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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171686
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】配線基板及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 N
H05K3/46 T
H05K3/46 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088835
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅村 優樹
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA13
5E316AA15
5E316AA16
5E316AA32
5E316AA33
5E316AA43
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC16
5E316CC32
5E316DD17
5E316DD23
5E316DD24
5E316EE32
5E316EE33
5E316FF13
5E316FF14
5E316FF17
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG22
5E316GG23
5E316HH01
5E316JJ13
(57)【要約】
【課題】 電気特性を向上できる配線基板を提供する。
【解決手段】 配線基板は、絶縁性の表面を有する基板と、前記基板の前記表面上に設けられた下部電極と、前記下部電極上に設けられた誘電体膜と、前記誘電体膜上に設けられた上部電極とを有し、前記下部電極は第1導電性厚膜及び前記第1導電性厚膜より薄い第1導電性薄膜とを含む、キャパシタと、前記基板の前記表面上に設けられ、第2導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜より薄い第2導電性薄膜を含む、配線部と、を備え、前記第1導電性厚膜と前記第2導電性厚膜とは、同一の材料から構成され、前記第1導電性薄膜と前記第2導電性薄膜とは、同一の材料から構成されている。
【選択図】 図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の表面を有する基板と、
前記基板の前記表面上に設けられた下部電極と、前記下部電極上に設けられた誘電体膜と、前記誘電体膜上に設けられた上部電極とを有し、前記下部電極は第1導電性厚膜及び前記第1導電性厚膜より薄い第1導電性薄膜とを含む、キャパシタと、
前記基板の前記表面上に設けられ、第2導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜より薄い第2導電性薄膜を含む、配線部と、
を備え、
前記第1導電性厚膜と前記第2導電性厚膜とは、同一の材料から構成され、
前記第1導電性薄膜と前記第2導電性薄膜とは、同一の材料から構成されている、
配線基板。
【請求項2】
前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜の材料と前記第1導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜の材料との密着性、並びに前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜の前記材料と前記誘電体膜の材料との密着性は、前記第1導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜の前記材料と前記誘電体膜の材料との密着性より高い、
請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜の結晶粒径の平均値は、前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜の厚さより小さい、
請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜の導電率は、前記第1導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜の導電率の2%以上30%以下である、
請求項1又は請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜の熱膨張係数は、前記第1導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜の熱膨張係数より小さく、前記誘電体膜の熱膨張係数より大きい、
請求項1又は請求項3に記載の配線基板。
【請求項6】
前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜の熱膨張係数は、前記第1導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜の熱膨張係数より小さく、前記誘電体膜の熱膨張係数より大きい、
請求項4に記載の配線基板。
【請求項7】
前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜の弾性率は、前記第1導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜の弾性率より大きい、
請求項1又は請求項3に記載の配線基板。
【請求項8】
前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜の弾性率は、前記第1導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜の弾性率より大きい、
請求項4に記載の配線基板。
【請求項9】
前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜の弾性率は、前記第1導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜の弾性率より大きい、
請求項6に記載の配線基板。
【請求項10】
前記第1導電性薄膜上及び前記第2導電性薄膜上の少なくとも一部に設けられた無機絶縁膜をさらに備える、
請求項1又は請求項3に記載の配線基板。
【請求項11】
前記無機絶縁膜は、点在する複数の部分を含む、
請求項10に記載の配線基板。
【請求項12】
前記基板の前記表面上に設けられ、前記第1導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜、並びに前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜を覆う第1絶縁膜をさらに備え、
前記無機絶縁膜の誘電正接は、前記第1絶縁膜の誘電正接より小さい、
請求項11に記載の配線基板。
【請求項13】
基板上に、部分的に、導電性厚膜を形成する工程と、
前記導電性厚膜上に、前記導電性厚膜より厚さの薄い導電性薄膜を形成する工程と、
前記導電性薄膜上に誘電体膜を形成する工程と、
前記誘電体膜上に、部分的に、上部電極を形成する工程と、
前記上部電極と、前記誘電体膜の一部とを覆う第1レジスト層を形成する工程と、
前記誘電体膜のうちの前記第1レジスト層で覆われていない部分をドライエッチングによって除去する工程と、
を備える配線基板の製造方法。
【請求項14】
前記第1レジスト層が除去された後に、前記導電性薄膜上に、前記導電性薄膜に達する開口を有する第2レジスト層を形成する工程と、
前記導電性薄膜のうちの前記開口中の部分上に無機絶縁膜を形成する工程と、
をさらに備える、
請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高機能化及び小型化に伴って、半導体装置を構成する配線基板の高密度化の要求が高まっている。その中で、回路配線の微細化に合わせて、抵抗、キャパシタ、及びインダクタなどの受動素子も更なる小型化が求められている。更なる小型化要求は非常に高いレベルで求められており、これら受動素子の小型化と基板表面への高密度実装のみでは限界がある。そこでこのような問題を解決すべく、実装基板に受動素子を内蔵化する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の方法では、受動素子を印刷や真空成膜法などで形成することで多層基板内に内蔵するため、電子機器の小型化が可能となる。
【0003】
配線付の基板上にMIM(Metal-Insulator-Metal)キャパシタが形成される場合がある。MIMキャパシタは、2つの導電層によって絶縁層を挟んだ構造を有する。MIMキャパシタに対して、用途や設計に応じて求められる容量及び(又は)設計が異なる。例えば、高周波領域での周波数フィルタ機能を有する電子部品や、受動素子を内蔵する配線基板においては、小型及び(又は)低容量のキャパシタの形成が求められる。キャパシタの誘電体の膜厚を厚くすることは、キャパシタの小型化及び(又は)低容量化の実現の解となり得る。しかしながら、キャパシタの誘電体の膜厚を単に厚くすると、キャパシタを含んだ電子部品及び(又は)配線基板の電気特性が悪化する場合がある(例えば、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-151114号公報
【特許文献2】特許第6725095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気特性を向上できる配線基板及び配線基板の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によると、絶縁性の表面を有する基板と、前記基板の前記表面上に設けられた下部電極と、前記下部電極上に設けられた誘電体膜と、前記誘電体膜上に設けられた上部電極とを有し、前記下部電極は第1導電性厚膜及び前記第1導電性厚膜より薄い第1導電性薄膜とを含む、キャパシタと、前記基板の前記表面上に設けられ、第2導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜より薄い第2導電性薄膜を含む、配線部と、を備え、前記第1導電性厚膜と前記第2導電性厚膜とは、同一の材料から構成され、前記第1導電性薄膜と前記第2導電性薄膜とは、同一の材料から構成されている、配線基板が提供される。
【0007】
本発明の他の側面によると、前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜の材料と前記第1導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜の材料との密着性、並びに前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜の前記材料と前記誘電体膜の材料との密着性は、前記第1導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜の前記材料と前記誘電体膜の前記材料との密着性より高い、上記側面に係る配線基板が提供される。
【0008】
本発明のさらに他の側面によると、前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜の結晶粒径の平均値は、前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜の厚さより小さい、上記側面のいずれかに係る配線基板が提供される。
【0009】
本発明のさらに他の側面によると、前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜の導電率は、前記第1導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜の導電率の2%以上30%以下である、上記側面のいずれかに係る配線基板が提供される。
【0010】
本発明のさらに他の側面によると、前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜の熱膨張係数は、前記第1導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜の熱膨張係数より小さく、前記誘電体膜の熱膨張係数より大きい、上記側面のいずれかに係る配線基板が提供される。
【0011】
本発明のさらに他の側面によると、前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜の弾性率は、前記第1導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜の弾性率より大きい、上記側面のいずれかに係る配線基板が提供される。
【0012】
本発明のさらに他の側面によると、前記第1導電性薄膜上及び前記第2導電性薄膜上の少なくとも一部に設けられた無機絶縁膜をさらに備える、上記側面のいずれかに係る配線基板が提供される。
【0013】
本発明のさらに他の側面によると、前記無機絶縁膜は、点在する複数の部分を含む、上記側面のいずれかに係る配線基板が提供される。
【0014】
本発明のさらに他の側面によると、前記第1導電性厚膜及び前記第2導電性厚膜、並びに前記第1導電性薄膜及び前記第2導電性薄膜を覆う第1絶縁膜をさらに備え、前記無機絶縁膜の誘電正接は、前記第1絶縁膜の誘電正接より小さい、上記側面のいずれかに係る配線基板が提供される。
【0015】
本発明のさらに他の側面によると、基板上に、部分的に、導電性厚膜を形成する工程と、前記導電性厚膜上に、前記導電性厚膜より厚さの薄い導電性薄膜を形成する工程と、前記導電性薄膜上に誘電体膜を形成する工程と、前記誘電体膜上に、部分的に、上部電極を形成する工程と、前記上部電極と、前記誘電体膜の一部とを覆う第1レジスト層を形成する工程と、前記誘電体膜のうちの前記第1レジスト層で覆われていない部分をドライエッチングによって除去する工程と、を備える配線基板の製造方法が提供される。
【0016】
本発明のさらに他の側面によると、前記第1レジスト層が除去された後に、前記導電性薄膜上に、前記導電性薄膜に達する開口を有する第2レジスト層を形成する工程と、前記導電性薄膜のうちの前記開口中の部分上に無機絶縁膜を形成する工程と、をさらに備える、上記側面のいずれかに係る配線基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電気特性を向上できる配線基板及び配線基板の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態に係る配線基板の概略的な断面図である。
図2図2は、図1に示されているII-II´線に沿った構造の概略的な断面図である。
図3図3は、図1に示されているIII-III´線に沿った構造の概略的な断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る配線基板を含んだ半導体装置の概略的な断面である。
図5図5は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
図6図6は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
図7図7は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
図8図8は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
図9図9は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
図10図10は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
図11図11は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
図12A図12Aは、第1実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
図12B図12Bは、図12A中のC部の拡大図である。
図13A図13Aは、第1実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
図13B図13Bは、図13A中のC部の拡大図である。
図14A図14Aは、第1実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
図14B図14Bは、図14A中のC部の拡大図である。
図15図15は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
図16図16は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
図17図17は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
図18図18は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
図19図19は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
図20図20は、第2実施形態に係る配線基板の概略的な断面図である。
図21図21は、第2実施形態に係る配線基板の概略的な断面図である。
図22A図22Aは、第2実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
図22B図22Bは、図22A中のC部の拡大図である。
図23A図23Aは、第2実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
図23B図23Bは、図23A中のC部の拡大図である。
図24A図24Aは、第2実施形態に係る配線基板の製造工程の変形例の間の概略的な断面図である。
図24B図24Bは、図24A中のC部の拡大図である。
図25A図25Aは、第2実施形態に係る配線基板の製造工程の変形例の間の概略的な断面図である。
図25B図25Bは、図25A中のC部の拡大図である。
図26図26は、実施例及び比較例に対する試験の結果を示す図である。
図27図27は、比較例に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に実施形態が図面を参照しながら記載される。図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なり得る。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。或る図に示されている構成要素が、図面を見やすくする目的で別の図では省略されている場合がある。
【0020】
以下、XYZ直交座標系が用いられて、実施形態が記載される。以下の記載において、「下」との記載及びその派生語並びに関連語は、Z軸上のより小さい座標の位置を指し、「上」との記載及びその派生語並びに関連語は、Z軸上のより大きい座標の位置を指す。
【0021】
1.第1実施形態
1.1.配線基板の構成(構造)
図1は、本発明の第1実施形態に係る配線基板の概略的な断面図である。配線基板10は、平面に沿って広がる。配線基板10が広がる平面をXY平面とする。XY平面内で互いに交差する方向をX方向及びY方向とする。XY平面と交差する方向をZ方向とする。
【0022】
配線基板10は、例えば、配線のデザインルールが互いに異なる集積回路(IC)チップとプリント配線基板との組のように、互いに端子の距離が異なる2つの部品を中継するインターポーザとして利用されることが可能である。
【0023】
配線基板10は、基板11(図示せず)に設けられたキャパシタ100及び配線部101を含む。キャパシタ100は、MIMキャパシタとも呼ばれる。キャパシタ100は、導電性厚膜12を含む下部電極16(図示せず)、誘電体膜13、及び上部電極14を含む。誘電体膜13は導電性厚膜12と重なっており、上部電極14は誘電体膜13と重なっている。
【0024】
配線部101の一部は、キャパシタ100に接続されている。配線部101は、インダクタ部102及び103、並びに配線部104を含む。インダクタ部102は、Z方向にらせん状に形成されるインダクタの一例である。インダクタ部103は、X方向にらせん状に形成されるインダクタの一例である。配線部104は、直線の形状を有する配線の一例である。配線部101は、導電性厚膜12を含む。
【0025】
配線基板10は、さらに、接続部25を含む。接続部25は、上部電極14と重なっている。
【0026】
図2は、図1に示されているII-II´線に沿った構造の概略的な断面図である。配線基板10は、さらに、基板11、貫通孔内導電層21、導電層22、絶縁層23、接続部25、導電層26、絶縁層31、接続部33、及び導電層34を含む。
【0027】
基板11は、第1面11aと、第2面11bと、を有する。第2面11bは、第1面11aと対向する。基板11は、絶縁性の表面を有し、一例では、無アルカリガラスである。基板11は、ガラス以外の無機絶縁材料、有機材料、又は半導体材料から構成されてもよい。基板11は、絶縁性材料であることが好ましい。
【0028】
基板11の厚さは、50μm以上700μm以下であることが好ましい。一例では、基板11の厚さは、100μmである。また、基板11の第1面11aの表面粗さ(算術平均粗さ)は、基板11の第1面11a上に設けられている導電性厚膜12及び第2面11b上に設けられている導電層22において高周波信号の伝送損失が生じるのを防ぐ観点から、小さいことが好ましい。この観点から、基板11の第1面11aの表面粗さは、50nm以下、特に0.1nm以上30nm以下であることが好ましい。本明細書において算術平均粗さは、JIS規格JIS B 0401:2001による定義に従う。以下、本明細書において、表面粗さは、算術平均粗さを指す。
【0029】
基板11は、第1面11aと第2面11bとを貫通する貫通孔20を有する。貫通孔内導電層21は、貫通孔20の内部に形成されており、貫通孔20を貫通する貫通電極である。貫通孔内導電層21は、貫通孔20の内側の側面から順に外周部分211及び内周部分212を含む。外周部分211と貫通孔20の内側面との間に、密着層のような別の膜がさらに配置されてもよい。密着層としては、酸化亜鉛(ZnO)が挙げられる。酸化亜鉛を含む密着層は、例えば、ゾルゲル法によって形成される。
【0030】
貫通孔20の開口幅は、40μm以上110μm以下であることが好ましい。一例では、貫通孔20の開口幅は、80μmである。本明細書において、貫通孔20の開口幅は、第1面11aと第2面11bとの間において、これらの面に沿った貫通孔20の断面が形成する形状を規定し、当該形状の外縁の任意の2点間の最大距離を指す。外縁によって形成される形状が円形である場合、貫通孔20の開口幅は、円の直径を指す。
【0031】
貫通孔20は、図2では、例として、第1面11aと第2面11bとの間でいずれも開口幅が同じ、すなわち円柱形状を有するが、他の形状を有してもよい。例えば、第1面11aと第2面11bとの間で開口幅の大きさが変化してもよい。例えば、開口幅は、極小値を有してもよいし、極大値を有してもよいし、極小値及び極大値を有してもよい。また、開口幅が第1面11aから第2面11bにかけて徐々に大きくなってもよいし、徐々に小さくなってもよい。
【0032】
貫通孔20は、基板11に対して、例えば、エッチング加工、レーザ加工、レーザ加工とエッチング加工との組合せによる加工、サンドブラスト加工、放電加工、又はドリル加工を行うことによって形成される。
【0033】
貫通孔内導電層21は、図2に示されるように貫通孔20の内側面に沿って導電材料の層を有する形態に限らず、貫通孔20内に導電材料が充填された形態を有してもよい。
【0034】
キャパシタ100は、基板11の第1面11a上に設けられている。キャパシタ100において、下部電極16、誘電体膜13、及び上部電極14は、この順に積層されている。
【0035】
配線部101は、基板11の第1面11a上に設けられている。
【0036】
下部電極16は、基板11の第1面11a上に設けられている。下部電極16は、基板11の第1面11a上に直接配置されてもよいし、導電材料又は絶縁材料の層を少なくとも1層介して基板11の第1面11a上に配置されてもよい。例えば、基板11の第1面11a上に絶縁性樹脂を配置することにより、導電性厚膜12と基板11の熱膨張率の差により発生する応力を緩和できる。絶縁性樹脂としては、エポキシ、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、又はポリアミドが挙げられる。
【0037】
下部電極16は、図1を参照しながら上記されているように導電性厚膜12を含むことに加え、導電性薄膜15を含む。キャパシタ100の導電性厚膜12と配線部101の導電性厚膜12は、同じ材料から構成され、XY平面に沿った形状が異なる点を除いて、同じ構造を有する。すなわち、配線部101も、導電性厚膜12及び導電性薄膜15を含む。キャパシタ100、及びこのキャパシタ100と接続されている配線部101において、導電性厚膜12及び導電性薄膜15からなる構造は連続しており、一体となっている。
【0038】
配線基板10は、基板11の第1面11aと導電性厚膜12との間にシード層121を含んでいてもよい。シード層121は、下部電極16と膜質又は膜種の異なる導電層である。シード層121は、導電性厚膜12を電解めっき法で形成するときの電極として機能する。シード層121は、貫通孔内導電層21の外周部分211と連続している。
【0039】
一例では、シード層121は、銅(Cu)から構成される。シード層121は、クロム(Cr)又はチタン(Ti)から構成されてもよい。また、シード層121は、銅(Cu)、クロム(Cr)、及びチタン(Ti)の2つ以上の膜から構成されてもよい。シード層121の厚さは、20nm以上800nm以下であることが好ましい。一例では、シード層121の厚さは、300nmである。シード層121は、例えば、無電解めっき法、又はスパッタ法により形成される。
【0040】
導電性厚膜12と第1面11aとの間に、さらに別の膜が設けられてもよい。例えば、シード層121と基板11の間に、シード層121が基板11から剥がれにくくするための密着層が設けられてもよい。密着層としては、酸化亜鉛(ZnO)が挙げられる。酸化亜鉛を含む密着層は、例えば、ゾルゲル法によって形成される。また、貫通孔20が形成される際のエッチングストップ層が形成されていてもよい。エッチングストップ層としては、スパッタ法によって形成された(Cr)が挙げられる。
【0041】
導電性厚膜12は、例えば、シード層121を給電に用いて、電解めっき法により形成される。導電性厚膜12は、一例では、銅(Cu)から構成される。導電性厚膜12は、他の導電材料から構成されてもよいし、複数の膜から構成されてもよい。導電性厚膜12の厚さは、0.5μm以上30μm以下であることが好ましい。一例では、導電性厚膜12の厚さは、8μmである。導電性厚膜12を厚くすることによって、導電性厚膜12の抵抗を小さくすることができ、配線基板10の電気特性が向上する。一方、導電性厚膜12が厚いと、導電性厚膜12中の結晶の粒形が大きくなりやすく、粒界や欠陥も深くなる。キャパシタ100を製造するプロセスにおいては、イオン、特にハロゲンイオンもしくはハロゲン化物が、導電性厚膜12の粒界や欠陥の深くに残留しやすい。この残留物がキャパシタ100を含む配線基板10の電気特性の劣化の一因となっており、その解決策として、導電性薄膜15が設けられる。
【0042】
導電性厚膜12の上面の表面粗さは、導電性厚膜12の側面の表面粗さよりも小さく設定される。導電性厚膜12の厚さ方向においては、隣り合う配線との間の距離が比較的短く、導電性厚膜12のXY面に沿った方向においては、隣り合う配線との間の距離が比較的長い。配線間距離の比較的短い上面の表面粗さを小さくすることによって、導電性厚膜12による信号を伝送する特性のばらつきや配線部101の一部として形成されるインダクタ部102及び(又は)103のインダクタンス値のばらつきを抑制できる。また、配線間距離の比較的長い側面の表面粗さを粗くすることによって、導電性厚膜12の周囲に設けられる絶縁層23との密着性を得ることができ、繰り返し熱負荷の印加後の密着性のばらつきを抑制できる。例えば、導電性厚膜12の上面上に導電性薄膜15を形成し、露出している導電性厚膜12の側面のみをエッチングすることによって、導電性厚膜12の上面と側面との間で表面粗さの差を形成できる。上面の表面粗さは、50nm以下であり、0.1nm以上30nm以下であることが好ましい。側面の表面粗さは、50nm以上であり、40nm以上400nm以下であることが好ましい。
【0043】
導電性厚膜12は、貫通孔内導電層21の内周部分212と連続している。さらに、導電性厚膜12、貫通孔内導電層21、及び導電層22は、少なくとも一部において、互いに一体になっていてもよい。これにより、導電性厚膜12、貫通孔内導電層21、及び導電層22は、電気的に接続される。図2は、そのような例を示す。
【0044】
導電性薄膜15を設けることによって、ハロゲンイオンが導電性厚膜12に侵入したり、ハロゲンイオンもしくはハロゲン化物が導電性厚膜12の内部又は表面に残留することを抑制できる。ハロゲンイオンは、例えば、誘電体膜13のパターニングの際に広く用いられるドライエッチングのハロゲンガス、例えばCFやClによって生じる。
【0045】
詳細なプロセスは後述するが、誘電体膜13は、化学気相蒸着(CVD)によって、製造途中の配線基板10の全面に誘電体膜が形成され、形成された誘電体膜の不要な部分がドライエッチングにより除去されることにより形成される。このとき、導電性薄膜15がないと、導電性厚膜12は、エッチングガスにさらされる。誘電体膜13となる誘電体膜の面内に亘って、パターンに応じて、また、基板11の内外で、ドライエッチングのエッチングレートが異なる。ドライエッチングにおけるエッチング反応は直進性が強く、生成されるハロゲン化物は、エッチングされる対象の上面に発生することが多い。このため、導電性厚膜12の上面を導電性薄膜15によって保護することにより、導電性厚膜12でのハロゲン化物の生成を抑制できる。
【0046】
また、導電性薄膜15を形成し、導電性厚膜12の側面をエッチングによって粗化することによって、配線部101の上面の表面粗さを維持しつつ配線部101の側面を粗化できる。こうすることにより、導電性厚膜12の周囲に設けられる絶縁層23との密着性を得られる。
【0047】
導電性薄膜15がない場合に、ドライエッチング後に、別のガス又はウエットエッチングによって配線部101の表面をエッチングすることによって、導電性厚膜12中のハロゲン化物を除去することも可能である。しかしながら、導電性厚膜12のような厚膜中の欠陥や粒界中に生成されたハロゲン化物を除去することは困難な場合がある。また、導電性厚膜12の表面粗さ、特にその側面の表面粗さを確保しつつエッチングを実施するのも困難である。
【0048】
導電性薄膜15は、下部電極16と誘電体膜13との密着性の向上の機能も有する。このため、導電性薄膜15を設けることにより、導電性厚膜12と誘電体膜13が直接接する場合の密着性よりも、導電性厚膜12と誘電体膜13との密着性は高い。すなわち、導電性薄膜15と誘電体膜13との密着性は、導電性厚膜12と誘電体膜13との密着性より高い。これに代えて、又はこれに加えて、導電性薄膜15と導電性厚膜12との密着性は、導電性厚膜12と誘電体膜13との密着性より高い。
【0049】
このように、導電性薄膜15は、導電性厚膜12のハロゲンイオンからの保護の機能と、導電性厚膜12と誘電体膜13との密着性の向上の機能とを有する。このような目的で、導電性薄膜15は、2つの機能を両立する特性を有する。
【0050】
導電性薄膜15は、例えば、電解めっき法、又はスパッタ法により形成される。ハロゲンイオンからの保護の観点では、導電性薄膜15の厚さは、導電性薄膜15の結晶粒径の平均値よりも大きい方が好ましい。こうすることにより、導電性薄膜15中に、導電性薄膜15の上面から下面に亘る孔が形成されることを抑制できる。一方、導電性薄膜15が厚すぎると、導電性薄膜15の導電率が導電性厚膜12のように高くないことに起因して配線基板10の電気特性が劣化する。導電性薄膜15がその結晶粒径の平均よりも厚い範囲において、結晶粒径の平均が10nm以上50nm以下の導電性薄膜15を形成し、誘電体膜13の厚さを20nm以上100nm以下とすることにより、厚い誘電体膜13を含んだキャパシタ100を形成できる。こうすることにより、電気特性に優れた配線基板10を提供できる。
【0051】
導電性薄膜15は、例えば、2%以上30%以下の導電率を有する材料から構成される。こうすることにより、導電性薄膜15の内部又は表面にハロゲン化物が残留したとしても下部電極16及び配線部101を流れる信号の大部分は導電性厚膜12中を流れる。このため、導電性薄膜15による、信号の劣化及び配線基板10の電気特性への影響は限定的となる。
【0052】
導電性薄膜15の熱膨張係数は、導電性厚膜12の熱膨張係数より小さく、誘電体膜13の熱膨張係数より大きいことが好ましい。こうすることにより、誘電体膜13にかかる応力が緩和され、誘電体膜13のクラック及び(又は)剥離を抑制できる。よって、キャパシタ100の電気特性の劣化を低減できる。
【0053】
導電性薄膜15の弾性率は、導電性厚膜12の弾性率よりも大きいことが好ましい。こうすることにより、導電性薄膜15が薄い場合においても十分に応力を緩和できる。
【0054】
導電性薄膜15としては、例えば、スパッタ法によって形成されたチタン(Ti)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、又はクロム(Cr)の膜が使用できる。導電性薄膜15の形成の方法及び(又は)条件により、導電性薄膜15の材料の結晶粒形、導電率、弾性率、及び(又は)熱膨張係数が或る範囲において変動する。よって、導電性薄膜15の形成方法及び(又は)条件を制御することで、所望の特性を有する導電性薄膜15を得られる。
【0055】
誘電体膜13は、一例では、窒化シリコン(SiN)から構成される。誘電体膜13は、酸化シリコン(SiO)、又は酸窒化シリコン(SiON)などの無機材料から構成されてもよいし、複数の膜から構成されてもよい。
【0056】
誘電体膜13の比誘電率は、キャパシタ100の周囲に位置する絶縁層23よりも高いことが好ましい。誘電体膜13の比誘電率は、例えば、2.0以上9.0以下であり、より好ましくは3.0以上8.0以下である。誘電体膜13の厚さは、50nm以上3000nm以下であることが好ましい。より好ましくは、誘電体膜13の厚さは、500nm超である。一例では、誘電体膜13の厚さは、1200nmである。誘電体膜13は、例えば、CVDで形成される。
【0057】
誘電体膜13は、パターニングによって、所望の位置にのみ設けられている。誘電体膜13の厚さが厚いほど、誘電体膜13のパターニングのためにエッチングの際に、下部電極16及び配線部101が長くエッチングガスにさらされ、ハロゲン化物が生成されやすい。
【0058】
図3に示されるように、誘電体膜13の端部は順テーパーの傾斜を有することが好ましい。図3は、図1に示されているIII-III´線に沿った構造の概略的な断面図である。
【0059】
さらに、誘電体膜13の端部は、10度以上80度以下の傾斜角度θで順テーパー形状を有すると、なお良い。順テーパー形状とすることで、誘電体膜13は、導電性薄膜15と高い密着性を有し、誘電体膜13の端部への応力集中も起こりにくい。また、絶縁層23の充填性が向上し、絶縁層23中に気泡や空隙の発生することを抑制でき、絶縁層23中のクラックの発生による抵抗成分の増加及びばらつき、並びに(又は)空隙自体による抵抗成分の増加及びばらつきを抑制できる。これにより、電気特性に優れた配線基板10を提供できる。クラック及び(又は)空隙は、誘電体膜13が厚い場合に発生しやすい。このような場合、クラック及び(又は)空隙の抑制の効果が大きい。一方、傾斜角度θが小さすぎると、誘電体膜13の面積が大きくなり、配線基板10の小型化及び小面積化が阻害される。
【0060】
図2に示されるように、上部電極14は、一例では、銅(Cu)から構成される。上部電極14は、他の導電材料から構成されてもよいし、複数の膜から構成されてもよい。上部電極14は、例えば、後述のシード層141を給電に用いて、電解めっき法により形成される。上部電極14の厚さは、0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。一例では、上部電極14の厚さは、5μmである。上部電極14は、スパッタ法、又は電解銅箔がエッチングによってパターニングされることによって形成されてもよい。
【0061】
図3に示されるように、配線基板10は、上部電極14と誘電体膜13との間にシード層141を含んでもよい。シード層141は、上部電極14を電解めっき法で形成するときの電極として機能する。一例では、シード層141は、銅(Cu)から構成される。シード層141は、クロム(Cr)又はチタン(Ti)から構成されてもよい。また、シード層141は、銅(Cu)、クロム(Cr)、及びチタン(Ti)の2つ以上の膜から構成されてもよい。シード層141の厚さは、20nm以上400nm以下であることが好ましい。一例では、シード層141の厚さは、300nmである。シード層141は、例えば、無電解めっき法、又はスパッタ法により形成される。
【0062】
図2に示されるように、導電層22は、基板11の第2面11b上に設けられている。導電層22は、貫通孔内導電層21の内周部分212と連続している。導電層22は、貫通孔内導電層21を介して導電性厚膜12に電気的に接続されている。一例では、貫通孔内導電層21は、導電性厚膜12から連続的に延びている。導電層22は、導電性厚膜12と同じ材料から構成され、実質的に同じ厚さを有してもよい。こうすることにより、導電層22が導電性厚膜12と接続している部分において、導電層22の抵抗値と導電性厚膜12の抵抗値の差が生じにくい。これにより、導電層22と導電性厚膜12とを流れる信号の伝送損失を軽減できる。
【0063】
導電層22、貫通孔内導電層21、及び導電性厚膜12のうち、少なくとも2つが同じ材料から構成されてもよい。
【0064】
配線基板10は、導電層22と基板11の第2面11bとの間にシード層221を含んでもよい。シード層221は、貫通孔内導電層21の外周部分211と連続している。シード層221と第2面11bとの間に、さらに別の層が設けられてもよい。例えば、シード層221と第2面11bとの間に、導電性厚膜12と第1面11aとの間に設けられ得る密着層と同様の密着層が設けられてもよい。
【0065】
絶縁層23は、基板11の第1面11a上に設けられている。絶縁層23は、一例では、有機材料である樹脂を含む層である。絶縁層23は、シード層121、導電性厚膜12、導電性薄膜15、誘電体膜13、及び上部電極14を覆う。
【0066】
絶縁層23中の上部電極14と接する位置にビアホール24が形成されている。ビアホール24には、接続部25が設けられている。接続部25は、導電材料から構成されている。
【0067】
導電層26は、配線基板10の表面において接続部25と接する位置に設けられている。導電層26は、接続部25と電気的に接続されている。
【0068】
絶縁層31は、基板11の第2面11b上に設けられている。絶縁層31は、一例では、有機材料である樹脂を含む層である。絶縁層31は、導電層22及びシード層221を覆う。
【0069】
絶縁層31中の導電層22と接する位置にビアホール32が形成されている。ビアホール32には、接続部33が設けられている。接続部33は、導電材料から構成されている。
【0070】
導電層34は、配線基板10の表面において接続部33と接する位置に設けられている。導電層34は、接続部33と電気的に接続されている。
【0071】
1.2.半導体装置の構成
図4は、本発明の第1実施形態に係る配線基板を含んだ半導体装置の概略的な断面である。半導体装置40は、第1実施形態に係る配線基板10、半導体チップ41、はんだボール42、回路基板43、及びはんだボール44を含む。配線基板10は、インターポーザとして用いられる。
【0072】
半導体チップ41は、配線基板10に含まれる基板11の第1面11a側に設けられている。半導体チップ41の接続端子は、はんだボール42を介して配線基板10の導電層26と接続されている。こうして、半導体チップ41は、はんだボール42を介して配線基板10と電気的に接続されている。
【0073】
回路基板43は、例えば、マザーボードである。回路基板43は、配線基板10に含まれる基板11の第2面11b側に設けられる。回路基板43の導電材料からなるパターンは、はんだボール44を介して配線基板10の導電層22と接続されている。こうして、回路基板43は、はんだボール44を介して配線基板10と電気的に接続されている。
【0074】
半導体装置40によれば、半導体チップ41、配線基板10、及び回路基板43を互いに電気的に接続するとともに、これらを積層することが可能である。また、接続端子のピッチが小さい半導体チップ41を、マザーボードなどの大型の回路基板43へ実装することが可能である。
【0075】
基板11の第1面11a側に回路基板43を配置するとともに基板11の第2面11b側に半導体チップ41を配置してもよい。半導体装置40は、配線基板10に加えて、半導体チップ41のみ、又は、回路基板43のみを含んでいてもよい。
【0076】
1.3.配線基板の製造方法
図5乃至図11図12A図12B図13A図13B図14A図14B、及び図15乃至図19は、本発明の第1実施形態に係る配線基板の製造工程の間の概略的な断面図である。図5乃至図11図12A図12B図13A図13B図14A図14B、及び図15乃至図19は、いずれも図2に示される部分の断面形状を示す。
【0077】
1.3.1.第1工程
まず、図5に示されるように、基板11の第2面11bに、接着層51を介して支持体50が貼り合わされる。基板11に支持体50を貼り合わせる工程には、例えば、ラミネータ、真空加圧プレス、又は減圧貼り合わせ機が用いられる。
【0078】
接着層51は、基板11に支持体50を仮固定するための接着層である。接着層51としては、樹脂、又は支持体50に形成された官能基が用いられる。樹脂としては、UV光等の光を吸収して発熱、昇華、又は変質することにより剥離が可能となる樹脂、又は、熱によって発泡することにより剥離が可能となる樹脂が挙げられる。一例によれば、接着層51は、第2面11b上に形成された官能基である。接着層51として用いられる官能基としては、例えば、水酸基(ヒドロキシル基)が挙げられる。
【0079】
図5、及び後続の図6乃至図11図12A図12B図13A図13B図14A図14B図15、及び図16では、図による理解の促進のために、接着層51は厚さを有する層として示されている。しかしながら、接着層51として第2面11bに形成された官能基が用いられる場合、接着層51の厚さは、基板11及び支持体50と比較して無視できるほど小さい。このため、接着層51は、基板11と支持体50との間の界面と表現することもできる。この場合、支持体50は、基板11と直接貼り合わされていると表現することもできる。
【0080】
支持体50は、薄板状のキャリアである。接着性の観点から、支持体50は、基板11と同一の材料で構成されることが好ましい。すなわち、基板11が無アルカリガラスである場合、支持体50も無アルカリガラスであることが好ましい。支持体50の厚さは、基板11の厚さに応じて適宜設定される。支持体50の厚さは、基板11の搬送性を鑑み、300μm以上1500μm以下であることが好ましい。
【0081】
一例では、貼り合わせられた基板11、接着層51、及び支持体50を含む積層構造体として、日本電気硝子社製 Glass On Glass(GOG)が使用される。この場合、支持体50はガラスであり、接着層51は水酸基(ヒドロキシル基)及び複数の官能基を含む。
【0082】
次に、基板11に対してレーザ光が照射され、これによって、基板11に1つ以上の改質部52が形成される。レーザ光は、第1面11aから第2面11bへ向かう方向に照射されてもよいし、第2面11bから第1面11aへ向かう方向に照射されてもよい。図5は、レーザ光が第1面11aから第2面11bへ向かう方向に照射される例を示す。改質部52は、例えば、レーザ光の照射によって加熱されることにより、レーザ光が照射されていない部との間で結晶性に相違を生じた部分である。改質部52は、基板11に形成される貫通孔20が形成される予定の位置に形成される。改質部52は、例えば、第1面11a及び第2面11bと交差する方向に延びる。第1面11aから第2面11bに向かってレーザ光が照射される場合、改質部52は、接着層51及び支持体50まで到達するように形成されてもよい。
【0083】
1.3.2.第2工程
図6に示されるように、基板11の第1面11a上に、無電解めっき法、又はスパッタ法によって、エッチングバリア層(図示せず)及びシード層121が形成される。一例では、スパッタ法によって、エッチングバリア層としてクロム(Cr)が形成され、シード層121として銅(Cu)が形成された。図2を参照しながら上記されているように、シード層121と第1面11aとの間に、シード層121の形成前に密着層が形成されてもよい。
【0084】
1.3.3.第3工程
図7に示されるように、シード層121の上面上にレジスト層53が形成される。レジスト層53は、導電性厚膜12が形成される予定の領域において、上面から下面に亘って開口している。次に、電解めっき法により、シード層121のうちレジスト層53で覆われていない部分に導電性厚膜12の材料が形成される。これにより、第1面11a上に導電性厚膜12が形成される。一例において、導電性厚膜12として、銅(Cu)の膜が形成された。電解銅めっきとして硫酸銅めっき浴が用いられ、200g/L、硫酸200g/L、添加剤適量、塩素イオン30mg/Lを含むめっき浴にて、温度25℃、及び陰極の電流密度1A/dmの条件で、銅が形成された。導電性厚膜12の弾性率は90GPaであり、導電性厚膜12の熱膨張係数は16ppm/℃であった。導電性厚膜12の厚さは8μmとされた。
【0085】
1.3.4.第4工程
図8に示されるように、導電性厚膜12の上面上及びレジスト層53の上面上に、導電性薄膜15が形成される。導電性薄膜15は、例えば、スパッタ法によって形成される。一例において、導電性薄膜15として、50nmの膜厚のチタン(Ti)が、チタン(Ti)の結晶の粒形の平均が20nmとなる条件で形成された。スパッタ法による導電性薄膜15の形成は、アルゴン雰囲気中で実施されるのが好ましく、導電性薄膜15の形成の間の被処理基板(図8の段階の製造途中の配線基板10)の温度は50℃以上150℃未満であることが好ましい。導電性薄膜15の形成の時の圧力は0.05Pa以上5.0Pa以下であることが好ましく、0.05Pa以上1.0Pa以下であることがさらに好ましい。また、出力は1.0kW以上10.0kW以下であることが好ましく、2.0kW以上5.0kW以下であることがさらに好ましい。一例において、導電率が銅の3%であり、CTE(Coefficient of Linear Thermal Expansion)が8ppm/℃であり、弾性率が120GPaのチタン(Ti)の膜が被処理基板の全面に形成された。形成される導電性薄膜15の導電率は導電性厚膜12の導電率の2%以上30%以下であることが好ましく、導電性薄膜15のCTEは誘電体膜13及び導電性厚膜12のCTEよりも小さいことが好ましい。導電性薄膜15を形成する方法としては、他に、電解めっき法、又は無電解めっき法が挙げられる。導電性薄膜15の材料は、チタン(Ti)に限定されず、図2を参照して上記されているように、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、又はクロム(Cr)が用いられてもよい。この場合、成膜条件によって、上記の特性の導電性薄膜15を得られる。
【0086】
1.3.5.第5工程
図9に示されるように、例えば、リフトオフプロセスによって、レジスト層53が剥離によって除去されるとともに、レジスト層53の上面上の導電性薄膜15が除去される。この時、レジスト層53を微細に粉砕し剥離する機能を有するウエット系の剥離方式及び剥離液を用いることが好ましい。こうすることにより、レジスト層53、導電性薄膜15の残留が少なく、簡易に、導電性薄膜15の所望のパターンを形成できる。一例において、アミン系の剥離液が用いられた。剥離方式として、ディップによる剥離の他、スプレー方式又は超音波洗浄方式など剥離を補助する方法が使用されてもよい。
【0087】
1.3.6.第6工程
図10に示されるように、シード層121の上面上、導電性薄膜15の上面上、導電性厚膜12の側面上、及び導電性薄膜15の側面上に亘って、誘電体膜13が形成される。一例において、誘電体膜13はCVDによって形成され、1200nmの窒化シリコン(SiN)の膜が形成された。
【0088】
1.3.7.第7工程
図11に示されるように、上部電極14が形成される。すなわち、まず、スパッタ法によって、誘電体膜13の上面上にシード層141が形成される。次に、フォトリソグラフィによって、シード層141の上面上に、パターンを有するレジスト層(図示せず)が形成される。レジスト層のパターンは、誘電体膜13が形成される予定の領域の上方に位置する。次いで、シード層141が、レジスト層を使用してパターニングされる。次に、シード層141をシードとして用いて、電界めっき法によって、上部電極14が形成される。次に、レジスト層が剥離によって除去され、さらに、不要なシード層141が除去される。
【0089】
1.3.8.第8工程
次に、図12A図12B図13A図13B図14A、及び図14Bに示されるように、誘電体膜13のパターニングが行われる。図12B図12A中のC部を拡大して示し、図13B図13A中のC部を拡大して示し、図14B図14A中のC部を拡大して示す。
【0090】
まず、図12A及び図12Bに示されるように、誘電体膜13が残存する予定の領域を覆うレジスト層54が形成される。
【0091】
次に、図13A及び図13Bに示されるように、ドライエッチングによって、誘電体膜13のうち、レジスト層54によって覆われていない部分が除去される。一例において、ドライエッチングにCFガスが用いられた。ドライエッチングのガスは、CFに限定されず、CHF、CH、CHF、又はSFなどの弗素系ガス、Clなどの塩素系ガス、或いはHBrなどの臭素系ガスが用いられてもよい。弗素系ガスを用いることによって、導電性薄膜15と誘電体膜13のエッチング選択比を取りやすく、誘電体膜13の所望の構造を安定的に得られる。レジスト層54の材料の選択、並びにドライエッチングのガス種、量、温度、及び(又は)処理時間を制御することにより、レジスト層54の近傍のエッチングが阻害され、誘電体膜13の端部の傾斜角度θを制御できる。一例において、レジスト層54としてアクリル系のレジストが用いられ、反応性イオンエッチング(RIE)によって、CF、流量50sccm、被処理基板温度25度、処理時間400秒の条件でドライエッチング処理を行うことによって、誘電体膜13の端部の傾斜角50°が得られた。
【0092】
その後、図14A及び図14Bに示されるように、レジスト層54が剥離によって除去される。
【0093】
1.3.9.第9工程
図15に示されるように、シード層121の不要な部分、すなわち、シード層121のうちの導電性厚膜12によって覆われていない部分がエッチングによって除去される。例えば、シード層121の不要な部分は、ウエットエッチングによってエッチングされる。この時、導電性薄膜15がエッチングされず、シード層121がエッチングされる液を用いることが好ましい。一例において、シード層121は銅(Cu)とクロム(Cr)の積層構造を有するとともに導電性薄膜15がチタン(Ti)から構成されているため、まず、硫酸-過酸化水素系の液を用いて、銅がエッチングされ、次いで、フェリシアン化カリウム系のエッチング液を用いて、クロムがエッチングされた。こうすることにより、導電性薄膜15を侵すことなく不要なシード層121を除去できる。また、銅がエッチングされる際に導電性厚膜12の側面がエッチングされることで側面に所望の粗さを形成でき、導電性薄膜15で覆われている上面は平滑な面を得られる。このとき、導電性厚膜12の側面の粗さは40nmであり、上面の粗さは30nmであった。
【0094】
1.3.10.第10工程
図16に示されるように、基板11の第1面11a上に、絶縁層23が形成される。絶縁層23が液状樹脂の場合、絶縁層23は、例えば、スピンコート法により形成される。絶縁層23がフィルム状樹脂の場合、絶縁層23は、例えば、真空ラミネータを用いて真空下で加熱及び加圧することにより形成される。一例において、絶縁層23として、味の素ファインテクノ社製の絶縁樹脂フィルムであるABF-GXT31(厚さ32.5μm)が第1面11a上にラミネートされ、次いで、絶縁樹脂フィルムがプリキュアされた。
【0095】
次に、基板11と絶縁層23とを含んだ複合体が、支持体55に支持される。例えば、絶縁層23が支持体55と向き合うように、複合体と支持体55とが接着層56を介して貼り合わされる。
【0096】
接着層56としては、例えば、樹脂、又は支持体55に形成された官能基が用いられる。樹脂としては、UV光等の光を吸収して発熱、昇華、又は変質することにより剥離が可能となる樹脂、又は、熱によって発泡することにより剥離が可能となる樹脂が挙げられる。接着層56は、接着層51とは異なる材料で構成されることが好ましい。一例において、接着層56として、日東電工社製のリバアルファ(登録商標)が使用される。
【0097】
支持体55は、薄板状のキャリアである。支持体55は、接着性の観点から、基板11と同一の材料で構成されることが好ましい。すなわち、基板11が無アルカリガラスである場合、支持体55も無アルカリガラスであることが好ましい。支持体55の厚さは、基板11の厚さに応じて適宜設定される。支持体55の厚さは、基板11の搬送性を鑑み、300μm以上1500μm以下であることが好ましい。
【0098】
1.3.11.第11工程
図17に示されるように、基板11から、接着層51及び支持体50が分離される。基板11からの接着層51及び支持体50の分離の際、接着層51に使用した材料に応じて、UV光の照射、加熱処理、又は物理剥離から剥離方式が選択される。接着層51及び支持体50の剥離処理後に基板11に接着層51の残渣が生じる場合、プラズマ洗浄、超音波洗浄、水洗浄、又はアルコールを使用した溶剤洗浄が行われてもよい。
【0099】
次に、基板11の第2面11bが、弗化水素を含んだエッチング液でエッチングされる。これにより、貫通孔20が形成される。基板11のうち、改質部52のエッチングレートは、他の部分のエッチングレートより高い。このため、エッチング処理によって、基板11に貫通孔20が形成される。
【0100】
当該エッチング処理によるエッチング量は、基板11の厚さに応じて、適宜設定される。例えば、エッチング処理前の基板11の厚さが200μmである場合、基板11のエッチング量は、50μm以上175μm以下であることが好ましい。これにより、エッチング処理後の基板11の厚さは、25μm以上150μm以下とすることができる。
【0101】
弗化水素を含んだエッチング液は、例えば、弗化水素水溶液である。エッチング液は、硝酸、塩酸、及び硫酸のうちの1種以上の無機酸をさらに含んでいてもよい。
【0102】
エッチング液の弗化水素濃度は、例えば、1.0質量%以上40質量%以下であり、好ましくは2.0質量%以上5.0質量%以下である。無機酸濃度は、例えば、1.0質量%以上20.0質量%以下であり、好ましくは、3.0質量%以上140質量%以下である。各成分について上記範囲内の濃度を有するエッチング液を使用して、1.0μm/min以下のエッチングレートでエッチング処理を行うことが好ましい。エッチング処理の際のエッチング液の温度は、10℃以上40℃以下であることが好ましい。
【0103】
1.3.12.第12工程
図18に示されるように、基板11の第2面11b面上及び貫通孔20内に、シード層(図示せず)が形成される。シード層は、例えば、スパッタ法、又は無電解めっき法によって形成される。次に、シード層が露光及び現像によってパターンを有するレジスト層によって覆われ、電解銅めっきが行われ、レジスト層及びシード層のレジスト層によって覆われている部分が除去される。これにより、導電層22及び貫通孔内導電層21が形成される。
【0104】
次に、導電層22の下面上、及び貫通孔内導電層21の表面上に、絶縁層23が形成される。一例において、貫通孔20は、絶縁層23によって埋め込まれる。
【0105】
1.3.13.第13工程
図19に示されるように、基板11から、接着層56及び支持体55が分離される。基板11からの接着層56及び支持体55の分離の際、接着層56に使用した材料に応じて、UV光の照射、加熱処理、又は物理剥離から剥離方式が選択される。接着層56及び支持体55の剥離処理後に基板11に接着層56の残渣が生じる場合、プラズマ洗浄、超音波洗浄、水洗浄、又はアルコールを使用した溶剤洗浄が行われてもよい。
【0106】
次に、例えば、レーザ加工により、絶縁層23にビアホール24が形成される。次に、デスミア処理、スパッタ法、又は無電解めっき法によって、絶縁層23の上面上及びビアホール24内にシード層(図示せず)が形成される。次に、シード層が露光及び現像によってパターンを有するレジスト層によって覆われ、電解銅めっきが行われ、レジスト層及びシード層のうちのレジスト層によって覆われていない部分が除去される。これにより、接続部25及び導電層26が形成される。
【0107】
次に、例えば、レーザ加工により、絶縁層31にビアホール32が形成される。次に、デスミア処理、スパッタ法、又は無電解めっき法により、絶縁層23の上面上及びビアホール32内にシード層(図示せず)が形成される。次に、シード層が露光及び現像によってパターンを有するレジスト層によって覆われ、電解銅めっきが行われ、レジスト層及びシード層のうちのレジスト層によって覆われていない部分が除去される。これにより、接続部33及び導電層34が形成される。
【0108】
2.第2実施形態
2.1.配線基板の構成(構造)
図20及び図21は、本発明の第2実施形態に係る配線基板の概略的な断面図である。図20は、第1実施形態の図2と同じ領域を示す。図21は、第1実施形態の図3と同じ領域を示す。
【0109】
第2実施形態に係る配線基板10は、配線部101において、第1実施形態に係る配線基板10と異なる。第2実施形態に係る配線基板10は、配線部101において以下に記載される構成を有し、それ以外の部分の構成については、第1実施形態に係る配線基板10と同じである。
【0110】
第2実施形態に係る配線基板10は、無機絶縁膜61をさらに含む。無機絶縁膜61は、配線部101において、導電性薄膜15の上面上に設けられている。無機絶縁膜61は誘電体膜13と同じでもよいし、異なってもよい。無機絶縁膜61の厚さは誘電体膜13の厚さよりも小さく、5nm以上であることが好ましい。無機絶縁膜61は、例えば、配線部101の導電性薄膜15の上面の全面に設けられる。又は、5μm以下のサイズの無機絶縁膜61が点在していることが好ましい。配線部101の導電性薄膜15の上面の面積に占める無機絶縁膜61の面積は3%以上50%以下が好ましく、さらに好ましくは3%以上30%以下である。こうすることにより、絶縁層23に防湿性に乏しい材料が用いられる場合に、絶縁層23による吸湿に起因する電気特性の変化を抑制できる。さらに、無機絶縁膜61を導電性薄膜15の上面に点在させることで、配線部101の上面に凹凸を形成でき、導電性薄膜15と絶縁層23との密着性が向上し、導電性薄膜15と絶縁層23の界面での剥離を抑制できる。また、無機絶縁膜61の誘電正接を、絶縁層23の誘電正接よりも小さくすることによって、絶縁層23の影響による信号の伝送損失を抑制でき、電気特性に優れた配線基板10を提供できる。
【0111】
2.1.配線基板の製造方法
第2実施形態に係る配線基板10は、以下に記載される方法によって無機絶縁膜61を形成すること以外は、第1実施形態において図5乃至図11図12A図12B図13A図13B図14A図14B、及び図15乃至図19を参照しながら説明したのと同様の方法により製造できる。
【0112】
図22A図22B図23A、及び図23Bは、本発明の第2実施形態に係る配線基板の製造方法の製造工程の間の断面図である。図22A図22B図23A、及び図23Bは、いずれも図20に示される部分の断面形状を示す。図22B図22A中のC部を拡大して示し、図23B図23A中のC部を拡大して示す。無機絶縁膜61は、例えば、以下の方法により形成できる。
【0113】
まず、第1実施形態において図11を参照しながら上記されている構造が形成される。
【0114】
次に、図22A及び図22Bに示されるように、第1実施形態において図12を参照して上記されている工程によって、レジスト層54が形成される。次に、レジスト層62が形成される。レジスト層62は、無機絶縁膜61が形成される予定の領域の上方において部分的に残存している。レジスト層54が形成される前にレジスト層62が形成されてもよい。レジスト層54とレジスト層62は同じでもよいし、別でもよい。
【0115】
レジスト層62は、レジスト層54より薄く形成される。こうすることにより、後続のドライエッチングの途中でレジスト層62が消失し、レジスト層62の消失後に、無機絶縁膜61のうちのレジスト層62によって覆われていた部分のエッチングが進み、微小な無機絶縁膜61のパターンを形成しやすい。
【0116】
図23A及び図23Bに示されるように、ドライエッチングが行われ、次に、レジスト層54が除去される。ドライエッチングは、例えば、第1実施形態において図13A及び図13Bを参照しながら上記されているドライエッチングと同じである。こうして、点在する無機絶縁膜61が得られる。レジスト層62を導電性薄膜15の上面の全体に形成することによって、導電性薄膜15の上面の全体に所望の厚みを有する無機絶縁膜61を形成してもよい。
【0117】
2.1.1.配線基板の製造方法の変形例
図24A図24B図25A、及び図25Bは、本発明の第2実施形態に係る配線基板の製造工程の変形例の間の断面図である。図24A図24B図25A、及び図25Bは、いずれも図20に示される部分の断面形状を示す。図24B図24A中のC部を拡大して示し、図25B図25A中のC部を拡大して示す。無機絶縁膜61は、例えば、以下の方法により形成できる
まず、第1実施形態において図14を参照しながら上記されている構造が形成される。
【0118】
次に、図24A及び図24Bに示されるように、被処理基板の上面にレジスト層64が形成される。レジスト層64は、無機絶縁膜61が形成される予定の領域の上方において、レジスト層64の上面と下面に亘る開口を有する。開口の底において、導電性薄膜15が露出している。
【0119】
次に、被処理基板の上面の全体に無機絶縁膜61が形成される。これにより、レジスト層64の上面上、及びレジスト層64の開口の底、すなわち、導電性薄膜15の上面上の一部に無機絶縁膜61が形成される。無機絶縁膜61の形成方法としては、例えば、CVD、又はスパッタ法が挙げられる。中でも、無機絶縁膜61は、直進性の高いスパッタ法で形成するのが好ましい。無機絶縁膜61は、誘電体膜13と同じでもよいし、別でもよい。
【0120】
次に、レジスト層64、及びレジスト層64の上面上の無機絶縁膜61が、例えば、リフトオフプロセスによって、除去される。こうして、点在する無機絶縁膜61が得られる。
【0121】
変形例によれば、誘電体膜13とは別の、所望の無機絶縁膜61を形成できる。
【0122】
3.実施例
以下に、本発明に関連して行った試験について記載する。図26に試験の結果が示されている。
【0123】
(実施例1)
実施例1として、第1実施形態に示されたキャパシタ(キャパシタ100に相当)、配線部(配線部101に相当)、及びインダクタ(インダクタ部102又は103に相当)を有するフィルタ部品1が製造された。誘電体膜(誘電体膜13に相当)の厚さは1200nm、誘電体膜のCTEは3ppm/℃とされた。導電性厚膜(導電性厚膜12に相当)のCTEは、16.2ppm/℃、導電性厚膜の弾性率は90GPaであった。フィルタ部品1は、導電性薄膜(導電性薄膜15に相当)を有し、導電性薄膜の厚さ/粒径の比は2.5倍、導電性薄膜導電率/導電性厚膜導電率の比は3.1%、導電性薄膜のCTEは8.1ppm/℃、導電性薄膜の弾性率は110GPaとされた。誘電体膜端部の傾斜角度(傾斜角度θに相当)は50°とされた。
【0124】
実施例1のフィルタ部品1が100個製造され、完成品評価、TCT後評価、及び恒温恒湿試験後評価が行われた。完成品評価として、ネットワークアナライザを用いて、SパラメータのうちのS21(透過特性)が測定され、S21を使用する或る基準に基づいて良品の数が評価された。
【0125】
温度サイクル試験(TCT)後評価として、TCT後の挿入損失が取得され、挿入損失を使用した或る基準に基づいて良品の数が評価された。温度サイクル試験条件として、-55℃⇔125℃が使用された。
【0126】
恒温恒湿試験後評価として、恒温恒湿試験後の挿入損失が取得され、挿入損失を使用した或る基準に基づいて良品の数が評価された。恒温恒湿試験の条件として、温度85℃及び湿度85%が使用された。
【0127】
フィルタ部品1についての完成品評価、TCT後評価、及び恒温恒湿試験後評価による良品の数は、それぞれ、96、92、及び92であった。
【0128】
(実施例2)
実施例2として、第1実施形態に示されたキャパシタ(キャパシタ100に相当)、配線部(配線部101に相当)、及びインダクタ(インダクタ部102又は103に相当)を有するフィルタ部品2が製造された。誘電体膜(誘電体膜13に相当)の厚さは1200nm、誘電体膜のCTEは3ppm/℃とされた。導電性厚膜(導電性厚膜12に相当)のCTEは、16.2ppm/℃、導電性厚膜の弾性率は90GPaであった。フィルタ部品2は、導電性薄膜(導電性薄膜15に相当)を有し、導電性薄膜の厚さ/粒径の比は2.5倍、導電性薄膜導電率/導電性厚膜導電率の比は3.1%、導電性薄膜のCTEは8.1ppm/℃、導電性薄膜の弾性率は110GPaとされた。誘電体膜端部の傾斜角度(傾斜角度θに相当)は90°とされた。
【0129】
実施例1についての評価と同じく、フィルタ部品2が100個製造され、実施例1に対する評価の方法と同じ方法で評価が行われた。フィルタ部品2についての完成品評価、TCT後評価、及び恒温恒湿試験後評価による良品の数は、それぞれ、95、87、及び90であった。
【0130】
(実施例3)
実施例3として、第1実施形態に示されたキャパシタ(キャパシタ100に相当)、配線部(配線部101に相当)、及びインダクタ(インダクタ部102又は103に相当)を有するフィルタ部品3が製造された。誘電体膜(誘電体膜13に相当)の厚さは1200nm、誘電体膜のCTEは3ppm/℃とされた。導電性厚膜(導電性厚膜12に相当)のCTEは、16.2ppm/℃、導電性厚膜の弾性率は90GPaであった。フィルタ部品3は、導電性薄膜(導電性薄膜15に相当)を有し、導電性薄膜の厚さ/粒径の比は2.5倍、導電性薄膜導電率/導電性厚膜導電率の比は3.1%、導電性薄膜のCTEは14.2ppm/℃、導電性薄膜の弾性率は80GPaとされた。誘電体膜端部の傾斜角度(傾斜角度θに相当)は90°とされた。
【0131】
実施例1についての評価と同じく、フィルタ部品3が100個製造され、実施例1に対する評価の方法と同じ方法で評価が行われた。フィルタ部品3についての完成品評価、TCT後評価、及び恒温恒湿試験後評価による良品の数は、それぞれ、90、81、及び82であった。
【0132】
(実施例4)
実施例4として、第1実施形態に示されたキャパシタ(キャパシタ100に相当)、配線部(配線部101に相当)、及びインダクタ(インダクタ部102又は103に相当)を有するフィルタ部品4が製造された。誘電体膜(誘電体膜13に相当)の厚さは1200nm、誘電体膜のCTEは3ppm/℃とされた。導電性厚膜(導電性厚膜12に相当)のCTEは、16.2ppm/℃、導電性厚膜の弾性率は90GPaであった。フィルタ部品4は、導電性薄膜(導電性薄膜15に相当)を有し、導電性薄膜の厚さ/粒径の比は4.0倍、導電性薄膜導電率/導電性厚膜導電率の比は22.1%、導電性薄膜のCTEは19.3ppm/℃、導電性薄膜の弾性率は76GPaとされた。誘電体膜端部の傾斜角度(傾斜角度θに相当)は90°とされた。
【0133】
実施例1についての評価と同じく、フィルタ部品4が100個製造され、実施例1に対する評価の方法と同じ方法で評価が行われた。フィルタ部品4についての完成品評価、TCT後評価、及び恒温恒湿試験後評価による良品の数は、それぞれ、88、78、及び78であった。
【0134】
(実施例5)
実施例5として、第1実施形態に示されたキャパシタ(キャパシタ100に相当)、配線部(配線部101に相当)、及びインダクタ(インダクタ部102又は103に相当)を有するフィルタ部品5が製造された。誘電体膜(誘電体膜13に相当)の厚さは1200nm、誘電体膜のCTEは3ppm/℃とされた。導電性厚膜(導電性厚膜12に相当)のCTEは、16.2ppm/℃、導電性厚膜の弾性率は90GPaであった。フィルタ部品5は、導電性薄膜(導電性薄膜15に相当)を有し、導電性薄膜の厚さ/粒径の比は1.5倍、導電性薄膜導電率/導電性厚膜導電率の比は63%、導電性薄膜のCTEは27.1ppm/℃、導電性薄膜の弾性率は64.5GPaとされた。誘電体膜端部の傾斜角度(傾斜角度θに相当)は90°とされた。
【0135】
実施例1についての評価と同じく、フィルタ部品5が100個製造され、実施例1に対する評価の方法と同じ方法で評価が行われた。フィルタ部品5についての完成品評価、TCT後評価、及び恒温恒湿試験後評価による良品の数は、それぞれ、75、70、及び70であった。
【0136】
(実施例6)
実施例6として、第1実施形態に示されたキャパシタ(キャパシタ100に相当)、配線部(配線部101に相当)、及びインダクタ(インダクタ部102又は103に相当)を有するフィルタ部品6が製造された。誘電体膜(誘電体膜13に相当)の厚さは1200nm、誘電体膜のCTEは3ppm/℃とされた。導電性厚膜(導電性厚膜12に相当)のCTEは、16.2ppm/℃、導電性厚膜の弾性率は90GPaであった。フィルタ部品6は、導電性薄膜(導電性薄膜15に相当)を有し、導電性薄膜の厚さ/粒径の比は0.9倍、導電性薄膜導電率/導電性厚膜導電率の比は3.1%、導電性薄膜のCTEは8.1ppm/℃、導電性薄膜の弾性率は110GPaとされた。誘電体膜端部の傾斜角度(傾斜角度θに相当)は90°とされた。
【0137】
実施例1についての評価と同じく、フィルタ部品6が100個製造され、実施例1に対する評価の方法と同じ方法で評価が行われた。フィルタ部品6についての完成品評価、TCT後評価、及び恒温恒湿試験後評価による良品の数は、それぞれ、70、61、及び63であった。
【0138】
(実施例7)
実施例7として、第2実施形態に示されたキャパシタ(キャパシタ100に相当)、配線部(配線部101に相当)、及びインダクタ(インダクタ部102又は103に相当)を有するフィルタ部品7が製造された。誘電体膜(誘電体膜13に相当)の厚さは1200nm、誘電体膜のCTEは3ppm/℃とされた。導電性厚膜(導電性厚膜12に相当)のCTEは、16.2ppm/℃、導電性厚膜の弾性率は90GPaであった。フィルタ部品7は、導電性薄膜(導電性薄膜15に相当)を有し、導電性薄膜の厚さ/粒径の比は2.5倍、導電性薄膜導電率/導電性厚膜導電率の比は3.1%、導電性薄膜のCTEは8.1ppm/℃、導電性薄膜の弾性率は110GPaとされた。誘電体膜端部の傾斜角度(傾斜角度θに相当)は50°とされた。フィルタ部品7は、無機絶縁膜(無機絶縁膜61に相当)を有する。無機絶縁膜は変形例の方法で形成され、無機絶縁膜の誘電正接は0.0001(1GHzでの測定)とされた。絶縁層(絶縁層23に相当)の誘電正接は0.014(1GHzでの測定)であった。
【0139】
実施例1についての評価と同じく、フィルタ部品7が100個製造され、実施例1に対する評価の方法と同じ方法で評価が行われた。フィルタ部品7についての完成品評価、TCT後評価、及び恒温恒湿試験後評価による良品の数は、それぞれ、95、94、及び94であった。
【0140】
(実施例8)
実施例8として、第2実施形態に示されたキャパシタ(キャパシタ100に相当)、配線部(配線部101に相当)、及びインダクタ(インダクタ部102又は103に相当)を有するフィルタ部品8が製造された。誘電体膜(誘電体膜13に相当)の厚さは1200nm、誘電体膜のCTEは3ppm/℃とされた。導電性厚膜(導電性厚膜12に相当)のCTEは、16.2ppm/℃、導電性厚膜の弾性率は90GPaであった。フィルタ部品8は、導電性薄膜(導電性薄膜15に相当)を有し、導電性薄膜の厚さ/粒径の比は2.5倍、導電性薄膜導電率/導電性厚膜導電率の比は3.1%、導電性薄膜のCTEは8.1ppm/℃、導電性薄膜の弾性率は110GPaとされた。誘電体膜端部の傾斜角度(傾斜角度θに相当)は20°とされた。フィルタ部品8は、無機絶縁膜(無機絶縁膜61に相当)を有する。無機絶縁膜は変形例の方法で形成され、無機絶縁膜の誘電正接は0.0001(1GHzでの測定)とされた。絶縁層(絶縁層23に相当)の誘電正接は0.014(1GHzでの測定)であった。
【0141】
実施例1についての評価と同じく、フィルタ部品8が100個製造され、実施例1に対する評価の方法と同じ方法で評価が行われた。フィルタ部品8についての完成品評価、TCT後評価、及び恒温恒湿試験後評価による良品の数は、それぞれ、94、93、及び94であった。
【0142】
(実施例9)
実施例9として、第2実施形態に示されたキャパシタ(キャパシタ100に相当)、配線部(配線部101に相当)、及びインダクタ(インダクタ部102又は103に相当)を有するフィルタ部品9が製造された。誘電体膜(誘電体膜13に相当)の厚さは1200nm、誘電体膜のCTEは3ppm/℃とされた。導電性厚膜(導電性厚膜12に相当)のCTEは、16.2ppm/℃、導電性厚膜の弾性率は90GPaであった。フィルタ部品9は、導電性薄膜(導電性薄膜15に相当)を有し、導電性薄膜の厚さ/粒径の比は2.5倍、導電性薄膜導電率/導電性厚膜導電率の比は3.1%、導電性薄膜のCTEは8.1ppm/℃、導電性薄膜の弾性率は110GPaとされた。誘電体膜端部の傾斜角度(傾斜角度θに相当)は70°とされた。フィルタ部品9は、無機絶縁膜(無機絶縁膜61に相当)を有する。無機絶縁膜は変形例の方法で形成され、無機絶縁膜の誘電正接は0.0001(1GHzでの測定)とされた。絶縁層(絶縁層23に相当)の誘電正接は0.014(1GHzでの測定)であった。
【0143】
実施例1についての評価と同じく、フィルタ部品9が100個製造され、実施例1に対する評価の方法と同じ方法で評価が行われた。フィルタ部品9についての完成品評価、TCT後評価、及び恒温恒湿試験後評価による良品の数は、それぞれ、95、92、及び94であった。
【0144】
(比較例1)
比較例として、フィルタ部品10が製造された。図27に示されるように、比較例の配線基板は、基板11、導電性厚膜12、誘電体膜13、上部電極14、及び下部電極16を含み、導電性薄膜15及び無機絶縁膜61を含まない。誘電体膜13の厚さは1200nm、誘電体膜のCTEは3ppm/℃とされた。導電性厚膜12のCTEは、16.2ppm/℃、導電性厚膜の弾性率は90GPaであった。
【0145】
実施例1についての評価と同じく、フィルタ部品10が100個製造され、実施例1に対する評価の方法と同じ方法で評価が行われた。フィルタ部品10についての完成品評価、TCT後評価、及び恒温恒湿試験後評価による良品の数は、それぞれ、42、31、及び29であった。
【0146】
(結果)
上記のように、実施例1乃至実施例9のフィルタ部品1乃至フィルタ部品9は、完成品評価、TCT後評価、及び恒温恒湿試験後評価のいずれにおいても、比較例1のフィルタ部品10よりも高い評価を示す。すなわち、実施例1乃至実施例9によれば、比較例よりも電気特性に優れるフィルタ部品を製造できた。
【0147】
4.実施形態の効果
実施形態では、キャパシタ100の下部電極16及び配線部101は、導電性厚膜12及び導電性厚膜12の上面上の導電性薄膜15を含む。導電性薄膜15を設けることで、配線基板10の製造プロセスにおいて生じるハロゲンイオンが導電性厚膜12に侵入したり、ハロゲンイオンもしくはハロゲン化物が導電性厚膜12の内部又は表面に残留することを抑制できる。これにより、ハロゲンイオンもしくはハロゲン化物が導電性厚膜12の内部又は表面に残留することによって起こる、導電性厚膜12の電気特性の劣化を抑制できる。よって、電気特性に優れた配線基板10を提供できる。
【0148】
また、導電性薄膜15を導電性厚膜12の上面上に設けることで、導電性厚膜12の上面の表面粗さを維持したままで、導電性厚膜12の側面の表面粗さを祖化できる。これにより、導電性厚膜12の伝送特性のばらつきや配線部101の一部として形成されるインダクタ部102及び(又は)103のインダクタンス値のばらつきを抑制しつつ、導電性厚膜12の周囲に設けられる絶縁層23との密着性を得られる。よって、電気特性に優れた配線基板10を提供できる。
【0149】
また、導電性薄膜15と誘電体膜13との密着性は、導電性厚膜12と誘電体膜13との密着性より高い。これに代えて、又はこれに加えて、導電性薄膜15と導電性厚膜12との密着性は、導電性厚膜12と誘電体膜13との密着性より高い。このため、キャパシタ100において、下部電極16と誘電体膜13の密着性は高い。このように、導電性薄膜15は、キャパシタ100での下部電極16と誘電体膜13との密着性の向上と、下部電極16及び配線部101での導電性厚膜の電気特性の向上を両立できる。
【0150】
また、誘電体膜13の端部に傾斜角度θを持たせることで、誘電体膜13と導電性薄膜15との密着性を向上し、誘電体膜13の端部への応力集中を緩和し、絶縁層23の充填性を向上できる。これにより、電気特性に優れた配線基板10を提供できる。
【0151】
また、導電性薄膜15の上面上に、点在する無機絶縁膜61が設けられる。こうすることにより、絶縁層23による吸湿性が低いことに起因する電気特性の変化を抑制でき、また、導電性薄膜15と絶縁層23との密着性を向上できる。さらに、無機絶縁膜61の誘電正接を絶縁層23の誘電正接よりも小さくすることで、絶縁層23の影響による信号の伝送損失を抑制でき、電気特性に優れた配線基板10を提供できる。
【0152】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0153】
10…配線基板、11…基板、100…キャパシタ、101…配線部、102…インダクタ部、103…インダクタ部、104…配線部、11a…第1面、11b…第2面、12…導電性厚膜、13…誘電体膜、14…上部電極、11…基板、16…下部電極、20…貫通孔、21…貫通孔内導電層、211…外周部分、212…内周部分、121…シード層、22…導電層、15…導電性薄膜、121…シード層、23…絶縁層、24…ビアホール、25…接続部、26…導電層、31…絶縁層、32…ビアホール、33…接続部、34…導電層、θ…傾斜角度、40…半導体装置、41…半導体チップ、42…はんだボール、43…回路基板、44…はんだボール、50…支持体、51…接着層、52…改質部、53…レジスト層、54…レジスト層、55…支持体、56…接着層、61…無機絶縁膜、62…レジスト層、64…レジスト層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
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図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図25A
図25B
図26
図27