(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171701
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20241205BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H02J7/02 U
H02J7/02 B
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088854
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】前多 裕史
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BB01
5G503CB09
5G503EA01
5G503FA06
5G503GD03
(57)【要約】
【課題】充電渋滞または電力不足を緩和できる充電システムを提供する。
【解決手段】充電システムA1は、蓄電池21の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体2の蓄電池21を充電する充電装置Bと、単位電力量または単位時間当たりの充電料金である充電単価を変化させて設定する単価設定部32と、充電単価を報知する単価報知部22と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体の前記蓄電池を充電する充電装置を備えた充電システムであって、
単位電力量または単位時間当たりの充電料金である充電単価を変化させて設定する単価設定部と、
前記充電単価を報知する単価報知部と、
を備えている、
充電システム。
【請求項2】
前記単価設定部は、前記充電装置の設置場所の周辺の混雑情報に基づいて、前記充電単価を設定する、
請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記単価設定部は、前記充電装置が接続している電力系統での電力の需要または供給に関する電力需給情報に基づいて、前記充電単価を設定する、
請求項1に記載の充電システム。
【請求項4】
道路から視認できる位置に設置された電光掲示板をさらに備え、
前記単価報知部は、前記電光掲示板に前記充電単価を表示させる、
請求項1ないし3のいずれかに記載の充電システム。
【請求項5】
前記単価報知部は、ユーザ端末に前記充電単価を送信する、
請求項1ないし3のいずれかに記載の充電システム。
【請求項6】
前記充電装置は、
前記電気移動体に出力する電力を検出する電力検出部と、
前記電力検出部が検出した電力と、前記単価設定部が設定した前記充電単価とに基づいて、請求金額を算出する制御部と、
を備えている、
請求項1に記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車などを充電する充電装置を備えた充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の普及に伴い、電気自動車の蓄電池に充電をするための充電スタンドの整備が進んでいる。ガソリンスタンドでは、原油価格や地域ごとにそのスタンドまでの輸送コストなどが加味されて給油料金に反映される仕組みになっている。しかし、充電スタンドでの充電料金は、充電時間または充電電力量に応じた一律の課金、または、会員登録による定額のサブスクリプション型の課金が主流である。特許文献1には、電気自動車に搭載された二次電池への電力供給が開始された後、充電終了前に充電器の利用料を決済するEV充電器が開示されている。当該EV充電器の利用料は一定料金であり、電力供給量に応じた金額としてもよいことが記載されている。
【0003】
充電料金が充電時間または充電電力量に応じた一律の課金、または、定額課金の場合、どの充電スタンドでいつ充電を行っても充電料金が変わらないので、電気自動車のユーザは、自分の都合の良い充電スタンドを選んで、都合のいい時間に充電する。今後、電気自動車および充電スタンドがより普及すると、様々な社会問題が発生する可能性がある。例えば、不便な場所にある充電スタンドは空いているにもかかわらず、便利な場所にある充電スタンドでは充電渋滞が発生する。また、外出のピークである時間帯などに充電渋滞が発生しやすい。この場合、当該時間帯において、充電スタンドでの電力の需要が大きくなるので、同じタイミングで周辺施設での電力需要も大きくなると、電力不足が発生する。このように、今後、電気自動車および充電スタンドが普及すると、充電渋滞および電力不足などが社会問題化することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、充電渋滞または電力不足を緩和できる充電システムを提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明の第1の側面によって提供される充電システムは、蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体の前記蓄電池を充電する充電装置を備えた充電システムであって、単位電力量または単位時間当たりの充電料金である充電単価を変化させて設定する単価設定部と、前記充電単価を報知する単価報知部と、を備えている。
【0008】
なお、「電気移動体」は、蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する移動体であって、いわゆる電気自動車だけでなく、ハイブリッド車なども含まれる。また、「電気移動体」は、いわゆる自動車だけでなく、二輪車、船舶、飛行機などの他の乗り物、または、無人搬送車、ドローンなどの無人移動体も含まれる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記単価設定部は、前記充電装置の設置場所の周辺の混雑情報に基づいて、前記充電単価を設定する。なお、「混雑情報」は、混雑の程度を示す情報であり、経験的に予測される、日時に対応した混雑情報と、リアルタイムの混雑情報とが含まれる。また、「混雑情報」には、充電装置の設置場所自体の混雑情報、設置場所の周辺施設の混雑情報、および、設置場所の周辺道路の混雑情報などが含まれる。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記単価設定部は、前記充電装置が接続している電力系統での電力の需要または供給に関する電力需給情報に基づいて、前記充電単価を設定する。なお、「電力需給情報」は、電力の需要または供給に関する情報であり、経験的に予測される、日時に対応した電力需給情報と、リアルタイムの電力需給情報とが含まれる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、道路から視認できる位置に設置された電光掲示板をさらに備え、前記単価報知部は、前記電光掲示板に前記充電単価を表示させる。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記単価報知部は、ユーザ端末に前記充電単価を送信する。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記充電装置は、前記電気移動体に出力する電力を検出する電力検出部と、前記電力検出部が検出した電力と、前記単価設定部が設定した前記充電単価とに基づいて、請求金額を算出する制御部と、
を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、単価設定部が充電単価を変化させて設定し、単価報知部が当該充電単価を報知する。例えば、充電の需要が多くなる場合に充電単価を高く設定し、充電の需要が少なくなる場合に充電単価を低く設定することで、電気自動車のユーザの充電意欲を誘導し、充電の需要の偏りを緩和して均一化できる。これにより、本発明に係る充電システムは、充電渋滞または電力不足を緩和できる。
【0015】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係る充電システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】単価設定部が行う単価設定処理を説明するためのフローチャートの一例である。
【
図3】第2実施形態に係る充電システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図4】第3実施形態に係る充電システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図5】第4実施形態に係る充電システムの全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0018】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る充電システムA1の全体構成を示すブロック図である。
【0019】
充電システムA1は、電気自動車2の充電を行うための設備である。電気自動車2は、動力源としての電動機および電動機に電力を供給する蓄電池21を備えた自動車であり、電動機のみを動力源とするいわゆる電気自動車だけでなく、内燃機関が併設されたハイブリッド車なども含まれる。充電システムA1は、例えばショッピングセンター、高速道路のサービスエリアなどの集客施設の駐車場などに設けられている。なお、充電システムA1が設けられる施設はこれらに限定されない。充電システムA1は、例えばガソリンスタンドや自動車ディーラなどに設けられてもよいし、道路沿いに単独で設けられてもよい。充電システムA1は、複数の充電装置B、制御装置C1、および電光掲示板Dを備えている。なお、充電システムA1が備える充電装置Bは、1台であってもよい。
【0020】
充電装置Bは、施設の駐車場などに設置され、電気自動車2の充電を行う。充電装置Bは、いわゆる急速充電装置であり、直流電力を出力して急速充電を行う。充電装置Bは、直流電源部11、電力検出部12、通信部13、操作部14、表示部15、制御部16、精算部17、および充電ケーブル19を備えている。
【0021】
直流電源部11は、制御部16からの指令に応じて、直流電力を出力する構成である。直流電源部11は、たとえば、コンバータおよび平滑回路を備えている。コンバータは、制御部16からの指令に応じて、電力系統から入力される交流電力を直流電力に変換する。平滑回路は、コンバータが出力する直流電力を平滑して出力する。なお、直流電源部11の具体的な構成は限定されず、直流電力を出力できればよい。たとえば、直流電源部11は、電力系統から入力される交流電圧を昇圧する変圧器を備えてもよい。直流電源部11は、電力線11aを介して、直流電力を出力する。
【0022】
電力検出部12は、直流電源部11が出力する直流電力を検出する。電力検出部12は、検出した電力値を制御部16に出力する。なお、制御部16が直流電源部11の出力電圧を把握している場合、電力検出部12は、直流電源部11の出力電流を検出して、検出した電流値を制御部16に出力してもよい。この場合、制御部16は、入力された電流値と出力電圧の電圧値とから電力値を算出する。つまり、電力検出部12と制御部16とが、直流電源部11の出力電力を検出する。
【0023】
通信部13は、電気自動車2との間で通信を行う。通信部13は、充電ケーブル19に配置された通信線13aを介して、充電ケーブル19に接続された電気自動車2と通信を行う。通信部13は、各電気自動車2と、たとえばCAN(Controller Area Network)通信の規格に応じて通信を行う。なお、通信規格は限定されない。通信部13は、各電気自動車2から、蓄電池21の容量、および、現在の充電率(SoC:State of Charge)などの情報を受信する。なお、通信部13と各電気自動車2との間で送受信される情報は限定されない。
【0024】
充電ケーブル19は、電力線11aおよび通信線13aが配置されている。充電ケーブル19は、先端に配置された充電コネクタ191を電気自動車2のプラグインコネクタ22に接続することで、電気自動車2と接続される。充電ケーブル19が接続された電気自動車2は、電力線11aを介して直流電源部11から供給される電力によって、蓄電池21を充電される。
【0025】
表示部15は、たとえば液晶表示装置であるディスプレイを備え、制御部16からの指令に応じて、各種表示を行う。表示部15は、たとえば、操作の方法および注意点、ならびに警告などの表示を行う。また、表示部15は、充電状態(待機中、充電中、充電完了などの状態)、電気自動車2(蓄電池21)の充電率、充電開始からの経過時間(充電時間)、充電完了までの予想時間(残時間)、および、現在の充電単価(後述)などを表示する。また、表示部15は、充電完了後に、充電料金の請求金額を表示する。なお、表示部15が表示する内容は限定されない。
【0026】
操作部14は、複数の操作手段を備えており、操作者による各操作手段の操作を操作信号として制御部16に出力する。操作手段としては、充電の開始を指示するスタートボタン、充電を停止させるストップボタン、非常停止ボタン、ディスプレイの表面に配置された操作パネルなどがある。なお、操作部14が備える操作手段は、これに限定されない。
【0027】
精算部17は、充電料金の精算を行うための構成である。精算部17は、紙幣およびコインの投入口、クレジットカードおよび電子マネーの読み取り装置、ならびに決済システムなどを備えている。精算部17は、充電完了後に制御部16から入力される請求金額の精算処理を行う。なお、精算部17による請求金額の精算方法は限定されない。また、各充電装置Bが精算部17を備えているのではなく、充電システムA1が、各充電装置Bの精算を行うための精算装置を備えてもよい。
【0028】
制御部16は、充電装置Bの制御を行う構成であり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部16は、操作部14より入力される操作信号に応じて、所定の処理を行う。また、制御部16は、通信部13による通信、表示部15での表示、および、直流電源部11による電力出力を制御する。また、制御部16は、電力検出部12から入力される電力値を時間で積分して充電電力量を算出し、算出した充電電力量に、制御装置C1から入力される充電単価を乗算することで、充電料金の請求金額を算出する。充電単価は、単位電力量当たりの充電料金であり、制御装置C1(後述する単価設定部32)が設定する。なお、充電の途中で充電単価が変化した場合、充電料金の算出における充電単価を変更してもよいし、変更せずに充電開始時の充電単価を用いてもよいし、低い方の充電単価を用いてもよい。制御部16は、充電完了後に請求金額を算出し、表示部15に当該請求金額を表示させ、精算部17に請求金額の精算処理を行わせる。なお、制御部16は、充電中にその時点での充電料金を算出して、表示部15に表示させてもよい。
【0029】
電光掲示板Dは、充電システムA1での充電料金の現在の充電単価を表示するための表示物であり、道路から視認できる位置に設置されている。電光掲示板Dは、ガソリンスタンドのガソリンの単価を表示する表示物と同様に、充電システムA1が設けられている施設の入り口などに設置されている。電光掲示板Dは、制御装置C1(単価報知部33)から入力される充電単価を表示する。
【0030】
制御装置C1は、充電単価を設定する構成であり、CPUおよびメモリを備えたコンピュータなどによって実現されている。制御装置C1は、充電単価を設定して、充電単価を各充電装置Bおよび電光掲示板Dに出力する。制御装置C1は、単価記憶部31、単価設定部32、および単価報知部33を備えている。
【0031】
単価記憶部31は、充電単価を記憶している構成である。本実施形態では、充電単価を日時情報に応じて変化させる。このため、単価記憶部31は、日時情報に対応付けて充電単価を記憶している。日時情報には、日付および時刻だけでなく、曜日、月、季節、時間帯などの情報も含まれる。本実施形態に係る充電システムA1では、充電システムA1(充電装置B)の設置場所の周辺の混雑情報に基づいて充電単価を設定する。したがって、単価記憶部31には、経験的に予測される、日時に対応した混雑情報に基づいて、日時情報に対応付けた充電単価が記憶されている。
【0032】
充電システムA1がショッピングセンターの駐車場に設置されている場合、当該ショッピングセンターが混雑すると予測されるときに、充電の需要が多くなると予測される。したがって、単価記憶部31には、休日(土曜日、日曜日、祝日)の充電単価が平日(月曜日~金曜日)の充電単価より高くなるように記憶される。また、ショッピングセンターの営業時間の充電単価が営業時間外の充電単価より高くなるように記憶される。なお、充電システムA1の設置場所によっては、充電の需要が、曜日による変動が少なく、季節による変動が多い場合もある。また、通勤時間帯および帰宅時間帯に特に充電の需要が多くなる場合もある。単価記憶部31には、充電システムA1が設置される施設、設置場所の周辺施設、周辺道路、および周辺の環境などの実情に応じて、充電単価が記憶される。例えば、充電システムA1の設置施設または周辺の大型施設が大型イベントを開催する日には混雑が予測されるので、充電単価が高くなるように記憶される。逆に、周辺の大型施設の定休日には混雑が緩和されると予測できるので、充電単価が低くなるように記憶される。なお、各日時情報に対応付けられている充電単価をどの程度にするかは限定されない。どのような日時情報に対応付けるか、また、各充電単価をどの程度にするかは、シミュレーションなどに基づいて適宜決定され、また、運用開始後も実際の状況に応じて適宜修正すればよい。
【0033】
単価設定部32は、充電単価を設定するための構成である。単価設定部32は、現在の日時に対応した充電単価を、単価記憶部31から読み出して設定する。単価設定部32は、カレンダ機能および時計機能を備えており、現在の日付けおよび時刻を取得する。単価設定部32は、取得した日付けおよび時刻に基づいた日時情報に対応付けられた充電単価を、単価記憶部31から読み出して設定する。これにより、単価設定部32は、充電システムA1(充電装置B)の設置場所の周辺の予測される混雑情報に基づいて充電単価を変化させて設定できる。単価設定部32は、設定した充電単価を、単価報知部33および各充電装置Bに出力する。各充電装置Bは、入力された充電単価を、充電料金の算出に用いる。
【0034】
図2(a)は、単価設定部32が行う単価設定処理を説明するためのフローチャートの一例である。当該単価設定処理は、所定のタイミング毎に実行される。なお、所定のタイミングは限定されないが、例えば15分毎などでよい。まず、カレンダ機能により、現在の日付けが検出され(S1)、時計機能により、現在の時刻が検出される(S2)。次に、検出された日付けおよび時刻に基づく日時情報に対応付けられた充電単価が、単価記憶部31から読み出される(S3)。次に、読み出された充電単価が、単価報知部33および各充電装置Bに出力され(S4)、単価設定処理が終了する。なお、
図2(a)のフローチャートに示す処理は一例であって、単価設定部32が行う単価設定処理は上述したものに限定されない。
【0035】
なお、充電システムA1が設置される施設の混雑が天気によって左右される場合、単価設定部32は、天気予報を加味して充電単価を設定してもよい。例えば、単価設定部32は、単価記憶部31から読み出した充電単価に天気係数αを乗算した値を充電単価として設定してもよい。天気係数αは、例えば、天気予報が晴れの場合は「1」、小雨の場合は「0.9」、大雨の場合は「0.8」のように、悪天候であるほど充電単価が安くなるように設定される。なお、天気係数αの値は限定されない。また、単価設定部32は、天気係数αを乗算する代わりに、天気予報に対応した所定値を減算または加算してもよい。
【0036】
単価報知部33は、充電単価を報知するための構成である。単価報知部33は、単価設定部32から入力された充電単価を電光掲示板Dに出力することで、電光掲示板Dに充電単価を表示させる。
【0037】
次に、本実施形態に係る充電システムA1の作用および効果について説明する。
【0038】
本実施形態によると、単価設定部32は、充電システムA1(充電装置B)の設置場所の周辺の予測される混雑情報に基づいて充電単価を変化させて設定する。単価設定部32は、充電の需要が多くなる場合に充電単価を高く設定し、充電の需要が少なくなる場合に充電単価を低く設定する。単価報知部33は、単価設定部32が設定した充電単価を電光掲示板Dに表示させる。これにより、電気自動車2のユーザの充電意欲を誘導し、充電の需要の偏りを緩和して均一化できる。したがって、充電システムA1は、充電渋滞および電力不足を緩和できる。
【0039】
また、本実施形態によると、単価報知部33が充電単価を電光掲示板Dに表示させることで、充電システムA1は、電気自動車2のユーザに現在の充電単価を知らせることができる。
【0040】
また、本実施形態によると、単価記憶部31には、経験的に予測される、日時に対応した混雑情報に基づいて、日時情報に対応付けた充電単価が記憶されている。単価設定部32は、日時情報に基づいて、単価記憶部31から充電単価を読み出して設定する。したがって、単価設定部32は、充電単価を設定する際に、外部と通信を行う必要がない。よって、充電システムA1は、簡易な構成で、充電単価を変化させて設定できる。
【0041】
なお、本実施形態においては、充電単価が単位電力量当たりの充電料金である場合について説明したが、これに限られない。充電単価は、単位時間当たりの充電料金であってもよい。この場合、制御部16は、充電時間を計時して、当該充電時間と充電単価とに基づいて、請求金額を算出する。
【0042】
また、本実施形態においては、単価記憶部31が日時情報に対応付けて充電単価を記憶している場合について説明したが、これに限られない。例えば、単価記憶部31が日付けに基づく情報に対応付けて充電単価を記憶し、単価設定部32が、単価記憶部31から読み出した充電単価に時刻係数βを乗算した値を充電単価として設定してもよい。時刻係数βは、充電の需要が多くなる時間帯に大きくなる値が設定される。
【0043】
図2(b)は、単価設定部32が行う単価設定処理の変形例を説明するためのフローチャートの一例である。まず、カレンダ機能により、現在の日付が検出される(S11)。次に、検出された日付に基づく情報に対応付けられた充電単価が、単価記憶部31から読み出される(S12)。次に、時計機能により、現在の時刻が検出される(S13)。次に、読み出された充電単価に、現在の時刻に対応した時刻係数βが乗算されることで、充電単価が演算される(S14)。次に、算出された充電単価が、単価報知部33および各充電装置Bに出力され(S15)、単価設定処理が終了する。なお、
図2(b)のフローチャートに示す処理は一例であって、単価設定部32が行う単価設定処理は上述したものに限定されない。
【0044】
また、本実施形態においては、単価設定部32が充電単価を単価記憶部31から読み出して設定する場合について説明したが、これに限られない。単価設定部32は、基準となる充電単価に、日時情報に応じた係数(例えば、休日であれば「1.1」、夜間であれば「0.9」など)を乗算することで、充電単価を算出して設定してもよい。この場合、制御装置C1は、単価記憶部31を備える必要がない。
【0045】
また、本実施形態においては、充電システムA1(充電装置B)の設置場所の周辺の予測される混雑情報に基づいて充電単価を設定する場合について説明したが、これに限られない。各充電装置Bが接続している電力系統(以下では、「接続系統」とする)での電力の需要または供給に関する予測される電力需給情報に基づいて充電単価を設定してもよい。接続系統に大型の太陽光発電所が接続されている場合、日中は電力供給が多くなる。また、接続系統に大量に電力を消費する施設が接続されている場合、当該施設の稼働時間帯には電力需要が多くなる。単価記憶部31において、電力供給が多くなる日時情報に対応付けて低い充電単価を記憶し、電力需要が多くなる日時情報に対応付けて高い充電単価を記憶すれば、単価設定部32は、予測される電力需給情報に基づいて充電単価を設定できる。この場合、電気自動車2のユーザの充電意欲を、電力供給が少ないとき、および、電力需要が多いときから、電力供給が多いとき、および、電力需要が少ないときに誘導できる。これにより、充電システムA1は、電力不足を緩和できる。
【0046】
また、充電システムA1の事業者の契約している電気料金に基づいて充電単価を設定してもよい。単価記憶部31において、電気料金が高い日時情報に対応付けて高い充電単価を記憶し、電気料金が低い日時情報に対応付けて低い充電単価を記憶すれば、単価設定部32は、契約している電気料金に基づいて充電単価を設定できる。この場合、電気自動車2のユーザの充電意欲を、電気料金の高い日時から低い日時に誘導できる。電気料金の高い日時は、通常、電力の需要が多い日時なので、充電システムA1は、電力不足を緩和できる。また、混雑情報、電力需給情報、および契約電気料金のいずれかを組み合わせて、単価記憶部31に充電単価を記憶すれば、単価設定部32は、組み合わされた各情報に基づいて充電単価を設定できる。
【0047】
また、本実施形態においては、充電装置Bが電気自動車2を充電する場合について説明したが、これに限られない。充電装置Bは、電気自動車2以外の移動体を充電してもよい。この移動体の他の例として、たとえば二輪車(電動オートバイ、電動アシスト自転車)、船舶、飛行機などの他の乗り物、または、無人搬送車、ドローンなどの無人移動体などが考えられる。
【0048】
また、本実施形態においては、充電装置Bが急速充電装置である場合について説明したが、これに限られない。充電装置Bは、普通充電装置であってもよい。
【0049】
〔第2実施形態〕
図3は、第2実施形態に係る充電システムA2の全体構成を示すブロック図である。
図3において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。また、
図3においては、充電装置Bの内部構成の記載を省略している。本実施形態に係る充電システムA2は、単価設定部32がリアルタイムの混雑情報または電力需給情報に基づいて充電単価を設定する点で、第1実施形態に係る充電システムA1と異なる。
【0050】
本実施形態においては、接続系統(各充電装置Bが接続している電力系統)に大型の太陽光発電所5、蓄電設備6、および、大量に電力を消費する施設7が接続されている。蓄電設備6は、接続系統への供給電力が多いときに蓄電池に充電し、需要電力が多いときに蓄電池の電力を放電する設備である。本実施形態では、施設7は、充電システムA2が設置されている施設であり、当該施設7の混雑状況が充電システムA2の充電の需要に大きく影響する。電力検出装置51は、太陽光発電所5が接続系統に出力する電力(または発電電力)を検出する。SOC検出装置61は、蓄電設備6の充電率(State Of Charge:SOC)を検出する。電力検出装置71は、施設7が接続系統から受電する電力(または消費電力)を検出する。
【0051】
本実施形態に係る制御装置C2は、単価記憶部31を備えていない。本実施形態に係る単価設定部32は、施設7からリアルタイムの混雑情報を入力される。また、単価設定部32は、電力検出装置51が検出した太陽光発電所5の出力電力、電力検出装置71が検出した施設7の受電電力、および、SOC検出装置61が検出した蓄電設備6の充電率を、リアルタイムの電力需給情報として入力される。単価設定部32は、リアルタイムの混雑情報に応じて充電単価を設定する。単価設定部32は、施設7が混雑しているほど充電単価を高く設定する。また、単価設定部32は、リアルタイムの電力需給情報に応じて充電単価を設定する。単価設定部32は、太陽光発電所5の出力電力が小さいほど、施設7の受電電力が大きいほど、また、蓄電設備6の充電率が小さいほど、充電単価を高く設定する。
【0052】
なお、単価設定部32は、施設7からの混雑情報、太陽光発電所5の出力電力、施設7の受電電力、および、蓄電設備6の充電率のすべてを入力され、これらすべてに基づいて充電単価を設定する場合に限定されない。単価設定部32は、これらのうちの少なくとも1つを入力され、入力された情報に基づいて充電単価を設定してもよい。また、太陽光発電所5、蓄電設備6、および施設7はそれぞれ複数あってもよい。また、接続系統に、太陽光発電所5の代わりにまたは加えて風力発電所などの他の発電所が接続されている場合、単価設定部32は、当該発電所の出力電力も電力需給情報として利用する。施設7は、充電システムA2が設置されている施設に限定されず、混雑状況が充電システムA2での充電の需要に影響する施設であればよい。
【0053】
本実施形態によると、単価設定部32は、リアルタイムの混雑情報または電力需給情報に基づいて充電単価を変化させて設定する。単価報知部33は、単価設定部32が設定した充電単価を電光掲示板Dに表示させる。単価設定部32は、施設7が混雑しているほど充電単価を高く設定する。これにより、充電システムA2は、電気自動車2のユーザの充電意欲を誘導し、充電の需要の偏りを緩和して均一化できるので、充電渋滞および電力不足を緩和できる。また、単価設定部32は、太陽光発電所5の出力電力が小さいほど、施設7の受電電力が大きいほど、また、蓄電設備6の充電率が小さいほど、充電単価を高く設定する。これにより、充電システムA2は、電気自動車2のユーザの充電意欲を、電力が不足するときから余裕のあるときに誘導できるので、電力不足を緩和できる。
【0054】
〔第3実施形態〕
図4は、第3実施形態に係る充電システムA3の全体構成を示すブロック図である。
図4において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。また、
図4においては、充電装置Bの内部構成の記載を省略している。本実施形態に係る充電システムA3は、単価設定部32が、予測される混雑情報とリアルタイムの電力需給情報とに基づいて充電単価を設定する点で、第1実施形態に係る充電システムA1と異なる。
【0055】
本実施形態に係る単価設定部32は、第1実施形態と同様に、日時情報に対応付けられた充電単価を、単価記憶部31から読み出す。また、単価設定部32は、第2実施形態と同様に、電力検出装置51が検出した太陽光発電所5の出力電力、電力検出装置71が検出した施設7の受電電力、および、SOC検出装置61が検出した蓄電設備6の充電率を、リアルタイムの電力需給情報として入力される。そして、単価設定部32は、単価記憶部31から読み出した充電単価を、リアルタイムの電力需給情報に基づいて修正して、充電単価として設定する。当該修正は、例えば、電力需給情報に基づく係数(電力が不足する場合に大きく、電力に余裕がある場合に小さい値)を乗算することで行われる。なお、修正方法は限定されない。
【0056】
本実施形態によると、単価設定部32は、予測される混雑情報およびリアルタイムの電力需給情報に基づいて充電単価を変化させて設定する。単価報知部33は、単価設定部32が設定した充電単価を電光掲示板Dに表示させる。単価設定部32は、充電の需要が多くなる場合に充電単価を高く設定し、充電の需要が少なくなる場合に充電単価を低く設定する。これにより、充電システムA2は、電気自動車2のユーザの充電意欲を誘導し、充電の需要の偏りを緩和して均一化できるので、充電渋滞および電力不足を緩和できる。また、単価設定部32は、太陽光発電所5の出力電力が小さいほど、施設7の受電電力が大きいほど、また、蓄電設備6の充電率が小さいほど、充電単価を高く設定する。これにより、充電システムA2は、電気自動車2のユーザの充電意欲を、電力が不足するときから余裕のあるときに誘導できるので、電力不足を緩和できる。
【0057】
なお、本実施形態では、単価設定部32が、予測される混雑情報とリアルタイムの電力需給情報とに基づいて充電単価を設定する場合について説明したが、これに限られない。単価設定部32は、予測される電力需給情報とリアルタイムの混雑情報とに基づいて充電単価を設定してもよい。すなわち、単価記憶部31において、電力供給が多くなる日時情報に対応付けて低い充電単価を記憶し、電力需要が多くなる日時情報に対応付けて高い充電単価を記憶するそして、単価設定部32は、日時情報に対応付けられた充電単価を、単価記憶部31から読み出す。また、単価設定部32は、施設7からリアルタイムの混雑情報を入力される。そして、単価設定部32は、単価記憶部31から読み出した充電単価を、リアルタイムの混雑情報に基づいて修正して、充電単価として設定する。当該修正は、例えば、混雑情報に基づく係数(混雑する場合に大きく、混雑しない場合に小さい値)を乗算することで行われる。なお、修正方法は限定されない。
【0058】
第1~3実施形態から理解されるように、単価設定部32は、混雑情報、電力需給情報、および契約電気料金の情報のいずれか、またはいずれかの組み合わせに基づいて、充電単価を設定すればよい。混雑情報および電力需給情報は、予測される情報であってもよいし、リアルタイムに入手した情報であってもよい。また、充電単価の設定方法は、あらかじめ単価記憶部31に記憶された充電単価を読み出方法でもよいし、演算により算出する方法でもよい。
【0059】
〔第4実施形態〕
図5は、第4実施形態に係る充電システムA4の全体構成を示すブロック図である。
図5において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。また、
図5においては、充電装置Bの内部構成の記載を省略している。本実施形態に係る充電システムA4は、設定された充電単価を報知する方法が、第1実施形態に係る充電システムA1と異なる。
【0060】
第4実施形態に係る充電システムA4は、電光掲示板Dを備えていない。第4実施形態に係る単価報知部33は、外部のサーバ9に充電単価を送信する。このとき、単価報知部33は、当該充電システムA4を他と識別するための情報(以下では「識別情報」とする)を合わせて送信する。サーバ9は、他の充電システムA4からも、充電単価および識別情報を受信する。サーバ9は、各充電システムA4の位置と充電単価を表示した地図情報を、端末8に送信する。端末8は、電気自動車2のユーザが所有する携帯端末、または、電気自動車2に搭載されているナビゲーション端末などであり、あらかじめ登録されている。これにより、単価報知部33は、各端末8に充電単価を送信して、ユーザに充電単価を報知できる。
【0061】
本実施形態によると、単価設定部32は、充電システムA4(充電装置B)の設置場所の周辺の混雑情報に基づいて充電単価を変化させて設定する。単価設定部32は、充電の需要が多くなる場合に充電単価を高く設定し、充電の需要が少なくなる場合に充電単価を低く設定する。単価報知部33は、単価設定部32が設定した充電単価を、サーバ9を介してユーザの端末8に送信する。これにより、電気自動車2のユーザの充電意欲を誘導し、充電の需要の偏りを緩和して均一化できるので、充電システムA4は、充電渋滞および電力不足を緩和できる。さらに、本実施形態によると、ユーザの端末8は、サーバ9から複数の充電システムA4の位置と充電単価を表示した地図情報を受信する。ユーザは、地図上で各充電システムA4の位置と充電単価を知ることができる。これにより、便利な位置にあることより充電単価が低いことを重視するユーザを誘導できる。これにより、電気自動車2のユーザの充電意欲を誘導し、充電の需要の偏りを緩和して均一化できるので、充電システムA4は、充電渋滞および電力不足を緩和できる。
【0062】
なお、充電システムA4は、電光掲示板Dを備えて、ユーザの端末8による充電単価の報知と、電光掲示板Dによる充電単価の報知とを両方行ってもよい。また、充電システムA4は、上記の第1~3実施形態および各変形例の各部が任意に組み合わせられてもよい。
【0063】
本発明に係る充電システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る充電システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0064】
A1~A4:充電システム、B:充電装置、12:電力検出部、16:制御部、32:単価設定部、33:単価報知部、D:電光掲示板、8:端末、2:電気自動車、21:蓄電池