(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171705
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御方法、人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御プログラム、および、人力駆動車用の制御システム
(51)【国際特許分類】
B62J 45/00 20200101AFI20241205BHJP
B62M 25/08 20060101ALI20241205BHJP
B62M 6/45 20100101ALI20241205BHJP
【FI】
B62J45/00
B62M25/08
B62M6/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088858
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】福井 裕史
(72)【発明者】
【氏名】久田 敏数
(72)【発明者】
【氏名】田中 隆也
(72)【発明者】
【氏名】上山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】黒田 真央
(72)【発明者】
【氏名】宮永 侑香
(72)【発明者】
【氏名】近井 厚三
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真喜人
(57)【要約】
【課題】ユーザビリティに貢献できる人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御方法、人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御プログラム、および、人力駆動車用の制御システムを提供する。
【解決手段】電子装置の制御方法は、コンポーネントおよび電子装置の少なくとも1つに関する状態が、予め定める状態であるかを判定する判定ステップと、状態が予め定める状態の場合、コンポーネントの識別情報とは異なる少なくとも1つの第1情報を電子装置に送信させるために、コンポーネントに少なくとも1つの第1指令を送信する送信ステップと、を備え、予め定める状態は、電子装置がコンポーネントの識別情報を取得できない状態と、電子装置から送信され、かつ、少なくとも1つの第1指令とは異なる第2指令をコンポーネントが実行しない状態と、の少なくとも1つを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御方法であって、
前記コンポーネントおよび前記電子装置の少なくとも1つに関する状態が、予め定める状態であるかを判定する判定ステップと、
前記状態が前記予め定める状態の場合、前記コンポーネントの識別情報とは異なる少なくとも1つの第1情報を前記コンポーネントから前記電子装置に送信させるために、前記コンポーネントに少なくとも1つの第1指令を送信する送信ステップと、を備え、
前記予め定める状態は、
前記電子装置が前記コンポーネントの識別情報を取得できない状態と、
前記電子装置から送信され、かつ、前記少なくとも1つの第1指令とは異なる第2指令を前記コンポーネントが実行しない状態と、の少なくとも1つを含む、制御方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1指令は、複数の第1指令を含み、
前記少なくとも1つの第1情報は、複数の第1情報を含み、
前記複数の第1指令は、前記複数の第1情報のうちのそれぞれ異なる1つを前記電子装置に送信させるための指令であり、
前記送信ステップにおいて、前記複数の第1指令を1つずつ送信する、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記送信ステップにおいて、前記複数の第1指令のうちの1つを送信してから予め定める期間が経過する場合と、前記複数の第1指令のうちの前記1つを送信した後、前記複数の第1指令のうちの前記1つと対応する前記少なくとも1つの第1情報を前記コンポーネントから受信する場合と、の少なくとも1つにおいて、前記複数の第1指令のうちの他の1つを送信する、請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記電子装置は、操作部を含み、
前記送信ステップにおいて、前記状態が前記予め定める状態の場合、ユーザの前記操作部の操作に応じて、前記少なくとも1つの第1指令を前記コンポーネントに送信する、請求項1に記載の制御方法。
【請求項5】
前記電子装置は、表示部をさらに含み、
前記判定ステップにおける判定結果を前記表示部に表示する表示ステップをさらに備える、請求項1に記載の制御方法。
【請求項6】
前記電子装置は、記憶部をさらに含み、
前記少なくとも1つの第1指令に応じて送信される前記少なくとも1つの第1情報を、記憶部に記憶する記憶ステップをさらに備える、請求項1に記載の制御方法。
【請求項7】
前記電子装置が電気通信ケーブルおよび無線通信機の少なくとも1つを介して前記コンポーネントに接続されていることを確認する確認ステップをさらに備える、請求項1に記載の制御方法。
【請求項8】
前記判定ステップは、前記確認ステップの終了後に実行される、請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記第2指令は、前記コンポーネントのファームウェアの更新指令、および、前記コンポーネントのメンテナンス指令の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の制御方法。
【請求項10】
前記コンポーネントは、変速装置、変速操作装置、前記人力駆動車に推進力を付与するドライブユニット、バッテリユニット、サスペンション装置、シートポスト装置、制動装置、および、サイクルコンピュータの少なくとも1つを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項11】
人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御プログラムであって、
前記コンポーネントおよび前記電子装置の少なくとも1つに関する状態が、予め定める状態であるかを判定する判定ステップと、
前記状態が前記予め定める状態の場合、前記コンポーネントの識別情報とは異なる少なくとも1つの第1情報を前記コンポーネントから送信させるために、前記コンポーネントに少なくとも1つの第1指令を送信する送信ステップと、を前記電子装置に実行させ、
前記予め定める状態は、
前記電子装置が前記コンポーネントの識別情報を取得できない状態と、
前記電子装置から送信され、かつ、前記少なくとも1つの第1指令とは異なる第2指令を前記コンポーネントが実行しない状態と、の少なくとも1つを含む、制御プログラム。
【請求項12】
人力駆動車用の制御システムであって、
前記人力駆動車用のコンポーネントと、
前記コンポーネントと通信可能に構成される電子装置と、を備え、
前記電子装置は、
前記コンポーネントおよび前記電子装置の少なくとも1つに関する状態が、予め定める状態であるかを判定するように構成され、かつ、
前記状態が前記予め定める状態の場合、前記コンポーネントの識別情報とは異なる少なくとも1つの第1情報を前記コンポーネントから前記電子装置に送信させるために、前記コンポーネントに少なくとも1つの第1指令を送信するように構成される制御部を含み、
前記予め定める状態は、
前記電子装置が前記コンポーネントの識別情報を取得できない状態と、
前記電子装置から送信され、かつ、前記第1指令とは異なる第2指令を前記コンポーネントが実行しない状態と、の少なくとも1つを含む、制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御方法、人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御プログラム、および、人力駆動車用の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の人力駆動車は、人力駆動車用のコンポーネントと、人力駆動車用のコンポーネントと通信可能な電子装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的の1つは、ユーザビリティに貢献できる人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御方法、人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御プログラム、および、人力駆動車用の制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う制御方法は、人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御方法であって、前記コンポーネントおよび前記電子装置の少なくとも1つに関する状態が、予め定める状態であるかを判定する判定ステップと、前記状態が前記予め定める状態の場合、前記コンポーネントの識別情報とは異なる少なくとも1つの第1情報を前記コンポーネントから前記電子装置に送信させるために、前記コンポーネントに少なくとも1つの第1指令を送信する送信ステップと、を備え、前記予め定める状態は、前記電子装置が前記コンポーネントの識別情報を取得できない状態と、前記電子装置から送信され、かつ、前記少なくとも1つの第1指令とは異なる第2指令を前記コンポーネントが実行しない状態と、の少なくとも1つを含む。
第1側面の制御方法によれば、コンポーネントおよび電子装置の少なくとも1つに関する状態が、予め定める状態である場合であっても、少なくとも1つの第1情報を取得できる可能性がある。したがって、ユーザが少なくとも1つの第1情報を利用できるため、ユーザビリティに貢献できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の制御方法において、前記少なくとも1つの第1指令は、複数の第1指令を含み、前記少なくとも1つの第1情報は、複数の第1情報を含み、前記複数の第1指令は、前記複数の第1情報のうちのそれぞれ異なる1つを前記電子装置に送信させるための指令であり、前記送信ステップにおいて、前記複数の第1指令を1つずつ送信する。
第2側面の制御方法によれば、コンポーネントおよび電子装置の少なくとも1つに関する状態が、予め定める状態である場合であっても、少なくとも1つの第1情報を取得できる可能性がさらに高まる。
【0007】
本開示の第2側面に従う第3側面の制御方法において、前記送信ステップにおいて、前記複数の第1指令のうちの1つを送信してから予め定める期間が経過する場合と、前記複数の第1指令のうちの前記1つを送信した後、前記複数の第1指令のうちの前記1つと対応する前記少なくとも1つの第1情報を前記コンポーネントから受信する場合と、の少なくとも1つにおいて、前記複数の第1指令のうちの他の1つを送信する。
第3側面の制御方法によれば、複数の第1指令を1つずつ送信することによって、電子装置およびコンポーネントにおける処理の負荷を低減できる。
【0008】
本開示の第1から第3側面のいずれか1つに従う第4側面の制御方法において、前記電子装置は、操作部を含み、前記送信ステップにおいて、前記状態が前記予め定める状態の場合、ユーザの前記操作部の操作に応じて、前記少なくとも1つの第1指令を前記コンポーネントに送信する。
第4側面の制御方法によれば、ユーザの操作部の操作に応じて、少なくとも1つの第1指令をコンポーネントに送信できるため、ユーザが所望する場合に少なくとも1つの第1情報を取得できる可能性がある。
【0009】
本開示の第1から第4側面のいずれか1つに従う第5側面の制御方法において、前記電子装置は、表示部をさらに含み、前記判定ステップにおける判定結果を前記表示部に表示する表示ステップをさらに備える。
第5側面の制御方法によれば、判定結果が表示部に表示されるため、ユーザが判定結果を把握できる。
【0010】
本開示の第1から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の制御方法において、前記電子装置は、記憶部をさらに含み、前記少なくとも1つの第1指令に応じて送信される前記少なくとも1つの第1情報を、記憶部に記憶する記憶ステップをさらに備える。
第6側面の制御方法によれば、少なくとも1つの第1情報が記憶部に記憶されるため、ユーザが少なくとも1つの第1情報を利用しやすい。
【0011】
本開示の第1から第6側面のいずれか1つに従う第7側面の制御方法において、前記電子装置が電気通信ケーブルおよび無線通信機の少なくとも1つを介して前記コンポーネントに接続されていることを確認する確認ステップをさらに備える。
第7側面の制御方法によれば、確認ステップによって、電子装置が電気通信ケーブルおよび無線通信機の少なくとも1つを介してコンポーネントに接続されていることを確認できる。
【0012】
本開示の第7側面に従う第8側面の制御方法において、前記判定ステップは、前記確認ステップの終了後に実行される。
第8側面の制御方法によれば、判定ステップを好適に実行できる。
【0013】
本開示の第1から第8側面のいずれか1つに従う第9側面の制御方法において、前記第2指令は、前記コンポーネントのファームウェアの更新指令、および、前記コンポーネントのメンテナンス指令の少なくとも1つを含む。
第9側面の制御方法によれば、コンポーネントのファームウェアの更新指令、および、コンポーネントのメンテナンス指令の少なくとも1つが実行されない場合、少なくとも1つの第1情報を取得できる可能性がある。
【0014】
本開示の第1から第9側面のいずれか1つに従う第10側面の制御方法において、前記コンポーネントは、変速装置、変速操作装置、前記人力駆動車に推進力を付与するドライブユニット、バッテリユニット、サスペンション装置、シートポスト装置、制動装置、および、サイクルコンピュータの少なくとも1つを含む。
第10側面の制御方法によれば、変速装置、変速操作装置、ドライブユニット、バッテリユニット、サスペンション装置、シートポスト装置、制動装置、および、サイクルコンピュータから、少なくとも1つの第1情報を取得できる可能性がある。
【0015】
本開示の第11側面に従う制御プログラムは、人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御プログラムであって、前記コンポーネントおよび前記電子装置の少なくとも1つに関する状態が、予め定める状態であるかを判定する判定ステップと、前記状態が前記予め定める状態の場合、前記コンポーネントの識別情報とは異なる少なくとも1つの第1情報を前記コンポーネントから送信させるために、前記コンポーネントに少なくとも1つの第1指令を送信する送信ステップと、を前記電子装置に実行させ、前記予め定める状態は、前記電子装置が前記コンポーネントの識別情報を取得できない状態と、前記電子装置から送信され、かつ、前記第1指令とは異なる第2指令を前記コンポーネントが実行しない状態と、の少なくとも1つを含む。
第11側面の制御プログラムによれば、コンポーネントおよび電子装置の少なくとも1つに関する状態が、予め定める状態である場合であっても、少なくとも1つの第1情報を取得できる可能性がある。したがって、ユーザが少なくとも1つの第1情報を利用できるため、ユーザビリティに貢献できる。
【0016】
本開示の第12側面に従う制御システムは、人力駆動車用の制御システムであって、前記人力駆動車用のコンポーネントと、前記コンポーネントと通信可能に構成される電子装置と、を備え、前記電子装置は、前記コンポーネントおよび前記電子装置の少なくとも1つに関する状態が、予め定める状態であるかを判定するように構成され、かつ、前記状態が前記予め定める状態の場合、前記コンポーネントの識別情報とは異なる少なくとも1つの第1情報を前記コンポーネントから前記電子装置に送信させるために、前記コンポーネントに少なくとも1つの第1指令を送信するように構成される制御部を含み、前記予め定める状態は、前記電子装置が前記コンポーネントの識別情報を取得できない状態と、前記電子装置から送信され、かつ、前記少なくとも1つの第1指令とは異なる第2指令を前記コンポーネントが実行しない状態と、の少なくとも1つを含む。
第12側面の制御システムによれば、コンポーネントおよび電子装置の少なくとも1つに関する状態が、予め定める状態である場合であっても、少なくとも1つの第1情報を取得できる可能性がある。したがって、ユーザが少なくとも1つの第1情報を利用できるため、ユーザビリティに貢献できる。
【発明の効果】
【0017】
本開示の人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御方法、人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御プログラム、および、人力駆動車用の制御システムは、ユーザビリティに貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態の人力駆動車用の制御システムが備える人力駆動車用のコンポーネントを含む人力駆動車の側面図である。
【
図2】実施形態の人力駆動車用の制御システムの電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2の電子装置の制御部によって実行される処理のフローチャートである。
【
図4】
図2の表示部に表示される画面の一例を示す模式図である。
【
図5】
図3の第1情報取得制御のサブルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
図1から
図5を参照して、人力駆動車用のコンポーネント42と通信可能に構成される電子装置80の制御方法、人力駆動車用のコンポーネント42と通信可能に構成される電子装置80の制御プログラム、および、人力駆動車用の制御システム40が説明される。
【0020】
人力駆動車は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車は、例えば1輪車および2輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するE-bikeを含む。E-bikeは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、それぞれの実施形態において、人力駆動車は、自転車として説明される。
【0021】
人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪12と、車体14と、を含む。少なくとも1つの車輪12は、例えば、前輪12F、および、後輪12Rを含む。車体14は、フレーム16を含む。例えば、フレーム16にはサドル16Aが取り付けられる。
【0022】
人力駆動車10は、例えば、人力駆動力が入力されるクランク18をさらに含む。クランク18は、例えば、クランクアーム20およびクランク軸22を含む。クランク軸22は、例えば、フレーム16に対して回転可能である。クランクアーム20には、例えば、ペダル24A,24Bが連結される。クランクアーム20は、例えば、第1クランクアーム20Aおよび第2クランクアーム20Bを含む。
【0023】
第1クランクアーム20Aおよび第2クランクアーム20Bのそれぞれは、例えば、クランク軸22の軸方向の端部のそれぞれに設けられる。第1クランクアーム20Aには、例えば、第1ペダル24Aが連結される。第2クランクアーム20Bには、例えば、第2ペダル24Bが連結される。
【0024】
フレーム16には、フロントフォーク26が接続される。フロントフォーク26には、前輪12Fが取り付けられる。フロントフォーク26には、ハンドルバー28がステム30を介して連結される。後輪12Rは、フレーム16に支持される。本実施形態では、クランク18は、駆動機構32によって後輪12Rと連結される。後輪12Rは、クランク軸22が回転することによって駆動される。前輪12Fおよび後輪12Rの少なくとも1つが、駆動機構32によってクランク18に連結されてもよい。
【0025】
駆動機構32は、クランク軸22に連結される少なくとも1つの第1回転体34を含む。少なくとも1つの第1回転体34は、例えば、フロントスプロケットを含む。少なくとも1つの第1回転体34は、プーリ、または、ベベルギアを含んでいてもよい。クランク軸22は、フロントスプロケットと、ワンウェイクラッチを介して連結されてもよい。
【0026】
駆動機構32は、少なくとも1つの第2回転体36および伝達部材38をさらに含む。伝達部材38は、少なくとも1つの第1回転体34の回転力を少なくとも1つの第2回転体36に伝達するように構成される。伝達部材38は、例えば、チェーンを含む。伝達部材38は、ベルト、または、シャフトを含んでいてもよい。少なくとも1つの第2回転体36は、例えば、リアスプロケットを含む。少なくとも1つの第2回転体36は、プーリ、または、ベベルギアを含んでもよい。チェーンは、例えば、フロントスプロケットおよびリアスプロケットに巻き掛けられる。少なくとも1つの第2回転体36は、例えば、後輪12Rに連結される。後輪12Rは、例えば、少なくとも1つの第2回転体36の回転にともなって回転するように構成される。
【0027】
人力駆動車用の制御システム40は、人力駆動車用のコンポーネント42と、コンポーネント42と通信可能に構成される電子装置80と、を備える。コンポーネント42は、例えば、人力駆動車10に設けられる。コンポーネント42は、例えば、車体14に取り付け可能に構成される。コンポーネント42は、例えば、人力駆動車10に取り付けられた状態において使用されるコンポーネント42である。
【0028】
コンポーネント42は、例えば、変速装置44、変速操作装置46、人力駆動車10に推進力を付与するドライブユニット48、バッテリユニット50、サスペンション装置52、シートポスト装置54、制動装置56、および、サイクルコンピュータ58の少なくとも1つを含む。
【0029】
変速装置44は、人力駆動車10の変速比率を変更するように構成される変速機44Aを含む。変速装置44は、変速機44Aを動作させるアクチュエータを含んでもよい。変速機44Aは、例えば、ディレイラを含む。ディレイラは、例えば、リアディレイラを含む。ディレイラは、フロントディレイラを含んでもよい。ディレイラは、例えば、人力駆動車10における人力駆動力の伝達経路に設けられ、かつ、変速比率を変更するように構成される。変速比率は、例えば、クランク軸22の回転速度に対する少なくとも1つの車輪12の回転速度の比率である。少なくとも1つの車輪12の回転速度は、例えば、駆動輪の回転速度を含む。駆動輪は、例えば、後輪12Rを含む。駆動輪は、前輪12Fを含んでいてもよい。変速機44Aは、内装変速機を含んでもよい。
【0030】
アクチュエータは、例えば、電気モータを含む。アクチュエータは、例えば、ディレイラを動作させるように構成される。変速装置44は、例えば、少なくとも1つの第2回転体36および伝達部材38をさらに含む。少なくとも1つの第2回転体36は、複数の第2回転体36を含む。ディレイラは、複数の第2回転体36のうちの1つから、複数の第2回転体36のうちの他の1つに伝達部材38を掛け替えることによって変速比率を変更する。変速比率と、少なくとも1つの車輪12の回転速度と、クランク軸22の回転速度との関係は、式(1)によって表される。式(1)において、Rは、変速比率を示す。式(1)において、Wは、駆動輪の回転速度を示す。式(1)において、Cは、クランク軸22の回転速度を示す。
式(1):R=W(rpm)/C(rpm)
【0031】
変速操作装置46は、例えば、ハンドルバー28に設けられる。変速操作装置46は、例えば、比率を大きくするための第1操作部、および、比率を小さくするための第2操作部を含む。
【0032】
ドライブユニット48は、例えば、人力駆動車10に推進力を付与するモータ48Aを含む。ドライブユニット48は、例えば、モータ48Aが設けられるハウジング48Bをさらに含む。ドライブユニット48は、例えば、クランク軸22に設けられる。ドライブユニット48は、少なくとも1つの車輪12に設けられるハブモータであってもよい。
【0033】
バッテリユニット50は、例えば、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、例えば、充電池を含む。バッテリユニット50は、例えば、フレーム16に設けられる。バッテリユニット50は、例えば、バッテリユニット50以外のコンポーネント42に電力を供給する。
【0034】
例えば、サスペンション装置52は、フロントサスペンション、および、リアサスペンションの少なくとも1つを含む。例えば、フロントサスペンションは、フロントフォーク26に設けられて前輪12Fに加えられた衝撃を減衰する。例えば、リアサスペンションは、フレーム16に設けられて後輪12Rに加えられた衝撃を減衰する。
【0035】
サスペンション装置52は、油圧式、空気圧式、および、油圧を含むハイブリッド式のサスペンションのいずれであってもよい。サスペンション装置52は、例えば、電動アクチュエータまたは電動モータを含む。サスペンション装置52は、油または空気の流路を開閉するバルブを含む。
【0036】
サスペンション装置52は、複数の動作状態によって動作する。複数の動作状態は、サスペンション装置52のストローク長、サスペンション装置52の反発力、および、サスペンション装置52の減衰力の少なくとも1つが異なる動作状態を含む。サスペンション装置52は、動作指令に応じて、複数の動作状態を切り替えるように構成される。例えば、サスペンション装置52の反発力は、サスペンション装置52のロック状態、アンロック状態、および、半ロック状態の場合の反発力を含む。
【0037】
シートポスト装置54は、例えば、シートポスト16Bに取り付けられる。シートポスト装置54は、シートポスト16Bをフレーム16に対して上昇および下降させる。シートポスト装置54は、例えば、電動アクチュエータまたは電動モータを含む。シートポスト装置54は、電動アクチュエータまたは電動モータを動作させることによって、シートポスト16Bの上昇と下降とを制御する。
【0038】
シートポスト装置54は、シートポスト16Bの高さが異なる複数の動作状態によって動作する。シートポスト装置54は、動作指令に応じて、動作状態を切り替える。機械式シートポストの場合、シートポスト装置54は、動作指令を受け取ると、バルブを開く。機械式シートポストの場合、動作指令を受け取ると、所定時間の間バルブを開く構成としてもよい。機械式シートポストの場合、動作指令を受け取ると、次に動作指令を受け取るまでバルブを開く構成としてもよい。電気式シートポストの場合、シートポスト装置54は、動作指令を受け取ると、電動アクチュエータまたは電動モータを動作させる。
【0039】
制動装置56は、人力駆動車10を制動する。制動装置56は、例えば、前輪12Fおよび後輪12Rの少なくとも1つに設けられる。制動装置56は、油圧式ブレーキであってもよい。制動装置56が油圧式の場合、制動装置56は、例えば、電動ポンプを含む。
【0040】
サイクルコンピュータ58は、例えば、表示画面を含む。サイクルコンピュータ58は、例えば、ハンドルバー28に設けられる。サイクルコンピュータ58は、例えば、人力駆動車10の走行状態、および、コンポーネント42の動作状態の少なくとも1つに関する情報を表示画面に表示するように構成される。
【0041】
コンポーネント42は、例えば、制御部60を含む。制御部60は、例えば、各種制御を実行するためのプログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部60は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部60は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。
【0042】
コンポーネント42は、例えば、記憶部62をさらに含む。記憶部62は、例えば、各種制御を実行するためのプログラムおよび制御処理に用いられる情報を記憶する。記憶部62は、例えば、不揮発性メモリおよび揮発性メモリの少なくとも1つを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。
【0043】
記憶部62は、識別情報を記憶するように構成される。識別情報は、例えば、電子装置80がコンポーネント42の種類を把握可能な情報である。識別情報は、例えば、コンポーネント42の出荷時に、記憶部62に記憶される。
【0044】
記憶部62は、少なくとも1つの第1情報を記憶するように構成される。少なくとも1つの第1情報のそれぞれは、例えば、制御部60が送信した通信内容、制御部60が受信した通信内容、制御部60によって判定された判定結果、および、記憶部62のフラッシュ領域のダンプデータの少なくとも1つを含む。
【0045】
コンポーネント42は、例えば、通信部64をさらに含む。コンポーネント42は、電気通信ケーブルおよび無線通信機の少なくとも1つを介して電子装置80に接続可能に構成される。通信部64は、コンポーネント42とは異なる人力駆動車用のコンポーネントと通信するように構成されていてもよい。
【0046】
電子装置80は、人力駆動車用のコンポーネント42と通信可能に構成される。電子装置80は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、および、サーバの少なくとも1つを含む。電子装置80は、例えば、人力駆動車10とは各別に設けられる。電子装置80は、例えば、インターネット通信可能に構成される。
【0047】
電子装置80は、例えば、制御部82を含む。制御部82は、例えば、各種制御を実行するためのプログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えば、CPUまたはMPUを含む。制御部82は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部82は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。
【0048】
電子装置80は、例えば、記憶部84をさらに含む。記憶部84は、例えば、各種制御を実行するためのプログラムおよび制御処理に用いられる情報を記憶する。記憶部84は、例えば、不揮発性メモリおよび揮発性メモリの少なくとも1つを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM、EPROM、EEPROM、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAMを含む。記憶部84は、例えば、コンポーネント42に設けられる。
【0049】
電子装置80は、例えば、操作部86を含む。操作部86は、ユーザが操作可能である。操作部86は、例えば、キーボード、マウス、および、ボタン、タッチパネルの少なくとも1つを含む。操作部86は、制御部82と電気的に接続される。
【0050】
電子装置80は、例えば、表示部88をさらに含む。表示部88は、例えば、画像を表示可能な表示パネルを含む。表示パネルは、液晶表示パネルであってもよく、有機EL(Electro-Luminescence)パネルであってもよい。表示部88は、音声を出力できるスピーカを含んでいてもよい。制御部82は、例えば、各種の情報を表示部88に表示させるように表示部88を制御するように構成される。
【0051】
電子装置80は、例えば、通信部90をさらに含む。電子装置80は電気通信ケーブルおよび無線通信機の少なくとも1つを介してコンポーネント42に接続可能に構成される。電子装置80が電気通信ケーブルを介してコンポーネント42に接続可能に構成される場合、通信部90は、例えば、コンポーネント42の通信部64と有線通信するように構成される。電子装置80が電気通信ケーブルを介してコンポーネント42に接続可能に構成される場合、通信部90は、例えば、電力線通信(PLC;Power Line Communication)、および、CAN(Controller Area Network)等の少なくとも1つによってコンポーネント42と通信するように構成される。電子装置80が無線通信機を介してコンポーネント42に接続可能に構成される場合、通信部90は、コンポーネント42の通信部64と無線通信するように構成される無線通信機である。電子装置80が無線通信機を介してコンポーネント42に接続可能に構成される場合、通信部90は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、および、赤外線通信等の少なくとも1つによってコンポーネント42と通信するように構成される無線通信機である。
【0052】
記憶部84は、予め定める状態に応じた制御を実行するための制御プログラムを記憶する。制御プログラムは、例えば、制御部82によって実行される。制御プログラムは、判定ステップと、送信ステップと、を電子装置80に実行させる制御プログラムである。判定ステップは、コンポーネント42および電子装置80の少なくとも1つに関する状態が、予め定める状態であるかを判定する。送信ステップは、状態が予め定める状態の場合、コンポーネント42の識別情報とは異なる少なくとも1つの第1情報をコンポーネント42から送信させるために、コンポーネント42に少なくとも1つの第1指令を送信する。
【0053】
制御部82は、例えば、制御プログラムに基づいた電子装置80の制御方法によって、予め定める状態に応じた制御を実行する。制御部82は、例えば、予め定める状態に応じた制御を実行するための制御プログラムに関する予め定めるアプリケーションを実行可能に構成される。予め定めるアプリケーションは、例えば、制御部82がコンポーネント42をメンテナンスするためのアプリケーションである。予め定めるアプリケーションは、例えば、コンポーネント42の製造者によって提供される。コンポーネント42の制御部60は、例えば、出荷時に、予め定めるアプリケーションを介して第1指令を受信した場合、第1情報を送信するように設定される。
【0054】
電子装置80の制御方法は、判定ステップと、送信ステップと、を備える。制御部82は、コンポーネント42および電子装置80の少なくとも1つに関する状態が、予め定める状態であるかを判定するように構成され、かつ、状態が予め定める状態の場合、コンポーネント42の識別情報とは異なる少なくとも1つの第1情報をコンポーネント42から電子装置80に送信させるために、コンポーネント42に少なくとも1つの第1指令を送信するように構成される。
【0055】
予め定める状態は、電子装置80がコンポーネント42の識別情報を取得できない状態と、電子装置80から送信され、かつ、少なくとも1つの第1指令とは異なる第2指令をコンポーネント42が実行しない状態と、の少なくとも1つを含む。
【0056】
予め定める状態は、例えば、コンポーネント42に異常が生じている状態を含む。予め定める状態は、例えば、コンポーネント42が正常ではない場合を含む。予め定める状態は、例えば、コンポーネント42が出荷後に製造者および正規の販売者以外によって改造された状態を含む。予め定める状態は、例えば、コンポーネント42が故障している状態を含む。予め定める状態は、例えば、電子装置80がコンポーネント42を認識できない状態を含む。予め定める状態は、例えば、コンポーネント42に異常が生じていないが、電子装置80がコンポーネント42を認識できない状態を含む。
【0057】
制御部82は、例えば、電子装置80がコンポーネント42と電気通信ケーブルおよび無線通信機の少なくとも1つによって接続されると、コンポーネント42に識別情報を送信させるための予め定める指令を送信する。制御部82は、電子装置80がコンポーネント42と電気通信ケーブルおよび無線通信機の少なくとも1つによって接続されると、自動的に予め定める指令を送信するように構成されてもよく、操作部86に予め定める操作が行われると、予め定める指令を送信するように構成されてもよい。
【0058】
コンポーネント42が正常である場合、コンポーネント42の制御部60は、例えば、予め定める指令を受信すると、自身の識別情報を電子装置80に送信する。制御部82は、識別情報を受信すると、例えば、コンポーネント42に関する情報を表示部88に表示させる。
【0059】
第2指令は、例えば、コンポーネント42のファームウェアの更新指令、および、コンポーネント42のメンテナンス指令の少なくとも1つを含む。コンポーネント42が正常である場合、制御部60は、例えば、第2指令を受信すると、第2指令に基づいた制御を実行する。制御部60は、例えば、第2指令を受信すると、第2指令を受信したという受信情報を電子装置80に送信する。制御部60は、第2指令に基づいた制御の実行が完了すると、完了情報を電子装置80に送信するように構成されてもよい。制御部82は、例えば、第2指令を送信した後に、受信情報または完了情報を受信しない場合、コンポーネント42が予め定める状態であると判定するように構成されてもよい。
【0060】
少なくとも1つの第1指令は、例えば、複数の第1指令を含む。少なくとも1つの第1情報は、例えば、複数の第1情報を含む。複数の第1指令は、複数の第1情報のうちのそれぞれ異なる1つを電子装置80に送信させるための指令である。電子装置80の制御方法は、例えば、送信ステップにおいて、複数の第1指令を1つずつ送信する。制御部82は、送信ステップを実行する場合、例えば、複数の第1指令を1つずつ送信するように通信部90を制御するように構成される。
【0061】
電子装置80の制御方法は、送信ステップにおいて、複数の第1指令のうちの1つを送信してから予め定める期間が経過する場合と、複数の第1指令のうちの1つを送信した後、複数の第1指令のうちの1つと対応する少なくとも1つの第1情報をコンポーネント42から受信する場合と、の少なくとも1つにおいて、複数の第1指令のうちの他の1つを送信する。制御部82は、送信ステップを実行する場合、例えば、複数の第1指令のうちの1つを送信してから予め定める期間が経過する場合と、複数の第1指令のうちの1つを送信した後、複数の第1指令のうちの1つと対応する少なくとも1つの第1情報をコンポーネント42から受信する場合と、の少なくとも1つにおいて、複数の第1指令のうちの他の1つを送信するように通信部90を制御するように構成される。
【0062】
制御部82は、送信ステップを実行する場合、予め定める期間ごとに複数の第1指令を1つずつ送信するように構成されてもよい。制御部82は、送信ステップを実行する場合、複数の第1指令を連続して送信するように構成されてもよい。
【0063】
電子装置80の制御方法は、送信ステップにおいて、状態が予め定める状態の場合、ユーザの操作部86の操作に応じて、少なくとも1つの第1指令をコンポーネント42に送信する。制御部82は、送信ステップを実行する場合、例えば、状態が予め定める状態の場合、ユーザの操作部86の操作に応じて、少なくとも1つの第1指令をコンポーネント42に送信するように通信部90を制御するように構成される。
【0064】
電子装置80の制御方法は、判定ステップにおける判定結果を表示部88に表示する表示ステップをさらに備える。制御部82は、表示ステップを実行する場合、例えば、判定結果を表示部88に表示するように表示部88を制御するように構成される。
【0065】
電子装置80の制御方法は、少なくとも1つの第1指令に応じて送信される少なくとも1つの第1情報を、記憶部84に記憶する記憶ステップをさらに備える。制御部82は、記憶ステップを実行する場合、例えば、少なくとも1つの第1指令に応じて送信される少なくとも1つの第1情報を記憶するように記憶部84を制御するように構成される。制御部82は、例えば、記憶部84の不揮発性メモリに、第1情報を記憶する。制御部82は、複数の第1指令を送信する場合、例えば、第1情報を受信するごとに、第1情報を記憶するように記憶部84を制御するように構成される。
【0066】
電子装置80の制御方法は、電子装置80が電気通信ケーブルおよび無線通信機の少なくとも1つを介してコンポーネント42に接続されていることを確認する確認ステップをさらに備える。制御部82は、電子装置80が電気通信ケーブルを介してコンポーネント42に接続され、かつ、確認ステップを実行する場合、例えば、電気通信ケーブルを流れる電気の電流および電圧の少なくとも1つの変化に基づいてコンポーネント42に接続されていることを確認するように構成される。制御部82は、電子装置80が無線通信機を介してコンポーネント42に接続され、かつ、確認ステップを実行する場合、例えば、コンポーネント42から送信される無線信号の受信に基づいてコンポーネント42に接続されていることを確認するように構成される。コンポーネント42から送信される無線信号は、例えば、コンポーネント42の識別情報を含まない。コンポーネント42から送信される無線信号は、例えば、ブロードキャスト通信による無線信号である。
【0067】
制御部82は、操作部86の操作に応じて確認ステップを実行してもよい。制御部82は、例えば、予め定めるアプリケーションの実行中に、電子装置80と接続されているコンポーネント42を表示部88に表示させるための操作が操作部86に入力されると、電子装置80が電気通信ケーブルおよび無線通信機の少なくとも1つを介してコンポーネント42に接続されていることを確認する。制御部82は、例えば、予め定めるアプリケーションを実行するための操作が操作部86に入力されると、電子装置80が電気通信ケーブルおよび無線通信機の少なくとも1つを介してコンポーネント42に接続されていることを確認してもよい。制御部82は、例えば、アプリケーションの実行前または実行中に、ユーザに電子装置80とコンポーネント42との接続作業を促す表示をするように表示部88を制御する。
【0068】
電子装置80が電気通信ケーブルを介してコンポーネント42に接続される場合、電子装置80とコンポーネント42との接続作業は、例えば、電気通信ケーブルを電子装置80およびコンポーネント42に接続する作業である。電子装置80が無線通信機を介してコンポーネント42に接続される場合、電子装置80とコンポーネント42との接続作業は、例えば、コンポーネント42に設けられる無線通信操作部を操作する作業である。
【0069】
制御部82が操作部86の操作に応じて確認ステップを実行する場合、制御部82は、例えば、電子装置80とコンポーネント42との接続作業を行った接続情報を操作部86に入力させることを促す表示を表示部88に表示させてもよい。操作部86に接続情報が入力されると、制御部82は、電子装置80が電気通信ケーブルおよび無線通信機の少なくとも1つを介してコンポーネント42に接続されていることを確認できる。
【0070】
判定ステップは、確認ステップの終了後に実行される。制御部82は、例えば、確認ステップを実行した後に、判定ステップを実行するように構成される。制御部82は、例えば、確認ステップを実行した後に、操作部86に判定ステップを実行するための操作が行われると、判定ステップを実行するように構成される。
【0071】
図3から
図5を参照して、制御部82が第1指令を送信する処理が説明される。制御部82は、例えば、予め定めるアプリケーションが実行されると、処理を開始して
図3に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部82は、例えば、予め定めるアプリケーションが実行された状態において、予め定める操作が操作部86に入力されると、処理を開始して
図3に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部82は、制御部82に電力が供給されると、処理を開始して
図3に示すフローチャートのステップS11に移行してもよい。制御部60は、
図3のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期の経過後にステップS11からの処理を繰り返す。
【0072】
制御部82は、ステップS11において、コンポーネント42に接続されているか否かを判定する。ステップS11は、例えば、確認ステップと対応する。制御部82は、コンポーネント42が接続されていない場合、処理を終了する。制御部82は、コンポーネント42が接続されている場合、ステップS12に移行する。
【0073】
制御部82は、ステップS12において、コンポーネント42および電子装置80の少なくとも1つの状態が、予め定める状態か否かを判定する。ステップS12は、例えば、判定ステップと対応する。制御部82は、コンポーネント42および電子装置80の少なくとも1つの状態が、予め定める状態ではない場合、ステップS17に移行する。
【0074】
制御部82は、ステップS17において、コンポーネント42を通常制御する。制御部82は、例えば、ステップS17において、操作部86の操作に応じて、コンポーネント42のファームウェアの更新指令、および、メンテナンス指令の少なくとも1つをコンポーネント42に送信するように構成される。
【0075】
制御部82は、ステップS12において、コンポーネント42および電子装置80の少なくとも1つの状態が、予め定める状態の場合、ステップS13に移行する。制御部82は、ステップS13において、判定結果を表示部88に表示するように表示部88を制御して、ステップS14に移行する。ステップS13は、判定ステップに対応する。
図4は、表示部88に表示される判定結果の一例を示す。
図4では、複数のコンポーネント42の判定結果が表示されている。
図4では、第1コンポーネントが予め定める状態であり、第2コンポーネント、第3コンポーネント、および、第4コンポーネントは、予め定める状態ではない。例えば、予め定める状態であったコンポーネント42は、第1表示方法によって表示部88に表示され、かつ、予め定める状態ではないコンポーネント42は、第1表示方法とは異なる第2表示方法によって表示部88に表示される。第1表示方法では、例えば、コンポーネント42を示す画像が灰色の画像によって表示部88に表示される。第2表示方法では、例えば、コンポーネント42を示す画像がカラーの画像によって表示部88に表示される。
【0076】
制御部82は、少なくとも1つのコンポーネント42が予め定める状態の場合、画面に予め定める状態のコンポーネント42が存在することを示す画像によって表示部88に表示させてもよい。
図4では、画面に予め定める状態のコンポーネント42が存在することを示す画像は、「一部のコンポーネントが認識できませんでした」という文字画像である。制御部82は、少なくとも1つのコンポーネント42が予め定める状態の場合、ポップアップ画面に予め定める状態のコンポーネント42が存在することを示す画像によって表示部88に表示させてもよい。
【0077】
制御部82は、ステップS14において、操作部86が操作されたか否かを判定する。制御部82は、表示部88に表示される第1情報を取得するための画像が選択される操作が操作部86に行われた場合、操作部86が操作されたと判定する。
図4の例では、第1情報を取得するための画像は、「第1情報を取得する」という文字画像である。制御部82は、操作部86が操作された場合、ステップS15に移行する。制御部82は、操作部86が操作されない場合、ステップS16に移行する。
【0078】
制御部82は、ステップS16において、終了条件が満たされるか否かを判定する。制御部82は、例えば、予め定めるアプリケーションを終了するための操作が操作部86に行われた場合、終了条件が満たされると判定する。制御部82は、終了条件が満たされると、
図3の処理を終了する。制御部82は、終了条件が満たされない場合、ステップS14に移行する。
【0079】
制御部82は、ステップS15において、第1情報取得制御を実行し、
図3の処理を終了する。制御部82は、ステップS15に移行すると、
図5のステップS21からの処理を実行するように構成される。
図3のステップS14、
図5のステップS21、および、ステップS22は、送信ステップと対応する。
【0080】
制御部82は、ステップS21において、送信する第1指令を決定し、ステップS22に移行する。制御部82は、例えば、複数の第1指令のうちの1つを送信する第1指令と決定する。制御部82は、例えば、未送信の1つ以上の第1指令のうちの1つを送信する第1指令と決定する。制御部82は、ステップS22において、第1指令を送信して、ステップS23に移行する。制御部82は、例えば、ステップS21で決定した第1指令を送信する。
【0081】
制御部82は、ステップS23において、第1情報を受信したか否かを判定する。制御部82は、第1情報を受信した場合、ステップS24に移行する。制御部82は、ステップS24において、受信した第1情報を記憶部84に記憶してステップS25に移行する。ステップS24は、記憶ステップと対応する。
【0082】
制御部82は、ステップS23において、第1情報を受信していない場合、ステップS26に移行する。制御部82は、ステップS26において予め定める期間が経過したか否かを判定する。制御部82は、例えば、第1指令を送信してからの経過期間が予め定める期間以上になった場合、予め定める期間が経過したと判定する。制御部82は、予め定める期間が経過していない場合、ステップS23に移行する。制御部82は、予め定める期間が経過した場合、ステップS25に移行する。
【0083】
制御部82は、ステップS25において、全ての第1指令を送信完了したか否かを判定する。制御部82は、全ての第1指令を送信完了した場合、処理を終了する。制御部82は、全ての第1指令を送信完了していない場合、ステップS21に移行する。
【0084】
<変更例>
実施形態に関する説明は、人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御方法、人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御プログラム、および、人力駆動車用の制御システムが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御方法、人力駆動車用のコンポーネントと通信可能に構成される電子装置の制御プログラム、および、人力駆動車用の制御システムは、例えば、以下に示される実施形態の変更例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変更例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変更例において、実施形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明が省略される。
【0085】
・制御部82は、第1情報を受信した場合、外部装置に第1情報を受信するように構成されてもよい。外部装置は、例えば、インターネットを介して電子装置80と通信可能に構成される装置である。外部装置は、例えば、製造者が所有する装置である。
【0086】
・制御部82は、第1指令を受信しない場合、同一の第1指令を送信するように構成されてもよい。本変更例では、第1指令の数が2つ以上である場合、制御部82は、同一の第1指令を予め定める回数送信しても第1情報を受信しない場合、他の第1指令を送信するように構成されてもよい。
【0087】
・電子装置80は、1つのコンポーネント42を介して、他のコンポーネント42と接続可能に構成されてもよい。例えば、1つのコンポーネント42はマスタとして機能し、かつ、他のコンポーネント42は、スレイブとして機能する。電子装置80は、例えば、1つのコンポーネント42に、他のコンポーネント42に対する第1指令を送信する。1つのコンポーネント42は、他のコンポーネント42に対する第1指令を受信すると、対応するコンポーネント42に第1指令を送信する。1つのコンポーネント42は、他のコンポーネント42から第1情報を受信すると、受信した第1情報を電子装置80に送信する。
【0088】
・記憶ステップは、省略されてもよい。本変更例では、制御部82は、例えば、少なくとも1つの第1情報を受信すると、第1情報を表示部88に表示させるように構成されてもよく、少なくとも1つの第1情報を受信すると、少なくとも1つの第1情報を外部装置に送信するように構成されてもよい。ユーザ自身が少なくとも1つの第1情報の内容を把握できない場合であっても、外部装置を有する製造者が少なくとも1つの第1情報を解析することによって、製造者が少なくとも1つの第1情報に応じたサービスを提供できる。したがって、本変更例においても、ユーザビリティに貢献できる。
【0089】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0090】
本明細書において使用される「第1、第2、および、第3」などの序数については、単に同一の名称を有する複数の部材を区別するために用いられ、特別な意味を持たない。
【符号の説明】
【0091】
10…人力駆動車、40…制御システム、42…コンポーネント、44…変速装置、46…変速操作装置、48…ドライブユニット、50…バッテリユニット、52…サスペンション装置、54…シートポスト装置、56…制動装置、58…サイクルコンピュータ、80…電子装置、82…制御部、84…記憶部、86…操作部、88…表示部。