(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171647
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】無線給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/20 20160101AFI20241205BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241205BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H02J50/20
H02J7/00 301D
H02J3/38 130
H02J3/38 160
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088772
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】田上 直紀
(72)【発明者】
【氏名】亀田 圭以
(72)【発明者】
【氏名】石森 淳允
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5G503AA04
5G503AA06
5G503AA07
5G503AA08
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA07
5G503EA05
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】設置場所の自由度が高い無線給電システムを提供する。
【解決手段】無線給電システム1は、発光部160と、無線給電用のマイクロ波帯の電波を放射する無線給電部170と、環境エネルギーを電力に変換するエネルギー変換部110と、エネルギー変換部110によって変換された電力に基づいて発光部160を制御する第1制御部140と、エネルギー変換部110によって変換された電力に基づいて無線給電部170を制御する第2制御部150と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と、
無線給電用のマイクロ波帯の電波を放射する無線給電部と、
環境エネルギーを電力に変換するエネルギー変換部と、
前記エネルギー変換部によって変換された電力に基づいて前記発光部を制御する第1制御部と、
前記エネルギー変換部によって変換された電力に基づいて前記無線給電部を制御する第2制御部と、を備える、
無線給電システム。
【請求項2】
前記環境エネルギーは、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気熱及びバイオマスの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の無線給電システム。
【請求項3】
前記第1制御部及び前記第2制御部は、前記発光部及び前記無線給電部を独立して制御可能である、
請求項1に記載の無線給電システム。
【請求項4】
さらに、
交流電力を受電する受電部と、
前記交流電力を直流電力に変換する電力変換部と、を備え、
前記第1制御部は、前記電力変換部によって変換された直流電力に基づいて前記発光部を制御し、
前記第2制御部は、前記電力変換部によって変換された直流電力に基づいて前記無線給電部を制御する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の無線給電システム。
【請求項5】
前記エネルギー変換部によって生成された電力を貯めるための蓄電池と、
前記蓄電池の充放電を制御する蓄電制御部と、を備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の無線給電システム。
【請求項6】
前記蓄電制御部は、前記蓄電池の残量を検出し、
前記第1制御部及び前記第2制御部は、前記残量が閾値を下回った場合に、前記発光部及び前記無線給電部の一方の動作を停止する、
請求項5に記載の無線給電システム。
【請求項7】
さらに、前記蓄電池の状態を表示する表示部を備える、
請求項5に記載の無線給電システム。
【請求項8】
前記第1制御部及び前記第2制御部は、所定の条件を満たした場合に、前記発光部及び前記無線給電部の一方の動作を停止する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の無線給電システム。
【請求項9】
振動を検知する検知部を備え、
前記所定の条件は、前記検知部によって振動が検知されたことである、
請求項8に記載の無線給電システム。
【請求項10】
災害情報を取得する通信部を備え、
前記所定の条件は、前記通信部によって前記災害情報が取得されたことである、
請求項8に記載の無線給電システム。
【請求項11】
人からの操作を受け付ける操作部を備え、
前記所定の条件は、前記操作部によって所定の操作を受け付けたことである、
請求項8に記載の無線給電システム。
【請求項12】
前記第1制御部は、前記エネルギー変換部によって変換された電力に基づいて、前記発光部に供給するための直流電力を生成し、
前記第2制御部は、前記第1制御部によって生成された直流電力を用いて、前記無線給電部に供給する電力を生成する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の無線給電システム。
【請求項13】
さらに、前記無線給電部の動作状態を表示する表示部を備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の無線給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マイクロ波を無線送信する送電器を備えるLED(Light Emitting Diode)灯が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、設置場所の自由度が高い無線給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る無線給電システムは、発光部と、無線給電用のマイクロ波帯の電波を放射する無線給電部と、環境エネルギーを電力に変換するエネルギー変換部と、前記エネルギー変換部によって変換された電力に基づいて前記発光部を制御する第1制御部と、前記エネルギー変換部によって変換された電力に基づいて前記無線給電部を制御する第2制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、設置場所の自由度が高い無線給電システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る無線給電システムの適用例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る無線給電システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る無線給電システムの適用の別の例を概略的に示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る無線給電システムの動作の第1例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る無線給電システムの動作の第2例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る無線給電システムの動作の第3例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る無線給電システムの動作の第4例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る無線給電システムの動作の第5例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る無線給電システムの動作の第6例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施の形態の変形例に係る無線給電システムの構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、実施の形態の変形例に係る無線給電システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、本発明の実施の形態に係る無線給電システムについて、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0009】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0010】
また、本明細書において、「第1」、「第2」などの序数詞は、特に断りの無い限り、構成要素の数又は順序を意味するものではなく、同種の構成要素の混同を避け、区別する目的で用いられている。
【0011】
(実施の形態)
[無線給電システム]
まず、実施の形態に係る無線給電システムについて、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る無線給電システム1の適用例を概略的に示す図である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、無線給電システム1は、照明装置100と、電気機器200と、を備える。なお、電気機器200は、必須の構成ではない。
【0013】
照明装置100は、空間を照明する照明機能だけでなく、他の機器(具体的には、電気機器200)に対して電力を無線で供給する無線給電機能を有する装置(無線給電照明システム)である。照明装置100は、無線給電用のマイクロ波帯の電波を放射する。
【0014】
照明装置100は、例えば、屋外で使用される道路灯又は街灯である。
図1に示すように、照明装置100の発光部160(照明部)は、支柱102の上部に取り付けられている。このように、一般的には、発光部160は、照明光を遮る障害物の少ない上方の空間に配置されることが多い。このため、無線給電用の電波を放射するアンテナを含む無線給電部170を発光部160と一体化させ、又は、発光部160の近傍に配置した場合、無線給電部170から放射される無線給電用の電波は、広範囲に、又は、遠い距離に届かせやすくなるという利点がある。
【0015】
電気機器200は、無線で供給される電力を受ける機器である。電気機器200は、無線で受けた電力を用いて動作する。電気機器200は、例えば、スマートフォンであるが、これに限定されない。電気機器200は、生体情報、環境情報若しくは機器情報を検出するセンサデバイス、ワイヤレスイヤホン、ゲームコントローラなどの情報機器、タブレットPCなどの携帯端末、又は、家電などであってもよい。また、電気機器200は、例えば、無線で供給される電力を受けるPC外付けデバイスなどであってもよい。また、電気機器200は、搬送ロボット、移動ロボット、車などの移動体に組み込まれていてもよい。
【0016】
[照明装置]
続いて、本実施の形態に係る照明装置100の具体的な構成について、
図1を適宜参照しながら、
図2を用いて説明する。
図2は、本実施の形態に係る無線給電システム1の構成を示すブロック図である。
【0017】
図2に示すように、照明装置100は、エネルギー変換部110と、蓄電制御部120と、蓄電池130と、第1制御部140と、第2制御部150と、発光部160と、無線給電部170と、トリガ生成部180と、表示部190及び192と、を備える。なお、
図2では、主な電力の流れを実線の矢印で表し、主な制御信号の流れを破線の矢印で表している。
【0018】
エネルギー変換部110は、環境エネルギーを電力に変換する。環境エネルギーは、照明装置100の周囲環境に存在するエネルギーである。エネルギー変換部110は、いわゆるエネルギーハーベスティング技術に基づいて、周囲環境のエネルギーを収集し、収集したエネルギーを電力に変換する。
【0019】
例えば、環境エネルギーは、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気熱及びバイオマスの少なくとも1つを含む。これらの環境エネルギーは、再生可能エネルギー又は自然エネルギーとも呼ばれる。本実施の形態では、
図1に示すように、エネルギー変換部110は、太陽光を電力に変換する太陽電池111で実現される。あるいは、
図3に示すように、エネルギー変換部110は、太陽電池111と、風力を電力に変換する風力発電機112とで実現されてもよい。つまり、エネルギー変換部110は、互いに異なる複数のエネルギーを電力に変換してもよい。なお、
図3は、本実施の形態に係る無線給電システム1の適用の別の例を概略的に示す図である。
【0020】
また、環境エネルギーは、エネルギーハーベスティングで収集可能な機械エネルギー、熱エネルギー、電磁波エネルギー及びその他のエネルギーの少なくとも1つを含んでもよい。
【0021】
機械エネルギーは、具体的には、振動エネルギーである。振動エネルギーは、例えば、走行車両による道路若しくは壁、又は、歩く人や動物等による床面等の構造物の振動がエネルギー源として利用される。あるいは、振動エネルギーのエネルギー源は、走行又は回転等の所定の運動を行う車両又は機械の振動であってもよい。また、振動エネルギーのエネルギー源は、動作中の車両若しくは機械又は人等が発する音の音波による振動であってもよい。また、振動エネルギーのエネルギー源は、歩行等の運動時の人の体(足、腕等)の振動、又は、キーボードのタイピング振動であってもよい。
【0022】
また、熱エネルギーのエネルギー源は、例えば、体温又は環境温度差である。また、電磁波エネルギーのエネルギー源は、例えば、携帯電話又は基地局から送信される電波である。また、その他のエネルギーとして、動物の尿、又は、浸透圧等がエネルギー源として利用可能である。
【0023】
蓄電制御部120は、蓄電池130の充放電を制御する。具体的には、蓄電制御部120は、エネルギー変換部110によって生成された電力を用いて蓄電池130を充電する。すなわち、蓄電制御部120は、エネルギー変換部110によって生成された電力を蓄電池130に貯める。また、蓄電制御部120は、蓄電池130を放電させて、第1制御部140及び/又は第2制御部150に対して、蓄電池130に貯められた電力を出力する。
【0024】
また、蓄電制御部120は、蓄電池130の残量を検出する。残量は、蓄電池130に貯められている電力量である。残量は、蓄電池130に蓄電可能な電力量を100%としたときの割合で表されてもよい。蓄電制御部120は、蓄電池130の残量に応じて蓄電池130の充放電を制御する。また、蓄電制御部120は、トリガ生成部180から送信されるトリガ信号に基づいて蓄電池130の充放電を制御してもよい。
【0025】
蓄電制御部120は、例えば、DC/DCコンバータ及び/又は分配器等を含む電力伝送回路と、電力伝送回路を制御する集積回路(IC)等で実現される。電力伝送回路は、ダイオード、抵抗、トランジスタ、キャパシタ及びインダクタ等の複数の回路素子によって実現される。集積回路は、例えば汎用IC又はマイクロコントローラ等である。マイクロコントローラは、例えば、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサなどを含んでいる。
【0026】
蓄電池130は、エネルギー変換部110によって生成された電力を貯めることができる。蓄電池130は、充放電可能な二次電池であるが、キャパシタであってもよい。
【0027】
第1制御部140は、エネルギー変換部110によって変換された電力に基づいて発光部160を制御する。具体的には、第1制御部140は、蓄電制御部120を介して蓄電池130から供給される電力を変換することによって所定の直流電力を生成し、生成した直流電力を発光部160に供給する。例えば、第1制御部140は、発光部160に対して定電流を供給する。
【0028】
第1制御部140は、DC/DCコンバータと、DC/DCコンバータを制御する制御回路と、を含む。DC/DCコンバータは、昇圧回路及び/又は降圧回路を含む。また、制御回路は、汎用IC及び/又はマイクロコントローラ等で実現される。
【0029】
第2制御部150は、エネルギー変換部110によって変換された電力に基づいて無線給電部170を制御する。具体的には、第2制御部150は、蓄電制御部120を介して蓄電池130から供給される電力を変換することによって所定の直流電力を生成し、生成した直流電力を無線給電部170に供給する。
【0030】
第2制御部150は、DC/DCコンバータ(レギュレータ)と、DC/DCコンバータを制御する制御回路と、を含む。DC/DCコンバータは、昇圧回路及び/又は降圧回路を含む。また、制御回路は、汎用IC及び/又はマイクロコントローラ等で実現される。
【0031】
なお、第2制御部150は、第1制御部140によって生成された直流電力を用いて、無線給電部170に供給する直流電力を生成してもよい。例えば、第2制御部150は、蓄電池130から供給される電力と、第1制御部140から供給される電力とのいずれかを選択し、選択した電力を用いて、無線給電部170に供給する電力を生成する。
【0032】
また、第1制御部140から第2制御部150に供給される電力は、第1制御部140から発光部160に供給される電力とは異なる電力であってもよい。例えば、第1制御部140は、蓄電池130から供給される電力を用いて中間電力を生成し、生成した中間電力を、発光部160に供給する直流電力に変換してもよい。この場合に、第1制御部140は、中間電力を第2制御部150に供給してもよい。中間電力の生成は、第1制御部140の昇圧回路によって行われる。これにより、発光部160を発光させない場合においても、無線給電を行うために昇圧回路を動作させることができる。
【0033】
昇圧回路は、動作していない場合においても、負荷に電流が流れるため消費電力の増大(蓄電池130の残量低下)につながる。このため、第1制御部140の昇圧回路を無線給電用に動作させて昇圧回路が動作しない期間を短くすることにより、消費電力の増大を低減することができる。
【0034】
本実施の形態では、第1制御部140及び第2制御部150は、発光部160及び無線給電部170を独立して制御可能である。すなわち、発光部160が動作中で照明光を出射している期間(点灯期間)中に、無線給電部170を動作させて電波を放射させること、及び、無線給電部170を停止させて電波の放射を終了することのいずれも可能である。発光部160が停止中で照明光を出射していない期間(消灯期間)中に、無線給電部170を動作させて電波を放射させること、及び、無線給電部170を停止させて電波の放射を終了することのいずれも可能である。また、逆に、無線給電部170からの電波が放射されている期間(給電期間)中に、発光部160を動作させて照明光を出射させること、及び、発光部160を停止させて照明光の出射を終了することのいずれも可能である。また、無線給電部170からの電波が放射されていない期間(非給電期間)中に、発光部160を動作させて照明光を出射させること、及び、発光部160を停止させて照明光の出射を終了することのいずれも可能である。このように、発光部160及び無線給電部170は、互いの動作状態に依存せずに制御が可能である。
【0035】
例えば、第1制御部140は、スケジュール情報に基づいて発光部160を制御する。具体的には、第1制御部140は、スケジュール情報を記憶する記憶部と、現在時刻を取得する時刻取得部と、を有する。時刻取得部は、クロック発振器及びカウンタ等で構成されるが、外部のサーバ装置と通信する通信インタフェースであってもよい。
【0036】
スケジュール情報は、照明開始時刻及び照明終了時刻を含む。照明開始時刻は、例えば夕方6時等の日の入り前後の時刻であり、周囲が暗くなって照明が求められる時刻である。照明終了時刻は、例えば朝6時等の日の出前後の時刻であり、周囲が明るくなって照明が不要となる時刻である。これにより、第1制御部140は、夜間を中心に発光部160から照明光を出射させ、昼間は照明光の出射を停止させることができる。
【0037】
また、第2制御部150は、例えば、無線給電が常時行われるように、無線給電部170を制御する。第2制御部150は、照明光が出射されているか否かによらず、無線給電部170から無線給電用の電波を放射させる。これにより、電気機器200はいつでも電波を受けて充電が可能になる。
【0038】
また、第1制御部140及び第2制御部150は、所定の条件を満たした場合に、発光部160及び無線給電部170の一方の動作を停止してもよい。所定の条件は、蓄電池130の残量が閾値を下回ったこと、及び/又は、トリガ生成部180がトリガ信号を生成する要因となる事象が生じたこと等である。具体的な事象については、後で説明する。
【0039】
発光部160は、第1制御部140から供給される直流電力に基づいて照明光を発する。例えば、発光部160は、複数の発光素子を含む。複数の発光素子は、直流電力で発光する素子であり、例えばLED素子である。LED素子は、例えば青色光を発するLEDチップと、LEDチップが発する青色光によって励起された黄色光を放出する黄色蛍光体とを含む。LEDチップが発する青色光と黄色蛍光体が放出する黄色光との混合光である白色光が照明光として出射される。なお、発光素子は、レーザ発光素子であってもよく、有機EL(Electroluminescence)素子であってもよい。
【0040】
また、複数の発光素子は、互いに同じ色温度の白色光を発するが、異なる色温度の白色光を発する発光素子を含んでもよい。異なる色温度の白色光を発する複数の発光素子の各々の発光強度を調整することによって、照明光の光色の調整(すなわち、調色)が可能になる。なお、複数の発光素子はそれぞれ、RGBに対応した発光素子であってもよい。発光部160は、調光及び調色の機能を有しなくてもよい。
【0041】
無線給電部170は、第2制御部150から供給される電力を用いて、無線給電用のマイクロ波帯の電波を放射する。無線給電部170は、1つ以上のアンテナを含む。
【0042】
アンテナは、例えば、指向性を有するアンテナである。すなわち、アンテナは、無線給電用の電波が放射されやすい方向と放射されにくい方向とを有している。このため、アンテナの位置及び向きを調整することによって、無線給電用の電波の最大放射方向及び放射範囲を調整することができる。なお、アンテナは、無指向アンテナであってもよい。1本のアンテナからの給電可能な範囲(電波が十分な強度で到達できる範囲)は、例えば、アンテナを基準として3m以内の範囲であるが、これに限定されない。
【0043】
無線給電部170は、例えば、マイクロ波帯(300MHz以上300GHz以下の範囲)のうち、920MHz帯に含まれる周波数の電波を放射する。あるいは、無線給電部170は、例えば、2.4GHz帯及び5.7GHz帯に含まれる周波数の電波を放射してもよい。なお、周波数帯は、日本国内においては空間伝送型ワイヤレス電力伝送の技術基準として、無線設備規則第24条、第49条の9、別表第1号及び別表第3号等で規定されている。
【0044】
920MHz帯(具体的には、917.8MHz以上919.4MHz以下の範囲)は、電波の放射源から所定範囲内に人が居ても使用可能な周波数帯である。2.4GHz帯(具体的には、2410MHz以上2486MHz以下の範囲)は、電波の放射源から所定範囲内に人が居る場合には使用が禁止されている周波数帯である。5.7GHz帯(具体的には、5738MHz以上5766MHz以下の範囲)も同様に、電波の放射源から所定範囲内に人が居る場合には使用が禁止されている周波数帯である。2.4GHz帯及び5.7GHz帯は、ハイパワーな無線給電が可能であるので、急速充電に有用である。
【0045】
本実施の形態では、
図1に示すように、無線給電部170は、発光部160と一体的に構成されている。具体的には、発光部160を収容する筐体に、無線給電部170が保持されている。無線給電部170は、筐体内部に配置されていてもよく、筐体の外部に取り付けられていてもよい。例えば、無線給電部170が有するアンテナは、筐体の外部に設けられていてもよい。
【0046】
トリガ生成部180は、所定の条件を満たした場合に、トリガ信号を生成する。トリガ生成部180は、生成したトリガ信号を蓄電制御部120、第1制御部140及び第2制御部150の少なくとも1つに出力する。トリガ信号は、発光部160の点灯及び消灯、無線給電部170からの電波の放射の開始及び停止等の所定の処理を実行させるための信号である。
【0047】
トリガ生成部180は、操作部182と、通信部184と、検知部186と、を含む。発光部160及び無線給電部170の一方の動作を停止する所定の条件の1つは、操作部182によって所定の操作を受け付けたことである。また、所定の条件の1つは、通信部184によって災害情報が取得されたことである。また、所定の条件の1つは、検知部186によって振動が検知されたことである。なお、所定の条件は、これらには限定されず、検知部186によって検知される明るさが閾値を下回ったこと、及び、検知部186によって人が検知されたことなどを含んでもよい。
【0048】
操作部182は、人からの操作を受け付ける。操作部182は、例えば、人が操作可能な物理的なボタン若しくはスイッチ、又は、タッチパネル等である。
図1には示していないが、操作部182は、支柱102の下部等の人が操作可能な部分に設けられている。なお、操作部182は、権限を有する人のみが操作可能になるように、鍵付きの筐体等に収納されていてもよい。操作部182は、人から所定の操作を受け付けた場合に、トリガ信号を蓄電制御部120、第1制御部140及び第2制御部150の少なくとも1つに送信する。これにより、人が希望するタイミングで、点灯及び消灯、無線給電の開始及び停止等を行うことができる。
【0049】
通信部184は、外部のサーバ機器と有線又は無線で通信を行う。通信部184は、例えば、災害情報を取得する。災害情報は、瞬時警報システムによって配信される情報であり、緊急地震速報、津波警報等を含む。通信部184は、災害情報を取得した場合に、トリガ信号を蓄電制御部120、第1制御部140及び第2制御部150の少なくとも1つに送信する。これにより、地震等の災害が発生した場合に、自動的に点灯及び消灯、無線給電の開始及び停止等を行うことができる。
【0050】
検知部186は、振動を検知する。具体的には、検知部186は、地震又は暴風による揺れを検知した場合に、トリガ信号を蓄電制御部120、第1制御部140及び第2制御部150の少なくとも1つに送信する。これにより、地震等の災害が発生した場合に、自動的に点灯及び消灯、無線給電の開始及び停止等を行うことができる。
【0051】
なお、検知部186は、周囲の明るさを検知してもよい。あるいは、検知部186は、人又は電気機器200を検知してもよい。検知部186は、振動センサ、明るさセンサ、人感センサ又はイメージセンサ等の各種センサで実現される。
【0052】
表示部190は、蓄電池130の状態を表示する。表示部190が表示可能な蓄電池130の状態には、蓄電池130が充電中であるのか放電中であるのかを示す動作状態、及び、蓄電池130の残量等が含まれる。例えば、表示部190は、1以上のLED素子で構成される。表示部190は、LED素子の発光色、点灯時間(連続点灯、間欠点灯(点滅))等によって、蓄電池130の状態を表示する。あるいは、表示部190は、残量を示すインジケータであってもよい。あるいは、表示部190は、テキスト又は画像等を表示可能であってもよい。
【0053】
本実施の形態では、表示部190は、
図1に示すように、蓄電池130に固定されているが、これに限定されない。表示部190は、支柱102に取り付けられていてもよく、発光部160又はエネルギー変換部110に取り付けられていてもよい。
【0054】
表示部192は、無線給電部170の動作状態を表示する。表示部192が表示可能な無線給電部170の動作状態には、無線給電部170から電波が放射中であるか否か、すなわち、無線給電を実行中であるか否かが含まれる。例えば、表示部192は、1以上のLED素子で構成される。表示部192は、LED素子の発光色、点灯時間(連続点灯、間欠点灯(点滅))等によって、無線給電部170の動作状態を表示する。あるいは、表示部192は、テキスト又は画像等を表示可能であってもよい。
【0055】
本実施の形態では、表示部192は、
図1に示すように、発光部160に固定されているが、これに限定されない。表示部192は、支柱102に取り付けられていてもよく、蓄電池130又はエネルギー変換部110に取り付けられていてもよい。
【0056】
なお、照明装置100の構成は、
図1及び
図2に示した例には限定されない。例えば、照明装置100は、蓄電制御部120、蓄電池130、トリガ生成部180、並びに、表示部190及び192を備えていなくてもよい。
【0057】
また、照明装置100は、
図1に示したような道路灯又は街灯には限定されない。照明装置100は、トンネル灯であってもよく、部屋の天井又は壁等の所定の設置面に設置される室内灯であってもよい。例えば、照明装置100は、シーリングライト、電球型ランプ、ハロゲンランプ、高輝度放電灯(HIDランプ)、GX53形の口金(導電ピン)を有するランプ、直管ランプ、スポットライト、ベースライト(ライトバー)又はダウンライトなどであってもよい。
【0058】
[電気機器]
続いて、本実施の形態に係る電気機器200の具体的な構成について、
図2を用いて説明する。
【0059】
図2に示すように、電気機器200は、受電アンテナ210と、充電回路220と、充電池230と、を備える。
【0060】
受電アンテナ210は、無線給電部170から放射される無線給電用の電波を受ける。受電アンテナ210は、例えば、基板に設けられた配線を有するパターンアンテナである。あるいは、受電アンテナ210はそれぞれ、棒状アンテナであってもよい。無線給電用の電波を受電できれば、受電アンテナ210の種類は特に限定されない。
【0061】
充電回路220は、受電アンテナ210で受けた電波を用いて充電池230を充電する。具体的には、充電回路220は、1つ以上の基板(図示せず)と、当該基板に実装された複数の回路素子(図示せず)と、を含む。基板は、例えばプリント配線基板であり、複数の回路素子を電気的に接続する配線を含む。複数の回路素子は、集積回路(IC)素子、抵抗、ダイオード、トランジスタ、トランス、インダクタ、コンデンサなどの少なくとも1つを含む。複数の回路素子が電気的に接続されることによって、充電回路220を構成している。
【0062】
充電池230は、充放電可能な二次電池である。充電池230は、充電回路220によって充電される。なお、充電池230は、電気機器200に対して着脱自在であってもよい。
【0063】
電気機器200は、充電池230に充電された電力を用いて動作する。
図2には示していないが、電気機器200は、その機能を発揮するための構成要素を備える。例えば、電気機器200がスマートフォンの場合、電気機器200は、ディスプレイ、タッチセンサ、スピーカ、マイクロフォン、カメラ、プロセッサ、メモリ、通信インタフェースなどを備える。電気機器200は、充電池230に充電された電力を用いて、これらの各種構成要素を動作させることによって、所定の機能を実行する。
【0064】
[動作]
続いて、本実施の形態に係る無線給電システム1の動作の複数の例について説明する。
【0065】
[第1例]
まず、動作の第1例について、
図4を用いて説明する。
図4は、本実施の形態に係る無線給電システム1の動作の第1例を示すフローチャートである。第1例は、無線給電を常時行いつつ、予め定められたスケジュールに沿って照明を行う例である。
【0066】
図4に示すように、まず、照明装置100は、無線給電用の電波の放射を開始する(S10)。なお、電波の放射の開始は、例えば、エネルギー変換部110によって生成された電力が蓄電池130に蓄電され、蓄電池130の残量が閾値を上回ったタイミングで行われる。あるいは、電波の放射の開始は、操作部182が操作を受け付けたタイミングで行われてもよい。
【0067】
具体的には、蓄電制御部120は、蓄電池130に貯められた電力を第2制御部150(又は第1制御部140)に出力する。第2制御部150は、蓄電池130から供給される電力又は第1制御部140が生成した電力に基づいて、無線給電用の電力を生成して無線給電部170に出力する。無線給電部170は、第2制御部150から供給される電力を用いて、アンテナから電波を放射させる。
【0068】
その後、現在時刻が予め定められた照明開始時刻に達するまで待機する(S12でNo)。待機期間中は、電波の放射が継続される。
【0069】
現在時刻が照明開始時刻に達した場合(S12でYes)、照明装置100は、照明を開始する(S14)。具体的には、蓄電制御部120は、蓄電池130に貯められた電力を第1制御部140に出力する。第1制御部140は、蓄電池130から供給される電力に基づいて、照明用の電力を生成して発光部160に出力する。発光部160は、第1制御部140から供給される電力を用いて照明光を出射する。
【0070】
その後、現在時刻が予め定められた照明終了時刻に達するまで待機する(S16でNo)。待機期間中は、電波の放射及び照明光の出射が継続される。
【0071】
現在時刻が照明終了時刻に達した場合(S16でYes)、照明装置100は、照明を終了する(S18)。具体的には、蓄電制御部120は、第1制御部140への電力供給を停止する。あるいは、第1制御部140は、発光部160への電力供給を停止する。
【0072】
以降、ステップS12に戻り、現在時刻が予め定められた照明開始時刻に達するまで待機する(S12でNo)。
【0073】
以上のように、第1例では、無線給電システム1では、無線給電用の電波が常時放射されつつ、予め定められたスケジュールに沿って照明を行うことができる。
【0074】
なお、照明開始時刻及び照明終了時刻は、日又は季節に応じて異なっていてもよい。あるいは、第1制御部140は、スケジュール情報の代わりに、周囲の明るさ情報に基づいて、照明の開始及び終了を制御してもよい。例えば、照明装置100は、周囲の明るさを検出するセンサを備える。センサは、発光部160からの照明光の影響を受けないように設けられる。例えば日没後のように周囲が暗い場合には、照明光が出射され、日の出後のように周囲が明るい場合には、照明光の出射が停止されるようにすることができる。これにより、周囲が明るいにも関わらず照明が行われることを回避することができ、エネルギー効率を高めながら、必要な場合に周囲を明るく照明することができる。
【0075】
また、無線給電の開始及び終了がスケジュールに沿って制御されてもよい。例えば、無線給電システム1は、人通りが多い昼間のみに無線給電を行い、夜間には無線給電を停止してもよい。
【0076】
[第2例]
次に、動作の第2例について、
図5を用いて説明する。
図5は、本実施の形態に係る無線給電システム1の動作の第2例を示すフローチャートである。第2例は、無線給電を常時行いつつ、蓄電池130の残量に応じて照明を制御する例である。以下の説明では、第1例との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0077】
図5に示すように、照明を開始するまでの処理(S10~S14)は、第1例と同じである。照明を開始した後、蓄電制御部120は、蓄電池130の残量と閾値との判定を行う(S15)。閾値は、予め定められた値であり、例えば残量の20%等であるが、特に限定されない。蓄電池130の残量が閾値以上である場合(S15でNo)、現在時刻が照明終了時刻に達するまで(S16でNo)、蓄電制御部120は、蓄電池130の残量と閾値との判定(S15)を繰り返し行う。この間、電波の放射及び照明光の出射が継続される。
【0078】
蓄電池130の残量が閾値未満である場合(S15でYes)、照明装置100は、照明を終了する(S18)。具体的には、蓄電制御部120は、第1制御部140への電力供給を停止する。あるいは、第1制御部140は、発光部160への電力供給を停止する。
【0079】
以降、ステップS12に戻り、現在時刻が予め定められた照明開始時刻に達するまで待機する(S12でNo)。
【0080】
このように、第2例では、蓄電池130の残量が閾値未満になった場合に、照明が停止される。これにより、無線給電を行うための電力を確保することができ、安定した無線給電を実現することができる。
【0081】
なお、蓄電池130の残量が閾値未満になった場合に、無線給電システム1は、無線給電を停止してもよい。これにより、照明用の電力を確保することができ、安定した照明を行うことができる。
【0082】
[第3例]
次に、動作の第3例について、
図6を用いて説明する。
図6は、本実施の形態に係る無線給電システム1の動作の第3例を示すフローチャートである。第3例は、無線給電を常時行いつつ、人からの操作に基づいて照明を制御する例である。以下の説明では、第1例との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0083】
図6に示すように、照明を開始するまでの処理(S10~S14)は、第1例と同じである。照明を開始した後、操作部182が照明のオフ操作を受け付けることなく(S15aでNo)、現在時刻が照明終了時刻に達するまで(S16でNo)、待機する。待機期間中は、電波の放射及び照明光の出射が継続される。
【0084】
操作部182が照明のオフ操作を受け付けた場合(S15aでYes)、照明装置100は、照明を終了する(S18)。具体的には、操作部182は、オフ操作を受け付けた場合に、トリガ信号を蓄電制御部120又は第1制御部140へ出力する。蓄電制御部120は、トリガ信号を受けて第1制御部140への電力供給を停止する。あるいは、第1制御部140は、トリガ信号を受けて発光部160への電力供給を停止する。
【0085】
以降、ステップS12に戻り、現在時刻が予め定められた照明開始時刻に達するまで待機する(S12でNo)。
【0086】
このように、第3例では、操作部182に対する操作に基づいて、照明が終了される。人の要望に応じた制御が可能になるので、ユーザ利便性を高めることができる。人が照明を不要であると判断した場合には照明を終了することができるので、消費電力の低減に貢献することができる。
【0087】
なお、
図6では、照明を終了する操作を操作部182が受け付ける例を示したが、照明を開始するオン操作を操作部182が受け付けてもよい。スケジュールによらずに、人の要望に応じて照明を開始させることができるので、ユーザ利便性を更に高めることができる。
【0088】
また、操作部182は、無線給電のオン及び/又はオフの操作を受け付けてもよい。例えば、人が無線給電を求める期間のみ無線給電を行うことも可能になるので、効率良く無線給電を行うことができる。
【0089】
[第4例]
次に、動作の第4例について、
図7を用いて説明する。
図7は、本実施の形態に係る無線給電システム1の動作の第4例を示すフローチャートである。第4例は、無線給電を常時行いつつ、地震のような災害が発生した場合に照明を制御する例である。以下の説明では、第1例との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0090】
図7に示すように、照明を開始するまでの処理(S10~S14)は、第1例と同じである。照明を開始した後、検知部186が振動を検知せず、かつ、通信部184が災害情報を取得することなく(S15bでNo)、現在時刻が照明終了時刻に達するまで(S16でNo)、待機する。待機期間中は、電波の放射及び照明光の出射が継続される。
【0091】
検知部186が振動を検知した場合、又は、通信部184が災害情報を取得した場合(S15bでYes)、照明装置100は、照明を終了する(S18)。具体的には、検知部186は、振動を検知した場合に、トリガ信号を蓄電制御部120又は第1制御部140へ出力する。また、通信部184は、災害情報を取得した場合に、トリガ信号を蓄電制御部120又は第1制御部140へ出力する。蓄電制御部120は、トリガ信号を受けて第1制御部140への電力供給を停止する。あるいは、第1制御部140は、トリガ信号を受けて発光部160への電力供給を停止する。
【0092】
以降、ステップS12に戻り、現在時刻が予め定められた照明開始時刻に達するまで待機する(S12でNo)。
【0093】
このように、第4例では、災害が発生した場合に、照明が終了される。災害発生のような緊急時には照明を終了することで、消費電力を抑制し、蓄電池130に貯められた電力を有効に利用することができる。
【0094】
例えば、照明装置100は、蓄電池130に貯められた電力を外部機器に有線で供給する給電端子を備えてもよい。給電端子は、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子、又は、プラグ差し込み口等である。災害発生等の緊急時に蓄電池130に貯められた電力を様々な目的に有効に利用することが可能になる。
【0095】
[第5例]
次に、動作の第5例について、
図8を用いて説明する。
図8は、本実施の形態に係る無線給電システム1の動作の第5例を示すフローチャートである。第5例は、無線給電を常時行いつつ、地震のような災害が発生した場合に無線給電を停止する例である。以下の説明では、第1例との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0096】
図8に示すように、照明を開始するまでの処理(S10~S14)は、第1例と同じである。照明を開始した後、検知部186が振動を検知せず、かつ、通信部184が災害情報を取得することなく(S15bでNo)、現在時刻が照明終了時刻に達するまで(S16でNo)、待機する。待機期間中は、電波の放射及び照明光の出射が継続される。
【0097】
検知部186が振動を検知した場合、又は、通信部184が災害情報を取得した場合(S15bでYes)、照明装置100は、無線給電用の電波の放射を終了する(S17)。具体的には、検知部186は、振動を検知した場合に、トリガ信号を蓄電制御部120、第1制御部140又は第2制御部150へ出力する。また、通信部184は、災害情報を取得した場合に、トリガ信号を蓄電制御部120、第1制御部140又は第2制御部150へ出力する。蓄電制御部120又は第1制御部140は、トリガ信号を受けて第2制御部150への電力供給を停止する。あるいは、第2制御部150は、トリガ信号を受けて無線給電部170への電力供給を停止する。
【0098】
その後、現在時刻が予め定められた照明終了時刻に達するまで待機する(S16でNo)。待機期間中は、照明光の出射が継続される。
【0099】
現在時刻が照明終了時刻に達した場合(S16でYes)、照明装置100は、照明を終了する(S18)。具体的には、蓄電制御部120は、第1制御部140への電力供給を停止する。あるいは、第1制御部140は、発光部160への電力供給を停止する。
【0100】
以降、ステップS12に戻り、現在時刻が予め定められた照明開始時刻に達するまで待機する(S12でNo)。
【0101】
このように、第5例では、災害が発生した場合に、無線給電が終了される。災害発生のような緊急時には無線給電を終了して照明用の電力を確保することで、照明を維持し、夜間の避難時の明るさの確保等に利用することができる。
【0102】
なお、災害が発生した場合には、照明及び無線給電の両方を終了してもよい。これにより、緊急時に必要な電力を蓄電池130に貯めておくことができる。
【0103】
[第6例]
次に、動作の第6例について、
図9を用いて説明する。
図9は、本実施の形態に係る無線給電システム1の動作の第6例を示すフローチャートである。第6例は、無線給電の開始及び停止を、人の検知結果に基づいて制御する例である。なお、照明の制御は、例えばスケジュール情報に基づいて行うことができる。
【0104】
図9に示すように、まず、照明装置100は、人が検知されるまで待機する(S20でNo)。人が検知された場合(S20でYes)、照明装置100は、無線給電用の電波の放射を開始する(S22)。具体的には、検知部186が人を検知した場合に、トリガ信号を蓄電制御部120に出力する。蓄電制御部120は、トリガ信号を受けて、蓄電池130に貯められた電力を第2制御部150(又は第1制御部140)に出力する。第2制御部150は、蓄電池130から供給される電力又は第1制御部140が生成した電力に基づいて、無線給電用の電力を生成して無線給電部170に出力する。無線給電部170は、第2制御部150から供給される電力を用いて、アンテナから電波を放射させる。
【0105】
その後、人が検知されている限り、電波の放射が継続される(S24でYes)。人が検知されなくなった場合(S24でNo)、照明装置100は、無線給電用の電波の放射を終了する(S26)。具体的には、検知部186は人を検知できなくなった場合に、トリガ信号を蓄電制御部120、第1制御部140又は第2制御部150へ出力する。蓄電制御部120又は第1制御部140は、トリガ信号を受けて第2制御部150への電力供給を停止する。あるいは、第2制御部150は、トリガ信号を受けて無線給電部170への電力供給を停止する。
【0106】
以降、ステップS20に戻り、再び人が検知されるまで待機する(S20でNo)。
【0107】
以上のように、第6例では、無線給電システム1では、人が検知された場合にのみ無線給電を行うことができる。人が所持する電気機器200を対象として効率良く無線給電を行うことができる。
【0108】
なお、無線給電システム1の動作例として、第1例~第6例を説明したが、無線給電システム1の動作は、これらに限定されない。また、第1例~第6例を組み合わせて行うこともできる。
【0109】
[変形例]
続いて、実施の形態の変形例について説明する。
【0110】
本変形例では、無線給電システムが交流電力を受電する受電部を備える点が実施の形態とは主として相違する。以下では、実施の形態との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0111】
図10は、本変形例に係る無線給電システム2の構成を示すブロック図である。
図10に示すように、本変形例に係る無線給電システム2は、実施の形態に係る無線給電システム1と比較して、照明装置100の代わりに照明装置101を備える。照明装置101は、照明装置100と比較して、AC受電部115及びAC/DC変換部125を備える点が相違する。
【0112】
AC受電部115は、交流電力を受電する受電部の一例である。例えば、AC受電部115は、商用電源などの外部電源から交流電力を受電する。交流電力の大きさは、例えば、AC100V等の国又は地域毎に定められた値であり、AC110V、AC220V、AC240V等であるが、特に限定されない。
【0113】
AC/DC変換部125は、AC受電部115が受電した交流電力を直流電力に変換する電力変換部の一例である。AC/DC変換部125は、例えば、ダイオードブリッジ回路等の整流回路で実現される。AC/DC変換部125は、生成した直流電力を第1制御部140及び/又は第2制御部150に出力する。
【0114】
本変形例では、AC/DC変換部125は、蓄電制御部120によって制御される。具体的には、蓄電制御部120は、蓄電池130の残量に基づいて、AC/DC変換部125の動作のオン及びオフを制御する。例えば、蓄電制御部120は、蓄電池130の残量が閾値未満である場合に、AC/DC変換部125を動作させ、残量が閾値以上である場合に、AC/DC変換部125の動作を停止する。
【0115】
この構成により、エネルギー変換部110によって生成される電力が不足している場合であっても、発光部160及び無線給電部170を動作させることができる。このため、安定した無線給電及び照明を実行することができる。
【0116】
図11は、本変形例に係る無線給電システム2の動作を示すフローチャートである。
図11に示す動作例は、無線給電を常時行いつつ、蓄電池130の残量に応じて電源の切り替えを行う例である。以下の説明では、
図5を用いて説明した実施の形態1の第2例との相違点を中心に説明を行い、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0117】
図11に示すように、照明を開始するまでの処理(S10~S14)は、第2例と同じである。照明を開始した後、蓄電制御部120は、蓄電池130の残量と閾値との判定を行う(S15)。閾値は、予め定められた値であり、例えば残量の0%等であるが、特に限定されない。蓄電池130の残量が閾値以上である場合(S15でNo)、現在時刻が照明終了時刻に達するまで(S16でNo)、蓄電制御部120は、蓄電池130の残量と閾値との判定(S15)を繰り返し行う。
【0118】
蓄電池130の残量が閾値未満である場合(S15でYes)、照明装置101は、電源を切り替える(S30)。具体的には、蓄電制御部120は、AC/DC変換部125を動作させる。AC/DC変換部125は、AC受電部115で受電した交流電力を直流電力に変換して第1制御部140及び第2制御部150へ出力する。
【0119】
その後、現在時刻が予め定められた照明終了時刻に達するまで待機する(S16でNo)。待機期間中は、照明光の出射及び電波の放射が継続される。
【0120】
現在時刻が照明終了時刻に達した場合(S16でYes)、照明装置101は、照明を終了する(S18)。具体的には、蓄電制御部120は、第1制御部140への電力供給を停止する。あるいは、第1制御部140は、発光部160への電力供給を停止する。
【0121】
以降、ステップS12に戻り、現在時刻が予め定められた照明開始時刻に達するまで待機する(S12でNo)。
【0122】
このように、本変形例では、蓄電池130の残量が閾値未満になった場合に、蓄電池130に貯められた電力の代わりに、AC受電部115が受電した電力を利用することができる。これにより、無線給電及び照明を行うための電力を確保することができ、安定した無線給電及び照明を実現することができる。
【0123】
なお、AC/DC変換部125を動作させた後は、蓄電制御部120は、蓄電池130の残量に基づいて、AC/DC変換部125の動作を停止させてもよい。例えば、蓄電制御部120は、蓄電池130の残量が閾値(ステップS15の閾値以上の値)より大きくなった場合に、AC/DC変換部125の動作を停止し、蓄電池130に貯められた電力を第1制御部140及び第2制御部150に出力してもよい。
【0124】
[まとめ]
以上のように、本発明の第1態様に係る無線給電システムは、例えば、上述した無線給電システム1又は2のように、発光部160と、無線給電用のマイクロ波帯の電波を放射する無線給電部170と、環境エネルギーを電力に変換するエネルギー変換部110と、エネルギー変換部110によって変換された電力に基づいて発光部160を制御する第1制御部140と、エネルギー変換部110によって変換された電力に基づいて無線給電部170を制御する第2制御部150と、を備える。
【0125】
これにより、環境エネルギーを電力に変換するエネルギー変換部110を備えるので、電力ケーブルの設置が困難な地域においても、照明及び無線給電を行うことができる。よって、設置場所の自由度が高い無線給電システムを実現することができる。
【0126】
また、本発明の第2態様に係る無線給電システムは、第1態様に係る無線給電システムにおいて、環境エネルギーは、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気熱及びバイオマスの少なくとも1つを含む。
【0127】
これにより、設置環境に適した環境エネルギー(自然エネルギー)を利用することができる。例えば、日照時間が長い地域では太陽光エネルギー又は太陽熱エネルギーを利用し、風の強い地域では風力エネルギーを利用するといったように、地域毎に利用するエネルギーを選ぶことにより、地域に合わせて効率良く照明及び無線給電を行うことができる。
【0128】
また、本発明の第3態様に係る無線給電システムは、第1態様又は第2態様に係る無線給電システムにおいて、第1制御部140及び第2制御部150は、発光部160及び無線給電部170を独立して制御可能である。
【0129】
これにより、照明と無線給電とを異なるタイミングで動作させることができる。照明及び無線給電の一方が不要な場合には、他方の要否によらずに不要な照明又は不要な無線給電を停止しておくことができるので、消費電力を低減することができる。
【0130】
また、本発明の第4態様に係る無線給電システムは、第1態様~第3態様のいずれか1つに係る無線給電システムにおいて、さらに、交流電力を受電するAC受電部115と、交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換部125と、を備え、第1制御部140は、AC/DC変換部125によって変換された直流電力に基づいて発光部160を制御し、第2制御部150は、AC/DC変換部125によって変換された直流電力に基づいて無線給電部170を制御する。
【0131】
これにより、環境エネルギーから変換される電力が不十分な場合であっても、AC受電部115を介して受電した交流電力に基づいて、照明及び無線給電を行うことができる。
【0132】
また、本発明の第5態様に係る無線給電システムは、第1態様~第4態様のいずれか1つに係る無線給電システムにおいて、エネルギー変換部110によって生成された電力を貯めるための蓄電池130と、蓄電池130の充放電を制御する蓄電制御部120と、を備える。
【0133】
これにより、環境エネルギーから変換した電力を蓄電池130に貯めておくことができるので、環境の変化に依存せずに安定して照明及び無線給電を行うことができる。
【0134】
また、本発明の第6態様に係る無線給電システムは、第5態様に係る無線給電システムにおいて、蓄電制御部120は、蓄電池130の残量を検出し、第1制御部140及び第2制御部150は、残量が閾値を下回った場合に、発光部160及び無線給電部170の一方の動作を停止する。
【0135】
これにより、照明及び無線給電の一方の動作を停止することで、他方の動作を安定して行うための電力を確保することができる。
【0136】
また、本発明の第7態様に係る無線給電システムは、第5態様又は第6態様に係る無線給電システムにおいて、さらに、蓄電池130の状態を表示する表示部190を備える。
【0137】
これにより、蓄電池130の状態を人に知らせることができる。
【0138】
また、本発明の第8態様に係る無線給電システムは、第1態様~第7態様のいずれか1つに係る無線給電システムにおいて、第1制御部140及び第2制御部150は、所定の条件を満たした場合に、発光部160及び無線給電部170の一方の動作を停止する。
【0139】
これにより、状況に応じて照明及び無線給電の一方の動作を停止することで、他方の動作を安定して行うための電力を確保することができる。例えば、不要な動作を停止することによって、消費電力を低減することができる。
【0140】
また、本発明の第9態様に係る無線給電システムは、第8態様に係る無線給電システムにおいて、振動を検知する検知部186を備え、所定の条件は、検知部186によって振動が検知されたことである。
【0141】
これにより、例えば、地震の揺れを検知することができるので、地震が発生した場合に照明又は無線給電を停止して消費電力を抑制し、必要な場合に照明又は無線給電を行うための電力を確保することができる。
【0142】
また、本発明の第10態様に係る無線給電システムは、第8態様に係る無線給電システムにおいて、災害情報を取得する通信部184を備え、所定の条件は、通信部184によって災害情報が取得されたことである。
【0143】
これにより、例えば、災害が発生した場合に照明又は無線給電を停止して消費電力を抑制し、必要な場合に照明又は無線給電を行うための電力を確保することができる。
【0144】
また、本発明の第11態様に係る無線給電システムは、第8態様に係る無線給電システムにおいて、人からの操作を受け付ける操作部182を備え、所定の条件は、操作部182によって所定の操作を受け付けたことである。
【0145】
これにより、人の要望に応じて照明又は無線給電を停止して消費電力を抑制し、必要な場合に照明又は無線給電を行うための電力を確保することができる。
【0146】
また、本発明の第12態様に係る無線給電システムは、第1態様~第11態様のいずれか1つに係る無線給電システムにおいて、第1制御部140は、エネルギー変換部110によって変換された電力に基づいて、発光部160に供給するための直流電力を生成し、第2制御部150は、第1制御部140によって生成された直流電力を用いて、無線給電部170に供給する電力を生成する。
【0147】
これにより、照明を停止して無線給電を行う場合であっても、第1制御部140を動作させることができる。第1制御部140が昇圧回路を含む場合、昇圧回路が停止すると負荷に電流が流れるために消費電力の増大につながる。昇圧回路が停止する期間を短くすることによって、消費電力の増大を抑制することができる。
【0148】
また、本発明の第13態様に係る無線給電システムは、第1態様~第12態様のいずれか1つに係る無線給電システムにおいて、さらに、無線給電部170の動作状態を表示する表示部192を備える。
【0149】
これにより、無線給電の動作状態を人に知らせることができる。
【0150】
(その他)
以上、本発明に係る無線給電システムについて、上記の実施の形態などに基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0151】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0152】
1、2 無線給電システム
100、101 照明装置
110 エネルギー変換部
111 太陽電池
112 風力発電機
115 AC受電部
120 蓄電制御部
125 AC/DC変換部
130 蓄電池
140 第1制御部
150 第2制御部
160 発光部
170 無線給電部
180 トリガ生成部
182 操作部
184 通信部
186 検知部
190、192 表示部
200 電気機器
210 受電アンテナ
220 充電回路
230 充電池