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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171702
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241205BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241205BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20241205BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20241205BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J7/00 P
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088855
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】前多 裕史
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA01
5G503FA01
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC21
5H125BE02
5H125CC04
5H125CD03
5H125DD02
5H125EE41
(57)【要約】
【課題】異常の通報を容易に行うことができる充電装置を提供する。
【解決手段】蓄電池91の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体(電気自動車9)の蓄電池91を充電する充電装置S1であって、充電電力を電気移動体(電気自動車9)に供給する本体部1と、通報ボタン31を含む通報部3と、予め登録された通報先(管理者端末A1)と通信を行う通信部2と、を備える。通報部3は、通報ボタン31が操作された場合に、本体部1の動作を停止することなく、通信部2を介して、通報信号を通報先(管理者端末A1)に送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体の前記蓄電池を充電する充電装置であって、
充電電力を前記電気移動体に供給する本体部と、
通報ボタンを含む通報部と、
予め登録された通報先と通信を行う通信部と、
を備え、
前記通報部は、前記通報ボタンが操作された場合に、前記本体部の動作を停止することなく、前記通信部を介して、通報信号を前記通報先に送信する、充電装置。
【請求項2】
前記充電電力の供給状況を表示する表示部をさらに備え、
前記通報ボタンは、前記表示部に表示されたソフトウェアキーである、請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
非常停止ボタンを含む非常停止部をさらに備え、
前記非常停止部は、前記非常停止ボタンの操作により、前記本体部の動作を停止させて、前記充電電力の出力を停止する、請求項1または請求項2に記載の充電装置。
【請求項4】
前記本体部の動作ログのデータを収集する収集部をさらに備え、
前記通報部は、前記通報信号とともに前記動作ログのデータをさらに送信する、請求項1または請求項2に記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気自動車などを充電する充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の普及に伴い、電気自動車の蓄電池に充電をするための充電装置の整備が進んでいる。例えば、特許文献1には、従来の充電装置の一例が開示されている。特許文献1に記載の充電スタンド(充電装置)は、充電ケーブルの先端の充電コネクタを自動車の給電ポートに接続することにより、自動車のバッテリへの充電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-70479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電装置の利用者は、充電装置に充電が開始できない故障が発生していると、充電を断念せざるを得ない。充電装置に充電が開始できない故障とは、例えば、充電コネクタの物理的な破損や異物混入による嵌合不能、充電ケーブルの物理的な破損、および、充電装置の内部異常などである。このような場合、利用者は、充電装置の管理者に充電装置に故障が発生していることを通報することが好ましいが、通報には、管理者への連絡先を調べて、当該連絡先に連絡する必要があり、手間がかかり煩わしいと感じることがある。特に、複数の充電装置が設置されている場合には、故障している充電装置をそのままにして、他の正常な充電装置を利用することがあり、故障したまま放置される時間が長期化する虞がある。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みて考え出されたものであり、その目的は、故障の通報を容易に行うことができる充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によって提供される充電装置は、蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体の前記蓄電池を充電する充電装置であって、充電電力を前記電気移動体に供給する本体部と、通報ボタンを含む通報部と、予め登録された通報先と通信を行う通信部と、を備え、前記通報部は、前記通報ボタンが操作された場合に、前記本体部の動作を停止することなく、前記通信部を介して、通報信号を前記通報先に送信する。
【0007】
前記充電装置の好ましい実施の形態においては、前記充電電力の供給状況を表示する表示部をさらに備え、前記通報ボタンは、前記表示部に表示されたソフトウェアキーである。
【0008】
前記充電装置の好ましい実施の形態においては、非常停止ボタンを含む非常停止部をさらに備え、前記非常停止部は、前記非常停止ボタンの操作により、前記本体部の動作を停止させて、前記充電電力の出力を停止する。
【0009】
前記充電装置の好ましい実施の形態においては、前記本体部の動作ログのデータを収集する収集部をさらに備え、前記通報部は、前記通報信号とともに前記動作ログのデータをさらに送信する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の充電装置は、通報ボタンを含む通報部を備え、通報部は、通報ボタンが操作された場合に、通信部を介して、通報信号を、予め登録された通報先に送信する。これにより、充電装置の利用者は、充電装置に故障が発生している場合に、通報ボタンの操作だけで、予め登録された通報先に、充電装置に故障が発生している旨を連絡することができる。したがって、本開示の充電装置によれば、故障の通報を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る充電装置を示す外観図である。
図2】第1実施形態に係る充電装置を示す機能ブロック図である。
図3】第1実施形態に係る充電装置の表示部(表示デバイス)に表示される画面例を示している。
図4】第2実施形態に係る充電装置を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の充電装置の好ましい実施の形態について、図面を参照して、以下に説明する。以下では、同一あるいは類似の構成要素に、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0013】
図1および図2は、第1実施形態に係る充電装置S1を示している。充電装置S1は、電気自動車9の充電を行うための設備である。電気自動車9は、動力源としての電動機および当該電動機に電力を供給する蓄電池91を備えた自動車であり、電動機のみを動力源とするいわゆる電気自動車だけでなく、内燃機関が併設されたハイブリッド車なども含まれる。なお、充電装置S1の充電対象は、自動車だけでなく、動力源としての電動機および当該電動機に電力を供給する蓄電池を備えた他の電気移動体であってもよい。充電装置S1は、図1に示すように、施設の駐車場など地面81に設置される。
【0014】
図1および図2に示すように、充電装置S1は、本体部1、通信部2、通報部3、表示部4、非常停止部5および通信線7を備える。本体部1、通信部2、通報部3、表示部4および非常停止部5は、通信線7を介した通信を行う。通信線7を介した通信の規格は、何ら限定されないが、例えばCAN(Controller Area Network)通信である。
【0015】
本体部1は、電気自動車9に充電電力を供給し、電気自動車9の蓄電池91の充電を行う。充電電力は、例えば直流電力である。本体部1は、電源部11、充電ケーブル12、充電プラグ13、制御部14、メインブレーカ151および制御ブレーカ152を含む。なお、図示を省略するが、本体部1は、これらの他、電気自動車9と通信を行う車両通信部などを含む。
【0016】
電源部11は、制御部14からの指令に応じて、充電電力を出力する。充電電力は、例えば直流電力であり、電源部11は、メインブレーカ151を介して電力系統Kから入力される交流電力を直流電力に変換して出力する。電源部11は、例えばコンバータおよび平滑回路を備えている。コンバータは、制御部14からの指令に応じて、電力系統Kから入力される交流電力を直流電力に変換する。平滑回路は、コンバータが出力する直流電力を平滑して出力する。なお、電源部11の具体的な構成は限定されず、充電電力(本実施形態では直流電力)を出力できればよい。例えば、電源部11は、電力系統Kから入力される交流電圧を昇圧する変圧器を備えてもよい。電源部11は、充電装置S1の筐体80に収納される。
【0017】
充電ケーブル12には、その内部に電力線および信号線が配置されている。充電ケーブル12内の電力線は、電源部11に繋がる。充電ケーブル12は、充電装置S1の筐体80から延び出る。
【0018】
充電プラグ13は、充電ケーブル12の先端に取り付けられている。充電電力は、電源部11から充電ケーブル12を介して充電プラグ13に供給される。充電プラグ13は、本体およびコネクタを備えている。本体は、利用者が把持する部分であって、ハンドルが形成されている。本体の内部には、充電ケーブル12内の電力線に繋がる電力線、および、充電ケーブル12内の信号線に繋がる信号線が配置されている。コネクタは、本体の先端部に配置された例えば金属製の筒状部材であり、電気自動車9のプラグインコネクタ92に接続される部分である。コネクタの内側には、本体内の電力線に導通する電源端子、および、本体内の信号線に導通する信号端子などが配置されている。充電プラグ13は、本体およびコネクタの他、充電プラグ13をプラグインコネクタ92にロックする機構、および、取り外すためのボタンなどを備えている。なお、充電プラグ13の構成は、これに限定されない。
【0019】
制御部14は、充電装置S1の制御を行う構成であり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部14は、電源部11の出力電力を制御する。制御部14は、制御ブレーカ152を介して電力系統Kから交流電力が入力される。例えば、制御部14は、入力される交流電力を直流電力に変換し、当該直流電力により動作する。
【0020】
本体部1は、充電プラグ13が電気自動車9のプラグインコネクタ92に接続されることで、電気自動車9と接続される。そして、充電プラグ13が接続された電気自動車9は、電源部11から供給される充電電力によって、蓄電池91を充電される。また、本体部1(先述の車両通信部)は、充電ケーブル12内の信号線および充電プラグ13内の信号線を介して、電気自動車9と相互通信する。本体部1は、電気自動車9から、蓄電池91の容量、現在の充電率(SoC:State of Charge)、および要求電力値などの情報を受信する。要求電力値は、電気自動車9が蓄電池91を充電するために、充電装置S1に要求する電力値である。なお、本体部1と各電気自動車9との間で送受信される情報は限定されない。
【0021】
通信部2は、通信ネットワークNWを介して、外部機器と通信を行う。図2に示すように、外部機器は、例えば充電装置S1の管理者(管理会社)の端末であり、後の詳述する通報先である。以下では、充電装置S1の管理者(管理会社)の端末を管理者端末A1という。管理者は、例えば保守業者および設置事業者などである。管理者端末A1は、例えば据え置きコンピュータあるいはスマートフォンである。通信部2は、例えば無線通信を行うが、有線通信であってもよい。通信部2は、入力される信号(例えば後述の通報信号)を、管理者端末A1に送信する。
【0022】
通報部3は、図2に示すように、通報ボタン31を含む。通報部3は、通報ボタン31が操作(押下)された場合に、通信部2を介して、通報信号を、予め登録された通報先に送信する。具体的には、通報部3は、通報ボタン31が操作(押下)されると、通報信号を通信部2に出力する。これにより、通報信号を、通信部2を介して、予め登録された通報先(管理者端末A1)に送信する。通報先とは、通報信号の送信先のことであり、例えば管理者端末A1である。この例と異なり、通報先は、管理者端末A1に代えてあるいは加えて、充電装置S1の製造者(製造メーカ)の端末であってもよい。通報信号は、通報ボタン31が操作されたことを示す信号である。通報ボタン31は、例えば表示部4に表示されるソフトウェアキーである。この例とは異なり、充電装置S1の筐体80に設けられたハードキーであってもよい。通報ボタン31は、利用者が充電装置S1の故障に気付いた際に、利用者によって操作(押下)される。通報ボタン31が操作された時は、本体部1の動作を停止しない。
【0023】
表示部4は、表示デバイス41を含む。表示デバイス41には、例えば液晶ディスプレイあるいは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイが用いられるが、表示デバイス41の種類は、何ら限定されない。表示部4は、充電電力の供給状況を、表示デバイス41に表示する。充電電力の供給状況としては、例えば、供給待機中(充電待機中)であるか、供給実行中(充電実行中)であるか、供給完了(充電完了)であるかなどを表示する。供給実行中については、供給実行中である旨に加えて、電気自動車9(蓄電池91)の充電率、充電開始からの経過時間(充電時間)、充電完了までの予想時間(残時間)、および、充電料金などを表示する。また、表示デバイス41は、タッチパッド付きであり、表示デバイス41には、利用者が操作可能な複数のソフトウェアキーが表示される。複数のソフトウェアキーは、充電装置S1の各種操作の入力キーである。
【0024】
図3は、表示デバイス41に表示される画面例を示している。図3(a)は、先述の供給状況として、供給待機中である場合を示しており、図3(b)は、先述の供給状況として、供給実行中である場合を示している。また、図3(a),(b)で示す画面例では、電気自動車9の充電率、充電開始からの経過時間、充電完了までの予想時間(残時間)および現在の充電料金が表示されている。また、図3(a),(b)に示す画面例では、複数のソフトウェアキーとして、充電開始ボタン41a、充電停止ボタン41bおよび通報ボタン31が表示されている。つまり、本実施形態では、複数のソフトウェアキーは、充電開始ボタン41a、充電停止ボタン41bおよび通報ボタン31を含む。
【0025】
図3(a),(b)に示す画面例では、各ソフトウェアキー(充電開始ボタン41a、充電停止ボタン41bおよび通報ボタン31)は、供給状況に応じて、操作できる状態を示すキー(以下「選択可能キー」という)と、操作できない状態を示すキー(以下「選択不可キー」という)とで、それぞれ表示されている。図3(a)に示す画面例は、充電開始ボタン41aおよび通報ボタン31が選択可能キーで表示され、充電停止ボタン41bが選択不可キーで表示されている。一方、図3(b)に示す画面例は、充電開始ボタン41aおよび通報ボタン31が選択不可キーで表示され、充電停止ボタン41bが選択可能キーで表示されている。なお、図3(a),(b)では、選択不可キーが、透過表示である例を示しているが、これに限定されず、非表示あるいはグレーアウト表示など、選択可能キーと識別可能なものであればよい。本実施形態において、図3(b)に示すように、供給実行中は通報ボタン31を選択不可キーとしたのは、供給実行中において異常が発生した場合には、通報ボタン31の操作よりも後述の非常停止ボタン51の操作を優先させるためである。本実施形態では、先述の通り、充電装置S1では、供給状況に応じて、各ソフトウェアキーの表示を変えているが、この例と異なり、供給状況に関わらず、各ソフトウェアキーを同等に表示してもよい(つまり、全てのソフトウェアキーが選択可能キーで表示されてもよい)。
【0026】
また、図3(a)に示す画面例では、通報ボタン31は、充電開始ボタン41aよりも強調表示されている。このように、通報ボタン31は、他のソフトウェアキー(充電開始ボタン41aおよび充電停止ボタン41b)と異なるデザイン(例えば、色、フォント、文字サイズおよび枠形状など)であることが好ましい。例えば、通報ボタン31は、赤色あるいは黄色などの警告色で表示され、他のソフトウェアキーが他の色(例えば黒色)で表示される。また、通報ボタン31の文字サイズを、他のソフトウェアキーの文字サイズよりも大きくしたり、通報ボタン31の枠形状を、他のソフトウェアキーの枠形状よりも派手にしたりしてもよい。これらの例では、通報ボタン31を他のソフトウェアキーよりも目立たせているが、反対に目立たないようにしてもよい。このように、通報ボタン31のデザインを他のソフトウェアキーと異ならせることで、当該他のソフトウェアキーと見間違えられて誤操作されることを、抑制できる。なお、充電開始ボタン41a、充電停止ボタン41bおよび通報ボタン31はそれぞれ、ソフトウェアキーではなく、充電装置S1の筐体80に設けられたハードキーであってもよい。
【0027】
非常停止部5は、非常停止ボタン51を含む。非常停止部5は、非常停止ボタン51の操作により、本体部1(電源部11)の動作(例えば充電電力の出力)を停止する。本実施形態では、非常停止ボタン51は、充電電力の出力を強制的に停止するためのものである。よって、非常停止ボタン51は、電気自動車9への充電中に、何らかの異常によって、強制的に充電電力の出力を停止する際に、利用者によって操作される。本実施形態では、非常停止ボタン51の操作は、先述の通報先に伝達されないが、非常停止ボタン51が操作されたことを、通信部2を介して、先述の通報先に送信してもよい。非常停止ボタン51は、例えばハードキーであり、充電装置S1の筐体80に設けられる。充電装置S1では、非常停止ボタン51が操作されると、メインブレーカ151が遮断される。これにより、本体部1の動作が停止する。メインブレーカ151が遮断されると、管理者が充電装置S1の設置場所まで出向いて、メインブレーカ151を復旧させる必要がある。つまり、非常停止ボタン51の操作によって、本体部1(電源部11)の動作(例えば充電電力の出力)が停止した場合には、管理者が充電装置S1の設置場所まで出向いてメインブレーカ151を復旧するまで、本体部1は停止したままである。
【0028】
充電装置S1の作用および効果は、次の通りである。
【0029】
充電装置S1は、通報ボタン31を含む通報部3と、予め登録された通報先と通信を行う通信部2とを備える。そして、通報部3は、通報ボタン31が操作(押下)された場合に、通信部2を介して、通報信号を通報先に送信する。この構成によれば、充電装置S1の利用者は、充電装置S1の故障に気付いた場合、通報ボタン31を操作するだけ、充電装置S1に故障が発生している旨を、通報先(本実施形態では管理者端末A1)に通報することができる。したがって、充電装置S1の利用者は、煩わしい手順が不要となるので、充電装置S1は、故障の通報を容易に行うことができる。また、充電装置S1の管理者に通報ボタン31の操作があった旨が送信されるので、当該管理者は、充電装置S1の故障に早急に気付くことができる。したがって、充電装置S1が故障したまま放置されることを抑制できるので、充電装置S1の収益低下を抑制できる。
【0030】
充電装置S1は、非常停止ボタン51を含む非常停止部5を備える。非常停止部5は、非常停止ボタン51の操作(押下)によって、本体部1の動作を停止させて、充電電力の出力を停止する。本実施形態では、メインブレーカ151の遮断により、本体部1の動作が停止する。このように、非常停止ボタン51は、充電電力の出力を強制停止させるものであり、充電電力の供給待機中(充電待機中)には、通常操作されない。一方で、充電装置S1の故障には、充電を開始できない故障もあり、このような故障が発生している場合には、非常停止ボタン51が操作されないことがある。充電を開始できない故障には、先述の通り、例えば、充電プラグ13(コネクタ)の物理的な破損や異物混入による嵌合不能あるいは充電ケーブル12の物理的な破損などがある。これに対して、充電装置S1は、非常停止ボタン51とは別の通報ボタン31が設けられているので、充電電力の供給待機中(充電待機中)においても、管理者に充電装置S1の故障を通報することが可能となる。これにより、充電装置S1が故障したまま放置されることを抑制できるので、充電装置S1の収益低下を抑制できる。
【0031】
充電装置S1では、通報ボタン31は、表示部4に表示されたソフトウェアキーである。この構成によれば、通報ボタン31がハードキーで構成された場合と比較して、通報ボタン31が非常停止ボタン51と間違って操作されることを抑制できる。さらに、本実施形態では、通報ボタン31は、他のソフトウェアキー(例えば充電開始ボタン41aおよび充電停止ボタン41b)と異なるデザインである。この構成によれば、通報ボタン31が、通常の充電操作ボタンと間違って操作されることを抑制できる。
【0032】
以下に、本開示の充電装置の他の実施形態および変形例について、説明する。各実施形態および各変形例における各部の構成は、技術的な矛盾が生じない範囲において相互に組み合わせ可能である。
【0033】
図4は、第2実施形態に係る充電装置S2を示している。充電装置S2は、充電装置S1と比較して、収集部6を備えている点で異なる。図4に示すように、収集部6は、通信線7を介して、本体部1、通信部2、通報部3、表示部4および非常停止部5と通信可能である。
【0034】
収集部6は、充電装置S2のシステムログのデータを収集し、当該システムログを記憶する。システムログは、本体部1(主に電源部11)の動作ログを含む。動作ログには、本体部1の起動および終了、電力供給(充電)の開始および終了などの情報が記録されている。また、システムログは、エラーログを含む。エラーログには、充電装置S2に発生したエラー情報が記録されている。また、システムログは、診断ログを含む。診断ログには、自己診断機能の診断結果が記録されている。自己診断機能は、充電装置S2に故障が発生しているか否かを調べる機能である。自己診断機能は、図示しない診断開始ボタンの操作によって実行されてもよいし、所定の周期(例えば1日あるいは1時間など)で定期的に実行されてもよいし、通報ボタン31の操作時に実行されてもよい。収集部6は、通信部2を介して、通報先(管理者端末A1)に、システムログのデータを定期的に送信する。これにより、充電装置S2の管理者は、診断ログのデータから充電装置S2に故障が発生していることに気付くことも可能である。
【0035】
充電装置S2では、通報ボタン31が操作された場合に、通報部3は、収集部6に記憶されたシステムログ(動作ログ、エラーログおよびチェックログ)のデータを読み込み、通報信号とともに通信部2に出力する。そして、通信部2は、入力されるシステムログのデータを、通報信号とともに、通報先(管理者端末A1)に送信する。なお、本開示の充電装置は、動作ログ、エラーログおよびチェックログの全てのデータを通報先に送信する構成に限定されず、動作ログ、エラーログおよびチェックログの少なくとも1つのデータを送信する構成であってもよい。
【0036】
充電装置S2は、充電装置S1と同様に、通報ボタン31を含む通報部3と、予め登録された通報先と通信を行う通信部2とを備える。そして、通報部3は、通報ボタン31が操作(押下)された場合に、通信部2を介して、通報信号を通報先に送信する。したがって、充電装置S2は、充電装置S1と同様に、故障の通報を容易に行うことができる。また、充電装置S2は、充電装置S1と共通する構成により、充電装置S1と同様の効果を奏する。さらに、充電装置S2は、次の作用および効果を奏する。
【0037】
充電装置S2では、本体部1の動作ログのデータを収集する収集部6を備える。そして、通報部3は、通報信号とともに動作ログのデータを、予め登録された通報先に送信する。この構成によれば、管理者は、充電装置S2の修理に行く前に、動作ログのデータを参考に、充電装置S2の故障を推測することが可能となる。つまり、充電装置S2は、充電装置S2の修理の迅速化にとって好ましい構成である。このことは、エラーログについても同様であり、通報部3が、通報信号とともにエラーログのデータを、予め登録された通報先に送信することで、管理者は、充電装置S2の修理に行く前に、充電装置S2の故障を推測することが可能となる。
【0038】
充電装置S2では、収集部6は、自己診断機能を有する。自己診断機能は、充電装置S2の故障の有無を検知するためのものであり、当該自己診断機能の診断結果は、システムログ(診断ログ)として、管理者端末A1に送信されている。しかしながら、故障の種類によっては、自己診断機能の診断で故障が発生していないと判断されることがある。例えば、充電ケーブル12の物理的な破損、あるいは、充電プラグ13の物理的な破損、表示部4(表示デバイス41)の部分的な欠陥など、通常の充電処理を実行可能な程度の故障では、自己診断機能の診断で故障を検知できないことがある。このような自己診断機能で検知できない故障では、管理者は、診断ログのデータから充電装置S2の故障に気付くことができない。つまり、充電装置S2が故障したままの状態が長期化すること可能性がある。このような事象に対して、充電装置S2では、故障の通報を容易に行うことができるので、自己診断機能で検知できない故障に対して、充電装置S2の利用者にその通報を促すことが可能となる。これにより、管理者は、充電装置S2の故障を早期に気付くことが可能となる。したがって、充電装置S2が故障したままの放置される期間を短縮することができるので、充電装置S2の収益低下を抑制できる。
【0039】
上記第1および第2実施形態に係る各充電装置S1,S2では、通報ボタン31の操作によって、通報信号が通報先に送信される例を示した。この構成と異なり、通報ボタン31が操作された際に、通報信号の送信とともに、通報先と通話可能に構成されていてもよい。当該通話は、アナログ回線を用いたものでも、デジタル回線を用いたものでも、光回線を用いたものであってもよい。また、当該通話は、通信ネットワークNWによるIP(Internet Protocol)技術を利用したものでも、移動体通信技術を利用したものであってもよい。この構成によれば、通報先(管理者)に、より詳細な状況を通報することが可能となる。他の例においては、通報先との通話ではなく、自動応答メッセージを出力(図示しないスピーカからの音声出力または表示部4への表示)してもよい。あるいは、通報ボタン31の操作により、充電装置の故障の状況を絞り込むためのガイダンス画面を表示部4に表示させて、故障の状況を利用者に選択させるようにしてもよいし、テキスト入力画面を表示部4に表示させて、故障の状況を利用者に入力させるようにしてもよい。そして、故障の状況の選択あるいは入力が完了すると、例えば表示部4に表示された図示しない送信ボタンの操作により、通報信号とともに故障の状況を示す信号を、通報先に送信してもよい。このように、利用者に充電装置の故障の状況を知らせてもらうことで、通報先(管理者)に、より詳細な状況を通報することが可能となる。なお、故障の状況とは、先述の、充電コネクタの物理的な破損や異物混入による嵌合不能、充電ケーブルの物理的な破損、および、充電装置の内部異常などである。
【0040】
上記第1および第2実施形態に係る各充電装置S1,S2において、通報ボタン31の操作に対して、当該操作を行った利用者に、返礼品を提供してもよい。当該返礼品は、例えば100円割引クーポン、充電無料(一回)クーポンあるいは、充電装置S1,S2が設置された施設のクーポンなどである。なお、返礼品目当てで、通報ボタン31を操作すること(あるいは意図的に故障させること)を抑制するため、先述の返礼品は、意図的に通報ボタン31を操作させない程度(あるいは各充電装置S1,S2を故障させない程度)のものであることが好ましい。また、各充電装置S1,S2において、通報ボタン31が操作された時には、通報を受け付けた旨のメッセージを表示部4(表示デバイス41)に表示してもよいし、図示しないスピーカから音声出力してもよい。また、通報を受け付けた旨のメッセージの代わりに(あるいはこのメッセージに加えて)、通報に対する謝辞を報知してもよい。報知の方法としては、表示部4(表示デバイス41)への表示および先述のスピーカからの音声出力などがある。
【0041】
本開示に係る充電装置は、上記した実施形態に限定されるものではない。本開示の充電装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0042】
S1,S2:充電装置、A1:管理者端末(通報先)、1:本体部、2:通信部、3:通報部、31:通報ボタン、4:表示部、5:非常停止部、51:非常停止ボタン、6:収集部
図1
図2
図3
図4