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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017171
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/60 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
H03K17/60 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119641
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 篤哉
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX46
5J055BX16
5J055CX07
5J055CX13
5J055CX20
5J055DX09
5J055DX59
5J055EX02
5J055EX06
5J055EZ25
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX04
(57)【要約】
【課題】既存の機能を維持したまま、使用するピン数の削減を図る。
【解決手段】主回路1aは、ハイサイドスイッチ素子と、ローサイドスイッチ素子との直列接続を並列に複数接続し、ハイサイドスイッチ素子とローサイドスイッチ素子との接続点に繋がる配線a1、a2、a3から電力を負荷40へ供給する。制御回路1bは、ハイサイドスイッチ素子およびローサイドスイッチ素子を駆動するためのパルス幅変調信号がシリアル化された駆動信号SINを受信し、駆動信号SINをパラレル信号に変換して主回路1aに出力する。制御回路1bは、駆動信号SINが入力される入力端子IN1、駆動信号SINを保持するためのクロック信号SCLKが入力される入力端子IN2、およびクロック信号SCLKで保持された駆動信号SINからパラレル信号を生成するためのクロック信号RCLKが入力される入力端子IN3を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイサイドスイッチ素子とローサイドスイッチ素子との直列接続を並列に複数接続し、前記ハイサイドスイッチ素子と前記ローサイドスイッチ素子との接続点に繋がる配線から電力を負荷へ供給する主回路と、
前記ハイサイドスイッチ素子および前記ローサイドスイッチ素子を駆動するための駆動信号としてのシリアル信号が入力される第1の入力端子と、第1のクロック信号が入力される第2の入力端子と、第2のクロック信号が入力される第3の入力端子とを備え、前記第1のクロック信号により前記シリアル信号を保持し、前記第2のクロック信号により前記第1のクロック信号で保持された前記駆動信号からパラレル信号を生成して前記ハイサイドスイッチ素子と前記ローサイドスイッチ素子に出力する出力端子を備える制御回路と、
を有する半導体装置。
【請求項2】
前記主回路は、
前記ハイサイドスイッチ素子として、ハイサイドU相スイッチ、ハイサイドV相スイッチおよびハイサイドW相スイッチを有し、前記ローサイドスイッチ素子として、ローサイドU相スイッチ、ローサイドV相スイッチおよびローサイドW相スイッチを有し、
前記制御回路は、前記パラレル信号として、
前記ハイサイドU相スイッチのゲートに入力するハイサイドU相駆動信号を出力し、前記ハイサイドV相スイッチのゲートに入力するハイサイドV相駆動信号を出力し、前記ハイサイドW相スイッチのゲートに入力するハイサイドW相駆動信号を出力し、
前記ローサイドU相スイッチのゲートに入力するローサイドU相駆動信号を出力し、前記ローサイドV相スイッチのゲートに入力するローサイドV相駆動信号を出力し、前記ローサイドW相スイッチのゲートに入力するローサイドW相駆動信号を出力する、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記制御回路は、入力側フリップフロップ群と出力側フリップフロップ群とを含むシフトレジスタを有し、前記入力側フリップフロップ群は、前記第1のクロック信号にもとづいて前記駆動信号を保持し、前記出力側フリップフロップ群は、前記第2のクロック信号にもとづいて前記パラレル信号を出力する、請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記入力側フリップフロップ群は、第1のフリップフロップから第6のフリップフロップを含み、前記出力側フリップフロップ群は、第7のフリップフロップから第12のフリップフロップを含み、
前記第1のフリップフロップから前記第6のフリップフロップのクロック入力端子には、前記第1のクロック信号がそれぞれ入力され、前記第7のフリップフロップから前記第12のフリップフロップのクロック入力端子には、前記第2のクロック信号がそれぞれ入力され、前記第1のフリップフロップの入力端子には、前記駆動信号が入力され、
前記第1のフリップフロップの出力端子は、前記第2のフリップフロップの入力端子および前記第7のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第2のフリップフロップの出力端子は、前記第3のフリップフロップの入力端子および前記第8のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第3のフリップフロップの出力端子は、前記第4のフリップフロップの入力端子および前記第9のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第4のフリップフロップの出力端子は、前記第5のフリップフロップの入力端子および前記第10のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第5のフリップフロップの出力端子は、前記第6のフリップフロップの入力端子および前記第11のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第6のフリップフロップの出力端子は、前記第12のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第7のフリップフロップの出力端子から前記ハイサイドU相駆動信号が出力され、前記第8のフリップフロップの出力端子から前記ハイサイドV相駆動信号が出力され、前記第9のフリップフロップの出力端子から前記ハイサイドW相駆動信号が出力され、
前記第10のフリップフロップの出力端子から前記ローサイドU相駆動信号が出力され、前記第11のフリップフロップの出力端子から前記ローサイドV相駆動信号が出力され、前記第12のフリップフロップの出力端子から前記ローサイドW相駆動信号が出力される、
請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
ハイサイドスイッチ素子とローサイドスイッチ素子との直列接続を並列に複数接続し、前記ハイサイドスイッチ素子と前記ローサイドスイッチ素子との接続点に繋がる配線から電力を負荷へ供給する主回路と、
前記ハイサイドスイッチ素子および前記ローサイドスイッチ素子を駆動するための駆動信号としてのシリアル信号が入力される第1の入力端子と、第1のクロック信号が入力される第2の入力端子とを備えて、前記第1のクロック信号により前記シリアル信号を保持し、前記第1のクロック信号を計数して、前記第1のクロック信号で保持された前記駆動信号からパラレル信号を生成するための第2のクロック信号を生成する制御回路と、
を有する半導体装置。
【請求項6】
前記制御回路は、カウンタ回路を有し、前記カウンタ回路は、識別コードが含まれる前記第1のクロック信号を受信し、前記識別コードを認識すると、前記第1のクロック信号を計数して所定計数目に1パルスが出現する前記第2のクロック信号を生成して出力する、請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記主回路は、
前記ハイサイドスイッチ素子として、ハイサイドU相スイッチ、ハイサイドV相スイッチおよびハイサイドW相スイッチを有し、前記ローサイドスイッチ素子として、ローサイドU相スイッチ、ローサイドV相スイッチおよびローサイドW相スイッチを有し、
前記制御回路は、前記パラレル信号として、
前記ハイサイドU相スイッチのゲートに入力するハイサイドU相駆動信号を出力し、前記ハイサイドV相スイッチのゲートに入力するハイサイドV相駆動信号を出力し、前記ハイサイドW相スイッチのゲートに入力するハイサイドW相駆動信号を出力し、
前記ローサイドU相スイッチのゲートに入力するローサイドU相駆動信号を出力し、前記ローサイドV相スイッチのゲートに入力するローサイドV相駆動信号を出力し、前記ローサイドW相スイッチのゲートに入力するローサイドW相駆動信号を出力する、
請求項5記載の半導体装置。
【請求項8】
前記制御回路は、入力側フリップフロップ群と出力側フリップフロップ群とを含むシフトレジスタを有し、前記入力側フリップフロップ群は、前記第1のクロック信号にもとづいて前記駆動信号を保持し、前記出力側フリップフロップ群は、前記第2のクロック信号にもとづいて前記パラレル信号を出力する、請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記入力側フリップフロップ群は、第1のフリップフロップから第6のフリップフロップを含み、前記出力側フリップフロップ群は、第7のフリップフロップから第12のフリップフロップを含み、
前記第1のフリップフロップから前記第6のフリップフロップのクロック入力端子には、前記第1のクロック信号がそれぞれ入力され、前記第7のフリップフロップから前記第12のフリップフロップのクロック入力端子には、前記第2のクロック信号がそれぞれ入力され、前記第1のフリップフロップの入力端子には、前記駆動信号が入力され、
前記第1のフリップフロップの出力端子は、前記第2のフリップフロップの入力端子および前記第7のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第2のフリップフロップの出力端子は、前記第3のフリップフロップの入力端子および前記第8のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第3のフリップフロップの出力端子は、前記第4のフリップフロップの入力端子および前記第9のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第4のフリップフロップの出力端子は、前記第5のフリップフロップの入力端子および前記第10のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第5のフリップフロップの出力端子は、前記第6のフリップフロップの入力端子および前記第11のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第6のフリップフロップの出力端子は、前記第12のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第7のフリップフロップの出力端子から前記ハイサイドU相駆動信号が出力され、前記第8のフリップフロップの出力端子から前記ハイサイドV相駆動信号が出力され、前記第9のフリップフロップの出力端子から前記ハイサイドW相駆動信号が出力され、
前記第10のフリップフロップの出力端子から前記ローサイドU相駆動信号が出力され、前記第11のフリップフロップの出力端子から前記ローサイドV相駆動信号が出力され、前記第12のフリップフロップの出力端子から前記ローサイドW相駆動信号が出力される、
請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
ハイサイドスイッチ素子とローサイドスイッチ素子との直列接続を並列に複数接続し、前記ハイサイドスイッチ素子と前記ローサイドスイッチ素子との接続点に繋がる配線から電力を負荷へ供給する主回路と、
前記ハイサイドスイッチ素子および前記ローサイドスイッチ素子を駆動するための駆動信号としてのシリアル信号が入力される第1の入力端子と、前記駆動信号を保持するための第1のレベルを有する第1のクロック信号と前記第1のレベルよりも高い第2のレベルを有して前記第1のクロック信号で保持された前記駆動信号からパラレル信号の生成を行うための第2のクロック信号とが合成されたクロック合成信号が入力される第2の入力端子とを備え、前記第1のクロック信号の前記第1のレベルと、前記第2のクロック信号の前記第2のレベルとのそれぞれを閾値レベルにもとづいて比較して、前記クロック合成信号から前記第1のクロック信号と前記第2のクロック信号とを分離する制御回路と、
を有する半導体装置。
【請求項11】
前記制御回路は、第1のコンパレータと第2のコンパレータを含み、
前記第1のコンパレータの非反転入力端子には、前記クロック合成信号が入力され、前記第2のコンパレータの非反転入力端子には、前記クロック合成信号が入力され、
前記第1のコンパレータの反転入力端子には、前記第1のレベルの第1の基準電圧が印加され、前記第2のコンパレータの反転入力端子には、前記第2のレベルの第2の基準電圧が印加され、
前記第1のコンパレータは、前記クロック合成信号のレベルが前記第1の基準電圧よりも高く前記第2の基準電圧よりも低い場合、前記第1のクロック信号を出力し、前記第2のコンパレータは、前記クロック合成信号のレベルが前記第2の基準電圧よりも高い場合、前記第2のクロック信号を出力する、
請求項10記載の半導体装置。
【請求項12】
前記クロック合成信号は、前記第1のレベルを有する前記第1のクロック信号と、前記第1のクロック信号に対して所定クロック数目の1パルスの振幅レベルを前記第2のレベルまで昇圧した前記第2のクロック信号とが合成されている、請求項10記載の半導体装置。
【請求項13】
前記制御回路の前記第2の入力端子には、前記クロック合成信号を出力する昇圧回路が接続され、前記昇圧回路は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、第1の電源部および第2の電源部を備え、前記第1の電源部と前記第2の電源部はそれぞれ同一の電圧を出力し、
前記第1の電源部の正極端子は、前記第1のトランジスタのコレクタに接続され、前記第1のトランジスタのエミッタは、前記第2のトランジスタのコレクタ、前記第3のトランジスタのコレクタおよび出力端子に接続され、前記第2のトランジスタのエミッタは、前記第2の電源部の負極端子に接続され、前記第2の電源部の正極端子は、前記第1の電源部の負極端子および前記第3のトランジスタのエミッタに接続され、前記出力端子から前記クロック合成信号が出力される、
請求項12記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1のトランジスタがオフ、前記第2のトランジスタがオン、前記第3のトランジスタがオフになることで、前記出力端子と前記第2の電源部の負極端子との間の電圧をゼロにして前記クロック合成信号の振幅レベルをゼロにし、
前記第1のトランジスタがオフ、前記第2のトランジスタがオフ、前記第3のトランジスタがオンになることで、前記出力端子と前記第2の電源部の負極端子との間の電圧を、前記第1の電源部から出力される電圧である前記第1のレベルにして、前記クロック合成信号のうちの前記第1のクロック信号の振幅レベルを前記第1のレベルにし、
前記第1のトランジスタがオン、前記第2のトランジスタがオフ、前記第3のトランジスタがオフになることで、前記出力端子と前記第2の電源部の負極端子との間の電圧を、前記第1の電源部から出力される電圧と前記第2の電源部から出力される電圧との和である前記第2のレベルにして、前記クロック合成信号のうちの前記第2のクロック信号の振幅レベルを前記第2のレベルにする、
請求項13記載の半導体装置。
【請求項15】
前記主回路は、
前記ハイサイドスイッチ素子として、ハイサイドU相スイッチ、ハイサイドV相スイッチおよびハイサイドW相スイッチを有し、前記ローサイドスイッチ素子として、ローサイドU相スイッチ、ローサイドV相スイッチおよびローサイドW相スイッチを有し、
前記制御回路は、前記パラレル信号として、
前記ハイサイドU相スイッチのゲートに入力するハイサイドU相駆動信号を出力し、前記ハイサイドV相スイッチのゲートに入力するハイサイドV相駆動信号を出力し、前記ハイサイドW相スイッチのゲートに入力するハイサイドW相駆動信号を出力し、
前記ローサイドU相スイッチのゲートに入力するローサイドU相駆動信号を出力し、前記ローサイドV相スイッチのゲートに入力するローサイドV相駆動信号を出力し、前記ローサイドW相スイッチのゲートに入力するローサイドW相駆動信号を出力する、
請求項10記載の半導体装置。
【請求項16】
前記制御回路は、入力側フリップフロップ群と出力側フリップフロップ群とを含むシフトレジスタを有し、前記入力側フリップフロップ群は、前記第1のクロック信号にもとづいて前記駆動信号を保持し、前記出力側フリップフロップ群は、前記第2のクロック信号にもとづいて前記パラレル信号を出力する、請求項15記載の半導体装置。
【請求項17】
前記入力側フリップフロップ群は、第1のフリップフロップから第6のフリップフロップを含み、前記出力側フリップフロップ群は、第7のフリップフロップから第12のフリップフロップを含み、
前記第1のフリップフロップから前記第6のフリップフロップのクロック入力端子には、前記第1のクロック信号がそれぞれ入力され、前記第7のフリップフロップから前記第12のフリップフロップのクロック入力端子には、前記第2のクロック信号がそれぞれ入力され、前記第1のフリップフロップの入力端子には、前記駆動信号が入力され、
前記第1のフリップフロップの出力端子は、前記第2のフリップフロップの入力端子および前記第7のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第2のフリップフロップの出力端子は、前記第3のフリップフロップの入力端子および前記第8のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第3のフリップフロップの出力端子は、前記第4のフリップフロップの入力端子および前記第9のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第4のフリップフロップの出力端子は、前記第5のフリップフロップの入力端子および前記第10のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第5のフリップフロップの出力端子は、前記第6のフリップフロップの入力端子および前記第11のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第6のフリップフロップの出力端子は、前記第12のフリップフロップの入力端子に接続され、
前記第7のフリップフロップの出力端子から前記ハイサイドU相駆動信号が出力され、前記第8のフリップフロップの出力端子から前記ハイサイドV相駆動信号が出力され、前記第9のフリップフロップの出力端子から前記ハイサイドW相駆動信号が出力され、
前記第10のフリップフロップの出力端子から前記ローサイドU相駆動信号が出力され、前記第11のフリップフロップの出力端子から前記ローサイドV相駆動信号が出力され、前記第12のフリップフロップの出力端子から前記ローサイドW相駆動信号が出力される、
請求項16記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワー半導体素子と、パワー半導体素子を駆動する駆動回路等を内蔵したIPM(Intelligent Power Module)と呼ばれる半導体装置の開発が進んでいる。
【0003】
IPMは、例えば、トランスミッション、エンジンおよびブレーキなどの自動車電装システムに広く利用されており、小型化、高性能化および高信頼性に応える製品が要望されている。また、IPMでは、MPU(Micro Processor Unit)等のプロセッサを有するコントローラから送信される信号にもとづいて、パワー半導体素子の駆動制御が行われる。
【0004】
関連技術としては、例えば、制御回路部から主回路部へ生成周期毎にクロック信号を伴わせずにゲート信号を符号伝送し、ゲート駆動回路が生成周期毎に復元したゲート信号を電力用半導体素子に供給する技術が提案されている(特許文献1)。また、パルス幅変調された複数の並列ゲート信号を直列ゲート信号に変換し、信号伝送線を介して伝送された直列ゲート信号をクロック信号と同期する並列ゲート信号に変換して、並列ゲート信号をスイッチング素子用のゲート信号に編成する技術が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-60793号公報
【特許文献2】特開平11-178349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
IPMでは、パワー半導体素子に流れる電流やパワー半導体素子のチップ温度等を監視して、監視結果にもとづいて、パワー半導体素子が破壊されないようにパワー半導体素子を保護する保護機能を備えている。また、保護機能として、温度ワーニングのような近年になって新しく追加された機能もある。
【0007】
このように、IPMが持つ機能はさらに増えていき、IPMのパッケージのピン数も機能追加に伴って増える可能性がある。この場合、新規のIPMパッケージを開発してピン数を増やすことが考えられるが、新規パッケージの開発は、開発コストの増大や基板レイアウトの変更等を要することになる。このため、新規パッケージを開発することなく、IPMが持つ既存の機能を維持したまま、使用するピン数の削減を可能にした製品が要望されている。
【0008】
1つの側面では、本発明は、既存の機能を維持したまま、使用するピン数の削減を可能にした半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、半導体装置が提供される。半導体装置は、主回路と制御回路を有する。主回路は、ハイサイドスイッチ素子とローサイドスイッチ素子との直列接続を並列に複数接続し、ハイサイドスイッチ素子とローサイドスイッチ素子との接続点に繋がる配線から電力を負荷へ供給する。制御回路は、ハイサイドスイッチ素子およびローサイドスイッチ素子を駆動するための駆動信号としてのシリアル信号が入力される第1の入力端子と、第1のクロック信号が入力される第2の入力端子と、第2のクロック信号が入力される第3の入力端子とを備える。また、制御回路は、第1のクロック信号によりシリアル信号を保持し、第2のクロック信号により第1のクロック信号で保持された駆動信号からパラレル信号を生成してハイサイドスイッチ素子とローサイドスイッチ素子に出力する出力端子を備える。
【0010】
また、上記課題を解決するために、半導体装置が提供される。半導体装置は、主回路と制御回路を有する。主回路は、ハイサイドスイッチ素子とローサイドスイッチ素子との直列接続を並列に複数接続し、ハイサイドスイッチ素子とローサイドスイッチ素子との接続点に繋がる配線から電力を負荷へ供給する。制御回路は、ハイサイドスイッチ素子およびローサイドスイッチ素子を駆動するための駆動信号としてのシリアル信号が入力される第1の入力端子と、第1のクロック信号が入力される第2の入力端子とを備える。また、制御回路は、第1のクロック信号によりシリアル信号を保持し、第1のクロック信号を計数して、第1のクロック信号で保持された駆動信号からパラレル信号を生成するための第2のクロック信号を生成する。
【0011】
さらに、上記課題を解決するために、半導体装置が提供される。半導体装置は、主回路と制御回路を有する。主回路は、ハイサイドスイッチ素子とローサイドスイッチ素子との直列接続を並列に複数接続し、ハイサイドスイッチ素子とローサイドスイッチ素子との接続点に繋がる配線から電力を負荷へ供給する。制御回路は、ハイサイドスイッチ素子およびローサイドスイッチ素子を駆動するための駆動信号としてのシリアル信号が入力される第1の入力端子と、駆動信号を保持するための第1のレベルを有する第1のクロック信号と第1のレベルよりも高い第2のレベルを有して第1のクロック信号で保持された駆動信号からパラレル信号の生成を行うための第2のクロック信号とが合成されたクロック合成信号が入力される第2の入力端子とを備える。また、制御回路は、第1のクロック信号の第1のレベルと、第2のクロック信号の第2のレベルとのそれぞれを閾値レベルにもとづいて比較して、クロック合成信号から第1のクロック信号と第2のクロック信号とを分離する。
【発明の効果】
【0012】
1側面によれば、既存の機能を維持したまま、使用するピン数の削減を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の半導体装置の一例を説明するための図である。
図2】半導体装置の構成の一例を示す図である。
図3】PWM信号の生成動作の一例を示す図である。
図4】PWM信号の生成動作の一例を示す図である。
図5】PWM信号の生成動作の一例を示す図である。
図6】シフトレジスタの構成の一例を示す図である。
図7】シフトレジスタの入力側のタイミングチャートの一例を示す図である。
図8】シフトレジスタの出力側のタイミングチャートの一例を示す図である。
図9】半導体装置の構成の一例を示す図である。
図10】カウンタ回路の動作を説明するための図である。
図11】半導体装置の構成の一例を示す図である。
図12】昇圧回路の構成の一例を示す図である。
図13】昇圧回路の動作を説明するための図である。
図14】昇圧回路の動作を説明するための図である。
図15】昇圧回路の動作を説明するための図である。
図16】昇圧回路から出力されるクロック合成信号を示す図である。
図17】コンパレータの構成および動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において実質的に同一の機能を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する場合がある。
【0015】
図1は本発明の半導体装置の一例を説明するための図である。半導体装置1は、主回路1aおよび制御回路1bを備える。主回路1aは、ハイサイドスイッチ素子1a1、1a3、1a5およびローサイドスイッチ素子1a2、1a4、1a6を含む。
【0016】
主回路1aは、ハイサイドスイッチ素子1a1、1a3、1a5とローサイドスイッチ素子1a2、1a4、1a6との直列接続を並列に複数接続し、ハイサイドスイッチ素子1a1、1a3、1a5とローサイドスイッチ素子1a2、1a4、1a6との接続点に繋がる配線a1、a2、a3から電力を負荷40へ供給する。
【0017】
制御回路1bは、ハイサイドスイッチ素子1a1、1a3、1a5およびローサイドスイッチ素子1a2、1a4、1a6を駆動するためのPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号がシリアル化された駆動信号SINを受信し、駆動信号SINをパラレル信号に変換して主回路1aに出力する。
【0018】
また、制御回路1bは、入力端子IN1、IN2、IN3を有する。入力端子IN1には、シリアル信号である駆動信号SINが入力される。入力端子IN2には、クロック信号SCLKが入力される。クロック信号SCLKは、例えば、駆動信号SINを保持するためのクロック信号として使用される。
【0019】
入力端子IN3には、クロック信号RCLKが入力される。クロック信号RCLKは、例えば、クロック信号SCLKで保持された駆動信号SINから主回路1aに出力するパラレル信号を生成するためのクロック信号として使用される。また、制御回路1bは、クロック信号RCLKによりクロック信号SCLKで保持された駆動信号SINからパラレル信号を生成して、ハイサイドスイッチ素子1a1、1a3、1a5およびローサイドスイッチ素子1a2、1a4、1a6に出力する出力端子を備える。
【0020】
ここで、対策前の構成では、主回路1aを駆動させるために、ハイサイドスイッチ素子1a1、1a3、1a5およびローサイドスイッチ素子1a2、1a4、1a6のそれぞれを駆動する6本のPWM信号を制御回路が受信していたので、PWM信号受信用の入力端子を6本要していた。
【0021】
これに対し、対策後の半導体装置1の構成によれば、6本のPWM信号が重畳されてシリアル化された駆動信号SIN、および駆動信号SINをパラレル化して再び6本のPWM信号を生成するためのクロック信号SCLK、RCLKを受信するために入力端子IN1、IN2、IN3を有している。
【0022】
すなわち、半導体装置1では、使用する入力ピン(入力端子)数を6本から3本に減らすことが達成されている。また、使用する入力ピン数が削減できるので、余った既存ピンに新しい別の機能を割り当てることも可能になる。
【0023】
<入力ピン数を6本から3本に減らした半導体装置>
図2は半導体装置の構成の一例を示す図である。半導体装置1-1は、例えば、負荷40に電力を供給する3相構成のIPMに適用される装置である。半導体装置1-1は、主回路10および制御回路20aを備え、主回路10には負荷40が接続され、制御回路20aにはコントローラ30が接続される。コントローラ30は、MPU等のプロセッサを含む(図示せず)。
【0024】
主回路10は、IGBT11~16、ダイオードD11~D16、電源部V0および平滑コンデンサC1を備える。IGBT11はハイサイドU相IGBTであり、IGBT12はローサイドU相IGBTである。
【0025】
IGBT13はハイサイドV相IGBTであり、IGBT14はローサイドV相IGBTである。IGBT15はハイサイドW相IGBTであり、IGBT16はローサイドW相IGBTである。
【0026】
また、主回路10では、モータ等の誘導性負荷の電流をオン/オフすることで負荷40を駆動するので、負荷電流を還流させるために、IGBT11~16に対して、FWD(Free Wheel Diode)であるダイオードD11~D16が接続されている。
【0027】
すなわち、IGBT11~16がオフになる瞬間、モータ等の誘導性負荷からは逆起電力が発生するので、IGBT11~16それぞれに対して、ダイオードD11~D16を逆並列に接続して、このときの負荷電流を還流させている。
【0028】
主回路10の各構成要素の接続関係について、電源部V0の正極端子は、平滑コンデンサC1の一端、IGBT11、13、15のコレクタおよびダイオードD11、D13、D15のカソードに接続される。電源部V0の負極端子は、平滑コンデンサC1の他端、IGBT12、14、16のエミッタおよびダイオードD12、D14、D16のアノードに接続される。
【0029】
IGBT11のエミッタは、ダイオードD11のアノード、IGBT12のコレクタ、ダイオードD12のカソードおよび出力端子OUT1に接続される。出力端子OUT1は、配線a1を通じて負荷40に接続される。
【0030】
IGBT13のエミッタは、ダイオードD13のアノード、IGBT14のコレクタ、ダイオードD14のカソードおよび出力端子OUT2に接続される。出力端子OUT2は、配線a2を通じて負荷40に接続される。
【0031】
IGBT15のエミッタは、ダイオードD15のアノード、IGBT16のコレクタ、ダイオードD16のカソードおよび出力端子OUT3に接続される。出力端子OUT3は、配線a3を通じて負荷40に接続される。
【0032】
IGBT11のゲートは、制御回路20aの出力端子H1に接続され、IGBT12のゲートは、制御回路20aの出力端子L1に接続される。IGBT13のゲートは、制御回路20aの出力端子H2に接続され、IGBT14のゲートは、制御回路20aの出力端子L2に接続される。IGBT15のゲートは、制御回路20aの出力端子H3に接続され、IGBT16のゲートは、制御回路20aの出力端子L3に接続される。
【0033】
一方、制御回路20aは、入力端子IN1、IN2、IN3を有する。また、制御回路20aは、シフトレジスタ21、HVIC(High Voltage Integrated Circuit)24およびLVIC(Low Voltage IC)25を備える。
【0034】
シフトレジスタ21は、コントローラ30から送信された駆動信号SINを、入力端子IN1を介して受信する。なお、駆動信号SINは、IGBT11~16を駆動するための信号であり、コントローラ30内部においてPWM信号にもとづいて生成される。
【0035】
また、シフトレジスタ21は、コントローラ30から送信されたクロック信号SCLKを、入力端子IN2を介して受信し、コントローラ30から送信されたクロック信号RCLKを、入力端子IN3を介して受信する。
【0036】
シフトレジスタ21は、駆動信号SIN、クロック信号SCLKおよびクロック信号RCLKにもとづいて、IGBT11、13、15をそれぞれ駆動するためのゲート駆動信号HU(ハイサイドU相駆動信号)、HV(ハイサイドV相駆動信号)、HW(ハイサイドW相駆動信号)を生成する。
【0037】
さらに、シフトレジスタ21は、駆動信号SIN、クロック信号SCLKおよびクロック信号RCLKにもとづいて、IGBT12、14、16をそれぞれ駆動するためのゲート駆動信号LU(ローサイドU相駆動信号)、LV(ローサイドV相駆動信号)、LW(ローサイドW相駆動信号)を生成する。
【0038】
HVIC24は、ゲート駆動信号HU、HV、HWを、IGBT11、13、15を通常運用時においてオンさせるに要するレベルになるように調整する。そして、HVIC24は、調整したゲート駆動信号HUを、出力端子H1を介してIGBT11のゲートに向けて出力する。
【0039】
また、HVIC24は、調整したゲート駆動信号HVを、出力端子H2を介してIGBT13のゲートに向けて出力する。さらに、調整したゲート駆動信号HWを、出力端子H3を介してIGBT15のゲートに向けて出力する。
【0040】
LVIC25は、ゲート駆動信号LU、LV、LWを、IGBT12、14、16を通常運用時においてオンさせるに要するレベルになるように調整する。そして、LVIC25は、調整したゲート駆動信号LUを、出力端子L1を介してIGBT12のゲートに向けて出力する。
【0041】
また、LVIC25は、調整したゲート駆動信号LVを、出力端子L2を介してIGBT14のゲートに向けて出力する。さらに、調整したゲート駆動信号LWを、出力端子L3を介してIGBT16のゲートに向けて出力する。
【0042】
<PWM信号の生成>
図3図5はPWM信号の生成動作の一例を示す図である。図3において、正弦波w1aと三角波w1bから、IGBT11を駆動するためのPWM信号HUpwmと、IGBT12を駆動するためのPWM信号LUpwmとがコントローラ30内で生成される。
【0043】
図4において、正弦波w2aと三角波w2bから、IGBT13を駆動するためのPWM信号HVpwmと、IGBT14を駆動するためのPWM信号LVpwmとがコントローラ30内で生成される。
【0044】
図5において、正弦波w3aと三角波w3bから、IGBT15を駆動するためのPWM信号HWpwmと、IGBT16を駆動するためのPWM信号LWpwmとがコントローラ30内で生成される。
【0045】
コントローラ30では、図3図5で示したような上記の6つのPWM信号を合成して駆動信号SINを生成し、駆動信号SINを出力する。
<シフトレジスタの構成>
図6はシフトレジスタの構成の一例を示す図である。シフトレジスタ21は、入力側フリップフロップ群ff1と、出力側フリップフロップ群ff2とを含む。入力側フリップフロップ群ff1は、D型フリップフロップIC1~IC6を含み、クロック信号SCLKにもとづいて駆動信号SINを保持する。出力側フリップフロップ群ff2は、クロック信号RCLKにもとづいてパラレル信号(ゲート駆動信号HU、HV、HWおよびゲート駆動信号LU、LV、LW)を出力する。
【0046】
ここで、D型フリップフロップIC1~IC6のクロック入力端子には、クロック信号SCLKが入力される。D型フリップフロップIC7~IC12のクロック入力端子には、クロック信号RCLKが入力される。
【0047】
D型フリップフロップIC1の入力端子Dには、駆動信号SINが入力される。D型フリップフロップIC1の出力端子Qは、D型フリップフロップIC2の入力端子DおよびD型フリップフロップIC7の入力端子Dに接続される。
【0048】
D型フリップフロップIC2の出力端子Qは、D型フリップフロップIC3の入力端子DおよびD型フリップフロップIC8の入力端子Dに接続され、また、D型フリップフロップIC3の出力端子Qは、D型フリップフロップIC4の入力端子DおよびD型フリップフロップIC9の入力端子Dに接続される。
【0049】
D型フリップフロップIC4の出力端子Qは、D型フリップフロップIC5の入力端子DおよびD型フリップフロップIC10の入力端子Dに接続され、また、D型フリップフロップIC5の出力端子Qは、D型フリップフロップIC6の入力端子DおよびD型フリップフロップIC11の入力端子Dに接続される。そして、D型フリップフロップIC6の出力端子Qは、D型フリップフロップIC12の入力端子Dに接続される。
【0050】
そして、D型フリップフロップIC7の出力端子QからはIGBT11を駆動するためのゲート駆動信号HUが出力され、D型フリップフロップIC8の出力端子QからはIGBT13を駆動するためのゲート駆動信号HVが出力され、D型フリップフロップIC9の出力端子QからはIGBT15を駆動するためのゲート駆動信号HWが出力される。ゲート駆動信号HU、HV、HWはそれぞれ、PWM信号HUpwm、HVpwm、HWpwmに対応し、HVIC24に向けて出力される。
【0051】
さらに、D型フリップフロップIC10の出力端子QからはIGBT12を駆動するためのゲート駆動信号LUが出力され、D型フリップフロップIC11の出力端子QからはIGBT14を駆動するためのゲート駆動信号LVが出力され、D型フリップフロップIC12の出力端子QからはIGBT16を駆動するためのゲート駆動信号LWが出力される。ゲート駆動信号LU、LV、LWはそれぞれ、PWM信号LUpwm、LVpwm、LWpwmに対応し、LVIC25に向けて出力される。
【0052】
<シフトレジスタのタイミングチャート>
図7はシフトレジスタの入力側のタイミングチャートの一例を示す図である。なお、コントローラ30内で生成されるPWM信号HUpwm、HVpwm、HWpwmの波形およびPWM信号LUpwm、LVpwm、LWpwmの波形も示している。シフトレジスタ21は、クロック信号SCLKで駆動信号SINを保持する。
【0053】
〔タイミングt1〕クロック信号SCLKの立ち上がりで駆動信号SINのLレベルが保持される。このとき保持されるLレベルはPWM信号HUpwmのLレベルに対応する。
【0054】
〔タイミングt2〕クロック信号SCLKの立ち上がりで駆動信号SINのHレベルが保持される。このとき保持されるHレベルはPWM信号HVpwmのHレベルに対応する。
【0055】
〔タイミングt3〕クロック信号SCLKの立ち上がりで駆動信号SINのLレベルが保持される。このとき保持されるLレベルはPWM信号HWpwmのLレベルに対応する。
【0056】
〔タイミングt4〕クロック信号SCLKの立ち上がりで駆動信号SINのHレベルが保持される。このとき保持されるHレベルはPWM信号LUpwmのHレベルに対応する。
【0057】
〔タイミングt5〕クロック信号SCLKの立ち上がりで駆動信号SINのLレベルが保持される。このとき保持されるLレベルはPWM信号LVpwmのLレベルに対応する。
【0058】
〔タイミングt6〕クロック信号SCLKの立ち上がりで駆動信号SINのHレベルが保持される。このとき保持されるHレベルはPWM信号LWpwmのHレベルに対応する。以降同様にして、シフトレジスタ21により、クロック信号SCLKによって駆動信号SINが保持される。
【0059】
図8はシフトレジスタの出力側のタイミングチャートの一例を示す図である。シフトレジスタ21は、クロック信号RCLKでシリアルの駆動信号SINをパラレルのゲート駆動信号に変換して出力する。主回路10には、6つのIGBTが含まれ、クロック信号SCLKの6カウント毎に更新後のゲート駆動信号をシフトレジスタ21が出力することになるので、クロック信号SCLKの6カウント目にクロック信号RCLKの1パルスが出現することになる。
【0060】
ここで、図6に示したD型フリップフロップIC7は、ゲート駆動信号HU(PWM信号HUpwm)を出力し、D型フリップフロップIC8は、ゲート駆動信号HV(PWM信号HVpwm)を出力し、D型フリップフロップIC9は、ゲート駆動信号HW(PWM信号HWpwm)を出力する。
【0061】
また、D型フリップフロップIC10は、ゲート駆動信号LU(PWM信号LUpwm)を出力し、D型フリップフロップIC11は、ゲート駆動信号LV(PWM信号LVpwm)を出力し、D型フリップフロップIC12は、ゲート駆動信号LW(PWM信号LWpwm)を出力する。
【0062】
このように、半導体装置1-1では、IGBT11~16を駆動するためのPWM信号がシリアル化された駆動信号SIN、駆動信号SINを保持するためのクロック信号SCLKおよび駆動信号をパラレル化してゲート駆動信号を出力するためのクロック信号RCLKを受信する。そして、シリアルの駆動信号SINをパラレル信号(6本のゲート駆動信号)に変換してIGBT11~16を駆動するためのPWM信号を生成する構成とした。
【0063】
これにより、6本要していた入力ピンを3本に減らすことができ、既存の機能を削除することなく、パッケージのピン数を減らすことができる。また、ピン数を減らすことで余剰になったピンに他の機能を割り当てることが可能になる。
【0064】
<入力ピン数を6本から2本に減らした半導体装置#1>
次に、カウンタ回路を備えて入力ピン数を6本から2本に減らした半導体装置について説明する。図9は半導体装置の構成の一例を示す図である。半導体装置1-2は、主回路10および制御回路20bを備える。
【0065】
制御回路20bは、入出力端子として、入力端子IN1、IN2および出力端子H1~H3、L1~L3を有する。また、制御回路20bは、シフトレジスタ21、カウンタ回路22、HVIC24およびLVIC25を備える。図2の半導体装置1-1と異なる箇所は、制御回路20bでは入力端子IN3が無くなり、さらに制御回路20b内にカウンタ回路22が含まれることである。その他の構成は図2と同じである。
【0066】
<カウンタ回路の動作>
図10はカウンタ回路の動作を説明するための図である。カウンタ回路22は、入力端子IN2を介して入力されたクロック信号SCLKを受信するが、クロック信号SCLKには、コントローラ30で生成された識別コードcdが付与されている。
【0067】
識別コードcdは、カウント動作の開始トリガとなる数ビットの符号化コードである。カウンタ回路22は、識別コードcdを認識すると、例えば、識別コードcdを認識してから所定ビット数後に6クロックをカウントし、6クロック目に1パルスのクロック信号RCLKを生成して出力する(クロック信号SCLKが6回カウントされると、1パルスのクロック信号RCLKが出力される)。そして、以降同様にして、クロック信号SCLKの6クロック目毎に1パルスのクロック信号RCLKを生成して出力する。
【0068】
このように、半導体装置1-2では、IGBT11~16を駆動するためのPWM信号がシリアル化された駆動信号SIN、および駆動信号SINを保持するためのクロック信号SCLKを受信し、クロック信号SCLKからクロック信号RCLKを内部で生成する。そして、シリアルの駆動信号SINをパラレル信号(6本のゲート駆動信号)に変換してIGBT11~16を駆動するためのPWM信号を生成する構成とした。
【0069】
これにより、6本要していた入力ピンを2本に低減することができ、既存の機能を削除することなく、パッケージのピン数を減らすことができる。また、ピン数を減らすことで余剰になったピンに他の機能を割り当てることが可能になる。
【0070】
<入力ピン数を6本から2本に減らした半導体装置#2>
次に、コンパレータを備えて入力ピン数を6本から2本に減らした半導体装置について説明する。図11は半導体装置の構成の一例を示す図である。半導体装置1-3は、主回路10および制御回路20cを備える。制御回路20cは、入出力端子として、入力端子IN1、IN2および出力端子H1~H3、L1~L3を有する。また、制御回路20cは、シフトレジスタ21、コンパレータ23a(第1のコンパレータ)、コンパレータ23b(第2のコンパレータ)、HVIC24およびLVIC25を備える。
【0071】
図2で上述した制御回路20aと異なる箇所は、制御回路20cでは入力端子IN3が無くなり、さらに制御回路20c内にコンパレータ23a、23bが含まれることである。一方、コントローラ30aは、プロセッサ31と昇圧回路32を含み、プロセッサ31から昇圧回路32に対してスイッチ制御信号b1、b2、b3が出力されている。その他の構成は図2と同じである。
【0072】
<昇圧回路の構成>
図12は昇圧回路の構成の一例を示す図である。昇圧回路32は、トランジスタTr1、Tr2、Tr3および直列接続された電源部V1、V2を備える。トランジスタTr1、Tr2、Tr3は、NPNトランジスタである。また、電源部V1、V2は共にE[V]を出力するものとする。
【0073】
電源部V1の正極端子は、トランジスタTr1のコレクタに接続され、トランジスタTr1のエミッタは、トランジスタTr2のコレクタ、トランジスタTr3のコレクタおよび出力端子b0に接続される。出力端子b0からクロック合成信号SCLK+RCLKが出力される。トランジスタTr2のエミッタは、電源部V2の負極端子に接続される。
【0074】
電源部V2の正極端子は、電源部V1の負極端子およびトランジスタTr3のエミッタに接続される。なお、トランジスタTr1、Tr2、Tr3のベースには、プロセッサ31からのスイッチ制御信号b1、b2、b3がそれぞれ入力される。
【0075】
<昇圧回路の動作およびクロック信号の生成>
図13図15は昇圧回路の動作を説明するための図である。
〔ステップS1〕昇圧回路32のトランジスタTr1、Tr2、Tr3のベースに対して、プロセッサ31から送信されたスイッチ制御信号b1、b2、b3にもとづいて、トランジスタTr1がオフ、トランジスタTr2がオン、トランジスタTr3がオフとなる。
【0076】
このとき、出力端子b0と電源部V2の負極端子(トランジスタTr2のエミッタ)との間の電圧は0[V]になるので、クロック合成信号SCLK+RCLKは0[V]である。
【0077】
〔ステップS2〕昇圧回路32のトランジスタTr1、Tr2、Tr3のベースに対して、プロセッサ31から送信されたスイッチ制御信号b1、b2、b3にもとづいて、トランジスタTr1がオフ、トランジスタTr2がオフ、トランジスタTr3がオンとなる。
【0078】
このとき、出力端子b0と電源部V2の負極端子との間の電圧は電源部V2から供給されるE[V]になるので、クロック合成信号SCLK+RCLKはE[V]である。
〔ステップS3〕ステップS2の制御開始から所定期間経過後に、昇圧回路32のトランジスタTr1、Tr2、Tr3のベースに対して、プロセッサ31から送信されたスイッチ制御信号b1、b2、b3にもとづいて、トランジスタTr1がオン、トランジスタTr2がオフ、トランジスタTr3がオフとなる。
【0079】
このとき、出力端子b0と電源部V2の負極端子との間の電圧は電源部V1から供給されるE[V]と、電源部V2から供給されるE[V]との和の2E[V]になるので、クロック合成信号SCLK+RCLKは2E[V]である。
【0080】
図16は昇圧回路から出力されるクロック合成信号を示す図である。図13のステップS1において、出力端子b0と電源部V2の負極端子との間の電圧は0[V]になるので、クロック合成信号SCLK+RCLKは0[V]である。
【0081】
また、図14のステップS2において、出力端子b0と電源部V2の負極端子との間の電圧は電源部V2から供給されるE[V]になるので、クロック合成信号SCLK+RCLKはE[V]である。E[V]のときのクロック合成信号SCLK+RCLKは、クロック信号SCLKに相当する。
【0082】
さらに、図15のステップS3において、出力端子b0と電源部V2の負極端子との間の電圧は電源部V1から供給されるE[V]と、電源部V2から供給されるE[V]との和の2E[V]になるので、クロック合成信号SCLK+RCLKは2E[V]である。2E[V]のときのクロック合成信号SCLK+RCLKは、クロック信号RCLKに相当する。
【0083】
このように、1クロックから5クロックまでのクロック振幅をE[V]にして1クロックから5クロックまでのクロック信号をクロック信号SCLKとし、6クロック目のクロック振幅を2E[V]に昇圧して6クロック目のクロック信号をクロック信号RCLKとする。このような昇圧回路32の構成により、クロック合成信号SCLK+RCLKを生成することができる。
【0084】
<コンパレータの構成および動作>
図17はコンパレータの構成および動作を説明するための図である。コンパレータ23aの非反転入力端子(+)には、クロック合成信号SCLK+RCLKが入力され、コンパレータ23bの非反転入力端子(+)には、クロック合成信号SCLK+RCLKが入力される。
【0085】
コンパレータ23aの反転入力端子(-)には、基準電圧Vaが印加され、コンパレータ23bの反転入力端子(-)には、基準電圧Vbが印加される。なお、Va<Vbである。そして、コンパレータ23aの出力端子からはクロック信号SCLKが出力され、コンパレータ23bの出力端子からはクロック信号RCLKが出力される。
【0086】
この場合、コンパレータ23aは、クロック合成信号SCLK+RCLKのレベルが基準電圧Vaよりも高く、基準電圧Vbよりも低い場合、クロック信号SCLKを出力する。コンパレータ23bは、クロック合成信号SCLK+RCLKのレベルが基準電圧Vbよりも高い場合、クロック信号RCLKを出力する。
【0087】
このように、半導体装置1-3では、IGBT11~16を駆動するためのPWM信号がシリアル化された駆動信号SIN、および駆動信号SINを保持するためのクロック信号SCLKと、駆動信号SINからパラレルのゲート駆動信号を生成するためのクロック信号RCLKとが合成されたクロック合成信号SCLK+RCLKを受信する。
【0088】
そして、制御回路20c内部でクロック合成信号SCLK+RCLKをクロック信号SCLKと、クロック信号RCLKとに分離して、シリアルの駆動信号SINをパラレル信号(6本のゲート駆動信号)に変換してIGBT11~16を駆動するためのPWM信号を生成する構成とした。
【0089】
これにより、6本要していた入力ピンを2本に低減することができ、既存の機能を削除することなく、パッケージのピン数を減らすことができる。また、ピン数を減らすことで余剰になったピンに他の機能を割り当てることが可能になる。
【0090】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 半導体装置
1a 主回路
1a1、1a3、1a5 ハイサイドスイッチ素子
1a2、1a4、1a6 ローサイドスイッチ素子
1b 制御回路
40 負荷
a1、a2、a3 配線
IN1、IN2、IN3 入力端子
SIN 駆動信号
SCLK 第1のクロック信号
RCLK 第2のクロック信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17