給源16から切替弁13に入力される操作エアが、第2接続ポート132から第2配管12に出力される。第2配管12に出力された操作エアは、第2配管12を流れ、複動型シリンダ101の第2圧力作用室104に給気される。
【0037】
第2圧力作用室104に操作エアの給気がされると、第2圧力作用室104内部の圧力が上昇し、ピストン102が押圧される。これにより、ピストン102が第1端部101aの側(プル方向)に移動する。ピストン102が第1端部101aの側に移動するとともに、第1圧力作用室103に給気されていた操作エアが、第1圧力作用室103から排気される。第1圧力作用室103から排気された操作エアは、第1配管11、第1接続ポート131を介して切替弁13に流入される。このとき、第1接続ポート131が切替弁13の外部に連通しているため、切替弁13に流入された操作エアは外部に排出される。
【0038】
以上のように、第1ソレノイド134Aまたは第2ソレノイド134Bに電気信号を与え、切替弁13内部の弁体を駆動することで、第1圧力作用室103への操作エアの給気と、第2圧力作用室104への操作エアの給気とを切り替え(以下、単に「給気の切り替え」という)をすることができる。そして、給気の切り替えを繰り返すことで、ピストン102が往復運動を行うことができる。そして、ピストン102の往復運動により、ピストン102に接続された操作ロッド105が往復運動が行われる。ピストン102が第2端部101bの側に移動するときは、操作ロッド105が複動型シリンダ101から突出するように駆動され、逆に、ピストン102が第1端部101aの側に移動するときは、操作ロッド105が複動型シリンダ101の内部に引き込まれるようにして駆動される。なお、操作ロッド105が複動型シリンダ101から突出するように駆動されることを、プッシュ方向の駆動といい、その逆に操作ロッド105が複動型シリンダ101に収納されるように駆動することをプル方向の駆動という。
【0039】
操作ロッド105の往復運動の動作速度の制御は、流量調整部14A,14Bが操作エアの流量を調整することで行われる。以下に、より具体的に説明する。
【0040】
例えば、第1圧力作用室103または第2圧力作用室104から排気される操作エアの流量を調整することで、操作ロッド105の動作速度の制御(メータアウト制御)を行う場合には、流量調整部14A,14Bの逆止弁141A,141Bは、切替弁13側から流体圧アクチュエータ10側への操作エアの流れを許容する一方で、逆方向には操作エアが流れないようなものとされる。
【0041】
操作ロッド105をプッシュ方向に駆動する場合、第1配管11から第1圧力作用室103に操作エアの給気をする。この場合、第1配管11上の流量調整部14Aの逆止弁141Aは、第1圧力作用室103へ向かう操作エアの流れを許容するため、操作エアが第1圧力作用室103へ給気される。そして、ピストン102がプッシュ方向に移動されると、第2圧力作用室104から第2配管12へ操作エアの排気がされる。このとき、操作エアは、第2配管12上の流量調整部14Bの逆止弁141Bを通過できないため、流量調整弁142Bを通過する。したがって、流量調整弁142Bの弁開度に応じて操作エアの流量が制限され、ピストン102のプッシュ方向への移動速度が制御される(すなわち、操作ロッド105のプッシュ方向への移動速度が制御される)。
【0042】
逆に、操作ロッド105をプル方向に駆動する場合、第2配管12から第2圧力作用室104に操作エアの給気をする。この場合、第2配管12上の流量調整部14Bの逆止弁141Bは、第2圧力作用室104へ向かう操作エアの流れを許容するため、操作エアが第2圧力作用室104へ給気される。そして、ピストン102がプル方向に移動されると、第1圧力作用室103から第1配管11へ操作エアの排気がされる。このとき、操作エアは、第1配管11上の流量調整部14Aの逆止弁141Aを通過できないため、流量調整弁142Aを通過する。したがって、流量調整弁142Aの弁開度に応じて操作エアの流量が制限され、ピストン102のプル方向への移動速度が制御される(すなわち、操作ロッド105のプル方向への移動速度が制御される)。
【0043】
一方で、例えば、第1圧力作用室103または第2圧力作用室104に給気される操作エアの流量を調整することで、操作ロッド105の動作速度の制御(メータイン制御)を行う場合には、流量調整部14A,14Bの逆止弁141A,141Bは、流体圧アクチュエータ10側から切替弁13側への操作エアの流れを許容する一方で、逆方向には操作エアが流れないようなものとされる。
【0044】
操作ロッド105をプッシュ方向に駆動する場合、第1配管11から第1圧力作用室103に圧縮空気の給気をする。この場合、操作エアは、第1配管11上の流量調整部14Aの逆止弁141Aを通過できないため、流量調整弁142Aを通過して、第1圧力作用室103に給気される。したがって、流量調整弁142Aの弁開度に応じて操作エアの流量が制限され、ピストン102のプッシュ方向への移動速度が制御される(すなわち、操作ロッド105のプッシュ方向への移動速度が制御される)。そして、ピストン102がプッシュ方向に移動されると、第2圧力作用室104から第2配管12へ操作エアの排気がされる。このとき、第2配管12上の流量調整部14Bの逆止弁141Bは、切替弁13に向かう操作エアの流れを許容する。
【0045】
逆に、操作ロッド105をプル方向に駆動する場合、第2配管12から第2圧力作用室104に操作エアの給気をする。この場合、操作エアは、第2配管12上の流量調整部14Bの逆止弁141Bを通過できないため、流量調整弁142Bを通過し、第2圧力作用室104に給気される。したがって、流量調整弁142Bの弁開度に応じて操作エアの流量が制限され、ピストン102のプル方向への移動速度が制御される(すなわち、操作ロッド105のプル方向への移動速度が制御される)。そして、ピストン102がプル方向に移動されると、第1圧力作用室103から第1配管11へ操作エアの排気がされる。このとき、第1配管11上の流量調整部14Aの逆止弁141Aは、切替弁13に向かう操作エアの流れを許容する。
【0046】
<動作検出システムについて>
次に動作検出システム1の構成について説明する。動作検出システム1は、制御コントローラ2と、第1圧力センサ3(第1圧力検出手段の一例)と、第2圧力センサ4(第2圧力検出手段の一例)と、動作検出装置5(検出手段の一例)とを主な構成要素としている。
【0047】
制御コントローラ2は、第1ソレノイド134Aまたは第2ソレノイド134Bに電気信号を与えることで、給気の切り替えを行い、これにより流体圧アクチュエータ10の動作の制御を行う。
【0048】
第1圧力センサ3は、第1配管11上の、流量調整部14Aと流体圧アクチュエータ10との間に配設されている。これにより、第1圧力センサ3は、第1配管11内の圧力値を検出する。これは、第1圧力作用室103の圧力値(第1圧力値)を検出するのと同義である。パスカルの原理により、第1圧力作用室103の内壁と、第1圧力作用室103に通じる第1配管11の内壁に加わる圧力は均一であるからである。
【0049】
また、第2圧力センサ4は、第2配管12上の、流量調整部14Bと流体圧アクチュエータ10との間に配設されている。これにより、第2圧力センサ4は、第2配管12内の圧力値を検出する。これは、第2圧力作用室104の圧力値(第2圧力値)を検出するのと同義である。パスカルの原理により、第2圧力作用室104の内壁と、第2圧力作用室104に通じる第2配管12の内壁に加わる圧力は均一であるからである。
【0050】
動作検出装置5は、計算部51を備え、さらに計算部51に電気的に接続された、AD変換部52とデジタル信号入力部53とデジタル信号出力部54と制御通信部55と表示部56と記憶部57とPC通信部58とを備えている。
【0051】
計算部51は、検出プログラムに従って、圧力センサ3,4や制御コントローラ2から動作検出装置5に入力される情報に基づき、流体圧アクチュエータ10の動作状態の検出を行う。
【0052】
AD変換部52は、第1圧力センサ3および第2圧力センサ4と電気的に接続されている。第1圧力センサ3および第2圧力センサ4は、検出した圧力値(第1圧力値、第2圧力値)をアナログ信号として出力するため、AD変換部52がデジタル信号に変換して、計算部51に第1圧力値のデータ、第2圧力値のデータを受け渡す。計算部51は、これを受けて、検出プログラムにより流体圧アクチュエータの動作状態の検出を行う。
【0053】
デジタル信号入力部53は、制御コントローラ2と電気的に接続されており、制御コントローラ2が、第1ソレノイド134Aまたは第2ソレノイド134Bに与える電気信号が、分岐されてデジタル信号入力部53に入力されるようになっている。これにより、動作検出装置5は、第1ソレノイド134Aまたは第2ソレノイド134Bに電気信号が与えられた時点(時点t1,時点t5(図7参照))を把握することができる。
【0054】
デジタル信号出力部54は、制御コントローラ2と電気的に接続されており、計算部51で判定した、ピストン102の動作状態および切替弁13における給気の切り替えが行われた時点に応じた電気信号を、制御コントローラ2に出力する。制御コントローラ2は、この出力を受けて、動作検出システム1の使用者や、さらに上位の制御コントローラ(不図示)への状態通知を行うことができる。例えば、パトランプの点灯による使用者への通知や、上位の制御コントローラによる別機器の制御を行うことができる。
【0055】
制御通信部55は、制御コントローラ2と電気的に接続されており、流体圧アクチュエータ10や切替弁13の機種情報や仕様、動作条件などの設定値を受信することができる。また、計算部51で算出した、流体圧アクチュエータ10や切替弁13の動作時間を、制御コントローラ2に出力する。制御コントローラ2は、この出力を受けて、動作検出システム1の使用者や、さらに上位の制御コントローラ(不図示)への状態通知を行うことができる。例えば、動作時間の変動量などの情報を通知することが可能である。
【0056】
表示部56は、例えばLED等であり、計算部51で判定した、ピストン102の動作状態および切替弁13における給気の切り替えが行われた時点に応じて、流体圧アクチュエータ10の動作状態を表示することが可能である。
【0057】
記憶部57は、検出プログラムを記憶している他、計算部51の計算結果や、動作検出装置5の設定値を記憶することが可能である。なお、ここでいう設定値とは、ピストン102の径、操作ロッド105のストローク長、操作ロッド105の径、シリンダ101の径、シリンダ101の長さ、切替弁13の有効断面積など、時間微分値の変動量の絶対値に影響を及ぼすパラメータのことである。
また、PC通信部58は、動作検出装置5と、動作検出装置5に接続した電子計算機(PC6)との間で通信を行うことが可能であり、例えば、動作検出装置5が検出した流体圧アクチュエータ10の動作状態や、後に説明する図2図8に示す波形等をPC6に出力することができる。
【0058】
<検出プログラムの動作について>
以上のような構成の動作検出システム1は、検出プログラムに従い、第1圧力値と第2圧力値とに基づいて流体圧アクチュエータ10の動作状態を検出する。具体的には、ピストン102の移動の開始時点、ピストン102の移動の停止時点、ピストン102の移動方向(プッシュ方向かプル方向のどちらであるか)を検出する。
【0059】
以下に、流体圧アクチュエータ10をプッシュ方向へ動作させる場合を例に説明する。流体圧アクチュエータ10のプッシュ方向への動作が行われる直前は、例えば、流体圧アクチュエータ10は、プル方向の側への動作が完了した状態(すなわち、ピストン102が、複動型シリンダ101の第1端部101a側に位置している状態)で、かつ、切替弁13は、第2ソレノイド134Bに電気信号が与えられている状態である。
【0060】
流体圧アクチュエータ10をプッシュ方向へ動作させる場合、切替弁13の第1ソレノイド134Aに電気信号が与えられると同時に、第2ソレノイド134Bへの電気信号が停止される(時点t1(図8参照))。これにより、給気の切り替えが行われる(時点t2(図2参照))。すなわち、第2圧力作用室104に対する操作エアの給気が行われていた状態から、第1圧力作用室103に対する操作エアの給気が行われる状態に切り替わる。この切替により、第2圧力作用室104からは操作エアの排気が開始される。そして、流体圧アクチュエータ10(ピストン102)のプッシュ方向への動作が行われる。
【0061】
流体圧アクチュエータ10をプッシュ方向へ動作させる場合の、圧力センサ3,4により検出した第1圧力値と第2圧力値との時間経過に伴う変動を、図2のグラフに表す。図2中の破線による波形W11は、第1圧力値の時間の経過に伴う変動状態を表し、太い実線による波形W21は、第2圧力値の時間の経過に伴う変動状態を表している。また、細い実線による波形W31は、ピストン102の位置を表している。図2中の「第1端部」とは、複動型シリンダ101の第1端部101aを意味し、「第2端部」とは、複動型シリンダ101の第2端部101bを意味している。つまり波形W31は、ピストン102が、時間経過とともに、第1端部101aの側から第2端部101bの側に移動していることを示している。これは図3図7に示す波形W31も同様である。なお、図2に示すピストン102の位置(波形W31)は、動作検出システム1で検出するものではなく、流体圧アクチュエータ10が、仮に磁歪センサを備えるものとした場合に検出されるピストン102の位置であって、説明を分かりやすくするために図2中に表すものである。これは、図3図7に示す波形W31も同様である。
【0062】
図2によれば、時点t2から、第1圧力値が上昇を開始し、第2圧力値は低下を開始している。これは、給気の切り替えが行われたことにより、第1圧力作用室103では給気が開始され、第2圧力作用室104では排気が開始されるためである。そして、時点t3から、ピストン102が第1端部101a側から第2端部101b側に向かって移動を開始している。この時点t3近傍で、第1圧力値および第2圧力値は、おおよそ一定の値に落ち着いている。続いて、時点t4で、ピストン102が第2端部101b側に到達し、移動を停止する。すると、第1圧力値はさらに上昇し、第2圧力値はさらに低下している。
【0063】
検出プログラムは、ピストン102の移動の開始時点と移動の停止時点とを検出するために、図2に示すように変動する第1圧力値と第2圧力値との加算を行った上、その加算により求めた値について時間微分を行う。
【0064】
第1圧力値と第2圧力値とを加算した値(以下、単に「加算値」という)の時間経過に伴う変動を、図3のグラフに示している。図3中の破線による波形W11は、図2同様に、第1圧力値の時間経過に伴う変動状態を表している。また、図3中の太い実線による波形W21は、図2同様に、第2圧力値の時間経過に伴う変動状態を表している。また、図3中の細い実線による波形W31は、図2同様に、ピストン102の位置を表している。図3中の二点鎖線による波形A11は、加算値の時間経過に伴う変動状態を表している。なお、加算値とは、第1圧力センサ3と第2圧力センサ4とが同時点で検出した圧力値同士を加算したものである。
【0065】
さらに、検出プログラムは、加算値について時間微分を行う。加算値について時間微分を行い求めた値(以下、「加算値の時間微分値」という)の時間経過に伴う変動を、図4のグラフに示している。図4中の太い破線による波形A11は、時間微分値の変動を表し、細い実線による波形W31は、図2および図3同様に、ピストン102の位置を表している。
【0066】
図4によれば、加算値の時間微分値が、正の値に変動を開始した時点(正変動開始点P11)が、給気の切り替えが行われた時点t2に一致している。また、加算値の時間微分値が正の値に変動を開始した後、再び略ゼロに収束した時点(収束時点P21)が、ピストン102の移動の開始時点(時点t3)に一致している。さらにまた、加算値の時間微分値が略ゼロから負の値に変化を開始した時点(負変動開始点P31)が、ピストン102の移動の停止時点(時点t4)に一致している。したがって、検出プログラムは、加算値の時間微分値を算出した上、加算値の時間微分値を監視し、正変動開始点P11や、収束時点P21や、負変動開始点P31を検出することで、給気の切り替えが行われた時点t2、ピストン102の移動の開始時点(時点t3)、ピストン102の移動の停止時点(時点t4)を、正確に検出することが可能である。
【0067】
以上は、流体圧アクチュエータ10をプッシュ方向に動作する場合について説明しているが、流体圧アクチュエータ10をプル方向に動作する場合も同様に、第1圧力値と第2圧力値とを加算した値について時間微分した値の変動を監視することで、給気の切り替えが行われた時点、ピストン102の移動の開始時点および移動の停止時点を、正確に検出することが可能である。以下に、より具体的に説明する。
【0068】
流体圧アクチュエータ10のプル方向への動作が行われる直前は、例えば、流体圧アクチュエータ10は、プッシュ方向の側への動作が完了した状態(すなわち、ピストン102が、複動型シリンダ101の第2端部101b側に位置している状態)で、かつ、切替弁13は、第1ソレノイド134Aに電気信号が与えられている状態である。
【0069】
流体圧アクチュエータ10をプル方向へ動作させる場合、切替弁13の第2ソレノイド134Bに電気信号が与えられると同時に、第1ソレノイド134Aへの電気信号が停止される(時点t5(図8参照))。これにより、給気の切り替えが行われる(時点t6(図8参照))。すなわち、第1圧力作用室103に対する操作エアの給気が行われていた状態から、第2圧力作用室104に対する操作エアの給気が行われる状態に切り替わる。この切替により、第2圧力作用室104からは操作エアの排気が開始される。そして、流体圧アクチュエータ10(ピストン102)のプル方向への動作が行われる。
【0070】
流体圧アクチュエータ10(ピストン102)のプル方向への動作が行われる場合においても、プッシュ方向の動作が行われる場合と同様に、加算値の時間微分値が、正の値に変動を開始した時点(正変動開始点P12(図8参照))が、給気の切り替えが行われた時点と一致する(図8の時点t6参照)。また、正の値に変動を開始した後、再び略ゼロに収束した時点(収束時点P22(図8参照))が、ピストン102の移動の開始時点と一致する(図8の時点t7参照)。さらにまた、略ゼロから負の値に変化を開始した時点(負変動開始点P32)が、ピストン102の移動の停止時点に一致する(図8の時点t8参照)。したがって、検出プログラムは、加算値の時間微分値を算出した上、加算値の時間微分値を監視し、正変動開始点P12や、収束時点P22や、負変動開始点P32を検出することで、給気の切り替えが行われた時点t6、ピストン102の移動の開始時点(時点t7)、ピストン102の移動の停止時点(時点t8)を、正確に検出することが可能である。
【0071】
加えて、検出プログラムは、ピストン102の移動方向(プッシュ方向かプル方向のどちらであるか)を検出するために、加算値の時間微分値の変動を検出したときに、第1圧力値と第2圧力値との減算を行った上、その減算により求めた値について時間微分を行う。以下に、流体圧アクチュエータ10をプッシュ方向へ動作させる場合を例に説明する。
【0072】
第1圧力値と第2圧力値とを減算した値(以下、単に「減算値」という)の時間経過に伴う変動を、図5のグラフに示している。図5中の破線による波形W11は、図2等と同様に、第1圧力値の時間経過に伴う変動状態を表している。また、図5中の太い実線による波形W21は、図2等同様に、第2圧力値の時間経過に伴う変動状態を表している。また、図5中の二点鎖線による波形S11は、第1圧力値と第2圧力値の減算値を表している。なお、減算値とは、第1圧力センサ3と第2圧力センサ4とが同時点で検出した圧力値を用いて計算するものであり、第1圧力値から第2圧力値を引くことで求められる。
【0073】
さらに、検出プログラムは、減算値について時間微分を行う。減算値について時間微分を行い求めた値(以下、「減算値の時間微分値」という)の時間経過に伴う変動を、図6のグラフに示している。図6中の太い破線による波形D21は、時間微分値の変動を表し、細い実線による波形W31は、図2等と同様に、ピストン102の位置を表している。
【0074】
図6によれば、減算値の時間微分値は、切替弁13における給気の切り替えが行われた時点(時点t2)からピストン102の移動の開始時点(時点t3)の間で、略ゼロから正の値に変動を開始し、再び略ゼロに収束している。また、ピストン102の移動の停止時点(時点t4)においても、略ゼロから正の値に変動している。
【0075】
一方で、流体圧アクチュエータ10をプル方向に動作した場合も同様に、第1圧力値と第2圧力値の減算値について時間微分をすると、該時間微分により求めた値の変動は、図7に示す波形D21のようになる。図7中の時点t6は切替弁13における給気の切り替えが行われた時点であるところ、時間微分値は、給気の切り替えが行われた時点(時点t6)からピストン102の移動の開始時点(時点t7)の間で、略ゼロから負の値に変動を開始し、再び略ゼロに収束している。また、ピストン102の移動の停止時点(時点t8)においても、略ゼロから負の値に変動している。
【0076】
つまり、流体圧アクチュエータ10がプッシュ方向に動作する場合には、減算値の時間微分値がピストン102の動作に応じて正の方向に変動し、流体圧アクチュエータ10がプル方向に動作する場合には、減算値の時間微分値がピストン102の動作に応じて負の方向に変動することが分かる。したがって、検出プログラムは、加算値の時間微分値の変動の監視と併せて、減算値の時間微分値の変動を監視することで、加算値の時間微分値の変動の収束時点P21,P22のタイミングで、減算値の時間微分値が 正の値に変動していたか、負の値に変動していたかを以って、流体圧アクチュエータ10がプッシュ方向の動作を開始したのか、プル方向の動作を開始したのかを判定可能である。加えて、検出プログラムは、加算値の時間微分値の変動の負変動開始点P31,P32のタイミングで、減算値の時間微分値が、正の値に変動するか、負の値に変動するかを以って、流体圧アクチュエータ10がプッシュ方向の動作を完了したのか、プル方向の動作を完了したのかを判定可能である。
【0077】
以上説明した加算値の時間微分値および減算値の時間微分値の監視についてまとめたものが、図8のグラフである。図8中の「切替弁駆動信号A側」のグラフは、第1ソレノイド134Aに電気信号が与えられている通電状態(ON)とその逆の非通電状態(OFF)を示している。図8中の「切替弁駆動信号B側」のグラフは、第2ソレノイド134Bに電気信号が与えられている通電状態(ON)とその逆の非通電状態(OFF)を示している。図8中の「加算値の時間微分値」のグラフは、第1圧力値と第2圧力値とを加算し求めた値について時間微分をした値の、時間経過に伴う変動を、簡略化して表したものである。図8中の「減算値の時間微分値」のグラフは、第1圧力値と第2圧力値とを減算し求めた値について時間微分をした値の、時間経過に伴う変動を、簡略化して表したものである。図8中の「ピストン位置」のグラフは、時間経過に伴うピストン102の位置の変動を表している。
【0078】
時点t1において、制御コントローラ2から、切替弁13の第1ソレノイド134Aに電気信号が与えられる。動作検出装置5は、デジタル信号入力部53を介して、第1ソレノイド134Aに電気信号が与えられたタイミングを把握する。
【0079】
次に、検出プログラムは、加算値の時間微分値の監視により、当該時間微分値の正変動開始点P11を以って、切替弁13における給気の切り替えが行われた時点であると判定する(時点t2)。この判定と同時に、時点t1から時点t2の時間の計算をすることとすれば、その時間の長短により切替弁13の動作に異常がないか判断することが可能になる。例えば、所定の閾値(第1閾値とする)を設け、第1閾値よりも上記計算した時間が長ければ、切替弁13が電気信号を受けてから切り替えを行うまでの応答性が低下しているとして、異常と判断することができる。異常と判断した場合には、その旨を表示部56に表示することとしても良い。なお、第1閾値とは、例えば、切替弁13にどの程度の応答性を求めるかや、上述したピストン102の径などのパラメータに応じ、適宜設定されるものである。
【0080】
次に、検出プログラムは、加算値の時間微分値の監視により、当該時間微分値の収束時点P21を以って、ピストン102の移動の開始時点と判定する(時点t3)。加えて、検出プログラムは、減算値の時間微分値の監視により、収束時点P21のタイミングで、減算値の時間微分値が正の方向に変動していたことを以って、ピストン102の移動方向がプッシュ方向であると判定する。表示部56には、時点t3において、ピストン102が移動を開始したことと、その移動方向がプッシュ方向であることが表示される。また、このピストン102の動作の検出と併せて、時点t2から時点t3の時間の計算をすることとすれば、その時間の長短により流体圧アクチュエータ10の動作に異常がないか判定することが可能になる。例えば、所定の閾値(第2閾値とする)を設け、第2閾値よりも上記計算した時間が長ければ、流体圧アクチュエータ10 が給気の開始から動作を開始するまでの応答性が低下しているとして、異常と判断することができる。異常と判断した場合には、その旨を表示部56に表示することとしても良い。なお、第2閾値とは、例えば、流体圧アクチュエータ10にどの程度の応答性を求めるかや、上述したピストン102の径などのパラメータに応じ、適宜設定されるものである。
【0081】
次に、検出プログラムは、加算値の時間微分値の監視により、当該時間微分値の負変動開始点P31を以って、ピストン102の移動の停止時点と判定する(時点t4)。加えて、検出プログラムは、減算値の時間微分値の監視により、負変動開始点P31のタイミングで、減算値の時間微分値が正の方向に変動していたことを以って、ピストン102がプッシュ方向の移動を完了したと判定する。表示部56には、時点t4において、ピストン102がプッシュ方向の移動を停止したことが表示される。また、このピストン102の動作の検出と併せて、時点t3から時点t4の時間の計算をすることとすれば、その時間の長短により流体圧アクチュエータ10の動作に異常がないか判断することが可能になる。例えば、所定の閾値(第3閾値とする)を設け、第3閾値よりも上記計算した時間が長ければ、ピストン102の摺動性の低下等により流体圧アクチュエータ10の動作速度が低下しているとして、異常と判断することができる。異常と判断した場合には、その旨を表示部56に表示することとしても良い。なお、第3閾値とは、例えば、流体圧アクチュエータ10にどの程度の動作速度を求めるかや、上述したピストン102の径などのパラメータに応じ、適宜設定されるものである。
【0082】
以上のように、流体圧アクチュエータ10がプッシュ方向の動作を完了した後、時点t5において、制御コントローラ2から、切替弁13の第2ソレノイド134Bに電気信号が与えられる。動作検出装置5は、デジタル信号入力部53を介して、第2ソレノイド134Bに電気信号が与えられたタイミングを把握する。
【0083】
次に、検出プログラムは、加算値の時間微分値の監視により、当該時間微分値の正変動開始点P12を以って、切替弁13における給気の切り替えが行われた時点であると判定する(時点t6)。この判定と同時に、時点t5から時点t6の時間の計算をすることとすれば、その時間の長短により切替弁13の動作に異常がないか判定することが可能になる。例えば、上記した第1閾値同様に、所定の閾値を設け、その閾値よりも上記計算した時間が長ければ、異常と判断することができる。異常と判断した場合には、その旨を表示部56に表示することとしても良い。
【0084】
次に、検出プログラムは、加算値の時間微分値の監視により、当該時間微分値の収束時点P22を以って、ピストン102の移動の開始時点と判定する(時点t7)。加えて、検出プログラムは、減算値の時間微分値の監視により、収束時点P22のタイミングで、減算値の時間微分値が負の方向に変動していたことを以って、ピストン102の移動方向がプル方向であると判定する。表示部56には、時点t7において、ピストン102が移動を開始したことと、その移動方向がプル方向であることが表示される。また、このピストン102の動作の検出と併せて、時点t6から時点t7の時間の計算をすることとすれば、その時間の長短により流体圧アクチュエータ10の動作に異常がないか判断することが可能になる。例えば、上記した第2閾値同様に、所定の閾値を設け、その閾値よりも上記計算した時間が長ければ、異常と判断することができる。異常と判断した場合には、その旨を表示部56に表示することとしても良い。
【0085】
次に、検出プログラムは、加算値の時間微分値の監視により、当該時間微分値の負変動開始点P32を以って、ピストン102の移動の停止時点と判定する(時点t8)。加えて、検出プログラムは、減算値の時間微分値の監視により、負変動開始点P32のタイミングで、減算値の時間微分値が負の方向に変動していたことを以って、ピストン102がプル方向の移動を完了したと判定する。表示部56には、時点t8において、ピストン102がプル方向の移動を停止したことが表示される。また、このピストン102の動作の検出と併せて、時点t7から時点t8の時間の計算をすることとすれば、その時間の長短により流体圧アクチュエータ10の動作に異常がないか判断することが可能になる。例えば、上記した第3閾値同様に、所定の閾値を設け、その閾値よりも上記計算した時間が長ければ、異常と判断することができる。異常と判断した場合には、その旨を表示部56に表示することとしても良い。
【0086】
なお、流体圧アクチュエータ10は、プッシュ動作とプル動作を繰り返し行うものであるため、図8中の時点t9以降は、時点t1-時点t8の繰り返しである。
【0087】
以上説明したように、本実施形態のアクチュエータの動作検出装置20によれば、
(1)ピストン102により内部が第1圧力作用室103と第2圧力作用室104とに区画された複動型シリンダ101を備え、第1圧力作用室103に対する操作エアの給気と第2圧力作用室104に対する操作エアの給気との切り替えを行うことで、ピストン102の移動の方向の切り替えが行われる流体圧アクチュエータ10の、ピストン102の移動の開始時点およびピストン102の移動の停止時点を検出するための流体圧アクチュエータの動作検出システム1において、第1圧力作用室103の圧力値である第1圧力値を検出する第1圧力検出手段(例えば第1圧力センサ3)と、第2圧力作用室104の圧力値である第2圧力値を検出する第2圧力検出手段(例えば第2圧力センサ4)と、を備えること、第1圧力値(波形W11)と第2圧力値(波形W21)との加算値を求め、加算値(波形A11)の時間微分値を求め、前記時間微分値(波形D11)の時間経過に伴う変動に基づき、開始時点(時点t3,時点t7)および停止時点(時点t4,時点t8)を検出する検出プログラムを備える検出手段(例えば、動作検出装置5)と、を備えること、を特徴とする。
【0088】
(2)(1)に記載の流体圧アクチュエータの動作検出システム1において、検出プログラムは、前記時間微分値(波形D11)が、略ゼロから正の値に変動を開始した後、再び略ゼロに収束した時点(例えば、収束時点P21,P22)を、前記開始時点(時点t3,時点t7)であると判定すること、が好ましい。
【0089】
(3)(1)または(2)に記載の流体圧アクチュエータの動作検出システム1において、検出プログラムは、前記時間微分値(波形D11)が、略ゼロから負の値に変動を開始した時点(例えば、負変動開始点P31,P32)を、前記停止時点(時点t4,時点t8)であると判定すること、が好ましい。
【0090】
(4)(1)乃至(3)いずれか1つに記載の流体圧アクチュエータの動作検出システム1において、検出プログラムは、前記時間微分値(波形D11)が、略ゼロから正の値に変動を開始した時点(正変動開始点P11,P12)を、第1圧力作用室103に対する操作エアの給気と第2圧力作用室104に対する操作エアの給気との切り替えが行われた時点(時点t2,時点t6)であると判定すること、が好ましい。
【0091】
流体圧アクチュエータ10は、第1圧力作用室103に対する操作エアの給気と第2圧力作用室104に対する操作エアの給気との切り替えを行うことで、ピストン102の移動方向の切り替え(プッシュ方向とプル方向の切り替え)が行われるものであるところ、本発明者は、ピストンの移動方向に関わらず、第1圧力作用室103の圧力値である第1圧力値と第2圧力作用室104の圧力値である第2圧力値とを加算して求めた値の時間微分をし、該時間微分をして求めた値の時間経過に伴う変動を監視することで、ピストン102の移動の開始時点および停止時点を正確に検出可能であることを発見した。なお、以下においては、第1圧力値と第2圧力値とを加算して求めた値の時間微分をして求めた値のことを、「加算値の時間微分値」といい、加算値の時間微分値の時間経過に伴う変動のことを、「加算値の時間微分値の変動」という。
【0092】
例えば、本発明者は、加算値の時間微分値(波形D11)が、略ゼロから正の値に変動を開始した後、再び略ゼロに収束した時点(収束時点P21,P22)は、ピストン102の移動の開始時点(時点t3,時点t7)と一致することを発見した。よって、加算値の時間微分値(波形D11)の変動を監視すれば、収束時点P21,P22を以って、ピストン102の移動の開始時点(時点t3,時点t7)であると正確に判定することが可能である。
【0093】
また例えば、本発明者は、加算値の時間微分値(波形D11)が、略ゼロから負の値に変動を開始した時点(負変動開始点P31,P32)は、ピストン102の移動の停止時点(時点t4,時点t8)と一致することを発見した。よって、加算値の時間微分値(波形D11)の変動を監視すれば、負変動開始点P31,P32を以って、ピストン102の移動の停止時点(時点t4,時点t8)であると正確に判定することが可能である。
【0094】
また例えば、本発明者は、加算値の時間微分値(波形D11)が、略ゼロから正の値に変動を開始した時点(正変動開始点P11,P12)は、第1圧力作用室103に対する操作エアの給気と第2圧力作用室104に対する操作エアの給気との切り替え(給気の切り替え)が行われた時点(時点t2,時点t6)と一致することを発見した。よって、加算値の時間微分値(波形D11)の変動を監視すれば、正変動開始点P11,P12を以って、給気の切り替えが行われた時点(時点t2,時点t6)であると正確に判定することが可能である。なお、給気の切り替えとは、流体圧アクチュエータ10のピストン102の移動を、プッシュ方向からプル方向に切り替え、または、プル方向からプッシュ方向に切り替えするために行うものである。なお、プッシュ方向とは、流体圧アクチュエータ10が、ピストン102に結合された操作ロッド105を備えるものとした場合に、該操作ロッド105を複動型シリンダ101から突出させる方向のことをいう。またプル方向とは、プッシュ方向とは逆に、操作ロッド105を複動型シリンダ101に収納する方向のことをいう。
【0095】
(5)(1)乃至(4)いずれか1つに記載の流体圧アクチュエータの動作検出システム1において、検出プログラムは、第1圧力値と第2圧力値との減算値を求め、減算値(波形S11)の時間微分値を求め、該時間微分値(波形D21)の時間経過に伴う変動に基づき、ピストン102の移動方向を検出すること、が好ましい。
【0096】
(6)(5)に記載の流体圧アクチュエータの動作検出システム1において、検出プログラムは、ピストン102の移動方向の検出を、加算値の時間微分値の変動を検出したときに行うこと、が好ましい。
【0097】
上記(1)乃至(4)に記載した、加算値の時間微分値(波形D11)の変動は、流体圧アクチュエータ10の動作がプッシュ方向かプル方向かに関わらず、正変動開始点P11,P12の後の収束時点P21,P22はピストン102の移動の開始時点(時点t3,時点t7)であり、負変動開始点P31,P32はピストン102の移動の停止時点(時点t4,時点t8)である。したがって、加算値の時間微分値(波形D11)の変動を監視するのみでは、流体圧アクチュエータ10がプッシュ方向に動作しているのか、プル方向に動作しているのかの判定をすることが困難である。そのような中、本発明者は、第1圧力値と第2圧力値との減算を行い、該減算して求めた値(波形S11)の時間微分をし、該時間微分をして求めた値(波形D21)の時間経過に伴う変動を監視することで、流体圧アクチュエータ10がプッシュ方向に動作しているのか、プル方向に動作しているのか判定可能であることを発見した。なお、第1圧力値と第2圧力値とを減算して求めた値の時間微分をして求めた値のことを、「減算値の時間微分値」といい、減算値の時間微分値の時間経過に伴う変動のことを、「減算値の時間微分値の変動」という。
【0098】
例えば、本発明者は、流体圧アクチュエータ10がプッシュ方向に動作するとき、ピストン102の移動の開始時点(時点t3)および停止時点(時点t4)で、減算値の時間微分値(波形D21)が、略ゼロから正の値に変動することを発見した。また、例えば、本発明者は、流体圧アクチュエータ10がプル方向に動作するとき、ピストン102の移動の開始時点(時点t7)および停止時点(時点t8)で、減算値の時間微分値(波形D21)が、略ゼロから負の値に変動することを発見した。
【0099】
よって、加算値の時間微分値(波形D11)の変動の監視と併せて、減算値の時間微分値(波形D21)の変動を監視すれば、加算値の時間微分値(波形D11)の変動の収束時点P21,P22のタイミングで、減算値の時間微分値(波形D21)が 正の値に変動していたか、負の値に変動していたかを以って、流体圧アクチュエータ10がプッシュ方向の動作を開始したのか、プル方向の動作を開始したのかが判定可能である。加えて、加算値の時間微分値(波形D11)の変動の負変動開始点P31,P32のタイミングで、減算値の時間微分値(波形D21)が、正の値に変動するか、負の値に変動するかを以って、流体圧アクチュエータ10がプッシュ方向の動作を完了したのか、プル方向の動作を完了したのかが判定可能である。
【0100】
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。例えば、動作検出装置5は、複数台の流体圧アクチュエータ10の動作状態を監視するものとしても良い。また、圧力センサ3,4は、第1配管11,第2配管12上に配設されるものとして説明しているが、これに限定されるものでなく、動作検出装置5に内蔵されるものとしても良い。そのほか、流体圧アクチュエータ10は必ずしも操作ロッド105を有している必要もなく、平行ハンド等の複動型シリンダを有するアクチュエータへの応用が可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 動作検出システム
3 第1圧力センサ(第1圧力検出手段の一例)
4 第2圧力センサ(第2圧力検出手段の一例)
5 動作検出装置(検出手段の一例)
10 流体圧アクチュエータ
101 複動型シリンダ
102 ピストン
103 第1圧力作用室
104 第2圧力作用室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8