(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171656
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】回路装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/18 20060101AFI20241205BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20241205BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H05K1/18 J
H05K3/34 501Z
H01L21/60 311S
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088787
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】姫野 拓真
(72)【発明者】
【氏名】今枝 英樹
(72)【発明者】
【氏名】黄 勇
【テーマコード(参考)】
5E319
5E336
5F044
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AB05
5E319AC02
5E319AC04
5E319CC33
5E319CD04
5E319GG09
5E336AA04
5E336BB02
5E336BB15
5E336BB18
5E336BC01
5E336CC31
5E336CC60
5E336EE01
5E336GG09
5F044KK21
5F044LL01
(57)【要約】
【課題】位置ずれが抑制された回路装置を提供すること。
【解決手段】回路装置100は、マザーボード10と、マザーボード10に実装されたマルチチップモジュール20と、マザーボード10とマルチチップモジュール20とを電気的に接続する端子としてのはんだボール30を備えている。また、回路装置100は、マザーボード10に対するマルチチップモジュール20の位置決めをするための位置決部として、マザーボード10に設けられた位置決穴13と、マルチチップモジュール20に設けられた、位置決穴13と同一中心軸の位置決穴23を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板(10)と、
前記回路基板に実装された電子部品(20)と、
前記回路基板と前記電子部品とを電気的に接続する端子としてのはんだ部材(30)と、
前記回路基板に対する前記電子部品の位置決めをするための位置決部(13,23,200,55)と、を備えた回路装置。
【請求項2】
前記位置決部は、
前記回路基板に設けられた第1位置決穴(13)と、
前記電子部品に設けられた、前記第1位置決穴と同一中心軸の第2位置決穴(23)である請求項1に記載の回路装置。
【請求項3】
前記第1位置決穴と前記第2位置決穴は、前記はんだ部材を溶融させて前記回路基板と前記電子部品とを電気的に接続する際に前記回路基板と前記電子部品とを固定する固定具が挿入可能に構成されている請求項2に記載の回路装置。
【請求項4】
前記位置決部は、棒状部材を備えており、
前記回路基板は、前記棒状部材が挿入された第1位置決穴(13)が設けられ、
前記電子部品は、前記第1位置決穴と同一中心軸であり、前記棒状部材が挿入された第2位置決穴(23)が設けられ、
前記棒状部材は、前記第1位置決穴と前記第2位置決穴に挿入された状態で、前記回路基板と前記電子部品に固定されている請求項1に記載の回路装置。
【請求項5】
前記回路基板は、二箇所以上に前記第1位置決穴が設けられ、
前記電子部品は、二箇所以上に前記第2位置決穴が設けられている請求項2または4に記載の回路装置。
【請求項6】
前記位置決部は、前記回路基板における前記電子部品が実装された実装面に実装されており、前記電子部品の側壁(S13)に隣り合って配置された高背部品である請求項1に記載の回路装置。
【請求項7】
前記回路基板は、前記はんだ部材が電気的に接続されるランドを備え、
前記高背部品と前記側壁との間隔は、前記ランドの半径以下である請求項6に記載の回路装置。
【請求項8】
前記高背部品は、前記電子部品を挟み込む位置に設けられている請求項6または7に記載の回路装置。
【請求項9】
前記高背部品は、前記はんだ部材を溶融させて前記回路基板と前記電子部品とを電気的に接続する際に、前記側壁と隣り合っている請求項6に記載の回路装置。
【請求項10】
回路基板(10)と電子部品(20)とが端子としてのはんだ部材(30)を介して電気的に接続された回路装置の製造方法であって、
前記電子部品に前記はんだ部材を仮付けする仮付工程と、
前記はんだ部材を介して、前記回路基板上に前記電子部品を配置する配置工程と、
前記回路基板に設けられた第1位置決穴(13)と、前記電子部品に設けられた前記第1位置決穴と同一中心軸の第2位置決穴(23)とに棒状部材(200)を挿入して、前記回路基板に対する前記電子部品の位置決めをする位置決工程と、
前記位置決工程後に、前記はんだ部材を溶融させて前記回路基板と前記電子部品とを電気的に接続するはんだ付け工程と、を備えた回路装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の製造方法で製造される回路装置であって、
前記回路基板(10)には、前記回路基板と前記電子部品とを固定する前記棒状部材(200)が挿入される前記第1位置決穴(13)が構成され、
前記電子部品(20)には、前記棒状部材が挿入される前記第2位置決穴(23)が構成されている回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回路装置の一例である半導体装置が開示されている。半導体装置は、電子部品である回路モジュールと、回路モジュールが実装された回路基板とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、回路装置は、回路基板と電子部品とを電気的に接続する端子としてはんだ部材が用いられることがある。その回路装置では、回路基板に電子部品を実装する際に、はんだ部材が移動して、回路基板に対して電子部品が位置ずれすることが起こり得る。
【0005】
開示される一つの目的は、位置ずれが抑制された回路装置を提供することである。開示される他の一つの目的は、位置ずれを抑制できる回路装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1は、
回路基板(10)と、
回路基板に実装された電子部品(20)と、
回路基板と電子部品とを電気的に接続する端子としてのはんだ部材(30)と、
回路基板に対する電子部品の位置決めをするための位置決部(13,23,200,55)と、を備えた回路装置である。
【0007】
これによって、本開示は、回路基板に対する電子部品の位置ずれが抑制された回路装置とすることができる。
【0008】
本開示の第2は、
回路基板(10)と電子部品(20)とが端子としてのはんだ部材(30)を介して電気的に接続された回路装置の製造方法であって、
電子部品にはんだ部材を仮付けする仮付工程と、
はんだ部材を介して、回路基板上に電子部品を配置する配置工程と、
回路基板に設けられた第1位置決穴(13)と、電子部品に設けられた第1位置決穴と同一中心軸の第2位置決穴(23)とに棒状部材(200)を挿入して、回路基板に対する電子部品の位置決めをする位置決工程と、
位置決工程後に、はんだ部材を溶融させて回路基板と電子部品とを電気的に接続するはんだ付け工程と、を備えた回路装置の製造方法である。
【0009】
これによって、回路基板の製造方法は、回路基板と電子部品とをはんだ付けする際に、回路基板に対して電子部品が位置ずれすることを抑制できる。
本開示の第3は、
上記製造方法で製造される回路装置であって、
回路基板(10)には、回路基板と電子部品とを固定する棒状部材(200)が挿入される第1位置決穴(13)が構成され、
電子部品(20)には、棒状部材が挿入される第2位置決穴(23)が構成されている回路装置である。
これによって、回路装置は、回路基板に対する電子部品の位置ずれが抑制された構成とすることができる。
【0010】
この明細書において開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態における回路装置の概略構成を示す平面図である。
【
図3】製造方法の仮付工程を示す工程別断面図である。
【
図4】製造方法の第1接続工程を示す工程別断面図である。
【
図5】製造方法の第2接続工程を示す工程別断面図である。
【
図6】製造方法の配置工程を示す工程別断面図である。
【
図7】変形例における回路装置の概略構成を示す断面図である。
【
図8】実施形態における回路装置の概略構成を示す平面図である。
【
図10】製造方法の仮付工程を示す工程別断面図である。
【
図11】製造方法の第1接続工程を示す工程別断面図である。
【
図12】製造方法の第2接続工程を示す工程別断面図である。
【
図13】製造方法の配置工程を示す工程別断面図である。
【
図14】間隔D1を説明する理想状態の平面図である。
【
図15】間隔D1を説明する位置ずれ状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。なお、以下においては、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向と示す。
【0013】
(第1実施形態)
図1~
図6を用いて、第1実施形態の回路装置100に関して説明する。
【0014】
<回路装置の構造>
まず、
図1、
図2を用いて回路装置100の構造に関して説明する。回路装置100は、主に、マザーボード10と、マルチチップモジュール20と、はんだボール30とを備えている。
【0015】
図1、
図2に示すように、マザーボード10は、絶縁基板11、ランド12、位置決穴13などを備えている。絶縁基板11は、樹脂やセラミックなどの電気的な絶縁性部材を主成分として構成されている。絶縁基板11は、マルチチップモジュール20などが実装される実装面S1と、実装面S1の反対面S2とを有している。マザーボード10は、回路基板に相当する。
【0016】
絶縁基板11は、導電性部材を主成分とする配線が設けられている。配線は、絶縁基板11の内層や表層などに設けられている。ランド12は、配線の一部である。ランド12は、絶縁基板11の実装面S1と反対面S2に露出している。ランド12は、マルチチップモジュール20が実装される部位である。つまり、ランド12は、はんだボール30を介して、マルチチップモジュール20が電気的に接続される。なお、マザーボード10は、後ほど説明する第3回路部品53や第4回路部品54が電気的に接続されるランド12も備えている。しかしながら、
図2では、図面を簡略化するために省略している。
【0017】
実装面S1には、マルチチップモジュール20に加えて、第4回路部品54が実装されている。反対面S2には、第3回路部品53が実装されている。つまり、マザーボード10は、第3回路部品53と第4回路部品54とを備えている。第3回路部品53と第4回路部品54は、抵抗素子やコンデンサなどのチップ部品である。
【0018】
なお、実装面S1は、第4回路部品54が実装されていなくてもよい。反対面S2は、第3回路部品53が実装されていなくもよい。この場合、反対面S2には、ランド12が設けられていなくてもよい。
【0019】
位置決穴13は、マザーボード10に対するマルチチップモジュール20の位置を決めるための部位である。位置決穴13は、マザーボード10に設けられた位置決部といえる。位置決穴13は、位置決部および第1位置決穴に相当する
図2に示すように、位置決穴13は、絶縁基板11の実装面S1から反対面S2に貫通して設けられている。よって、絶縁基板11は、位置決穴13を形成する環状の壁面を有しているともいえる。しかしながら、本開示は、これに限定されない。位置決穴13は、実装面S1に開口端を有する凹部であっても採用できる。
【0020】
図1に示すように、位置決穴13は、二箇所に設けられている。しかしながら、本開示は、これに限定されない。位置決穴13は、少なくとも一箇所に設けられていればよい。よって、位置決穴13は、一箇所に設けられていてもよく、三箇所以上に設けられていてもよい。
【0021】
マルチチップモジュール20は、マザーボード10に実装されている。マルチチップモジュール20は、はんだボール30を介して、マザーボード10と電気的に接続されている(実装状態)。よって、マルチチップモジュール20は、マザーボード10に積層配置されるといえる。マルチチップモジュール20とマザーボード10の積層方向は、Z方向と一致する。
【0022】
マルチチップモジュール20は、絶縁基板21、ランド22、位置決穴23などを備えている。絶縁基板21は、樹脂やセラミックなどの電気的な絶縁性部材を主成分として構成されている。絶縁基板21は、マザーボード10と対向する対向面S11と、対向面S11の反対面S12とを有している。マルチチップモジュール20は、電子部品に相当する。
【0023】
絶縁基板21は、導電性部材を主成分とする配線が設けられている。配線は、絶縁基板21の内層や表層などに設けられている。ランド22は、配線の一部である。ランド22は、絶縁基板21の対向面S11と反対面S12に露出している。ランド22は、はんだボール30を介して、マザーボード10と電気的に接続される。なお、マルチチップモジュール20は、後ほど説明する第1回路部品51や第2回路部品52が電気的に接続されるランド22も備えている。しかしながら、
図2では、図面を簡略化するために省略している。
【0024】
対向面S11には、第1回路部品51が実装されている。反対面S12には、第2回路部品52が実装されている。つまり、マルチチップモジュール20は、第1回路部品51と第2回路部品52とを備えている。
【0025】
第1回路部品51と第2回路部品52は、システムオンチップ(System on Chip)、メモリ装置、および、電源回路などのチップ部品である。また、第1回路部品51と第2回路部品52は、抵抗素子やコンデンサなどのチップ部品であってもよい。よって、マルチチップモジュール20は、たとえば、第1回路部品51として抵抗素子やコンデンサなどが実装されており、第2回路部品52としてシステムオンチップ、メモリ装置、および、電源回路などが実装されていてもよい。なお、システムオンチップは、システムの動作に必要な機能が一つの半導体チップに実装されている。システムオンチップは、たとえば、通信機能を備えたものなどが採用される。
【0026】
なお、対向面S11は、第1回路部品51が実装されていなくてもよい。反対面S12は、第2回路部品52が実装されていなくもよい。この場合、反対面S12には、ランド12が設けられていなくてもよい。
【0027】
位置決穴23は、マザーボード10に対するマルチチップモジュール20の位置を決めるための部位である。位置決穴23は、マルチチップモジュール20に設けられた位置決部といえる。位置決穴23は、位置決部および第2位置決穴に相当する。
【0028】
図2に示すように、位置決穴13は、絶縁基板11の実装面S1から反対面S2に貫通して設けられている。よって、絶縁基板21は、位置決穴23を形成する環状の壁面を有しているともいえる。
【0029】
しかしながら、本開示は、これに限定されない。位置決穴23は、絶縁基板21の側壁に設けられた切欠であっても採用できる。この場合、絶縁基板21は、位置決穴23を形成する非環状の側壁を有しているといえる。また、絶縁基板21は、XY平面から見た場合(平面視)、C字形状などの位置決穴23が設けられているともいえる。位置決穴23は、位置決部および第2位置決穴に相当する。
【0030】
また、位置決穴13と位置決穴23は、同一中心軸となるように設けられている。つまり、マザーボード10にマルチチップモジュール20が置かれた状態(載置状態)で、位置決穴23の中心軸と位置決穴13の中心軸とが同一直線状に配置される。この中心軸は、Z方向に延びる仮想軸である。また、位置決穴13と位置決穴23は、載置状態において、互いに対向する位置に設けられているともいえる。さらに、位置決穴13と位置決穴23は、載置状態において、水平方向の位置が一致している。なお、水平方向は、X方向とY方向とによって規定されるXY平面に沿う方向である。
【0031】
このため、回路装置100は、位置決穴23の中心軸と位置決穴13の中心軸とを同一直線状に配置することで、マザーボード10とマルチチップモジュール20とを位置決めできる。よって、回路装置100は、マザーボード10に対するマルチチップモジュール20の位置ずれを抑制できる。さらに、回路装置100は、マザーボード10とマルチチップモジュール20との電気的な信頼性を確保できる。
【0032】
また、回路装置100は、位置決穴23の中心軸と位置決穴13の中心軸とが同一直線状に配置されたことを確認することで、マザーボード10とマルチチップモジュール20とが位置ずれしていないことを確認できる。
【0033】
なお、位置決穴13は、マザーボード10において配線や回路部品53,54と電気的に接続されていなくてもよい。同様に、位置決穴23は、マルチチップモジュール20において配線や回路部品51,52と電気的に接続されていなくてもよい。つまり、本実施形態では、一例として、回路装置100の電気的な機能に寄与しない位置決穴13,23を採用している。回路装置100は、マザーボード10とマルチチップモジュール20とを位置決めするために、位置決穴23の中心軸と位置決穴13の中心軸とが同一直線状に配置されている。
【0034】
図1に示すように、位置決穴23は、平面視において対角線上の二箇所に設けられている。しかしながら、本開示は、これに限定されない。位置決穴23は、少なくとも一箇所に設けられていればよい。よって、位置決穴23は、一箇所に設けられていてもよく、三箇所以上に設けられていてもよい。位置決穴23は、平面視において複数の角部に設けられていてもよい。なお、位置決穴23の数は、たとえば、位置決穴13と同数である。位置決穴13,23は、スルーホールともいえる。
【0035】
後ほど詳しく説明するが、マザーボード10とマルチチップモジュール20は、はんだボール30を溶融させて電気的に接続されている。つまり、マザーボード10とマルチチップモジュール20は、リフローはんだ付けされている。位置決穴13,23は、リフローはんだ付けを行う際に、マザーボード10とマルチチップモジュール20とを固定する固定具200が挿入可能に構成されている。
【0036】
ここでの固定は、マザーボード10に対してマルチチップモジュール20が水平方向に移動しないようにすることを示している。言い換えると、固定とは、水平方向において、マザーボード10とマルチチップモジュール20が相対的に変位(位置ずれ)しないことを示している。つまり、マザーボード10とマルチチップモジュール20は、リフローはんだ付けする際に、固定具200によって位置決めされている。このため、位置決穴13,23は、複数個所に設けられることで位置を固定しやすくできる。固定具200は、リフローはんだ付け時における水平方向への変位を規制する変位規制部材ともいえる。なお、固定具200やリフローはんだ付けに関しては、後ほど詳しく説明する。
【0037】
本実施形態では、電子部品の一例としてマルチチップモジュール20を採用している。しかしながら、電子部品は、BGA部品などの回路部品(チップ部品)であっても採用できる。この場合、マルチチップモジュール20を回路基板、第2回路部品52を電子部品とみなすこともできる。
【0038】
図2に示すように、はんだボール30は、マザーボード10とマルチチップモジュール20とを電気的に接続する端子である。はんだボール30は、マザーボード10とマルチチップモジュール20との間に配置されている。はんだボール30は、フラックス41を介してランド12に電気的に接続されている。また、はんだボール30は、フラックス42を介してランド22に電気的に接続されている。なお、フラックス41,42のかわりにはんだペーストを用いることもできる。これらの点は、下記の第2実施形態でも同様である。
【0039】
なお、
図2においては、リフロー工程後のはんだボール30を示している。一方、
図3~
図6では、リフロー工程前のはんだボール30を示している。はんだボール30は、はんだ部材に相当する。リフロー工程とは、はんだボール30をリフローはんだ付けする、はんだ付け工程である。
【0040】
<回路装置の製造方法>
次に、
図3~
図6を用いて、回路装置100の製造方法に関して説明する。上記のように、本製造方法では、固定具200を用いる。
【0041】
図6に示すように、固定具200は、挿入棒201と頭部202とを備えている。挿入棒201は、位置決穴13,23に挿入可能な棒である。また、挿入棒201は、実装状態において、位置決穴13,23に挿入可能な程度の長さであればよい。頭部202は、挿入棒201の一部からXY平面方向に突出した部位である。頭部202は、固定具200を位置決穴13,23から抜く際の把持部である。また、頭部202は、挿入棒201が位置決穴13,23から抜けないようにするためのストッパーとしての機能を有していてもよい。固定具200は、棒状部材に相当する。
【0042】
なお、固定具200は、樹脂を主成分としたものであっても、金属を主成分としたものであっても採用できる。固定具200は、リフロー工程時に溶融しない材料であれば特に限定されない。
【0043】
まず、
図3に示すように、本製造方法では、絶縁基板21の対向面S11にはんだボール30を仮付けする(仮付工程)。はんだボール30は、フラックス42を介してランド22に接続される。なお、仮付工程は、マルチチップモジュール20にはんだボール30を仮付けする工程ともいえる。また、仮付工程では、絶縁基板21の対向面S11に、はんだペーストを介して第1回路部品51を接続する。このとき、第1回路部品51は、対向面S11のランドに接続される。しかしながら、仮付工程では、リフローはんだ付けは行わない。よって、第1回路部品51およびはんだボール30は、絶縁基板21に仮付された状態である。なお、仮付は、仮止ともいえる。
【0044】
なお、本製造方法では、仮付工程に先立って、配線や位置決穴23が形成された絶縁基板21を準備しておく(第1準備工程)。絶縁基板21は、第1準備工程でランド22が形成される。はんだボール30は、第1準備工程にてマルチチップモジュール20(絶縁基板21)に仮付されていてもよい。
【0045】
次に、
図4に示すように、本製造方法では、マルチチップモジュール20の反対面S12に、はんだペーストを介して第2回路部品52を接続する(第1接続工程)。このとき、第2回路部品52は、反対面S12のランドに接続される。しかしながら、ここでも、リフローはんだ付けは行わない。よって、第2回路部品52は、絶縁基板21に仮付された状態である。なお、仮付工程は、第1接続工程を含んでいるともみなせる。
【0046】
次に、
図5に示すように、本製造方法では、絶縁基板11の反対面S2に、はんだペーストを介して第3回路部品53を接続する(第2接続工程)。このとき、第3回路部品53は、反対面S2のランドに接続される。ここでは、リフローはんだ付けによって、第3回路部品53を絶縁基板11に実装する。つまり、第3回路部品53は、仮付ではなく、はんだによって絶縁基板11に固定されている。
【0047】
なお、本製造方法では、第3回路部品53を接続する工程に先立って、配線や位置決穴13が形成された絶縁基板11を準備しておく(第2準備工程)。絶縁基板11は、第2準備工程でランド12が形成される。
【0048】
次に、
図6に示すように、本製造方法では、はんだボール30を介して、マザーボード10上にマルチチップモジュール20を配置する(配置工程)。配置工程では、はんだボール30が仮付されたマルチチップモジュール20をマザーボード10の実装面S1上に置く工程である。このとき、はんだボール30は、フラックス41を介してランド12上に配置される。また、はんだボール30は、ランド12上に設けられたフラックス41上に配置される。
【0049】
また、配置工程では、絶縁基板11の実装面S1に、はんだペーストを介して第4回路部品54を接続する。このとき、第4回路部品54は、実装面S1のランドに搭載する。配置工程では、リフローはんだ付けは行わない。よって、第4回路部品54およびはんだボール30は、絶縁基板11に仮付された状態である。
【0050】
なお、配置工程の段階では、第4回路部品54が仮付された状態ではあるが、便宜的にマザーボード10と記載している。同様に、絶縁基板21に第1回路部品51と第2回路部品52が仮付された状態の構成をマルチチップモジュール20と記載している。この点は、以下に説明する位置決工程でも同様である。
【0051】
ところで、はんだボール30は、配置工程の段階ではフラックス41,42でランド12,22に仮付されている状態である。つまり、はんだボール30は、リフローはんだ付けされて、ランド12,22に固定されている状態ではない。このため、はんだボール30は、振動などによって、ランド12,22に対して移動することがある。はんだボール30は、たとえば、ランド12上のフラックス41から転がって移動する。
【0052】
この移動に伴って、上記のようにマザーボード10とマルチチップモジュール20は、相対的に位置ずれする可能性がある。なお、振動は、マルチチップモジュール20を配置するときや、マルチチップモジュール20が配置されたマザーボード10を移動させるときなどに生じる。また、マザーボード10とマルチチップモジュール20は、リフロー工程時においても位置ずれすることがある。
【0053】
そこで、本製造方法では、マザーボード10に設けられた位置決穴13と、マルチチップモジュール20に設けられた位置決穴23とに固定具200を挿入する(位置決工程)。詳述すると、位置決工程では、固定具200の挿入棒201を位置決穴13,23に挿入する。つまり、位置決工程では、対向配置された対をなす位置決穴13,23に、一つの挿入棒201を挿入する。よって、本実施形態では、二本の固定具200(挿入棒201)を挿入することになる。これによって、位置決穴13,23の中心軸が同一直線状に配置される。
【0054】
このようにして、位置決工程では、マザーボード10に対するマルチチップモジュール20の位置決めをする。このとき、固定具200の頭部202は、位置決穴23から露出した状態となっている。以下、マザーボード10上にマルチチップモジュール20が配置され、位置決穴13,23に固定具200が挿入された状態の構造体は、リフロー前装置とも称する。
【0055】
本実施形態では、一例として、対角線上の二箇所に位置決穴23が設けられた例を採用している。このため、リフロー前装置は、水平方向におけるマザーボード10とマルチチップモジュール20との位置ずれを抑制できる。また、リフロー前装置は、回転方向における位置ずれを抑制できる。回転方向とは、Z方向に延びる仮想直線を回転軸として回転する方向である。
【0056】
なお、本製造方法は、たとえば、固定具200を位置決穴23にのみ挿入する。そして、本製造方法は、固定具200が挿入されたマルチチップモジュール20をマザーボード10上に配置する。このとき、固定具200が位置決穴13に挿入されるように配置する。つまり、本製造方法は、配置工程と位置決工程とが同一工程であってもよい。
【0057】
そして、本製造方法では、配置工程と位置決工程後に、はんだボール30を溶融させてマザーボード10とマルチチップモジュール20を電気的に接続する(リフロー工程)。リフロー工程は、リフロー前装置をリフロー炉内に搬入する。リフロー工程では、所定の温度に加熱されたリフロー炉内で、リフロー前装置のリフローはんだ付けを行う。つまり、はんだ付け工程では、固定具200で位置決めされた状態で、マザーボード10とマルチチップモジュール20をリフローはんだ付けする。
【0058】
また、はんだ付け工程では、絶縁基板11と第4回路部品54、絶縁基板21と第1回路部品51および第2回路部品52に関してもリフローはんだ付けする。このため、はんだ付け工程は、三段一括でリフローはんだ付けを行うといえる。
【0059】
リフロー工程によって、絶縁基板11には、第4回路部品54とはんだボール30とが固定される。また、絶縁基板21には、第1回路部品51、第2回路部品52、およびはんだボール30が固定される。
【0060】
さらに、本製造方法では、リフロー工程後に固定具200を抜き取る(抜き取り工程)。抜き取り工程では、位置決穴13,23に挿入されている固定具200の頭部202を掴んで抜き取る。固定具200を抜き取る際には、ロボットアームなどを用いることができる。
【0061】
これによって、
図1、
図2に示す回路装置100を製造できる。また、本製造方法は、マザーボード10とマルチチップモジュール20とをリフローはんだ付けする際に、マザーボード10に対してマルチチップモジュール20が位置ずれすることを抑制できる。そのため、本製造方法は、マザーボード10とマルチチップモジュール20との電気的な信頼性が確保された回路装置100を製造できる。
【0062】
さらに、本製造方法では、三段一括でリフローはんだ付けを行っている。このため、本製造方法では、マザーボード10とマルチチップモジュール20の各面S1、S2、S11、S12に対してリフローはんだ付けを行う方法よりも、リフロー炉の作動時間を短くできる。そのため、本製造方法は、リフロー炉を作動させる際の使用燃料量および二酸化炭素排出量を低減できる。つまり、本製造方法は、使用燃料量および二酸化炭素排出量を低減しつつ位置ずれを抑制できる。
【0063】
<変形例>
図7を用いて、変形例の回路装置101に関して説明する。回路装置101は、回路装置100の変形例である。そのため、回路装置101は、回路装置100と共通する箇所が多い。共通する箇所には、回路装置100と同じ符号を付与している。ここでは、主に、回路装置100と異なる箇所に関して説明する。なお、
図7は、
図2に相当する断面図である。
【0064】
回路装置101は、マザーボード10a、マルチチップモジュール20a、固定具200を備えている。マザーボード10aは、絶縁基板11に固定用ランド14が設けられている。固定用ランド14は、反対面S2に露出して設けられている。また、固定用ランド14は、位置決穴13の周辺に設けられている。固定用ランド14は、絶縁基板11の配線の一部である。
【0065】
マルチチップモジュール20aは、絶縁基板21に固定用ランド24が設けられている。固定用ランド24は、反対面S12に露出して設けられている。また、固定用ランド24は、位置決穴23の周辺に設けられている。固定用ランド24は、絶縁基板21の配線の一部である。固定用ランド24を含む絶縁基板21の配線は、固定用ランド14を含む絶縁基板21の配線と同電位である。固定用ランド14,24が接続される配線は、たとえばグランド配線などである。
【0066】
なお、
図7では、固定具200の頭部202を上記実施形態と異なる形状にしている。しかしながら、頭部202は、上記実施形態と同様の形状であっても採用できる。
【0067】
マザーボード10aは、固定具200の挿入棒201が位置決穴13に挿入されている。マルチチップモジュール20aは、固定具200の挿入棒201が位置決穴23に挿入されている。つまり、回路装置101は、対向配置された対をなす位置決穴13,23に、一つの挿入棒201が挿入されている。よって、回路装置101は、二つの固定具200を備えている。なお、固定具200の数は、これに限定されない。
【0068】
固定具200は、挿入棒201が位置決穴13,23に挿入された状態で、マザーボード10aとマルチチップモジュール20aとに固定されている。固定具200は、固定用はんだ61によって、頭部202側が固定用ランド24に固定されている。固定具200は、固定用はんだ61によって、頭部202と反対側が固定用ランド14に固定されている。これによって、固定具200は、マザーボード10aおよびマルチチップモジュール20aと電気的に接続される。なお、固定用はんだ61による接続は、リフロー工程前に行ってもよいし、リフロー工程で行ってもよい。
【0069】
回路装置101は、回路装置100と同様の効果を奏することができる。また、回路装置101は、はんだボール30だけではなく、固定具200によってもマザーボード10aとマルチチップモジュール20aとが電気的に接続されている。このため、回路装置101は、たとえば、グランド配線どうしを接続するためのはんだボール30を他の接続に用いることができる。
【0070】
なお、固定用ランド14は、絶縁基板11の配線と電気的に接続されていなくもよい。同様に、固定用ランド24は、絶縁基板21の配線と電気的に接続されていなくもよい。この場合、固定用ランド14,24は、樹脂を主成分として構成されていてもよい。
【0071】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、第2実施形態に関して説明する。上記実施形態および第2実施形態は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【0072】
<第2実施形態>
図8~
図15を用いて、第2実施形態の回路装置102に関して説明する。回路装置102は、回路装置100と共通する箇所が多い。共通する箇所には、回路装置100と同じ符号を付与している。ここでは、主に、回路装置100と異なる箇所に関して説明する。なお、
図14、
図15は、回路装置102をマルチチップモジュール20側からみた図面である。しかしながら、マルチチップモジュール20bと高背部品55の位置関係を説明するために、ランド12やはんだボール30を実線で示している。
【0073】
回路装置102は、位置決部として高背部品55を備えている点が回路装置100と異なる。そのため、回路装置102は、位置決穴13,23が設けられていない。また、回路装置102の製造方法では、固定具200を用いることはない。
【0074】
図8、
図9に示すように、回路装置102は、マザーボード10b、マルチチップモジュール20bを備えている。マルチチップモジュール20bは、位置決穴23が設けられていない点がマルチチップモジュール20と異なる。その他の構成は、マルチチップモジュール20と同様である。
【0075】
マザーボード10bは、高背部品55が設けられている点、および位置決穴13が設けられていない点がマザーボード10と異なる。その他の構成は、マザーボード10と同様である。
【0076】
絶縁基板11の実装面S1には、高背部品55が実装されている。高背部品55は、回路部品の一つである。高背部品55は、第4回路部品54などに比べて背が高い部品である。高背部品55は、たとえばICチップやコンデンサなどを採用できる。しかしながら、高背部品55は、ICチップやコンデンサに限定されず、所定の高さ基準を満たすものであれば採用できる。ここでの高さは、Z方向における長さである。
【0077】
高さ基準は、
図9に示すように、実装面S1に実装された状態で、マルチチップモジュール20の側壁S13に隣り合って配置されていることである。また、高さ基準は、リフロー工程後において、マルチチップモジュール20の側壁S13に隣り合って配置されていることともいえる。なお、側壁S13の対向領域に、高背部品55の少なくとも一部が配置されている場合に、側壁S13に隣り合って配置されているとみなせる。
【0078】
よって、対向面S11は、Z方向において、高背部品55の頂点よりも実装面S1側に位置している。また、Z方向において、実装面S1から高背部品55の頂点までの長さは、実装面S1と対向面S11との間隔よりも長いともいえる。なお、高背部品55の頂点は、Z方向において、高背部品55における実装面S1から最も離れている部位である。
【0079】
なお、高背部品55は、はんだボール33のリフロー工程時に、側壁S13と隣り合っている。つまり、高さ基準は、リフロー工程時に、マルチチップモジュール20の側壁S13に隣り合って配置されたことであってもよい。この場合、高背部品55は、リフロー工程後に側壁S13と隣り合っていなくてもよい。
【0080】
高背部品55は、マルチチップモジュール20との間隔D1が所定の間隔基準を満たすように配置されると好ましい。間隔D1は、高背部品55と側壁S13との距離(最短距離)である。
【0081】
ここで、
図14、
図15を用いて、間隔D1および間隔基準に関して説明する。
図14は、はんだボール30が位置ずれしていない理想状態を示している。一方、
図15は、はんだボール30が最大の位置ずれとなった位置ずれ状態を示している。位置ずれ状態は、マザーボード10に対してマルチチップモジュール20が最大の位置ずれとなった状態ともいえる。なお、マザーボード10とマルチチップモジュール20は、上記実施形態で説明したように位置ずれする可能性がある。
【0082】
また、
図14、
図15では、ランド12の半径であるランド半径をX1、はんだボール30の半径であるはんだ半径をX2としている。ランド12は、固定位置F1で固定されている。高背部品55は、固定位置F2で固定されている。SW1は、マルチチップモジュール20の側壁S13に沿う仮想線である。なお、ランド12およびはんだボール30は、便宜的に、XY平面に沿う断面形状が円形とする。しかしながら、ランド12やはんだボール30は、円形に限定されない。
【0083】
はんだボール30は、マザーボード10とマルチチップモジュール20とを電気的に接続している。このため、はんだボール30は、位置ずれしたとしてもランド12に接している必要がある。はんだボール30およびランド12は、固定位置F1、F2に固定されている。そのため、間隔基準は、たとえば、はんだ半径X2以下を採用できる。
【0084】
さらに、
図8に示すように、高背部品55は、マルチチップモジュール20を挟み込む位置に設けられると好ましい。本実施形態では、X方向とY方向において、マルチチップモジュール20を挟み込む四箇所に高背部品55を設けた例を採用している。各高背部品55は、二つの側壁S13によって形成される角部に偏った位置に設けられている。つまり、マザーボード10は、対角となる二つの角部の一方に偏った位置に二つの高背部品55が設けられ、他方に偏った位置に二つの高背部品55が設けられている。なお、マルチチップモジュール20を挟み込む高背部品55の位置は、配置基準ともいえる。
【0085】
なお、マザーボード10は、マルチチップモジュール20の周辺における空きスペースや高背部品55の形状を考慮して、高背部品55の最適な位置や個数が設定されると好ましい。
【0086】
回路装置102は、高背部品55によって、マザーボード10に対するマルチチップモジュール20の位置ずれを抑制できる。さらに、回路装置102は、マザーボード10とマルチチップモジュール20との電気的な信頼性を確保できる。
【0087】
次に、
図10~
図13を用いて、回路装置102の製造方法に関して説明する。本製造方法では、固定具200を用いることなく回路装置102を製造する。
【0088】
まず、
図10に示すように、本製造方法では、上記実施形態と同様、絶縁基板21の対向面S11にはんだボール30を仮付けする(仮付工程)。なお、本製造方法では、仮付工程に先立って、配線が形成された絶縁基板21を準備しておく(第1準備工程)。
【0089】
次に、
図11に示すように、本製造方法では、上記実施形態と同様、マルチチップモジュール20の反対面S12に、はんだペーストを介して第2回路部品52を接続する。次に、
図12に示すように、本製造方法では、上記実施形態と同様、絶縁基板11の反対面S2に、はんだペーストを介して第3回路部品53を接続する。なお、本製造方法では、第3回路部品53を接続する工程に先立って、配線が形成された絶縁基板11を準備しておく(第2準備工程)。第2準備工程では、はんだボール30が実装されるランド12に加えて、高背部品55が実装されるランド12が形成される。
【0090】
次に、
図13に示すように、本製造方法では、上記実施形態と同様、はんだボール30を介して、マザーボード10上にマルチチップモジュール20を配置する(配置工程)。また、配置工程では、絶縁基板11の実装面S1に、はんだペーストを介して第4回路部品54および高背部品55を接続する。このとき、第4回路部品54と高背部品55は、実装面S1のランドに搭載する。配置工程では、リフローはんだ付けは行わない。よって、第4回路部品54、高背部品55、およびはんだボール30は、絶縁基板11に仮付された状態である。
【0091】
また、配置工程では、間隔基準および配置基準を満たすように高背部品55を配置する。高背部品55を配置する工程は、位置決工程ともいえる。この場合、理想状態から位置ずれ状態まで位置ずれした場合、マルチチップモジュール20は、側壁S13が高背部品55に接触する。このため、回路装置102は、はんだボール30とランド12とが電気的に接続されない状態まで、マザーボード10とマルチチップモジュール20とが相対的に位置ずれすることを抑制できる。また、回路装置102は、はんだボール30のズレ幅をはんだ付けの有効範囲に制限できるともいえる。なお、はんだボール30とランド12とが電気的に接続されない状態は、はんだリフロー不良ともいえる。しかしながら、本開示は、これに限定されない。間隔基準は、位置ずれが生じたとしても、はんだリフロー不良とならない値であれば採用できる。
【0092】
さらに、リフロー前装置は、水平方向におけるマザーボード10とマルチチップモジュール20との位置ずれを抑制できる。また、リフロー前装置は、回転方向における位置ずれを抑制できる。
【0093】
そして、本製造方法では、配置工程後に、上記実施形態と同様、はんだボール30を溶融させてマザーボード10とマルチチップモジュール20を電気的に接続する(リフロー工程)。これによって、
図8、
図9に示す回路装置102を製造できる。また、本製造方法は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0094】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0095】
10,10a,10b…マザーボード、11…絶縁基板、12…ランド、13…位置決穴、14…固定用ランド、20,20a,20b…マルチチップモジュール、21…絶縁基板、22…ランド、23…位置決穴、24…固定用ランド、30…はんだボール、41,42…フラックス、51…第1回路部品、52…第2回路部品、53…第3回路部品、54…第4回路部品、55…高背部品、61…固定用はんだ、100~102…回路装置、200,200…固定具、201…挿入棒、202…頭部、S1…実装面、S2…反対面、S11…対向面、S12…反対面、D1…間隔、X1…ランド半径、X2…はんだ半径