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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171695
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】燃料噴射弁
(51)【国際特許分類】
   F02M 43/04 20060101AFI20241205BHJP
   F02M 47/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F02M43/04
F02M47/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088848
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】303047034
【氏名又は名称】株式会社ジャパンエンジンコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大場 啓道
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066AA07
3G066AA16
3G066AB02
3G066AB05
3G066BA01
3G066CA21
(57)【要約】
【課題】舶用ディーゼルエンジンの燃焼室内に対し、混焼に必要な化石燃料および代替燃料を安定して層状噴射することができる燃料噴射弁を提供すること。
【解決手段】舶用ディーゼルエンジンの燃焼室内へ化石燃料および代替燃料を噴孔から噴射する燃料噴射弁において、当該燃料噴射弁に対して前記化石燃料を供給する第1供給管に通じる第1燃料通路と、当該燃料噴射弁に対して前記代替燃料を供給する第2供給管に通じる第2燃料通路と、前記噴孔に通じる燃料貯留部と、前記燃料貯留部と前記噴孔との連通を開放可能に遮断する針弁と、前記第1燃料通路と前記燃料貯留部とを連通する連通室と、前記第1燃料通路から前記連通室の内部に貯留された前記化石燃料と前記第2燃料通路からの前記代替燃料とを合流させる合流通路と、を備える。前記合流通路は、前記針弁に対し、前記合流通路の入口側から出口側に向かって前記噴孔とは反対側に傾斜する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
舶用ディーゼルエンジンの燃焼室内へ化石燃料および代替燃料を噴孔から噴射する燃料噴射弁において、
当該燃料噴射弁に対して前記化石燃料を供給する第1供給管に通じる第1燃料通路と、
当該燃料噴射弁に対して前記代替燃料を供給する第2供給管に通じる第2燃料通路と、
前記噴孔に通じる燃料貯留部と、
前記燃料貯留部と前記噴孔との連通を開放可能に遮断する針弁と、
前記第1燃料通路と前記燃料貯留部とを連通する連通室と、
前記第1燃料通路から前記連通室の内部に貯留された前記化石燃料と前記第2燃料通路からの前記代替燃料とを合流させる合流通路と、
を備え、
前記合流通路は、前記針弁に対し、前記合流通路の入口側から出口側に向かって前記噴孔とは反対側に傾斜する、
ことを特徴とする燃料噴射弁。
【請求項2】
前記針弁は、前記噴孔から離間するに従って縮径する括れ部を有し、
前記括れ部は、前記合流通路の軸線と交差するように配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
【請求項3】
前記第2燃料通路と前記合流通路とを連通するとともに、前記合流通路を複数に分岐させる分岐部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の燃料噴射弁。
【請求項4】
前記合流通路の軸線と前記針弁の軸線とのなす角度は、45度以下である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の燃料噴射弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舶用ディーゼルエンジンの燃料噴射弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶の分野においては、舶用ディーゼルエンジンから排出される排ガス中の窒素酸化物の含有量(排出量)を低減するために、舶用ディーゼルエンジンの燃焼室内へ燃料および水を噴射する燃料噴射弁が提案されている。例えば、特許文献1には、燃料用ポンプから圧送された燃料を流通させる燃料油路と、注水用ポンプから圧送された水を上記燃料油路の所定の位置に注入するための注水路とを備え、上記燃料油路内の燃料および水を、燃料から交互に層をなすよう順次、舶用ディーゼルエンジンの燃焼室内へ噴射(すなわち層状噴射)する燃料噴射弁が開示されている。
【0003】
また、船舶の分野においては、近年、舶用ディーゼルエンジンから排出される二酸化炭素の排出量を削減するために、舶用燃料として採用されている従来の重油等の化石燃料と、当該化石燃料を代替する代替燃料との混焼によって駆動するタイプの舶用ディーゼルエンジンが開発されつつある。ここでいう代替燃料とは、例えばアンモニア、メタノールまたは液化石油ガス(LPG)等、化石燃料に比べて燃焼時における二酸化炭素の排出量が少ない燃料である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7149107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなタイプの舶用ディーゼルエンジンにおいては、燃焼室内での化石燃料と代替燃料との混焼を実現するために、上述した水を代替燃料に置き換え、燃焼室内に対して化石燃料と代替燃料とを層状噴射し得る燃料噴射弁が要求されている。しかしながら、上述した燃料および水を層状噴射する従来の燃料噴射弁を、化石燃料および代替燃料を層状噴射するための燃料噴射弁として単に転用しても、舶用ディーゼルエンジンの燃焼室内において、化石燃料と代替燃料との混焼が十分に行われない場合がある。それ故、上述した従来の燃料噴射弁では、混焼に必要な化石燃料および代替燃料の層状噴射を安定して行うことが困難である。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、舶用ディーゼルエンジンの燃焼室内に対し、混焼に必要な化石燃料および代替燃料を安定して層状噴射することができる燃料噴射弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る燃料噴射弁は、舶用ディーゼルエンジンの燃焼室内へ化石燃料および代替燃料を噴孔から噴射する燃料噴射弁において、当該燃料噴射弁に対して前記化石燃料を供給する第1供給管に通じる第1燃料通路と、当該燃料噴射弁に対して前記代替燃料を供給する第2供給管に通じる第2燃料通路と、前記噴孔に通じる燃料貯留部と、前記燃料貯留部と前記噴孔との連通を開放可能に遮断する針弁と、前記第1燃料通路と前記燃料貯留部とを連通する連通室と、前記第1燃料通路から前記連通室の内部に貯留された前記化石燃料と前記第2燃料通路からの前記代替燃料とを合流させる合流通路と、を備え、前記合流通路は、前記針弁に対し、前記合流通路の入口側から出口側に向かって前記噴孔とは反対側に傾斜する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る燃料噴射弁は、上記の発明において、前記針弁は、前記噴孔から離間するに従って縮径する括れ部を有し、前記括れ部は、前記合流通路の軸線と交差するように配置される、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る燃料噴射弁は、上記の発明において、前記第2燃料通路と前記合流通路とを連通するとともに、前記合流通路を複数に分岐させる分岐部をさらに備える、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る燃料噴射弁は、上記の発明において、前記合流通路の軸線と前記針弁の軸線とのなす角度は、45度以下である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、舶用ディーゼルエンジンの燃焼室内に対し、混焼に必要な化石燃料および代替燃料を安定して層状噴射することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係る燃料噴射弁の一構成例を示す断面模式図である。
図2図2は、図1に示す燃料噴射弁のノズル部分の拡大図である。
図3図3は、燃料噴射弁の内部に化石燃料および代替燃料を貯留する状態の一例を示す模式図である。
図4図4は、燃料噴射弁から化石燃料および代替燃料が層状噴射される状態の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る燃料噴射弁の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各図面において、同一構成部分には同一符号が付されている。
【0014】
(燃料噴射弁の構成)
まず、本発明の実施形態に係る燃料噴射弁の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る燃料噴射弁の一構成例を示す断面模式図である。図2は、図1に示す燃料噴射弁のノズル部分の拡大図である。以下では、本実施形態に係る燃料噴射弁10の構成を説明し易くするために、燃料噴射弁10の燃料噴射側を先端側とし、当該燃料噴射側とは反対側を後端側とする。
【0015】
本実施形態に係る燃料噴射弁10は、舶用ディーゼルエンジンのシリンダ(図示せず)に取り付けられ、化石燃料用ポンプ(図示せず)から圧送された化石燃料と代替燃料用ポンプ(図示せず)から圧送された代替燃料とを、例えば図1に示す噴孔12から当該シリンダの燃焼室内へ噴射するためのものである。本実施形態において、化石燃料および代替燃料の噴射とは、例えば化石燃料層-代替燃料層-化石燃料層等、化石燃料から代替燃料の順に交互に層をなすよう、化石燃料および代替燃料を順次噴射する層状噴射を意味する。また、化石燃料は、ディーゼル燃料、留出油、残渣油等、原油から精製され得る燃料一般である。代替燃料は、化石燃料を代替する燃料であり、例えば液体アンモニア、メタノール、液化石油ガス(LPG)または液化天然ガス(LNG)等、化石燃料に比べて燃焼時における二酸化炭素の排出量が少ない燃料である。
【0016】
図1に示すように、燃料噴射弁10は、先端に噴孔12を有するノズル1と、ノズル1の後端側に位置するノズル接合部2と、ノズル接合部2の後端側に位置する噴射弁本体3と、締結部4と、噴射弁本体3の後端側に位置する第1燃料受入部5および第2燃料受入部6と、を備える。ノズル1は、その後端部がノズル接合部2に螺着される等の手法により、ノズル接合部2に接合される。ノズル接合部2と噴射弁本体3とは、ナット状の締結部4によって外周から締結されることにより、ノズル接合部2の後端部と噴射弁本体3の先端部とを連結した状態で固定される。第1燃料受入部5および第2燃料受入部6は、噴射弁本体3の後端部に螺着される等の手法により、噴射弁本体3に各々接合される。
【0017】
また、図1に示すように、燃料噴射弁10は、化石燃料F1を流通させる第1燃料通路101と、代替燃料F2を流通させる第2燃料通路102とを内部に備えている。さらに、図1、2に示すように、燃料噴射弁10は、噴孔12に通じる燃料貯留部11と、燃料貯留部11と噴孔12との連通を開放可能に遮断する針弁7と、第1燃料通路101と燃料貯留部11とを連通する連通室13と、第2燃料通路102からの代替燃料F2を連通室13内へ導くための合流通路14および分岐部24とを内部に備えている。
【0018】
ノズル1は、燃料噴射弁10の先端部分を構成するものである。図1、2に示すように、ノズル1は、燃料貯留部11と、噴孔12とを有する。燃料貯留部11は、針弁7の軸線L1の方向(すなわち針弁7の長手方向)に長手となる孔状をなすように、ノズル1の内部に設けられる。燃料貯留部11の先端側には、先端通路11aが設けられている。先端通路11aは、針弁7の軸線L1の方向に長手であり且つ燃料貯留部11の内径よりも小さい内径を有する孔状に形成される。燃料貯留部11は、この先端通路11aを介して噴孔12と連通する。このような燃料貯留部11は、例えば、第1燃料通路101から連通室13を介して流入した化石燃料F1を、次回の燃料噴射におけるパイロット燃料として貯留する。パイロット燃料は、1サイクルの噴射毎に噴孔12から層状噴射される複数層の燃料のうち、噴射順に数えて第1層目の燃料(すなわち最初に噴射される第1層目の燃料)である。
【0019】
また、燃料貯留部11は、上述した化石燃料F1をパイロット燃料として貯留する機能に加えて、針弁7を摺動自在に収容する針弁収容部41の一部としての機能を兼ね備える。針弁7は、例えば図1、2に示すように、中途部に括れ部8を有する針状の弁である。針弁7は、後述する調整ばね35の付勢力を利用して、燃料貯留部11の先端側の内壁部(シート部)に着脱可能に接触し、これにより、燃料貯留部11と噴孔12との連通を開放可能に遮断する。図2に示すように、燃料貯留部11は、このような針弁7のうち括れ部8よりも先端側の部分を、針弁7が軸線L1の方向に摺動(往復運動)し得るように収容する。
【0020】
また、図1、2に示すように、ノズル1とノズル接合部2との間には連通室13が設けられ、ノズル1の内部には合流通路14が設けられている。連通室13は、例えば、燃料貯留部11から後端側に向かって拡径しながら延在する空間をなすように、ノズル1の後端部に設けられる。このような連通室13は、図1、2に示すように、第1燃料通路101と燃料貯留部11とを連通し、第1燃料通路101からの化石燃料F1または第2燃料通路102からの代替燃料F2を貯留する。
【0021】
合流通路14は、第1燃料通路101からの化石燃料F1と第2燃料通路102からの代替燃料F2とを連通室13の内部において合流させる通路である。詳細には、図2に示すように、合流通路14は、その入口部14a側から出口部14b側に向かって噴孔12とは反対側に傾斜する通路であり、ノズル1の一部を貫通するように設けられる。例えば図1、2に示すように、合流通路14は、後述する分岐部24を介して第2燃料通路102に通じるとともに、当該分岐部24から複数に分岐している。このような合流通路14は、第1燃料通路101から連通室13の内部に貯留された化石燃料F1と、第2燃料通路102から分岐部24を介して受け入れた代替燃料F2とを合流させる。上記合流通路14から合流した代替燃料F2は、1サイクルの噴射毎に噴孔12から層状噴射される複数層の燃料のうち、噴射順に数えて第2層目の燃料(すなわちパイロット燃料に後続して噴射される燃料)として、連通室13の内部に貯留される。
【0022】
上記複数の合流通路14の各々について、合流通路14の軸線L2と針弁7の軸線L1とのなす角度θ1は、90度未満であり、45度以下であることが好ましい。また、図2に示すように、針弁7は、噴孔12から離間するに従って縮径する括れ部8を有する。括れ部8は、図2に示すように、針弁7の中途部をなすよう針弁7と一体的に形成される。例えば、括れ部8は、針弁7の中途部における第1位置から当該第1位置よりも後端側の第2位置に至るまで、針弁7の外径から順次縮径し、当該第2位置から当該第2位置よりも後端側の第3位置に至るまで、順次拡径して針弁7の外径に戻る。また、括れ部8は、図2に示すように、合流通路14から流入する代替燃料F2の流れを受ける受け面8aを有し、合流通路14の軸線L2と交差するように配置される。このとき、合流通路14の軸線L2と括れ部8の受け面8aとのなす角度θ2は、上述した角度θ1に比べて小さい角度であり、45度未満であることが好ましい。
【0023】
ノズル接合部2は、ノズル1と噴射弁本体3との間の中間部分を構成するものである。詳細には、図1に示すように、ノズル接合部2の先端側にはノズル1が接合され、ノズル接合部2の後端側には噴射弁本体3が接合される。ノズル接合部2と噴射弁本体3との接合は締結部4によって固定され、これにより、ノズル接合部2を介してノズル1と噴射弁本体3とが固定される。
【0024】
また、図1、2に示すように、ノズル接合部2は、挿通孔21と、第1燃料通路22と、第2燃料通路23と、分岐部24とを有する。挿通孔21は、針弁7を摺動自在に収容する針弁収容部41の一部を構成するものであり、針弁7の軸線L1の方向に長手となる孔状をなすように、ノズル接合部2の内部に設けられる。例えば、図1、2に示すように、挿通孔21は、連通室13を介して燃料貯留部11と軸線L1の方向に連通し、針弁7のうち括れ部8よりも後端側の部分を摺動自在に収容する。すなわち、針弁収容部41は、燃料貯留部11と挿通孔21とによって構成される。針弁7は、連通室13を貫通した態様で軸線L1の方向に摺動(往復運動)し得るように、針弁収容部41の内部に収容される。
【0025】
第1燃料通路22は、化石燃料F1を流通させる第1燃料通路101の一部を構成する通路である。図1、2に示すように、第1燃料通路22は、噴射弁本体3の第1燃料通路31とノズル1の連通室13とを連通するように、ノズル接合部2の内部に設けられる。また、第2燃料通路23は、代替燃料F2を流通させる第2燃料通路102の一部を構成する通路である。図1、2に示すように、第2燃料通路23は、噴射弁本体3の第2燃料通路32と分岐部24とを連通するように、ノズル接合部2の内部に設けられる。
【0026】
分岐部24は、ノズル1内の合流通路14を、上述した第2燃料通路102と連通した状態で複数に分岐させるものである。詳細には、図1、2に示すように、分岐部24は、ノズル接合部2の内周面に沿って通路をなすように、ノズル接合部2の内部に形成される。ノズル1がノズル接合部2に接合された状態において、分岐部24は、図1、2に示すように、ノズル1内に形成されている複数の合流通路14に通じ、これら複数の合流通路14と第2燃料通路23とを連通する。これにより、分岐部24は、上述した第2燃料通路102と合流通路14とを連通するとともに、当該合流通路14を複数に分岐させた状態となる。
【0027】
噴射弁本体3は、燃料噴射弁10の後端部分を含む筐体を構成するものである。図1に示すように、噴射弁本体3は、第1燃料通路31と第2燃料通路32とを有する。第1燃料通路31は、化石燃料F1を流通させる第1燃料通路101の一部を構成する通路である。図1に示すように、第1燃料通路31は、第1燃料受入部5の第1燃料通路51とノズル接合部2の第1燃料通路22とを連通するように、噴射弁本体3の内部に設けられる。また、第2燃料通路32は、代替燃料F2を流通させる第2燃料通路102の一部を構成する通路である。図1に示すように、第2燃料通路32は、第2燃料受入部6の第2燃料通路62とノズル接合部2の第2燃料通路23とを連通するように、噴射弁本体3の内部に設けられる。
【0028】
また、噴射弁本体3は、図1に示すように、針弁7を動作させるための押し棒9と、押し棒9を挿通する挿通孔33と、針弁7の開弁圧を調整する調整部34とを有する。調整部34は、図1に示すように、針弁7に付勢力を加える調整ばね35と、調整ばね35を受ける受け部36と、調整ばね35の付勢力を調整する調整ねじ37と、これら調整ばね35、受け部36および調整ねじ37を収容する収容部38とを有する。
【0029】
挿通孔33は、図1に示すように、針弁7の軸線L1の方向に長手となる孔状をなすように、噴射弁本体3の内部に設けられる。押し棒9は、図1に示すように挿通孔33に挿通され、針弁7の軸線L1の方向に往復運動し得るように挿通孔33の内部に収容される。押し棒9の一端部(先端部)は針弁7の後端部と接合され、押し棒9の他端部(後端部)は受け部36と接合されている。このような押し棒9は、受け部36を介して調整ばね35の付勢力を針弁7に伝えつつ、針弁7とともに軸線L1の方向に摺動する。
【0030】
調整ばね35は、例えば図1に示すように、コイルばねによって構成され、受け部36に取り付けられた状態で収容部38の内部に収容される。受け部36は、調整ばね35の先端部を受けた状態で収容部38の内部に収容され、調整ばね35の圧縮による付勢力を押し棒9に伝える。調整ねじ37は、調整ばね35の後端部を受けた状態で収容部38の内部に収容される。調整ねじ37は、収容部38と螺合しつつ針弁7の軸線L1の方向に移動し、これにより、調整ばね35の圧縮による付勢力を調整する。この調整ばねの付勢力は、押し棒9等を介して針弁7に伝えられることにより、針弁7の開弁圧に変換される。調整部34は、調整ねじ37によって調整ばね35の付勢力を調整することにより、この針弁7の開弁圧を調整する。
【0031】
また、図1に示すように、噴射弁本体3の後端部には、第1燃料受入部5と第2燃料受入部6とが設けられている。第1燃料受入部5は、第1供給管111を介して化石燃料用ポンプから供給(圧送)された化石燃料F1を受け入れるためのものである。図1に示すように、第1燃料受入部5は、第1燃料通路51を有し、螺着等の手法によって噴射弁本体3の後端部に取り付けられる。この第1燃料受入部5の入口部には、第1供給管111が接合される。
【0032】
第1燃料通路51は、化石燃料F1を流通させる第1燃料通路101の一部を構成する通路である。図1に示すように、第1燃料通路51は、第1供給管111と噴射弁本体3の第1燃料通路31とを連通するように、第1燃料受入部5の内部に設けられる。本実施形態では、図1に示すように、ノズル接合部2の第1燃料通路22と噴射弁本体3の第1燃料通路31と第1燃料受入部5の第1燃料通路51とにより、化石燃料F1を流通させる第1燃料通路101が構成される。すなわち、第1燃料通路101は、燃料噴射弁10に対して化石燃料F1を供給する第1供給管111に通じ、この第1供給管111と燃料噴射弁10の連通室13とを連通する。このような第1燃料通路101の内部には、例えば、ポスト燃料として次回噴射される化石燃料F1が残留する。ポスト燃料は、1サイクルの噴射毎に噴孔12から層状噴射される複数層の燃料のうち、噴射順に数えて第3層目の燃料(すなわち上述した第2層目の代替燃料F2に後続して噴射される化石燃料F1)である。
【0033】
第2燃料受入部6は、第2供給管112を介して代替燃料用ポンプから供給(圧送)された代替燃料F2を受け入れるためのものである。図1に示すように、第2燃料受入部6は、第2燃料通路61、62と逆止弁63とを有し、螺着等の手法によって噴射弁本体3の後端部に取り付けられる。この第2燃料受入部6の入口部には、第2供給管112が接合される。
【0034】
第2燃料通路61、62は、代替燃料F2を流通させる第2燃料通路102の一部を構成する通路である。図1に示すように、第2燃料通路61は、第2供給管112に通じるように、第2燃料受入部6の内部に設けられる。第2燃料通路62は、噴射弁本体3の第2燃料通路32に通じるように、第2燃料受入部6の内部に設けられる。また、これら第2燃料通路61と第2燃料通路62との間には逆止弁63が設けられている。第2燃料通路61は、この逆止弁63を介して第2燃料通路62と連通している。
【0035】
逆止弁63は、第2供給管112側(上流側)の第2燃料通路61から噴射弁本体3側(下流側)の第2燃料通路62への代替燃料F2の流れを許可し、下流側の第2燃料通路62から上流側の第2燃料通路61への代替燃料F2の流れ(逆流)を禁止する。これにより、逆止弁63は、第2供給管112から燃料噴射弁10の第2燃料通路102へ流入した代替燃料F2の流れを、第2供給管112側からノズル1の合流通路14側に向かう一方向に規制する。
【0036】
本実施形態では、図1に示すように、ノズル接合部2の第2燃料通路23と噴射弁本体3の第2燃料通路32と第2燃料受入部6の第2燃料通路61、62および逆止弁63とにより、代替燃料F2を流通させる第2燃料通路102が構成される。すなわち、第2燃料通路102は、燃料噴射弁10に対して代替燃料F2を供給する第2供給管112に通じ、この第2供給管112と燃料噴射弁10の分岐部24とを連通する。さらに、第2燃料通路102は、この分岐部24を介して、第2供給管112と燃料噴射弁10の合流通路14とを連通する。このような第2燃料通路102の内部には、例えば、合流通路14を介して連通室13の内部へ注入される代替燃料F2が残留する。
【0037】
(燃料噴射弁の作用)
つぎに、本発明の実施形態に係る燃料噴射弁10の作用について説明する。燃料噴射弁10は、噴射対象の化石燃料F1および代替燃料F2を貯留し、舶用ディーゼルエンジンのシリンダ内の燃焼室に対し、1サイクルの噴射毎に噴孔12から化石燃料F1および代替燃料F2を層状噴射する。
【0038】
図3は、燃料噴射弁の内部に化石燃料および代替燃料を貯留する状態の一例を示す模式図である。化石燃料F1および代替燃料F2の層状噴射が前回行われてから次回行われるまでの期間(以下、非燃料噴射期間という)、図3に示すように、燃料噴射弁10の第1燃料通路101、連通室13および燃料貯留部11の各内部には、化石燃料F1が貯留されている(状態S1)。
【0039】
この状態S1において、燃料貯留部11内の化石燃料F1の圧力は、針弁7の開弁圧に比べて低い。このため、針弁7は、ノズル1の先端通路11aを閉塞して、燃料貯留部11と噴孔12との連通を遮断する。また、この状態S1において、燃料噴射弁10の第2燃料通路102、分岐部24および合流通路14の各内部には、図3に示すように、代替燃料F2が貯留されている。この代替燃料F2は、上述した逆止弁63(図1参照)の作用により、燃料噴射弁10の後端側(図1に示す第2供給管112側)へ逆流しないようになっている。
【0040】
また、非燃料噴射期間においては、代替燃料F2が、次回の層状噴射に備えて新たに、代替燃料用ポンプから第2供給管112を介して燃料噴射弁10に供給(圧送)され、これにより、燃料噴射弁10内の化石燃料F1中に代替燃料F2が注入される(状態S2)。詳細には、状態S2において、この圧送された代替燃料F2は、第2供給管112から燃料噴射弁10の第2燃料通路102の内部へ流入する。これに伴い、代替燃料F2は、図3に示すように、第2燃料通路102(詳細にはノズル接合部2の第2燃料通路23)から分岐部24を介して複数の合流通路14の各内部へ流入し、これら複数の合流通路14の各々から連通室13の内部へ流入する。
【0041】
上記のように連通室13の内部へ流入した代替燃料F2は、図3に示すように、針弁7に対する合流通路14の傾斜に応じて燃料噴射弁10の後端側(噴孔12とは反対側)に流れつつ、連通室13から第1燃料通路22の内部へ化石燃料F1を押し戻す。この化石燃料F1は、上記状態S1において、連通室13の内部に貯留されていたものである。代替燃料F2は、上記のように化石燃料F1を第1燃料通路22の内部へ押し戻しつつ、複数の合流通路14の各々から連通室13の内部へ順次流入する。また、連通室13の内部において、針弁7の括れ部8は、図3に示すように、上記流入した代替燃料F2を受け面8aで受けつつ、燃料噴射弁10の後端側に向かって代替燃料F2を円滑に流す。上記のようにして、代替燃料F2は、図3に示すように、連通室13の先端部(先端の位置P1)から後端部に亘る全域に注入されつつ、連通室13から第1燃料通路101の中途部の位置(例えば第1燃料通路22の中途部の位置P2)まで化石燃料F1を押し戻す。
【0042】
この状態S2において、図3に示すように、燃料貯留部11の内部には、化石燃料F1が貯留される。連通室13の先端の位置P1から第1燃料通路22の中途部の位置P2に亘る全域には、代替燃料F2が貯留される。また、第1燃料通路101の内部であって位置P2よりも上流側(第1供給管111側)の領域には、化石燃料F1(連通室13から押し戻されたものを含む)が貯留される。以下では、この位置P2よりも上流側に貯留される化石燃料F1を、燃料貯留部11内の化石燃料F1と区別して、上流側の化石燃料F1と称する場合がある。
【0043】
ここで、複数の合流通路14の各々は、図2に示したように、入口側(分岐部24側)から出口側(連通室13側)に向かって噴孔12とは反対側に傾斜している。すなわち、これら複数の合流通路14の各軸線L2は、針弁7の軸線L1に対して90度未満(好ましくは45度以下)の角度θ1をなすよう傾斜している。このため、上記状態S2においては、図3中の破線矢印および×印によって例示されるように、合流通路14から燃料貯留部11に向かう代替燃料F2の流れが抑制される。これにより、合流通路14からの代替燃料F2が燃料貯留部11の内部へ流れ込んで、燃料貯留部11の内部で化石燃料F1と代替燃料F2とが混じり合う事態を防止することができる。さらには、燃料貯留部11の内部に貯留すべき化石燃料F1を、代替燃料F2の流入によって連通室13や第1燃料通路22の内部へ押し戻す事態を防止することができる。
【0044】
また、図2に示したように、針弁7の括れ部8が、合流通路14の軸線L2と交差するように配置されている。このため、上記状態S2において、合流通路14から連通室13の内部へ流入した代替燃料F2を括れ部8の受け面8aで受けることにより、当該代替燃料F2を燃料貯留部11とは反対側へ円滑に流すことができる。この結果、合流通路14から燃料貯留部11に向かう代替燃料F2の流れ(図3中の破線矢印および×印参照)を、より起こり難くすることができる。さらには、針弁7に括れ部8が設けられていない場合に比べ、合流通路14の出口部14bから針弁7までの距離を長くすることができる。このため、合流通路14から連通室13の内部へ流入した代替燃料F2が針弁7に接触する際の勢いを弱めることができ、これにより、針弁7との接触時における代替燃料F2の乱流を抑制して、合流通路14から燃料貯留部11に向かう代替燃料F2の流れを、より一層起こり難くすることができる。
【0045】
また、図2に示したように、連通室13の内部へ代替燃料F2を流入させる合流通路14が、分岐部24から複数に分岐している。このため、上記状態S2において、連通室13の内周方向における複数箇所から代替燃料F2を注入することができ、これにより、代替燃料F2の流入による壁を、連通室13の内周方向に沿って広範囲に形成することができる。この結果、燃料貯留部11から連通室13へ向かう化石燃料F1の流れを、当該代替燃料F2の壁によって抑制(遮断)することができ、燃料貯留部11内の化石燃料F1が連通室13や第1燃料通路22の内部へ混入する事態を防止することができる。
【0046】
上述した非燃料噴射期間の後、例えば、化石燃料用ポンプから燃料噴射弁10に対する化石燃料F1の圧送力により、舶用ディーゼルエンジンのシリンダ内の燃焼室に対し、1サイクルでの化石燃料F1および代替燃料F2の層状噴射が行われる。
【0047】
図4は、燃料噴射弁から化石燃料および代替燃料が層状噴射される状態の一例を示す模式図である。燃料噴射弁10から化石燃料F1および代替燃料F2が層状噴射される期間(以下、燃料噴射期間という)、状態S2の燃料噴射弁10に貯留された化石燃料F1および代替燃料F2が、噴孔12から上記燃焼室内へ層状噴射される。
【0048】
詳細には、図4に示すように、状態S2の燃料噴射弁10において、燃料貯留部11の内部(燃料貯留部11の先端部から位置P1までの領域)には、化石燃料F1が、層状噴射における第1層目の燃料(パイロット燃料)として貯留されている。連通室13の先端部(位置P1)から第1燃料通路22の中途部(位置P2)までの領域には、代替燃料F2が、上記パイロット燃料に後続する第2層目の燃料として貯留されている。第1燃料通路101における位置P2よりも上流側の領域には、上流側の化石燃料F1が、上記第2層目の代替燃料F2に後続する第3層目の燃料(ポスト燃料)として貯留されている。
【0049】
燃料噴射期間においては、上記状態S2の燃料噴射弁10の第1燃料通路101に対し、針弁7の開弁圧を超える高圧の化石燃料F1が、化石燃料用ポンプから第1供給管111を介して圧送される。この場合、燃料貯留部11内の化石燃料F1の圧力は、針弁7の開弁圧よりも高圧に上昇する。針弁7は、この燃料貯留部11内の上昇した化石燃料F1の圧力を先端部で受け、この圧力を利用して噴孔12から離間する方向に摺動し、これにより、燃料貯留部11と噴孔12との連通を開放する。図4に示すように、燃料貯留部11は先端通路11aを介して噴孔12と連通した状態となり、上記圧力の作用により、化石燃料F1および代替燃料F2が噴孔12から層状噴射される(状態S3)。
【0050】
この状態S3においては、図4に示すように、燃料貯留部11内の化石燃料F1が、第1層目の燃料であるパイロット燃料Faとして噴孔12から噴射される。このパイロット燃料Faに後続して、上述した位置P1と位置P2との間の代替燃料F2が、第2層目の燃料として噴孔12から噴射される。この代替燃料F2に後続して、当該位置P2よりも上流側の化石燃料F1が、第3層目の燃料であるポスト燃料Fbとして噴孔12から噴射される。その後、燃料貯留部11内の化石燃料F1の圧力は、針弁7の開弁圧以下に減少する。この場合、針弁7は、上述した調整ばね35(図1参照)の付勢力を利用して噴孔12側へ摺動し、燃料貯留部11と噴孔12との連通を再び遮断する。これにより、1サイクルの化石燃料F1および代替燃料F2の層状噴射が終了する。燃料噴射弁10は、図4の状態S3から図3の状態S1に戻る。
【0051】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る燃料噴射弁10は、化石燃料F1を供給する第1供給管111に通じる第1燃料通路101と、代替燃料F2を供給する第2供給管112に通じる第2燃料通路102と、舶用ディーゼルエンジンの燃焼室内へ化石燃料F1および代替燃料F2を噴射するための噴孔12に通じる燃料貯留部11と、燃料貯留部11と噴孔12との連通を開放可能に遮断する針弁7と、第1燃料通路101と燃料貯留部11とを連通する連通室13と、第1燃料通路101から連通室13の内部に貯留された化石燃料F1と第2燃料通路102からの代替燃料F2とを合流させる合流通路14と、を備えている。この燃料噴射弁10において、合流通路14は、針弁7に対し、合流通路14の入口部14a側から出口部14b側に向かって噴孔12とは反対側に傾斜するように構成されている。
【0052】
上記の構成により、合流通路14から燃料貯留部11に向かう代替燃料F2の流れを抑制しつつ、合流通路14から連通室13の内部へ代替燃料F2を注入することができる。このため、合流通路14からの代替燃料F2が燃料貯留部11の内部へ流れ込んで、燃料貯留部11の内部で化石燃料F1と代替燃料F2とが混じり合う事態を防止するとともに、燃料貯留部11の内部に貯留すべき化石燃料F1を、代替燃料F2の流入によって連通室13や第1燃料通路101の内部へ押し戻す事態を防止することができる。これにより、燃料貯留部11内の化石燃料F1からなる第1層目の燃料層と、上記代替燃料F2の注入によって連通室13から第1燃料通路101の中途部まで押し戻された上流側の化石燃料F1からなる第3層目の燃料層と、これら第1層目の燃料層と第3層目の燃料層との間に介在する代替燃料F2からなる第2層目の燃料層とを、明確に分けて形成することができる。このように形成された各燃料層を第1層目、第2層目、第3層目の順に噴孔12から噴射することにより、舶用ディーゼルエンジンの燃焼室内に対し、混焼に必要な化石燃料F1および代替燃料F2を安定して層状噴射することができる。
【0053】
また、本発明の実施形態に係る燃料噴射弁10では、噴孔12から離間するに従って縮径する括れ部8を針弁7に設け、この括れ部8を、合流通路14の軸線L2と交差するように配置している。このため、合流通路14から連通室13の内部へ注入した代替燃料F2を括れ部8の表面(受け面8a)で受けて、当該代替燃料F2を燃料貯留部11とは反対側へ円滑に流すことができる。さらには、針弁7に括れ部8が設けられていない場合に比べ、合流通路14の出口部14bから針弁7までの距離を長くすることができ、これにより、合流通路14から連通室13の内部へ注入した代替燃料F2が針弁7に接触する際の勢いを弱めることができる。この結果、針弁7との接触時における代替燃料F2の乱流を抑制して、合流通路14から燃料貯留部11に向かう代替燃料F2の流れを、より起こり難くすることができる。
【0054】
また、本発明の実施形態に係る燃料噴射弁10は、第2燃料通路102と合流通路14とを連通するとともに、合流通路14を複数に分岐させる分岐部24をさらに備えている。このため、連通室13の内周方向における複数箇所の合流通路14から、連通室13の内部へ代替燃料F2を注入することができ、これにより、代替燃料F2の流入による壁を、連通室13の内周方向に沿って広範囲に形成することができる。この結果、燃料貯留部11から連通室13へ向かう化石燃料F1の流れを、当該代替燃料F2の壁によって遮断できることから、燃料貯留部11内の化石燃料F1が連通室13や第1燃料通路101の内部へ混入する事態を、より防止することができる。
【0055】
なお、上述した実施形態では、化石燃料F1および代替燃料F2の層状噴射として、化石燃料F1-代替燃料F2-化石燃料F1の順に3つの燃料層が並ぶ層状噴射を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、燃料噴射弁10は、化石燃料F1から代替燃料F2の順に燃料層が交互に並ぶ複数層(2層以上)の層状噴射を行うものであってもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、代替燃料F2の合流通路14を分岐部24から複数に分岐させていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、代替燃料F2の合流通路14は、複数に分岐せず、第2燃料通路102(ノズル接合部2の第2燃料通路23)と連通室13とを連通するものであってもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、単一の噴孔12を備える燃料噴射弁10を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、燃料噴射弁10は、複数の噴孔12をノズル1の先端部に有していてもよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、針弁7に括れ部8が設けられた燃料噴射弁10を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、燃料噴射弁10の針弁7は、その中途部に括れ部8を有していなくもよい。
【0059】
また、上述した実施形態により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 ノズル
2 ノズル接合部
3 噴射弁本体
4 締結部
5 第1燃料受入部
6 第2燃料受入部
7 針弁
8 括れ部
8a 受け面
9 押し棒
10 燃料噴射弁
11 燃料貯留部
11a 先端通路
12 噴孔
13 連通室
14 合流通路
14a 入口部
14b 出口部
21 挿通孔
22 第1燃料通路
23 第2燃料通路
24 分岐部
31 第1燃料通路
32 第2燃料通路
33 挿通孔
34 調整部
35 調整ばね
36 受け部
37 調整ねじ
38 収容部
41 針弁収容部
51 第1燃料通路
61、62 第2燃料通路
63 逆止弁
101 第1燃料通路
102 第2燃料通路
111 第1供給管
112 第2供給管
F1 化石燃料
F2 代替燃料
Fa パイロット燃料
Fb ポスト燃料
L1、L2 軸線
P1、P2 位置
図1
図2
図3
図4