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特開2024-171639光電変換装置、移動体、制御方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171639
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】光電変換装置、移動体、制御方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/76 20230101AFI20241205BHJP
   H04N 25/40 20230101ALI20241205BHJP
   H04N 25/773 20230101ALI20241205BHJP
   H04N 25/79 20230101ALI20241205BHJP
【FI】
H04N25/76
H04N25/40
H04N25/773
H04N25/79
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088760
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】木村 孝行
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CX53
5C024GX03
5C024GX15
5C024GY39
5C024GY41
5C024GY45
5C024JX42
(57)【要約】
【課題】
認識処理結果を低遅延で外部に出力可能な光電変換装置を提供する。
【解決手段】
光電変換装置において、光子の受光頻度に応じた頻度でパルスを発するセンサ部と、前記パルスの数をカウントするカウンタと、前記カウンタのカウント値を記憶するメモリと、を夫々備える複数の画素と、蓄積期間の開始時と終了時の前記カウンタのカウント値の差分に基づいて生成された画像信号に対して認識処理を行う認識手段と、前記認識手段により前記認識処理が完了するのに伴って前記認識処理の結果を外部に出力させる制御手段と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光子の受光頻度に応じた頻度でパルスを発するセンサ部と、
前記パルスの数をカウントするカウンタと、
前記カウンタのカウント値を記憶するメモリと、を夫々備える複数の画素と、
蓄積期間の開始時と終了時の前記カウンタのカウント値の差分に基づいて生成された画像信号に対して認識処理を行う認識手段と、
前記認識手段により前記認識処理が完了するのに伴って前記認識処理の結果を外部に出力させる制御手段と、を有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記制御手段は、フルフレーム期間において、第1の蓄積期間と第2の蓄積期間を持ち、前記第1の蓄積期間は前記第2の蓄積期間よりも短く、前記第1の蓄積期間に生成される信号を前記第1の蓄積期間の終了から前記第2の蓄積期間の終了までの間に出力するように制御することを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記認識手段により被写体が認識されたか否かに応じて、前記認識処理の結果を外部に出力するか否かを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記認識手段により所定期間の画像信号から被写体が認識された場合に、前記認識処理の結果と共に、前記所定期間の画像信号も外部に出力することを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記センサ部はアバランシェフォトダイオードを含むことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
移動体の動作を制御する移動制御手段と、を有することを特徴とする移動体。
【請求項7】
前記移動制御手段は、前記認識手段から出力された認識結果に基づいて移動体の制御を行うことを特徴とする請求項6に記載の移動体。
【請求項8】
前記認識手段における前記認識処理の結果を表示するための表示部を有することを特徴とする請求項6に記載の移動体。
【請求項9】
光子の受光頻度に応じた頻度でパルスを発するセンサ部と、
前記パルスの数をカウントするカウンタと、
前記カウンタのカウント値を記憶するメモリと、を夫々備える複数の画素と、を有する光電変換装置の制御方法であって、
蓄積期間の開始時と終了時の前記カウンタのカウント値の差分に基づいて生成された画像信号に対して認識処理を行う認識ステップと、
前記認識ステップにより前記認識処理が完了するのに伴って前記認識処理の結果を外部に出力させる制御ステップと、を有することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか1項に記載の光電変換装置又は請求項6~8のいずれか1項に記載の移動体の各手段をコンピュータにより制御するためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置、移動体、制御方法、及びコンピュータプログラム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、アバランシェフォトダイオード(APD)に入射する光子の数をデジタル的に計数し、計数値を光電変換されたデジタル信号として画素から出力する光電変換装置が開発されている。
【0003】
又、例えば特許文献1では、APDを有する光電変換装置において、蓄積期間が互いに重複する複数の映像を出力することができ、それにより低照度でも連写が可能となる構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許7223070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば移動体に設置される車載用のカメラの撮像素子を想定した場合、通常のセンサ駆動ではフレーム単位で認識処理をかけるため、例えば30fpsの場合、33.3msごとにしか認識処理を実行できない。従って、車載用のカメラではフレーム切り替わり直後に物体が飛び込んできても、フレームの終了まで認識処理ができない。
【0006】
又、車載用のカメラでは信号機によるフリッカを抑制するために一定期間(11ms)以上の蓄積期間とすることが多く、特に低照度下では蓄積期間を長くすることで明るく撮影している。しかし蓄積期間が長いので高速で動く物体には被写体ブレが生じ、認識率が下がり、又、認識処理結果を速やかに得られないという課題がある。
【0007】
そこで本発明は、認識処理結果を低遅延で外部に出力可能な光電変換装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1側面の光電変換装置は、
光子の受光頻度に応じた頻度でパルスを発するセンサ部と、
前記パルスの数をカウントするカウンタと、
前記カウンタのカウント値を記憶するメモリと、を夫々備える複数の画素と、
蓄積期間の開始時と終了時の前記カウンタのカウント値の差分に基づいて生成された画像信号に対して認識処理を行う認識手段と、
前記認識手段により前記認識処理が完了するのに伴って前記認識処理の結果を外部に出力させる制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、認識処理結果を低遅延で外部に出力可能な光電変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態の光電変換素子の構成例を示す図である。
図2】センサ基板11の構成例を示す図である。
図3】回路基板21の構成例を示す図である。
図4図2及び図3のうち、画素101及び、画素101に対応した信号処理回路103の等価回路の例を示した図である。
図5】APD201の動作と出力信号の関係を模式的に示した図である。
図6】実施形態に係る光電変換装置600及び移動体700の機能ブロック図である。
図7】実施形態に係るカメラ制御部605による光電変換の処理例を説明するための図である。
図8】実施形態に係るカメラ制御部605による認識処理の例を説明するための図である。
図9】(A)~(C)は、実施形態に係る認識部604による認識処理について説明するための図である。
図10】分割された複数のフレームの画像の例を示す図である。
図11】実施形態に係るメモリ回路とバッファとの関係を示す図である。
図12】実施形態に係る光電変換素子の駆動例の詳細を示すフローチャートである。
図13図12の続きのフローチャートである。
図14】実施形態に係るECU701による移動体700の具体的な制御方法の例を説明するための図である。
図15】実施形態に係る被写体認識の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。尚、各図において、同一の部材又は要素については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態の光電変換素子の構成例を示す図である。以下においては、光電変換素子100は、センサ基板11と、回路基板21の2枚の基板が積層され、且つ電気的に接続されることにより構成される、所謂、積層構造である光電変換装置を例にとって説明する。
【0013】
しかしながら、センサ基板に含まれる構成と回路基板に含まれる構成が共通の半導体層に配された、所謂、非積層構造であっても良い。センサ基板11は、画素領域12を含む。回路基板21は、画素領域12で検出された信号を処理する回路領域22を含む。
【0014】
図2は、センサ基板11の構成例を示す図である。センサ基板11の画素領域12は、複数行及び複数列方向に二次元状に複数配置された画素101を含む。画素101は、アバランシェフォトダイオード(以下、APDと呼ぶ。)を含む光電変換部102を備える。
【0015】
ここで、光電変換部102は、光子の受光頻度に応じた頻度でパルスを発するセンサ部として機能している。尚、画素領域12を成す画素アレイの行数及び列数は、特に限定されるものではない。
【0016】
図3は、回路基板21の構成例を示す図である。回路基板21は、図2の各光電変換部102で光電変換された電荷を処理する信号処理回路103、読み出し回路112、制御パルス生成部115、水平走査回路111、垂直信号線113、垂直走査回路110、出力回路114を有している。
【0017】
垂直走査回路110は、制御パルス生成部115から供給された制御パルスを受け、行方向に配列された複数の画素に、行毎に順次、制御パルスを供給する。垂直走査回路110にはシフトレジスタやアドレスデコーダといった論理回路が用いられる。
【0018】
各画素の光電変換部102から出力された信号は、各信号処理回路103で処理される。信号処理回路103は、カウンタやメモリなどが設けられており、メモリにはデジタル値が保持される。水平走査回路111は、デジタル信号が保持された各画素のメモリから信号を読みだすために、各列を順次選択する制御パルスを信号処理回路103に入力する。
【0019】
垂直信号線113には、垂直走査回路110により選択された行の画素の信号処理回路103から信号が出力される。垂直信号線113に出力された信号は、読み出し回路112、出力回路114を介して、光電変換素子100の外部に出力される。読み出し回路112には各垂直信号線113に接続された、複数のバッファが内蔵されている。
【0020】
図2及び図3に示すように、平面視で画素領域12に重なる領域に、複数の信号処理回路103が配される。そして、平面視で、センサ基板11の端と画素領域12の端との間に重なるように、垂直走査回路110、水平走査回路111、読み出し回路112、出力回路114、制御パルス生成部115が配される。
【0021】
言い換えると、センサ基板11は、画素領域12と画素領域12の周りに配された非画素領域とを有する。そして、平面視で非画素領域に重なる領域に、垂直走査回路110、水平走査回路111、読み出し回路112、出力回路114、制御パルス生成部115が配置される。
【0022】
尚、垂直信号線113の配置、読み出し回路112、出力回路114の配置は、図3に示した例に限定されない。例えば、垂直信号線113が行方向に延びて配されており、読み出し回路112を垂直信号線113が延びる先に配しても良い。又、信号処理回路103は、必ずしもすべての光電変換部に1つずつ設けられる必要はなく、複数の光電変換部に対して1つの信号処理回路が共有され、順次、信号処理を行う構成となっていても良い。
【0023】
図4は、図2及び図3における画素101と、画素101に含まれる光電変換部102と信号処理回路103の等価回路の例を示した図である。図4に示すように、各画素101はセンサ部としての光電変換部102、カウンタ回路211、メモリ回路212等を夫々備えている。
【0024】
光電変換部102に含まれるAPD201は、光電変換により入射光に応じた電荷対を生成する。APD201の2つのノードのうちの一方のノード(アノード)は、電圧VL(第1電圧)が供給される電源線と接続されている。又、APD201の2つのノードのうちの他方のノード(カソード)は、電圧VLよりも高い電圧VH(第2電圧)が供給される電源線と接続されている。
【0025】
APD201のアノードとカソードには、APD201がアバランシェ増倍動作をするような逆バイアス電圧が供給される。このような電圧を供給した状態とすることで、入射光によって生じた電荷がアバランシェ増倍を起こし、アバランシェ電流が発生する。
【0026】
尚、逆バイアスの電圧が供給される場合において、アノード及びカソードの電圧差が降伏電圧より大きい電圧差で動作させるガイガーモードと、アノード及びカソードの電圧差が降伏電圧近傍、もしくはそれ以下の電圧差で動作させるリニアモードがある。ガイガーモードで動作させるAPDをSPADと呼ぶ。SPADの場合、電圧VL(第1電圧)は例えば-30V、電圧VH(第2電圧)は例えば1Vなどとする。
【0027】
信号処理回路103は、クエンチ素子202、波形整形部210、カウンタ回路211、メモリ回路212を有する。クエンチ素子202は、電圧VHが供給される電源線とAPD201のアノード及びカソードのうちの一方のノードに接続される。
【0028】
クエンチ素子202は、アバランシェ増倍による信号増倍時に負荷回路(クエンチ回路)として機能し、APD201に供給する電圧を抑制して、アバランシェ増倍を抑制する働きを持つ(クエンチ動作)。又、クエンチ素子202は、クエンチ動作で電圧降下した分の電流を流すことにより、APD201に供給する電圧を電圧VHへと戻す働きを持つ(リチャージ動作)。
【0029】
図4に示す等価回路では、信号処理回路103は、クエンチ素子202の他に、波形整形部210、カウンタ回路211、及びメモリ回路212を有する。
【0030】
波形整形部210は、光子検出時に得られるAPD201のカソードの電圧変化を整形して、パルス信号を出力する。波形整形部210としては、例えば、インバータ回路が用いられる。図4では、波形整形部210としてインバータを1つ用いた例を示したが、複数のインバータを直列接続した回路を用いても良いし、波形整形効果があるその他の回路を用いても良い。
【0031】
カウンタ回路211は、波形整形部210から出力されたパルスの数をカウントし、カウント値を保持する。又、駆動線213を介して制御パルスRESが供給されたとき、カウンタ回路211に保持された信号がリセットされる。ここでカウンタ回路211は、蓄積期間の開始時と終了時のカウント値の差分に基づいて画像信号を生成している。
【0032】
メモリ回路212には、図3の垂直走査回路110から、図4の駆動線214(図3では不図示)を介して制御パルスSELが供給され、カウンタ回路211と垂直信号線113との電気的な接続、非接続を切り替える。メモリ回路212は、カウンタのカウント値を一時的に記憶するメモリとして機能しており、画素のカウンタ回路211からの出力信号を垂直信号線113に出力する。
【0033】
尚、クエンチ素子202とAPD201との間や、光電変換部102と信号処理回路103との間にトランジスタ等のスイッチを配して、電気的な接続を切り替えても良い。同様に、光電変換部102に供給される電圧VH又は電圧VLの供給をトランジスタ等のスイッチを用いて電気的に切り替えても良い。
【0034】
図5は、APD201の動作と出力信号の関係を模式的に示した図である。波形整形部210の入力側をnodeA、出力側をnodeBとしている。時刻t0から時刻t1の間において、APD201には、VH-VLの電位差が印加されている。時刻t1において光子がAPD201に入射すると、APD201でアバランシェ増倍が生じ、クエンチ素子202にアバランシェ増倍電流が流れ、nodeAの電圧は降下する。
【0035】
電圧降下量が更に大きくなり、APD201に印加される電位差が小さくなると、時刻t2のようにAPD201のアバランシェ増倍が停止し、nodeAの電圧レベルはある一定値以下には降下しなくなる。
【0036】
その後、時刻t2から時刻t3の間において、nodeAには電圧VLから電圧降下分を補う電流が流れ、時刻t3においてnodeAは元の電位レベルに静定する。このとき、nodeAにおいて出力波形がある閾値を越えた部分は、波形整形部210で波形整形され、nodeBでパルス信号として出力される。
【0037】
次に、本実施形態に係る光電変換装置600及び移動体700について説明する。図6は実施形態に係る光電変換装置600及び移動体700の機能ブロック図である。尚、図6に示される機能ブロックの一部は、光電変換装置600及び移動体700に含まれる不図示のコンピュータに、不図示の記憶媒体としてのメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行させることによって実現されている。
【0038】
しかし、それらの一部又は全部をハードウェアで実現するようにしても構わない。ハードウェアとしては、専用回路(ASIC)やプロセッサ(リコンフィギュラブルプロセッサ、DSP)などを用いることができる。又、図6に示される夫々の機能ブロックは、同じ筐体に内蔵されていなくても良く、互いに信号路を介して接続された別々の装置により構成しても良い。
【0039】
光電変換装置600は、図1図5で説明した光電変換素子100、結像光学系601、画像処理部603、認識部604、カメラ制御部605、記憶部606、通信部607等を有する。光電変換素子100は、光学像を光電変換するための図1図5で説明したアバランシェフォトダイオードで構成されている。
【0040】
本実施形態の光電変換装置は移動体700に搭載されており、結像光学系601と光電変換素子100のセットからなるカメラユニットは例えば移動体の前方、後方、側方の少なくとも1方向を撮影するように配置されている。尚、カメラユニットを移動体700に複数設けても良い。
【0041】
画像処理部603は、光電変換素子100で取得された画像信号に対して例えば黒レベル補正や、ガンマカーブ調整、ノイズリダクション、デジタルゲイン調整、デモザイク処理、データ圧縮等の画像処理を行い、最終的な画像信号を生成する。尚、光電変換素子100の各画素がRGB等のオンチップカラーフィルタを有する場合、画像処理部603においてホワイトバランス補正、色変換などの処理も行う。
【0042】
更に、読み出した画像を視認用途や認識用途など複数の用途で使用する場合、画像の使用用途ごとに異なる画像処理パラメータを予め保持しておき、画像の使用用途の切り替えに伴って画像処理パラメータを切り替えることが望ましい。
【0043】
画像処理部603の出力は、認識部604、移動体700のECU(Electric Control Unit)701、カメラ制御部605に供給される。認識部604は、画像信号に基づき画像認識を行うことによって被写体を認識する認識手段として機能しており、移動体700の周囲にある人や動物、車両、信号機、標識等の被写体を認識すると共に種別を識別する。
【0044】
その際に、認識結果の正確さを示す信頼度や、画像内における被写体の位置や大きさを示す座標情報についても併せて取得する。座標情報として具体的には、X座標のオフセットとサイズ、Y座標のオフセットとサイズを取得する。本実施形態では、認識結果として被写体種別、信頼度、座標情報の3種類を取得するが、その他の情報を取得しても良い。
【0045】
認識部604により取得した認識結果は、ECU701に出力される。尚、本実施形態では移動体700は例えば自動車の例を用いて説明するが、移動体は航空機、電車、船舶、ドローン、AGV、ロボットなど、移動可能なものであれば、どのようなものであっても良い。
【0046】
カメラ制御部605はコンピュータとしてのCPU及び、コンピュータプログラムを記憶したメモリを内蔵しており、メモリに記憶されたコンピュータプログラムをCPUが実行することにより光電変換装置600の各部の制御を行う。
【0047】
尚、カメラ制御部605は制御手段として機能しており、例えば光電変換素子100の制御パルス生成部を介して、光電変換素子100の各フレームの蓄積期間(光電変換期間)の長さや、制御信号CLKのタイミングの制御などを行う。又、カメラ制御部605は画像処理部603に各種画像処理のパラメータを設定したり、認識部604を制御する機能及び認識結果を取得する機能を有する。
【0048】
記憶部606は、例えば、メモリカード、ハードディスク等の記録媒体を含み、画像信号を記憶、読出すことができる。通信部607は無線や有線のインターフェースを備え、生成した画像信号や認識結果を光電変換装置600の外部に出力すると共に外部からの各種信号を受信する。
【0049】
尚、通信部607は、インターフェースとして、例えばSPIやI2C等の規格に則った有線通信を行っても良いし、Wi-Fi等の無線LAN方式やBluetooth(登録商標)等を用いた通信を行っても良い。
【0050】
ECU701はコンピュータとしてのCPU及びコンピュータプログラムを記憶したメモリを内蔵しており、メモリに記憶されたコンピュータプログラムをCPUが実行することにより移動体700の各部の制御を行う。
【0051】
ECU701の出力は車両制御部702と表示部703に供給される。車両制御部702は、ECU701の出力に基づき移動体としての車両の移動(駆動、停止、方向制御等)を制御する移動制御手段として機能している。又、移動制御手段としの車両制御部702は、認識部から出力された認識結果に基づいて移動体の制御を行う。
【0052】
又、表示部703は表示手段として機能しており、例えば液晶デバイスや有機EL等の表示素子を含み、移動体700に搭載されている。表示部703は、ECU701の出力に基づき例えばGUIを用いて移動体700の運転者に対して、光電変換素子100により取得した画像や、認識部604により取得された認識結果、車両の走行状態等に関する各種情報を表示する。
【0053】
図7は、実施形態に係るカメラ制御部605による光電変換の処理例を説明するための図である。本実施形態では、例えば30フルフレーム/秒で光電変換を周期的に駆動する。又、33.3msの長さの1垂直期間分のフレームをフルフレームと呼び、フルフレームを4分割したものを夫々フレームと呼ぶ。
【0054】
即ち、図7に示すように、フルフレーム1を均等な期間(8.33ms)ずつフレーム1_1、フレーム1_2、フレーム1_3、フレーム1_4に分割している。そしてフレーム1_1、フレーム1_2、フレーム1_3、フレーム1_4の夫々の終端である時刻T1、T2、T3、T4においてカウンタ回路211からカウント値を読出す。一方、カウンタ回路211のリセットはフルフレーム期間(1垂直期間)の終端であるT0(T4)に行う。
【0055】
従って、フレーム1_1の終端である時刻T1でカウンタ回路211から読出されるカウント値C1_1は、時刻T0~時刻T1までの蓄積期間のカウント値となる。又、フレーム1_2の終端である時刻T2でカウンタ回路211から読出されるカウント値C1_2は、時刻T0~時刻T2までの蓄積期間のカウント値となる。
【0056】
又、フレーム1_3の終端である時刻T3でカウンタ回路211から読出されるカウント値C1_3は、時刻T0~時刻T3までの蓄積期間のカウント値となる。又、フレーム1_4の終端である時刻T4でカウンタ回路211から読出されるカウント値C1_4は、時刻T0~時刻T4までの蓄積期間のカウント値となる。
【0057】
先ず、フレーム1_1の終端である時刻T1でカウンタ回路211から読出される画像の処理フローについて説明する。時刻T0においてカウンタ回路211をリセットし、時刻T1においてカウンタ回路211のカウント値C1_1を取得する。取得したカウント値C1_1は、メモリ回路212に一時的に保存される。
【0058】
図8は、実施形態に係るカメラ制御部605による認識処理の例を説明するための図である。メモリ回路212に一時的に保存されたカウント値C1_1は、光電変換素子から読み出し回路112内のバッファを介して1行ずつ時刻T1~時刻T2の期間に画像処理部603に出力される。
【0059】
画像処理部603では、前述した各種の画像処理を行い、処理結果をそのまま認識部604に出力する。フレーム1_1の画像は時刻T1~時刻T2の期間で認識部604に出力され、時刻T2のタイミングで全ライン分の画像信号の出力が完了する。そして、時刻T2のタイミングで認識部604にて被写体認識処理が開始される。
【0060】
尚、本実施形態では、1フレーム分の画像信号が全て揃った時刻T2のタイミングで認識処理を開始しているが、1ライン毎もしくは1画素毎に順次認識処理を行っても良い。認識のための処理単位を小さくすることで、認識結果を取得するまでの遅延時間を短縮することができる。
【0061】
そして、フレーム1_1の画像の認識処理が完了すると同時に、認識結果をECU701に速やかに出力する。本実施形態では、認識処理とその結果の出力に要する最短時間をTdとする。このとき、フレーム1_1の画像に基づく認識結果(図8のRcg1_1)の出力は、時刻T2+Tdのタイミングで完了する。
【0062】
図9(A)~(C)は、実施形態に係る認識部604による認識処理について説明するための図であり、図9を用いて認識処理の詳細について説明する。図9(A)は、時刻T2のタイミングで画像処理部603から認識部604に出力された画像の例を示す図である。画像内の上下方向に道路が延びており、画像内の上部には車両、画像内の左下部には道路に飛び出した人が映っている。
【0063】
図9(B)は、フレーム1_1に対して認識部604にて被写体認識処理を行った結果の例を示した図である。図9(B)に示すように、フレーム1_1では2つの被写体が認識されており、認識部604は、夫々の被写体について、被写体種別、画像認識の信頼度、座標情報をデータ情報として出力している。
【0064】
即ち、1つ目の認識被写体の被写体種別は「人」で、画像認識の信頼度は90%である。又、「人」が認識された画素領域の座標情報は、X座標、Y座標のオフセットが夫々200pix、400pixで、サイズが600pix、500pixとなっている。即ち、X座標が200~800pixの範囲、Y座標が400~900pixの範囲に存在することが分かる。
【0065】
2つ目の認識被写体の被写体種別は「車両」で、画像認識の信頼度は80%である。又、「車両」が認識された画素領域の座標情報は、X座標、Y座標のオフセットが夫々600pix、50pixで、サイズが600pix、500pixとなっている。即ち、X座標が600~1200pixの範囲、Y座標が50~550pixの範囲に存在することが分かる。
【0066】
このように、認識部604により、図9(B)に示すような情報を取得した、時刻T2+TdのタイミングでECU701に出力することができる。従って、認識開始から認識結果の出力までを最短(Td)で移動体700のECU701に供給することができる。
【0067】
尚、本実施形態では遅延時間の短縮を最優先として、図9(B)のデータ情報をECU701に供給しているが、必要に応じて他の情報も一緒にECU701に供給しても良い。例えば、図9(C)に示すように、図9(A)の画像信号に図9(B)で示した認識結果を情報として重畳させたものをECU701に供給しても良い。
【0068】
或いは、被写体が認識された領域(図9(C)の白枠内)の画像のみを切り出して、認識結果と共にECU701に供給しても良い。但し、画像情報も合わせてECU701に供給するとデータ量が増えるため、ECU701への伝送に時間を要するおそれがある。
【0069】
即ち、認識結果の出力が完了するまでの遅延時間が延びてしまう。従って、光電変換装置600からECU701に供給する情報の内容は、移動体700が必要とする情報、及び許容される遅延時間等を考慮して決めることが望ましい。フレーム1_1の画像の処理フローについての説明は以上である。
【0070】
続いて、フレーム1_2、フレーム1_3、フレーム1_4の夫々の終端の時刻T2、時刻T3、時刻T4で画像信号の読出しが開始され、夫々時刻T2~時刻T3、時刻T3~時刻T4、時刻T4~時刻T1の期間に順次読み出される。そして、時刻T3、時刻T4、時刻T1のタイミングで夫々の認識処理が順次開始され、時刻T3+Td、時刻T4+Td、時刻T1+Tdのタイミングで夫々の認識結果のECU701への供給が完了する。
【0071】
図10は、分割された複数のフレームの画像の例を示す図である。図9に示すようにフレーム1_1の終端の時刻T1で読出される画像は蓄積期間が短いので暗くなるが、飛び出してきた人の被写体ブレは少ない。
【0072】
一方、フレーム1_2、フレーム1_3、フレーム1_4の夫々の終端で読出される画像は、順に、蓄積期間が長いので被写体ブレが生じやすくなる。尚、停止している車両や白線にはブレは生じにくく、蓄積期間が長い程コントラストが向上しやすい。
【0073】
このように、本実施形態では、1フルフレーム期間内で、第1の蓄積期間(例えば時刻T0~時刻T1)と第2の蓄積期間(例えば時刻T0~時刻T4)を持ち、第1の蓄積期間は第2の蓄積期間よりも短い。又、第1の蓄積期間に生成される信号を第1の蓄積期間終了(例えば時刻T1)から第2の蓄積期間終了(例えば時刻T4)までの間に出力するように制御している。
【0074】
又、本実施形態では、第1の蓄積期間と第2の蓄積期間は重複しており、第1の蓄積期間と第2の蓄積期間は同時に開始する。更に、第2の蓄積期間の終了時がフルフレーム期間(1垂直期間)の切れ目になっており、第2の蓄積期間は前記第1の蓄積期間の整数倍(図7の例では4倍)となっている。
【0075】
但し、第2の蓄積期間は前記第1の蓄積期間の整数倍である必要はなく、第2の蓄積期間は第1の蓄積期間よりも長く、第2の蓄積期間の終了が第1の蓄積期間も終了よりも後になれば良い。
【0076】
即ち、蓄積期間が短い画像と長い画像を作り、短い蓄積期間が終わるタイミングを、長い蓄積期間が終わるタイミングよりも早くしておき、短い蓄積期間が終わり次第、その画像を出力して後段の認識部に送っている。そして少なくとも第1の蓄積期間に生成される信号に基づき被写体を認識している。認識手段としての認識部604は、少なくとも第1の蓄積期間に生成される信号に基づき被写体を認識する。
【0077】
従って、従来ではフルフレーム期間毎にしか画像認識できなかったのに対し、本実施形態では、1/4フルフレーム期間毎に画像認識を行うことができ、例えば移動体が高速で移動している際に、障害物等を速やかに認識することができる。また、さらに蓄積期間短くした場合には、より頻繁に画像認識を行うことが可能になる。
【0078】
更に、その認識結果をECU701に低遅延で出力することで、速やかに自動ブレーキをかけることなどができる。或いは障害物を早期に回避することが可能となる。又、1/4フルフレーム期間毎に画像認識を行うことができるので、その間に出現する障害物等をタイムリーに画像認識できる。
【0079】
又、本実施形態の表示装置は、少なくとも第2の蓄積期間に生成される信号を画像として表示している。尚、蓄積期間が長い第2の蓄積期間の画像はコントラストを向上させることができるので、表示用画像として適している。即ち、蓄積期間が短い第1の蓄積期間の画像は速やかな被写体認識に適しており、蓄積期間が長い第2の蓄積期間の画像は表示用画像に適している。
【0080】
尚、本実施形態においてはAPDを用いているので、CMOSセンサなどと異なり、読み出し動作によって蓄積された電荷が劣化することはないので蓄積期間を重複させることができる。又、読出しノイズがないので1度の蓄積で何度読み出しても元の信号が劣化しない。
【0081】
図11は、実施形態におけるメモリ回路とバッファとの関係を示す図である。図11においては、図3の信号処理回路103内のメモリ回路212を、N行M列に配列した状態を示しており、各メモリ回路はメモリ1-1~メモリN-Mのように表されている。又、図11におけるバッファ1~バッファMは図3における読み出し回路112に含まれるバッファを示している。図11における出力回路114は図3の出力回路114に対応している。
【0082】
図12は、実施形態における光電変換素子の駆動例の詳細を示すフローチャートであり、図13図12の続きのフローチャートである。尚、カメラ制御部605内のコンピュータとしてのCPU等がメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって図12図13のフローチャートの各ステップの動作が順次行われる。
【0083】
図12のステップS101において、i=1にセットする。次にステップS102において時刻Tiにおけるカウンタ回路211のカウント値Countをメモリ回路212に出力する。この時、全ての画素のメモリ回路に対して同時に出力を行う。この動作は図7の時刻T1の動作に対応している。
【0084】
次にステップS103においてj=1をセットし、ステップS104において図11のメモリ回路j-kにおけるカウント値Count(j-k-i)をバッファkに出力する。この時、1~M列同時にバッファに出力する。この動作は、図11の1行目のカウント値をバッファに取り込む動作を意味している。
【0085】
次にステップS105においてk=1にセットし、ステップS106においてバッファkのカウント値Count(j-k-i)を出力回路114に出力する。この動作は、図11の一番左の列のバッファの信号を出力回路から読出す動作に対応している。
【0086】
次にAを介して図13のステップS107に進み、ステップS107においてk<Mか判定し、YesであればステップS108においてk=k+1としてkを1アップし、Bを介してステップS106に戻り、ステップS106の動作を行う。この動作は図11の左から2列目のバッファの信号を出力回路から読出す動作に対応している。
【0087】
ステップS107でNoになった場合、即ち、k=Mになった場合には、図11のM列目のバッファの信号を出力回路から読出し終わったことを意味し、次にステップS109に進み、j<Nか判定する。ステップS109でYesの場合にはステップS110でj=J+1とし、jを1アップし、Cを介してステップS104に戻る。これは次の行の読出しを開始するための動作に対応している。
【0088】
ステップS109でNoと判定された場合には、全ての行の読出しが終了したことを意味するので、ステップS111に進み、j<4か否か判定する。ステップS111でYesと判定された場合にはステップS112に進み、i=i+1としiを1アップしてDを介してステップS102に戻る。この動作は次の時刻T2の読出しを開始する動作に対応している。
【0089】
ステップS111でNoと判定された場合には、時刻T4における読出しが完了したことを意味するので、ステップS113に進み、リセット信号でカウンタ回路211をリセットする。この動作は図7における時刻T4のカウンタ回路211のリセット動作に対応している。以上のようにして、光電変換素子100に蓄積された信号を順次読出すことができる。
【0090】
図14は、実施形態に係るECU701による移動体700の具体的な制御方法の例を説明するための図である。図14において、光電変換装置600の制御方法は図7と同様で、フルフレームを4つの均等な期間のフレームに分割しており、夫々のフレームの期間は図7のフレーム期間と対応している。
【0091】
図14において、光電変換素子100内の読み出し回路112から画像信号が読み出されて画像処理部603により最終的な画像が生成されるまでの各フレームの処理を「画像生成」と定義する。
【0092】
又、本実施形態では、図14の「画像出力」で示すように、最も蓄積期間が長秒時(33.3ms)となるフレーム0_4やフレーム1_4の画像信号のみを、移動体700の表示部703での表示用画像として画像処理部603からECU701に出力する。
【0093】
又、認識部604による認識処理は全てのフレームについて行い、その認識処理の結果を認識部604からECU701に供給する(図14における「認識結果出力」)。認識結果は、移動体700の表示部703で表示され、或いは車両制御部702により運転制御に使用される(図14における「運転制御」)。尚、認識処理において被写体が認識されなかった場合は、必ずしも認識結果をECU701に出力する必要はなく、後述のように、必要に応じて出力すれば良い。
【0094】
次に、表示用画像を光電変換装置600から移動体700に出力し、ECU701が表示部703に画像を表示させるまでの処理について順次説明する。図14において、フルフレーム1の時刻T1のタイミングで、光電変換装置600内の画像処理部603で各種画像処理が行われ、フレーム0_4の最終的な「画像生成」が行われる。
【0095】
次いで時刻T1~時刻T2の期間で、画像処理部603からECU701にフレーム0_4の画像信号が1水平ラインずつ「画像出力」され、一旦、不図示のメモリに一時的に蓄積される。ECU701は、フレーム0_4の全ての画像信号を取得した時刻T2のタイミングで、表示部703にフレーム0_4の画像の「画像表示」を開始させる。
【0096】
表示部703に表示させる画像はフルフレーム期間(4フレーム期間)に1回更新させるため、フルフレーム1の時刻T2に更新されたフレーム0_4の画像はフルフレーム2の時刻T2まで「画像表示」され続ける。
【0097】
次に、認識部604で被写体認識を行った結果を移動体700に出力し、ECU701が車両制御部702や表示部703に対して制御を行うまでの認識結果の処理について図14図15を用いて説明する。
【0098】
尚、図15は、実施形態に係る被写体認識等の制御方法の例を示すフローチャートである。カメラ制御部605内のコンピュータとしてのCPU等がメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって図15のフローチャートの各ステップの動作が順次行われる。
【0099】
図15のステップS151において、フルフレーム1の時刻T1のタイミングで、認識部604は、フレーム0_4の画像を取得する。そしてステップS152において、被写体の「認識処理」を開始し、図14のように認識結果(Rcg0_4)を取得する。ここで、ステップS152は、蓄積期間の開始時と終了時の前記カウンタのカウント値の差分に基づいて生成された画像信号に対して認識処理を行う認識ステップとして機能している。
【0100】
そして、ステップS153で被写体が認識されたか判定する。ステップS153でNoと判定された場合にはステップS155に進み、Yesと判定された場合には、ステップS154に進む。
【0101】
ステップS154では、認識部604からECU701に対して割り込み処理で認識処理結果Rcg0_4を送信開始する。認識処理結果Rcg0_4の送信は、時刻T1+Tdのタイミングで完了する(図14における「認識結果出力」)。
【0102】
ここでステップS154は、認識ステップ(認識手段)により認識処理が完了するのに伴って、制御手段としてのカメラ制御部605により認識処理の結果を外部のECU701等に出力させる制御ステップとして機能している。
【0103】
ECU701は、Rcg0_4を取得した時刻T1+Tdのタイミングで、車両制御を行うための信号を車両制御部702に送信する。車両制御部702は、受信した車両制御信号に基づいて、移動体700の駆動、停止、方向制御等を行う(図14における「運転制御」)。
【0104】
このように、Rcg0_4を受信した直後に移動体700の制御を行うことで、移動体が高速で移動中に障害物が侵入していても障害物を早期に回避するために、速やかにブレーキをかける、進路変更をする等の運転制御を行うことが可能となる。
【0105】
又、ECU701から車両制御部702に車両制御信号を送信するのとほぼ同時に、ECU701は、取得したRcg0_4の情報を表示部703に認識結果情報として送信する。表示部703は、受信した認識結果情報に基づいて図9(C)に示すような被写体種別、信頼度、座標情報等の情報をGUI等を用いて、表示中の画像に重畳させる(図14における「認識結果表示」)。
【0106】
座標情報については、運転者が視覚的に見やすいように枠等を表示するのが望ましいが、枠以外の表示方法でも良い。又、表示する色についても運転者が見やすいものにするのが望ましい。このように、ECU701がRcg0_4を受信した直後に表示部703に認識結果情報を送信し表示させることで、運転者に速やかに被写体や障害物の接近情報を知らせることができる。
【0107】
本実施形態では、フルフレーム1の時刻T2から、フルフレーム2の時刻T2の期間はフルフレーム0で蓄積したフレーム0_4の画像が表示部703に表示されている。しかし、表示画像がフルフレーム0からフルフレーム1に切り替わる前に、Rcg1_1、Rcg1_2、Rcg1_3、Rcg1_4の認識結果を先行して受信し表示部703に表示することができる。
【0108】
尚、ステップS154で送信開始したフレーム0_4の画像は、一旦、不図示のメモリに蓄積された後、時刻T2以降に表示される。但し、表示部703に表示される画像は前述のように、フレーム0_4やフレーム1_4などのフルフレーム毎の画像とし、本実施形態では、その間に得られるフレームの画像は表示には使わないものとする。
【0109】
尚、ステップS154に続いてステップS155において、次のフレームの同期信号が来るまで待機し、来たらステップS156に進む。ステップS156では例えばユーザによる終了指示や撮像装置の電源オフによる終了指示を判定し、Yesの場合には図15のフローを終了する。
【0110】
ステップS156でNoと判定された場合にはステップS151に戻り、上記の一連の動作を繰り返す。それにより、各フレームで取得された画像に基づき逐次新たな認識処理を行い、現在表示中の画像に、その認識結果を表示したり、運転制御に反映したりすることができる。
【0111】
従って、画像の更新周期よりも短い周期でかつ早いタイミングで運転者や車両制御部702に被写体情報を通知することができる。即ち、被写体や障害物が接近していた場合、速やかにブレーキをかけたり進路変更をすることができるため、危険を回避する事が可能となる。
【0112】
また、本実施形態では、被写体の認識結果に応じて出力する内容を決定し、認識手段により被写体が認識されたか否かに応じて、前記認識処理の結果を外部に出力するか否かを切り替えている。即ち、認識手段により所定期間の画像信号から被写体が認識された場合に、認識処理の結果と共に、所定期間の画像信号も外部に出力している。
【0113】
そして例えば認識部604により被写体が認識された際には、画僧信号に認識結果を重畳して表示し、被写体が認識されない場合には画像信号だけを表示している。従って、移動体の運転者にとって表示が煩雑になることを防止できる。
【0114】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0115】
例えば、上記実施形態では、画像信号と認識結果を別々の信号線を用いて出力していたが、同じ信号線を用いて出力しても良い。即ち、画像処理部603からECU701への出力信号線を用いて画像信号と認識結果を同時に出力しても良い。
【0116】
或いは、認識部604からECU701への出力信号線を用いて画像信号と認識結果を同時に出力しても良い。或いは、カメラ制御部605を介して通信部607を用いてどちらか一方もしくは両方の情報を出力しても良い。又、本発明は以下の組み合わせを含む。
【0117】
(構成1)光子の受光頻度に応じた頻度でパルスを発するセンサ部と、前記パルスの数をカウントするカウンタと、前記カウンタのカウント値を記憶するメモリと、を夫々備える複数の画素と、蓄積期間の開始時と終了時の前記カウンタのカウント値の差分に基づいて生成された画像信号に対して認識処理を行う認識手段と、前記認識手段により前記認識処理が完了するのに伴って前記認識処理の結果を外部に出力させる制御手段と、を有することを特徴とする光電変換装置。
【0118】
(構成2)前記制御手段は、フルフレーム期間において、第1の蓄積期間と第2の蓄積期間を持ち、前記第1の蓄積期間は前記第2の蓄積期間よりも短く、前記第1の蓄積期間に生成される信号を前記第1の蓄積期間の終了から前記第2の蓄積期間の終了までの間に出力するように制御することを特徴とする構成1に記載の光電変換装置。
【0119】
(構成3)前記制御手段は、前記認識手段により被写体が認識されたか否かに応じて、前記認識処理の結果を外部に出力するか否かを切り替えることを特徴とする構成1又は2に記載の光電変換装置。
【0120】
(構成4)前記認識手段により所定期間の画像信号から被写体が認識された場合に、前記認識処理の結果と共に、前記所定期間の画像信号も外部に出力することを特徴とする構成1~3のいずれか1つに記載の光電変換装置。
【0121】
(構成5)前記センサ部はアバランシェフォトダイオードを含むことを特徴とする構成1~4のいずれか1つに記載の光電変換装置。
【0122】
(構成6)構成1~5のいずれか1つに記載の光電変換装置と、移動体の動作を制御する移動制御手段と、を有することを特徴とする移動体。
【0123】
(構成7)前記移動制御手段は、前記認識手段から出力された認識結果に基づいて移動体の制御を行うことを特徴とする構成6に記載の移動体。
【0124】
(構成8)前記認識手段における前記認識処理の結果を表示するための表示部を有することを特徴とする構成6又は7に記載の移動体。
【0125】
(方法)光子の受光頻度に応じた頻度でパルスを発するセンサ部と、前記パルスの数をカウントするカウンタと、前記カウンタのカウント値を記憶するメモリと、を夫々備える複数の画素と、を有する光電変換装置の制御方法であって、蓄積期間の開始時と終了時の前記カウンタのカウント値の差分に基づいて生成された画像信号に対して認識処理を行う認識ステップと、前記認識ステップにより前記認識処理が完了するのに伴って前記認識処理の結果を外部に出力させる制御ステップと、を有することを特徴とする制御方法。
【0126】
(プログラム)構成1~5のいずれか1つに記載の光電変換装置又は構成6~8のいずれか1つに記載の移動体の各手段をコンピュータにより制御するためのコンピュータプログラム。
【0127】
尚、本実施例における制御の一部又は全部を上述した実施形態の機能を実現するコンピュータプログラムをネットワーク又は各種記憶媒体を介して光電変換装置に供給するようにしても良い。そしてその光電変換装置におけるコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行するようにしても良い。その場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することとなる。
【符号の説明】
【0128】
11:センサ基板
12:画素領域
21:回路基板
22:回路領域
100:光電変換素子
101:画素
102:光電変換部
103:信号処理回路
110:垂直走査回路
111:水平走査回路
112:読み出し回路
113:垂直信号線
114:出力回路
115:制御パルス生成部
201:アバランシェフォトダイオード
202:クエンチ素子
210:波形整形部
211:カウンタ回路
212:メモリ回路
213:駆動線
214:駆動線
600:光電変換装置
601:結像光学系
603:画像処理部
604:認識部
605:カメラ制御部
606:記憶部
607:通信部
700:移動体
701:ECU
702:車両制御部
703:表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光子の受光頻度に応じた頻度でパルスを発するセンサ部と、
前記パルスの数をカウントするカウンタと、
前記カウンタのカウント値を記憶するメモリと、を夫々備える複数の画素と、
蓄積期間の開始時と終了時の前記カウンタのカウント値の差分に基づいて信号を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された信号を出力する出力手段と、
前記生成手段によって生成された信号に対して認識処理を行う認識手段と、
記認識処理の認識結果を出力する出力手段と、を有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記カウンタは、第1の蓄積期間と前記第1の蓄積期間より長い第2の蓄積期間とを含むフルフレーム期間ごとに前記カウンタはカウント値をリセットし、
前記出力手段は、前記第1の蓄積期間に生成される信号を前記第1の蓄積期間の終了から前記第2の蓄積期間の終了までの間に出力す
とを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記出力手段は、前記認識手段により被写体が認識された場合に前記認識処理の結果を出力することを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記出力手段は、前記認識手段により前記生成手段によって生成された信号から被写体が認識された場合に、前記認識処理の結果と、前記生成手段によって生成された信号とを出力することを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記センサ部はアバランシェフォトダイオードを含むことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
移動体の動作を制御する移動制御手段と、を有することを特徴とする移動体。
【請求項7】
前記移動制御手段は、前記認識手段から出力された認識結果に基づいて移動体の制御を行うことを特徴とする請求項6に記載の移動体。
【請求項8】
前記認識手段における前記認識処理の結果を表示するための表示手段をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の移動体。
【請求項9】
光子の受光頻度に応じた頻度でパルスを発するセンサ部と、
前記パルスの数をカウントするカウンタと、
前記カウンタのカウント値を記憶するメモリと、を夫々備える複数の画素と、を有する光電変換装置の制御方法であって、
蓄積期間の開始時と終了時の前記カウンタのカウント値の差分に基づいて信号を生成する工程と、
生成された信号を出力する工程と、
生成された信号に対して認識処理を行う工程と、
前記認識処理の認識結果を出力する工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか1項に記載の光電変換装置又は請求項6~8のいずれか1項に記載の移動体の各手段をコンピュータにより制御するためのコンピュータプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の1側面の光電変換装置は、
光子の受光頻度に応じた頻度でパルスを発するセンサ部と、
前記パルスの数をカウントするカウンタと、
前記カウンタのカウント値を記憶するメモリと、を夫々備える複数の画素と、
蓄積期間の開始時と終了時の前記カウンタのカウント値の差分に基づいて信号を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された信号を出力する出力手段と、
前記生成手段によって生成された信号に対して認識処理を行う認識手段と、
記認識処理の認識結果を出力する出力手段と、を有することを特徴とする。