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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171660
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電磁シールド体および電子装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20241205BHJP
   H05K 3/34 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
H05K9/00 E
H05K3/34 507A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088791
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】鵜生 高徳
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 正史
【テーマコード(参考)】
5E319
5E321
【Fターム(参考)】
5E319AA01
5E319AC01
5E319BB05
5E319CC22
5E319GG20
5E321AA02
5E321AA03
5E321AA05
5E321AA17
5E321AA41
5E321CC12
5E321CC22
5E321CC25
5E321GG01
5E321GG05
(57)【要約】
【課題】簡素な構成でシールド効果を高めることができる電磁シールド体および電子装置を提供すること。
【解決手段】電磁シールド体30は、第1部材31、第2部材32、および固定部材33を備える。第1部材31は、筒状をなし、筒内に回路要素を収容する壁部である内壁311を有する。内壁311は、角を有さない外形をもつ。第2部材32は、内壁311を外周面311a側から覆うとともに、内壁311の開口311bを閉塞する。固定部材33は、ひも状に設けられ、第2部材32における内壁311を覆う部分の外面に配置される。固定部材33は、第2部材32と内壁311とを全周にわたって電気的に接続する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状をなし、軸方向の平面視において角を有さない外形をもつ壁部(311)を有し、筒内に回路要素を収容する第1部材(31)と、
前記壁部を外周面側から覆うとともに、前記壁部の開口のひとつを閉塞する第2部材(32)と、
前記第2部材における前記壁部を覆う部分の外面に配置され、前記第2部材と前記壁部とを全周にわたって電気的に接続するひも状の固定部材(33)と、
を備える電磁シールド体。
【請求項2】
前記第1部材は、前記軸方向において両端が開口する筒部材である、請求項1に記載の電磁シールド体。
【請求項3】
前記第1部材は、プリント基板(21)に実装される、請求項2に記載の電磁シールド体。
【請求項4】
前記壁部は、側壁であり、
前記第1部材は、前記側壁に連なり、前記側壁の開口のひとつを閉塞する底壁(313)を有し、
前記第2部材は、前記側壁において前記底壁とは反対側の端部に配置される、請求項1に記載の電磁シールド体。
【請求項5】
前記壁部の外形は、オーバル形状である、請求項1~4いずれか1項に記載の電磁シールド体。
【請求項6】
前記壁部の外形は、直線部を有さない形状である、請求項1~4いずれか1項に記載の電磁シールド体。
【請求項7】
前記壁部の外形は、円形である、請求項6に記載の電磁シールド体。
【請求項8】
前記壁部は、内壁であり、
前記第2部材は、前記内壁を取り囲むように配置される外壁(321)と、前記外壁に連なり、前記外壁の開口のひとつを閉塞する天壁(322)と、を有し、
前記外壁は、前記平面視において前記内壁の外形と相似の形状を有する、請求項1~4いずれか1項に記載の電磁シールド体。
【請求項9】
前記第2部材は、布、フィルム、またはシートを用いて形成されている、請求項1~4いずれか1項に記載の電磁シールド体。
【請求項10】
前記固定部材は、固定強度を調節する機構(332)を有する、請求項1~4いずれか1項に記載の電磁シールド体。
【請求項11】
前記第2部材は、前記外壁の外周面に、前記固定部材をガイドする機構(323,324)を有する、請求項8に記載の電磁シールド体。
【請求項12】
前記機構は、前記外周面に設けられた凹部(323)または凸部(324)である、請求項11に記載の電磁シールド体。
【請求項13】
プリント基板(21)と、前記プリント基板に実装された電子部品(22)と、を有する回路基板(20)と、
前記回路基板における所定の回路要素を覆う電磁シールド体(30)と、
を備え、
前記電磁シールド体は、
筒状をなし、軸方向の平面視において角を有さない外形をもつ壁部(311)を有し、筒内に前記回路要素を収容する第1部材(31)と、
前記壁部を外周面側から覆うとともに、前記壁部の開口のうち、前記プリント基板に対して離れた位置の開口を閉塞する第2部材(32)と、
前記第2部材における前記壁部を覆う部分の外面に配置され、前記第2部材と前記壁部とを全周にわたって電気的に接続するひも状の固定部材(33)と、
を含む、電子装置。
【請求項14】
前記第1部材は、前記壁部における前記プリント基板側の端部から延び、全周にわたって所定の間隔で設けられた複数の脚部(312)を有し、
前記プリント基板は、複数の前記脚部が個別に挿入実装される複数のスルーホール(213)を有する、請求項13に記載の電子装置。
【請求項15】
前記プリント基板は、前記壁部が配置される側の面とは反対の面に、基準電位を提供するグランド層(214)を有し、
前記脚部のそれぞれは、前記グランド層に接続されている、請求項14に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、電磁シールド体および電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、金属製のシールドケースを備える電子装置を開示している。先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-75671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のシールドケースは、一面が開口する平面略矩形状の下ケースと、下ケースの開口を閉塞する上ケースを備えている。上ケースと下ケースとは、ねじ締結により4箇所で固定されている。このような構成の場合、ねじによる固定箇所以外においても面接触が取れるように設計する。しかしながら、表面粗さ、実装ばらつきなどの製造ばらつきにより、固定箇所以外の電気的接続は確実ではない。隙間がスロットアンテナとして機能し、たとえば電磁ノイズが漏洩する虞がある。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、電磁シールド体および電子装置にはさらなる改良が求められている。
【0005】
本開示の目的のひとつは、簡素な構成でシールド効果を高めることができる電磁シールド体および電子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示のひとつの態様である電磁シールド体は、
筒状をなし、軸方向の平面視において角を有さない外形をもつ壁部(311)を有し、筒内に回路要素を収容する第1部材(31)と、
壁部を外周面側から覆うとともに、壁部の開口のひとつを閉塞する第2部材(32)と、
第2部材における壁部を覆う部分の外面に配置され、第2部材と壁部とを全周にわたって電気的に接続するひも状の固定部材(33)と、
を備える。
【0007】
開示の電磁シールド体によれば、固定部材として、ひも状の部材を用いる。ひも状の固定部材の締め付けにより、第2部材を壁部の外周面に接触させ、電気的に接続することができる。さらに、壁部の外形が角を有さないため、固定部材の締め付けにより、第2部材と壁部とを全周にわたって電気的に接続することができる。よって、簡素な構成でシールド効果を高めることができる。
【0008】
開示の他のひとつの態様である電子装置は、
プリント基板(21)と、プリント基板に実装された電子部品(22)と、を有する回路基板(20)と、
回路基板における所定の回路要素を覆う電磁シールド体(30)と、
を備え、
電磁シールド体は、
筒状をなし、軸方向の平面視において角を有さない外形をもつ壁部(311)を有し、筒内に回路要素を収容する第1部材(31)と、
壁部を外周面側から覆うとともに、壁部の開口のうち、プリント基板に対して離れた位置の開口を閉塞する第2部材(32)と、
第2部材における壁部を覆う部分の外面に配置され、第2部材と壁部とを全周にわたって電気的に接続するひも状の固定部材(33)と、
を含む。
【0009】
開示の電子装置によれば、固定部材として、ひも状の部材を用いる。ひも状の固定部材の締め付けにより、第2部材を壁部の外周面に接触させ、電気的に接続することができる。さらに、壁部の外形が角を有さないため、固定部材の締め付けにより、第2部材と壁部とを全周にわたって電気的に接続することができる。よって、簡素な構成でシールド効果を高めることができる。
【0010】
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る電磁シールド体および電子装置を示す斜視図である。
図2】電磁シールド体および電子装置を示す分解斜視図である。
図3図1のIII-III線に沿う断面図である。
図4】第1部材の別例を示す平面図である。
図5】第1部材の別例を示す平面図である。
図6】第1部材の別例を示す平面図である。
図7】第2部材の別例を示す断面図である。
図8】固定部材の一例を示す図である。
図9】隙間とシールド効果との関係を示す図である。
図10】電気的な接続構造とシールド効果との関係を示す図である。
図11】第2実施形態に係る電磁シールド体を示す断面図である。
図12】第2部材の別例を示す断面図である。
図13】第3実施形態に係る電磁シールド体および電子装置を示す平面図である。
図14図13のXIV-XIV線に沿う断面図である。
図15】第4実施形態に係る電磁シールド体および電子装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて複数の実施形態を説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0013】
なお、Aおよび/またはBとの記載は、AおよびBの少なくともひとつを意味する。つまり、Aのみ、Bのみ、AとBの両方、を含み得る。
【0014】
(第1実施形態)
先ず、電子装置の概略構成について説明する。
【0015】
<電子装置>
図1は、電子装置を示す斜視図である。図2は、電子装置の分解斜視図である。図3は、図1のIII-III線に沿う断面図である。図3では、便宜上、レジストや配線を省略している。また、便宜上、電子部品に金属ハッチングを付している。
【0016】
以下では、筒状をなす内壁の軸方向をZ方向と示す。また、Z方向に直交する一方向をX方向と示し、Z方向およびX方向の両方向に直交する方向をY方向と示す。特に断わりのない限り、Z方向から平面視した形状、換言すればX方向およびY方向により規定されるXY面に沿う形状を平面形状とする。Z方向からの平面視を、単に平面視と示すことがある。
【0017】
図1図2、および図3に示すように、電子装置10は、回路基板20と、電磁シールド体30を備えている。電子装置10は、移動体の図示しないフレームに固定されてもよい。フレームは、たとえば移動体のシャーシである。移動体は、たとえば車両、飛行体、船舶、建設機械、農業機械などである。一例として本実施形態の電子装置10は、車両に搭載される。
【0018】
回路基板20は、プリント基板21と、電子部品22を備えている。プリント基板21は、基板、配線基板などと称されることがある。プリント基板21は、一面21aと、一面21aとは板厚方向において反対の面である裏面21bを有している。プリント基板21の平面形状は、特に限定されるものではない。一例として本実施形態のプリント基板21は、平面略矩形状である。電磁シールド体30(第1部材31)が実装された状態において、プリント基板21の板厚方向は、Z方向に略平行である。
【0019】
プリント基板21は、絶縁基材211と、絶縁基材211に配置された図示しない配線要素を備えている。絶縁基材211は、樹脂などの電気絶縁性を有する材料を用いて形成されている。絶縁基材211としては、たとえば樹脂のみを含むものを採用してもよいし、ガラス布、不織布などと樹脂とを組み合わせたものを採用してもよい。プリント基板21は、平面略矩形状の四隅に、移動体のシャーシ(フレーム)などへ固定するための固定孔212を有してもよい。
【0020】
配線要素は、Cuなどの導電性が良好な金属材料を用いて形成されている。配線要素は、配線層を含む。配線層は、配線、配線パターンなどと称されることがある。配線層は、たとえば金属箔をパターニングして形成されてもよいし、印刷により形成されてもよい。配線要素は、配線層に加えて、スルーホールランドを含んでもよいし、ビア導体を含んでもよい。スルーホールランドは、プリント基板21をZ方向に貫通するスルーホールの壁面に形成されている。スルーホールランドは、スルーホールの壁面とともに開口周辺に形成されてもよい。ビア導体は、絶縁基材211を構成する絶縁層に形成された貫通孔(ビア)に、めっきなどの導体が配置されてなる。ビア導体は、たとえば異なる層に配置された配線層間を電気的に接続する。
【0021】
配線要素は、絶縁基材211に対して一面21a側の表層に配置された配線層を含んでもよいし、裏面21b側の表層に配置された配線層を含んでもよい。配線要素は、絶縁基材211の内部に配置された配線層を含んでもよい。配線層は、絶縁基材211に対して一層のみ配置されてもよいし、多層に配置されてもよい。
【0022】
電子部品22は、プリント基板21に実装されている。プリント基板21には、複数の電子部品22が実装されている。電子部品22は、一般的には、プリント基板21の一面21aおよび/または裏面21b上に配置される。電子部品22の少なくとも一部は、絶縁基材211に内蔵されてもよい。電子部品22は、上記した配線要素とともに、回路を形成する。配線要素のおよび/または電子部品22が、回路要素である。
【0023】
電磁シールド体30は、回路基板20における所定の回路要素を覆う。電磁シールド体30は、回路基板20に形成されたすべての回路要素を覆うように配置されてもよいし、特定の回路要素を覆うように配置されてもよい。電磁シールド体30は、ノイズ源となる特定の回路要素を覆うように配置されてもよいし、外部からのノイズの影響を抑制したい特定の回路要素を覆うように配置されてもよい。電磁シールド体30は、たとえば配線要素を覆ってもよいし、電子部品22を覆ってもよい。もちろん配線要素と電子部品22を覆ってもよい。
【0024】
<電磁シールド体>
電磁シールド体30は、回路基板20を収容してもよいし、プリント基板21に実装されてもよい。一例として本実施形態の電磁シールド体30は、プリント基板21に実装されている。電磁シールド体30は、ノイズ源となる特定の回路要素を覆っている。
【0025】
電磁シールド体30は、第1部材31、第2部材32、および固定部材33を備えている。第1部材31は、第2部材32の内側に配置されるため、内部材と称されることがある。第1部材31は、電磁シールド体30においてプリント基板21の実装部分であるため、基板接続部材などと称されることがある。
【0026】
第1部材31は、内壁311を有している。内壁311は、Z方向に延びる筒状をなしている。内壁311は、Z方向に所定の高さを有しつつ、平面視においてリング状をなしている。内壁311は、壁部、筒部、側壁などと称されることがある。内壁311は、外周面311aと、開口311b,311cを有している。開口311bは、内壁311においてプリント基板21とは反対側の開口である。開口311cは、内壁311においてプリント基板21側の開口である。内壁311は、筒内に回路要素を収容している。図1図3に示す例では、一面21aに配置された電子部品22を収容している。
【0027】
第1部材31は、内壁311のみを有してもよいし、内壁311に連なる部分を有してもよい。たとえば、内壁311に連なる部分として、内壁311のプリント基板21側の端部から拡径方向に延びるフランジを有してもよい。一例として本実施形態の第1部材31は、内壁311のみを有している。内壁311は、プリント基板21の一面21a側の表層に設けられた配線層の一部である、図示しないランドにはんだ接合されている。
【0028】
内壁311は、平面視において角を有さない外形をもっている。角を有さない外形は、交差しておらず、凸状で閉じた形状である。内壁311の外形は、線対称形状でもよいし、非線対称形状でもよい。内壁311の外形として、オーバル形状を採用してもよい。図1および図2に示すように、内壁311の外形を楕円形としてもよい。楕円形は、オーバル形状の一種である。別のオーバル形状として、長円形や卵形状を採用してもよい。たとえば図4に示す別例のように、内壁311の外形を角丸長円形としてもよい。角丸長円形は、2つの長さの等しい平行線と、2つの半円とを有して構成される。角丸長方形は、たとえば陸上競技場のトラックで主として採用されている形状である。
【0029】
内壁311の外形は、上記した角丸長円形のように直線部を有してもよいし、たとえば図5に示す別例のように直線部を有さない形状としてもよい。内壁311の外形は、全周において微分可能な曲線でもよい。直線部を有さない外形は、図5に示す例に限定されない。たとえば図6に示す別例のように、内壁311の外形を円形(真円形状)としてもよい。
【0030】
内壁311の内形は、外形と相似の形状でもよい。内壁311の厚みは、全周で略均一でもよい。内壁311の内形は、外形とは異なる形状でもよい。内壁311の厚みが、部分的に異なる構成としてもよい。内壁311は、固定部材33の締め付けにより、ほとんど変形しない剛性を有するとよい。内壁311は、たとえば外壁321より厚くしてもよい。
【0031】
第1部材31は、電磁シールドに適した金属材料を用いて形成される。第1部材31は、金属材料のみを用いて形成されてもよい。第1部材31は、樹脂などの電気絶縁材料と金属材料とを用いて形成されてもよい。たとえば筒状の樹脂成形体の外周面をめっき処理したものでもよい。第2部材32との電気的な接続のため、少なくとも内壁311の外周面311aは金属面である。一例として本実施形態の第1部材31は、金属材料のみを用いて形成されている。
【0032】
第2部材32は、第1部材31の内壁311の外側に配置されるため、外部材と称されることがある。第2部材32は、第1部材31を覆うため、カバー、蓋部材などと称されることがある。第2部材32は、所定形状に成形され、外壁321と、天壁322を有してもよい。外壁321は、内壁311を取り囲むように配置される。外壁321は、側壁、筒部などと称されることがある。外壁321は、内壁311同様、筒状をなしている。外壁321は、Z方向に所定の高さを有しつつ、平面視においてリング状をなしている。締め付けする際の応力の局所的な集中を抑制するために、外壁321の厚みを全周においてほぼ均一にしてもよい。外壁321は、平面視において内壁311の外形と相似の形状を有している。外壁321は、外周面321aと、内周面321bを有している。
【0033】
固定部材33の締め付けにより、外壁321は全周で内壁311に電気的に接続されている。外壁321の内周面321bが、全周にわたって連続的に内壁311の外周面311aに接触している。外壁321は、少なくとも固定部材33による締め付け部位およびその周辺において、全周にわたって連続的に内壁311に接触している。外壁321の内周面321bは、その全面において内壁311の外周面311aに接触してもよい。外壁321は、内壁311に接触するように、固定部材33の締め付けにより変形可能に構成されている。たとえば、外壁321の厚みを比較的薄くしてもよい。
【0034】
天壁322は、外壁321に連なっており、筒状をなす外壁321の開口のひとつを閉塞する。天壁322は、底部、底壁などと称されることもある。天壁322は、内壁311の開口311bを閉塞する。第2部材32は、一面が開口する所定深さの蓋状(箱状)をなしている。固定状態で、天壁322は、内壁311の開口端に接触してもよいし、開口端との間に隙間を有してもよい。
【0035】
第2部材32は、電磁シールドに好適な金属材料を用いて形成される。第2部材32は、金属材料のみを用いて形成されてもよい。第2部材32は、樹脂などの電気絶縁材料と金属材料とを用いて形成されてもよい。たとえば蓋状の樹脂成形体の内面側をめっき処理したものでもよい。第1部材31との電気的な接続および電磁シールドのため、少なくとも蓋状の内面は金属面である。一例として本実施形態の第2部材32は、金属材料のみを用いて形成されている。
【0036】
第2部材32は、上記したように予め所定形状に成形されたものに限定されない。たとえば図7に示す別例のように、布を用いて形成された第2部材32を採用してもよい。布は、たとえば金属布である。布に代えて、フィルムやシートなどを用いてもよい。つまり柔軟性を有する材料を用いてもよい。このような第2部材32は、固定前の状態で、上記したような外壁321および天壁322を有していない。固定する際に第1部材31に倣って変形し、固定状態で外壁321と天壁322を有する。
【0037】
固定部材33は、ひも状であり、締め付けて第2部材32を内壁311の外周面311aに全周にわたって連続的に接続(電気的に接続)させるものである。ひも状とは、細長いものである。ひも状には、帯状(バンド状)も含まれる。固定部材33の材料は、特に限定されない。たとえばゴムなどの弾性変形可能な材料を用いてもよいし、熱収縮チューブのように外力印加によって収縮可能なものを用いてもよい。固定部材33は、ばねの力によって締め付けるものでもよい。たとえば、ばね式のホースクランプを用いてもよい。
【0038】
固定部材33として、ねじ式のホースクランプなどのように、固定強度を調節する機構を備えるものを用いてもよい。図8は、固定部材33の一例を示している。固定部材33は、金属バンド331と、強度調節機構332を有している。強度調節機構332は、ねじ(ボルト)を含む、ねじの締め込みに応じて、金属バンド331の径が変化し、固定強度を調節することができる。ねじ締め時のトルク値を管理することで、所定の(均一な)力で第1部材31と第2部材32とを固定することができる。
【0039】
固定部材33は、Z方向において、外壁321を内壁311の外周面311aに全周で連続的に接触させることができる位置に配置される。外壁321の外周面321aのうち、天壁322側の端部を避けて配置するとよい。好ましくは、外壁321の外周面321aのうち、両端を除く部分、つまり中央部分に配置するとよい。固定部材33を中央部分に配置することで、接触面積をより広くすることができる。
【0040】
ひも状の固定部材33の数は、特に限定されない。ひとつでもよいし、複数でもよい。ひとつの固定部材33を多重に巻回してもよい。
【0041】
<シミュレーション結果>
図9は、隙間とシールド効果との関係を示す図である。隙間とは、電磁シールドにおいて電気的に接続されていない部分の幅、つまりシールド穴の幅である。電磁シールドの隙間は、上記したようにスロットアンテナとして機能する。図9の結果は、この点を裏付けている。隙間が大きいほどシールド効果が低くなることが、図9に示す結果より明らかである。
【0042】
図10は、電気的な接続構造とシールド効果との関係を示している。図10では、図1の電子装置から電磁シールド体を排除した構成を基準とし、基準との差をシールド効果として示している。実線は、図1に示した構成、つまり本例の結果を示している。破線および一点鎖線は参考例の結果を示している。参考例はいずれも、電磁シールド体から固定部材を排除している。第1部材および第2部材の構成は、本例と同様である。破線に示す参考例は、第1部材と第2部材とを4箇所で離散的に接続した構成の結果を示している。一点鎖線示す参考例は、第1部材と第2部材との接点が全くない構成の結果を示している。全周で電気的な接続をとることでシールド効果を高めることができることが、図10に示す結果より明らかである。
【0043】
<第1実施形態のまとめ>
本実施形態によれば、電磁シールド体30が、ひも状の固定部材33を備える。ひも状の固定部材33の締め付けにより、第2部材32を第1部材31の内壁311の外周面311aに接触させ、電気的に接続することができる。さらに、平面視において内壁311の外形が角を有さない。このため、固定部材33の締め付けにより、第2部材32と内壁311とを全周にわたって電気的に接続することができる。表面粗さや実装ばらつきなどの製造ばらつきの影響を受けずに、連続的な電気的接続をもつことができる。よって、簡素な構成でシールド効果を高めることができる。安価な構成でシールド効果を高めることができる。
【0044】
また、全周で連続的に接続するため、固定強度を高めることができる。これにより、移動体に適用する場合でも、振動試験に耐え得る固定強度を確保することができる。
【0045】
さらには、ひも状の固定部材33を用い、固定部材33を第2部材32の外壁321の外周面321aに配置するため、締め付け状態を解除し易い。つまり、第1部材31と第2部材32の接続状態を容易に解除することができる。第2部材32を取り外すことで、たとえば回路要素の評価や検査など行うことができる。
【0046】
第1部材31を、軸方向において両端が開口する筒部材としてもよい。これによれば、構成をより簡素にしつつ、シールド効果を高めることができる。
【0047】
第1部材31は、プリント基板21に実装されてもよい。第1部材31は、プリント基板21に実装された状態で回路要素を収容する。第1部材31が電磁シールド体30においてプリント基板21の実装部分を提供するため、別の実装部分が不要である。よって、簡素な構成でシールド効果を高めることができる。
【0048】
第1部材31の内壁311の外形を、オーバル形状としてもよい。オーバル形状は角を有さないため、ひも状の固定部材33により締め付ける際に、応力が局所的に集中するのを抑制することができる。よって、固定部材33により、全周で電気的に接続することができる。
【0049】
内壁311の外形を、直線部を有さない形状としてもよい。直線部を有さないことで、締め付けの際の応力がさらに分散し易くなる。つまり、応力の局所的な集中を効果的に抑制することができる。よって、全周の電気的接続をより確実にとることができる。なお、オーバル形状の一部は、楕円形のように直線部を有さない。
【0050】
内壁311の外形を、円形としてもよい。これによれば、締め付けの際の応力が等分散する。つまり、応力の局所的な集中をより効果的に抑制することができる。よって、全周の電気的接続をさらに確実にとることができる。
【0051】
第2部材32の外壁321を、平面視において内壁311の外形と相似の形状としてもよい。相似のため、締め付けにより全周で電気的接続を取りやすい。第2部材32として、布、フィルム、またはシートを用いてもよい。この場合、第2部材32が柔軟性を有するため、締め付けにより全周で電気的接続を取りやすい。
【0052】
固定部材33が、第1部材31と第2部材32との固定強度を調節する強度調節機構332を有してもよい。これによれば、トルク値を管理することで、所定の(均一な)力で第1部材31と第2部材32とを固定することができる。
【0053】
(第2実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、外壁321の外周面321aに対する固定部材33の配置について特に言及しなかった。これに付加して、第2部材32の外壁321に、固定部材33をガイドする機構を設けてもよい。
【0054】
図11は、本実施形態に係る電磁シールド体30を示す断面図である。図11は、図3に対応している。図11では、便宜上、固定部材33の数をひとつとしている。また、回路基板20を省略している。
【0055】
第2部材32は、ガイド機構として、外周面321aに凹部323を有している。凹部323は、外周面321aの他の部分に対して凹んでいる。凹部323は、外周面321aの全周にわたって連続的に設けられている。凹部323のZ方向の位置は、全周で同じ位置(同じ高さ)である。凹部323は、ひも状の固定部材33を全周で収容している。凹部323は、固定部材33を収容する深さおよび幅を有している。
【0056】
固定部材33は、ガイド機構に沿って配置される。固定部材33は、全周において、一部が凹部323の空間内に位置し、他の一部が凹部323から突出するように配置されてもよい。固定部材33は、全周において、凹部323の空間内に位置するように配置されてもよい。固定部材33は、凹部323に沿って配置されている。固定部材33の位置は、凹部323によって決定される。固定部材33の配置は、凹部323によって制限される。
【0057】
ガイド機構として凹部323を設ける例を示したが、これに限定されない。たとえば、図12に示すように、外周面321aに凸部324を設けてもよい。凸部324は、外周面321aの他の部分に対して突出している。凸部324は、平面視において外周面311a(内壁311)を取り囲むように設けられる。凸部324は、外周面321aの全周にわたって連続的に設けられてもよいし、非連続的に設けられてもよい。凸部324のZ方向の位置は、全周で同じ位置(同じ高さ)である。凸部324は、所定の高さを有している。
【0058】
固定部材33は、ガイド機構に沿って配置される。固定部材33は、凸部324に沿って配置される。固定部材33は、凸部324の一側面に接触配置される。固定部材33は、凸部324の一側面、および、外周面321aであって凸部324の周辺部分に接触配置される。固定部材33は、その一部が凸部324の突出先端よりも径方向外側に位置するように配置されてもよい。固定部材33は、凸部324の突出先端より外側に突出しないように配置されてもよい。固定部材33の位置は、凸部324によって決定される。固定部材33の配置は、凸部324によって制限される。その他の構成は、先行実施形態に記載の構成と同様である。
【0059】
なお、凸部324を多重に設け、隣り合う凸部324と凸部324間の外周面321aの部分とで構成される凹部に、固定部材33を配置してもよい。
【0060】
<第2実施形態のまとめ>
本実施形態によれば、外壁321の外周面321aに、固定部材33をガイドする機構を設けている。具体的には、凹部323や凸部324を設けている。これにより、ひも状の固定部材33の配置を制限することができる。つまり、固定部材33を所定位置に配置することができる。よって、固定強度を高めることができる。
【0061】
本実施形態に記載の構成は、先行実施形態に記載の構成のうち、第2部材32として、布、フィルム、またはシートを用いる構成を除いた残りの構成のいずれとも組み合わせが可能である。
【0062】
(第3実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、第1部材31をプリント基板21に表面実装した。これに代えて、第1部材31をプリント基板21に挿入実装してもよい。
【0063】
図13は、本実施形態に係る電子装置10をプリント基板21の裏面21b側から見た平面図である。図13では、便宜上、はんだを省略している。図14は、図13のXIV-XIV線に沿う断面図である。
【0064】
図13および図14に示すように、プリント基板21は、複数のスルーホール213を有している。スルーホール213のそれぞれは、Z方向においてプリント基板21を貫通している。スルーホール213の壁面には、ランドが設けられている。ランドは、配線要素である。ランドは、スルーホールランドと称されることがある。複数のスルーホール213は、所定の間隔を有しつつ、内壁311の下端に沿って設けられている。
【0065】
プリント基板21は、裏面21bに配置されたグランド層214を有してもよい。グランド層214は、プリント基板21において基準電位(グランド電位)を提供する。グランド層214は、配線層の一部である。グランド層214は、他の配線層よりも面積が広い。グランド層214は、裏面21bのほぼ全面に配置されてもよいし、スルーホール213の周囲部分を含む裏面21bの一部分に配置されてもよい。
【0066】
第1部材31の内壁311は、プリント基板21側の端部からZ方向に延びる複数の脚部312を有している。脚部312は、内壁311の全周にわたって所定の間隔で設けられている。脚部312のそれぞれは、対応するスルーホール213を挿通した状態で、プリント基板21に挿入実装されている。脚部312のそれぞれは、はんだ40を介してスルーホールランドに接続されている。裏面21bから突出する脚部312の部分は、はんだ40を介してグランド層214に接続されている。
【0067】
脚部312の間隔は、脚部312の間から電波が漏れないように設定されている。間隔を所定の周波数の1/2波長以下の間隔にすることで、所定周波数のノイズを遮断するシールド壁として機能する。複数の周波数のノイズを遮断したい場合、もっとも低い周波数の1/2波長以下の間隔にするとよい。スルーホール213の間隔は、脚部312がシールド壁として機能するように設定されている。その他の構成は、先行実施形態に記載の構成と同様である。
【0068】
<第3実施形態のまとめ>
本実施形態によれば、第1部材31が複数の脚部312を有している。そして、脚部312が、プリント基板21のスルーホール213に挿入実装されている。複数の脚部312およびスルーホール213は、脚部312がシールド壁として機能するように所定の間隔で設けられている。よって、プリント基板21の裏面21b側まで電磁ノイズの漏洩を防ぐことができる。
【0069】
プリント基板21の裏面21bにグランド層214が設けられ、脚部312のそれぞれがグランド層214に接続されてもよい。脚部312とグランド層214とが電気的に接続されるため、電磁シールド体30とグランド層214を含むシールド構造により、回路要素を取り囲むことができる。よって、回路要素の直下部分も含む全方位において、電磁ノイズの漏洩を防ぐことができる。
【0070】
本実施形態に記載の構成は、先行実施形態に記載の構成のうち、第2部材32として、布、フィルム、またはシートを用いる構成を除いた残りの構成のいずれとも組み合わせが可能である。
【0071】
<変形例>
脚部312に代えて、プリント基板21内にビア導体を用いたシールド壁を設けてもよい。ビア導体は、内壁311の端部に沿って、所定間隔で設けられる。ビア導体の間隔は、遮断したいノイズの周波数の1/2波長以下の間隔にするとよい。複数の周波数のノイズを遮断したい場合、もっとも低い周波数の1/2波長以下の間隔にするとよい。ビア導体は、内壁311に電気的に接続してもよい。
【0072】
(第4実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例であり、先行実施形態の記載を援用できる。先行実施形態では、第1部材31が内壁311のみを有していた。これに代えて、第1部材31が、底壁を有してもよい。先行実施形態では、電磁シールド体30をプリント基板21に実装した。これに代えて、電磁シールド体30がプリント基板21を収容してもよい。
【0073】
図15は、本実施形態に係る電子装置10を示す断面図である。図15は、図3に対応している。第1部材31は、内壁311に加えて、底壁313を有している。底壁313は、内壁311における天壁322とは反対側の端部に連なり、開口311cを閉塞している。第1部材31は、一面が開口する箱状をなしている。このような構成において、第1部材31を下ケース、第2部材32を上ケースと称されることがある。第1部材31および第2部材32は、筐体と称されることがある。
【0074】
回路基板20は、第1部材31および第2部材32により規定される空間に配置されている。その他の構成は、先行実施形態と同様である。
【0075】
<第4実施形態のまとめ>
本実施形態によれば、第1部材31が底壁313を有している。第1部材31および第2部材32は、いわゆる筐体をなす。このような構成において、内壁311は、先行実施形態に記載の構成と同様に、角を有さない外形を持つ。固定部材33は、ひも状をなし、締め付けにより外壁321を内壁311の外周面311aに全周にわたって電気的に接続する。つまり、電磁シールド体30内に回路基板20を収容する場合にも、簡素な構成でシールド効果を高めることができる。
【0076】
本実施形態に記載の構成は、先行実施形態に記載の構成のうち、プリント基板21に実装されることが必須の構成を除いた残りの構成との組み合わせが可能である。
【0077】
(他の実施形態)
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
【0078】
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
【0079】
ある要素または層が「上にある」、「連結されている」、「接続されている」または「結合されている」と言及されている場合、それは、他の要素、または他の層に対して、直接的に上に、連結され、接続され、または結合されていることがあり、さらに、介在要素または介在層が存在していることがある。対照的に、ある要素が別の要素または層に「直接的に上に」、「直接的に連結されている」、「直接的に接続されている」または「直接的に結合されている」と言及されている場合、介在要素または介在層は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同様のやり方で(例えば、「間に」対「直接的に間に」、「隣接する」対「直接的に隣接する」など)解釈されるべきである。この明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連する列挙されたひとつまたは複数の項目に関する任意の組み合わせ、およびすべての組み合わせを含む。
【0080】
空間的に相対的な用語「内」、「外」、「裏」、「下」、「低」、「上」、「高」などは、図示されているような、ひとつの要素または特徴の他の要素または特徴に対する関係を説明する記載を容易にするためにここでは利用されている。空間的に相対的な用語は、図面に描かれている向きに加えて、使用または操作中の装置の異なる向きを包含することを意図することができる。例えば、図中の装置をひっくり返すと、他の要素または特徴の「下」または「真下」として説明されている要素は、他の要素または特徴の「上」に向けられる。したがって、用語「下」は、上と下の両方の向きを包含することができる。この装置は、他の方向に向いていてもよく(90度または他の向きに回転されてもよい)、この明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
【0081】
(技術的思想の開示)
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。さらに、いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0082】
<技術的思想1>
筒状をなし、軸方向の平面視において角を有さない外形をもつ壁部(311)を有し、筒内に回路要素を収容する第1部材(31)と、
前記壁部を外周面側から覆うとともに、前記壁部の開口のひとつを閉塞する第2部材(32)と、
前記第2部材における前記壁部を覆う部分の外面に配置され、前記第2部材と前記壁部とを全周にわたって電気的に接続するひも状の固定部材(33)と、
を備える電磁シールド体。
【0083】
<技術的思想2>
前記第1部材は、前記軸方向において両端が開口する筒部材である、技術的思想1に記載の電磁シールド体。
【0084】
<技術的思想3>
前記第1部材は、プリント基板(21)に実装される、技術的思想2に記載の電磁シールド体。
【0085】
<技術的思想4>
前記壁部は、側壁であり、
前記第1部材は、前記側壁に連なり、前記側壁の開口のひとつを閉塞する底壁(313)を有し、
前記第2部材は、前記側壁において前記底壁とは反対側の端部に配置される、技術的思想1に記載の電磁シールド体。
【0086】
<技術的思想5>
前記壁部の外形は、オーバル形状である、技術的思想1~4いずれかひとつに記載の電磁シールド体。
【0087】
<技術的思想6>
前記壁部の外形は、直線部を有さない形状である、技術的思想1~4いずれか1項に記載の電磁シールド体。
【0088】
<技術的思想7>
前記壁部の外形は、円形である、技術的思想6に記載の電磁シールド体。
【0089】
<技術的思想8>
前記壁部は、内壁であり、
前記第2部材は、前記内壁を取り囲むように配置される外壁(321)と、前記外壁に連なり、前記外壁の開口のひとつを閉塞する天壁(322)と、を有し、
前記外壁は、前記平面視において前記内壁の外形と相似の形状を有する、技術的思想1~7いずれかひとつに記載の電磁シールド体。
【0090】
<技術的思想9>
前記第2部材は、布、フィルム、またはシートを用いて形成されている、技術的思想1~7いずれかひとつに記載の電磁シールド体。
【0091】
<技術的思想10>
前記固定部材は、固定強度を調節する機構(332)を有する、技術的思想1~9いずれかひとつに記載の電磁シールド体。
【0092】
<技術的思想11>
前記第2部材は、前記外壁の外周面に、前記固定部材をガイドする機構(323,324)を有する、技術的思想8に記載の電磁シールド体。
【0093】
<技術的思想12>
前記機構は、前記外周面に設けられた凹部(323)または凸部(324)である、技術的思想11に記載の電磁シールド体。
【符号の説明】
【0094】
10…電子装置、20…回路基板、21…プリント基板、21a…一面、21b…裏面、211…絶縁基材、212…固定孔、213…スルーホール、214…グランド層、22…電子部品、30…電磁シールド体、31…第1部材、311…内壁、311a…外周面、311b,311c…開口、312…脚部、313…底壁、32…第2部材、321…外壁、321a…外周面、321b…内周面、322…天壁、323…凹部、324…凸部、33…固定部材、331…金属バンド、332…強度調節機構、40…はんだ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15