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特開2024-171677医用画像処理装置、医用画像処理システム、及び医用画像処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171677
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、医用画像処理システム、及び医用画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/46 20240101AFI20241205BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20241205BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61B6/03 360Q
A61B6/03 370A
A61B6/03 377
A61B6/03 360P
A61B5/055 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088822
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】オン グアン イ
(72)【発明者】
【氏名】手塚 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】杉澤 智
(72)【発明者】
【氏名】野中 博文
(72)【発明者】
【氏名】長尾 貴正
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA17
4C093CA21
4C093FF17
4C093FF24
4C093FF32
4C093FF35
4C093FF37
4C093FG04
4C093FG13
4C093FG16
4C096AA10
4C096AA17
4C096AA18
4C096AD14
4C096DC19
4C096DC33
4C096DD08
(57)【要約】
【課題】診断能の高い重畳画像を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る医用画像処理装置は、取得部と、判定部と、生成部とを具備する。取得部は、第1解析結果を示す第1医用画像と、前記第1解析結果とは異なる第2解析結果を示す第2医用画像とを取得する。判定部は、前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべき条件である重畳肯定条件と、前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべきではない条件である重畳否定条件とに基づいて、前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべきか否かについて判定を行う。生成部は、前記判定の結果に応じて、前記第1医用画像及び前記第2医用画像を重畳することで重畳画像を生成する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1解析結果を示す第1医用画像と、前記第1解析結果とは異なる第2解析結果を示す第2医用画像とを取得する取得部と、
前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべき条件である重畳肯定条件と、前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべきではない条件である重畳否定条件とに基づいて、前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべきか否かについて判定を行う判定部と、
前記判定の結果に応じて、前記第1医用画像及び前記第2医用画像を重畳することで重畳画像を生成する生成部と、
を具備する医用画像処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記重畳肯定条件のそれぞれのうち前記第1医用画像及び前記第2医用画像の組み合わせが合致した第1重畳肯定条件と、前記重畳否定条件のそれぞれのうち前記組み合わせが合致した第1重畳否定条件とに基づいて、前記判定を行う、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記第1重畳肯定条件に係る得点と、前記第1重畳否定条件に係る得点とに基づいて、前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべき推奨度である重畳推奨度を算出し、前記重畳推奨度が閾値以上である場合、前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべきと判定する、
請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記重畳肯定条件は、前記第1医用画像が前記第1解析結果として臓器の血流の動態を示す画像であり、前記第2医用画像が前記第2解析結果として前記臓器の血流の異常領域を示す画像である場合を含む、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記重畳肯定条件は、前記第1医用画像が前記第1解析結果として臓器の血流の第1異常領域を示す画像であり、前記第2医用画像が前記第2解析結果として前記臓器の血流の第2異常領域を示す画像である場合を含む、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記重畳肯定条件は、前記第1医用画像が前記第1解析結果として臓器の異常領域を示す第1画像種に属する画像であり、前記第2医用画像が前記第2解析結果として前記臓器の全体領域を示す第2画像種に属する画像である場合を含む、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記重畳肯定条件は、前記第1医用画像及び前記第2医用画像が、被検体に生じた有害事象の発生時点から所定の時間範囲内において撮影された画像である場合を含む、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記重畳否定条件は、前記第1医用画像の解像度と、前記第2医用画像の解像度とのうち少なくとも1つが所定の基準以上ではない場合を含む、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記重畳否定条件は、前記第1医用画像における第1画像領域に複数の解析結果が含まれ、前記第2医用画像において前記第1画像領域に対応する第2画像領域に少なくとも1つの解析結果が含まれる場合を含む、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記重畳画像を表示部に表示する表示制御部、を更に具備する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべきではないと判定された場合、前記第1医用画像及び前記第2医用画像を前記表示部に並列表示する、
請求項10に記載の医用画像処理装置。
【請求項12】
前記表示制御部は、前記重畳画像の位置に対応するスライダーバーの位置に対して、前記重畳画像の位置を示すボックスを表示する、
請求項10に記載の医用画像処理装置。
【請求項13】
前記表示制御部は、前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべきではないと判定された場合、前記第1医用画像の位置に対応するスライダーバーの位置に隣接するように、前記第2医用画像の位置を示すボックスを表示する、
請求項10に記載の医用画像処理装置。
【請求項14】
医用画像処理装置と、操作端末とを具備する医用画像処理システムであって、
前記医用画像処理装置は、
第1解析結果を示す第1医用画像と、前記第1解析結果とは異なる第2解析結果を示す第2医用画像とを取得する取得部と、
前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべき条件である重畳肯定条件と、前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべきではない条件である重畳否定条件とに基づいて、前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべきか否かについて判定を行う判定部と、
前記判定の結果に応じて、前記第1医用画像及び前記第2医用画像を重畳することで重畳画像を生成する生成部と、
を具備し、
前記操作端末は、前記医用画像処理装置により生成された前記重畳画像を表示する、
医用画像処理システム。
【請求項15】
第1解析結果を示す第1医用画像と、前記第1解析結果とは異なる第2解析結果を示す第2医用画像とを取得することと、
前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべき条件である重畳肯定条件と、前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべきではない条件である重畳否定条件とに基づいて、前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべきか否かについて判定を行うことと、
前記判定の結果に応じて、前記第1医用画像及び前記第2医用画像を重畳することで重畳画像を生成することと、
を具備する医用画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像処理装置、医用画像処理システム、及び医用画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、医用画像処理装置は、医用画像に対して各種の解析(例:生理学的解析、形態学的解析)を行う。特に、医用画像処理装置は、複数の医用画像に対して同一の又は異なる種類の解析を行うことがある。この場合、医用画像処理装置は、複数の解析結果を示す複数の医用画像を重畳することで重畳画像を生成し、生成した重畳画像を表示する。
【0003】
しかしながら、重畳画像の診断目的及び視認性等の観点から、医用画像処理装置は、単に全ての医用画像を重畳すべきではない。例えば、特定の診断目的に対して関連性の低い複数の解析結果を含む重畳画像は、この診断目的に適合しない。一方、特定の診断目的に対して関連性の高い解析結果を必要以上に多く含む重畳画像は、自身の視認性を損なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-057695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、診断能の高い重畳画像を提供することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用画像処理装置は、取得部と、判定部と、生成部とを具備する。取得部は、第1解析結果を示す第1医用画像と、前記第1解析結果とは異なる第2解析結果を示す第2医用画像とを取得する。判定部は、前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべき条件である重畳肯定条件と、前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべきではない条件である重畳否定条件とに基づいて、前記第1医用画像及び前記第2医用画像が重畳されるべきか否かについて判定を行う。生成部は、前記判定の結果に応じて、前記第1医用画像及び前記第2医用画像を重畳することで重畳画像を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る医用画像処理システムの構成例を示すブロック図。
図2】本実施形態に係る医用画像処理装置の構成例を示すブロック図。
図3】本実施形態に係る操作端末の構成例を示すブロック図。
図4】本実施形態に係る医用画像処理装置の動作例を示すフローチャート。
図5】本実施形態に係る重畳肯定条件の例を示す図。
図6】本実施形態に係る重畳否定条件の例を示す図。
図7】本実施形態に係る重畳画像の生成例を示す図。
図8】本実施形態に係る医用画像の表示例を示す図。
図9】本実施形態に係る表示画面のレイアウトの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施形態に係る医用画像処理装置、医用画像処理システム、及び医用画像処理方法について説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作を行うものとして、重複する説明を適宜、省略する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る医用画像処理システム100の構成例を示すブロック図である。医用画像処理システム100は、被検体に関する医用画像を処理するシステムである。医用画像処理システム100は、各構成として医用画像処理装置1、複数の操作端末2、医用画像生成装置3及び医用画像記憶装置4を含む。各構成は、共通の信号通信路であるバス(BUS)を介して、互いに通信可能に接続される。
【0010】
医用画像処理装置1は、被検体に関する医用画像を処理する装置である。医用画像処理装置1は、医用画像処理システム100におけるサーバとして機能する。医用画像処理装置1は、高速な情報処理を実行可能なワークステーションでもよい。
【0011】
操作端末2は、医師等の操作者により操作される端末である。操作端末2は、医用画像処理システム100におけるクライアントとして機能する。操作端末2は、デスクトップPC、ノートPC、スマートフォン、タブレット端末又はウェアラブル端末でもよい。
【0012】
医用画像生成装置3は、被検体に関する医用画像を生成する装置である。医用画像生成装置3は、医用画像診断装置(例:X線診断装置、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置、核医学検査装置)でもよい。医用画像生成装置3は、生成した医用画像を医用画像記憶装置4に送信する。医用画像生成装置3は、画像生成部の一例である。
【0013】
医用画像記憶装置4は、被検体に関する医用画像を記憶する装置である。医用画像記憶装置4は、記憶媒体(例:磁気的記憶媒体、電磁的記憶媒体、光学的記憶媒体、半導体メモリ)でもよいし、記憶媒体との間で情報を読み書きする駆動装置でもよい。特に、医用画像記憶装置4は、PACS(Picture Archiving and Communications System)サーバでもよい。医用画像記憶装置4は、医用画像生成装置3から送信された医用画像を記憶する。医用画像記憶装置4は、画像記憶部の一例である。
【0014】
図2は、本実施形態に係る医用画像処理装置1の構成例を示すブロック図である。医用画像処理装置1は、各構成として処理回路11、メモリ12及び通信IF13を含む。各構成は、共通の信号通信路であるバス(BUS)を介して、互いに通信可能に接続される。
【0015】
処理回路11は、医用画像処理装置1の全体の動作を制御する回路である。処理回路11は、少なくとも1つのプロセッサを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例:単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array))などの回路を意味する。プロセッサがCPUである場合、CPUはメモリ12に記憶された各プログラムを読み出して実行することで、各機能を実現する。プロセッサがASICである場合、各機能がASICの回路内に論理回路として直接、組み込まれる。プロセッサは、単一の回路として構成されてもよいし、独立した複数の回路を互いに組み合わせて構成されてもよい。処理回路11は、各機能(取得機能111、決定機能112、特定機能113、判定機能114、生成機能115、表示制御機能116、システム制御機能117)を実現する。
【0016】
取得機能111は、各種のデータ又は情報を取得する機能である。例えば、取得機能111は、複数の医用画像を医用画像記憶装置4から取得する。このとき、取得機能111は、医用画像及び付帯情報(例:患者情報、撮影情報)を含むDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)ファイルを取得してもよい。さらに、取得機能111は、第1解析結果を示す第1医用画像と、第1解析結果とは異なる第2解析結果を示す第2医用画像とを取得してもよい。取得機能111は、取得部の一例である。
【0017】
決定機能112は、各種のデータ又は情報を決定する機能である。例えば、決定機能112は、取得機能111により取得された複数の医用画像から、処理対象となる2つの医用画像(第1医用画像、第2医用画像)の組み合わせを決定する。決定機能112は、決定部の一例である。
【0018】
特定機能113は、各種のデータ又は情報を特定する機能である。例えば、特定機能113は、決定機能112により決定された第1医用画像及び第2医用画像の組み合わせが合致した重畳肯定条件及び重畳否定条件を特定する。特定機能113は、特定部の一例である。
【0019】
判定機能114は、各種の条件について判定を行う機能である。例えば、判定機能114は、特定機能113により特定された重畳肯定条件及び重畳否定条件に基づいて、決定機能112により決定された第1医用画像及び第2医用画像が重畳されるべき重畳推奨度を算出する。判定機能114は、重畳推奨度が閾値以上である場合、第1医用画像及び第2医用画像が重畳されるべきと判定する。反対に、判定機能114は、重畳推奨度が閾値未満である場合、第1医用画像及び第2医用画像が重畳されるべきではないと判定する。判定機能114は、判定部の一例である。
【0020】
生成機能115は、各種のデータ又は情報を生成する機能である。例えば、生成機能115は、判定機能114による判定の結果に応じて、決定機能112により決定された第1医用画像及び第2医用画像を重畳することで、重畳画像を生成する。具体的には、生成機能115は、判定機能114により第1医用画像及び第2医用画像が重畳されるべきと判定された場合、第1医用画像及び第2医用画像を重畳する。反対に、生成機能115は、判定機能114により第1医用画像及び第2医用画像が重畳されるべきではないと判定された場合、第1医用画像及び第2医用画像を重畳しない。生成機能115は、生成部の一例である。
【0021】
表示制御機能116は、各種の表示を制御する機能である。例えば、表示制御機能116は、生成機能115により生成された重畳画像を操作端末2に表示する。あるいは、表示制御機能116は、決定機能112により決定された第1医用画像及び第2医用画像を操作端末2に並列表示する。表示制御機能116は、表示制御部の一例である。
【0022】
システム制御機能117は、処理回路11が行う各種の動作を制御する機能である。例えば、システム制御機能117は、処理回路11が各機能(取得機能111、決定機能112、特定機能113、判定機能114、生成機能115、表示制御機能116)を実現するためのオペレーティングシステム(OS)を提供する。システム制御機能117は、システム制御部の一例である。
【0023】
メモリ12は、各種のデータ又は情報を記憶する装置である。メモリ12は、プロセッサにより読取可能な記憶媒体(例:磁気的記憶媒体、電磁的記憶媒体、光学的記憶媒体、半導体メモリ)でもよいし、記憶媒体との間でデータ又は情報を読み書きする駆動装置でもよい。メモリ12は、処理回路11に各機能(取得機能111、決定機能112、特定機能113、判定機能114、生成機能115、表示制御機能116、システム制御機能117)を実現させる各プログラムを記憶する。メモリ12は、記憶部の一例である。
【0024】
通信IF13は、各種のデータ又は情報を通信するインタフェースである。例えば、通信IF13は、操作端末2、医用画像生成装置3又は医用画像記憶装置4との間で、各種のデータ又は情報を通信する。通信IF13は、DICOM通信により、DICOMファイルを通信してもよい。通信IF13は、通信部の一例である。
【0025】
図3は、本実施形態に係る操作端末2の構成例を示すブロック図である。操作端末2は、各構成として処理回路21、メモリ22、入力IF23、ディスプレイ24及び通信IF25を含む。各構成は、共通の信号通信路であるバス(BUS)を介して、互いに通信可能に接続される。
【0026】
処理回路21は、操作端末2の全体の動作を制御する回路である。操作端末2の処理回路21は、医用画像処理装置1の処理回路11と同様なハードウェア構成を有する。処理回路21は、各機能(取得機能211、表示制御機能212、システム制御機能213)を実現する。
【0027】
取得機能211は、各種のデータ又は情報を取得する。例えば、取得機能211は、医用画像処理装置1から送信された各種のデータ又は情報を取得する。取得機能211は、取得部の一例である。
【0028】
表示制御機能212は、各種の表示を制御する機能である。例えば、表示制御機能212は、取得機能211により取得された各種のデータ又は情報をディスプレイ24に表示する。表示制御機能212は、表示制御部の一例である。
【0029】
システム制御機能213は、処理回路21が行う各種の動作を制御する機能である。例えば、システム制御機能213は、処理回路21が各機能(取得機能211、表示制御機能212)を実現するためのオペレーティングシステム(OS)を提供する。システム制御機能213は、システム制御部の一例である。
【0030】
メモリ22は、各種のデータ又は情報を記憶する装置である。操作端末2のメモリ22は、医用画像処理装置1のメモリ12と同様なハードウェア構成を有する。メモリ22は、処理回路21に各機能(取得機能211、表示制御機能212、システム制御機能213)を実現させる各プログラムを記憶する。メモリ22は、記憶部の一例である。
【0031】
入力IF23は、操作者から各種の操作を受け付けるインタフェースである。入力IF23は、操作者から受け付けた各種の操作を電気信号に変換し、電気信号を処理回路21に送信する。入力IF23は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、スライダースイッチ、トラックボール、操作パネル又はタッチパネルでもよい。入力IF23は、入力部の一例である。
【0032】
ディスプレイ24は、各種のデータ又は情報を表示する装置である。ディスプレイ24は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ又はLEDディスプレイでもよい。ディスプレイ24は、入力IF23としての機能を兼ねるタッチパネル式ディスプレイでもよい。ディスプレイ24は、表示部の一例である。
【0033】
通信IF25は、各種のデータ又は情報を通信するインタフェースである。例えば、通信IF25は、医用画像処理装置1との間で、各種のデータ又は情報を通信する。通信IF25は、DICOM通信により、DICOMファイルを通信してもよい。通信IF25は、通信部の一例である。
【0034】
図4は、本実施形態に係る医用画像処理装置1の動作例を示すフローチャートである。本動作例は、操作者からの指示に応じて開始されてもよいし、被検体に関する撮影済み又は解析済みの医用画像が医用画像記憶装置4に順次、追加される状況で開始されてもよい。
【0035】
(ステップS1)まず、医用画像処理装置1は、複数の医用画像を取得する。具体的には、医用画像処理装置1は取得機能111により、複数の医用画像を医用画像記憶装置4から取得する。なお、医用画像処理装置1は、取得した複数の医用画像に対して各種の画像解析(例:分類、検出、セグメンテーション)を行ってもよい。これにより、複数の医用画像のそれぞれに解析結果が対応付けられる。
【0036】
(ステップS2)次に、医用画像処理装置1は、2つの医用画像の組み合わせを決定する。具体的には、医用画像処理装置1は決定機能112により、ステップS1で取得された複数の医用画像のうち、処理対象となる2つの医用画像(第1医用画像、第2医用画像)の組み合わせを決定する。決定機能112は、ステップS2が実行されるごとに、異なる組み合わせを決定する。決定機能112は、操作者からの指示に応じて、処理対象となる特定の組み合わせを決定してもよい。
【0037】
(ステップS3)続いて、医用画像処理装置1は、組み合わせが合致した重畳肯定条件を特定する。具体的には、医用画像処理装置1は特定機能113により、ステップS2で決定された組み合わせが合致した重畳肯定条件を特定する(図5参照)。
【0038】
(ステップS4)続いて、医用画像処理装置1は、組み合わせが合致した重畳否定条件を特定する。具体的には、医用画像処理装置1は特定機能113により、ステップS2で決定された組み合わせが合致した重畳否定条件を特定する。ステップS4は、ステップS3の前に実行されてもよい(図6参照)。
【0039】
(ステップS5)続いて、医用画像処理装置1は、重畳推奨度を算出する。具体的には、医用画像処理装置1は判定機能114により、ステップS3及びS4で特定された重畳肯定条件及び重畳否定条件に基づいて、ステップS2で決定された第1医用画像及び第2医用画像が重畳されるべき重畳推奨度を算出する。判定機能114は、重畳肯定条件に係る得点と、重畳否定条件に係る得点とに基づいて、重畳推奨度を算出する。
【0040】
例えば、判定機能114は、重畳肯定条件に係る得点と、重畳否定条件に係る得点とを加算することで、重畳推奨度を算出する。判定機能114は、前者の得点と、後者の得点とに異なる重みをそれぞれ乗算した後、前者の得点と、後者の得点とを加算してもよい。
【0041】
(ステップS6)ここで、医用画像処理装置1は、重畳推奨度が閾値以上であるか否かを判定する。具体的には、医用画像処理装置1は判定機能114により、ステップS5で算出された重畳推奨度が閾値以上であるか否かを判定する。閾値は、操作者により任意の値(例:正の値)に設定される。重畳推奨度が閾値以上である場合(ステップS6-YES)、処理はステップS7に進む。重畳推奨度が閾値未満である場合(ステップS6-NO)、処理はステップS8Bに進む。
【0042】
(ステップS7)この場合、医用画像処理装置1は、重畳画像を生成する。具体的には、医用画像処理装置1は生成機能115により、ステップS2で決定された第1医用画像及び第2医用画像を重畳することで、重畳画像を生成する(図7参照)。
【0043】
(ステップS8A)続いて、医用画像処理装置1は、重畳画像を表示する。具体的には、医用画像処理装置1は表示制御機能116により、ステップS7で生成された重畳画像を操作端末2のディスプレイ24に表示する。このとき、表示制御機能116は、生成された重畳画像を操作端末2に送信する。操作端末2は取得機能211により、送信された重畳画像を取得する。操作端末2は表示制御機能212により、取得された重畳画像をディスプレイ24に表示する。ステップS8Aの後、処理はステップS9に進む(図8及び図9参照)。
【0044】
(ステップS8B)この場合、医用画像処理装置1は、2つの医用画像を並列表示する。具体的には、医用画像処理装置1は表示制御機能116により、ステップS2で決定された2つの医用画像(第1医用画像、第2医用画像)を操作端末2のディスプレイ24に並列表示する。このとき、表示制御機能116は、2つの医用画像を操作端末2に送信する。操作端末2は取得機能211により、送信された2つの医用画像を取得する。操作端末2は表示制御機能212により、取得された2つの医用画像をディスプレイ24に並列表示する。ステップS8Bの後、処理はステップS9に進む(図8及び図9参照)。
【0045】
(ステップS9)ここで、医用画像処理装置1は、他の組み合わせについて処理するか否かを判定する。具体的には、医用画像処理装置1は判定機能114により、ステップS2からS8A又はS8Bまでに処理された2つの医用画像とは異なる、他の2つの医用画像の組み合わせについて処理するか否かを判定する。他の組み合わせについて処理される場合(ステップS9-YES)、処理はステップS2に戻る。他の組み合わせについて処理されない場合(ステップS9-NO)、医用画像処理装置1は一連の動作を終了する。
【0046】
図5は、本実施形態に係る重畳肯定条件の例を示す図である。本例によれば、テーブル200は、メモリ12に記憶され、複数の重畳肯定条件を格納する。複数の重畳肯定条件のそれぞれには、固有の番号(#)と、固有の得点とが対応付けられる。番号及び得点は、操作者により任意の値に設定され得る。医用画像処理装置1は、テーブル200を参照し、2つの医用画像の組み合わせが、いずれの重畳肯定条件に合致するかを特定する。
【0047】
テーブル200の番号「1-1」に係る重畳肯定条件は、第1医用画像「CT画像」、第1解析結果「血流動態」、第2医用画像「CT画像」、第2解析結果「血流異常領域」である。すなわち、この重畳肯定条件は、第1医用画像が「血流動態」を示す「CT画像」であり、第2医用画像が「血流異常領域」を示す「CT画像」であることを意味する。この場合、第1医用画像が被検体の臓器の血流動態を画像化したCT灌流画像であり、第2医用画像がこの臓器の病変領域(例:出血領域、虚血領域、血腫領域)を画像化したCT画像でもよい。この重畳肯定条件には、得点「1.0」が対応付けられる。
【0048】
テーブル200の番号「1-2」に係る重畳肯定条件は、第1医用画像「MR画像」、第1解析結果「血流動態」、第2医用画像「MR画像」、第2解析結果「血流異常領域」である。すなわち、この重畳肯定条件は、第1医用画像が「血流動態」を示す「MR画像」であり、第2医用画像が「血流異常領域」を示す「MR画像」であることを意味する。この場合、第1医用画像が被検体の臓器の血流動態を画像化したMR灌流画像であり、第2医用画像がこの臓器の病変領域を画像化したMR画像でもよい。この重畳肯定条件には、得点「1.0」が対応付けられる。
【0049】
番号「1-1」及び「1-2」に係る重畳肯定条件は、操作者が同一の画像種に属する2つの医用画像を用いて、被検体の臓器の機能診断を行う場合に有益である。すなわち、これら2つの医用画像が重畳された重畳画像は、「臓器の機能診断」という特定の診断目的に適合する。
【0050】
テーブル200の番号「2-1」に係る重畳肯定条件は、第1医用画像「CT画像」、第1解析結果「血流異常領域A」、第2医用画像「CT画像」、第2解析結果「血流異常領域B」である。すなわち、この重畳肯定条件は、第1医用画像が「血流異常領域A」を示す「CT画像」であり、第2医用画像が「血流異常領域B」を示す「CT画像」であることを意味する。この場合、第1医用画像が被検体の臓器の第1病変領域を画像化したCT画像であり、第2医用画像がこの臓器の第2病変領域を画像化したCT画像でもよい。この重畳肯定条件には、得点「1.0」が対応付けられる。
【0051】
テーブル200の番号「2-2」に係る重畳肯定条件は、第1医用画像「MR画像」、第1解析結果「血流異常領域A」、第2医用画像「MR画像」、第2解析結果「血流異常領域B」である。すなわち、この重畳肯定条件は、第1医用画像が「血流異常領域A」を示す「MR画像」であり、第2医用画像が「血流異常領域B」を示す「MR画像」であることを意味する。この場合、第1医用画像が被検体の臓器の第1病変領域を画像化したMR画像であり、第2医用画像がこの臓器の第2病変領域を画像化したMR画像でもよい。この重畳肯定条件には、得点「1.0」が対応付けられる。
【0052】
番号「2-1」及び「2-2」に係る重畳肯定条件は、操作者が同一の画像種に属する2つの医用画像を用いて、被検体の臓器における2つの病変領域の位置を診断する場合に有益である。すなわち、これら2つの医用画像が重畳された重畳画像は、「複数の病変領域の位置診断」という特定の診断目的に適合する。
【0053】
テーブル200の番号「3-1」に係る重畳肯定条件は、第1医用画像「CT画像」、第1解析結果「血流異常領域」、第2医用画像「MR画像」、第2解析結果「全体領域」である。すなわち、この重畳肯定条件は、第1医用画像が「血流異常領域」を示す「CT画像」であり、第2医用画像が「全体領域」を示す「MR画像」であることを意味する。この場合、第1医用画像が被検体の臓器の病変領域を画像化した「CT画像」であり、第2医用画像がこの臓器の全体領域を画像化した「MR画像」でもよい。この重畳肯定条件には、得点「1.0」が対応付けられる。
【0054】
テーブル200の番号「3-2」に係る重畳肯定条件は、第1医用画像「MR画像」、第1解析結果「血流異常領域」、第2医用画像「CT画像」、第2解析結果「全体領域」である。すなわち、この重畳肯定条件は、第1医用画像が「血流異常領域」を示す「MR画像」であり、第2医用画像が「全体領域」を示す「CT画像」であることを意味する。この場合、第1医用画像が被検体の臓器の病変領域を画像化した「MR画像」であり、第2医用画像がこの臓器の全体領域を画像化した「CT画像」でもよい。この重畳肯定条件には、得点「1.0」が対応付けられる。
【0055】
番号「3-1」及び「3-2」に係る重畳肯定条件は、操作者が異なる画像種に属する2つの医用画像を用いて、被検体の臓器の全体領域における病変領域の位置を診断する場合に有益である。すなわち、これら2つの医用画像が重畳された重畳画像は、「病変領域の位置診断」という特定の診断目的に適合する。
【0056】
なお、テーブル200には、CT画像又はMR画像とは異なる他の画像種(例:単純X線画像、超音波画像、核医学画像)について、上記と同様な複数の重畳肯定条件が格納されてもよい。もちろん、複数の重畳肯定条件のそれぞれには、固有の番号と、固有の得点とが定義されてもよい。
【0057】
さらに、重畳肯定条件は、第1医用画像及び第2医用画像が、被検体に生じた有害事象の発生時点から所定の時間範囲内において撮影された画像である場合を含んでもよい。例えば、被検体に脳出血等の有害事象が発生した場合を想定する。この場合、第1医用画像及び第2医用画像は、この有害事象の発生時点から4時間以内に撮影された造影画像でもよい。この重畳肯定条件は、「急性期の脳出血に対する診断」という特定の診断目的に適合する。
【0058】
他にも、重畳肯定条件は、第1医用画像及び第2医用画像が、同一の造影相(例:造影前、早期相、中期相、後期相)に属する画像である場合を含んでもよい。この重畳肯定条件は、「同一の造影相に対する診断」という特定の診断目的に適合する。
【0059】
図6は、本実施形態に係る重畳否定条件の例を示す図である。本例によれば、テーブル300は、メモリ12に記憶され、複数の重畳否定条件を格納する。複数の重畳否定条件のそれぞれには、固有の番号(#)と、固有の得点とが対応付けられる。番号及び得点は、操作者により任意の値に設定され得る。医用画像処理装置1は、テーブル300を参照し、2つの医用画像の組み合わせが、いずれの重畳否定条件に合致するかを特定する。
【0060】
テーブル300の番号「1-1」に係る重畳否定条件は、第1医用画像「CT画像」、第1付帯情報「解像度A」、第2医用画像「CT画像」、第2付帯情報「解像度A」である。すなわち、この重畳否定条件は、第1医用画像及び第2医用画像が、「解像度A」を有する「CT画像」であることを意味する。「解像度A」の値は、医学的な診断に適さない値(すなわち、所定の基準以上ではない値)であればよい。この重畳否定条件には、得点「-5.0」が対応付けられる。
【0061】
テーブル300の番号「1-2」に係る重畳否定条件は、第1医用画像「MR画像」、第1付帯情報「解像度A」、第2医用画像「MR画像」、第2付帯情報「解像度A」である。すなわち、この重畳否定条件は、第1医用画像及び第2医用画像が、「解像度A」を有する「MR画像」であることを意味する。「解像度A」の値は、医学的な診断に適さない値であればよい。この重畳否定条件には、得点「-5.0」が対応付けられる。
【0062】
番号「1-1」及び「1-2」に係る重畳否定条件は、操作者が同一の画像種に属する2つの医用画像を用いて、高精度に画像診断を行いたい場合に有益である。解像度の低い2つの医用画像が重畳された重畳画像は、自身の視認性を損なう。そこで、両者の重畳否定条件により、医用画像処理装置1は、2つの医用画像が所定の解像度以下である場合には、重畳画像を生成しないように制御される。
【0063】
テーブル300の番号「2-1」に係る重畳否定条件は、第1医用画像「CT画像」、第1付帯情報「解析結果A=画像領域F1;解析結果B=画像領域F1」、第2医用画像「CT画像」、第2付帯情報「解析結果C=画像領域F2」である。すなわち、この重畳否定条件は、第1医用画像における画像領域F1に複数の解析結果(解析結果A、解析結果B)が含まれ、第2医用画像における画像領域F2に1つの解析結果(解析結果C)が含まれることを意味する。なお、画像領域F1及び画像領域F2は互いに対応すると想定する。この重畳否定条件には、得点「-5.0」が対応付けられる。
【0064】
テーブル300の番号「2-2」に係る重畳否定条件は、第1医用画像「MR画像」、第1付帯情報「解析結果A=画像領域F1;解析結果B=画像領域F1」、第2医用画像「MR画像」、第2付帯情報「解析結果C=画像領域F2」である。すなわち、この重畳否定条件は、第1医用画像における画像領域F1に複数の解析結果(解析結果A、解析結果B)が含まれ、第2医用画像における画像領域F2に1つの解析結果(解析結果C)が含まれることを意味する。なお、画像領域F1及び画像領域F2は互いに対応すると想定する。この重畳否定条件には、得点「-5.0」が対応付けられる。
【0065】
番号「2-1」及び「2-2」に係る重畳否定条件は、操作者が同一の画像種に属する2つの医用画像を用いて、高精度に画像診断を行いたい場合に有益である。同一の画像領域に解析結果を必要以上に多く含む重畳画像は、自身の視認性を損なう。そこで、両者の重畳否定条件により、医用画像処理装置1は、重畳画像における同一の画像領域に3つ以上の解析結果が含まれる場合には、重畳画像を生成しないように制御される。
【0066】
なお、テーブル300には、CT画像又はMR画像とは異なる他の画像種(例:単純X線画像、超音波画像、核医学画像)について、上記と同様な複数の重畳否定条件が格納されてもよい。もちろん、複数の重畳否定条件のそれぞれには、固有の番号と、固有の得点とが定義されてもよい。
【0067】
ここで、2つの医用画像が、図5のテーブル200における重畳肯定条件「1-1」と、図6のテーブル300における重畳否定条件「1-1」とに合致した場合を想定する。この場合、2つの医用画像が重畳される重畳推奨度は、「1.0+(-5.0)=-4.0」と算出される。重畳推奨度の閾値が「正の値」である場合、この重畳推奨度は「負の値」であるため、閾値を満たさない。結果として、2つの医用画像は重畳されずに、並列表示される。なお、2つの医用画像が合致した重畳肯定条件及び重畳否定条件のリストが表示されてもよい。
【0068】
図7は、本実施形態に係る重畳画像400の生成例を示す図である。本例によれば、重畳画像400は、第1医用画像410と、第2医用画像420とを含む。第1医用画像410は、被検体の脳領域における血管の走行状態を示すCT画像である。第2医用画像420は、所定の解析結果(不図示)を含むCT画像である。
【0069】
医用画像処理装置1は、第1医用画像410及び第2医用画像420に係る重畳推奨度が閾値以上である場合、第1医用画像410及び第2医用画像420を重畳することで、重畳画像400を生成する。例えば、医用画像処理装置1は、第1医用画像410の撮影方向に合わせて第2医用画像420の形状を変更したうえで、重畳画像400を生成する。本例では、第1医用画像410に対して第2医用画像420が回転されて重畳される。
【0070】
なお、医用画像処理装置1は、2つの2次元画像(2D-2D)を重畳してもよいし、2次元画像及び3次元画像(2D-3D)を重畳してもよいし、2次元画像及び4次元画像(2D-4D)を重畳してもよい。2つの医用画像の位置合わせには、既知の手法が適用され得る。
【0071】
図8は、本実施形態に係る医用画像の表示例を示す図である。本例によれば、重畳画像400に隣接して操作領域500が配置される。操作領域500は、操作者により操作可能なウィジェットとして、スライダーバー510及びスライダー515を含む。
【0072】
スライダーバー510は、一連の医用画像(例:スライス画像)に含まれる各医用画像の位置(例:スライス位置)を示すバーである。スライダーバー510は、「0」番目の医用画像から「100」番目の医用画像までの各医用画像の位置を示す。スライダーバー510上に配置されたスライダー515は、現在表示されている医用画像の位置を示す。本例では、スライダー515は、「80」番目の医用画像として重畳画像400が表示されていることを示す。なお、操作者がスライダーバー510上でスライダー515を移動させた場合、重畳画像400に代えて、移動後のスライダー515の位置における医用画像が表示される。
【0073】
図8(A)に示すように、初期状態における重畳画像400及び操作領域500が表示される。ここで、「20」番目の医用画像から「60」番目の医用画像に対して所定の画像解析(第1画像解析)が行われた場合を想定する。この場合、医用画像処理装置1は、この画像解析による解析結果(第1解析結果)を含む複数の医用画像(第1医用画像)を取得する。図8(B)に示すように、取得された複数の医用画像の位置に対応するスライダーバー510の位置に対して、ボックス520が表示される。本例では、ボックス520は、スライダーバー510の下に配置される。
【0074】
ここで、「30」番目の医用画像から「40」番目の医用画像に対して異なる画像解析(第2画像解析)が行われた場合を想定する。この場合、医用画像処理装置1は、この画像解析による解析結果(第2解析結果)を含む複数の医用画像(第2医用画像)を取得する。医用画像処理装置1は、「30」番目の医用画像から「40」番目の医用画像のそれぞれについて取得された、上記の第1医用画像及び第2医用画像が重畳されるべきか否かを判定する。
【0075】
第1医用画像及び第2医用画像が重畳されるべきと判定された場合、医用画像処理装置1は、第1医用画像及び第2医用画像を重畳することで重畳画像を生成する。図8(C)に示すように、生成された重畳画像の位置に対応するスライダーバー510の位置に対して、ボックス530が表示される。本例では、ボックス530は、スライダーバー510の下、かつボックス520の上に配置される。なお、操作者がスライダー515をボックス530の位置に移動させた場合、重畳画像400に代えて、移動後のスライダー515の位置における重畳画像が表示される。
【0076】
反対に、第1医用画像及び第2医用画像が重畳されるべきではないと判定された場合、医用画像処理装置1は、第1医用画像及び第2医用画像を重畳しない。代わりに、図8(D)に示すように、第1医用画像の位置に対応するスライダーバー510の位置に隣接するように、第2医用画像の位置を示すボックス540が表示される。なお、操作者がスライダー515を、ボックス540に隣接するスライダーバー510上の位置に移動させた場合、重畳画像400に代えて、移動後のスライダー515の位置における第1医用画像及び第2医用画像が並列表示される。
【0077】
図9は、本実施形態に係る表示画面600のレイアウトの例を示す図である。図9(A)に示すように、初期状態において表示画面600は、タブ611、表示領域620A及び表示領域620Bを含む。タブ611には、表示領域620A及び620Bが対応付けられる。
【0078】
医用画像処理装置1は、第1医用画像及び第2医用画像を重畳することで得られた重畳画像を、表示領域620A又は620Bに配置してもよい。あるいは、医用画像処理装置1は、第1医用画像及び第2医用画像を、表示領域620A及び620Bにそれぞれ配置することで並列表示してもよい。
【0079】
ここで、医用画像処理装置1が他の組み合わせに係る第1医用画像及び第2医用画像について処理した場合を想定する。この場合、医用画像処理装置1は、他の組み合わせに係る第1医用画像及び第2医用画像が重畳されるべきか否かを判定する。
【0080】
図9(B)に示すように、医用画像処理装置1は、他の組み合わせについて処理した場合、タブ611に隣接してタブ612を生成する。操作者がタブ612を選択することで、タブ612に対応付けられた表示領域620C及び620Dが表示される。医用画像処理装置1は、他の組み合わせに係る第1医用画像及び第2医用画像を重畳することで得られた重畳画像を、表示領域620C又は620Dに配置してもよい。あるいは、医用画像処理装置1は、他の組み合わせに係る第1医用画像及び第2医用画像を、表示領域620C及び620Dにそれぞれ配置することで並列表示してもよい。
【0081】
なお、医用画像処理装置1が他の組み合わせについて処理するごとに、新たなタブが順次、生成される。生成されたタブには、複数の表示領域が対応付けられる。医用画像処理装置1は、他の組み合わせに係る2つの医用画像を、複数の表示領域のうちいずれかに重畳表示してもよいし、複数の表示領域に並列表示してもよい。
【0082】
以上、本実施形態に係る医用画像処理システム100及び医用画像処理装置1について説明した。本実施形態によれば、医用画像処理装置1は、重畳肯定条件及び重畳否定条件に基づいて、2つの医用画像が重畳されるべきか否かを判定する。これにより、医用画像処理装置1は、特定の診断目的に適い、かつ視認性の高い重畳画像を生成できる。一方、操作者は、重畳画像における複数の解析結果を認識しやすい。さらに、操作者は、複数の解析結果を個別に確認する必要がないため、読影時間が短縮される。
【0083】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、診断能の高い重畳画像を提供することができる。
【0084】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0085】
1 医用画像処理装置
2 操作端末
3 医用画像生成装置
4 医用画像記憶装置
11,21 処理回路
12,22 メモリ
13,25 通信IF
23 入力IF
24 ディスプレイ
100 医用画像処理システム
111,211 取得機能
112 決定機能
113 特定機能
114 判定機能
115 生成機能
116,212 表示制御機能
117,213 システム制御機能
200,300 テーブル
400 重畳画像
410 第1医用画像
420 第2医用画像
500 操作領域
510 スライダーバー
515 スライダー
520,530,540 ボックス
600 表示画面
611,612 タブ
620A,620B,620C,620D 表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9