(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171661
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】紫外光照射装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20241205BHJP
A23B 7/015 20060101ALI20241205BHJP
A23L 3/28 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61L2/10
A23B7/015
A23L3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088795
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 周平
(72)【発明者】
【氏名】日野 弘喜
(72)【発明者】
【氏名】前田 晶子
(72)【発明者】
【氏名】竹村 真也
(72)【発明者】
【氏名】秦 由季
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 公人
(72)【発明者】
【氏名】伊東 慧
(72)【発明者】
【氏名】安齋 愛子
【テーマコード(参考)】
4B021
4B169
4C058
【Fターム(参考)】
4B021LP10
4B021LT02
4B021LW02
4B169AA02
4B169HA11
4C058AA21
4C058BB06
4C058EE02
4C058EE23
4C058KK02
4C058KK23
4C058KK33
4C058KK34
(57)【要約】
【課題】搬送部において搬送対象が適切に搬送され、筐体の外部への紫外光の漏れが適切に防止される紫外光照射装置を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、紫外光照射装置は、筐体、紫外光源、上流側遮光シート及び下流側遮光シートを備え、筐体は、高さ方向の上側から搬送部に設置される。紫外光源は、筐体の内部において紫外光を照射可能である。上流側遮光シートは、紫外光源に対して上流側において、搬入口を通して筐体の外部へ出射される紫外光を遮光し、下流側遮光シートは、紫外光源に対して下流側において、搬出口を通して筐体の外部へ出射される紫外光を遮光する。上流側遮光シート及び下流側遮光シートのそれぞれでは、下端までスリットが形成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象を搬送する搬送部に高さ方向の上側から設置され、内部への搬入口、及び、前記内部からの搬出口が形成される筐体と;
前記筐体の前記内部において紫外光を照射可能な紫外光源と;
前記紫外光源に対して上流側において、前記搬入口を通して前記筐体の外部へ出射される前記紫外光を遮光し、下端までスリットが形成される上流側遮光シートと;
前記紫外光源に対して下流側において、前記搬出口を通して前記筐体の前記外部へ出射される前記紫外光を遮光し、下端までスリットが形成される下流側遮光シートと;
を具備する、紫外光照射装置。
【請求項2】
前記上流側遮光シート及び前記下流側遮光シートのそれぞれは、1mm以上の厚さに形成され、
前記紫外光源に対して前記上流側では、4つ以上の前記上流側遮光シートが、前記搬送部での搬送方向に並んで配置され、
前記紫外光源に対して前記下流側では、4つ以上の前記下流側遮光シートが、前記搬送部での前記搬送方向に並んで配置され、
前記紫外光源の上流端から最も前記上流側に配置される前記上流側遮光シートまでの距離、及び、前記紫外光源の下流端から最も前記下流側に配置される前記下流側遮光シートまでの距離のそれぞれは、100mm以上である、
請求項1の紫外光照射装置。
【請求項3】
前記搬送部は、互いに対して隙間を有する状態で搬送方向に並んで配置される複数のローラを備え、
前記搬送部では、前記複数のローラによって、搬送面が形成され、
前記上流側遮光シート及び前記下流側遮光シートのそれぞれの前記下端は、前記搬送面を形成する前記複数のローラのそれぞれの上端に対して、前記高さ方向の下側に位置する、
請求項1又は2の紫外光照射装置。
【請求項4】
前記搬送部は、互いに対して隙間を有する状態で搬送方向に並んで配置される複数のローラを備え、
前記搬送部では、前記複数のローラによって、搬送面が形成され、
前記搬送面を形成する前記複数のローラに対して前記高さ方向の下側に配置され、前記紫外光を遮光する遮光板をさらに具備し、
前記高さ方向からの投影において、前記紫外光源が占める範囲の全体が、前記遮光板が占める範囲に含まれる、
請求項1又は2の紫外光照射装置。
【請求項5】
前記高さ方向からの前記投影において、前記上流側遮光シートが占める範囲の少なくとも一部が、前記遮光板が占める前記範囲に含まれ、
前記高さ方向からの前記投影において、前記下流側遮光シートが占める範囲の少なくとも一部が、前記遮光板が占める前記範囲に含まれる、
請求項4の紫外光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紫外光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
柑橘系果実等の果実への紫外光の照射によって、果実の鮮度を維持する効果を奏することが、知られている。このため、紫外光源を備える紫外光照射装置を選果機に搭載し、柑橘系果実等の果実が搬送対象として搬送される搬送部において、搬送される果実に紫外光源からの紫外光を照射する技術が、開発されている。このような紫外光照射装置では、搬送部の搬送面に筐体を設置し、筐体の内部に搬入された果実に、紫外光源からの紫外光を照射する。そして、筐体の内部において紫外光が照射された果実が、筐体の外部へ搬出される。
【0003】
前述のように搬送部において搬送対象として搬送される果実へ紫外光を照射する紫外光照射装置では、作業者への紫外光の影響を低減させる観点から、筐体の外部への紫外光の漏れを適切に防止することが、求められている。また、筐体の外部への紫外光の漏れを防止しつつ、搬送部において搬送対象となる果実が適切に搬送されることが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、搬送部において搬送対象が適切に搬送され、筐体の外部への紫外光の漏れが適切に防止される紫外光照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、紫外光照射装置は、筐体、紫外光源、上流側遮光シート及び下流側遮光シートを備える。筐体は、搬送対象を搬送する搬送部に高さ方向の上側から設置され、筐体には、内部への搬入口、及び、内部からの搬出口が形成される。紫外光源は、筐体の内部において紫外光を照射可能である。上流側遮光シートは、紫外光源に対して上流側において、搬入口を通して筐体の外部へ出射される紫外光を遮光し、下流側遮光シートは、紫外光源に対して下流側において、搬出口を通して筐体の外部へ出射される紫外光を遮光する。上流側遮光シート及び下流側遮光シートのそれぞれでは、下端までスリットが形成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送部において搬送対象が適切に搬送され、筐体の外部への紫外光の漏れが適切に防止される紫外光照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る選果機の一例を、幅方向の一方側から視た状態で示す概略図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る選果機において、紫外光照射装置及びその近傍の構成を、幅方向に直交又は略直交する断面で示す断面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る選果機において、紫外光照射装置及びその近傍の構成を、搬送方向に直交又は略直交する断面で示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る選果機において、紫外光照射装置及びその近傍の構成を、高さ方向に直交又は略直交する断面で概略的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る紫外光照射装置に設けられる遮光シートの任意の1つを、厚さ方向の一方側から視た状態で示す正面図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る紫外光照射装置について、複数の遮光シート(上流側遮光シート)が配置される領域において、搬送面5の近傍の構成を、幅方向に直交又は略直交する断面で概略的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図2の一例の紫外光照射装置において、紫外光源、遮光シート及び遮光板41を高さ方向からの投影で概略的に示す投影図である。
【
図8】
図8は、第1の変形例に係る選果機において、紫外光照射装置及びその近傍の構成を、高さ方向に直交又は略直交する断面で概略的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、第2の変形例に係る選果機において、紫外光照射装置及びその近傍の構成を、幅方向に直交又は略直交する断面で概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の紫外光照射装置(2)は、筐体(10)、紫外光源(23)、上流側遮光シート(26)及び下流側遮光シート(27)を備える。筐体(10)は、搬送対象を搬送する搬送部(3)に高さ方向の上側から設置され、筐体(10)には、内部への搬入口(21)、及び、内部からの搬出口(22)が形成される。紫外光源(23)は、筐体(10)の内部において紫外光を照射可能である。上流側遮光シート(26)は、紫外光源(23)に対して上流側において、搬入口(21)を通して筐体(10)の外部へ出射される紫外光を遮光し、下流側遮光シート(27)は、紫外光源(23)に対して下流側において、搬出口(22)を通して筐体(10)の外部へ出射される紫外光を遮光する。上流側遮光シート(26)及び下流側遮光シート(27)のそれぞれでは、下端(E1)までスリット(33)が形成される。これにより、筐体(10)の外部への紫外光の漏れを防止しつつ、搬送部(3)において搬送対象が適切に搬送される。
【0010】
実施形態の紫外光照射装置(2)では、上流側遮光シート(26)及び下流側遮光シート(27)のそれぞれは、1mm以上の厚さに形成される。紫外光源(23)に対して上流側では、4つ以上の上流側遮光シート(26)が、搬送部(3)での搬送方向に並んで配置され、紫外光源(23)に対して下流側では、4つ以上の下流側遮光シート(27)が、搬送部(3)での搬送方向に並んで配置される。紫外光源(23)の上流端から最も上流側に配置される上流側遮光シート(26A)までの距離(L1)、及び、紫外光源(23)の下流端から最も下流側に配置される下流側遮光シート(27A)までの距離(L2)のそれぞれは、100mm以上である。これにより、JISC7550に規定される紫外光の人等への安全性に関する条件を、適切に満たすことが可能となる。
【0011】
実施形態の紫外光照射装置(2)では、搬送部(3)は、互いに対して隙間を有する状態で搬送方向に並んで配置される複数のローラ(8)を備え、搬送部(3)では、複数のローラ(8)によって、搬送面(5)が形成される。上流側遮光シート(26)及び下流側遮光シート(27)のそれぞれの下端(E1)は、搬送面(5)を形成する複数のローラ(8)のそれぞれの上端(P1)に対して、高さ方向の下側に位置する。これにより、上流側遮光シート(26)及び下流側遮光シート(27)のそれぞれと搬送面(5)との間の隙間を通して筐体(10)の外部へ紫外光が漏れること等が、さらに有効に抑制される。
【0012】
実施形態の紫外光照射装置(2)では、搬送部(3)は、互いに対して隙間を有する状態で搬送方向に並んで配置される複数のローラ(8)を備え、搬送部(3)では、複数のローラ(8)によって、搬送面(5)が形成される。紫外光照射装置(2)は、遮光板(41)をさらに備える。遮光板(41)は、搬送面(5)を形成する複数のローラ(8)に対して高さ方向の下側に配置され、紫外光を遮光する。高さ方向からの投影では、紫外光源(23)が占める範囲の全体が、遮光板(41)が占める範囲に含まれる。これにより、ローラ(8)の間の隙間を通して高さ方向の下側へ紫外光が漏れることが、有効に抑制される。
【0013】
実施形態の紫外光照射装置(2)では、高さ方向からの投影において、上流側遮光シート(26)が占める範囲の少なくとも一部が、遮光板(41)が占める前記範囲に含まれ、高さ方向からの投影において、下流側遮光シート(27)が占める範囲の少なくとも一部が、遮光板(41)が占める範囲に含まれる。これにより、ローラ(8)の間の隙間を通して高さ方向の下側へ紫外光が漏れることが、さらに有効に抑制される。
【0014】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
まず、実施形態の一例として、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る選果機1の一例を概略的に示す。
図1に示すように、選果機1には、鮮度維持装置となる紫外光照射装置2が搭載される。また、選果機1には、搬送部3が形成される。選果機1及び紫外光照射装置2では、搬送部3において、柑橘系果実等の果実が、搬送対象として搬送される。
図1の一例では、搬送部3において、柑橘系果実の一種である蜜柑4が、搬送対象として搬送される。
【0016】
図2乃至
図4は、本実施形態に係る選果機1において、紫外光照射装置2及びその近傍の構成の一例を示す。
図1乃至
図4等に示すように、選果機1及び紫外光照射装置2では、搬送対象となる果実が搬送部3において搬送される搬送方向(矢印X1で示す方向)が、規定される。選果機1及び紫外光照射装置2では、搬送方向は、“下流側”とも称され、搬送方向とは反対方向(矢印X2で示す方向)は、“上流側”とも称される。
【0017】
また、選果機1及び紫外光照射装置2では、搬送方向に対して交差する(直交又は略直交する)幅方向(矢印Yで示す方向)、及び、搬送方向及び幅方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)高さ方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)が、規定される。そして、選果機1及び紫外光照射装置2では、高さ方向の一方側が、上側(矢印Z1側)となり、高さ方向について上側とは反対側が、下側(矢印Z2側)となる。
図1では、幅方向の一方側から視た状態が示され、
図2では、幅方向に直交又は略直交する断面が示される。また、
図3では、搬送方向に直交又は略直交する断面が示され、
図4では、高さ方向に直交又は略直交する断面が概略的に示される。
【0018】
搬送部3では、搬送面5が形成され、搬送面5は、高さ方向の上側を向く。選果機1では、柑橘系果実等の果実は、搬送面5上に配置された状態で、上流側から下流側へ搬送される。ある一例では、搬送面5は、水平又は略水平に形成され、搬送面5上での果実の搬送方向は、水平面に対して平行又は略平行になる。この場合、選果機1及び紫外光照射装置2での高さ方向は、鉛直方向と一致又は略一致する。別のある一例では、搬送面5は、水平面に対して傾斜する状態で、延設される。そして、選果機1及び紫外光照射装置2での高さ方向は、鉛直方向に対して傾斜する。この場合、搬送面5は、下流側に向かうほど鉛直上側に位置する状態に傾斜してもよく、下流側に向かうほど鉛直下側に位置する状態に傾斜してもよい。
【0019】
図2等の一例では、搬送部3は、上側部分6及び下側部分7を備える。搬送部3では、上側部分6によって搬送面5が形成される。また、
図2等の一例では、搬送部3は、複数のローラ8を備え、上側部分6及び下側部分7のそれぞれでは、複数のローラ8が、搬送方向に並んで配置される。複数のローラ8のそれぞれは、隣り合うローラ8に対して隙間を有して配置される。また、複数のローラ8のそれぞれは、中心軸(図示しない)を有し、複数のローラ8のそれぞれの中心軸は、紫外光照射装置2の幅方向に沿う。
【0020】
搬送対象が搬送面5において搬送されている状態では、上側部分6において、ローラ8のそれぞれは、上流側から下流側へ移動する(
図2の矢印A1)。そして、ローラ8のそれぞれは、搬送面5の下流端から、下側部分7へ移動し、下側部分7において、上側部分6での移動方向とは反対方向へ移動する。このため、搬送対象が搬送面5において搬送されている状態では、下側部分7において、ローラ8のそれぞれは、搬送対象の搬送方向とは反対方向へ移動する(
図2の矢印A2)。そして、ローラ8のそれぞれは、下側部分7から、搬送面5の上流端へ移動し、上側部分6を上流側から下流側へ再び移動する。
【0021】
また、
図2等の一例では、搬送対象が搬送されている状態において、上側部分6に位置するローラ8のそれぞれは、中心軸の軸回りに回転する(
図2の矢印B)。
図2等の一例では、上側部分6におけるローラ8のそれぞれの下流側への移動、及び、上側部分6におけるローラ8のそれぞれの中心軸の軸回りの回転によって、搬送面5に配置される果実等が、下流側へ搬送される。また、選果機1には、ローラ8を移動させる駆動源(図示しない)、及び、ローラ8のそれぞれを中心軸の軸回りに回転させる駆動源(図示しない)等が、設けられる。
【0022】
なお、ある一例では、複数のローラ8のそれぞれは、中心軸の軸回りに回転しない。ただし、この場合も、
図2等の一例と同様に、複数のローラ8のそれぞれは、上側部分6において、上流側から下流側へ移動し、下側部分7において、上側部分6での移動方向とは反対方向へ移動する。本一例では、上側部分6におけるローラ8のそれぞれの下流側への移動によって、搬送面5に配置される果実等の搬送対象が、下流側へ搬送される。
【0023】
また、別のある一例では、搬送部3は、上側部分6に対応する部分のみから構成され、下側部分7に対応する部分は、搬送部3に設けられない。そして、搬送面5を形成する部分、すなわち、上側部分6に対応する部分において、複数のローラ8のそれぞれは、下流側へ移動しない。ただし、この場合も、
図2等の一例と同様に、搬送面5を形成する部分において、複数のローラ8のそれぞれは、中心軸の軸回りに回転する。本一例では、ローラ8のそれぞれの中心軸の軸回りの回転によって、搬送面5に配置される搬送対象が、下流側へ搬送される。
【0024】
また、ある一例では、搬送部3に、複数のローラ8の代わりに、コンベヤベルト(図示しない)が設けられる。この場合、
図2等の一例での複数のローラ8のそれぞれの移動と同様に、コンベヤベルトは、上側部分6において、上流側から下流側へ移動する。そして、コンベヤベルトは、搬送面5の下流端から、下側部分7へ移動し、下側部分7において、上側部分6での移動方向とは反対方向へ移動する。本一例では、上側部分6におけるコンベヤベルトの下流側への移動によって、搬送面5に配置される果実等の搬送対象が、下流側へ搬送される。
【0025】
ここで、搬送面5が複数のローラ8から形成される構成では、隣り合うローラ8の間の隙間によって、搬送面5に隙間が形成される。一方、搬送面5がコンベヤベルトから形成される構成では、搬送面5に隙間が、形成されない、又は、ほとんど形成されない。なお、搬送面5がコンベヤベルトから形成される構成で、搬送面5に隙間が形成される場合は、その隙間は、コンベヤベルトに設けられたスリットや穴等の空間部によって構成される。
【0026】
図1乃至
図4等に示すように、紫外光照射装置2では、筐体10が、高さ方向の上側から、搬送部3に設置される。筐体10は、例えば、金属から形成され、紫外光を透過させない、又は、ほとんど透過させない。また、筐体10は、搬送面5上において、上流端と下流端との間に設置される。筐体10の内部には、内部空洞11が形成される。また、筐体10は、上壁12、前壁13、後壁15及び一対の側壁16,17を備える。紫外光照射装置2では、筐体10の上壁12、前壁13、後壁15及び一対の側壁16,17、及び、搬送部3の搬送面5で囲まれた空洞が、内部空洞11として規定される。
【0027】
上壁12は、高さ方向の上側から内部空洞11を覆い、高さ方向の上側から内部空洞11に隣接する。また、搬送部3の搬送面5は、高さ方向の下側から内部空洞11に隣接する。前壁13は、上流側から内部空洞11を覆い、上流側から内部空洞11に隣接する。そして、後壁15は、下流側から内部空洞11を覆い、下流側から内部空洞11に隣接する。一対の側壁16,17は、幅方向について互いに対して反対側から内部空洞11を覆い、幅方向について互いに対して反対側から内部空洞11に隣接する。
【0028】
筐体10では、前壁13に搬入口21が形成され、後壁15に搬出口22が形成される。搬入口21では、内部空洞11が上流側へ向かって開口し、搬出口22では、内部空洞11が下流側へ向かって開口する。搬送面5において下流側へ向かって搬送される果実等の搬送対象は、搬入口21から、筐体10の内部の内部空洞11へ搬入される。そして、内部空洞11に搬入された搬送対象は、搬出口22から、筐体10の外部へ搬出される。
【0029】
紫外光照射装置2では、筐体10に、紫外光源23が取付けられる。紫外光源23は、筐体10の内部の内部空洞11に配置され、内部空洞11において、紫外光を照射可能である。紫外光源23は、紫外光を発光する発光素子25を1つ以上備え、
図2等の一例では、紫外光源23に、複数の発光素子25が設けられる。発光素子25は、紫外光を発光する。発光素子25は、例えば、紫外光LEDである。また、紫外光源23としては、発光素子25の代わりに、水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光形紫外光ランプ及びエキシマランプ等のLED以外のランプ等が、用いられてもよい。
【0030】
紫外光源23は、高さ方向の上側に、搬送面5から離れて配置される。そして、紫外光源23は、高さ方向の下側へ向かって紫外光を照射し、搬送面5へ向かって紫外光を照射する。これにより、筐体10の内部空洞11では、搬送面5において下流側へ搬送されている果実等に、紫外光源23からの紫外光が照射される。柑橘系果実等の果実に紫外光が照射されることにより、果実の鮮度を維持する効果を奏する。紫外光源23からは、200nm以上かつ400nm以下のいずれかの波長をピーク波長とする紫外光が、照射される。また、
図2等の一例では、複数の発光素子25が、搬送部3での搬送方向に並んで配置される。
【0031】
紫外光照射装置2では、内部空洞11への搬入口21に、遮光シート(上流側遮光シート)26が1つ以上配置され、内部空洞11からの搬出口22に、遮光シート(下流側遮光シート)27が1つ以上配置される。遮光シート26,27のそれぞれは、可撓性を有する材料(例えば、樹脂又はゴム)から形成され、紫外光を透過させない、又は、ほとんど透過させない。ある一例では、遮光シート26,27のそれぞれは、例えば、フッ素系ゴムから形成される。
【0032】
遮光シート26は、筐体10の前壁13に取付けられ、紫外光源23に対して上流側に配置される。そして、遮光シート26は、搬入口21を通して筐体10の外部へ出射される紫外光の少なくとも一部を、遮光する。また、遮光シート27は、筐体10の後壁15に取付けられ、紫外光源23に対して下流側に配置される。そして、遮光シート27は、搬出口22を通して筐体10の外部へ出射される紫外光の少なくとも一部を、遮光する。
【0033】
ある一例では、搬入口21において、複数の遮光シート26が搬送方向に並んで配置され、搬出口22において、複数の遮光シート27が搬送方向に並んで配置される。
図2等の一例では、遮光シート26,27が、それぞれ、4つずつ設けられる。なお、紫外光源23に対して上流側では、4つ以上の遮光シート26が、搬送方向に並んで配置されることが、好ましい。また、紫外光源23に対して下流側では、4つ以上の遮光シート27が、搬送方向に並んで配置されることが、好ましい。
【0034】
ここで、複数の遮光シート26が搬送方向に並んで配置され、かつ、複数の遮光シート27が搬送方向に並んで配置される場合において、最も上流側に配置される遮光シート26A、及び、最も下流側に配置される遮光シート27Aを、規定する。この場合、複数の遮光シート26の中で、遮光シート26Aが、紫外光源23から上流側に最も離れて位置し、複数の遮光シート27の中で、遮光シート27Aが、紫外光源23から下流側に最も離れて位置する。
【0035】
また、紫外光源23の上流端から遮光シート26Aまでの上流側への距離L1、及び、紫外光源23の下流端から遮光シート27Aまでの下流側への距離L2を、規定する。距離L1,L2のそれぞれは、100mm以上であることが、好ましい。ある一例では、
図2及び
図4等の一例ように、遮光シート26,27が、それぞれ、4つずつ設けられる。そして、距離L1,L2のそれぞれは、100mm程度になったり、120mm程度になったりする。ここでの紫外光源23の上流端(下流端)とは、紫外光源23がLEDを備えている場合は、例えば、LED実装基板の上流側(下流側)の端部である。なお、最も上流側(下流側)に実装されたLED素子の上流側(下流側)の端部を、紫外光源23の上流端(下流端)としてもよい。紫外光源23がランプの場合は、ランプの最も上流側(下流側)の端部が紫外光源23の上流端(下流端)である。
【0036】
図5は、遮光シート26,27の任意の1つを示す。なお、実施形態では、他の遮光シート26,27についても、
図5で示す遮光シート(26又は27)と同様の構成となる。遮光シート26,27のそれぞれでは、幅方向、幅方向に対して交差する(直交又は略直交する)高さ方向、及び、幅方向及び高さ方向の両方に対して交差する(直交又は略直交する)厚さ方向が、規定される。
図5では、遮光シート(26又は27)は、厚さ方向の一方側から視た状態で示される。
図2乃至
図5等で示すように、遮光シート26,27のそれぞれは、幅方向が紫外光照射装置2の幅方向に沿い、かつ、厚さ方向が搬送対象の搬送方向に沿う状態で、配置される。このため、遮光シート26,27のそれぞれでは、高さ方向は、紫外光照射装置2の高さ方向に沿う。
【0037】
遮光シート26,27のそれぞれでは、幅方向について一端から他端までの寸法として、幅寸法(全幅)W0が規定される。遮光シート26のそれぞれの幅寸法W0は、紫外光照射装置2の幅方向に沿った搬入口21の寸法以上の大きさであることが、好ましい。また、遮光シート27のそれぞれの幅寸法W0は、紫外光照射装置2の幅方向に沿った搬出口22の寸法以上の大きさであることが、好ましい。ある一例では、遮光シート26,27のそれぞれの幅寸法W0は、600mm程度になる。
【0038】
遮光シート26,27のそれぞれでは、高さ方向の一方側の端である下端E1、及び、高さ方向について下端E1とは反対側の端である上端E2が、規定される。そして、遮光シート26,27のそれぞれでは、高さ方向について下端E1から上端E2までの寸法として、高さ寸法(全高)H0が規定される。紫外光照射装置2では、遮光シート26,27のそれぞれにおいて、下端E1が、高さ方向について搬送部3(搬送面5)に近い側の端となり、上端E2が、高さ方向について搬送部3(搬送面)5から遠い側の端となる。
【0039】
遮光シート26のそれぞれの高さ寸法H0は、紫外光照射装置2の高さ方向に沿った搬送面5から搬入口21の上端までの距離以上の大きさであることが、好ましい。また、遮光シート27のそれぞれの高さ寸法H0は、紫外光照射装置2の高さ方向に沿った搬送面5から搬出口22の上端までの距離以上の大きさであることが、好ましい。ある一例では、遮光シート26,27のそれぞれの高さ寸法H0は、280mm程度になる。
【0040】
また、遮光シート26,27のそれぞれでは、厚さが規定される。遮光シート26,27の厚さは、1mm以上になる。本実施形態では、遮光シート26,27のそれぞれの厚さは、1mm以上かつ2mm以下であることが、好ましい。
【0041】
遮光シート26,27のそれぞれは、非分割領域31及び分割領域32を備える。遮光シート26,27のそれぞれでは、非分割領域31によって、上端E2が形成され、分割領域32によって、下端E1が形成される。また、遮光シート26,27のそれぞれでは、非分割領域31に対して高さ方向の下側に、分割領域32が隣接して形成される。
【0042】
遮光シート26,27のそれぞれの分割領域32では、1つ以上のスリット33が、高さ方向(紫外光照射装置2の高さ方向)に沿って延設される。遮光シート26,27のそれぞれでは、分割領域32において、1つ以上のスリット33のそれぞれは、下端E1まで形成される。遮光シート26,27のそれぞれの分割領域32は、スリット33によって、複数の帯部35に分割される。遮光シート26,27のそれぞれでは、帯部35のそれぞれは、非分割領域31と分割領域32との境界から下端E1まで、高さ方向に沿って延設される。
【0043】
遮光シート26,27のそれぞれの分割領域32では、複数の帯部35が、幅方向に並んで配置され、幅方向に隣り合う帯部35の間に、スリット33が形成される。そして、遮光シート26,27のそれぞれでは、複数の帯部35のそれぞれの上端が、非分割領域31に接続される。また、遮光シート26,27のそれぞれでは、非分割領域31にスリット等は形成されず、非分割領域31は、分割領域32とは異なり、幅方向について複数の部分に分割されない。
【0044】
前述のような構成であるため、遮光シート26,27のそれぞれでは、スリット33によって幅方向に互いに対して分割された複数の帯部35のそれぞれが、非分割領域31から搬送面5へ向かって垂れ下がる。すなわち、遮光シート26,27のそれぞれでは、幅方向に分割されていない非分割領域31から、複数の帯部35のそれぞれが、高さ方向の下側へ垂れ下がる。
【0045】
遮光シート26,27のそれぞれでは、高さ方向に沿った1つ以上のスリット33のそれぞれの寸法として、スリット高さH1が規定される。遮光シート26,27のそれぞれでは、スリット高さH1は、高さ方向に沿った分割領域32の寸法に相当し、高さ方向に沿った複数の帯部35のそれぞれの寸法に相当する。したがって、遮光シート26,27のそれぞれでは、スリット高さH1は、非分割領域31と分割領域32との境界から下端E1までの寸法に相当する。ある一例では、遮光シート26,27のそれぞれにおいて、1つ以上のスリット33のそれぞれのスリット高さH1は、150mm程度となる。
【0046】
また、遮光シート26,27のそれぞれでは、幅向に沿った複数の帯部35それぞれの寸法として、帯幅W1が規定される。遮光シート26,27のそれぞれでは、1つの帯部35の幅が、帯幅W1に相当する。また、遮光シート26,27のそれぞれでは、全ての帯部35の帯幅W1の合計値が、幅寸法W0に相当する。ある一例では、遮光シート26,27のそれぞれにおいて、複数の帯部35のそれぞれの帯幅W1は、20mm程度となる。
【0047】
図6は、複数の遮光シート(上流側遮光シート)26が配置される領域において、搬送面5の近傍の構成を示す。なお、複数の遮光シート(下流側遮光シート)27が配置される領域についても、搬送面5の近傍の構成は、遮光シート26が配置される領域と同様の構成となる。
図6では、複数の遮光シート26を示すとともに、搬送面5を形成する前述のローラ8が示される。
図6の構成では、
図2等の一例と同様に、複数のローラ8から搬送面5が形成され、搬送面5を形成する複数のローラ8は、互いに対して隙間を有する状態で、搬送方向に並んで配置される。また、
図6では、紫外光照射装置2の幅方向に直交又は略直交する断面が、示される。
【0048】
図6等に示すように、搬送面5を形成する複数のローラ8のそれぞれでは、高さ方向の上側の端である上端P1、及び、高さ方向の下側の端である下端P2が、規定される。
図6等の一例では、遮光シート26,27のそれぞれは、搬送面5を形成するローラ8のそれぞれの上端P1を超えて、高さ方向の下側へ延設される。このため、遮光シート26,27のそれぞれの下端E1は、搬送面5を形成するローラ8のそれぞれの上端P1に対して、高さ方向の下側に位置する。すなわち、遮光シート26,27のそれぞれでは、帯部35のそれぞれの下端は、搬送面5を形成するローラ8のそれぞれの上端P1に対して、高さ方向の下側に位置する。
【0049】
なお、遮光シート26,27のそれぞれの下端E1は、搬送面5を形成するローラ8のそれぞれの下端P2に対して、高さ方向の上側に位置する。また、
図6の一例では、遮光シート26,27のそれぞれの下端E1は、搬送面5を形成するローラ8のそれぞれの中心軸C(
図6参照)に対して、高さ方向の上側に位置する。
【0050】
また、
図2等の一例のように搬送面5が複数のローラ8から形成される構成では、紫外光照射装置2に、遮光板41が設けられる。遮光板41は、例えば、黒色板であり、紫外光を透過させない、又は、ほとんど透過させない。このため、遮光板41によって紫外光を遮光可能となる。遮光板41は、搬送面5を形成する複数のローラ8に対して、高さ方向の下側に配置される。
図2等の一例では、遮光板41は、搬送部3の上側部分6に対して、高さ方向の下側に配置され、搬送部3において上側部分6と下側部分7との間に配置される。このように遮光板41を配置することで、上側部分6の隣り合うローラ8の間の隙間から下側部分7へ抜けた紫外光が、下側部分7に位置するローラ8で反射されて、紫外光照射装置2の外部の搬送面5より上側に照射されることを防ぐことが可能となる。
【0051】
図7は、
図2の一例の紫外光照射装置2において、紫外光源23、遮光シート26,27及び遮光板41を、高さ方向からの投影で示す。
図2及び
図7の一例では、高さ方向からの投影において、紫外光源23が占める範囲の全体が、遮光板41が占める範囲に含まれる。そして、高さ方向からの投影において、遮光シート(上流側遮光シート)26が占める範囲の全体が、遮光板41が占める範囲に含まれ、遮光シート(下流側遮光シート)27が占める範囲の全体が、遮光板41が占める範囲に含まれる。つまり、
図2や
図7に示す上面視においては、紫外光源23の全体が遮光板41と重なっており、遮光シート26,27の全体が遮光板41と重なっている。
【0052】
なお、高さ方向からの投影において、遮光シート26が占める範囲の一部のみが、遮光板41が占める範囲に含まれてもよい。ある一例では、高さ方向からの投影において、4つの遮光シート26の中の下流側の2つは、遮光板41が占める範囲に含まれ、4つの遮光シート26の中の上流側の2つは、遮光板41が占める範囲から外れて位置する。同様に、高さ方向からの投影において、遮光シート27が占める範囲の一部のみが、遮光板41が占める範囲に含まれてもよい。ある一例では、高さ方向からの投影において、例えば、4つの遮光シート27の中の上流側の2つは、遮光板41が占める範囲に含まれ、4つの遮光シート26の中の下流側の2つは、遮光板41が占める範囲から外れて位置する。
【0053】
前述の実施形態では、紫外光源23に対して上流側において、1つ以上の遮光シート26が、搬入口21を通して筐体10の外部へ出射される紫外光を遮光し、紫外光源23に対して下流側において、1つ以上の遮光シート27が、搬出口22を通して筐体10の外部へ出射される紫外光を遮光する。そして、遮光シート26,27のそれぞれでは、下端E1まで、スリット33が形成される。
【0054】
遮光シート26,27のそれぞれに前述のようなスリット33が形成されることにより、遮光シート26,27のそれぞれを搬送面5まで高さ方向の下側へ延設される構成にしても、果実等の搬送対象の下流側への移動が、遮光シート26,27によって阻害され難くなる。そして、遮光シート26,27のそれぞれを搬送面5まで高さ方向の下側へ延設される構成にしても、搬送面5での複数のローラ8又はコンベヤベルトの下流側への移動等に起因して遮光シートの26,27のそれぞれが引っ張られることが、有効に防止される。
【0055】
遮光シート26,27のそれぞれを搬送面5までの高さ方向の下側へ延設される構成が実現されることにより、遮光シート26,27のそれぞれと搬送面5との間の隙間を通して筐体10の外部へ紫外光が漏れること等が、有効に抑制される。また、遮光シート26,27のそれぞれに前述のようなスリット33が形成されることにより、遮光シート26,27のそれぞれが配置される位置において、搬送対象の通過に起因して大きい隙間が形成されることが、有効に防止される。このため、遮光シート26,27のそれぞれが配置される位置に形成される隙間を通して筐体10の外部へ紫外光が漏れること等が、有効に抑制される。
【0056】
前述のように、本実施形態では、遮光シート26,27のそれぞれにおいて、下端E1までスリット33を形成することにより、筐体10の外部への紫外光の漏れを防止しつつ、搬送部3において搬送対象となる果実等が、適切に搬送される。筐体10の外部への紫外光の漏れが適切に防止されることにより、選果機1を利用する作業者等への紫外光の影響が、適切に低減される。
【0057】
なお、JISC7550では、紫外光照射装置からの紫外光の人等への安全性に関する条件が、電気用品安全法に基づいて、規定されている。JISC7550では、紫外光照射装置(例えば筐体等)から200mm離れた位置において、紫外光の照度を1mW/m2以下にすることが、安全性に関する条件として規定されている(波長254nm(水銀ランプ)で、1日8時間の稼働を想定した場合)。
【0058】
実際に、前述の実施形態等の紫外光照射装置2を用いて、紫外光の照度を計測した。計測においは、紫外光源23に対して上流側に、4つの遮光シート26を搬送方向に並べて配置し、紫外光源23に対して下流側に、4つの遮光シート27を並べて配置した。遮光シート26,27のそれぞれでは、前述のように下端E1までスリット33を形成した。また、遮光シート26,27のそれぞれでは、高さ寸法H0を280mmに、スリット高さH1を150mmに、幅寸法W0を600mmに、帯部35のそれぞれの帯幅W1を20mmに、形成した。また、前述した距離L1,L2のそれぞれは、100mmとした。
【0059】
前述のような条件において、最も上流側の遮光シート26Aから上流側へ200mm離れた位置、及び、最も下流側の遮光シート27Aから下流側へ200mm離れた位置のそれぞれで、紫外光の照度を計測した。また、紫外光の照度の計測は、遮光シート26,27のそれぞれの厚さを1mmにした場合、及び、遮光シート26,27のそれぞれの厚さを2mmにした場合のそれぞれで、行った。
【0060】
計測の結果、遮光シート26,27のそれぞれの厚さが1mmの場合、及び、遮光シート26,27のそれぞれの厚さが2mmの場合のいずれでも、前述した2つの位置のそれぞれで計測された紫外光の照度は、1mW/m2以下となった。以上より、遮光シート26,27の厚さを1mm以上とし、かつ、遮光シート(上流側遮光シート)26及び遮光シート(下流側遮光シート)27のそれぞれを4つ以上ずつ並べて配置し、かつ、前述の距離L1,L2のそれぞれを100mm以上にすることで、JISC7550に規定される紫外光の人等への安全性に関する条件を、適切に満たすことが可能となる。
【0061】
また、遮光シート26,27のそれぞれの厚さを2mm以下にすることにより、果実等の搬送対象の下流側への移動が、遮光シート26,27によってさらに阻害され難くなる。このため、遮光シート26,27のそれぞれの厚さを1mm以上かつ2mm以下にすることにより、筐体10の外部への紫外光の漏れがさらに有効に防止されるとともに、搬送部3において搬送対象がさらに搬送される。
【0062】
また、前述した実施形態等の一例では、搬送方向に並んで配置される複数のローラ8によって、搬送面5が形成され、遮光シート26,27のそれぞれの下端E1は、搬送面5を形成するローラ8のそれぞれの上端P1に対して、高さ方向の下側に位置する。このような構成にすることにより、遮光シート26,27のそれぞれと搬送面5との間の隙間を通して筐体10の外部へ紫外光が漏れること等が、さらに有効に抑制される。
【0063】
また、前述した実施形態等の一例では、搬送方向に並んで配置される複数のローラ8によって、搬送面5が形成され、紫外光を遮光する遮光板41が、搬送面5を形成する複数のローラ8に対して、高さ方向の下側に配置される。そして、高さ方向からの投影では、紫外光源23が占める範囲の全体が、遮光板41が占める範囲に含まれる。このような構成にすることにより、ローラ8の間の隙間を通して高さ方向の下側へ紫外光が漏れることが、有効に抑制される。
【0064】
また、前述した実施形態等の好ましい一例では、高さ方向からの投影において、遮光シート(上流側遮光シート)26が占める範囲の少なくとも一部が、前述の遮光板41が占める範囲に含まれ、遮光シート(下流側遮光シート)27が占める範囲の少なくとも一部が、遮光板41が占める範囲に含まれる。このような構成にすることにより、遮光シート26,27等で反射した紫外光がローラ8の間の隙間を通して高さ方向の下側へ漏れることが、有効に防止される。これにより、ローラ8の間の隙間を通して高さ方向の下側へ紫外光が漏れることが、さらに有効に抑制される。
【0065】
図8に示す第1の変形例でも、前述の実施形態等と同様に、遮光シート26,27のそれぞれにおいて、下端E1まで1つ以上のスリット33が形成され、遮光シート26,27のそれぞれの分割領域32は、スリット33によって、複数の帯部35に分割される。このため、本変形例でも、遮光シート26,27のそれぞれの分割領域32において、複数の帯部35が、幅方向に並んで配置され、幅方向に隣り合う帯部35の間に、スリット33が形成される。
【0066】
ただし、本変形例では、遮光シート26,27のそれぞれにおいて、複数の帯部35のそれぞれは、傾斜部45,46から構成される。帯部35のそれぞれでは、傾斜部(第1の傾斜部)45は、搬送方向に対して傾斜し、傾斜部(第2の傾斜部)46は、搬送方向に対して傾斜部45とは反対側に傾斜する。また、遮光シート26,27のそれぞれの分割領域32では、傾斜部45,46が、幅方向に交互に並ぶ。なお、
図8では、高さ方向に直交又は略直交する断面が概略的に示される。
【0067】
帯部35のそれぞれは、傾斜部45,46によって、高さ方向に直交又は略直交する断面において、V字形状又は略V字形状になる。傾斜部45と傾斜部46とがなす角は、例えば30度~90度である。このため、遮光シート26,27のそれぞれの分割領域32では、高さ方向に直交又は略直交する断面において、複数のV字形状又は複数の略V字形状が、幅方向に並んで配置される。そして、分割領域32において高さ方向に直交又は略直交する断面では、幅方向に隣り合うV字形状、又は、幅方向に隣り合う略V字形状の間に、スリット33が形成される。なお、
図8の一例では、帯部35のそれぞれが形成するV字形状又は略V字形状は、上流側へ開口する。ただし、帯部35のそれぞれが形成するV字形状又は略V字形状は、下流側へ開口してもよい。
【0068】
また、遮光シート26,27のそれぞれでは、分割領域32に加えて非分割領域31でも、高さ方向に直交又は略直交する断面において、複数のV字形状又は複数の略V字形状が幅方向に並んで配置されもよい。ただし、非分割領域31にスリット33は形成されないため、非分割領域31において高さ方向に直交又は略直交する断面では、幅方向に隣り合うV字形状、又は、幅方向に隣り合う略V字形状の間に、スリット33は形成されない。
【0069】
本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。また、本変形例では、遮光シート26,27のそれぞれにおいて、幅方向に並んで配置される複数の帯部35のそれぞれは、傾斜部45,46から構成される。そして、高さ方向に直交又は略直交する断面において、帯部35のそれぞれは、傾斜部45,46によって、V字形状又は略V字形状となる。このような構成にすることにより、遮光シート26,27のそれぞれが配置される位置において、搬送対象の通過に起因して大きい隙間が形成されることが、さらに有効に防止される。このため、遮光シート26,27のそれぞれが配置される位置に形成される隙間を通して筐体10の外部へ紫外光が漏れること等が、さらに有効に抑制される。
【0070】
ある変形例では、
図8の変形例と同様に、遮光シート26,27のそれぞれの分割領域32において、傾斜部45,46が、幅方向に交互に並ぶ。ただし、本変形例では、遮光シート26,27のそれぞれにおいて、傾斜部(第1の傾斜部)45のみから構成され帯部35、及び、傾斜部(第2の傾斜部)46のみから構成される帯部35が、幅方向に交互に配置される。本変形例でも、遮光シート26,27のそれぞれの分割領域32において、複数の帯部35が、幅方向に並んで配置され、幅方向に隣り合う帯部35の間に、スリット33が形成される。本変形例でも、
図8の変形例等と同様の作用及び効果を奏する。
【0071】
また、
図9に示す第2の変形例では、1つ以上の遮光シート26の代わりに、ブラシ(上流側ブラシ)51が設けられ、1つ以上の遮光シート27の代わりに、ブラシ(下流側ブラシ)52が設けられる。このため、本変形例では、紫外光源23に対して上流側に、ブラシ51が配置され、紫外光源23に対して下流側に、ブラシ52が配置される。なお、
図9では、幅方向に対して直交又は略直交する断面が、概略的を概略的に示す。
【0072】
ブラシ51,52のそれぞれは、シャフト部55及びファイバー束部56を備える。ブラシ51,52のそれぞれでは、シャフト部55は、中心軸(図示しない)を有し、シャフト部55の中心軸は、紫外光照射装置2の幅方向に沿って延設される。また、ブラシ51,52のそれぞれでは、シャフト部55の外周側から全周に渡って覆う状態で、ファイバー束部56が形成される。ブラシ51,52のそれぞれのファイバー束部56は、複数ファイバーを束ねたファイバー束から、形成される。ファイバー束を構成する複数のファイバーのそれぞれは、例えば、高分子材料から形成される。また、ブラシ51,52のそれぞれのファイバー束部56のファイバー単体では、紫外光を透過させない、又は、ほとんど透過させない。
【0073】
ブラシ51,52のそれぞれでは、ファイバー束部56によって、外周面が形成され、ファイバー束部56によって、高さ方向の下側の端である下端が形成される。また、ブラシ51,52のそれぞれのファイバー束部56の外周面は、複数のローラ8によって形成される搬送面5に、高さ方向の上側から接触又は隣接する。ある一例では、ブラシ51,52のそれぞれの下端は、搬送面5を形成するローラ8のそれぞれの上端に対して、高さ方向の下側に位置する。
【0074】
前述のような構成であるため、搬送面5において、搬送対象となる柑橘系果実等の果実は、ブラシ51,52のそれぞれのファイバー束部56を通って、下流側へ搬送される。また、
図9の一例では、ブラシ51は、シャフト部55の中心軸の軸回りに回転可能であり(矢印R1)、ブラシ52は、シャフト部55の中心軸の軸回りに回転可能である(矢印R2)。なお、ブラシ51,52のそれぞれは、シャフト部55の中心軸の軸回りに回転不可能な構成であってもよい。
【0075】
本変形例では、ブラシ51のファイバー束部56によって、搬入口21を通して筐体10の外部へ出射される紫外光が遮光され、ブラシ52のファイバー束部56によって、搬出口22を通して筐体10の外部へ出射される紫外光が遮光される。このため、ブラシ51によって、搬入口21を通しての紫外光の漏れが抑制され、ブラシ52によって、搬出口22を通しての紫外光の漏れが抑制される。
【0076】
また、本変形例では、ブラシ51,52のそれぞれの外周面及び下端は、ファイバー束部56によって形成される。そして、搬送面5において、搬送対象となる果実は、ブラシ51,52のそれぞれのファイバー束部56を通って、下流側へ搬送される。搬送対象がファイバー束部56を通過することにより、ブラシ51,52のそれぞれが配置される位置において、搬送対象の通過に起因して大きい隙間が形成されることが、有効に防止される。このため、ブラシ51,52のそれぞれが配置される位置に形成される隙間を通して筐体10の外部へ紫外光が漏れること等が、有効に抑制される。
【0077】
また、本変形例では、ファイバー束部56を搬送対象が通過するため、果実等の搬送対象の下流側への移動が、ブラシ51,52によって阻害され難くなる。前述のように、本変形例では、ブラシ51,52を設けることにより、筐体10の外部への紫外光の漏れを防止しつつ、搬送部3において搬送対象となる果実等が、適切に搬送される。したがって、本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0078】
また、本変形例では、搬送対象となる果実がブラシ51,52のそれぞれを通過する際に、ファイバー束部56によって果実を洗浄可能となる。また、ブラシ51,52のそれぞれをシャフト部55の中心軸の軸回りに回転させることにより、ブラシ51,52のそれぞれを通って果実が搬送されている状態において、ファイバー束部56による果実の洗浄性能が向上する。
【0079】
これら少なくとも一つの実施形態によれば、上流側遮光シートは、紫外光源に対して上流側において、搬入口を通して筐体の外部へ出射される紫外光を遮光し、下流側遮光シートは、紫外光源に対して下流側において、搬出口を通して筐体の外部へ出射される紫外光を遮光する。そして、上流側遮光シート及び下流側遮光シートのそれぞれでは、下端までスリットが形成される。これにより、搬送部において搬送対象が適切に搬送され、筐体の外部への紫外光の漏れが適切に防止される紫外光照射装置を提供することができる。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1…選果機、2…紫外光照射装置、3…搬送部、5…搬送面、8…ローラ、10…筐体、11…内部空洞、21…搬入口、22…搬出口、23…紫外光源、26…遮光シート(上流側遮光シート)、27…遮光シート(下流側遮光シート)、31…非分割領域、32…分割領域、33…スリット、35…帯部、41…遮光板。