(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171653
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ノズル配置計画の改善装置、及び、ノズル配置計画の改善プログラム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088781
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴仁
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC03
5E353CC17
5E353DD09
5E353EE23
5E353EE89
5E353JJ52
5E353JJ54
5E353LL04
5E353QQ03
5E353QQ05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】現実的な計算量で作成されたノズル配置計画を現実的な計算量で改善すること。
【解決手段】一定期間に各実装部で生産する基板Pの品種を含む生産情報と、実装部毎且つ当該実装部で生産する基板Pの品種毎の部品搭載情報であって、基板Pに部品を搭載するシーケンス毎に、搭載する部品の種類毎の数と、部品の吸着に用いるノズルの種類とを特定可能な部品搭載情報と、が記憶される記憶部と、処理部と、を備え、処理部は、実装部毎に、当該実装部で生産する基板Pの品種毎の部品搭載情報と、ノズルステーション38に格納されているノズルの種類毎の本数とに基づいて、ノズルの種類毎に不足ノズル本数及び不使用ノズル本数を判断する判断処理と、ノズルを仮想的に移動させることによってノズル配置計画を改善する第1の改善処理と、を実行する、ノズル配置計画の改善装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する実装部を複数備える部品実装システムにおけるノズル配置計画の改善装置であって、
前記実装部は、複数の実装ヘッドを有するヘッド部と、前記実装ヘッドに着脱可能に取り付けられるノズルが格納されるノズルステーションとを備えるものであり、
当該改善装置は、
一定期間に各前記実装部で生産する前記基板の品種を含む生産情報と、前記実装部毎且つ当該実装部で生産する前記基板の品種毎の部品搭載情報であって、前記基板に前記部品を搭載するシーケンス毎に、搭載する前記部品の種類毎の数と、前記部品の吸着に用いる前記ノズルの種類とを特定可能な部品搭載情報と、が記憶される記憶部と、
処理部と、
を備え、
前記処理部は、
前記実装部毎に、当該実装部で生産する前記基板の品種毎の前記部品搭載情報と、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルの種類毎の本数とに基づいて、前記ノズルの種類毎に不足ノズル本数及び不使用ノズル本数を判断する判断処理と、
前記不使用ノズルがある前記実装部から当該不使用ノズルと同じ種類の前記不足ノズルがある他の前記実装部に当該不使用ノズルを仮想的に移動させることによってノズル配置計画を改善する第1の改善処理と、
を実行する、ノズル配置計画の改善装置。
【請求項2】
請求項1に記載のノズル配置計画の改善装置であって、
前記処理部は、前記判断処理において、前記実装部毎且つ当該実装部で生産する前記基板の品種毎に、前記部品搭載情報に基づいて、前記基板の生産に使用する全ての種類の前記ノズルが全ての前記実装ヘッド数分あると仮定して理想的な前記部品搭載情報を作成し、前記実装部毎に、当該実装部で生産する前記基板の品種毎の理想的な前記部品搭載情報に基づいて前記ノズルの種類毎の理想的な使用ノズル本数を判断し、判断した前記ノズルの種類毎の理想的な使用ノズル本数と、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルの種類毎の本数との差に基づいて前記不足ノズル本数を判断する、ノズル配置計画の改善装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のノズル配置計画の改善装置であって、
前記処理部は、前記判断処理において、前記実装部毎且つ当該実装部で生産する前記基板の品種毎に、前記部品搭載情報に基づいて前記ノズルの種類毎の使用ノズル本数を判断し、前記実装部毎に、当該実装部で生産する前記基板の品種毎に判断した前記ノズルの種類毎の使用ノズル本数に基づいて当該実装部における前記ノズルの種類毎の使用ノズル本数を判断し、判断した前記ノズルの種類毎の使用ノズル本数と、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルの種類毎の本数との差に基づいて前記不使用ノズル本数を判断する、ノズル配置計画の改善装置。
【請求項4】
請求項1に記載のノズル配置計画の改善装置であって、
前記生産情報は、前記基板の品種毎の生産枚数と、前記部品実装システムの生産開始予定時刻と、前記実装部毎の生産完了予定時刻とを更に含み、
前記処理部は、
前記第1の改善処理で改善した前記ノズル配置計画に基づいて前記実装部毎且つ当該実装部で生産する前記基板の品種毎に前記部品搭載情報を再作成する再作成処理と、
前記実装部毎且つ当該実装部で生産する前記基板の品種毎に、前記再作成処理で再作成した前記部品搭載情報と前記基板の生産枚数とに基づいて生産時間を計算する計算処理と、
前記第1の改善処理で改善した前記ノズル配置計画に従ってオペレータが前記不使用ノズルを移動させる作業の作業時間を予測する予測処理と、
前記実装部毎に、前記予測処理で予測した前記作業時間と前記計算処理で計算した前記基板の品種毎の生産時間とを生産開始予定時刻に加算することによって生産完了予定時刻を再計算する再計算処理と、
を実行する、ノズル配置計画の改善装置。
【請求項5】
請求項1に記載のノズル配置計画の改善装置であって、
前記生産情報は前記実装部毎の生産完了予定時刻を更に含み、
生産完了予定時刻が前記基板の納期の第1所定時間前より遅い前記実装部を移動先実装部、生産完了予定時刻が前記納期の第2所定時間(>前記第1所定時間)前より早い前記実装部を移動元実装部と定義した場合に、
前記処理部は、前記移動先実装部に前記不足ノズルがあり、且つ、当該不足ノズルと同じ種類の前記不使用ノズルが他の前記実装部にない場合は、生産完了予定時刻が改善されたと見做される所定の改善条件が満たされる範囲で、当該不足ノズルと同じ種類の使用ノズルを有する前記移動元実装部から当該移動先実装部に当該同じ種類の使用ノズルを仮想的に移動させることによってノズル配置計画を改善する第2の改善処理を実行する、ノズル配置計画の改善装置。
【請求項6】
請求項5に記載のノズル配置計画の改善装置であって、
前記所定の改善条件は、
前記使用ノズルを仮想的に移動させた後の前記移動元実装部の生産完了予定時刻が前記納期の前記第1所定時間前より遅くなっていないこと、
前記使用ノズルを仮想的に移動させた後の生産完了予定時刻が元の生産完了予定時刻より遅くなっている前記移動先実装部がないこと、
且つ、
前記使用ノズルを仮想的に移動させた後の生産完了予定時刻が元の生産完了予定時刻より早くなっている前記移動先実装部が1つ以上あること、
である、ノズル配置計画の改善装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載のノズル配置計画の改善装置であって、
前記処理部は、前記第2の改善処理において、前記不足ノズルと同じ種類の前記使用ノズルを1本ずつ仮想的に移動させ、1本移動させる毎に各前記実装部の生産完了予定時刻を再計算し、前記所定の改善条件が満たされた場合にその移動を確定する、ノズル配置計画の改善装置。
【請求項8】
請求項5又は請求項6に記載のノズル配置計画の改善装置であって、
前記処理部は、前記第2の改善処理において、前記不足ノズルと同じ種類の前記使用ノズルをn(n≧2)本ずつ仮想的に移動させ、n本移動させる毎に各前記実装部の生産完了予定時刻を再計算し、前記所定の改善条件が満たされた場合にその移動を確定する、ノズル配置計画の改善装置。
【請求項9】
請求項5又は請求項6に記載のノズル配置計画の改善装置であって、
前記処理部は、前記第2の改善処理において、前記不足ノズルと同じ種類の前記使用ノズルをn(n≧2)本ずつ仮想的に移動させ、n本移動させる毎に各前記実装部の生産完了予定時刻を再計算し、前記所定の改善条件が満たされなかった場合は、最後に移動させたn本の前記使用ノズルを1本ずつ仮想的に元に戻し、1本戻す毎に各前記実装部の生産完了予定時刻を再計算し、前記所定の改善条件が満たされた場合にその移動を確定する、ノズル配置計画の改善装置。
【請求項10】
基板に部品を実装する実装部を複数備える部品実装システムにおけるノズル配置計画の改善プログラムであって、
前記実装部は、複数の実装ヘッドを有するヘッド部と、前記実装ヘッドに着脱可能に取り付けられるノズルが格納されるノズルステーションとを備えるものであり、
当該改善プログラムは、
一定期間に各前記実装部で生産する前記基板の品種を含む生産情報と、前記実装部毎且つ当該実装部で生産する前記基板の品種毎の部品搭載情報であって、前記基板に前記部品を搭載するシーケンス毎に、搭載する前記部品の種類毎の数と、前記部品の吸着に用いる前記ノズルの種類とを特定可能な部品搭載情報と、を記憶部から読み出す読み出し処理と、
前記実装部毎に、当該実装部で生産する前記基板の品種毎の前記部品搭載情報と、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルの種類毎の本数とに基づいて、前記ノズルの種類毎に不足ノズル本数及び不使用ノズル本数を判断する判断処理と、
前記不使用ノズルがある前記実装部から当該不使用ノズルと同じ種類の前記不足ノズルがある他の前記実装部に当該不使用ノズルを仮想的に移動させることによってノズル配置計画を改善する第1の改善処理と、
をコンピュータに実行させる、ノズル配置計画の改善プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、ノズル配置計画の改善装置、及び、ノズル配置計画の改善プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に部品を実装する実装部を複数備える部品実装システムが知られている。実装部は、複数の実装ヘッドを有するヘッド部と、実装ヘッドに着脱可能に取り付けられるノズルが格納されるノズルステーションとを備える(例えば、特許文献1参照)。具体的には、特許文献1に記載の部品実装システムは部品実装装置を備えている。部品実装装置は、複数のノズルユニット(実装ヘッドに相当)を有する実装ヘッド(ヘッド部に相当)と、ノズルユニットの下端部に装着される吸着ノズルが部品種に対応して複数格納保持されているノズルホルダ(ノズルステーションに相当)とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以降の説明では、各実装部のノズルステーションに格納するノズルの種類や本数が定義されている情報のことをノズル配置計画という。
通常、ノズル配置計画を作成するコンピュータは、工場全体のノズルの種類及び本数を管理しており、生産を開始する前に生産情報に基づいてノズル配置計画を作成する。オペレータは作成されたノズル配置計画に従って各ノズルステーションにノズルを格納する。
【0005】
ノズルの本数が不足していると実装部が基板に部品を実装する作業の作業効率が悪くなり、基板1枚当たりの生産時間(所謂サイクルタイム)が長くなる。このため、効率的に基板を生産できるノズル配置計画が作成されることが好ましい。しかしながら、複数品種の基板を生産する場合は、実装部の数や実装部の配置、生産する基板の品種、納期などのあらゆる条件を考慮した効率的なノズル配置計画を作成するためには膨大な計算が必要であり、現実的な計算量で作成することは難しい。
本明細書では、現実的な計算量で作成されたノズル配置計画を現実的な計算量で改善する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
基板に部品を実装する実装部を複数備える部品実装システムにおけるノズル配置計画の改善装置であって、前記実装部は、複数の実装ヘッドを有するヘッド部と、前記実装ヘッドに着脱可能に取り付けられるノズルが格納されるノズルステーションとを備えるものであり、当該改善装置は、一定期間に各前記実装部で生産する前記基板の品種を含む生産情報と、前記実装部毎且つ当該実装部で生産する前記基板の品種毎の部品搭載情報であって、前記基板に前記部品を搭載するシーケンス毎に、搭載する前記部品の種類毎の数と、前記部品の吸着に用いる前記ノズルの種類とを特定可能な部品搭載情報と、が記憶される記憶部と、処理部と、を備え、前記処理部は、前記実装部毎に、当該実装部で生産する前記基板の品種毎の前記部品搭載情報と、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルの種類毎の本数とに基づいて、前記ノズルの種類毎に不足ノズル本数及び不使用ノズル本数を判断する判断処理と、前記不使用ノズルがある前記実装部から当該不使用ノズルと同じ種類の前記不足ノズルがある他の前記実装部に当該不使用ノズルを仮想的に移動させることによってノズル配置計画を改善する第1の改善処理と、を実行する、ノズル配置計画の改善装置。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、現実的な計算量で作成されたノズル配置計画を現実的な計算量で改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】2レーン式の部品実装装置を上側から見た模式図
【
図4】1レーン式の部品実装装置を上側から見た模式図
【
図6】元の生産計画及び改善された生産計画の模式図
【
図9】不使用ノズル本数の判断を説明するための模式図
【
図10】不使用ノズル本数の判断を説明するための模式図
【
図12】ノズルの仮想的な移動を説明するための模式図
【
図14】生産完了予定時刻の再計算処理のフローチャート
【
図15】移動先レーン及び移動元レーンを説明するための模式図
【
図16】実施形態2に係る生産完了予定時刻の再計算処理のフローチャート
【
図17】実施形態3に係る生産計画の改善処理のフローチャート
【
図18】実施形態4に係る生産計画の改善処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の概要]
(1)実施形態に係るノズル配置計画の改善装置は、基板に部品を実装する実装部を複数備える部品実装システムにおけるノズル配置計画の改善装置であって、前記実装部は、複数の実装ヘッドを有するヘッド部と、前記実装ヘッドに着脱可能に取り付けられるノズルが格納されるノズルステーションとを備えるものであり、当該改善装置は、一定期間に各前記実装部で生産する前記基板の品種を含む生産情報と、前記実装部毎且つ当該実装部で生産する前記基板の品種毎の部品搭載情報であって、前記基板に前記部品を搭載するシーケンス毎に、搭載する前記部品の種類毎の数と、前記部品の吸着に用いる前記ノズルの種類とを特定可能な部品搭載情報と、が記憶される記憶部と、処理部と、を備え、前記処理部は、前記実装部毎に、当該実装部で生産する前記基板の品種毎の前記部品搭載情報と、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルの種類毎の本数とに基づいて、前記ノズルの種類毎に不足ノズル本数及び不使用ノズル本数を判断する判断処理と、前記不使用ノズルがある前記実装部から当該不使用ノズルと同じ種類の前記不足ノズルがある他の前記実装部に当該不使用ノズルを仮想的に移動させることによってノズル配置計画を改善する第1の改善処理と、を実行する。
【0010】
上記の実装とは、部品供給装置によって供給される部品をノズルで吸着して基板に搭載することをいう。以降の説明では、部品供給装置によって供給される部品を吸着して基板に搭載し、その後に部品供給装置まで戻る一往復の動作のことをシーケンスという。
【0011】
上記の部品搭載情報は最適化プログラムによって作成される。最適化プログラムはサイクルタイムが極力短くなるように所定の最適化アルゴリズムを用いて部品の搭載順序を最適化するプログラムである。部品搭載情報はノズル配置計画に基づいて作成される。例えばある種類の部品を5個搭載する場合に、その種類の部品の吸着に用いる種類のノズルがノズルステーションに1本しかなかった場合、搭載に5シーケンスが必要となる。これに対し、当該種類のノズルが5本あれば最短で1シーケンスで搭載できる。シーケンスが増えるとサイクルタイムが長くなるため、基板の生産効率が低下する。
【0012】
前述したように、複数品種の基板を生産する場合は、あらゆる条件を考慮した効率的なノズル配置計画を現実的な計算量で作成することは難しい。このため、従来は、計算対象の期間を一定期間に限定して現実的な計算量でノズル配置計画を作成し、そのノズル配置計画に基づいて部品搭載情報を作成していた。
しかしながら、一定期間に限定して作成されたノズル配置計画は本来行うべき計算を省いて作成されたものであるため、必ずしも効率的なノズル配置であるとはいえない。このため、そのノズル配置計画に基づいて作成された部品搭載情報は必ずしも生産効率が良いとはいえなかった。
【0013】
上記(1)に記載のノズル配置計画の改善装置によると、一定期間に限定して作成されたノズル配置計画(すなわち現実的な計算量で作成されたノズル配置計画)に基づいて部品搭載情報が作成された場合に、不使用ノズルがある実装部から当該不使用ノズルと同じ種類の不足ノズルがある他の実装部に当該不使用ノズルを仮想的に移動させることによってノズル配置計画を改善するので、一定期間に限定して作成されたノズル配置計画を現実的な計算量で改善できる。
改善したノズル配置計画に基づいて部品搭載情報を再作成すれば、多くの場合においてサイクルタイムが短くなる。このため、多くの場合において生産完了予定時刻が前倒し(すなわち改善)される。言い換えると、多くの場合において部品実装システムの生産計画が改善される。
【0014】
(2)上記(1)に記載のノズル配置計画の改善装置であって、前記処理部は、前記判断処理において、前記実装部毎且つ当該実装部で生産する前記基板の品種毎に、前記部品搭載情報に基づいて、前記基板の生産に使用する全ての種類の前記ノズルが全ての前記実装ヘッド数分あると仮定して理想的な前記部品搭載情報を作成し、前記実装部毎に、当該実装部で生産する前記基板の品種毎の理想的な前記部品搭載情報に基づいて前記ノズルの種類毎の理想的な使用ノズル本数を判断し、判断した前記ノズルの種類毎の理想的な使用ノズル本数と、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルの種類毎の本数との差に基づいて前記不足ノズル本数を判断してもよい。
【0015】
上記(2)に記載のノズル配置計画の改善装置によると、理想的な部品搭載情報を作成することにより、理想的な使用ノズル本数に対する不足ノズル本数を判断できる。
【0016】
(3)上記(1)又は(2)に記載のノズル配置計画の改善装置であって、前記処理部は、前記判断処理において、前記実装部毎且つ当該実装部で生産する前記基板の品種毎に、前記部品搭載情報に基づいて前記ノズルの種類毎の使用ノズル本数を判断し、前記実装部毎に、当該実装部で生産する前記基板の品種毎に判断した前記ノズルの種類毎の使用ノズル本数に基づいて当該実装部における前記ノズルの種類毎の使用ノズル本数を判断し、判断した前記ノズルの種類毎の使用ノズル本数と、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルの種類毎の本数との差に基づいて前記不使用ノズル本数を判断してもよい。
【0017】
上記(3)に記載のノズル配置計画の改善装置によると、記憶部に記憶されている部品搭載情報に基づいてノズルの種類毎の使用ノズル本数を判断することにより、不使用ノズル本数を判断できる。
【0018】
(4)上記(1)に記載のノズル配置計画の改善装置であって、前記生産情報は、前記基板の品種毎の生産枚数と、前記部品実装システムの生産開始予定時刻と、前記実装部毎の生産完了予定時刻とを更に含み、前記処理部は、前記第1の改善処理で改善した前記ノズル配置計画に基づいて前記実装部毎且つ当該実装部で生産する前記基板の品種毎に前記部品搭載情報を再作成する再作成処理と、前記実装部毎且つ当該実装部で生産する前記基板の品種毎に、前記再作成処理で再作成した前記部品搭載情報と前記基板の生産枚数とに基づいて生産時間を計算する計算処理と、前記第1の改善処理で改善した前記ノズル配置計画に従ってオペレータが前記不使用ノズルを移動させる作業の作業時間を予測する予測処理と、前記実装部毎に、前記予測処理で予測した前記作業時間と前記計算処理で計算した前記基板の品種毎の生産時間とを生産開始予定時刻に加算することによって生産完了予定時刻を再計算する再計算処理と、を実行してもよい。
【0019】
上記(4)に記載のノズル配置計画の改善装置によると、改善されたノズル配置計画に基づいて生産完了予定時刻を再計算するので、部品実装システムの生産計画を改善できる。
【0020】
(5)上記(1)に記載のノズル配置計画の改善装置であって、前記生産情報は前記実装部毎の生産完了予定時刻を更に含み、生産完了予定時刻が前記基板の納期の第1所定時間前より遅い前記実装部を移動先実装部、生産完了予定時刻が前記納期の第2所定時間(>前記第1所定時間)前より早い前記実装部を移動元実装部と定義した場合に、前記処理部は、前記移動先実装部に前記不足ノズルがあり、且つ、当該不足ノズルと同じ種類の前記不使用ノズルが他の前記実装部にない場合は、生産完了予定時刻が改善されたと見做される所定の改善条件が満たされる範囲で、当該不足ノズルと同じ種類の使用ノズルを有する前記移動元実装部から当該移動先実装部に当該同じ種類の使用ノズルを仮想的に移動させることによってノズル配置計画を改善する第2の改善処理を実行してもよい。
【0021】
上記の使用ノズルは、不使用ではないノズルと言い換えることもできる。
上記(5)に記載のノズル配置計画の改善装置によると、不使用ノズルがない場合でも、所定の改善条件が満たされる範囲で移動元実装部から移動先実装部に同じ種類の使用ノズルを仮想的に移動させることにより、一定期間に限定して作成されたノズル配置計画(すなわち現実的な計算量で作成されたノズル配置計画)を現実的な計算量で改善できる。
【0022】
(6)上記(5)に記載のノズル配置計画の改善装置であって、前記所定の改善条件は、前記使用ノズルを仮想的に移動させた後の前記移動元実装部の生産完了予定時刻が前記納期の前記第1所定時間前より遅くなっていないこと、前記使用ノズルを仮想的に移動させた後の生産完了予定時刻が元の生産完了予定時刻より遅くなっている前記移動先実装部がないこと、且つ、前記使用ノズルを仮想的に移動させた後の生産完了予定時刻が元の生産完了予定時刻より早くなっている前記移動先実装部が1つ以上あること、であってもよい。
【0023】
上記(6)に記載のノズル配置計画の改善装置によると、改善条件が満たされた場合は生産完了予定時刻が改善されたと見做すことができる。
【0024】
(7)上記(5)又は(6)に記載のノズル配置計画の改善装置であって、前記処理部は、前記第2の改善処理において、前記不足ノズルと同じ種類の前記使用ノズルを1本ずつ仮想的に移動させ、1本移動させる毎に各前記実装部の生産完了予定時刻を再計算し、前記所定の改善条件が満たされた場合にその移動を確定してもよい。
【0025】
上記(7)に記載のノズル配置計画の改善装置によると、改善条件が満たされない場合は使用ノズルの移動を確定しないので、生産完了予定時刻が改善されない使用ノズルの移動を抑制できる。
【0026】
(8)上記(5)又は(6)に記載のノズル配置計画の改善装置であって、前記処理部は、前記第2の改善処理において、前記不足ノズルと同じ種類の前記使用ノズルをn(n≧2)本ずつ仮想的に移動させ、n本移動させる毎に各前記実装部の生産完了予定時刻を再計算し、前記所定の改善条件が満たされた場合にその移動を確定してもよい。
【0027】
使用ノズルを1本移動させる毎に生産完了予定時刻を再計算すると計算量が多くなり、再計算に時間を要する。
上記(8)に記載のノズル配置計画の改善装置によると、n本移動させる毎に生産完了予定時刻を再計算するので、1本移動させる毎に生産完了予定時刻を再計算する場合に比べて短時間で生産完了予定時刻を再計算できる。
【0028】
(9)上記(5)又(6)に記載のノズル配置計画の改善装置であって、前記処理部は、前記第2の改善処理において、前記不足ノズルと同じ種類の前記使用ノズルをn(n≧2)本ずつ仮想的に移動させ、n本移動させる毎に各前記実装部の生産完了予定時刻を再計算し、生産完了予定時刻が改善されなかった場合は、最後に移動させたn本の前記使用ノズルを1本ずつ仮想的に元に戻し、1本戻す毎に各前記実装部の生産完了予定時刻を再計算し、生産完了予定時刻が改善された場合にその移動を確定してもよい。
【0029】
生産完了予定時刻が改善されなくなった場合、最後に移動させたn本の使用ノズルを全て元に戻すことが考えられる。しかしながら、n本の使用ノズルを全て元に戻すのではなく、1本ずつ戻していけば生産完了予定時刻が改善される可能性がある。
上記(9)に記載のノズル配置計画の改善装置によると、最後に移動させたn本の使用ノズルを1本ずつ仮想的に元に戻し、1本戻す毎に生産完了予定時刻を再計算するので、n本の使用ノズルを全て戻す場合に比べて生産完了予定時刻を改善できる可能性がある。
【0030】
(10)実施形態に係るノズル配置計画の改善プログラムは、基板に部品を実装する実装部を複数備える部品実装システムにおけるノズル配置計画の改善プログラムであって、前記実装部は、複数の実装ヘッドを有するヘッド部と、前記実装ヘッドに着脱可能に取り付けられるノズルが格納されるノズルステーションとを備えるものであり、当該改善プログラムは、一定期間に各前記実装部で生産する前記基板の品種を含む生産情報と、前記実装部毎且つ当該実装部で生産する前記基板の品種毎の部品搭載情報であって、前記基板に前記部品を搭載するシーケンス毎に、搭載する前記部品の種類毎の数と、前記部品の吸着に用いる前記ノズルの種類とを特定可能な部品搭載情報と、を記憶部から読み出す読み出し処理と、前記実装部毎に、当該実装部で生産する前記基板の品種毎の前記部品搭載情報と、前記ノズルステーションに格納されている前記ノズルの種類毎の本数とに基づいて、前記ノズルの種類毎に不足ノズル本数及び不使用ノズル本数を判断する判断処理と、前記不使用ノズルがある前記実装部から当該不使用ノズルと同じ種類の前記不足ノズルがある他の前記実装部に当該不使用ノズルを仮想的に移動させることによってノズル配置計画を改善する第1の改善処理と、をコンピュータに実行させる。
【0031】
上記(10)に記載のノズル配置計画の改善プログラムによると、一定期間に限定して作成されたノズル配置計画(すなわち現実的な計算量で作成されたノズル配置計画)を現実的な計算量で改善できる。
【0032】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態の詳細について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本開示の実施形態は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【0033】
<実施形態1>
以降の説明では
図2に示す左右方向をX方向、前後方向をY方向、
図3に示す上下方向をZ方向といい、
図2に示す右側を上流側、左側を下流側という。また、以降の説明では同一の構成要素には一部を除いて図面の符号を省略している場合がある。
【0034】
(1)部品実装システム
図1を参照して、実施形態1に係る部品実装システム1について説明する。部品実装システム1は回路パターンが印刷されている基板P(
図2参照)に電子部品などの部品E(
図2参照)を実装するシステムである。実施形態1に係る部品実装システム1は2つの部品実装ライン10(10A及び10B)を備えている。
【0035】
部品実装ライン10は基板Pに部品Eを実装するための複数の装置が基板Pの搬送経路に沿って配されたものである。部品実装ライン10を構成している複数の装置はローダー11、スクリーン印刷装置12、印刷検査装置13、ディスペンサ14、1台以上(ここでは1台)の部品実装装置15、実装後外観検査装置16、リフロー装置17、硬化後外観検査装置18、アンローダー19などである。これらの装置は複数のコンベア装置20を介して一列に並んでいる。
【0036】
部品実装ライン10を構成しているこれらの装置は通信ネットワーク5を介して通信可能に接続されている。通信ネットワーク5は有線であってもよいし無線であってもよい。
通信ネットワーク5には部品実装システム1を管理する管理装置2も接続されている。管理装置2は実施形態1に係るノズル配置計画の改善装置の一例である。
【0037】
(2)部品実装装置の構成
部品実装装置15には基板Pを搬送するレーンを1レーン有する1レーン式と、2レーン有する2レーン式とがある。ここでは部品実装ライン10Aを構成している部品実装装置15は2レーン式であり、部品実装ライン10Bを構成している部品実装装置15は1レーン式であるとする。このため部品実装システム1は全部で3レーン有している。
【0038】
(2-1)2レーン式の部品実装装置15の構成
図2に示すように、2レーン式の部品実装装置15は架台31、2つの搬送コンベア32、4つのテープ部品供給装置33、2つのヘッドユニット34(ヘッド部の一例)、2つのヘッド移動部35、2つの部品撮像カメラ36、2つの基板撮像カメラ37、2つのノズルステーション38、制御部及び操作部を備えている。
【0039】
架台31は平面視長方形状をなすとともに上面が平坦とされている。
図2において二点破線で示す領域Aは基板Pに部品Eを実装するときに基板Pが固定される作業位置(以下、作業位置Aという)である。
搬送コンベア32は上流側から搬入された基板Pを作業位置Aに搬送し、作業位置Aで部品Eが実装された基板Pを下流側に搬出する装置である。搬送コンベア32はX方向に循環移動する一対のコンベアベルト39(前側コンベアベルト39A及び後側コンベアベルト39B)、コンベアベルトが掛け回されている複数のローラ、ローラを回転駆動するコンベア駆動モータなどを備えている。
【0040】
テープ部品供給装置33は部品実装装置15のY方向の両側においてX方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。テープ部品供給装置33には複数のテープフィーダ33AがX方向に横並び状に整列して取り付けられている。各テープフィーダ33Aは部品Eを保持している部品テープが巻回されたリール、及び、リールから部品テープを引き出す電動式の送出装置等を備えており、部品Eを1つずつ供給する。
【0041】
ヘッドユニット34は部品Eを吸着及び解放する複数の実装ヘッド41を備えている。ヘッドユニット34は所謂インライン型であり、複数の実装ヘッド41がX方向に並んで設けられている。ヘッドユニット34についての説明は後述する。ここではヘッドユニット34としてインライン型のヘッドユニット34を例に説明するが、ヘッドユニット34は複数の実装ヘッド41が円周上に配列された所謂ロータリーヘッドであってもよい。
図2では実装ヘッド41の数が5である場合を示しているが、便宜上、以降の説明では実装ヘッド41の数は10であるとして説明する。
【0042】
ヘッド移動部35はヘッドユニット34を所定の可動範囲内でX方向及びY方向に移動させる機構である。ヘッド移動部35はヘッドユニット34をX方向に往復移動可能に支持しているビーム42、ビーム42をY方向に往復移動可能に支持している一対のY軸ガイドレール43、ヘッドユニット34をX方向に往復移動させるX軸サーボモータ、ビーム42をY方向に往復移動させるY軸サーボモータなどを備えている。一対のY軸ガイドレール43は2つのビーム42に共有されている。
【0043】
ノズルステーション38はノズルが格納される複数の格納穴を有するノズルプレート、ノズルプレートの上に配されているシャッター、シャッターをノズルプレートに平行な方向に移動させるシャッター移動機構などを備えている。シャッターが開いているときはノズルプレートからノズルを取り出し可能であり、シャッターが閉じているときは取り出しできなくなる。
【0044】
前側のノズルステーション38には前側のヘッドユニット34の実装ヘッド41に取り付けられるノズルが格納されている。後側のノズルステーション38には後側のヘッドユニット34の実装ヘッド41に取り付けられるノズルが格納されている。ノズルはヘッドユニット34毎に独立して管理されており、前側のノズルステーション38に格納されているノズルを後側のヘッドユニット34の実装ヘッド41に取り付けたり、あるいは後側のノズルステーション38に格納されているノズルを前側のヘッドユニット34の実装ヘッド41に取り付けたりすることはできない。
【0045】
2つの部品撮像カメラ36はそれぞれX方向に並んだ2つのテープ部品供給装置33の間に設けられている。部品撮像カメラ36は実装ヘッド41に吸着されている部品Eを下から撮像する。
2つの基板撮像カメラ37は基板Pの上面に表記されているフィデューシャルマークを上から撮像するカメラである。基板撮像カメラ37はヘッドユニット34に取り付けられており、ヘッドユニット34とともにX方向およびY方向に移動する。詳しくは後述するが、基板撮像カメラ37はノズルステーション38に格納されているノズルの認識にも用いられる。
【0046】
図3を参照して、ヘッドユニット34について説明する。ヘッドユニット34には複数の実装ヘッド41、これらの実装ヘッド41を個別に昇降させるZ軸サーボモータ、及び、これらの実装ヘッド41を一斉に軸周りに回転させるR軸サーボモータが設けられている。
【0047】
実装ヘッド41は上下方向に延びる筒状に形成されている。実装ヘッド41の下端部にはノズルステーション38に格納されているノズルNが着脱可能に取り付けられる。ノズルNには実装ヘッド41を介して図示しない空気供給装置から負圧及び正圧が供給される。ノズルNは負圧が供給されることによって部品Eを吸着し、正圧が供給されることによってその部品Eを解放する。
【0048】
部品Eには大きさ、形状、重さなどの違いによって様々な種類がある。ノズルNにも開口の大きさ、開口の形状、開口の数などの違いによって様々な種類がある。各部品Eはその部品Eの吸着に適した種類のノズルNを用いて吸着される。
ノズルNの上面にはノズルNを一意に識別するための識別情報が表記されている。部品実装装置15はノズルステーション38に格納されているノズルNを基板撮像カメラ37によって上から撮像し、撮像した画像上で識別情報を認識することにより、ノズルステーション38に格納されているノズルNの種類、及び、種類毎の本数を把握する。
【0049】
図2に示すように、以降の説明では部品実装装置15の2つのレーンRのうち後側のレーンRをレーンR1、前側のレーンRをレーンR2という。レーンR1のヘッドユニット34及びノズルステーション38は実装部の一例である。レーンR2のヘッドユニット34及びノズルステーション38も実装部の一例でる。すなわち、部品実装装置15ではレーンRと実装部とが1対1に対応している。
【0050】
(2-2)1レーン式の部品実装装置の構成
図4に示すように、1レーン式の部品実装装置15は搬送コンベア32、ヘッドユニット34、ヘッド移動部35及びノズルステーション38が1つである点を除いて2レーン式と実質的に同じである。
以降の説明では部品実装装置15のレーンRのことをレーンR3という。レーンR3のヘッドユニット34及びヘッド移動部35も実装部の一例でる。
【0051】
(3)管理装置
図5を参照して、管理装置2の電気的構成について説明する。管理装置2は所謂パーソナルコンピュータであり、処理部50、記憶部51、表示部52、操作部53、通信部54などを備えている。処理部50はCPU50A及びRAM50Bを有している。表示部52は液晶ディスプレイなどの表示装置、表示装置を駆動する駆動回路などで構成されている。操作部53はキーボード、マウス、タッチパネルなどである。通信部54は管理装置2を通信ネットワーク5に接続するための通信インタフェースである。
【0052】
記憶部51にはCPU50Aによって実行される各種のプログラムやデータが記憶されている。各種のプログラムにはノズル配置計画の改善プログラム、最適化プログラムなどが含まれる。各種のデータには後述する生産情報及び部品搭載情報が含まれる。生産情報及び部品搭載情報は部品実装装置15に送信されて基板Pの生産に用いられる。
処理部50が記憶部51から生産情報及び部品搭載情報を読み出す処理は読み出し処理の一例である。
【0053】
(3-1)生産情報
生産情報は、一定期間に各レーンRで生産する基板Pの品種、基板Pの生産順序、基板Pの品種毎の生産枚数、部品実装システム1の生産開始予定時刻、レーンR毎の生産完了予定時刻などが含まれる情報である。オペレータがレーンRに対する作業(例えばノズルNの段取り作業)を行う場合は、生産情報にはその作業の作業開始予定時刻や作業完了予定時刻も含まれる。上述した一定期間は1日であってもよいし、3時間や4時間などの時間単位であってもよい。一定期間は適宜に決定できる。
【0054】
図6に示す元の生産計画を参照して、生産情報を概念的に説明する。
図6に示す例ではレーンR1で品種Pa及びPdの基板Pが生産され、レーンR2で品種Pa及びPcの基板Pが生産され、レーンR3で品種Pbの基板Pが生産される。
図6に示す例の場合、レーンR3、レーンR1、レーンR2の順で生産が完了する。
【0055】
(3-2)部品搭載情報
部品搭載情報は、レーンR毎且つ当該レーンRで生産する基板Pの品種毎の情報であって、基板Pに部品Eを搭載するシーケンス毎に、搭載する部品Eの種類毎の数と、部品Eの吸着に用いるノズルNの種類とを特定可能な情報である。実施形態1に係る部品搭載情報は次に説明する部品情報と実装プログラムとで構成されている。
【0056】
図7を参照して、部品情報について説明する。部品情報は部品Eの種類毎にその種類の部品Eの吸着に用いるノズルNの種類が対応付けられている情報である。部品情報には部品ID、部品Eの種類及びノズルNの種類が含まれる。部品IDは部品Eの種類毎に付与されている識別情報である。
【0057】
図8を参照して、実装プログラムについて説明する。実装プログラムはレーンR毎且つ当該レーンRで生産される基板Pの品種毎に作成される。同じ品種の基板PでもレーンRが異なればレーンR毎に実装プログラムが作成される。実装プログラムには部品Eの搭載順序、搭載座標、部品ID、シーケンス番号などが含まれる。
シーケンスはシーケンス番号によって定義されている。実装ヘッド41の数が10である場合、1回のシーケンスで基板Pに搭載される部品Eの数は最大で10である。
【0058】
部品実装装置15はシーケンス毎に部品情報を参照して吸着に用いるノズルNの種類を判断し、判断した種類のノズルNを実装ヘッド41に取り付けて部品Eを吸着する。例えばシーケンス番号1のシーケンスでは部品ID1の部品E(部品Ea)が4個、部品ID2の部品E(部品Eb)が3個、部品ID3の部品E(部品Ec)が3個搭載される。部品情報では部品ID1と部品ID3とにノズルNaが対応付けられており、部品ID2にノズルNbが対応付けられている。このため、シーケンス番号1のシーケンスではノズルNaが7本、ノズルNbが3本使用される。
【0059】
記憶部51に記憶されている実装プログラムの作成に用いられたノズル配置計画は一定期間に限定して作成されたものであり、必ずしも効率的なものではない。このため、記憶部51に記憶されている実装プログラムは必ずしも生産効率が良いとはいえない。
【0060】
(4)部品実装システムの生産計画の改善
図6を参照して、部品実装システム1の生産計画の改善について説明する。処理部50は、レーンR間でノズルNを仮想的に移動させることによってノズル配置計画を改善し、改善したノズル配置計画に基づいて実装プログラムを再作成する。そして、処理部50は再作成した実装プログラムに基づいて生産完了予定時刻を再計算する。これにより生産計画が改善される。以下、具体的に説明する。
【0061】
(4-1)ノズル配置計画の改善
処理部50は、レーンR毎に、当該レーンRで生産する基板Pの品種毎の実装プログラムと、当該レーンRのノズルステーション38に格納されているノズルNの種類毎の本数とに基づいて、ノズルNの種類毎に不足ノズル本数及び不使用ノズル本数を判断する(判断処理の一例)。そして、処理部50は、不使用ノズルNがあるレーンRから当該不使用ノズルNと同じ種類の不足ノズルNがある他のレーンRに当該不使用ノズルNを仮想的に移動させることによってノズル配置計画を改善する(第1の改善処理の一例)。
【0062】
(4-1-1)不使用ノズル本数の判断
図9及び
図10を参照して、不使用ノズル本数の判断について説明する。処理部50は、レーンR毎且つ当該レーンRで生産する基板Pの品種毎に、記憶部51に記憶されている実装プログラムに基づいてノズルNの種類毎の使用ノズル本数を判断し、レーンR毎に、当該レーンRで生産する基板Pの品種毎に判断したノズルNの種類毎の使用ノズル本数に基づいて当該レーンRにおけるノズルNの種類毎の使用ノズル本数を判断し、判断したノズルNの種類毎の使用ノズル本数と、ノズルステーション38に格納されているノズルNの種類毎の本数との差に基づいて不使用ノズル本数を判断する。
【0063】
不使用ノズル本数を判断する手順について具体的に説明する。ここではレーンR1を例に説明する。前述したようにレーンR1では品種Paの基板P及び品種Pdの基板Pが生産される。
【0064】
手順1:
図9のテーブル61に示すように、処理部50はレーンR1の品種Paの基板Pの実装プログラムに基づいて、シーケンス毎且つノズルNの種類毎に、同時に使用するノズル本数を判断する。例えば前述したシーケンス1の場合、ノズルNaが7本、ノズルNbが3本、ノズルNcが0本と判断される。
【0065】
手順2:テーブル62に示すように、処理部50は、レーンR1の品種Paの基板Pの全てのシーケンスを通して、ノズルNの種類毎に、同時に使用する最大のノズル本数(以下、使用ノズル本数という)を判断する。
【0066】
処理部50はレーンR1で生産する他の品種(ここでは品種Pd)の基板Pについても手順1及び手順2を実行し、ノズルNの種類毎に使用ノズル本数を判断する。
【0067】
手順3:
図10に示すように、処理部50は、レーンR1で生産する基板Pの品種毎に判断したノズルNの種類毎の使用ノズル本数(テーブル63)に基づいて、レーンR1で生産される全ての品種の基板Pを通して、ノズルNの種類毎に、使用ノズル本数を判断する(テーブル64)。例えばノズルNaの場合、品種Paの基板Pの使用ノズル本数は7本、品種Pdの基板Pの使用ノズル本数は9本であるので、レーンR1で生産される全ての品種の基板Pを通したノズルNaの使用ノズル本数(すなわち同時に使用する最大のノズル本数)は9本となる。
【0068】
手順4:処理部50は、レーンR1について、ノズルNの種類毎の使用ノズル本数(テーブル64)と、レーンR1のノズルステーション38に格納されている各種類のノズルNの本数(テーブル65)との差からノズルNの種類毎に不使用ノズル本数を判断する(テーブル66)。
例えばノズルNaの場合、レーンR1で生産される全ての品種の基板Pを通して使用ノズル本数が9本である。レーンR1のノズルステーション38にはノズルNaが10本格納されているので、ノズルステーション38に格納されている10本のノズルNaのうち1本は使用されないことになる。従ってノズルNaの不使用ノズル本数は1本となる。ノズルNbの場合は不使用ノズル本数が4本となる。ノズルNcの使用ノズル本数は8本であるが、ノズルステーション38に格納されているノズルNcの本数が8本であるので不使用ノズル本数は0本となる。
【0069】
処理部50はレーンR2及びR3についても同様にしてノズルNの種類毎の不使用ノズル本数を判断する。
【0070】
(4-1-2)不足ノズル本数の判断
処理部50は、レーンR毎且つ当該レーンRで生産する基板Pの品種毎に、記憶部51に記憶されている実装プログラムに基づいて、基板Pの生産に使用する全ての種類のノズルNが全ての実装ヘッド数分あると仮定して、最適化プログラムによって理想的な実装プログラムを作成する。そして、処理部50は、レーンR毎に、当該レーンRで生産する基板Pの品種毎の理想的な実装プログラムに基づいてノズルNの種類毎の理想的な使用ノズル本数を判断する。そして、処理部50は、判断したノズルNの種類毎の理想的な使用ノズル本数と、ノズルステーション38に格納されているノズルの種類毎の本数との差に基づいて不足ノズル本数を判断する。
【0071】
図11は、レーンR1について、ノズルNの種類毎の不足ノズル本数の例である。例えばノズルNaの場合、理想的な使用ノズル本数が5本であり、ノズルステーション38に格納されているノズルNaの本数が10本であるので、不足ノズル本数は0本である。ノズルNbについても不足ノズル本数は0本である。これに対し、ノズルNcの場合、理想的な使用ノズル本数が2本であり、ノズルステーション38に格納されているノズルNcの本数が1本であるので、不足ノズル本数は1本となる。
【0072】
(4-1-3)ノズルの仮想的な移動
図12に示す例では、レーンR2においてノズルNaの不足ノズル本数が2本、ノズルNbの不足ノズル本数が2本である。そして、レーンR1においてノズルNaの不使用ノズル本数が1本、ノズルNbの不使用ノズル本数が4本、レーンR2においてノズルNcの不使用ノズル本数が2本、レーンR3においてノズルNaの不使用ノズル本数が1本である。
【0073】
この場合、処理部50はレーンR1からレーンR2に不使用ノズルNaを1本、不使用ノズルNbを2本仮想的に移動させる。そして、レーンR3からレーンR2に不使用ノズルNaを1本仮想的に移動させる。これによりノズル配置計画が改善される。
同じ種類の不使用ノズルNが複数のレーンRにある場合は、どのレーンRの不使用ノズルNを移動させるかは任意に決定できる。
【0074】
(4-2)生産計画の改善処理
図13を参照して、処理部50によって実行される生産計画の改善処理について説明する。
S101では、処理部50はレーンR毎且つノズルNの種類毎に不使用ノズル本数を判断する。
S102では、処理部50はレーンR毎且つノズルNの種類毎に不足ノズル本数を判断する。
S103では、処理部50は選択していない不足ノズルNがあるか否かを判断し、ある場合はS104に進み、ない場合はS107に進む。S103が最初に実行されたときは未だ不足ノズルNが選択されていないのでS104に進む。
【0075】
S104では、処理部50は未だ選択していない不足ノズルNを1本選択する。
S105では、処理部50は選択した不足ノズルNと同じ種類の不使用ノズルNが他のレーンRにあるか否かを判断する。処理部50は、ある場合はS106に進み、ない場合はS103に戻って処理を繰り返す。
S106では、処理部50は不足ノズルNがあるレーンRに不使用ノズルNを仮想的に1本移動させる。
【0076】
S107では、処理部50はノズル移動が発生したか否か(すなわちS106で不使用ノズルNを仮想的に移動させたか否か)を判断し、ノズル移動が発生した場合はS108に進み、発生していない場合は処理を終了する。
S108では、処理部50は生産完了予定時刻の再計算処理を実行する。
【0077】
図14を参照して、S108で実行される生産完了予定時刻の再計算処理のフローについて説明する。
S201では、処理部50は、改善したノズル配置計画に従って不使用ノズルNが移動されたと仮定して、レーンR毎且つ当該レーンRで生産する基板Pの品種毎に、最適化プログラムによって実装プログラムを再作成する(再作成処理)。
【0078】
S202では、処理部50は、再作成した実装プログラム毎にサイクルタイムを計算する。
S203では、処理部50は基板Pの品種毎にその基板Pの生産枚数とサイクルタイムとを乗算することによって生産時間を計算し、1つのレーンRで生産される全ての品種の基板Pの生産時間を合計することによってそのレーンRの生産時間を計算する(計算処理の一例)。これがレーンR毎に行われることによってレーンR毎の生産時間が計算される。
【0079】
S204では、処理部50は、改善したノズル配置計画に従ってオペレータが不使用ノズルNを移動させる段取り作業(
図6参照)の作業時間を予測する(予測処理の一例)。例えばノズルNを1本移動させるのに2分要するとし、全部で10本のノズルNを移動させる場合、段取り作業の作業時間は20分と予測される。
【0080】
S205では、処理部50は、レーンR毎に、生産情報に含まれる生産開始予定時刻に、S204で予測した段取り作業の作業時間とS203で計算した当該レーンRの生産時間とを加算することによって当該レーンRの生産完了予定時刻を再計算する(再計算処理の一例)。
【0081】
(5)実施形態の効果
実施形態1に係る管理装置2によると、一定期間に限定して作成されたノズル配置計画(すなわち現実的な計算量で作成されたノズル配置計画)に基づいて実装プログラムが作成された場合に、不使用ノズルNがあるレーンRから当該不使用ノズルNと同じ種類の不足ノズルNがある他のレーンRに当該不使用ノズルNを仮想的に移動させることによってノズル配置計画を改善するので、一定期間に限定して作成されたノズル配置計画を現実的な計算量で改善できる。
改善したノズル配置計画に基づいて実装プログラムを再作成すれば、多くの場合においてサイクルタイムが短くなる。このため、多くの場合において生産完了予定時刻が前倒し(すなわち改善)される。言い換えると、多くの場合において部品実装システム1の生産計画が改善される。
【0082】
管理装置2によると、理想的な実装プログラムを作成することにより、理想的な使用ノズル本数に対する不足ノズル本数を判断できる。
【0083】
管理装置2によると、記憶部51に記憶されている実装プログラムに基づいてノズルNの種類毎の使用ノズル本数を判断することにより、不使用ノズル本数を判断できる。
【0084】
管理装置2によると、改善されたノズル配置計画に基づいて生産完了予定時刻を再計算するので、部品実装システム1の生産計画を改善できる。
【0085】
<実施形態2>
前述した実施形態1では、不足ノズルNと同じ種類の不使用ノズルNを、その不足ノズルNがあるレーンRに移動させる場合を例示した。しかしながら、不足ノズルNと同じ種類の不使用ノズルNがない場合もある。実施形態2は不足ノズルNと同じ種類の不使用ノズルNが他のレーンRにない場合の実施形態である。
【0086】
ここでは先ず、
図15を参照して、移動先レーンR(移動先実装部の一例)及び移動元レーンR(移動元実装部の一例)について説明する。
図15に示すように、実施形態2では、生産情報に含まれている元の生産完了予定時刻が基板Pの納期の第1所定時間前より遅いレーンRのことを移動先レーンRと定義する。移動先レーンRは納期に余裕がないレーンRということもできる。そして、元の生産完了予定時刻が納期の第2所定時間(>第1所定時間)前より早いレーンRのことを移動元レーンRと定義する。移動元レーンRは納期に余裕があるレーンRということもできる。
【0087】
実施形態2に係る処理部50は、いずれかの移動先レーンR(すなわち納期に余裕がないレーンR)に不足ノズルNがあり、且つ、その不足ノズルNと同じ種類の不使用ノズルNが他のレーンRにない場合は、生産完了予定時刻が改善されたと見做される所定の改善条件が満たされる範囲で、不足ノズルNと同じ種類の使用ノズルN(不使用ではないノズル)を2本以上有する移動元レーンRから、当該移動元レーンRに当該同じ種類の使用ノズルNを少なくとも1本残して、当該同じ種類の使用ノズルNを移動先レーンRに仮想的に移動させることによってノズル配置計画を改善する(第2の改善処理の一例)。
【0088】
移動元レーンRから移動先レーンRに使用ノズルNを移動させると、移動先レーンRの生産完了予定時刻は早くなるが、移動元レーンRは本来使用すべきノズルN(使用ノズルN)を他のレーンRに移動させているので、移動元レーンRの生産完了予定時刻は遅くなる。このため、部品実装システム1全体で見ると生産完了予定時刻が遅くなることもあり得る。このため、上述したように、処理部50は所定の改善条件が満たされる範囲で使用ノズルNを移動させる。所定の改善条件は、具体的には以下の3つである。処理部50は以下の3つの条件が全て満たされている場合に所定の改善条件が満たされていると判断する。
【0089】
条件1:移動元レーンRの再計算した生産完了予定時刻(すなわち使用ノズルNを仮想的に移動させた後の生産完了予定時刻)が納期の第1所定時間前より遅くなっていないこと。すなわち移動元レーンRが移動先レーンRに変化していないこと。
条件2:再計算した生産完了予定時刻(すなわち使用ノズルNを仮想的に移動させた後の生産完了予定時刻)が元の生産完了予定時刻より遅くなっている移動先レーンRがないこと。
条件3:再計算した生産完了予定時刻(すなわち使用ノズルNを仮想的に移動させた後の生産完了予定時刻)が元の生産完了予定時刻より早くなっている移動先レーンRが1つ以上あること。
【0090】
実施形態2に係る処理部50は、前述した第2の改善処理において、移動元レーンRから移動先レーンRに使用ノズルNを1本ずつ仮想的に移動させ、1本移動させる毎に各レーンRの生産完了予定時刻を再計算し、上述した改善条件が満たされた場合にその移動を確定する。
【0091】
(1)生産計画の改善処理
図16を参照して、実施形態2に係る生産計画の改善処理について説明する。本処理は、いずれかの移動先レーンRに不足ノズルNがあり、且つ、その不足ノズルNと同じ種類の不使用ノズルNが他のレーンRにない場合に開始される。ここでは実施形態1と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
S301では、処理部50は移動先レーンRの不足ノズルNの中にまだ選択していない不足ノズルNがあるか否かを判断し、ある場合はS302に進み、ない場合は処理を終了する。S301が最初に実行されるときはまだ不足ノズルNが選択されていないのでS302に進む。
S302では、処理部50は移動先レーンRの不足ノズルNを1本選択する。S302の実行が2回目以降の場合は未だ選択していない不足ノズルNを選択するものとする。
【0093】
S303では、処理部50は不足ノズルNと同じ種類の使用ノズルNが2本以上ある移動元レーンRが存在するか否かを判定する。処理部50は、存在する場合はS304に進み、存在しない場合はS301に戻る。
S304では、処理部50は移動元レーンRから移動先レーンRに不足ノズルNと同じ種類の使用ノズルNを仮想的に1本移動させる。
【0094】
S305では、処理部50は前述した改善条件が満たされているか否かを判断することによって生産完了予定時刻が改善されたか否かを判断し、改善された場合はS304で仮想的に移動させた使用ノズルNの移動を確定する。処理部50は、改善された場合はS301に戻って処理を繰り返し、改善されていない場合はS306に進む。
S306では、処理部50はS304で仮想的に移動させたノズルNを元に戻す。
【0095】
(2)実施形態の効果
実施形態2に係る管理装置2によると、不使用ノズルNがない場合でも、所定の改善条件が満たされる範囲で移動元レーンRから移動先レーンRに同じ種類の使用ノズルNを仮想的に移動させることにより、一定期間に限定して作成されたノズル配置計画(すなわち現実的な計算量で作成されたノズル配置計画)を現実的な計算量で改善できる。
【0096】
管理装置2によると、改善条件が満たされた場合は生産完了予定時刻が改善されたと見做すことができる。
【0097】
管理装置2によると、改善条件が満たされない場合は使用ノズルNの移動を確定しないので、生産完了予定時刻が改善されない使用ノズルNの移動を抑制できる。
【0098】
<実施形態3>
実施形態3は実施形態2の変形例である。実施形態3に係る処理部50は、前述した第2の改善処理において、移動元レーンRから移動先レーンRに使用ノズルNをn(n≧2)本ずつ仮想的に移動させ、n本移動させる毎に各レーンRの生産完了予定時刻を再計算し、前述した改善条件が満たされた場合にその移動を確定する。上述したnは適宜に決定できる。
【0099】
図17を参照して、実施形態3に係る生産計画の改善処理について説明する。ここでは実施形態2と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
S401では、処理部50は仮想的に移動させた本数がn本に達したか否かを判断し、n本に達した場合はS108に進み、達していない場合はS301に戻って処理を繰り返す。
S402では、処理部50は仮想的に移動させたn本の使用ノズルNを元に戻す。
【0100】
実施形態3に係る管理装置2によると、n本移動させる毎に生産完了予定時刻を再計算するので、1本移動させる毎に生産完了予定時刻を再計算する場合に比べて短時間で生産完了予定時刻を再計算できる。
【0101】
<実施形態4>
実施形態4は実施形態3の変形例である。実施形態4に係る処理部50は、S305で改善条件が満たされないと判断した場合は、最後に移動させたn本の使用ノズルNを1本ずつ仮想的に元に戻し、1本戻す毎に各レーンRの生産完了予定時刻を再計算する。そして、処理部50は改善条件が満たされた場合にその移動を確定する。
【0102】
図18を参照して、実施形態4に係る生産計画の改善処理について説明する。ここでは実施形態3と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
S501では、処理部50は前述した改善条件が満たされているか否かを判断することによって生産完了予定時刻が改善されたか否かを判断する。処理部50は、改善された場合はS301に戻って処理を繰り返し、改善されていない場合はS502に進む。
S502では、処理部50は再判定処理を実行する。
【0103】
図19を参照して、S502で実行される再判定処理について説明する。
S601では、処理部50は最後に移動させたn本の使用ノズルNのうち未だ選択していない使用ノズルNがあるか否かを判断し、ある場合はS602に進み、ない場合は処理を終了する。S601が最初に実行されるときは未だ使用ノズルNが選択されていないのでS602に進む。
S602では、処理部50は最後に移動させたn本の使用ノズルNのうち1本を選択する。S602の実行が2回目以降の場合は未だ選択していない使用ノズルNを選択するものとする。
【0104】
S603では、処理部50は選択した1本の使用ノズルNを元に戻す。
S604では、処理部50は前述した改善条件が満たされているか否かを判断することによって生産完了予定時刻が改善されたか否かを判断し、改善された場合は処理を終了し、改善されていない場合はS601に戻って処理を繰り返す。
【0105】
実施形態4に係る管理装置2によると、最後に移動させたn本の使用ノズルNを1本ずつ仮想的に元に戻し、1本戻す毎に生産完了予定時刻を再計算するので、n本の使用ノズルNを全て戻す場合に比べて生産完了予定時刻を改善できる可能性がある。
【0106】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0107】
(1)上記実施形態では各部品実装ライン10に設けられている部品実装装置15が1台だけであり、レーンRと実装部とが一対一に対応している場合を例示した。これに対し、部品実装ライン10は基板Pの搬送方向に配列された複数台の部品実装装置15を備えていてもよい。この場合は各部品実装装置15の各レーンRがそれぞれ実装部に相当する。この場合は1つのレーンRに実装部が複数存在することになる。この場合、同一レーンRの部品実装装置15間でノズルNを移動させてもよい。
【0108】
(2)上記実施形態ではレーンRが複数ある場合を例示したが、1レーンに複数の部品実装装置15がある場合(言い換えると1レーンに複数の実装部がある場合)は、レーンRは1レーンだけであってもよい。
【0109】
(3)上記実施形態2では所定の改善条件として条件1~3を例示したが、所定の改善条件はこれに限定されない。例えば生産情報に含まれているレーンR毎の生産完了予定時刻のうち最も遅い生産完了予定時刻を元の生産完了予定時刻とし、レーンR毎に再計算した生産完了予定時刻のうち最も遅い生産完了予定時刻が元の生産完了予定時刻より早い場合は、生産完了予定時刻が改善されたと見做してもよい。
【0110】
(4)上記実施形態ではノズル配置計画の改善装置として管理装置2を例示した。これに対し、例えばいずれか1台の部品実装装置15がノズル配置計画の改善装置として機能してもよい。
【符号の説明】
【0111】
1: 部品実装システム
2: 管理装置(ノズル配置計画の改善装置及びコンピュータの一例)
34: ヘッドユニット(実装部及びヘッド部の一例)
35: ヘッド移動部(実装部の一例)
38: ノズルステーション(実装部及びノズルステーションの一例)
41: 実装ヘッド
50: 処理部
51: 記憶部
E: 部品
N: ノズル
P: 基板