(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017168
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240201BHJP
F26B 13/10 20060101ALI20240201BHJP
F26B 25/00 20060101ALI20240201BHJP
F26B 3/04 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 401
F26B13/10 B
F26B25/00 A
F26B3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119637
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 和利
(72)【発明者】
【氏名】片上 悟
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 裕一
【テーマコード(参考)】
2C056
3L113
【Fターム(参考)】
2C056EC14
2C056EC29
2C056FA10
2C056HA46
2C056HA47
3L113AA08
3L113AB05
3L113AC08
3L113AC31
3L113AC52
3L113AC69
3L113BA30
3L113BA32
3L113CB05
(57)【要約】
【課題】印刷媒体を加熱する加熱部を有する印刷装置における加熱ムラを低減する。
【解決手段】ロール状の印刷媒体Pをセットするセット部2と、印刷媒体Pを巻き取る巻取部5と、印刷媒体Pの画像形成面P1にインクを吐出して画像を形成する印刷ヘッド3と、印刷ヘッド3よりも搬送方向の下流に配置され印刷媒体Pに吐出されたインクを乾燥させる乾燥炉10と、を備え、乾燥炉10は印刷媒体Pを加熱する加熱部11を有し、加熱部11は搬送方向Aにおける乾燥炉10の入口側の加熱温度のほうが搬送方向における乾燥炉10の出口側の加熱温度よりも高い印刷装置1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の印刷媒体をセットするセット部と、
前記セット部から搬送される前記印刷媒体を巻き取る巻取部と、
搬送される前記印刷媒体の画像形成面にインクを吐出して画像を形成する印刷ヘッドと、
前記印刷媒体の搬送経路において前記印刷ヘッドよりも前記印刷媒体の搬送方向の下流に配置され、前記印刷媒体に吐出された前記インクを乾燥させる乾燥炉と、
を備え、
前記乾燥炉は、前記印刷媒体を加熱する加熱部を有し、
前記加熱部は、前記搬送方向における前記乾燥炉の入口側の加熱温度のほうが前記搬送方向における前記乾燥炉の出口側の加熱温度よりも高いことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載された印刷装置において、
前記乾燥炉は、前記画像形成面とは反対側の反対面と接触して前記反対面を加熱する加熱部材を有し、
前記加熱部は、前記加熱部材として、第1加熱部材と、前記第1加熱部材よりも前記搬送方向の下流に配置される第2加熱部材と、を有し、
前記第2加熱部材の単位面積当たりの発熱量は、前記第1加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さいことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載された印刷装置において、
前記加熱部は、前記第2加熱部材よりも前記搬送方向の下流に配置される第3加熱部材を有し、
前記第3加熱部材の単位面積当たりの発熱量は、前記第2加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さいことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載された印刷装置において、
前記第1加熱部材、前記第2加熱部材及び前記第3加熱部材に電力を供給する電力供給部を備え、
前記第1加熱部材の全体の発熱量、前記第2加熱部材の全体の発熱量及び前記第3加熱部材の全体の発熱量は等しく、
前記電力供給部は、三相デルタ結線で前記第1加熱部材、前記第2加熱部材及び前記第3加熱部材に電力を供給することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載された印刷装置において、
前記乾燥炉を第1乾燥炉とするとともに前記加熱部を第1加熱部としたときに、前記第1乾燥炉よりも前記搬送方向の下流に前記印刷媒体を加熱する第2加熱部を有する第2乾燥炉を備え、
前記第2加熱部は、前記搬送方向における前記第2乾燥炉の入口側の加熱温度のほうが前記搬送方向における前記第2乾燥炉の出口側の加熱温度よりも高いことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項5に記載された印刷装置において、
前記第2乾燥炉は、前記加熱部材を有し、
前記第2加熱部は、前記加熱部材として、第4加熱部材と、前記第4加熱部材よりも前記搬送方向の下流に配置される第5加熱部材と、を有し、
前記第5加熱部材の単位面積当たりの発熱量は、前記第4加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さいことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項6に記載された印刷装置において、
前記第4加熱部材の単位面積当たりの発熱量は、前記第1加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さいことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項2から4のいずれか1項に記載された印刷装置において、
前記加熱部を第1加熱部としたときに、前記乾燥炉における前記第1加熱部よりも前記搬送方向の下流に、前記搬送方向における前記乾燥炉の入口側の加熱温度のほうが前記搬送方向における前記乾燥炉の出口側の加熱温度よりも高い第2加熱部を有し、
前記第2加熱部は、前記加熱部材として、第4加熱部材と、前記第4加熱部材よりも前記搬送方向の下流に配置される第5加熱部材と、を有し、
前記第5加熱部材の単位面積当たりの発熱量は、前記第4加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さいことを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項8に記載された印刷装置において、
前記第4加熱部材の単位面積当たりの発熱量は、前記第2加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さいことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
請求項1に記載された印刷装置において、
前記乾燥炉は、前記加熱部として、前記画像形成面に加熱された気体を送風する送風部を有し、
前記送風部は、第1送風部と、前記第1送風部よりも前記搬送方向の下流に配置される第2送風部と、を有し、
前記第2送風部で送風する前記気体の温度は、前記第1送風部で送風する前記気体の温度よりも低いことを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
請求項1、2及び10のいずれか1項に記載された印刷装置において、
前記加熱部は、前記搬送方向と交差する幅方向に分割して駆動可能に構成されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項12】
請求項11に記載された印刷装置において、
前記加熱部は、前記搬送方向における前記乾燥炉の入口側の領域において前記幅方向に分割して駆動可能に構成され、前記搬送方向における前記乾燥炉の出口側の領域においては前記幅方向に分割して駆動可能には構成されていないことを特徴とする印刷装置。
【請求項13】
請求項1、2及び10のいずれか1項に記載された印刷装置において、
前記印刷ヘッドは、停止した状態の前記印刷媒体に対して移動しつつ前記画像形成面に前記インクを吐出することが可能であり、
前記印刷媒体の搬送と、前記印刷媒体を停止させたうえでの前記印刷ヘッドからの前記インクの吐出と、を繰り返すことで印刷動作を実行することを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷媒体にインクを吐出して印刷する様々な印刷装置が使用されている。このうち、印刷媒体を加熱する加熱部を備え、印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させることが可能な印刷装置がある。例えば、特許文献1には、ロール紙にヘッドからインクを吐出して印刷された画像を該ヘッドよりもロール紙の搬送方向の下流に配置された乾燥チャンバーで乾燥する間欠搬送方式の印刷装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の印刷装置は、乾燥チャンバー内において、印刷媒体の裏面に金属ベルトを接触させて該裏面から加熱乾燥を行っている。このような構成の場合、乾燥チャンバーの中に入る前の印刷媒体は加熱されていない状態であり、乾燥チャンバーの内部で徐々に加熱されるため、印刷媒体は乾燥チャンバーの入口付近では温度が低く、乾燥チャンバーの出口付近では温度が高い状態となる。これは、間欠搬送で印刷媒体が移動と停止を繰り返す場合、入口から侵入した印刷媒体は移動が停止するまで乾燥チャンバー内を移動しながら加熱されるため、停止した時点において入口付近に位置する印刷媒体は加熱時間が短いので十分に昇温していない状態となっているためである。このように印刷媒体に加熱ムラが生じると、入口付近で停止した部分は乾燥が不十分になる虞があり、出口付近で停止した部分は高温に長時間晒されて皴や変色などが生じる虞がある。また、間欠搬送方式ではなく連続的に印刷媒体を搬送する構成であっても、1つの画像の印刷の終了時などにおいて長時間高温に晒される部分が存在することとなり、その部分に皴や変色などが生じる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の印刷装置は、ロール状の印刷媒体をセットするセット部と、前記セット部から搬送される前記印刷媒体を巻き取る巻取部と、搬送される前記印刷媒体の画像形成面にインクを吐出して画像を形成する印刷ヘッドと、前記印刷媒体の搬送経路において前記印刷ヘッドよりも前記印刷媒体の搬送方向の下流に配置され、前記印刷媒体に吐出された前記インクを乾燥させる乾燥炉と、を備え、前記乾燥炉は、前記印刷媒体を加熱する加熱部を有し、前記加熱部は、前記搬送方向における前記乾燥炉の入口側の加熱温度のほうが前記搬送方向における前記乾燥炉の出口側の加熱温度よりも高いことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施例1に係る印刷装置の概略側面図。
【
図4】本発明の実施例2に係る印刷装置の加熱部の概略底面図。
【
図5】本発明の実施例3に係る印刷装置の加熱部の概略底面図。
【
図6】
図5の印刷装置の電源と加熱部との結線を示す概略図。
【
図7】本発明の実施例4に係る印刷装置の加熱部の概略底面図。
【
図8】本発明の実施例5に係る印刷装置の加熱部の概略底面図。
【
図9】本発明の実施例6に係る印刷装置の加熱部の概略底面図。
【
図10】本発明の実施例7に係る印刷装置の加熱部の概略底面図。
【
図11】本発明の実施例8に係る印刷装置の乾燥炉の概略側面図。
【
図12】本発明の実施例9に係る印刷装置の概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の印刷装置は、ロール状の印刷媒体をセットするセット部と、前記セット部から搬送される前記印刷媒体を巻き取る巻取部と、搬送される前記印刷媒体の画像形成面にインクを吐出して画像を形成する印刷ヘッドと、前記印刷媒体の搬送経路において前記印刷ヘッドよりも前記印刷媒体の搬送方向の下流に配置され、前記印刷媒体に吐出された前記インクを乾燥させる乾燥炉と、を備え、前記乾燥炉は、前記印刷媒体を加熱する加熱部を有し、前記加熱部は、前記搬送方向における前記乾燥炉の入口側の加熱温度のほうが前記搬送方向における前記乾燥炉の出口側の加熱温度よりも高いことを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、加熱部は、搬送方向における乾燥炉の入口側の加熱温度のほうが搬送方向における乾燥炉の出口側の加熱温度よりも高い。このため、入口付近での印刷媒体の加熱が不十分になることと出口付近で印刷媒体を過度に加熱することとを抑制することができる。すなわち、印刷媒体の加熱ムラを抑制することができる。
【0009】
本発明の第2の態様の印刷装置は、前記第1の態様において、前記乾燥炉は、前記画像形成面とは反対側の反対面と接触して前記反対面を加熱する加熱部材を有し、前記加熱部は、前記加熱部材として、第1加熱部材と、前記第1加熱部材よりも前記搬送方向の下流に配置される第2加熱部材と、を有し、前記第2加熱部材の単位面積当たりの発熱量は、前記第1加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さいことを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、搬送方向の下流に配置される第2加熱部材の単位面積当たりの発熱量は、搬送方向の上流に配置される第1加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さい。したがって、単位面積当たりの発熱量の異なる加熱部材を使用して簡単に印刷媒体の加熱ムラを抑制することができる。
【0011】
本発明の第3の態様の印刷装置は、前記第2の態様において、前記加熱部は、前記第2加熱部材よりも前記搬送方向の下流に配置される第3加熱部材を有し、前記第3加熱部材の単位面積当たりの発熱量は、前記第2加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さいことを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、さらに第3加熱部材を有し、第3加熱部材の単位面積当たりの発熱量は第2加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さい。このため、印刷媒体の加熱ムラをさらに高精度に抑制することができる。
【0013】
本発明の第4の態様の印刷装置は、前記第3の態様において、前記第1加熱部材、前記第2加熱部材及び前記第3加熱部材に電力を供給する電力供給部を備え、前記第1加熱部材の全体の発熱量、前記第2加熱部材の全体の発熱量及び前記第3加熱部材の全体の発熱量は等しく、前記電力供給部は、三相デルタ結線で前記第1加熱部材、前記第2加熱部材及び前記第3加熱部材に電力を供給することを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、第1加熱部材の全体の発熱量、第2加熱部材の全体の発熱量及び第3加熱部材の全体の発熱量は等しく、電力供給部は三相デルタ結線で第1加熱部材、第2加熱部材及び第3加熱部材に電力を供給する。このような構成とすることで、第1加熱部材、第2加熱部材及び第3加熱部材に簡単かつ適正に電力を供給することができる。
【0015】
本発明の第5の態様の印刷装置は、前記第2から第4のいずれか1つの態様において、前記乾燥炉を第1乾燥炉とするとともに前記加熱部を第1加熱部としたときに、前記第1乾燥炉よりも前記搬送方向の下流に前記印刷媒体を加熱する第2加熱部を有する第2乾燥炉を備え、前記第2加熱部は、前記搬送方向における前記第2乾燥炉の入口側の加熱温度のほうが前記搬送方向における前記第2乾燥炉の出口側の加熱温度よりも高いことを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、第1加熱部を有する第1乾燥炉に加えて第2加熱部を有する第2乾燥炉を備え、第2加熱部は第2乾燥炉の入口側の加熱温度のほうが第2乾燥炉の出口側の加熱温度よりも高い。このため、第1乾燥炉に加えて第2乾燥炉で印刷媒体を乾燥させることで効果的に印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させることができ、このように第2加熱部でも搬送方向における第2乾燥炉の入口側の加熱温度のほうが搬送方向における第2乾燥炉の出口側の加熱温度よりも高いことで印刷媒体の加熱ムラを抑制することができる。
【0017】
本発明の第6の態様の印刷装置は、前記第5の態様において、前記第2乾燥炉は、前記加熱部材を有し、前記第2加熱部は、前記加熱部材として、第4加熱部材と、前記第4加熱部材よりも前記搬送方向の下流に配置される第5加熱部材と、を有し、前記第5加熱部材の単位面積当たりの発熱量は、前記第4加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さいことを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、第2加熱部は、搬送方向の上流に配置される第4加熱部材と搬送方向の下流に配置される第5加熱部材とを有し、第5加熱部材の単位面積当たりの発熱量は第4加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さい。このため、入口付近での印刷媒体の加熱が不十分になることと出口付近で印刷媒体を過度に加熱することとを抑制することができ、印刷媒体の加熱ムラを抑制することができる。
【0019】
本発明の第7の態様の印刷装置は、前記第6の態様において、前記第4加熱部材の単位面積当たりの発熱量は、前記第1加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さいことを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、第4加熱部材の単位面積当たりの発熱量は、第1加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さい。このような構成とすることで、印刷媒体を過度に加熱することを抑制することができる。
【0021】
本発明の第8の態様の印刷装置は、前記第2から第4のいずれか1つの態様において、前記加熱部を第1加熱部としたときに、前記乾燥炉における前記第1加熱部よりも前記搬送方向の下流に、前記搬送方向における前記乾燥炉の入口側の加熱温度のほうが前記搬送方向における前記乾燥炉の出口側の加熱温度よりも高い第2加熱部を有し、前記第2加熱部は、前記加熱部材として、第4加熱部材と、前記第4加熱部材よりも前記搬送方向の下流に配置される第5加熱部材と、を有し、前記第5加熱部材の単位面積当たりの発熱量は、前記第4加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さいことを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、1つの乾燥炉に、第1加熱部に加えて、第1加熱部よりも搬送方向の下流に、第4加熱部材と第4加熱部材よりも搬送方向の下流に配置される第5加熱部材とを有する第2加熱部を有している。このため、効果的に印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させることができる。そして、第5加熱部材の単位面積当たりの発熱量は、第4加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さいので、印刷媒体の加熱ムラを抑制することができる。
【0023】
本発明の第9の態様の印刷装置は、前記第8の態様において、前記第4加熱部材の単位面積当たりの発熱量は、前記第2加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さいことを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、第4加熱部材の単位面積当たりの発熱量は、第2加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さい。このような構成とすることで、効果的に印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させつつ、効果的に印刷媒体の加熱ムラを抑制することができる。
【0025】
本発明の第10の態様の印刷装置は、前記第1の態様において、前記乾燥炉は、前記加熱部として、前記画像形成面に加熱された気体を送風する送風部を有し、前記送風部は、第1送風部と、前記第1送風部よりも前記搬送方向の下流に配置される第2送風部と、を有し、前記第2送風部で送風する前記気体の温度は、前記第1送風部で送風する前記気体の温度よりも低いことを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、乾燥炉は加熱部として画像形成面に加熱された気体を送風する送風部を有する。そして、送風部は第1送風部と、第1送風部よりも搬送方向の下流に配置される第2送風部と、を有し、第2送風部で送風する気体の温度は、第1送風部で送風する気体の温度よりも低い。このため、送風部を用いて、印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させつつ、印刷媒体の加熱ムラを抑制することができる。
【0027】
本発明の第11の態様の印刷装置は、前記第1、第2及び第10のいずれか1つの態様において、前記加熱部は、前記搬送方向と交差する幅方向に分割して駆動可能に構成されていることを特徴とする。
【0028】
搬送方向と交差する幅方向の狭い印刷媒体と広い印刷媒体とを使用可能な構成においては、幅方向の狭い印刷媒体を使用する際に印刷媒体の搬送経路における幅方向の全体において加熱部を駆動させると電力を無駄にする虞がある。しかしながら、本態様によれば、搬送方向と交差する幅方向に分割して加熱部を駆動可能に構成されている。このため、幅方向の狭い印刷媒体を使用する際に使用する加熱部材を限定することができるので、電力の無駄を抑制することができる。
【0029】
本発明の第12の態様の印刷装置は、前記第11の態様において、前記加熱部は、前記搬送方向における前記乾燥炉の入口側の領域において前記幅方向に分割して駆動可能に構成され、前記搬送方向における前記乾燥炉の出口側の領域においては前記幅方向に分割して駆動可能には構成されていないことを特徴とする。
【0030】
例えば幅の狭い印刷媒体を使用した際、特に乾燥炉の入口側の領域の加熱部を高精度に制御することで電力を抑えながら印刷媒体に吐出されたインクを効率的に乾燥させつつ印刷媒体の加熱ムラを効果的に抑制することができる。本態様によれば、加熱部は、搬送方向における乾燥炉の入口側の領域において幅方向に分割して駆動可能に構成されているので、例えば幅の狭い印刷媒体を使用した際でも、電力を抑えながら印刷媒体に吐出されたインクを効率的に乾燥させつつ印刷媒体の加熱ムラを効果的に抑制することができる。また、搬送方向における乾燥炉の出口側の領域においては幅方向に分割して駆動可能には構成されていないので、装置構成や加熱部の駆動制御を簡単にすることができる。
【0031】
本発明の第13の態様の印刷装置は、前記第1、第2及び第10のいずれか1つの態様において、前記印刷ヘッドは、停止した状態の前記印刷媒体に対して移動しつつ前記画像形成面に前記インクを吐出することが可能であり、前記印刷媒体の搬送と、前記印刷媒体を停止させたうえでの前記印刷ヘッドからの前記インクの吐出と、を繰り返すことで印刷動作を実行することを特徴とする。
【0032】
本態様によれば、印刷ヘッドは、停止した状態の印刷媒体に対して移動しつつ画像形成面にインクを吐出することが可能である。そして、印刷媒体の搬送と、印刷媒体を停止させたうえでの印刷ヘッドからの前記インクの吐出と、を繰り返すことで印刷動作を実行する。このような、印刷媒体を間欠搬送させつつ印刷動作を実行する構成の印刷装置においては特に印刷媒体の加熱ムラが生じやすいが、このような構成の印刷装置においても、印刷媒体の加熱ムラを抑制することができる。
【0033】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を具体的に説明する。
【0034】
[実施例1]
最初に、本発明の印刷装置1の一例としての実施例1の印刷装置1Aの概要について
図1を参照して説明する。
図1で表されるように、本実施例の印刷装置1Aは、ロール状の印刷媒体Pをセットするセット部2と、セット部2から搬送される印刷媒体Pを巻き取る巻取部5と、セット部2から巻取部5までの搬送経路において搬送方向Aに搬送される印刷媒体Pの画像形成面P1にインクを吐出して画像を形成する印刷ヘッド3と、を備えている。また、印刷ヘッド3によって画像が形成される画像形成領域において印刷媒体Pを支持するプラテン4と、印刷媒体Pの搬送経路に複数設けられた印刷媒体Pの搬送部としての搬送ローラー6と、を備えている。
【0035】
印刷ヘッド3は、搬送方向Aに搬送される印刷媒体Pの画像形成面P1と対向する側に設けられ、印刷媒体Pの画像形成面P1とは反対側の反対面P2がプラテン4で支持された状態で、画像形成面P1にインクを吐出して画像を形成する。詳細には、本実施例の印刷装置1Aは、印刷ヘッド3を搬送方向Aに沿う走査方向Cに往復移動させて印刷する。さらに詳細には、本実施例の印刷装置1Aは、印刷媒体Pを搬送方向Aに間欠駆動(間欠搬送)させるとともに、走査方向Cに印刷ヘッド3を往復移動させ、印刷ヘッド3からインクを吐出して印刷する。
【0036】
なお、本実施例の印刷ヘッド3は、1回の走査(1パス)で画像形成面P1におけるプラテン4に支持された画像形成領域全体の画像形成を完了させることができるとともに、画像形成領域全体を複数回の走査(複数パス)を行うことにより画像形成を完了させることもできる。1パスで画像形成を完了させる場合に比べ、複数パスで画像形成を完了させる場合は、当然のことながら間欠搬送に伴う印刷媒体Pの搬送停止時間は長くなる。
【0037】
上記のように、本実施例の印刷ヘッド3は、搬送方向Aに沿う走査方向Cに往復移動させて印刷する構成である。ただし、印刷ヘッド3の構成に特に限定は無い。搬送方向Aに沿う走査方向Cに往復移動させて印刷する印刷ヘッド3の代わりに、搬送方向Aと交差する幅方向Bに往復移動させて印刷する印刷ヘッド3を備えていてもよいし、印刷媒体Pの幅方向Bの全体に亘ってインクを吐出するノズルが幅方向Bに沿って並べて設けられ印刷ヘッドが停止した状態で印刷する所謂ラインヘッドを備えていてもよい。
【0038】
また、
図1で表されるように、印刷媒体Pの搬送経路において印刷ヘッド3よりも搬送方向Aの下流には、印刷媒体Pに吐出されたインクを乾燥させる乾燥炉10を備えている。そこで、以下に、本実施例の印刷装置1Aの乾燥炉10の詳細について、
図2及び
図3を参照して説明する。
【0039】
図2で表されるように、本実施例の印刷装置1Aは、乾燥炉10として、第1乾燥炉10Aと、第2乾燥炉10Bと、を有している。第1乾燥炉10Aには印刷媒体Pを加熱する加熱部11として第1加熱部11Aが設けられ、第2乾燥炉10Bには印刷媒体Pを加熱する加熱部11として第2加熱部11Bが設けられている。そして、第1加熱部11A及び第2加熱部11Bには、印刷媒体Pの画像形成面P1とは反対側の反対面P2と接触して反対面P2を加熱する加熱部材12を有している。加熱部材12としては、例えば、ニクロム線などが配置された金属板などを使用することができる。そして、第1加熱部11Aは、加熱部材12として、加熱部材12Aと、加熱部材12Aよりも搬送方向Aの下流に配置される加熱部材12Bと、を有している。また、第2加熱部11Bは、加熱部材12として、加熱部材12Cと、加熱部材12Cよりも搬送方向Aの下流に配置される加熱部材12Dと、を有している。
【0040】
ここで、第1乾燥炉10Aと第2乾燥炉10Bとは、
図2で表されるような側面方向から見て配置が180°反転していること以外は同様の構成をしている。すなわち、乾燥炉10の入口側の加熱部材12Aと加熱部材12Cとは同様の構成であり、乾燥炉10の出口側の加熱部材12Bと加熱部材12Dとは同様の構成である。このため、
図3は第1加熱部11Aの図であり加熱部材12Aと加熱部材12Bとを表しているが、加熱部材12Aを加熱部材12Cと読み替えるとともに加熱部材12Bを加熱部材12Dと読み替えることで、第2加熱部11Bについても同様にみなすことができる。ここで、乾燥炉10の入口及び出口とは、例えば、本実施例のように、複数の乾燥炉10がある場合は、其々の乾燥炉10の入口及び出口を指すこととする。このため、上記のように、本実施例においては、乾燥炉10の入口側の加熱部材12には加熱部材12Aと加熱部材12Cとが対応し、乾燥炉10の出口側の加熱部材12には加熱部材12Bと加熱部材12Dとが対応する。
【0041】
図3では縮尺を変えて表しているが、加熱部材12A及び加熱部材12Bはともに、搬送方向Aに沿う長さが750mmであり、幅方向Bに沿う長さが350mmである。加熱部材12A全体の発熱量に対応する加熱部材12Aに加えられる電力が3150W、すなわち、単位面積当たりの発熱量に対応する1平方センチメートル当たりの電力が1.2Wである。また、加熱部材12B全体の発熱量に対応する加熱部材12Bに加えられる電力が2100W、すなわち、単位面積当たりの発熱量に対応する1平方センチメートル当たりの電力が0.8Wである。なお、加熱部材12の単位面積当たりの発熱量は、例えば、金属板に配置されるニクロム線の配置密度などを変えることで調整することができる。
【0042】
このように、本実施例の印刷装置1Aにおいては、加熱部11は、搬送方向Aにおける乾燥炉10の入口側の加熱温度のほうが搬送方向Aにおける乾燥炉10の出口側の加熱温度よりも高くなるように調整されている。このため、本実施例の印刷装置1Aは、乾燥炉10の入口付近での印刷媒体Pの加熱が不十分になることと乾燥炉10の出口付近で印刷媒体Pを過度に加熱することとを抑制することができる。すなわち、本実施例の印刷装置1Aは、印刷媒体Pの加熱ムラを抑制することができる。
【0043】
なお、本実施例の印刷装置1Aは、印刷ヘッド3及び乾燥炉10などと電気的に接続される不図示の制御部を備えている。該制御部は、CPU、ROM及びRAMなどを有する記憶部、印刷媒体Pを搬送するため或いは印刷ヘッド3を走査するためなどの各種モーターのモーター駆動部などを備えている。印刷ヘッド3及び乾燥炉10などの各構成部材は、該制御部の制御により駆動される。
【0044】
また、本実施例の印刷装置1Aにおいては、第1乾燥炉10Aは印刷媒体Pの反対面P2と接触して反対面P2を加熱する加熱部材12A及び加熱部材12Bを有し、第2乾燥炉10Bは印刷媒体Pの反対面P2と接触して反対面P2を加熱する加熱部材12C及び加熱部材12Dを有している。そして、第1乾燥炉10Aの第1加熱部11Aは、第1加熱部材としての加熱部材12Aと、加熱部材12Aよりも搬送方向Aの下流に配置される第2加熱部材としての加熱部材12Bと、を有している。また、第2乾燥炉10Bの第2加熱部11Bは、第1加熱部材としての加熱部材12Cと、加熱部材12Cよりも搬送方向Aの下流に配置される第2加熱部材としての加熱部材12Dと、を有している。そして、上記のように、第2加熱部材(加熱部材12B及び加熱部材12D)の単位面積当たりの発熱量は、第1加熱部材(加熱部材12A及び加熱部材12C)の単位面積当たりの発熱量よりも小さい。搬送方向Aの下流に配置される第2加熱部材の単位面積当たりの発熱量を搬送方向Aの上流に配置される第1加熱部材の単位面積当たりの発熱量よりも小さくすることで、単位面積当たりの発熱量の異なる加熱部材12を使用して簡単に印刷媒体Pの加熱ムラを抑制することができる。
【0045】
また、上記のように、本実施例の印刷装置1Aは、第1乾燥炉10Aよりも搬送方向Aの下流に印刷媒体Pを加熱する第2加熱部11Bを有する第2乾燥炉10Bを備えている。そして、第2加熱部11Bも、第1加熱部11Aと同様、搬送方向Aにおける第2乾燥炉10Bの入口側の加熱温度のほうが搬送方向Aにおける第2乾燥炉10Bの出口側の加熱温度よりも高くなっている。このような乾燥炉10を複数備える構成とすることで、第1乾燥炉10Aに加えて第2乾燥炉10Bで印刷媒体Pを乾燥させることができ、効果的に印刷媒体Pに吐出されたインクを乾燥させることができる。そして、このように第2加熱部11Bでも搬送方向Aにおける第2乾燥炉10Bの入口側の加熱温度のほうが搬送方向Aにおける第2乾燥炉10Bの出口側の加熱温度よりも高いことで印刷媒体Pの加熱ムラを抑制することができる。
【0046】
また、上記のように、本実施例の印刷装置1Aにおいては、第2乾燥炉10Bは、加熱部材12を有し、第2加熱部11Bは、加熱部材12として、加熱部材12Cと、加熱部材12Cよりも搬送方向Aの下流に配置される加熱部材12Dと、を有し、加熱部材12Dの単位面積当たりの発熱量は、加熱部材12Cの単位面積当たりの発熱量よりも小さい。このため、本実施例の印刷装置1Aは、第2乾燥炉10Bの入口付近での印刷媒体Pの加熱が不十分になることと第2乾燥炉10Bの出口付近で印刷媒体Pを過度に加熱することとを抑制することができ、印刷媒体Pの加熱ムラを抑制することができる。
【0047】
また、上記のように、本実施例の印刷装置1Aにおいては、加熱部材12Cの単位面積当たりの発熱量と加熱部材12Aの単位面積当たりの発熱量とは同じであるが、加熱部材12Cの単位面積当たりの発熱量を加熱部材12Aの単位面積当たりの発熱量よりも小さくしてもよい。加熱部材12Cの単位面積当たりの発熱量を加熱部材12Aの単位面積当たりの発熱量よりも小さくすることで、印刷媒体Pを過度に加熱することを抑制することができる。なお、このような構成とする場合、例えば、本実施例の第2加熱部11Bの代わりに、後述の実施例8の印刷装置1Hで使用される第2加熱部11Bを使用することで、達成することができる。
【0048】
また、上記のように、本実施例の印刷装置1Aにおいては、印刷ヘッド3は、停止した状態の印刷媒体Pに対して移動しつつ画像形成面P1にインクを吐出することが可能である。そして、本実施例の印刷装置1Aは、印刷媒体Pの搬送と、印刷媒体Pを停止させたうえでの印刷ヘッド3からのインクの吐出と、を繰り返すことで印刷動作を実行することが可能である。このような、印刷媒体Pを間欠搬送させつつ印刷動作を実行する構成の印刷装置1においては特に印刷媒体Pの加熱ムラが生じやすい。しかしながら、このような構成の印刷装置1においても、本実施例の印刷装置1Aは、上記のような構成の乾燥炉10を有することで、印刷媒体Pの加熱ムラを抑制することができる。
【0049】
[実施例2]
次に、実施例2の印刷装置1Bについて、
図4を用いて説明する。なお、
図4は実施例1の印刷装置1における
図3に対応する図であり。
図4において上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例の印刷装置1Bは、加熱部11の構成以外は実施例1の印刷装置1Aと同様の構成をしている。このため、下記で説明する部分以外に関しては、本実施例の印刷装置1Bは、実施例1の印刷装置1Aと同様の特徴を有している。なお、実施例1の印刷装置1Aと同様、本実施例の印刷装置1Bも、第1乾燥炉10Aに加えて、第1乾燥炉10Aの第1加熱部11Aの配置に対して第2乾燥炉10Bの第2加熱部11Bの配置が異なる、詳細には、側面方向から見て加熱部11の配置が180°反転しているだけで第1乾燥炉10Aと同様の構成の、第2乾燥炉10Bを備えている。
【0050】
上記のように、実施例1の印刷装置1Aは、
図2及び
図3で表されるように、第1加熱部11Aは加熱部材12A及び加熱部材12Bと2つの加熱部材12を有しており、同様に、第2加熱部11Bは加熱部材12C及び加熱部材12Dと2つの加熱部材12を有していた。一方、本実施例の印刷装置1Bは、
図4で表されるように、第1加熱部11Aは加熱部材12E、加熱部材12F及び加熱部材12Gと3つの加熱部材12を有している。なお、実施例1の印刷装置1Aと同様、本実施例の印刷装置1Bも加熱部11の配置が異なるだけで第1乾燥炉10Aと同様の構成の第2乾燥炉10Bを備えているので、
図4では不図示の第2乾燥炉10Bの第2加熱部11Bも3つの加熱部材12を有している。
【0051】
図4では縮尺を変えて表しているが、加熱部材12E、加熱部材12F及び加熱部材12Gはいずれも、搬送方向Aに沿う長さが500mmであり、幅方向Bに沿う長さが350mmである。加熱部材12E全体の発熱量に対応する加熱部材12Eに加えられる電力が2800W、すなわち、単位面積当たりの発熱量に対応する1平方センチメートル当たりの電力が1.6Wである。また、加熱部材12F全体の発熱量に対応する加熱部材12Fに加えられる電力が2100W、すなわち、単位面積当たりの発熱量に対応する1平方センチメートル当たりの電力が1.2Wである。また、加熱部材12G全体の発熱量に対応する加熱部材12Gに加えられる電力が1050W、すなわち、単位面積当たりの発熱量に対応する1平方センチメートル当たりの電力が0.6Wである。
【0052】
図4で表される本実施例の印刷装置1Bにおいては、第1加熱部11Aは、第1加熱部材としての加熱部材12E及び第2加熱部材としての加熱部材12Fよりも搬送方向Aの下流に配置される第3加熱部材としての加熱部材12Gを有している。そして、上記のように、加熱部材12Gの単位面積当たりの発熱量は、加熱部材12Fの単位面積当たりの発熱量よりも小さくなっている。このため、本実施例の印刷装置1Bは、第1乾燥炉10A及び第2乾燥炉10Bの両方において3つずつの加熱部材12によって、印刷媒体Pの加熱ムラを実施例1の印刷装置1Aよりもさらに高精度に抑制することができる。
【0053】
[実施例3]
次に、実施例3の印刷装置1Cについて、
図5及び
図6を用いて説明する。なお、
図5は実施例1の印刷装置1における
図3に対応する図であり。
図5において上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例の印刷装置1Cは、加熱部11の構成以外は実施例1及び実施例2の印刷装置1と同様の構成をしている。このため、下記で説明する部分以外に関しては、本実施例の印刷装置1Cは、実施例1及び実施例2の印刷装置1と同様の特徴を有している。なお、実施例1の印刷装置1Aと同様、本実施例の印刷装置1Cも、第1乾燥炉10Aに加えて、第1乾燥炉10Aの第1加熱部11Aの配置に対して第2乾燥炉10Bの第2加熱部11Bの配置が異なる、詳細には、側面方向から見て加熱部11の配置が180°反転しているだけで第1乾燥炉10Aと同様の構成の、第2乾燥炉10Bを備えている。
【0054】
上記のように、実施例2の印刷装置1Bは、
図4で表されるように、第1加熱部材としての加熱部材12E、第2加熱部材としての加熱部材12F及び第3加熱部材としての加熱部材12Gが同じ大きさで単位面積当たりの発熱量が異なる構成であった。一方、本実施例の印刷装置1Cは、第1加熱部材、第2加熱部材及び第3加熱部材が異なる大きさであるとともに、加熱部材12全体の発熱量が各々同じである。具体的には以下のとおりである。
【0055】
図5では縮尺を変えて表しているが、加熱部材12Hは、搬送方向Aに沿う長さが270mmであり、幅方向Bに沿う長さが350mmである。加熱部材12Iは、搬送方向Aに沿う長さが410mmであり、幅方向Bに沿う長さが350mmである。加熱部材12Jは、搬送方向Aに沿う長さが820mmであり、幅方向Bに沿う長さが350mmである。そして、加熱部材12H、加熱部材12I及び加熱部材12Jの全体の発熱量に対応する加熱部材12に加えられる電力は、各々1700Wである。このため、加熱部材12Hの単位面積当たりの発熱量に対応する1平方センチメートル当たりの電力は1.8Wとなり、加熱部材12Iの単位面積当たりの発熱量に対応する1平方センチメートル当たりの電力は1.2Wとなり、加熱部材12Jの単位面積当たりの発熱量に対応する1平方センチメートル当たりの電力は0.6Wとなる。
【0056】
ここで、本実施例の印刷装置1Cにおける交流電源14と加熱部材及びその制御器13との結線例を
図6に示す。
図6で表されるように、本実施例の印刷装置1Cは、交流電源14として、交流電源14A、交流電源14B、交流電源14Cを有する。また、加熱部材及びその制御器13として、加熱部材12Hに対応する加熱部材及びその制御器13H、加熱部材12Iに対応する加熱部材及びその制御器13I、加熱部材12Jに対応する加熱部材及びその制御器13Jを有する。
【0057】
上記のように、本実施例の印刷装置1Cは、第1加熱部材としての加熱部材12H、第1加熱部材よりも搬送方向Aの下流に配置される第2加熱部材としての加熱部材12I、第2加熱部材よりも搬送方向Aの下流に配置される第3加熱部材としての加熱部材12J、に電力を供給する電力供給部としての交流電源14A、交流電源14B、交流電源14C、を備えている。また、加熱部材12Hの全体の発熱量、加熱部材12Iの全体の発熱量及び加熱部材12Jの全体の発熱量は等しく、電力供給部としての交流電源14A、交流電源14B及び交流電源14Cは、三相デルタ結線で加熱部材12H、加熱部材12I及び加熱部材12Jに電力を供給する。このような構成とすることで、第1加熱部材、第2加熱部材及び第3加熱部材に簡単かつ適正に電力を供給することができる。
【0058】
[実施例4]
次に、実施例4の印刷装置1Dについて、
図7を用いて説明する。なお、
図7は実施例1の印刷装置1における
図3に対応する図であり。
図7において上記実施例1から実施例3と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例の印刷装置1Dは、加熱部11の構成以外は実施例1から実施例3の印刷装置1と同様の構成をしている。このため、下記で説明する部分以外に関しては、本実施例の印刷装置1Dは、実施例1から実施例3の印刷装置1と同様の特徴を有している。なお、実施例1の印刷装置1Aと同様、本実施例の印刷装置1Dも、第1乾燥炉10Aに加えて、第1乾燥炉10Aの第1加熱部11Aの配置に対して第2乾燥炉10Bの第2加熱部11Bの配置が異なる、詳細には、側面方向から見て加熱部11の配置が180°反転しているだけで第1乾燥炉10Aと同様の構成の、第2乾燥炉10Bを備えている。
【0059】
上記のように、実施例1から実施例3の印刷装置1は、加熱部材12は幅方向Bにおいて分割されていなかった。一方、
図7で表されるように、本実施例の印刷装置1Dにおいては、加熱部材12として、各々が幅方向Bに並ぶ第1加熱部材としての加熱部材12K及び加熱部材12N、各々が幅方向Bに並ぶ第2加熱部材としての加熱部材12L及び加熱部材12O、各々が幅方向Bに並ぶ第3加熱部材としての加熱部材12M及び加熱部材12P、を有している。このように、本実施例の印刷装置1Dにおいては、幅方向Bに分割して加熱部11を駆動可能に構成されている。
【0060】
幅方向Bの狭い印刷媒体Bと幅方向Bの広い印刷媒体Pとを使用可能な構成においては、幅方向Bの狭い印刷媒体Pを使用する際に印刷媒体Pの搬送経路における幅方向Bの全体において加熱部11を駆動させると電力を無駄にする虞がある。しかしながら、本実施例の印刷装置1Dは、幅方向Bに分割して加熱部11を駆動可能に構成されている。このため、幅方向Bの狭い印刷媒体Pを使用する際に使用する加熱部材12を、例えば、加熱部材12K、加熱部材12L及び加熱部材12Mのみに限定することができるので、電力の無駄を抑制することができる。
【0061】
なお、
図7では縮尺を変えて表しているが、加熱部材12K及び加熱部材12Nは、搬送方向Aに沿う長さが270mmであり、幅方向Bに沿う長さが175mmである。加熱部材12L及び加熱部材12Oは、搬送方向Aに沿う長さが410mmであり、幅方向Bに沿う長さが175mmである。加熱部材12M及び加熱部材12Pは、搬送方向Aに沿う長さが820mmであり、幅方向Bに沿う長さが175mmである。そして、加熱部材12K、加熱部材12L及び加熱部材12M、並びに、加熱部材12N、加熱部材12O及び加熱部材12Pの全体の発熱量に対応する加熱部材12に加えられる電力は、各々850Wである。このため、加熱部材12K及び加熱部材12Nの単位面積当たりの発熱量に対応する1平方センチメートル当たりの電力は1.8Wとなり、加熱部材12L及び加熱部材12Oの単位面積当たりの発熱量に対応する1平方センチメートル当たりの電力は1.2Wとなり、加熱部材12M及び加熱部材12Pの単位面積当たりの発熱量に対応する1平方センチメートル当たりの電力は0.6Wとなる。上記のように、本実施例においては、幅方向に並ぶ加熱部材12同士は同じ大きさ且つ同じ発熱量となっている。このような構成とすることで、簡単な構成で、幅の広い印刷媒体Pを使用した場合において幅方向においても加熱ムラを生じにくくすることができる。ただし、このような構成に限定されない。
【0062】
[実施例5]
次に、実施例5の印刷装置1Eについて、
図8を用いて説明する。なお、
図8は実施例1の印刷装置1における
図3に対応する図であり。
図8において上記実施例1から実施例4と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例の印刷装置1Eは、加熱部11の構成以外は実施例1から実施例4の印刷装置1と同様の構成をしている。このため、下記で説明する部分以外に関しては、本実施例の印刷装置1Eは、実施例1から実施例4の印刷装置1と同様の特徴を有している。なお、実施例1の印刷装置1Aと同様、本実施例の印刷装置1Eも、第1乾燥炉10Aに加えて、第1乾燥炉10Aの第1加熱部11Aの配置に対して第2乾燥炉10Bの第2加熱部11Bの配置が異なる、詳細には、側面方向から見て加熱部11の配置が180°反転しているだけで第1乾燥炉10Aと同様の構成の、第2乾燥炉10Bを備えている。
【0063】
実施例4の印刷装置1Dは、幅方向Bの狭い印刷媒体Pを使用する際に、幅方向Bにおいて加熱部材12K、加熱部材12L及び加熱部材12M側に印刷媒体Pを寄せて搬送することが可能な構成であった。このため、幅方向Bの狭い印刷媒体Pを使用する際には、使用する加熱部材12を、加熱部材12K、加熱部材12L及び加熱部材12Mのみに限定することができる構成であった。
【0064】
一方、
図8で表されるように、本実施例の印刷装置1Eにおいては、加熱部材12として、各々が幅方向Bに並ぶ第1加熱部材としての加熱部材12Q、加熱部材12T及び加熱部材12W、各々が幅方向Bに並ぶ第2加熱部材としての加熱部材12R、加熱部材12U及び加熱部材12X、各々が幅方向Bに並ぶ第3加熱部材としての加熱部材12S、加熱部材12V及び加熱部材12Y、を有している。そして、幅方向Bの狭い印刷媒体Pを使用する際には、印刷媒体Pの幅方向Bにおける中心を搬送経路の幅方向Bにおける中心に合わせて搬送する構成である。このため、本実施例の印刷装置1Eにおいては、幅方向Bの狭い印刷媒体Pを使用する際には、使用する加熱部材12を、加熱部材12T、加熱部材12U及び加熱部材12Vのみに限定することが可能に構成されている。
【0065】
[実施例6]
次に、実施例6の印刷装置1Fについて、
図9を用いて説明する。なお、
図9は実施例1の印刷装置1における
図3に対応する図であり。
図9において上記実施例1から実施例5と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例の印刷装置1Fは、加熱部11の構成以外は実施例1から実施例5の印刷装置1と同様の構成をしている。このため、下記で説明する部分以外に関しては、本実施例の印刷装置1Fは、実施例1から実施例5の印刷装置1と同様の特徴を有している。なお、実施例1の印刷装置1Aと同様、本実施例の印刷装置1Fも、第1乾燥炉10Aに加えて、第1乾燥炉10Aの第1加熱部11Aの配置に対して第2乾燥炉10Bの第2加熱部11Bの配置が異なる、詳細には、側面方向から見て加熱部11の配置が180°反転しているだけで第1乾燥炉10Aと同様の構成の、第2乾燥炉10Bを備えている。
【0066】
実施例4及び実施例5の印刷装置1においては、乾燥炉10の入口側の第1加熱部材、搬送方向Aにおける中央の第2加熱部材、乾燥炉10の出口側の第3加熱部材、のいずれも幅方向Bに加熱部材12が分割されていた。一方、本実施例の印刷装置1Fは、
図9で表されるように、乾燥炉10の入口側の第1加熱部材と、搬送方向Aにおける中央の第2加熱部材とが、実施例5の印刷装置1の加熱部11と同様、幅方向Bに加熱部材12が分割されているが、乾燥炉10の出口側の第3加熱部材である加熱部材12Zは幅方向Bに分割されていない。
【0067】
すなわち、本実施例の印刷装置1Fにおいては、加熱部11は、搬送方向Aにおける乾燥炉10の入口側の領域において幅方向Bに分割して加熱部材12を駆動可能に構成され、搬送方向Aにおける乾燥炉10の出口側の領域においては幅方向Bに分割して加熱部材12を駆動可能には構成されていない。例えば幅の狭い印刷媒体Pを使用した際、特に乾燥炉10の入口側の領域の加熱部材12を高精度に制御することで電力を抑えながら印刷媒体Pに吐出されたインクを効率的に乾燥させつつ印刷媒体Pの加熱ムラを効果的に抑制することができる。本実施例の印刷装置1Fにおいては、加熱部11は、搬送方向Aにおける乾燥炉10の入口側の領域において幅方向Bに分割して加熱部材12を駆動可能に構成されているので、例えば幅の狭い印刷媒体Pを使用した際でも、電力を抑えながら印刷媒体Pに吐出されたインクを効率的に乾燥させつつ印刷媒体Pの加熱ムラを効果的に抑制することができる。また、搬送方向Aにおける乾燥炉10の出口側の領域においては幅方向Bに分割して加熱部材12を駆動可能には構成されていないので、装置構成や加熱部11の駆動制御を簡単にすることができる。
【0068】
[実施例7]
次に、実施例7の印刷装置1Gについて、
図10を用いて説明する。なお、
図10は実施例1の印刷装置1における
図3に対応する図であり。
図10において上記実施例1から実施例6と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例の印刷装置1Gは、加熱部11の構成以外は実施例1から実施例6の印刷装置1と同様の構成をしている。このため、下記で説明する部分以外に関しては、本実施例の印刷装置1Gは、実施例1から実施例6の印刷装置1と同様の特徴を有している。なお、実施例1の印刷装置1Aと同様、本実施例の印刷装置1Gも、第1乾燥炉10Aに加えて、第1乾燥炉10Aの第1加熱部11Aの配置に対して第2乾燥炉10Bの第2加熱部11Bの配置が異なる、詳細には、側面方向から見て加熱部11の配置が180°反転しているだけで第1乾燥炉10Aと同様の構成の、第2乾燥炉10Bを備えている。
【0069】
実施例6の印刷装置1Fにおいては、乾燥炉10の入口側の第1加熱部材と、搬送方向Aにおける中央の第2加熱部材とが、幅方向Bに加熱部材12が分割されており、乾燥炉10の出口側の第3加熱部材である加熱部材12Zは幅方向Bに分割されていなかった。一方、本実施例の印刷装置1Gは、
図10で表されるように、乾燥炉10の入口側の第1加熱部材のみが幅方向Bに加熱部材12が分割されており、搬送方向Aにおける中央の第2加熱部材である加熱部材12αと、乾燥炉10の出口側の第3加熱部材である加熱部材12Zは幅方向Bに分割されていない。このような構成とすることで、本実施例の印刷装置1Gは、実施例6の印刷装置1Fよりもさらに、装置構成や加熱部11の駆動制御を簡単にすることができる。
【0070】
[実施例8]
次に、実施例8の印刷装置1Hについて、
図11を用いて説明する。なお、
図11は実施例1の印刷装置1における
図2に対応する図であり。
図11において上記実施例1から実施例7と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例の印刷装置1Hは、乾燥炉10の構成以外は実施例1から実施例7の印刷装置1と同様の構成をしている。このため、下記で説明する部分以外に関しては、本実施例の印刷装置1Hは、実施例1から実施例7の印刷装置1と同様の特徴を有している。
【0071】
実施例1から実施例7の印刷装置1は、乾燥炉10として第1乾燥炉10Aと第2乾燥炉10Bとを備えていた。一方、本実施例の印刷装置1Hは、乾燥炉10は
図11で表される乾燥炉10Cの1つのみであり、実施例1の印刷装置1Aと同様の第1加熱部11Aと、印刷装置1Aとは異なる加熱部材12である加熱部材12β及び加熱部材12γを有する第2加熱部11Bと、を乾燥炉10Cに有している。なお、本実施例においては、一旦印刷媒体Pが1つの乾燥炉10Cの外部に出てまた戻る搬送経路となっているが、このような構成に限定されず、印刷媒体Pが1つの乾燥炉10の外部に出ることなく加熱部材12A、加熱部材12B、加熱部材12β及び加熱部材12γと順に加熱される構成としてもよい。ここで、乾燥炉10の入口及び出口とは、例えば、本実施例のように、1つの乾燥炉10のみを有するが一旦印刷媒体Pが外部に出る搬送経路となっている場合は、一旦印刷媒体Pが外部に出た後の再度侵入する入口及び出口をも指すこととする。このため、上記のように、本実施例においては、乾燥炉10の入口側の加熱部材12には加熱部材12Aと加熱部材12βとが対応し、乾燥炉10の出口側の加熱部材12には加熱部材12Bと加熱部材12γとが対応する。
【0072】
詳細には、本実施例の印刷装置1Hは、乾燥炉10Cにおける第1加熱部11Aよりも搬送方向Aの下流に、搬送方向Aにおける乾燥炉10Cの入口側の加熱温度のほうが搬送方向Aにおける乾燥炉10Cの出口側の加熱温度よりも高い第2加熱部11Bを有している。ここで、第1加熱部11Aは、加熱部材12として、加熱部材12Aと、加熱部材12Aよりも搬送方向Aの下流に配置される加熱部材12Bと、を有し、加熱部材12Bの単位面積当たりの発熱量は、加熱部材12Aの単位面積当たりの発熱量よりも小さい。そして、第2加熱部11Bは、加熱部材12として、加熱部材12βと、加熱部材12βよりも搬送方向Aの下流に配置される加熱部材12γと、を有し、加熱部材12γの単位面積当たりの発熱量は、加熱部材12βの単位面積当たりの発熱量よりも小さい。本実施例の印刷装置1Hは、このような加熱部11を複数有する構成により、効果的に印刷媒体Pに吐出されたインクを乾燥させることができる。そして、加熱部材12Bの単位面積当たりの発熱量は加熱部材12Aの単位面積当たりの発熱量よりも小さく、加熱部材12γの単位面積当たりの発熱量は加熱部材12βの単位面積当たりの発熱量よりも小さいので、本実施例の印刷装置1Hは、印刷媒体Pの加熱ムラを抑制することができる。
【0073】
また、本実施例の印刷装置1Hにおいては、加熱部材12βの単位面積当たりの発熱量は、加熱部材12Bの単位面積当たりの発熱量よりも小さい。例えば一旦印刷媒体Pが乾燥炉10の外部に出る搬送経路となっていない場合や本実施例のように一旦印刷媒体Pが乾燥炉10の外部に出る搬送経路となっていても外部の搬送経路が短い場合においては特に、このような構成とすることで、効果的に印刷媒体Pに吐出されたインクを乾燥させつつ、効果的に印刷媒体Pの加熱ムラを抑制することができる。
【0074】
[実施例9]
次に、実施例9の印刷装置1Iについて、
図12を用いて説明する。なお、
図12は実施例1の印刷装置1における
図1に対応する図であり。
図12において上記実施例1から実施例8と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例の印刷装置1Iは、乾燥炉10の内部の加熱部11の構成以外は実施例1から実施例8の印刷装置1と同様の構成をしている。このため、下記で説明する部分以外に関しては、本実施例の印刷装置1Iは、実施例1から実施例8の印刷装置1と同様の特徴を有している。
【0075】
上記のように、実施例1から実施例8の印刷装置1は、加熱部11として、印刷媒体Pの反対面P2と接触して反対面P2を加熱する加熱部材12を有する構成であった。一方、
図12で表されるように、本実施例の印刷装置1Iは、加熱部11として、画像形成面P1に加熱された気体を送風する送風部20を有している。
【0076】
詳細には、本実施例の印刷装置1Iは、送風部20として、第1送風部20Aと、第1送風部20Aよりも搬送方向Aの下流に配置される第2送風部20Bと、を有している。ここで、第1送風部20A及び第2送風部20Bは複数のファンを有している。そして、第2送風部20Bで送風する気体の温度は、第1送風部20Aで送風する気体の温度よりも低く調整されている。本実施例の印刷装置1Iは、このような構成となっているため、送風部20を用いて、印刷媒体Pに吐出されたインクを乾燥させつつ、印刷媒体Pの加熱ムラを抑制することができる。
【0077】
さらに詳細には、本実施例の印刷装置1Iは、第2送風部20Bよりも搬送方向Aの下流に、各々が複数のファンを有する、第3送風部20Cと、第3送風部20Cよりも搬送方向Aの下流に配置される第4送風部20Dと、を有している。そして、第4送風部20Dで送風する気体の温度は、第3送風部20Cで送風する気体の温度よりも低く調整されている。本実施例の印刷装置1Iは、このような構成となっているため、送風部20を用いて、印刷媒体Pに吐出されたインクを特に効果的に乾燥させつつ、印刷媒体Pの加熱ムラを抑制することができる。
【0078】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…印刷装置、1A…印刷装置、1B…印刷装置、1C…印刷装置、1D…印刷装置、1E…印刷装置、1F…印刷装置、1G…印刷装置、1H…印刷装置、1I…印刷装置、2…セット部、3…印刷ヘッド、4…プラテン、5…巻取部、6…搬送ローラー、10…乾燥炉、10A…第1乾燥炉、10B…第2乾燥炉、10C…乾燥炉、11…加熱部、11A…第1加熱部、11B…第2加熱部、12…加熱部材、12A…加熱部材(第1加熱部材)、12B…加熱部材(第2加熱部材)、12C…加熱部材(第4加熱部材)、12D…加熱部材(第5加熱部材)、12E…加熱部材(第1加熱部材)、12F…加熱部材(第2加熱部材)、12G…加熱部材(第3加熱部材)、12H…加熱部材(第1加熱部材)、12I…加熱部材(第2加熱部材)、12J…加熱部材(第3加熱部材)、12K…加熱部材(第1加熱部材)、12L…加熱部材(第2加熱部材)、12M…加熱部材(第3加熱部材)、12N…加熱部材(第1加熱部材)、12O…加熱部材(第2加熱部材)、12P…加熱部材(第3加熱部材)、12Q…加熱部材(第1加熱部材)、12R…加熱部材(第2加熱部材)、12S…加熱部材(第3加熱部材)、12T…加熱部材(第1加熱部材)、12U…加熱部材(第2加熱部材)、12V…加熱部材(第3加熱部材)、12W…加熱部材(第1加熱部材)、12X…加熱部材(第2加熱部材)、12Y…加熱部材(第3加熱部材)、12Z…加熱部材(第3加熱部材)、12α…加熱部材(第2加熱部材)、13…加熱部材及びその制御器、13H…加熱部材及びその制御器、13I…加熱部材及びその制御器、13J…加熱部材及びその制御器、14…交流電源、14A…交流電源、14B…交流電源、14C…交流電源、20…送風部、20A…第1送風部、20B…第2送風部、20C…第3送風部、20D…第4送風部、P…印刷媒体、P1…画像形成面、P2…反対面