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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171713
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】壁下地の施工方法及び下地構成部材
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/76 20060101AFI20241205BHJP
   E04G 21/18 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E04B2/76
E04G21/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088869
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大川 悠奈
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174AA01
2E174BA05
2E174DA52
(57)【要約】
【課題】壁下地を効率的に形成するための壁下地の施工方法及び下地構成部材を提供する。
【解決手段】壁下地10を構成する下地構成部材20は、長方形枠形状に形成されているフレーム部F1を備え、このフレーム部F1の角部の外形が45度に形成されている。壁下地10の施工においては、上層部分16の下地構成部材20の幅に応じた隙間をおいて、壁下地10の下層部分15を構成する複数の下地構成部材20を、床11に配置する。そして、下層部分15の下地構成部材20の間の上方に、上層部分16の下地構成部材20を配置する。この場合、隣接する下層部分15の下地構成部材20の上端部が、上層部分16の下地構成部材20の下端部で繋がるように、下地構成部材20を配置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁下地を形成するための施工方法であって、
前記壁下地の上層部分を構成する第1下地構成部材の幅に応じた間隔を空けて、前記壁下地の下層部分を構成する複数の第2下地構成部材を配置し、
隣接する前記第2下地構成部材の上端部が前記第1下地構成部材の下端部で繋がるように、前記第1下地構成部材及び前記第2下地構成部材を配置することを特徴とする壁下地の施工方法。
【請求項2】
前記第2下地構成部材を設置する設置面には、前記第2下地構成部材が並んで配置される方向に、前記第2下地構成部材の配置に対応する位置に複数のマーカが形成され、
前記マーカに応じた位置に、前記第2下地構成部材を配置し、
前記第2下地構成部材の下端部を、前記設置面に固定することを特徴とする請求項1に記載の壁下地の施工方法。
【請求項3】
壁下地に用いられる下地構成部材であって、
長方形枠形状に形成されているフレーム部を備え、
前記フレーム部の角部の外形が45度に形成されていることを特徴とする下地構成部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、軽量鉄骨下地のような鋼材等で構成される下地構成部材を用いて、壁下地を施工する壁下地の施工方法及びそれに用いられる下地構成部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設現場における人手不足解消のために、ロボットを用いる場合がある。例えば、コンクリート2次製品用型枠を、ロボットを用いて形成する技術が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この文献に記載の技術においては、組立てロボットが基準側壁パネルをベースパネル上の所定の組付け位置に位置決めした後、組立てロボットが通常側壁パネルをベースパネル上の所定の組付け位置に位置決めする。そして、2台のナット締めロボットによりナットで締結することで、基準側壁パネルと通常側壁パネルとをベースパネルに連結するとともに、基準側壁パネルと通常側壁パネルとを連結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08-309721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、建築物に用いられる壁下地は、下地材料を現地で切断することにより下地構成部材を形成した後、これらを組み立てることにより構成していた。この場合、壁下地の上下の水平方向に延在するランナーを設置後に、垂直方向に延在するスタッドを回転させながら押し込む等の細かい動作が必要であった。特に、このような細かい動作は、回転運動又は直線運動を基本とするロボットにおいては難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する壁下地の施工方法は、壁下地を形成するための施工方法であって、前記壁下地の上層部分を構成する第1下地構成部材の幅に応じた間隔を空けて、前記壁下地の下層部分を構成する複数の第2下地構成部材を配置し、隣接する前記第2下地構成部材の上端部が前記第1下地構成部材の下端部で繋がるように、前記第1下地構成部材及び前記第2下地構成部材を配置する。
【0006】
また、上記課題を解決するための下地構成部材は、壁下地に用いられる下地構成部材であって、長方形枠形状に形成されているフレーム部を備え、前記フレーム部の角部の外形が45度に形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、壁下地を効率的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態における壁下地を説明する正面図である。
図2】実施形態における壁下地を構成する下地構成部材の正面図である。
図3】実施形態において壁下地の下層部分の施工を説明する説明図である。
図4】実施形態において壁下地の下層部分の下地構成部材を固定するときの把持部の要部の斜視図である。
図5】実施形態において壁下地の下層部分の下地構成部材を固定するときの把持部の要部の斜視図である。
図6】実施形態において壁下地の上層部分の施工を説明する説明図である。
図7】実施形態において壁下地の上層部分と下層部分との接合を説明する説明図である。
図8】変更例において壁下地の上層部分と下層部分との接合部にマーカを形成した状態を説明する説明図である。
図9】変更例において壁下地を構成する下地構成部材の斜視図である。
図10】変更例における壁下地を説明する正面図である。
図11】変更例において上層部分の下地構成部材を固定するときの把持部の要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図5を用いて、壁下地の施工方法及び下地構成部材を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、複数の長方形枠(四角枠)形状の下地構成部材を組み立てることにより、建物の壁を構成するための壁下地を形成する。なお、この壁下地は、石膏ボード壁の内側にある下地材であって、石膏ボード壁を固定するとともに補強するために設置される。
【0010】
図1に示すように、本実施形態における壁下地10は、側端部材13,14及び複数の下地構成部材20で構成される。本実施形態の壁下地10では、側端部材13,14の間に複数の下地構成部材20が配置される。更に、側端部材13,14及び複数の下地構成部材20は、床11及び天井12に固定される。
【0011】
本実施形態では、複数の下地構成部材20は、上下2段で、鉛直方向に異なる位置で交互に組み合わされている。すなわち、壁下地10は、下地構成部材20によって構成される下層部分15及び上層部分16により構成される。上層部分16の下地構成部材20は、下層部分15の下地構成部材20の間の上方に配置される。本実施形態では、左端及び右端の下地構成部材20は、下層部分15を構成する。更に、下層部分15を構成する第1下地構成部材と上層部分16を構成する第2下地構成部材とは、同じ下地構成部材20で構成する。また、下層部分15の下地構成部材20は、設置面としての床11に鋲30で固定されている。
【0012】
(下地構成部材20の構成)
図2に示すように、壁下地10に用いられる下地構成部材20は、角形鋼管を用いて、正面からの形状が長方形枠形状となるように形成した形状を有する。この下地構成部材20は、水平中心軸C1及び垂直中心軸C2に対して線対称である。具体的には、下地構成部材20は、対向する1対(2個)の短辺部21,22と、対向する1対(2個)の長辺部23,24とを有する。短辺部21,22は、水平方向に延在し、長辺部23,24は、短辺部21,22と直交する垂直方向に延在する。
【0013】
そして、各短辺部21,22と長辺部23,24との接合部には、角部26,27,28,29が形成されている。角部26~29は、各辺部(21~24)に対して45度の角度の外形を有する。下地構成部材20は、各辺部(21~24)及び角部26~29の長さに対応する直線形状の角形鋼管を溶接により繋ぎ合わせて構成される。なお、各辺部(21~24)及び角部26~29により、正面から見て長方形枠形状のフレーム部F1が構成される。
【0014】
(壁下地10の施工方法に用いられるロボット50の構成)
次に、上述した構成の壁下地10の施工方法に用いられるロボット50の構成を説明する。
【0015】
図3に示すように、ロボット50は、走行装置51、昇降装置52、把持装置53、撮影装置54及び制御装置55を備えている。
走行装置51は、ロボット50を直線的に移動させる機構である。
昇降装置52は、把持装置53を上下方向に移動(昇降)させる機構である。
【0016】
把持装置53は、下地構成部材20を把持する。
具体的には、図4に示すように、把持装置53は、把持部58を備える。この把持部58は、1対(2個)の可動部58aと、連結部58bとを有する。連結部58bは、水平方向に延在する部材であって、両端にそれぞれ可動部58aが設けられている。可動部58aは、水平方向に延在するL字形状を有し、一端部が連結部58bに摺動可能に挿入されており、連結部58bの軸方向に移動可能及び固定可能になっている。
【0017】
従って、連結部58bと直交する方向に延在する1対の可動部58aは、間隔が狭まるように移動することにより下地構成部材20を把持し、間隔が広がるように移動することにより下地構成部材20を開放する。
また、把持装置53は、把持部58を上下方向(連結部58bの軸方向と直交する垂直方向)に移動可能に保持している。
【0018】
更に、この把持部58の連結部58bの中央には、鋲打ち部59が固定されている。そして、昇降装置52によって把持部58を降下させることにより、鋲打ち部59に対応する位置に配置された鋲30の先端(下端部)を、下地構成部材20を介して床11に打ち付ける。
【0019】
撮影装置54は、床11に塗られたマーカM1を撮影する。ここで、各図においては、床11に記載されたマーカM1の配置が分かるように、各マーカM1を、上方に大きく立体的に示している。
【0020】
制御装置55は、走行装置51、昇降装置52、把持装置53及び撮影装置54を制御する。制御装置55は、撮影装置54が撮影した画像からマーカM1を特定する。制御装置55は、把持装置53によって把持した下地構成部材20を、所定位置に配置する。
【0021】
(壁下地10の施工方法)
図3に示すように、壁下地10を施工するには、まず、壁下地10を配置する領域の設置面に、下地構成部材20を配置する位置にマーカM1を塗布により形成する。
【0022】
次に、ロボット50を用いて、床11におけるマーカM1に対応する位置の上に、下層部分15の下地構成部材20を、矢印の方向に(左から右へと)順番に配置する。具体的には、ロボット50は、撮影装置54が撮影した画像を用いて、マーカM1を特定する。次に、ロボット50は、把持装置53によって把持した下地構成部材20を、マーカM1に対応する各位置に配置する。そして、昇降装置52を用いて下地構成部材20を降下させることにより、下地構成部材20の短辺部21を、隣接する2個のマーカM1の間となるように設置する。
【0023】
この場合、図4に示すように、配置された下地構成部材20に設けられた鋲30の上方に、把持部58の鋲打ち部59が位置する。
そこで、図5に示すように、把持装置53の把持部58を降下させることにより、把持部58の鋲打ち部59が鋲30に上から力を加えることになる。このため、鋲30が、下地構成部材20を介して床11に突き刺さる。これにより、鋲30により、下地構成部材20を固定する。
このようにして下地構成部材20を配置した後、次のマーカM1の近傍まで、走行装置51を駆動して、上記の処理を繰り返す。
【0024】
次に、図6に示すように、ロボット50を用いて、下層部分15の上に、上層部分16の下地構成部材20を、左から右へと順番に配置する。具体的には、下層部分15の下地構成部材20の間に、上層部分16の下地構成部材20を配置する。この場合、ロボット50は、撮影装置54が撮影した画像を用いて、既に配置した下層部分15の下地構成部材20を特定する。そして、ロボット50は、把持装置53によって把持した下地構成部材20を、既に配置した下地構成部材20の間であって、この上方となる位置に配置する。この場合、天井12との間に空間がないため、下地構成部材20は、横からスライドさせて配置する。なお、図6に示すように、上層部分16の下地構成部材20の上方に空間がある場合には、下地構成部材20を上方から降下させて配置してもよい。
【0025】
この場合、下層部分15の下地構成部材20の長辺部23,24の直上に、上層部分16の下地構成部材20の長辺部24,23が位置するように配置する。また下層部分15の下地構成部材20の上側の短辺部22が、上層部分16の下地構成部材20の下側の短辺部21が一直線につながるように配置する。更に、下層部分15の下地構成部材20の角部29,28は、上層部分16の下地構成部材20の角部26,27がそれぞれ当接する。
【0026】
ここで、図7の一点鎖線は、下地構成部材20に位置ずれがない理想的な位置を示している。
また、図7の実線で示すように、下層部分15の右側の下地構成部材20の上側の短辺部22が、右側に少しずれているとともに、少し下に下がっている場合を想定する。この場合、この上に配置される上層部分16の下地構成部材20は、角部27が、45度で角部28と当接する。このため、下層部分15の下地構成部材20のずれに応じて、上層部分16の下地構成部材20が右方及び下方に移動する(ずれる)。この場合、隣接する下地構成部材20の各角部26~29が同じ角度(45度)で当接しているため、水平方向と重力方向との力がバランスするので、スムーズに移動する。
そして、これら当接した角部26~29を、溶接ロボットを用いて溶接する。
【0027】
その後、図1に示すように、側端部材13,14を、床11の端部に立設する。この場合、下層部分15における左端及び右端の下地構成部材20に長辺部23,24に当接するように、側端部材13,14を配置する。そして、側端部材13,14の下端部を床11に、溶接ロボットを用いた溶接等で固定する。
【0028】
更に、側端部材13,14の上端部を、天井12にそれぞれ取り付ける。具体的には、溶接ロボットを用いて、側端部材13,14の上端部及び上層部分16の下地構成部材20の上端部を、天井12に溶接して固定する。
【0029】
(作用)
離間して配置された下地構成部材20の間の上方に、上層部分16の下地構成部材20を配置する。このため、上層部分16の下地構成部材20の位置が、下層部分15の下地構成部材20の配置に応じて決まる。ここで、下層部分15の下地構成部材20の一次元配置が、床11に設けたマーカM1によって決まるため、マーカM1に応じた下地構成部材20を配置することで、壁下地10の下地構成部材20の2次元配置が決まる。
【0030】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の壁下地10は、床11の上に下層部分15の下地構成部材20を離間して配置した後、これら下層部分15の間の上方に上層部分16の下地構成部材20を配置する。このため、配置という比較的単純な作業で壁下地10を構築可能であり、ロボット50を用いて効率的に形成することができる。更に、下地構成部材20は、一定間隔の長辺部23,24で形成されているため、壁下地10の縦材となる長辺部23,24をほぼ同じ間隔で配置することができる。
【0031】
(2)本実施形態の壁下地10は、下層部分15の下地構成部材20の間の上方に、上層部分16の下地構成部材20を配置する。これにより、少ない数の下地構成部材20で壁下地10を形成することができる。
【0032】
(3)本実施形態では、壁下地10を構成する下地構成部材20の角部26~29の外形は、各辺部(21~24)に対して45度となる角度で形成される。これにより、下層部分15の下地構成部材20が左右や上下にずれていても、誤差を吸収することができる。
【0033】
(4)本実施形態の下地構成部材20は、水平中心軸C1及び垂直中心軸C2に対して線対称で、かつ角部26~29が45度である。これにより、下地構成部材20の左右や上下を意識しなくても使い回すことができる。
【0034】
(5)本実施形態の壁下地10の床11には、下層部分15の下地構成部材20の配置位置に応じてマーカM1が設けられている。ロボット50は、このマーカM1に対応して下地構成部材20を配置する。これにより、所定の間隔で下地構成部材20を床11の上に配置することができる。
【0035】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態の下地構成部材20の角部26~29の外形を、各辺部(21~24)に対して45度で形成した。更に、各角部26~29に、下層部分15の下地構成部材20と、上層部分16の下地構成部材20との位置ずれを把握できるマーカを形成してもよい。
【0036】
具体的には、図8に示すように、各角部26,27,28,29のそれぞれに、離間した2本の垂直線のマーカM6,M7,M8,M9を形成する。同じ角部(26~29)の2本のマーカ(M6~M9)は、許容誤差の範囲に対応する距離に対応して離間される。このマーカM6~M9は、一点鎖線で示すように、各角部26~29が整列した場合に上下に繋がる。そして、このマーカM6~M9は、実線で示すように、各角部26~29がずれている場合には繋がらない。これにより、下層部分15の下地構成部材20と、上層部分16の下地構成部材20の整列状況やずれが誤差範囲か否かを把握することができる。
【0037】
・上記実施形態においては、床11において、複数のマーカM1を塗った。下層部分15の下地構成部材20の配置位置を特定するための手段は、マーカM1を用いる場合に限られない。例えば、下地構成部材20の間隔に対応する長さの棒状物を仮固定して配置してもよい。更に、マーカを省略してもよい。この場合には、ロボット50が、加速度センサ等を用いて走行装置51の走行距離を算出する。そして、1つの下地構成部材20の配置位置からの走行距離が、次の下地構成部材までの配置距離となったときに、次の下地構成部材20を配置する。これにより、マーカを省略しても、ロボット50によって、下地構成部材を、所望の位置に配置することができる。
更に、略三角形状を有するマーカを用いてもよい。このマーカでは、配置する下地構成部材側が低くなるように傾斜した傾斜面を有する。この傾斜面は、地面に対して45度の角度を有する。このマーカを、下地構成部材の両側に配置する。そして、下地構成部材は、所定の位置から少しずれて配置された場合、マーカの傾斜面によって所定の位置に移動する。従って、マーカの配置誤差を吸収しながら下地構成部材を配置することができる。
【0038】
・上記実施形態の壁下地においては、下層部分15を構成する第1下地構成部材及び上層部分16を構成する第2下地構成部材として、同じ下地構成部材20を用いた。第1下地構成部材及び第2下地構成部材は、同じ下地構成部材を用いる必要はなく、構築する壁下地に応じて、高さや幅が異なる第1下地構成部材や第2下地構成部材を用いてもよい。
【0039】
・上記実施形態の下地構成部材20は、短辺部21,22、長辺部23,24及び角部26~29を有した長方形枠形状を有する。下地構成部材20は、この形状に限られず、例えば、角部を角形鋼管で形成せずに、1対の短辺部及び1対の長辺部の端部をそれぞれ接合した長方形枠形状であってもよい。この場合、接合部の外形を45度になるように形成してもよい。
また、長辺部23,24に連結する部材を、各辺部(21~24)の内側に更に備えた形状等であってもよい。
【0040】
・上記実施形態の下地構成部材20は、角形鋼管を連結することにより長方形枠形状を有した。下地構成部材は、これに限られない。例えば、対向する1対の短辺部、対向する1対の長辺部及びこれらを連結する角部を有した複数の板状部材を離間して配置し、これらを複数の連結部材で連結することにより構成してもよい。
また、図9に示すように、長方形枠形状のフレームF2を構成する下地構成部材60を用いてもよい。この下地構成部材60は、断面がコの字形状の鋼材で構成される短辺部61,62、長辺部63,64及び角部66,67,68,69を有する。そして、各辺部(61~64)及び角部(66~69)は、断面がコの字形状の鋼材を曲げたり溶接したりすることにより構成される。
更に、片面にしかボードを貼り付けない場合には、ボードを張り付ける面と水平面とを有した断面がL字形状の部材で構成してもよい。
【0041】
・上記実施形態の壁下地10は、床11と天井12との間において複数の下地構成部材20を配置することにより構成した。これに限られず、例えば、マーカを形成した下部ランナーを設けてもよい。
具体的には、図10に示すように、下地構成部材20の配置に応じて、突出した形状のマーカM2を一体的に形成した下部ランナー71を床に設置してもよい。この下部ランナー71は、上が開いたコ字形状の水平断面を有する鋼製下地である。この場合、下部ランナー71の内側が、第1下地構成部材である下地構成部材20を配置する設置面になる。
更に、この下部ランナー71に、マーカM2を形成する代わりに、下地構成部材20の間隔に対応する長さの棒状物を挿入してもよい。これにより、隣接される下地構成部材20の下端部を、挿入した棒状物を挟み込むことにより並べることができる。
更に、壁が天井下までの高さの場合等、必要な場合には、上部ランナー72を設けてもよい。この上部ランナー72として、L字形状の鋼製下地を用いてもよい。この場合には、下地構成部材20及び側端部材13,14を配置した最後に、上部ランナー72を設置する。
【0042】
・上記実施形態の壁下地10は、ロボット50を用いて、下層部分15の下地構成部材20を配置した後、上層部分16の下地構成部材20を配置することにより構成した。下地構成部材20の配置は、ロボット50を用いる場合に限られない。例えば、同じ施工方法を人手で実行してもよい。この場合においても、壁下地を効率的に形成することができる。
【0043】
・上記実施形態においては、下層部分15の下地構成部材20の固定は、鋲30を用いて把持部58の鋲打ち部59により行なった。また、上層部分16の下地構成部材20の固定は、溶接により行なった。固定の方法は、これらに限られない。
例えば、図11に示すように、鋲30で、上層部分16の下地構成部材20の角部27(26)と、下層部分15の下地構成部材20の角部28(29)とを固定してもよい。この場合、鋲打ち部59を設ける代わりに、斜めに鋲30を打ち付ける鋲打ち部79を設けた把持部58を用いて固定してもよい。
【0044】
また、鋲打ち部59を鋲打ち部79としても機能できるようにしてもよい。具体的には、把持部58に対して鋲打ち部59が水平移動可能及び回転可能となる機構を、把持部58に設ける。そして、床や下部ランナーに鋲を打ち付ける場合には、下方を向いた鋲打ち部59として機能させる。また、下層部分15に鋲30を打ち付ける場合には、鋲打ち部59を把持部58の端部に移動させて回転させることにより、斜めに鋲を打ち込む鋲打ち部79として機能させる。
更に、把持部58に対して鋲打ち部59が上下動可能となる機構を設けてもよい。この場合には、把持部58を動かさずに、鋲打ち部59のみを上下動させることにより、鋲30を床等に打ち付けることができる。
また、上層部分16の下地構成部材20の角部27(26)と、下層部分15の下地構成部材20の角部28(29)とに、ボルトを貫通させてナットで固定してもよい。
【0045】
・上記実施形態の壁下地10は、角形鋼管により構成される下地構成部材20を用いて構成した。下地構成部材20は、鋼材により構成される場合に限られず、例えば、木材やFRP(繊維強化プラスチック)等によって構成してもよい。
・上記実施形態においては、壁下地10を、1段の下層部分15の上に1段の上層部分16を設けた2段の下地構成部材20で構成した。壁下地は、下地構成部材を2段に組み合わせて構成する場合に限られず、下地構成部材を3段以上で組み合わせて壁下地を構成してもよい。この場合においても、下層部分となる下地構成部材の間に、直上に設ける上層部分の下地構成部材を配置する。
【0046】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)前記壁下地は、前記第2下地構成部材が並んで配置される方向に延在し、前記第2下地構成部材の配置に対応する位置に形成されたマーカを有する下部ランナーを備え、
前記下部ランナーの前記マーカに応じた位置に、前記第2下地構成部材を配置し、
前記第2下地構成部材の下端部を、前記下部ランナーに固定することを特徴とする請求項1に記載の壁下地の施工方法。
(b)前記第1下地構成部材の上端部は、前記第1下地構成部材が並んで配置される方向に延在する上部ランナーに離間して固定されることを特徴とする請求項1、2又は前記(a)に記載の壁下地の施工方法。
【符号の説明】
【0047】
C1…水平中心軸、C2…垂直中心軸、F1…フレーム部、M1,M2,M6,M7,M8,M9…マーカ、10…壁下地、11…設置面としての床、12…天井、13,14…側端部材、15…下層部分、16…上層部分、20,60…第1下地構成部材及び第2下地構成部材としての下地構成部材、21,22,61,62…短辺部、23,24,63,64…長辺部、26,27,28,29,66,67,68,69…角部、30…鋲、50…ロボット、51…走行装置、52…昇降装置、53…把持装置、54…撮影装置、55…制御装置、58…把持部、58a…可動部58a、58b…連結部、59,79…鋲打ち部、71…下部ランナー、72…上部ランナー。
図1
図2
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図11