(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171678
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20241205BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65G1/137 G
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088823
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】後藤 歩
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF01
3F022JJ07
3F022JJ11
3F022LL02
3F022MM11
3F022NN31
3F022NN38
3F022NN41
3F022NN51
3F522AA02
3F522BB06
3F522BB24
3F522CC01
3F522GG13
3F522GG18
3F522GG22
3F522JJ02
3F522KK05
3F522LL56
3F522LL57
3F522LL59
(57)【要約】
【課題】ピッキング作業の待ち時間を減らして、単位時間あたりのピッキング処理数を増やすことできる自動倉庫システムを提供する。
【解決手段】自動倉庫システム1は、ラック10と、搬送台車20と、作業主体へ伝達されるピッキングオーダーを記憶する記憶部7Aと、第一方向に配列される載置部11を複数のゾーンに分けて管理すると共に、ピッキングオーダーに含まれる商品Tをラック10の鉛直方向における下方の載置部11である取出載置部11Aに移動させるように搬送台車20を制御するコントローラ7と、を備える。コントローラ7は、互いに異なるピッキングオーダーに従って作業する作業主体が同一のゾーンZにて近似タイミングでピッキング作業をする度合を示す干渉度合を算出し、算出した干渉度合が小さくなるように取出載置部11AのゾーンZを決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を載置する載置部が鉛直方向と水平方向における一方向である第一方向とに配列されると共に、前記鉛直方向と前記第一方向との両方に直交する第二方向における第一端部側から前記商品を取り出し可能なラックと、
前記第二方向における第二端部側において前記第一方向に沿って走行し、前記ラックに対して前記商品を移載可能な搬送台車と、
作業主体へ伝達されるピッキングオーダーを記憶する記憶部と、
前記第一方向に配列される前記載置部を一つ又は複数の前記載置部からなる複数のゾーンに分けて管理すると共に、前記ピッキングオーダーに含まれる前記商品を前記ラックの鉛直方向における下方の前記載置部である取出載置部に移動させるように前記搬送台車を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、互いに異なる前記ピッキングオーダーに従って作業する作業主体が同一の前記ゾーンにて近似タイミングでピッキング作業をする度合を示す干渉度合を算出し、算出した前記干渉度合が小さくなるように前記取出載置部の前記ゾーンを決定する、自動倉庫システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記ピッキングオーダーに従ってピッキング作業を実施する作業主体の前記ゾーン毎のスケジュールに基づいて前記干渉度合を算出する、請求項1記載の自動倉庫システム。
【請求項3】
前記干渉度合は、前記ゾーン毎のスケジュールにおいて異なる作業主体同士のピッキング作業時間が互いに重なる回数である干渉数、又は、前記ゾーン毎のスケジュールにおいて異なる作業主体同士のピッキング作業時間が互いに重なる時間である干渉時間である、請求項2記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記商品を移動させる前記取出載置部の前記ゾーンを決定する仮決定ステップと、
前記仮決定ステップにおいて決定された前記ゾーンに前記商品を移動するに際し、前記干渉度合が最小となるように前記商品の種類を決定する配置ステップと、
前記仮決定ステップおいて決定された前記ゾーンの前記取出載置部に、前記配置ステップにおいて決定された種類の前記商品を配置したときの前記ゾーン毎のスケジュールを更新するスケジュール更新ステップと、を含む処理を繰り返し実行し、
前記配置ステップにおいて算出する前記最小の前記干渉度合が、前回の配置ステップで算出した前記最小の前記干渉度合に比べて所定閾値以上増加した場合には、前記商品の種類を決定することを中止して前記仮決定ステップをやり直す、請求項1~3の何れか一項記載の自動倉庫システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記配置ステップにおいて算出される前記最小の前記干渉度合が同程度となる前記商品の種類が複数ある場合には、
次の前記配置ステップにおいて、現在の前記配置ステップにおいて決定した前記ゾーンと同じゾーンに前記商品を配置する場合には、前記干渉度合が小さくなるような前記商品を配置するように決定し、
次の前記配置ステップにおいて、現在の前記配置ステップにおいて決定した前記ゾーンとは異なるゾーンに前記商品を配置する場合には、前記干渉度合が大きくなるような前記商品を配置するように決定する、請求項4記載の自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば物流センタ等では、店舗等からの注文に応じて、種々の商品から指定された商品を指定個数取り揃えるピッキング作業が行われている。作業者は、例えば、伝票等を見ながら、商品が保管されている棚が配置されたゾーンまで移動して必要個数の商品を取り出し、集荷用のコンテナ等に収容している。このような物流センタ内において、棚に対する商品の入出庫をシミュレーションして、ピッキング作業にかかる時間を短縮する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の物品取出管理装置では、棚が配置されたフロアにおける作業者の動線に基づいて、ピッキング作業にかかる時間をシミュレーションしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ピッキング作業をする作業主体(例えば作業者)が同じタイミングで同じゾーンでピッキング作業を実施する場合、作業スペースや設備次第では、先の作業主体が商品を取り出すまで、ピッキング作業を中断しなければならない場合がある。このような待ち時間は、ピッキング作業の作業効率を低下させている。
【0005】
そこで、本発明の一側面の目的は、ピッキング作業の待ち時間を減らして、単位時間あたりのピッキング処理数を増やすことできる自動倉庫システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る自動倉庫システムは、商品を載置する載置部が鉛直方向と水平方向における一方向である第一方向とに配列されると共に、鉛直方向と第一方向との両方に直交する第二方向における第一端部側から商品を取り出し可能なラックと、第二方向における第二端部側において第一方向に沿って走行し、ラックに対して商品を移載可能な搬送台車と、作業主体へ伝達されるピッキングオーダーを記憶する記憶部と、第一方向に配列される載置部を一つ又は複数の載置部からなる複数のゾーンに分けて管理すると共に、ピッキングオーダーに含まれる商品をラックの鉛直方向における下方の載置部である取出載置部に移動させるように搬送台車を制御するコントローラと、を備え、コントローラは、互いに異なるピッキングオーダーに従って作業する作業主体が同一のゾーンにて近似タイミングでピッキング作業をする度合を示す干渉度合を算出し、算出した干渉度合が小さくなるように取出載置部のゾーンを決定する。
【0007】
この構成の自動倉庫システムでは、取出載置部となるゾーンと当該ゾーンに移動させる商品Tの種類とを干渉度合が小さくなるように決定している。これにより、ピッキング作業の待ち時間を減らして、単位時間あたりのピッキング処理数を増やすことできる。
【0008】
本発明の一側面に係る自動倉庫システムでは、コントローラは、ピッキングオーダーに従ってピッキング作業を実施する作業主体のゾーン毎のスケジュールに基づいて干渉度合を算出してもよい。この構成では、干渉度合を容易に算出することができる。
【0009】
本発明の一側面に係る自動倉庫システムでは、干渉度合は、ゾーン毎のスケジュールにおいて異なる作業主体同士のピッキング作業時間が互いに重なる回数である干渉数、又は、ゾーン毎のスケジュールにおいて異なる作業主体同士のピッキング作業時間が互いに重なる時間である干渉時間であってもよい。この構成では、ピッキング作業において互いに異なる作業主体同士が干渉する度合を、算出し易く、かつ当業者にとって分かりやすい指標で評価することができる。
【0010】
本発明の一側面に係る自動倉庫システムでは、コントローラは、商品を移動させる取出載置部のゾーンを決定する仮決定ステップと、仮決定ステップにおいて決定されたゾーンに商品を移動するに際し、干渉度合が最小となるように商品の種類を決定する配置ステップと、仮決定ステップおいて決定されたゾーンの取出載置部に、配置ステップにおいて決定された種類の商品を配置したときのゾーン毎のスケジュールを更新するスケジュール更新ステップと、を含む処理を繰り返し実行し、配置ステップにおいて算出する最小の干渉度合が、前回の配置ステップで算出した最小の干渉度合に比べて所定閾値以上増加した場合には、商品の種類を決定することを中止して仮決定ステップをやり直してもよい。この構成では、より最適なゾーンの取出載置部に商品を移動させることができる。
【0011】
本発明の一側面に係る自動倉庫システムでは、コントローラは、配置ステップにおいて算出される最小の干渉度合が同程度となる商品の種類が複数ある場合には、次の配置ステップにおいて、現在の配置ステップにおいて決定したゾーンと同じゾーンに商品を配置する場合には、干渉度合が小さくなるような商品を配置するように決定し、次の配置ステップにおいて、現在の配置ステップにおいて決定したゾーンとは異なるゾーンに商品を配置する場合には、干渉度合が大きくなるような商品を配置するように決定してもよい。この構成では、作業効率の高いゾーンを有効活用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面によれば、ピッキング作業の待ち時間を減らして、単位時間あたりのピッキング処理数を増やすことできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る自動倉庫システムの全体構成を示した平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に含まれる自動倉庫を拡大して示した平面図である。
【
図3】
図3は、
図1の自動倉庫システムにおける商品配置最適化手順を示したフローチャートである。
【
図4】
図4(A)及び
図4(B)は、商品配置最適化手順に用いられる、ゾーンにおける作業者のスケジュールを示す情報の一例である。
【
図5】
図5は、商品配置最適化手順を説明するための説明図である。
【
図6】
図6(A)~
図6(C)は、
図5における商品配置最適化手順に用いられる、ゾーンにおける作業者のスケジュールを示す情報の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
自動倉庫システム1は、店舗等からの注文に応じて、複数の商品群の中から指定された商品Tを指定個数取り揃えるピッキング作業が行われる物流センタ等に配備される。
図1に示されるように、自動倉庫システム1は、複数の自動倉庫3と、報知部5と、コントローラ7と、を備える。なお、説明の便宜のため、物流倉庫における水平方向の一方向をX方向(第一方向)、水平方向においてX方向に直交する方向をY方向(第二方向)、X方向及びY方向の両方に直交する垂直方向をZ方向として説明する。
図1及び
図2に示されるように、自動倉庫3は、一対のラック10,10と、搬送台車20と、搬入リフト17と、を備える。
【0016】
図1に示されるように、自動倉庫3は、物流センタにおけるピッキングエリアAに配置されている。本実施形態では、X方向に二列、Y方向に七列、合計14基の自動倉庫3が配置されている。自動倉庫3が配置されるピッキングエリアAは、仮想的に区画されたエリアであってもよいし、一つの建屋からなるエリアであってもよい。ピッキングエリアAには、ピッキングエリアA内部に進入することが可能な一つの入口ENと、ピッキングエリアA内部から退出することが可能な一つ又は複数(本実施形態では4つ)の出口EXが設けられている。
【0017】
一対のラック10,10のそれぞれは、商品Tを載置する載置部11がZ方向及びX方向に配列されている。本実施形態の載置部11は、商品Tが載置されたパレットが載置される。なお、各載置部11は、商品Tが収容されたケースが載置されてもよい。Z方向に配列される載置部11のうち、最下段に配置される載置部11及び最下段の一つ上に配置される載置部11の二段の載置部11は、Y方向における第一端部側F1から作業者(作業主体)が商品Tを取り出し可能な取出載置部11Aとして構成されている。ラック10において、取出載置部11Aとならない載置部11の第一端部側F1には、ブレース材が配置されてもよい。本実施形態では、一対のラック10,10は、Y方向に搬送台車20を挟むように、Y方向における第一端部側F1とは反対側の第二端部側F2同士が対向するように配置されている。
【0018】
一つのラック10において、X方向に配列される複数の載置部11は、後段にて詳述するコントローラ7によって複数のゾーンZに分けて管理される。
図2に示される一対のラック10,10では、例えば、一方のラック10が二つのゾーンZ(ZA,ZB)に分けて管理され、他方のラック10が二つのゾーンZ(ZC,ZD)に分けて管理される。ゾーンZAは、五つの載置部11からなる取出載置部11A(取出載置部A-1)と、五つの載置部11からなる取出載置部11A(取出載置部A-2)と、六つの載置部11からなる取出載置部11A(取出載置部A-3)と、によって構成されている。ゾーンZBは、六つの載置部11からなる取出載置部11A(取出載置部B-1)によって構成されている。
【0019】
同様に、ゾーンZCは、六つの載置部11からなる取出載置部11A(取出載置部A-5)と、六つの載置部11からなる取出載置部11A(取出載置部A-6)と、五つの載置部11からなる取出載置部11A(取出載置部A-7)と、によって構成されている。ゾーンZDは、五つの載置部11からなる取出載置部(取出載置部B-2)によって構成されている。ピッキングエリアAに配置される全てのラック10についても、上述したように、コントローラ7によって複数のゾーンZに分けて管理される。
【0020】
搬送台車20は、一対のラック10,10のY方向における第二端部側F2においてX方向に沿って走行し、一対のラック10,10に対して商品Tを移載可能に構成されている。本実施形態の搬送台車20は、スタッカクレーンであり、X方向に延在する軌道21を走行する走行部(図示せず)と、走行部に立設されたマスト(図示せず)と、マストの側面を鉛直方向に移動可能に設けられると共に、ラック10の載置部11に対して商品Tを移載可能に構成された移載部(図示せず)と、を備える。搬送台車20における走行と商品Tの移載は、コントローラ7によって制御される。
【0021】
搬入リフト17は、商品Tを自動倉庫3の外部から自動倉庫3の内部に搬入するリフトである。搬入リフト17は、鉛直方向に移動可能に構成されたリフト装置であって、自動倉庫3の外部にあって、ピッキングエリアA内の他の自動倉庫3や、ピッキングエリアA外の他の自動倉庫等との間で商品Tをやりとりする搬送装置から商品Tが受け渡される。また、搬入リフト17は、搬送台車20との間で商品Tをやりとり可能に構成されている。本実施形態では、一つの自動倉庫3に二つの搬入リフト17が配置されている例を挙げて説明したが、一つの搬入リフト17のみが配置されていてもよいし、一方は、自動倉庫3から商品Tが搬出される搬出リフトであってもよい。
【0022】
報知部5は、ラック10に配置されている。報知部5は、ゾーンZごとに配置されており、ゾーンZ内で作業する作業者に対してピッキングすべき商品Tを認識させる。本実施形態の報知部5は、取出載置部11Aのそれぞれに取り付けられたランプであり、ピッキングすべき商品Tが載置されている取出載置部11Aに設けられたランプが点灯するようになっている。報知部5は、ピッキングオーダー(後段にて詳述する。)に基づいて、ピッキングすべき商品Tが載置されている取出載置部11Aのランプを点灯させる。
【0023】
コントローラ7は、搬送台車20及び報知部5を制御する。コントローラ7は、作業者へ伝達されるピッキングオーダーを記憶する記憶部7Aを有している。コントローラ7は、自動倉庫システム1における各種動作を制御する部分であり、CPU、ROM、RAM等を含んで構成されている。コントローラ7は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されことにより、自動倉庫システム1における各種処理を実行する。これらのコントローラ7を構成する各部はハードウェアとして構成されてもよい。
【0024】
このような構成において、自動倉庫システム1は、Y方向における自動倉庫3と自動倉庫3との間、及び、X方向における自動倉庫3と自動倉庫3との間には、作業者が通行することができる作業通路Pが形成されている。以後、Y方向における自動倉庫3と自動倉庫3との間の作業通路をX方向作業通路Px、X方向における自動倉庫3と自動倉庫3との間の作業通路をY方向作業通路Pyとも称する。作業通路Pの幅(延在方向に直交する方向のサイズ)は、ピッキング作業中の作業者の横をすり抜けたり、作業者同士が並走したり、作業者の追い越しができたりするほど十分に広い。
【0025】
自動倉庫3におけるラック10の取出載置部11Aには、搬送台車20によって商品Tが配置される。上述したように、搬送台車20は、上段の載置部11に載置されている商品Tを下段の取出載置部11Aに移動してもよいし、自動倉庫3の外部から搬送されてくる商品Tを取出載置部11Aに移動してもよい。取出載置部11Aは、上述したように、X方向に複数のゾーンZに分けて管理されている。上述したように各ゾーンZには、ピッキング対象となる商品Tを作業者に対して報知する報知部5が設けられている。搬送台車20は、各ゾーンZにおいて作業者による待ち時間が発生しないように、適切なゾーンZに、商品Tを配置する。なお、具体的な商品Tの配置方法については後段にて詳述する。
【0026】
作業者は、コントローラ7からピッキングオーダーを受け取ると、カートC(
図5参照)と共にこのようなピッキングエリアAに入口ENから進入する。ピッキングオーダーは、コントローラ7から出力される、作業者の一人一人に与えられるオーダーである。コントローラ7から作業者が受け取るピッキングオーダーには、ピッキング対象となる商品Tが載置されている取出載置部11AのゾーンZに関する情報が含まれている。なお、作業者が受け取るピッキングオーダーには、ピッキングすべき商品Tの名称及び個数等、他の情報が含まれていてもよい。なお、作業者は、紙媒体、カートCに配備されたタブレット等を介してコントローラ7からピッキングオーダーを受け取る。本実施形態では、ピッキングオーダーは、所定の間隔(例えば10秒)で作業者に受け渡される。このため、ピッキングエリアAには、ピッキングオーダーを受け取った作業者が所定の時間間隔で進入してくることになる。
【0027】
ピッキングエリアAに進入した作業者は、逆走することなく作業通路Pを一方向に進行しながら、可能ならY方向作業通路Pyをショートカットしながら、ピッキング対象となる商品Tが配置されたゾーンZ(すなわち、ピッキングオーダーに含まれるゾーンZ)に行き、対象となる商品Tが載置された取出載置部11Aを報知する報知部5の情報に従って、ピッキング対象となる商品Tをピッキングする。作業者は、一つ又は複数のゾーンZを回りながら、ピッキングオーダーに示された商品Tのピッキング作業を繰り返し、全ての商品Tのピッキング作業が完了すると、何れかの出口EXから退出する。作業者によってピッキングされた商品Tは、梱包され、注文者に配送される。
【0028】
このような構成のピッキングエリアAでは、上述したとおり各ゾーンZにおいて、ピッキング対象となる商品Tを作業者に対して報知する報知部5が設けられているため、一つのゾーンZでは、一人の作業者しか作業ができない。このため、作業者同士が同じタイミング、同じゾーンZでピッキングをすることになると、待ち時間が発生して全体のピッキング効率が低下する。本実施形態の自動倉庫システム1では、このような待ち時間を低減することができる仕組み(以下、「商品配置最適化手順」と称する。)を有していることに一つの特徴がある。
【0029】
コントローラ7は、上位コントローラからオーダーを受信する。上位コントローラ(図示せず)がコントローラ7に送信するオーダー(以下、「オリジナルオーダー」とも称する。)には、例えば、発注主に関する情報、発注商品の種類及び発注商品の個数が含まれている。オリジナルオーダーは、例えば、インターネット、発注システム等を介して、受け付けた発注者からの注文情報である。
【0030】
コントローラ7は、上位コントローラから送信されてくるオリジナルオーダーのいくつかを一つの単位(バッチ)として、バッチごとに作業者が効率的に(ゾーンZにおいて可能な限り待ち時間が発生することがないように、かつ作業者の移動距離が短くなるように)に、ラック10における商品Tの配置を決定する。コントローラ7は、搬送台車20を制御して、上段の載置部11に載置されている商品Tを下段に移動させて、適切なゾーンZの取出載置部11Aに載置する。その後、作業者は、コントローラ7から与えられたピッキングオーダーに従って、カートCと共にピッキングエリアAにおいて商品Tのピッキングを実施する。
【0031】
商品配置最適化手順は、
図3に示されるように、仮決定ステップS1、配置ステップS2及びスケジュール更新ステップS3の大きく三つのステップに分けられる。仮決定ステップS1、配置ステップS2及びスケジュール更新ステップS3は、一つのバッチに含まれるピッキングオーダーに含まれる全商品Tの配置が決定するまで繰り返し実行されることがある。ここで、商品Tの取出載置部11Aへの配置が一つも決定していない場合に始めるステップS1~ステップS3を一回目のルーティンと定義し、ステップS1に戻って繰り返されるステップS1~ステップS3を二回目のルーティン、三回目のルーティン、・・・と定義する。
【0032】
仮決定ステップS1は、商品Tを配置する配置ゾーンを仮決定するステップである。具体的には、優先度の高いゾーンZから順に、配置ゾーンを仮決定する。本実施形態における優先度は、
図1に示されるように、ピッキングエリアAに入口ENから進入した作業者が、逆走することなく作業通路Pを一方向に進行しながら、また、ショートカットをすることなく出口EXから退出するときの入口ENに近いゾーンZほど高くなるように設定されている。
【0033】
コントローラ7は、同じバッチ内における商品配置最適化手順において、「前回の干渉数Iが閾値A以下」かつ「配置未定の取出載置部11Aが対象となるゾーンZ内に存在」するか否かを判定する。一つのバッチにおける一回目のルーティンの場合、前回の干渉数Iは「0」に設定される。閾値Aは、ユーザパラメータであって、任意の設定が可能である。なお、適切な閾値Aの設定値が分からない場合には、閾値Aは相対的に低い値(例えば0)を設定し、後段に記載する配置ステップS2、スケジュール更新ステップS3を実行しても全商品Tの配置が決定できない場合(配置ゾーンが不足する場合)は、閾値Aを1プラスして、再び初めから手順を実行する等、段階的に設定するのが好ましい。
【0034】
配置ステップS2は、ステップS1において仮決定されたゾーンZに対象となる商品Tを配置するとした場合、干渉数Iがいくつになるかという計算を全ての配置未定の商品候補それぞれに対して実行する。このとき、作業者の動作を仮定して、ピッキングすべきゾーンZにまで移動するのに要する時間、ピッキングすべき商品Tを取出載置部11Aから取り出すときに要する時間等、作業者の動作に基づいてシミュレーションを実行する。
【0035】
配置ステップS2は、具体的には処理1及び処理2の二つの処理を実行する。処理1は、一の商品Tを特定のゾーンZ(取出載置部11A)に配置すると仮定した場合に干渉数Iがいくつになるかという計算を実行する処理である。なお、干渉数Iの計算は、現段階でゾーンZへの配置が未定の商品Tの全てに実行される。処理2は、処理1によって計算された全ての商品Tの干渉数Iに基づいて、干渉数Iが最小となる商品Tを、その特定のゾーンZに配置すると決定する処理である。
【0036】
ここでいう干渉数Iとは、一つのバッチ内において、一のゾーンZ内において少なくとも二人の作業者がピッキング作業をする時間帯が重なる回数を意味する。例えば、
図4(A)に示されるように、一のゾーンZにおけるピッキング作業時間が互いにずれており、ピッキング作業時間が互いに重複しない場合には、干渉数Iは0となる。一方、
図4(B)に示されるように、一のゾーンZにおけるピッキング作業時間が互いに重複するとき、干渉があると判定する。
図4(B)に示される例では、作業者αと作業者βとのピッキング作業時間が重複すると共に、作業者βと作業者γとのピッキング作業時間が重複している。ここでいう、作業者同士においてピッキング作業の時間帯が重なる回数を干渉数I(
図4(B)に示される斜線ハッチングのブロックの数)といい、作業者同士においてピッキング作業の時間帯が重なる時間を干渉時間It(
図4(B)に示される斜線ハッチングの横軸の長さ)という。本実施形態では、ステップS2における判定指標として干渉数Iを用いている。
【0037】
処理2において、干渉数Iが最小の商品Tが複数ある場合には、以下の処理21又は処理22が設定される。処理21は、次のルーティンも、そのゾーンZにその商品Tを配置すると仮定した場合、当該商品Tのピッキング作業にかかる作業者の合計ピッキング作業時間が最小の商品Tを、そのゾーンZに配置する商品Tとして選択する処理である。処理22は、次のルーティンでは別のゾーンZに配置すると仮定した場合、当該商品Tのピッキング作業にかかる作業者の合計ピッキング作業時間が最大の商品Tを、そのゾーンZに配置する商品Tとして選択する処理である。
【0038】
すなわち、コントローラ7は、次の配置ステップS2において、現在の配置ステップS2において決定したゾーンZと同じゾーンZに商品Tを配置する場合には、干渉度合が小さくなるような商品Tを配置するように決定し、次の配置ステップS2において、現在の配置ステップS2において決定したゾーンZとは異なるゾーンZに商品Tを配置する場合には、干渉度合が大きくなるような商品T(例えば、統計的に人気のある商品(高頻度ランク商品であったり、一つのバッチに含まれるピッキングオーダーに多く含まれる商品であったりしてもよい)を配置するように決定する。
【0039】
なお、上記処理21を採用した場合のメリットは、以下の通りである。すなわち、合計ピッキング作業時間が短い商品Tを配置するほど、次のルーティンでも同じゾーンZに別の商品Tを配置したときに干渉数Iが増大しにくいため、同ゾーンZ内により多くの商品種類を配置できるというメリットがある。また、上記処理22を採用した場合のメリットは、以下の通りである。すなわち、そのゾーンZへの商品Tの配置が最後と仮定されるなら、合計ピッキング作業時間が最大の商品Tを配置することで、その後の商品配置決定に際する干渉数Iの増加を抑制できるというメリットがある。
【0040】
ただし、ステップS2においては、以下の例外処理を設けることが好ましい。すなわち、前回のルーティンで商品Tを配置した場合の干渉数Iと、今回のルーティンで商品Tを配置した場合の干渉数Iとの差を算出し(ステップS21)、算出された差が所定値以上ある場合には(ステップS21:YES)、ステップS3には進まずステップS1に戻る。例えば、前回のルーティンでの商品Tの配置では干渉数Iが0だったものが、今回のルーティンでの同ゾーンZへの商品Tの配置によって干渉数Iが急増した(例えば、閾値A以上増加した)場合には(ステップS21:YES)、当該ゾーンZへの商品Tの配置は中止し、別ゾーンZへの配置を検討するために、ステップS1に戻る。
【0041】
このような例外処理を実行するメリットは以下の通りである。すなわち、今回のルーティンで干渉数Iが急増するのは、前回のルーティンまでに同ゾーンZに配置した商品Tの組合せと、今回のルーティンによってゾーンZに配置すると仮定した商品Tとのピッキング作業時間が重複し易いことを意味している。このため、ゾーンZを変更して、別の商品Tとの組合せと同じゾーンZに配置させたほうが干渉数Iを抑制できる可能性が高い。
【0042】
スケジュール更新ステップS3は、ステップS1及びステップS2によって決定されたゾーンZと商品Tとに基づいて、これらの商品Tをピッキングする全作業者のスケジュールを更新する。ここでいうスケジュールとは、例えば、
図4(A)及び
図4(B)に示されように、ステップS2によって商品Tが配置されるゾーンZが決定された範囲における最新のゾーンZ毎(ラック10毎)の作業者ごとのピッキング作業時刻を意味する。なお、作業者のピッキング作業時刻は、入口からピッキングエリアAに進入する時刻、ピッキング作業を実行するゾーンZまでの移動時間、ピッキング作業を実施しようとするゾーンZにおいて他の作業者がピッキング作業を完了するまでの時間(待機時間)、ピッキングの個数等に応じたゾーンZでの作業時間等を考慮して算出することができる。
【0043】
なお、スケジュール更新ステップS3では、想定外の事象が発生せず、最短での移動やピッキング作業ができることを前提として最短時刻となるピッキング作業時刻を算出してもよいし、何らかの想定外の事象が発生することを考慮して、上記の最短時刻に所定の係数(安全係数:例えば1%)を乗じてピッキング作業時刻を算出してもよい。前者の場合には、干渉数Iを計算する時の作業開始時刻が安全側に評価され、後者の場合には、時間の経過に伴ってスケジュールが崩れてくる懸念に対してもロバストなピッキング作業時刻が算出される。
【0044】
以上に説明したステップS1~ステップS3について、二つのゾーン(ゾーンZA及びゾーンZB)に分けて管理される一つのラック10を含む一つの自動倉庫3に対して商品Tを配置する場合を例に挙げて説明する。具体的には、下記の通り設定する。
・ゾーンZAは、三つの取出載置部(取出載置部A-1、取出載置部A-2及び取出載置部A-3)によって形成される。
・ゾーンZBは、一つの取出載置部B-1によって形成されていると仮定する。
・ゾーンZの優先度は、ゾーンZAの方が、ゾーンZBよりも高く設定されていると仮定する。
・商品Tは、三種類の商品T(商品Tp、商品Tq及び商品Tr)があると仮定する。
・作業者は、作業者α及び作業者βの二人がいると仮定する。
・作業者が入口ENからゾーンZAに移動するのに要する時間を、10秒と仮定する。
・作業者がゾーンZAからゾーンZBに移動するのに要する時間を、10秒と仮定する。
・作業者が、取出載置部11Aから商品Tをピッキングするのに要する時間を、30秒と仮定する。
【0045】
このような仮定において、商品配置最適化手順を実行するとき、一回目のルーティンでは、全て空棚(どの載置部にも商品Tは配置されていない)である。このような状態において、コントローラ7は、三種類の商品Tの全てを取出載置部11Aに載置し、このように決定された載置に対して、搬送台車20を利用して配置し、このような配置にしたがって、ピッキングオーダーを決定する。
【0046】
一つのバッチに、商品Tp、商品Tq及び商品TrをピッキングエリアAからピッキングするピッキングオーダーと、商品TpをピッキングエリアAからピッキングするピッキングオーダーとが、含まれていると仮定する。
ステップS1では、配置ゾーンを優先度にしたがって決定する。ここでは、上記の設定(ゾーンZA>ゾーンZBという優先度)に基づいて、配置ゾーンをゾーンZAにすることを仮決定する。
【0047】
次に、ステップS2では、ゾーンZAの取出載置部A-1に配置する商品Tを商品Tp、商品Tq及び商品Trの中から決定する。もし、商品Tpを配置すると決定した場合、作業者αと作業者βとのピッキング作業がゾーンZAで干渉する。もし、商品Tq又は商品TrをゾーンZAに配置すると決定した場合、ゾーンZAにおいて作業者αと作業者βとのピッキング作業は干渉しない。すなわち、ゾーンZAにおける干渉数は0となる。これにより、ゾーンZAの取出載置部A-1に配置する商品Tを、商品Tqと決定する。なお、この場合は、ゾーンZAの取出載置部A-1に配置する商品Tを、商品Trと決定してもよい。また、ゾーンZAにおいて商品Tが配置される取出載置部A-1を、取出載置部A-2又は取出載置部A-3としてもよい。
【0048】
次に、ステップS3では、ピッキングする全作業者(作業者α及び作業者β)のスケジュールを更新する。具体的には、ゾーンZAには、t=0で入口ENを出発した作業者αがt=10秒に到着し、t=40秒に商品Tqのピッキング作業を終了するという情報(
図6(A)参照)を記憶する。現段階では、商品Tp及び商品Trの配置が決定していないので、ステップS1に戻る。
【0049】
ステップS1では、配置ゾーンを優先度にしたがって決定する。ここでは、上記の設定(ゾーンZA>ゾーンZBという優先度)と、ゾーンZAに空きの取出載置部(取出載置部A-2及び取出載置部A-3)があることと、前回のステップS2を計算したときの干渉数I(I=0)が所定値(In<2)であることに基づいて、配置ゾーンをゾーンZAにすることを仮決定する。
【0050】
次に、ステップS2では、ゾーンZAの取出載置部A-2に配置する商品Tを商品Tp及び商品Trの中から決定する。もし、商品Tpを配置すると決定した場合、作業者αと作業者βとのピッキング作業がゾーンZAで干渉する。もし、商品TrをゾーンZAに配置すると決定した場合、ゾーンZAにおいて作業者αと作業者βとのピッキング作業は干渉しない。すなわち、ゾーンZAにおける干渉数Iは0となる。これにより、ゾーンZAの取出載置部A-2に配置する商品Tを、商品Tqと決定する。なお、この場合は、ゾーンZAにおいて商品Tが配置される取出載置部A-2を、取出載置部A-3としてもよい。
【0051】
次に、ステップS3では、ピッキングする全作業者(作業者α及び作業者β)のスケジュールを更新する。具体的には、ゾーンZAには、t=0で入口ENを出発した作業者αがt=10秒に到着し、t=40秒に商品Tqのピッキング作業を終了するという情報(
図6(A)参照)に加えて、t=70秒に商品Trのピッキング作業を終了するという情報(
図6(B)参照)を記憶する。現段階では、商品Tpの配置が決定していないので、ステップS1に戻る。
【0052】
ステップS1では、配置ゾーンを優先度にしたがって決定する。ここでは、上記の設定(ゾーンZA>ゾーンZBという優先度)と、ゾーンZAに空きの取出載置部(取出載置部A-3)があることと、前回のステップS2を計算したときの干渉数I(I=0)が所定値(In<2)であることに基づいて、配置ゾーンをゾーンZAにすることを仮決定する。
【0053】
次に、ステップS2では、ゾーンZAの取出載置部A-3に配置する商品を商品Tpと決定した場合、作業者αと作業者βとのピッキング作業がゾーンZAで干渉する。すなわち、ゾーンZAにおける干渉数Iは1に増えてしまう。ここでは、前回の二回のステップS2における処理のように他に配置する商品Tがないため、取出載置部11AのゾーンZをゾーンZBに変更する。もし、商品TpをゾーンZBに配置すると決定した場合、ゾーンZBにおいて作業者αと作業者βとのピッキング作業は干渉しない。すなわち、ゾーンZBにおける干渉数Iは0となる。これにより、ゾーンZBの取出載置部B-1に配置する商品を、商品Tpと決定する。
【0054】
次に、ステップS3では、ピッキングする全作業者(作業者α及び作業者β)のスケジュールを更新する。具体的には、
図6(B)で示したゾーンZAにおける作業者のスケジュールに加え、ゾーンZBには、t=10で入口を出発した作業者βがt=20秒に到着し、t=50秒に商品Tpのピッキング作業を終了し、(t=0でピッキングエリアAに進入し、t=10秒に商品Tqが載置されたゾーンZに到着し、t=40秒に商品Tqのピッキング作業を終了し、t=70秒に商品Tqのピッキング作業を終了した)作業者αが、t=80秒に到着し、t=110秒に商品Tpのピッキング作業を終了するという情報(
図6(C)参照)を記憶する。この段階で、商品Tp、商品Tq及び商品Trの配置が決定するので、一連の処理を決定する。
【0055】
上記実施形態の自動倉庫システム1における作用効果について説明する。上記実施形態の自動倉庫システム1では、配置ゾーン(取出載置部11AとなるゾーンZ)と配置ゾーンに移動させる商品Tの種類とを干渉度合が小さくなるように決定している。これにより、ピッキング作業の待ち時間を減らして、単位時間あたりのピッキング処理数を増やすことできる。
【0056】
上記実施形態の自動倉庫システム1では、コントローラ7は、ピッキングオーダーに従ってピッキング作業を実施する作業者のゾーンZ毎のスケジュールに基づいて干渉数I(干渉度合)を算出しているので、干渉度合を容易に算出することができる。
【0057】
上記実施形態の自動倉庫システム1では、干渉度合として、ゾーンZ毎のスケジュールにおいて異なる作業主体同士のピッキング作業時間が互いに重なる回数である干渉数を採用している。これにより、ピッキング作業において互いに異なる作業者同士が干渉する度合を、算出し易く、かつ当業者にとって分かりやすい指標で評価することができる。
【0058】
上記実施形態の自動倉庫システム1では、コントローラ7は、仮決定ステップS1と、配置ステップS2と、スケジュール更新ステップS3と、を含む処理を繰り返し実行し、配置ステップS2において算出する最小の干渉数Iが、前回の配置ステップS2で算出した最小の干渉数Iに比べて所定閾値以上増加した場合には、商品Tの種類を決定することを中止して仮決定ステップS1をやり直している。これにより、より最適なゾーンZの取出載置部11Aに商品Tを移動させることができる。
【0059】
以上、一実施形態について説明したが、本発明の一側面は、上記実施形態に限られない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0060】
上記実施形態では、配置ステップS2において特定のゾーンZに商品Tを配置するときの干渉数Iが最小となるように商品Tの種類を決定する例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、配置ステップS2において特定のゾーンZに商品Tを配置するときの干渉時間Itが最短となるように、商品Tの種類を決定してもよい。
【0061】
上記実施形態及び変形例では、複数の取出載置部11AからなるゾーンZの何れかに商品Tを載置(移動)させる例を挙げて説明したが、例えば一つの取出載置部11AからなるゾーンZの何れかに商品Tを載置させるように制御してもよい。
【0062】
上記実施形態及び変形例では、商品Tのピッキング作業を実施する作業主体の例として作業者を例に挙げて説明したが、作業主体は、例えばロボットや、AGV(Automated Guided Vehicle)、搬送台車等であってもよい。作業主体をAGV(Automated Guided Vehicle)又は搬送台車等に適用すると、本発明の一側面は、例えば、立体自動倉庫における在庫配置手順として適用することができる。
【0063】
上記実施形態及び変形例では、自動倉庫3に設けられる搬送台車20としてスタッカクレーンを適用した例を挙げて説明したが、搬送台車20として、ラック10の各段に設けられると共に水平方向に沿って走行可能なシャトル台車を適用してもよい。
【0064】
上記実施形態及び変形例では、ピッキングエリアAにある全てのゾーンZに何れかの商品Tを載置する例を挙げて説明したが、商品Tを載置しないゾーンZを設定しておいてもよい。この場合には、一つのバッチの途中で新たな種類の商品Tが追加された場合であっても、柔軟に対応することが可能となる。
【符号の説明】
【0065】
1…自動倉庫システム、3…自動倉庫、5…報知部、7…コントローラ、10…ラック、11…載置部、11A…取出載置部、17…搬入リフト、20…搬送台車、21…軌道。