(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171707
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/00 20060101AFI20241205BHJP
B23Q 7/00 20060101ALI20241205BHJP
B23Q 7/14 20060101ALI20241205BHJP
B62D 65/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B23P19/00 302H
B23P19/00 302K
B23Q7/00 J
B23Q7/14
B62D65/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088860
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】石井 湧太
(72)【発明者】
【氏名】田近 勇輝
【テーマコード(参考)】
3C030
3C033
3D114
【Fターム(参考)】
3C030DA08
3C030DA27
3C030DA35
3C033AA22
3C033BB10
3C033PP00
3D114DA01
3D114DA07
(57)【要約】
【課題】簡易的な構成で複数種類のワークを搬送可能な搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置1、1’は、搬送装置におけるワークの保持位置を決定する位置決定部5、5’と、搬送装置とは別個に設けられた治具90、90’と連結するように構成された連結部6、6’とを有する。連結部は治具により回動されることによってワークの保持位置を変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送する搬送装置であって、
当該搬送装置における前記ワークの保持位置を決定する位置決定部と、
当該搬送装置とは別個に設けられた治具と連結するように構成された連結部と
を有し、
前記連結部は前記治具により回動されることによって前記保持位置を変更する、搬送装置。
【請求項2】
前記位置決定部は、互いに異なる位置で前記ワークを保持するように構成された複数の保持部を有し、該複数の保持部のうちの一つの保持部によって前記保持位置を決定し、
前記連結部は、前記治具により回動されることによって前記一つの保持部を切り替える、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記位置決定部及び前記連結部は該連結部の回動を該位置決定部の直線移動に変換するように構成される、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記連結部の回動をロックするロック部を更に有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記連結部の回動をロックするロック部と、前記治具が前記連結部に連結されるときに該治具により押圧されることによって前記ロック部によるロックを解除するロック解除部とを更に有する、請求項3に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の生産ラインのような場所において製品の組立のためにワークを搬送する搬送装置が知られている。一つの生産ラインにおいて異なる種類の製品が流される場合、製品の各々の形状に対応した搬送装置を用いる必要がある。
【0003】
しかしながら、製品毎に異なる搬送装置を用いる場合には、製品に応じて搬送装置を入れ替える手間が生じる。また、新製品が導入される際には、新製品に対応した搬送装置を新たに製作する必要がある。さらに、製品の生産比率の変動に対応するために、製品毎に予備の搬送装置を確保しておく必要がある。
【0004】
これらの問題に対して、特許文献1には、一つの搬送装置においてワークの位置決め部材の位置を変更することによって、同一種類の搬送装置を用いて複数種類のワークを搬送することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の搬送装置では、ワークの位置決め部材の位置を変更するための駆動部材が搬送装置自体に設けられている。このため、搬送装置の構成が複雑となり、搬送装置が高価になりがちである。
【0007】
そこで、上記課題に鑑みて、本発明の目的は、簡易的な構成で複数種類のワークを搬送可能な搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0009】
(1)ワークを搬送する搬送装置であって、当該搬送装置における前記ワークの保持位置を決定する位置決定部と、当該搬送装置とは別個に設けられた治具と連結するように構成された連結部とを有し、前記連結部は前記治具により回動されることによって前記保持位置を変更する、搬送装置。
【0010】
(2)前記位置決定部は、互いに異なる位置で前記ワークを保持するように構成された複数の保持部を有し、該複数の保持部のうちの一つの保持部によって前記保持位置を決定し、前記連結部は、前記治具により回動されることによって前記一つの保持部を切り替える、上記(1)に記載の搬送装置。
【0011】
(3)前記位置決定部及び前記連結部は該連結部の回動を該位置決定部の直線移動に変換するように構成される、上記(1)に記載の搬送装置。
【0012】
(4)前記連結部の回動をロックするロック部を更に有する、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の搬送装置。
【0013】
(5)前記連結部の回動をロックするロック部と、前記治具が前記連結部に連結されるときに該治具により押圧されることによって前記ロック部によるロックを解除するロック解除部とを更に有する、上記(3)に記載の搬送装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡易的な構成で複数種類のワークを搬送可能な搬送装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る搬送装置の上面斜視図である。
【
図2】
図2は、第1端部部材を示す搬送装置の部分拡大図である。
【
図3】
図3は、回動軸の軸線に垂直であり且つロック部を含む断面においてロック部を示す図である。
【
図4】
図4は、第2端部部材を示す搬送装置の部分拡大図である。
【
図5】
図5は、第一実施形態に係る搬送装置に適用される治具の斜視図である。
【
図6】
図6は、治具の治具側連結部の正面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第二実施形態に係る搬送装置の上面斜視図である。
【
図8】
図8は、調整機構の背面を示す搬送装置の部分拡大図である。
【
図9】
図9は、第二実施形態に係る搬送装置に適用される治具の斜視図である。
【
図11】
図11は、ワークの保持位置が変更される前後の状態の搬送装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0017】
<第一実施形態>
最初に、
図1~
図6を参照して、本発明の第一実施形態について説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る搬送装置1の上面斜視図である。搬送装置1は、工業製品の生産ラインのような場所に設けられ、工業製品の組立のためにワークを搬送する。搬送装置1によって搬送されるワークは、例えば自動車の部品であり、本実施形態では自動車の車体である。すなわち、搬送装置1はワークとして車体を保持する。この場合、搬送装置1の長手方向が車体の長さ方向に相当し、搬送装置1の短手方向が車体の幅方向に相当する。
【0018】
搬送装置1は、レール100上に載置され、レール100と一体的に移動する。レール100上には複数の搬送装置1が互いに離間して配置され、レール100がローラによってその長手方向に沿って押し出されると、複数の搬送装置1がレール100と共に移動する。搬送装置1は生産ラインにおける複数の製造工程間を移動し、各製造工程において、搬送装置1上のワークに対して、部品取り付け、溶接、加工等の処理が作業者又はロボットによって行われる。
【0019】
図1に示されるように、搬送装置1は調整機構10及び本体部20を有する。調整機構10は、本体部20に分離可能に保持され、搬送装置1におけるワークの保持位置を調整する。
【0020】
調整機構10は、回動軸2、第1端部部材3a、第2端部部材3b及びフレーム部4を有する。回動軸2は、円柱形状を有し、搬送装置1の後部において搬送装置1の短手方向に延びる。第1端部部材3aは回動軸2の一方の端部に設けられ、第2端部部材3bは回動軸2の他方の端部に設けられる。第1端部部材3a及び第2端部部材3bは回動軸2と一体的に回動する。フレーム部4は、回動軸2を回動可能に保持し、回動軸2の軸受として機能する。したがって、回動軸2、第1端部部材3a及び第2端部部材3bはフレーム部4に対して回動可能である。
【0021】
図2は、第1端部部材3aを示す搬送装置1の部分拡大図である。
図2には、調整機構10が本体部20に対して持ち上げられた状態、すなわち調整機構10が本体部20から分離した状態の搬送装置1が示されている。
【0022】
図2に示されるように、第1端部部材3aは、位置決定部5、連結部6及びロック部7を有する。位置決定部5、連結部6及びロック部7は回動軸2の軸線方向において互いに離間して配置される。連結部6は回動軸2の軸線方向において最も外側に配置され、ロック部7は回動軸2の軸線方向において最も内側に配置され、位置決定部5は回動軸2の軸線方向において連結部6とロック部7との間に配置される。
【0023】
位置決定部5は、搬送装置1におけるワークの保持位置を決定し、ワークを保持する。本実施形態では、位置決定部5は、車体の保持位置を決定し、車体の後部を保持する。位置決定部5は、回動軸2に固定され、回動軸2と共に回動軸2の軸線回りに回動可能である。
【0024】
位置決定部5は、互いに異なる位置でワークを保持するように構成されたる複数の保持部51(51a~51d)を有する。複数の保持部51は、回動軸2の周方向において等間隔で配置され、それぞれ回動軸2の径方向に延びる。複数の保持部51は互いに異なる形状を有し、ワークの種類に応じて複数の保持部51のうちの一つが選択的に用いられる。すなわち、位置決定部5は、複数の保持部51のうちの一つの保持部によってワークの保持位置を決定する。
【0025】
本実施形態では、位置決定部5は四つの保持部51a~51dを有し、四つの保持部51a~51dは回動軸2の周方向において90°の間隔で配置される。四つの保持部51a~51dは、それぞれ、一対の部材から成り、一対の部材によって車体を保持する。
図2に示される搬送装置1では、水平方向において搬送装置1の内側(前方)に延びる保持部51aが、車体の保持位置を決定し、車体を保持する。
【0026】
連結部6は、後述する治具と連結するように構成される。連結部6は、円柱形状を有し、連結部6の軸線が回動軸2の軸線と一致するように回動軸2の端部に固定される。連結部6は回動軸2と共に回動軸2の軸線回りに回動可能である。連結部6は、中心穴61と、中心穴61の周囲に形成された複数の周方向穴62(62a~62d)とを有する。中心穴61は、その中心が回動軸2の軸線上に位置するように配置され、複数の周方向穴62は、中心穴61を中心とする円弧上に等間隔で配置される。中心穴61及び複数の周方向穴62は搬送装置1の外部に露出される。
【0027】
本実施形態では、連結部6は四つの周方向穴62a~62dを有し、四つの周方向穴62a~62dは回動軸2の周方向において90°の間隔で配置される。周方向穴62a~62dの数は保持部51a~51dの数と一致し、回動軸2の周方向において周方向穴62a~62dの位置は保持部51a~51dの位置と一致する。
【0028】
ロック部7は、回動軸2の回動、ひいては位置決定部5及び連結部6の回動をロックする。
図3は、回動軸2の軸線に垂直であり且つロック部7を含む断面においてロック部7を示す図である。ロック部7は、略円柱形状を有し、ロック部7の軸線が回動軸2の軸線と一致するように回動軸2に固定される。ロック部7は回動軸2と共に回動軸2の軸線回りに回動可能である。
【0029】
ロック部7は、中心孔71と、中心孔71の周囲に形成された複数の凹部72(72a~72d)とを有する。中心孔71は、その中心が回動軸2の軸線上に位置するように配置され、複数の凹部72は、中心孔71を中心とする円弧上に等間隔で配置される。複数の凹部72はそれぞれ略台形形状を有する。回動軸2はロック部7の中心孔71を貫通して延び、ロック部7は回動軸2の周囲に固定される。
【0030】
図2及び
図3に示されるように、本体部20は、鉛直方向上方に突出する第1凸部21を有する。第1凸部21は、回動軸2の軸線方向においてロック部7と同じ位置に設けられ、複数の凹部72の各々と相補的な形状を有する。
図3に示されるように、複数の凹部72のうち、第1凸部21と対向する凹部72bは第1凸部21と係合する。凹部72と第1凸部21との係合によって、ロック部7の回動が規制され、回動軸2、位置決定部5及び連結部6の回動がロックされる。したがって、ロック部7によって、位置決定部5が回動してワークの保持位置がずれることを抑制することができる。
【0031】
図2に示されるように、調整機構10が本体部20に対して持ち上げられると、ロック部7は鉛直方向上方に移動する。この結果、第1凸部21と凹部72との係合が解除され、ロック部7の回動、ひいては回動軸2、位置決定部5及び連結部6の回動が可能となる。
【0032】
本実施形態では、ロック部7は四つの凹部72a~72dを有し、四つの凹部72a~72dは回動軸2の周方向において90°の間隔で配置される。凹部72a~72dの数は保持部51a~51dの数と一致し、回動軸2の周方向において凹部72a~72dの位置は保持部51a~51dの位置と一致する。
【0033】
また、
図2に示されるように、フレーム部4は嵌合部41を有し、本体部20は、鉛直方向上方に突出する第2凸部22を有する。第2凸部22は、回動軸2の軸線方向において嵌合部41と同じ位置に設けられ、嵌合部41と相補的な形状を有する。嵌合部41は、第2凸部22と嵌合し、回動軸2の軸線方向における調整機構10の移動を規制する。
【0034】
図4は、第2端部部材3bを示す搬送装置1の部分拡大図である。第2端部部材3bは、連結部6の代わりに回動検出部8を有することを除いて、第1端部部材3aと同様に構成される。すなわち、第2端部部材3bは、第1端部部材3aと同様に、位置決定部5及びロック部7を有する。
【0035】
回動検出部8は、回動軸2の軸線方向において最も外側に配置され、回動軸2の回動位置を示す。回動検出部8は、円柱形状を有し、回動検出部8の軸線が回動軸2の軸線と一致するように回動軸2の端部に固定される。回動検出部8は回動軸2と共に回動軸2の軸線回りに回動可能である。回動検出部8は、中心孔81と、中心孔81の周囲に形成された複数の周方向穴82(82a~82c)とを有する。中心孔81は、その中心が回動軸2の軸線上に位置するように配置され、複数の周方向穴82は、中心孔81を中心とする円弧上に等間隔で配置される。中心孔81及び複数の周方向穴82は搬送装置1の外部に露出される。
【0036】
本実施形態では、回動検出部8は三つの周方向穴82a~82cを有し、三つの周方向穴82a~82cは回動軸2の周方向において90°の間隔で配置される。周方向穴82a~82cの数は保持部51a~51dの数よりも一つ少なく、回動軸2の周方向において周方向穴82a~82cの位置は保持部51a~51cの位置と一致する。保持部51dの位置には周方向穴が設けられていないため、搬送装置1の外部の検出装置によって回動検出部8の周方向穴82a~82cの配置を検出することによって、回動軸2の回動位置を検出することができる。
【0037】
搬送装置1によって搬送されるワークの種類(例えば車種)が変更されるときには、治具が調整機構10を介してワークの保持位置を変更する。治具は、調整機構10を本体部20から持ち上げて、回動軸2、第1端部部材3a及び第2端部部材3bをフレーム部4に対して回動させる。第1端部部材3a及び第2端部部材3bの位置決定部5が回動すると、搬送装置1の前方に延びてワークを保持する保持部51が切り替えられ、ワークの保持位置が変更される。
【0038】
図5は、第一実施形態に係る搬送装置1に適用される治具90の斜視図である。治具90は、搬送装置1とは別個に設けられ、搬送装置1とは別体である。本実施形態では、治具90は、第1端部部材3aの外側に配置され、第1端部部材3aの連結部6を介して、回動軸2、第1端部部材3a及び第2端部部材3bを回動させる。
図5に示されるように、治具90は、治具側連結部91、水平駆動部92、垂直駆動部93及び回動駆動部94を有する。
【0039】
図6は、治具90の治具側連結部91の正面図である。治具側連結部91は搬送装置1の連結部6と係合して治具90を連結部6に連結させる。治具側連結部91は、円柱形状の土台部911と、中心ピン912と、中心ピン912の周囲に形成された複数の周方向ピン913(913a、913b)とを有する。。中心ピン912は、その中心軸線が土台部911の軸線と一致するように配置され、複数の周方向ピン913は、中心ピン912を中心とする円弧上に等間隔で配置される。
【0040】
中心ピン912は連結部6の中心穴61と相補的な形状を有し、周方向ピン913は連結部6の周方向穴62と相補的な形状を有する。治具側連結部91の中心ピン912及び周方向ピン913がそれぞれ連結部6の中心穴61及び周方向穴62と係合すると、治具90が搬送装置1の連結部6に連結される。すなわち、連結部6は治具90と連結するように構成される。
【0041】
水平駆動部92は治具側連結部91を水平方向に移動させる。垂直駆動部93は治具側連結部91を鉛直方向に移動させる。回動駆動部94は治具側連結部91を回動させる。水平駆動部92及び垂直駆動部93は例えばエアシリンダとして構成され、回動駆動部94は例えばステッピングモータとして構成される。
【0042】
治具90によるワークの保持位置の変更は以下の手順で行われる。最初に、水平駆動部92は、治具側連結部91が連結部6に近付くように治具側連結部91を水平方向前方に移動させる。この結果、治具側連結部91の中心ピン912及び周方向ピン913がそれぞれ連結部6の中心穴61及び周方向穴62と係合し、治具90が治具側連結部91を介して連結部6に連結される。
【0043】
次いで、鉛直駆動部103は治具側連結部91を鉛直方向上方に移動させる。この結果、治具90によって片持ちされた調整機構10が本体部20から持ち上がり、第1端部部材3a及び第2端部部材3bの各々において第1凸部21とロック部7の凹部72との係合が解除される。
【0044】
次いで、回動駆動部94は治具側連結部91を介して連結部6を回動させる。この結果、第1端部部材3a及び第2端部部材3bの位置決定部5が回動し、ワークを保持する保持部51が切り替えられる。すなわち、連結部6は治具90により回動されることによってワークの保持位置を変更する。例えば、ワークを保持する保持部51として保持部51aから保持部51bへの切替が行われる場合、回動駆動部94は治具側連結部91を介して連結部6を90°回動させる。
【0045】
次いで、鉛直駆動部103は、調整機構10を本体部20に再連結するように治具側連結部91を鉛直方向下方に移動させる。この結果、ロック部7の凹部72が本体部20の第1凸部21と係合し、フレーム部4の嵌合部41が本体部20の第2凸部22と嵌合し、本体部20に対する調整機構10の位置がロックされる。なお、ワークを保持する保持部51として保持部51aから保持部51bへの切替が行われた場合、第1凸部21と係合する凹部72も凹部72aから凹部72bに切り替えられる。
【0046】
次いで、水平駆動部92は、治具側連結部91が連結部6から離れるように治具側連結部91を水平方向後方に移動させる。この結果、治具側連結部91の中心ピン912及び周方向ピン913と連結部6の中心穴61及び周方向穴62との係合が解除され、治具90と連結部6との連結が解除される。したがって、上記の手順により搬送装置1におけるワークの保持位置を変更することができる。
【0047】
本実施形態によれば、搬送装置1におけるワークの保持位置を変更可能なため、複数種類のワークを搬送するために複数種類の搬送装置1を用意する必要がない。このため、生産ラインにおいて複数種類の工業製品を生産するために必要な搬送装置1の数を減少させることができ、搬送装置1の製作費用及び保管場所の面積を低減することができる。また、搬送装置1とは別個に設けられた治具90によってワークの保持位置が変更されるため、搬送装置1自体がワークの保持位置を変更するための駆動部材を備える必要がない。したがって、本実施形態によれば、簡易的な構成で複数種類のワークを搬送可能な搬送装置1が提供される。
【0048】
<第二実施形態>
以下、
図7~
図11を参照して、第一実施形態と異なる部分を中心に本発明の第二実施形態について説明する。
図7は、本発明の第二実施形態に係る搬送装置1’の上面斜視図である。第一実施形態と同様に、搬送装置1’は、レール100上に載置され、レール100と一体的に移動する。
図7に示されるように、搬送装置1’は調整機構10’及び本体部20’を有する。調整機構10’は、本体部20’に保持され、搬送装置1’におけるワークの保持位置を調整する。
【0049】
図8は、調整機構10’の背面を示す搬送装置1’の部分拡大図である。
図7及び
図8に示されるように、調整機構10’は、フレーム部4’、位置決定部5’、連結部6’、ロック部7’及びロック解除部11を有する。フレーム部4’は移動不能に本体部20’に固定され、位置決定部5’、連結部6’、ロック部7’及びロック解除部11は移動可能にフレーム部4’に保持される。
【0050】
位置決定部5’は、搬送装置1’におけるワークの保持位置を決定し、ワークを保持する。本実施形態では、位置決定部5’は、車体の保持位置を決定し、車体の後部を保持する。
図8に示されるように、位置決定部5’は、一対の可動部50a、50bから成り、一対の可動部50a、50bの上端部に形成された一対の保持部51a’、51b’を有する。一対の保持部51a’、51b’は、互いに対称的な形状を有し、協働して車体を保持する。
【0051】
連結部6’は、後述する治具と連結するように構成される。連結部6’は、ピニオンとして構成され、一対の可動部50a、50bの各々に形成されたラック52と係合する。ラック52及び連結部6’はラックアンドピニオンとして機能し、位置決定部5’及び連結部6’は連結部6’の回動を位置決定部5’の直線移動に変換するように構成される。連結部6’が治具によって回動されると、一対の可動部50a、50bは搬送装置1’の短手方向において反対方向に移動する。すなわち、連結部6’が一方の方向に回動されると、一対の保持部51a’、51b’は互いに離れるように移動し、連結部6’が他方の方向に回動されると、一対の保持部51a’、51b’は互いに近付くように移動する。
【0052】
ロック部7’は、連結部6’の回動、ひいては位置決定部5’の直線移動をロックする。ロック解除部11はロック部7’によるロックを解除する。ロック部7’及びロック解除部11の動作の詳細については後述する。
【0053】
図9は、第二実施形態に係る搬送装置1’に適用される治具90’の斜視図である。治具90’は、搬送装置1’とは別個に設けられ、搬送装置1’とは別体である。
図9に示されるように、治具90’は、治具側連結部91’、回動駆動部94’、揺動駆動部95及び押圧部96を有する。
【0054】
治具側連結部91’は搬送装置1’の連結部6’と係合して治具90’を連結部6’に連結させる。回動駆動部94’は治具側連結部91’を回動させる。回動駆動部94’は例えばステッピングモータとして構成される。
【0055】
揺動駆動部95は、
図9に矢印で示されるように、治具側連結部91’及び押圧部96が搬送装置1’の調整機構10’に近付くように治具側連結部91’及び押圧部96を揺動させる。
図9には、治具側連結部91’及び押圧部96が搬送装置1’の調整機構10’に近付いたときの治具90’が示されている。揺動駆動部95は例えばエアシリンダ又は電動モータとして構成される。押圧部96は、鉛直方向において治具側連結部91’よりも下方に配置され、治具側連結部91’が連結部6’と係合するときにロック解除部11を押圧する。
【0056】
以下、連結部6’のロック及びロック解除の原理について説明する。
図10は、調整機構10’の上面図である。
図10では、治具90’の押圧部96の動作を示すために、治具90’の治具側連結部91’が省略されている。
図10(a)には、連結部6’の回動がロックされた状態が示され、
図10(b)には、連結部6’の回動のロックが解除された状態が示される。
【0057】
図10に示されるように、ロック部7’は、ディスク73、パッド74、接続部75及びスプリング76を有する。ディスク73は、連結部6’に連結され、連結部6’と一体的に回動可能である。接続部75はパッド74に接続される。スプリング76は、接続部75とフレーム部4’との間に配置され、接続部75とフレーム部4’との間で伸縮する。スプリング76は接続部75を介してパッド74をディスク73に向かって付勢する。この結果、パッド74はディスク73を押圧してディスク73及び連結部6’の回動をロックする。したがって、ロック部7’によって、連結部6’の回動により位置決定部5が直線移動してワークの保持位置がずれることを抑制することができる。
【0058】
ロック解除部11は固定アーム111及び可動アーム112を有する。固定アーム111はフレーム部4’に移動不能に固定される。可動アーム112はロック部7’の接続部75に接続される。
図10(b)に示されるように、治具90’の押圧部96は、治具90’の治具側連結部91’が連結部6’と係合するときに、固定アーム111及び可動アーム112の先端部を押圧して固定アーム111と可動アーム112との間に挿入される。このとき、接続部75は、可動アーム112と連動して回動し、スプリング76をフレーム部4’に対して押圧して縮ませる。この結果、パッド74がディスク73から離れ、ロック部7’によるロックが解除される。したがって、ロック解除部11は、治具90’が連結部6’に連結されるときに、治具90’により押圧されることによってロック部7’によるロックを解除する。このことによって、治具90’と連結部6’との連結動作と連動してロック部7’によるロックを解除することができ、治具90’を用いてワークの保持位置を迅速に変更することができる。
【0059】
図11(a)は、ワークの保持位置が変更される前の状態の搬送装置1’を示し、
図11(b)は、ワークの保持位置が変更された後の状態の搬送装置1’を示す。治具90’によるワークの保持位置の変更は以下の手順で行われる。最初に、揺動駆動部95は、治具側連結部91’及び押圧部96が調整機構10’に近付くように治具側連結部91’及び押圧部96を揺動させる。この結果、治具側連結部91’が連結部6’と係合し、治具90’が治具側連結部91’を介して連結部6’に連結される。また、治具90’の押圧部96がロック解除部11を押圧し、ロック部7’によるロックが解除される。
【0060】
次いで、回動駆動部94’は治具側連結部91’を介して連結部6’を回動させる。この結果、連結部6’の回動がラック52を介して位置決定部5’の直線移動に変換され、位置決定部5’の一対の保持部51a’、51b’の間隔が変化してワークの保持位置が変更される。したがって、連結部6’は治具90’により回動されることによってワークの保持位置を変更する。
図11に示される例では、一対の保持部51a’、51b’が離れる方向に連結部6’が回動される。このため、
図11(b)の状態では、
図11(a)の状態と比べて、一対の保持部51a’、51b’の間隔が離れている。
【0061】
次いで、揺動駆動部95は、治具側連結部91’及び押圧部96が調整機構10’から離れるように治具側連結部91’及び押圧部96を揺動させる。この結果、治具側連結部91’が連結部6’から離れ、治具90’と連結部6’との連結が解除される。また、押圧部96がロック解除部11から離れ、ロック部7’は連結部6’の回動をロックする。したがって、上記の手順により搬送装置1’におけるワークの保持位置を変更することができる。
【0062】
本実施形態によれば、搬送装置1’におけるワークの保持位置を変更可能なため、複数種類のワークを搬送するために複数種類の搬送装置1’を用意する必要がない。このため、生産ラインにおいて複数種類の工業製品を生産するために必要な搬送装置1’の数を減少させることができ、搬送装置1’の製作費用及び保管場所の面積を低減することができる。また、搬送装置1’とは別個に設けられた治具90’によってワークの保持位置が変更されるため、搬送装置1’自体がワークの保持位置を変更するための駆動部材を備える必要がない。したがって、本実施形態によれば、簡易的な構成で複数種類のワークを搬送可能な搬送装置1’が提供される。
【0063】
<その他の実施形態>
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。例えば、搬送装置1、1’によって搬送されるワークは車体以外(例えば電化製品のワーク等)であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1、1’ 搬送装置
5、5’ 位置決定部
6、6’ 連結部
90、90’ 治具