(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001717
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 7/23 20060101AFI20231227BHJP
E06B 9/52 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
E06B7/23 Z
E06B9/52 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100563
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桐野 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 知可
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 岳宏
(72)【発明者】
【氏名】小俣 貴寛
(72)【発明者】
【氏名】山本 理絵
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036RA03
2E036RA08
2E036RB01
2E036RB03
2E036RC02
2E036UA04
(57)【要約】
【課題】断熱性を向上させるとともに風止板と障子との間で気密性・水密性を担保することのできる建具を提供する。
【解決手段】建具10は、下枠20で全閉状態の外障子14における召合せ部の下方の位置に設けられる風止板42と、外障子14における召合せ部の下面で外レール24のローラ受部24acを跨ぐように設けられる気密材92と、を有する。外レール24は、室外側見付け壁を含む室外側レール部材24aと室内側見付け壁を含む室内側レール部材54,56とが係合して第1上方空洞部55aを形成している。第1室内側レール部材54は外障子14の閉方向側に設けられており、第2室内側レール部材56は外障子14の閉方向側に設けられている。風止板42は、第1室内側レール部材54と第2室内側レール部材56とに挟まれた位置にあり、外障子14が全閉状態であるときに気密材92に当接する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下枠と、
前記下枠に設けられて見込み方向に並列し、頂部にローラ受部を備える外レールおよび内レールと、
ローラが前記外レールの前記ローラ受部に案内されて前記下枠の長手方向にスライド可能な外障子と、
ローラが前記内レールの前記ローラ受部に案内されて前記下枠の長手方向にスライド可能な内障子と、
前記下枠で、全閉状態の前記外障子と前記内障子との召合せ部の下方の位置に設けられる風止板と、
前記外障子における召合せ部の下面で前記外レールの前記ローラ受部を跨ぐように設けられる気密・水密材と、
を有する建具であって、
前記外レールは、室外側見付け壁を含む室外側レール部材と室内側見付け壁を含む室内側レール部材とが係合して両者間に空洞部を形成しており、
前記室内側レール部材は、前記外障子の閉方向側に設けられた第1室内側レール部材と開方向側に設けられた第2室内側レール部材とがあり、
前記風止板は、前記第1室内側レール部材と前記第2室内側レール部材とに挟まれた位置にあり、前記外障子が全閉状態であるときに前記気密・水密材に当接する
ことを特徴とする建具。
【請求項2】
前記外障子は、前記外レールを跨ぐ2つの垂下片のうち室内側の箇所から室外側に突出して前記風止板の室内側見付け壁に当接するシール材を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記風止板は上面が前記気密・水密材と当接する立ち上り部を有し、
前記立ち上り部と前記室内側レール部材とは室内側見付け面が同一面上にある
ことを特徴とする請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記室外側レール部材は、前記室外側見付け壁から室内側に突出する屈曲部を有し、
前記風止板は、一部が前記屈曲部の下方部分に入り込むことによって前記室外側レール部材と固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項5】
前記風止板は、前記外レールの前記室外側レール部材と前記内レールとの間で弾性圧縮された状態で挟持されている
ことを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項6】
前記第1室内側レール部材は樹脂材で構成され、
前記第2室内側レール部材はアルミニウム材で構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項7】
前記外障子の下面には前記外レールを跨いで該外レールと摺動する摺動部材が設けられており、
前記気密・水密材は前記摺動部材に固定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項8】
前記外レールよりも室外側に設けられた網戸レールと、
前記網戸レールに案内されて前記下枠の長手方向にスライド可能な網戸と、
前記網戸の縦框の室内側見付け面に設けられた防虫シール材と、
前記室外側レール部材の室外側見付け面において前記風止板と重なる位置に形成された部品取付孔と
前記防虫シール材に当接するように前記部品取付孔に固定された防虫ブロックと、
を有し、
前記風止板は前記部品取付孔と室内空間との間を仕切っている
ことを特徴とする請求項1に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下枠における障子の召合せ部の下方の位置に風止板が設けられた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
窓枠に内障子と外障子を装着した引違い窓においては、下枠における障子の召合せ部の下方に風止板を設けている。風止板は障子と下枠との間を止水して雨水等が障子よりも室内側に浸入しないようする。特許文献1には風止板(水密ブロック)を有する建具が開示されており、該風止板は外レールに固定されている。また、該文献では風止板などの樹脂部品はねじによって金属形材に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近時の窓は省エネの観点などから断熱性向上の要請があり、障子を案内するレールを室内側レール部材と室内側レール部材との係合構造として両者間に空洞部を形成することが検討される。このような複合構造のレールに風止板を固定したとき、従来構造では該風止板と障子下面との気密性・水密性の担保が難しい。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、断熱性を向上させるとともに風止板と障子との間で気密性・水密性を担保することのできる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる建具は、下枠と、前記下枠に設けられて見込み方向に並列し、頂部にローラ受部を備える外レールおよび内レールと、ローラが前記外レールの前記ローラ受部に案内されて前記下枠の長手方向にスライド可能な外障子と、ローラが前記内レールの前記ローラ受部に案内されて前記下枠の長手方向にスライド可能な内障子と、前記下枠で、全閉状態の前記外障子と前記内障子との召合せ部の下方の位置に設けられる風止板と、前記外障子における召合せ部の下面で前記外レールの前記ローラ受部を跨ぐように設けられる気密・水密材と、を有する建具であって、前記外レールは、室外側見付け壁を含む室外側レール部材と室内側見付け壁を含む室内側レール部材とが係合して両者間に空洞部を形成しており、前記室内側レール部材は、前記外障子の閉方向側に設けられた第1室内側レール部材と開方向側に設けられた第2室内側レール部材とがあり、前記風止板は、前記第1室内側レール部材と前記第2室内側レール部材とに挟まれた位置にあり、前記外障子が全閉状態であるときに前記気密・水密材に当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる建具では、室外側レール部材と室内側レール部材とが係合して両者間に空洞部を形成しており断熱性を向上させることができる。また、風止板が全閉状態の気密・水密材に当接することによって気密性・水密性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態にかかる建具を室内側から見た図である。
【
図3】風止板の箇所、および該風止板より左側の箇所における建具下部の縦断面図である。
【
図4】風止板より右側の箇所における建具下部の縦断面図である。
【
図5】建具の中央下端とその近傍部を室内側から見た斜視図である。
【
図7】風止板を室外側斜め上方から見た斜視図である。
【
図8】風止板を室内側斜め下方から見た斜視図である。
【
図9】外障子における召合せ框の端部およびその近傍部の斜視図である。
【
図10】外障子における召合せ框の端部およびその近傍部の分解斜視図である。
【
図12】摺動部材、気密材、風止板及び室内側レール部材を外障子の内周側から見た斜視図である。
【
図13】建具における風止板、摺動部材、気密材およびその周辺部の縦断面図である。
【
図14】下枠における風止板および防虫ブロックとその周辺部の一部断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる建具の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
図1は、本実施の形態にかかる建具10を室内側から見た図である。
図2は、建具10の横断面図である。
図3は、風止板42の箇所、および該風止板42より左側の箇所における建具10下部の縦断面図である。
図4は、風止板42より右側の箇所における建具10下部の縦断面図である。
【0011】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る建具10は、建物躯体の開口部に固定される開口枠12と、開口枠12の内側にスライド可能に配設された左右2枚の外障子14および内障子15とを備える。本実施形態では、障子14,15をスライドさせることにより開口枠12の内側に形成した開口16を開閉可能な引違い窓の建具10を例示する。
図1の矢印は各障子14,15の開方向を示す。
【0012】
開口枠12は、上枠18と、下枠20と、左右の縦枠22,23とを四周枠組みすることで矩形の開口16を形成したものである。各枠18~22は、アルミニウム等を含む金属の押出形材、又は塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂の押出形材であり、長手に沿った全長がほぼ一様の断面を有するように構成してある。本願ではアルミニウム材とは合金材を含むものとする。各枠18~22は、金属枠材の室内側に樹脂枠材を装着した複合構造、例えばアルミ樹脂複合枠でもよい。このうち下枠20はアルミ樹脂複合枠となっているが、これについては後述する。開口枠12は、ねじや釘等の固定具25を用いて建物躯体に固定される(
図3参照)。
【0013】
本出願において、見込み方向とは建具10の室内外方向、つまり室内側から室外側に向かう方向又はその逆方向をいい、見込み面とは見込み方向に沿って延在する面をいう。見付け方向とは見込み方向に直交する方向であり、上下方向に長尺な縦枠22,23等の場合はその長手方向に直交する左右方向をいい、左右方向に長尺な下枠20等の場合はその長手方向に直交する上下方向をいう。見付け面とは見付け方向に沿った面をいう。また、「左」および「右」については室内側から見た状態、つまり
図1、
図2に示す状態を基準とする。
【0014】
図3に示すように、下枠20は、見込み方向に並んだ外レール24および内レール26を有する。レール24,26は、下枠20の枠内側の見込み面から枠内方向(上方)に突出しており、下枠20の全長に亘って延在している。外レール24は、室外側の外障子14をスライド可能に案内する。内レール26は、内障子15をスライド可能に案内する。
【0015】
上枠18についても、レール24,26と対向するように同様のレールが枠内側の見込み面に設けられている。縦枠22,23は、例えば枠18,20の小口端面を覆うようにこれら枠18,20と連結される(
図1及び
図2参照)。
【0016】
外障子14は、四周を囲む上框28a、下框28b、戸先框28c及び召合せ框28dと、内側に配置される面材30とを框組みしたものである。面材30は、例えばスペーサを介して一対のガラス板30a,30bを互いに間隔を隔てて対面配置した2層の複層ガラスである。
【0017】
各框28a~28dは、金属の押出形材又は樹脂の押出形材の単体で構成されてもよいし、アルミニウム等の金属の押出形材と塩化ビニル樹脂等の樹脂の押出形材とによる複合構造でもよい。
【0018】
図3及び
図4に示すように、下框28bは、外レール24を飲み込む開口溝32を下側の見込み面に有し、面材30の下縁部を飲み込む面材配置溝33を上側の見込み面に有する。開口溝32は、下框28bの見込み面から下方に突出し、見込み方向に並んだ一対の垂下片32a,32b間に形成されている。面材配置溝33は、下框28bに形成された一対の突出片の間に形成されている。他の框28a,28c,28dも、それぞれの面材配置溝33が面材30の上縁部又は側縁部を飲み込んでいる。
【0019】
室外側の垂下片32aの下端からは室内側に突出するようにシール材34aが設けられ、室内側の垂下片32bの下端からは室外側に突出するようにシール材34bが設けられている。シール材34a,34bは垂下片32a,32bの下端に形成されたポケットによって保持されている。シール材34aとシール材34bとは対向配置されており、外レール24の上端近傍を挟み込んで室外側と室内側との間で気密および水密作用を奏している。外レール24は室内側と室外側の両方からシール材34a,34bによって当接されておりバランスがよい。シール材34a,34bは、完全防水や完全気密に限らずある程度の気密性および防水性を有するものであってもよい。シール材34a,34bは、例えばモヘア材である。シール材34bは、後述するフック部24adとフック部54bとの係合箇所におけるフック部54bの側面に当接している。
【0020】
外障子14のローラ17は、下框28bで回転可能に支持され、下部が開口溝32に配置されている。ローラ17は外レール24上を転動することにより、外障子14を開口枠12に対して円滑にスライド移動させる。
【0021】
内障子15は、下枠20の内レール26をローラ17が転動することで外障子14に対して引違いにスライド可能である。内障子15は、外障子14と同一又は同様な構造でよい。そこで、内障子15については、上記した外障子14の構成要素と対応する構成要素について同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。内障子15の召合せ框28dと外障子14の召合せ框28dとの間はクレセント36(
図1参照)によってロック可能であり、これにより障子14,15が閉状態に保持される。
【0022】
本実施の形態では、外障子14は
図1、
図2における最も左寄り位置になるとき戸先框28cが縦枠22に当接して全閉状態となり、内障子15は最も右寄り位置になるとき戸先框28cが縦枠23に当接して全閉状態となる。外レール24の最も右端部分には外障子14が全開状態で召合せ框28dが当接して動作制限をするストッパ38が設けられている。内レール26の最も左端部分には内障子15が全開状態で召合せ框28dが当接して動作制限をするストッパ40が設けられている。
【0023】
下枠20の見込み面の左右略中央部には、風止板42(
図5参照)が装着されている。風止板42は、レール24,26間の隙間を塞ぎ、障子14,15の召合せ部、つまり召合せ框28d,28dの相互間の隙間から室内への水や風の進入を防ぎ、室内外間の気密性・水密性を保持するための樹脂部品である。
【0024】
次に、下枠20についてさらに詳細に説明する。
図3、
図4に示すように、下枠20は室外側下枠44と室内側下枠46とが充填材48を介して連結されることによって構成されている。室外側下枠44と室内側下枠46はそれぞれアルミニウム材である。室外側下枠44と室内側下枠46との対向部には充填材48を保持するポケット47a,47bが形成されている。充填材48は樹脂材の一種であり室外側下枠44と室内側下枠46との間の熱伝達を防止する。
【0025】
室外側下枠44は、上壁44a、下壁44b、室外側壁44cおよび室内側壁44dを有し、これらの4つの壁によって断面積がやや大きい下方空洞部44eが形成されている。上壁44aの室内寄りの箇所は室外側に向かって下がるようにわずかに傾斜しているが、外レール24の近傍部は水平となっている。
【0026】
上壁44aにおける見込み方向中央よりやや室外側の箇所からは上方に向かって室外側レール部材24aが立設している。室外側レール部材24aは上壁44aと一体のアルミニウム材である。室外側レール部材24aは、外レール24の室外側見付け壁を形成する立壁24aaと、該立壁24aaの上端から室内側に向かってやや突出する屈曲部24abと、該屈曲部24abから上にやや突出するローラ受部24acと、屈曲部24abの先端に設けられたフック部24adとを有する。フック部24adはローラ受部24acに対して室内側に近接し、かつ低い位置にあり、上方に開口する形状となっている。ローラ受部24acの頂部断面は半円弧形状である。
【0027】
上壁44aの下面側で、室外側レール部材24aの突出箇所の下方に相当する箇所の近傍にはビスホール44fが設けられている。上壁44aの上面側で室外側レール部材24aの突出箇所よりやや室内側の箇所には上方に突出する小さい位置決め片44gが設けられている。室外側下枠44の下部で室内側端部には固定具25で躯体に固定するための固定片44hが設けられている。上壁44aは、室外側レール部材24aとの接続箇所からやや下方に屈曲しながら室外側に延出しており、その室外側端からは上方に向けて網戸レール44iが立設している。
【0028】
室内側下枠46は、見込み板46aと、室内側見付け板46bと、中間部下方板46cとを有する。室内側見付け板46bは、見込み板46aの室内側端部とT字を形成するように交差しており、躯体に面接触している。中間部下方板46cは見込み板46aの略中間から下方に突出しており、先端が躯体の段差面に当接している。見込み板46aの室外側端部の下方にはポケット47bが設けられている。見込み板46aの室外側端部からは上方に向かって室外側レール部材26aが立設している。室外側レール部材26aは立壁26aa、屈曲部26ab、ローラ受部26ac、フック部26adを有しており、これらは上記の室外側レール部材24aにおける立壁24aa、屈曲部24ab、ローラ受部24ac、フック部24adに相当する。ローラ受部24acとローラ受部26acとは同じ高さになっている。見込み板46aの上面側で室外側レール部材26aの突出箇所よりやや室内側の箇所には上方に突出する小さい位置決め片46dが設けられている。位置決め片46dは上記の位置決め片44gと同形状である。
【0029】
室外側下枠44には第1アタッチメント50(
図3参照)および第2アタッチメント52(
図4参照)が設けられている。第1アタッチメント50と第2アタッチメント52とは上記の風止板42の箇所(換言すれば、全閉状態における外障子14および内障子15の召合せ框28dに対向する箇所)を境として左側が第1アタッチメント50であり、右側が第2アタッチメント52となっている。第1アタッチメント50は樹脂材で構成され、第2アタッチメント52はアルミニウム材で構成されている。アタッチメント50,52および後述する第3アタッチメント60は押出形材であり、長手に沿った全長がほぼ一様の断面を有するように構成してある。
【0030】
図3に示すように、第1アタッチメント50は、見込み板50aと、室内側下方板50bと、室外側下方板50cと、第1室内側レール部材54とを有している。見込み板50aは位置決め片44gのやや上方位置から室外側レール部材26aの室外側面にほぼ当接するように配置されている。見込み板50aと室外側レール部材26aとの間には小さい隙間が確保されていてもよい。見込み板50aは室外側に向かって下がるようにわずかに傾斜している。室内側下方板50bは、見込み板50aの下面から突出して先端が上壁44aの上面に当接している。室内側下方板50bの先端は室内側に向けた突出部を有しており、ポケット47aに形成された突出部とスナップフィット式に係合している。室外側下方板50cは、見込み板50aの室外側端部から下方に突出して先端が上壁44aの上面に当接している。室外側下方板50cの先端は室外側に向けた突出部を有しており、位置決め片44gに形成された突出部とスナップフィット式に係合している。
【0031】
第1室内側レール部材54は、見込み板50aの端部から上方に延在している。第1室内側レール部材54は、立壁54aおよびフック部54bを有している。立壁54aと室外側下方板50cとは一直線上にあり、見込み板50aの室外側端部とT字を形成するように交差している。フック部54bは立壁54aにおける上端部の室外側にあり、下方に開口する形状となっている。
【0032】
フック部24adとフック部54bとは凹凸が噛み合って係合しており、これにより室外側レール部材24aと第1室内側レール部材54とにより外レール24における左側略半分が形成されている。立壁24aaと立壁54aとの間には第1上方空洞部55aが形成されている。第1アタッチメント50は室内側から室外側下枠44および充填材48が視認されないように配置されている。第1アタッチメント50は、例えば木目調となっており好適な意匠を有する。
【0033】
見込み板50a、室内側下方板50b、室外側下方板50cおよび上壁44aで囲まれた空間は第2上方空洞部55bとなっている。見込み板50a、室内側下方板50b、室外側レール部材26a、ポケット47aおよび充填材48で囲まれた空間は第3上方空洞部55cとなっている。
【0034】
図4に示すように、第2アタッチメント52は、見込み板52aと、室内側下方板52bと、室外側下方板52cと、第2室内側レール部材56とを有している。見込み板52aは第1アタッチメント50における見込み板50aに相当するものであるが、該見込み板50aよりも室内側への突出長さがやや短く、室外側レール部材26aの室外側面とは当接せずに隙間58が確保されている。第2アタッチメント52はアルミニウム材であって伝熱性が高いが、隙間58が確保されているため熱的に絶縁され、該第2アタッチメント52が室外側下枠44と室内側下枠46との間で熱伝達することがない。
【0035】
室内側下方板52bおよび室外側下方板52cは上記の室内側下方板50bおよび室外側下方板50cと同形状であり、各下端部がポケット47aの側部および位置決め片44gと係合している。第2室内側レール部材56は上記の第1室内側レール部材54とほぼ同形状であって、立壁56aおよびフック部56bを有している。
【0036】
フック部24adとフック部56bとは凹凸が噛み合って係合しており、これにより室外側レール部材24aと第2室内側レール部材56とにより外レール24における右側略半分が形成されている。立壁24aaと立壁56aとの間には第1上方空洞部55aが形成されている。第2アタッチメント52は内障子15の全閉状態では室内側からは視認されることがないため、意匠上特段の処理をしなくてもよい。第2アタッチメント52はアルミニウム材で構成されていることから樹脂材と比較して耐候性に優れており、外気および日光に曝される箇所に配置しても劣化が少ない。
【0037】
図3に示すように、室内側下枠46には第3アタッチメント60が設けられている。第3アタッチメント60は室内側下枠46の長手方向全長に亘って設けられている。第3アタッチメント60は樹脂材であり、上記の第1アタッチメント50と同様の色、模様、質感となっている。
【0038】
第3アタッチメント60は、見込み板60aと、室内側下方板60bと、室外側下方板60cと、躯体当接片60dと、第3室内側レール部材62とを有している。第3室内側レール部材62は内レール26の室内側部分を形成する。
【0039】
躯体当接片60dは躯体の角部に沿うように見付け部と見込み部とを有するアングル形状となっており、その見込み部は固定具25によって躯体に固定されている。見込み板60aは位置決め片46dのやや上方位置から室外側の躯体当接片の端部まで延在している。見込み板60aは室外側に向かって下がるようにわずかに傾斜している。
【0040】
室内側下方板60bは、見込み板60aの室内側端部から下方に突出して先端が見込み板46aの上面に当接している。室内側下方板60bの先端は室内側に向けた突出部を有しており、室内側見付け板46bに形成された突出部とスナップフィット式に係合している。室外側下方板60cは、見込み板60aの室外側端部から下方に突出して先端が見込み板46aの上面に当接している。室外側下方板60cの先端は室外側に向けた突出部を有しており、位置決め片46dに形成された突出部とスナップフィット式に係合している。
【0041】
第3室内側レール部材62は見込み板60aの上端から上方に延在している。第3室内側レール部材62は上記の第1室内側レール部材54と同形状であり、立壁62aおよびフック部62bを有している。立壁62aと室外側下方板60cとは一直線上にあり、見込み板60aの室外側端部とT字を形成するように交差している。フック部62bは立壁62aにおける上端部の室外側にあり、下方に開口する形状となっている。
【0042】
フック部26adとフック部62bとは凹凸が噛み合って係合しており、これにより室外側レール部材26aと第3室内側レール部材62とにより内レール26が形成されている。立壁26aaと立壁62aとの間には第4上方空洞部55dが形成されている。見込み板60a、室内側下方板60b、室外側下方板60cおよび見込み板46aで囲まれた空間には第5上方空洞部55eが形成されている。
【0043】
下枠20では、外レール24において第1上方空洞部55aが形成されるとともに内レール26において第4上方空洞部55dが形成されており断熱性が向上する。下枠20では、見込み板60aを底部として立壁62aおよび室内側下方板60bを両壁とした室内側溝64と、見込み板50aを底部として立壁54aおよび立壁26aaを両壁とした中間溝66と、上壁44aを底部として網戸レール44iおよび立壁24aaを両壁とした室外側溝68とが形成されている。室外側溝68には外障子14を伝って雨が浸入し得る。また、室内側溝64および中間溝66にも水掃除などによって水が浸入し得る。建具10ではこれらの溝64,66,68に浸入する水を室外に排出するための排水開口が形成されており、排水弁71などから室外に排出される。
【0044】
図5は、建具10の中央下端とその近傍部を室内側から見た斜視図である。
図6は、下枠20および縦枠22,23の分解斜視図である。室外側レール部材24aの右端近傍には、ストッパ38を位置決めおよび固定するための切欠75が形成されている。室外側レール部材26aの左端近傍には、ストッパ40を位置決めおよび固定するための切欠77が形成されている。
【0045】
図6に示すように、縦枠22の下端と下枠20の小口部とは、パッキン85を介して複数のビス87によって固定される。縦枠23の下端と下枠20の小口部との固定も同様である。
図6の符号71は排水弁であり、符号98は防虫ブロックであり、符号97は防虫ブロック98を取り付けるための部品取付孔である。
【0046】
次に、風止板42とその周辺部についてさらに詳細に説明する。
図7は、風止板42を室外側斜め上方から見た斜視図である。
図8は、風止板42を室内側斜め下方から見た斜視図である。風止板42は適度に弾性変形可能な軟質樹脂材で構成されている。風止板42はベース板70を有し、該ベース板70からは上方にヒレ状の8枚の薄板72a,72b,72c,72d,72e,72f,72g,72h(代表的に薄板72とも呼ぶ)が突出している。ベース板70の室内寄りの部分はやや厚くなっているが、この部分には2つの中空部70aが形成されている。
【0047】
薄板72は上方に突出している。一番右の薄板72aと一番左の薄板72hはベース板70の左右両端にある。各薄板72は室内寄りの部分がやや高くなっており、特に右から2番目の薄板72bと左から2番目の薄板72gはその部分が他よりも高くなっている。他の薄板72a,72c~72f,72hは同形状である。右側の薄板72a~72dと左側の薄板72e~72hとはやや離間し、対称形状で、かつ対称配置されている。
【0048】
各薄板72には2つの切れ目73a,73bが形成されている。切れ目73aは後述する立ち上り部78の室内側端部に沿って形成されており、切れ目73bは室内寄りの高い部分の室外側端部近傍に形成されている。切れ目73aと切れ目73bとの間の部分は外障子14の下面に対して弾性変形しながら当接し、切れ目73bより室内寄りの高い部分は内障子15の下面に対して弾性変形しながら当接する。
【0049】
風止板42の左右両端には薄板72a,72hと連続する側板74が設けられている。側板74はベース板70の両端から下方に突出している部分と、室外側端部で上方に延在する部分とにより略L字形状をなしている。側板74の室内寄りの部分は切欠部74aが形成されていることによってやや幅狭になっている。ベース板70で切欠部74aよりも室外側の部分の下面からは側板74とともに格子形状をなす脚板76が下方に突出している。脚板76のうち中央のものは室外側端部まで達して室外側支柱76aを形成している。
【0050】
ベース板70の室外側端部からは上方に向けて立ち上り部78が突出している。側板74における室外側端部で立ち上り部78よりも室外側の箇所は係合片80を形成している。係合片80は側面視で略正方形で、室外側上端がR形状となっている。立ち上り部78と係合片80との間にはスリット82が形成されている。2つの係合片80の下端同士は室外側横板84でつながっている。室外側横板84の下面は室外側支柱76aとつながっている。係合片80の上部から側板74の室外側端面にかけては縁取り状の低い突起86が設けられている。
【0051】
立ち上り部78の両端は側板74と連続している。立ち上り部78における室内側上面78aは室外側上面78bよりやや高く、両者の間は傾斜面78cを介した緩やかな曲面でつながっている。立ち上り部78の室外側面には上部と室外側横板84とをつなぐ補助柱78dを境として2つの凹部78eが形成されている。立ち上り部78の室外側には側板74、脚板76、室外側支柱76aおよび室外側横板84で囲われた2つの凹部78gが形成されている。凹部78gは室外側と下方が開口しているが、室外側は立壁24aaで覆われ、下方は上壁44aで覆われる。
【0052】
風止板42は室外側部分に関して、係合片80の部分が室外側レール部材24aにおける屈曲部24abの下方部分に入り込むことによって室外側レール部材と固定されている(
図13参照)。係合片80と立ち上り部78との間にはスリット82が形成されていることから、係合片80は見込み方向に若干傾動可能となっており、屈曲部24abの下方部分に挿入しやすい。
【0053】
また、風止板42の見込み幅は、建具10に組み付ける前の自然状態では外レール24の室外側レール部材24aの立壁24aaと内レール26の室外側見付け面を形成する立壁26aaとの間の見込み幅より若干大きい。そして、風止板42はこの間に押し込まれて組み付けられると、弾性圧縮された状態で挟持されて固定される。さらに、風止板42は第1アタッチメント50と第2アタッチメント52との間に配置されており、左右方向にずれることがない。このように、風止板42はねじや釘を用いることなく、下枠20に対して簡便に固定および取り外しが可能となっている。
【0054】
室外側下枠44は、風止板42が配置される範囲で位置決め片44gが切り取られていて干渉が発生しない。風止板42の下面は上壁44aの傾斜に応じた形状となっており、該上壁44aの上面に当接している。室外側レール部材24aのフック部24adは、風止板42が配置される範囲で室内側部分が切り取られており、下向き片24ada(
図14参照)だけが残されている。下向き片24adaは、室外側横板84の上面に当接する。室外側横板84は、立壁24aaの室内側見付け面に当接する。立ち上り部78における上縁部78h(
図14参照)は、ローラ受部24acから下向き片24adaに連続する室内側見付け面に当接する。上縁部78hは上面に室内側上面78a、室外側上面78b、傾斜面78cを形成している部分である。
【0055】
図9は、外障子14における召合せ框28dの端部およびその近傍部の斜視図である。
図10は、外障子14における召合せ框28dの端部およびその近傍部の分解斜視図である。
図11は、気密材92の斜視図である。
【0056】
図9、
図10に示すように、外障子14の召合せ框28dと下框28bとは端部同士が45度で付き合わされる留め構造となっている。召合せ框28dと下框28bとによって形成される留め構造部には摺動部材88が設けられている。摺動部材88はレールを跨いで一部がレールの見込み面に摺動して障子が見込み方向にずれることを防止するもので、障子をガイドして障子を動かすときに有用な部品である。また、摺動部材88は開口溝32の内部が露呈されないように覆う。摺動部材88は内障子15における召合せ框28dと下框28bとによって形成される留め構造部にも同様に設けられている。
【0057】
摺動部材88は、召合せ框28dの見込み面に対してビス90で固定する固定片88aと、開口溝32に略沿う下方開口形状のアーチ部88bとを有する。アーチ部88bは一部が該開口溝32内に嵌り込んでおり、この部分の天井部には気密材(気密・水密材)92が係合する係合部88cが設けられている。気密材92は、外障子14が全閉状態のときに風止板42に当接して室内外の気密性・水密性を保持するための部品であるが、本実施例では煩雑とならないように単に「気密材」と記す。
【0058】
図11に示すように、気密材92は見込み方向(室内外方向)および左右方向に対称形状となっている。このように気密材92は対称であることから、摺動部材88に取り付ける際に見込み方向に反転させても使用可能となっている。気密材92は左右幅が狭い形状である。気密材92は上方の係合部92aと、該係合部92aから下方に突出する一対の気密片92b,92bとを有する。係合部92aの上面両側には係合凹部92cが形成され、それにより係合部92aの下部は相対的に凸となる係合凸部92dを形成する。そして、該係合凸部92dの上下に係合部88cの爪が係合することによって気密材92がアーチ部88bの開口最奥部である天井部に固定される。
【0059】
気密片92bは、左右幅が薄い板形状であり適度に柔軟となっている。気密片92bはアーチ部88bの開口溝の範囲内で下方に突出している(
図9参照)。一対の気密片92bは狭いスリット93を介して見込み方向に並んでいる。一対の気密片92bの互いの対面側には切欠部92baが形成されている。各切欠部92baの略上半分は90度円弧形状であり、2つの切欠部92baによって半円弧形状が形成されている。この半円弧形状は上記のローラ受部24ac(
図13参照)に略沿う形状となっている。各気密片92bの下面94は、見込み方向に関して外寄りの外下面94aが、内寄りの内下面94bよりやや高い位置にあり、両者の間は傾斜面94cを介した緩やかな曲面でつながっている。この下面94の形状は上記の立ち上り部78の上面に対応した形状となっている。気密材92は摺動部材88以外に固定されていてもよいが、位置、姿勢および係合部88cによる係合態様などを勘案すると摺動部材88に固定することが好適である。
【0060】
図12は、摺動部材88、気密材92、風止板42及び第1室内側レール部材54を外障子14の内周側から見た斜視図である。
図12では摺動部材88、気密材92、風止板42及び第1室内側レール部材54以外の構成要素は省略している。
図13は、建具10における風止板42、摺動部材88、気密材92およびその周辺部の縦断面図である。
図12、
図13では、識別が容易となるように気密材92を濃いドット地、風止板42を薄いドット地で示している。なお、
図13では框材と風止板42の薄板72とが干渉しているようにも見られるが、実際上では薄板72は弾性的に傾斜するため干渉はない。
【0061】
図12、
図13に示すように、風止板42は、全閉状態の外障子14と内障子15との召合せ部の下方の位置に設けられている。摺動部材88におけるアーチ部88bには、上記の通り2つの気密片92bが下方に突出するように気密材92が固定されている。2つの切欠部92baはローラ受部24acを跨ぐように設けられており、気密片92bはローラ受部24acにおける頂部に沿うように接している。
【0062】
風止板42は、第1室内側レール部材54と第2室内側レール部材56とに挟まれた位置にあり(
図5参照)、全閉状態の外障子14の下面にある気密材92に当接して気密・水密作用を奏する。これにより、風止板42と外障子14との間で気密性・水密性を担保することができる。
【0063】
風止板42における立ち上り部78の上面を形成する室内側上面78a、傾斜面78cおよび室外側上面78bは、順に、室内側の気密片92bの下面を形成する外下面94a、傾斜面94cおよび内下面94bに対して弾性的に当接して気密・水密作用を奏する。両者はそれぞれ単純平面ではなく傾斜面78c,94cを介した曲面となっており気密性・水密性が高い。
【0064】
室内側と室外側の2つの気密片92bの間にはスリット93があるため、それぞれ独立的な構造となっている。そのため、室内側の気密片92bが風止板42と当接すると多少弾性変形し得るが、その変形は室外側の気密片92bには影響しない。
【0065】
外障子14は、外レール24を跨ぐ箇所で室外側に突出して、風止板42の室内側見付け壁を形成する立ち上り部78に当接するシール材34bを有しており、気密・水密作用を奏する。また、
図12に示すように、立ち上り部78の室内側見付け面78fと第1室内側レール部材54の立壁54aの室内側見付け面とは同一面上にある。
図12には示されないが、立ち上り部78の室内側見付け面78fと第2室内側レール部材56の立壁56aの室内側見付け面とは同一面上にある。これらにより、室内側レール部材54,56、および立ち上り部78に亘って同一面を形成し、外障子14のスライド動作時にシール材34bの当接圧力およびシール作用が不均一となることがない。
【0066】
図13に示すように、建具10では網戸レール44iによって長手方向に案内される網戸96が設けられている。網戸96の左右の縦框96aにおける室内側見付け面には上下方向に延在する防虫シール96bが設けられている。防虫シール96bは室内側に向けて突出している。防虫シール96bは、外障子14と網戸96との位置関係により、外障子14の戸先框28c及び召合せ框28dの各室外側見付け面に当接して虫や異物の侵入を防止する。
【0067】
図14は、下枠20における風止板42および防虫ブロック98とその周辺部の一部断面斜視図である。
図13、
図14に示すように、室外側レール部材24aの室外側見付け面を形成する立壁24aaにおいて風止板42と重なる位置には部品取付孔97が形成されている。防虫ブロック98は室内側に突出する突起98aが部品取付孔97に嵌合することによって室外側レール部材24aと固定されている。これにより、防虫ブロック98の室外側見付け面が防虫シール96bに当接可能に固定される。防虫ブロック98は室外側レール部材24aより室外側で且つ召合せ框28dの下方の空間を略埋めるように配置されており、その室外側見付け面が防虫シール96bと当接することにより虫や異物の侵入を一層防止することができる。
【0068】
部品取付孔97は突起98aが嵌合することによってある程度の気密性および水密性があるが、風止板42によって一層高い気密性および水密性が得られる。すなわち、部品取付孔97は立壁24aaの室内側で風止板42の凹部78gに露呈するが、該凹部78gは側板74、脚板76、室外側支柱76a、室外側横板84および立壁24aaによって閉じた空間となっていることから、風止板42は部品取付孔97と室内空間との間を仕切っており気密性および水密が確保される。
【0069】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0070】
本発明にかかる建具は、下枠と、前記下枠に設けられて見込み方向に並列し、頂部にローラ受部を備える外レールおよび内レールと、ローラが前記外レールの前記ローラ受部に案内されて前記下枠の長手方向にスライド可能な外障子と、ローラが前記内レールの前記ローラ受部に案内されて前記下枠の長手方向にスライド可能な内障子と、前記下枠で、全閉状態の前記外障子と前記内障子との召合せ部の下方の位置に設けられる風止板と、前記外障子における召合せ部の下面で前記外レールの前記ローラ受部を跨ぐように設けられる気密・水密材と、を有する建具であって、前記外レールは、室外側見付け壁を含む室外側レール部材と室内側見付け壁を含む室内側レール部材とが係合して両者間に空洞部を形成しており、前記室内側レール部材は、前記外障子の閉方向側に設けられた第1室内側レール部材と開方向側に設けられた第2室内側レール部材とがあり、前記風止板は、前記第1室内側レール部材と前記第2室内側レール部材とに挟まれた位置にあり、前記外障子が全閉状態であるときに前記気密・水密材に当接することを特徴とする。
【0071】
このような建具では、室外側レール部材と室内側レール部材とが係合して両者間に空洞部を形成しており断熱性を向上させることができる。また、風止板が全閉状態の気密・水密材に当接することによって気密性・水密性を担保することができる。
【0072】
本発明にかかる建具では、前記外障子は、前記外レールを跨ぐ2つの垂下片のうち室内側の箇所から室外側に突出して前記風止板の室内側見付け壁に当接するシール材を有してもよい。これにより気密性・水密性が一層向上する。
【0073】
本発明にかかる建具では、前記風止板は上面が前記気密・水密材と当接する立ち上り部を有し、前記立ち上り部と前記室内側レール部材とは室内側見付け面が同一面上にあってもよい。これにより、外障子のスライド動作時にシール材の当接圧力およびシール作用が不均一となることがない。
【0074】
本発明にかかる建具では、前記室外側レール部材は、前記室外側見付け壁から室内側に突出する屈曲部を有し、前記風止板は、一部が前記屈曲部の下方部分に入り込むことによって前記室外側レール部材と固定されていてもよい。このような固定方法は、風止板の一部を屈曲部の下に嵌め込むだけで簡便であり、ビスなどの締結具が不要である。
【0075】
本発明にかかる建具では、前記風止板は、前記外レールの前記室外側レール部材と前記内レールとの間で弾性圧縮された状態で挟持されていてもよい。このような固定方法は、風止板を押し付けるだけで簡便であり、ビスなどの締結具が不要である。
【0076】
本発明にかかる建具では、前記第1室内側レール部材は樹脂材で構成され、前記第2室内側レール部材はアルミニウム材で構成されていてもよい。第1室内側レール部は室内空間に相当することから、断熱性、意匠性に優れる樹脂材とすると好適である。第2室内側レール部は室外空間に相当することから、対候性に優れるアルミニウム材とすると好適である。
【0077】
本発明にかかる建具では、前記外障子の下面には前記外レールを跨いで該外レールと摺動する摺動部材が設けられており、前記気密・水密材は前記摺動部材に固定されていてもよい。摺動部材は気密・水密材を設ける対象として位置や形状が好適である。
【0078】
本発明にかかる建具では、前記外レールよりも室外側に設けられた網戸レールと、前記網戸レールに案内されて前記下枠の長手方向にスライド可能な網戸と、前記網戸の縦框の室内側見付け面に設けられた防虫シール材と、前記室外側レール部材の室外側見付け面において前記風止板と重なる位置に形成された部品取付孔と前記防虫シール材に当接するように前記部品取付孔に固定された防虫ブロックと、を有し、前記風止板は前記部品取付孔と室内空間との間を仕切っていてもよい。このように、風止板は防虫ブロックの部品取付孔の仕切材として兼用することができる。
【符号の説明】
【0079】
10 建具、14 外障子、15 内障子、17 ローラ、20 下枠、24 外レール、24a 室外側レール部材、24aa 立壁、24ab 屈曲部、24ac ローラ受部、24ad フック部、26 内レール、26aa 立壁、28b 下框、28c 戸先框、28d 召合せ框、34a,34b シール材、42 風止板、50 第1アタッチメント、52 第2アタッチメント、60 第3アタッチメント、54 第1室内側レール部材、56 第2室内側レール部材、62 第3室内側レール部材、62a 立壁、78 立ち上り部、78a 室内側上面、78b 室外側上面、78c 傾斜面、78f 室内側見付け面、80 係合片、88 摺動部材、92 気密材(気密・水密材)、92b 気密片、92ba 切欠部、94a 外下面、94b 内下面、94c 傾斜面、96 網戸、96b 防虫シール、97 部品取付孔、98 防虫ブロック