(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171714
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】アウトレットボックス
(51)【国際特許分類】
H01R 13/73 20060101AFI20241205BHJP
H02G 3/12 20060101ALI20241205BHJP
H01R 25/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01R13/73 A
H02G3/12
H01R25/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088870
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】木村 篤人
(72)【発明者】
【氏名】竹内 崇
(72)【発明者】
【氏名】尾下 慶明
【テーマコード(参考)】
5G361
【Fターム(参考)】
5G361AA06
5G361AB12
5G361AC01
5G361AD01
(57)【要約】
【課題】車両用電源アウトレットに対して差込プラグを差し込みやすいアウトレットボックスを提供する。
【解決手段】アウトレットボックス13は、車両の取付面128aに取り付けられる取付基部20と、取付基部20における取付面128aと対向する第1面20aとは反対側の第2面20bから凹む凹部30とを備える。凹部30を区画する底壁31は、第1貫通孔が設けられた第1カバー部33と、第2貫通孔が設けられた第2カバー部34とを有する。第1カバー部33及び第2カバー部34はそれぞれ、凹部30の開口面30aに対して傾斜している。第2カバー部34は、第1カバー部33に対して開口面30a側に張り出している。第1カバー部33及び第2カバー部34は、開口面30aに沿い、かつ開口面30aから第1カバー部33への深さd1が変化する方向において当該深さd1が浅い側から深い側に向かってこの順に併設されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載バッテリの電力を供給可能な車両用電源アウトレットのアウトレットボックスであって、
車両の取付面に取り付けられる取付基部と、
前記取付基部における前記取付面と対向する第1面とは反対側の第2面から凹む凹部と、
を備え、
前記凹部を区画する底壁は、前記車載バッテリの電力を供給可能な第1コンセント部材の第1端子差込口を前記底壁において開口させるための第1貫通孔が設けられた第1カバー部と、前記車載バッテリの電力を供給可能な第2コンセント部材の第2端子差込口を前記底壁において開口させるための第2貫通孔が設けられた第2カバー部とを有し、
前記第1カバー部及び前記第2カバー部はそれぞれ、前記凹部の開口面に対して傾斜しており、
前記第2カバー部は、前記第1カバー部に対して前記開口面側に張り出しており、
前記第1カバー部及び前記第2カバー部は、前記開口面に沿い、かつ前記開口面から前記第1カバー部への深さが変化する方向において当該深さが浅い側から深い側に向かってこの順に併設されていることを特徴とするアウトレットボックス。
【請求項2】
前記底壁は、前記第1カバー部と前記第2カバー部との間に位置する段差部を有し、
前記段差部における前記凹部内に臨む内面は、前記第1カバー部から前記第2カバー部に向かうにつれて前記第1カバー部から離れるように前記第1カバー部に対して傾斜している請求項1に記載のアウトレットボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウトレットボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2には、車両に設けられた車両用電源アウトレットが開示されている。特許文献1では、車両用電源アウトレットは、車両のセンタコンソールボックスに設けられている。特許文献2では、車両用電源アウトレットは、車両の後部荷室のサイドトリムに設けられている。車両用電源アウトレットは、車両に搭載された車載バッテリの電力を供給可能である。
【0003】
車両において車両用電源アウトレットが取り付けられる取付面は、車両の上下方向に対して傾斜していることがある。この場合、車両用電源アウトレットは、例えば、次のように構成される。
【0004】
図7は、車両80の上下方向に対して傾斜した取付面81に取り付けられた車両用電源アウトレット70を上下方向に切った場合の断面図である。
図7に示すように、車両用電源アウトレット70は、コンセント部材71と、アウトレットボックス72とを備えている。コンセント部材71は、車載バッテリの電力を供給可能である。コンセント部材71は、差込プラグの端子が差し込まれる図示しない端子差込口を有している。アウトレットボックス72は、取付面81に取り付けられる取付基部73と、取付基部73における取付面81と対向する第1面73aとは反対側の第2面73bから凹む凹部74とを備えている。凹部74を区画する底壁75には、底壁75においてコンセント部材71の端子差込口を開口させるための図示しない貫通孔が設けられている。
【0005】
アウトレットボックス72における凹部74を区画する部分は、車両80に設けられた取付孔82に挿入されている。取付基部73は、車両80の上下方向に対して傾斜した取付面81に取り付けられている。これにより、アウトレットボックス72は、車両80に取り付けられている。凹部74は、取付面81において開口している。差込プラグの端子は、凹部74の開口側から端子差込口に差し込まれる。
【0006】
底壁75は、凹部74の開口面74aに対して傾斜している。これにより、取付面81が車両80の上下方向に対して傾斜していても、底壁75は、車両80の略上下方向に沿うように配置される。その結果、差込プラグの端子を端子差込口に対して水平方向に差し込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11-54211号公報
【特許文献2】特開平9-74666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図7に示すように、車両用電源アウトレット70は、複数のコンセント部材71を備えることがある。この場合、アウトレットボックス72の底壁75に複数の貫通孔が設けられることにより、複数の端子差込口が底壁75において開口する。このとき、底壁75が凹部74の開口面74aに対して傾斜している構成では、開口面74aから底壁75への深さdに浅い側と深い側が形成される。このため、複数の端子差込口のうち、凹部74の開口面74aから離れた位置、すなわち開口面74aから底壁75への深さdが深い側にある端子差込口(
図7において最も下側にあるコンセント部材71の端子差込口)に差込プラグを差し込みにくい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するためのアウトレットボックスは、車載バッテリの電力を供給可能な車両用電源アウトレットのアウトレットボックスであって、車両の取付面に取り付けられる取付基部と、前記取付基部における前記取付面と対向する第1面とは反対側の第2面から凹む凹部と、を備え、前記凹部を区画する底壁は、前記車載バッテリの電力を供給可能な第1コンセント部材の第1端子差込口を前記底壁において開口させるための第1貫通孔が設けられた第1カバー部と、前記車載バッテリの電力を供給可能な第2コンセント部材の第2端子差込口を前記底壁において開口させるための第2貫通孔が設けられた第2カバー部とを有し、前記第1カバー部及び前記第2カバー部はそれぞれ、前記凹部の開口面に対して傾斜しており、前記第2カバー部は、前記第1カバー部に対して前記開口面側に張り出しており、前記第1カバー部及び前記第2カバー部は、前記開口面に沿い、かつ前記開口面から前記第1カバー部への深さが変化する方向において当該深さが浅い側から深い側に向かってこの順に併設されていることを要旨とする。
【0010】
上記構成によれば、第2カバー部は、第1カバー部に対して凹部の開口面側に張り出している。このため、第2カバー部が第1カバー部に対して開口面側に張り出しておらず、第2カバー部が第1カバー部と同じ平面に設けられている場合と比較して、凹部の開口面から第2カバー部までの距離が短くなる。したがって、差込プラグの端子を第2コンセント部材の第2端子差込口に差し込みやすくなる。
【0011】
上記アウトレットボックスにおいて、前記底壁は、前記第1カバー部と前記第2カバー部との間に位置する段差部を有し、前記段差部における前記凹部内に臨む内面は、前記第1カバー部から前記第2カバー部に向かうにつれて前記第1カバー部から離れるように前記第1カバー部に対して傾斜していてもよい。
【0012】
上記構成によれば、段差部における凹部内に臨む内面は、第1カバー部から第2カバー部に向かうにつれて第1カバー部から離れるように第1カバー部に対して傾斜している。このため、車両の上下方向において第1カバー部が第2カバー部よりも上側に位置するようにアウトレットボックスが車両に取り付けられている場合において、雨水は段差部の内面を流れ落ちやすい。したがって、段差部に雨水が溜まりにくくなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両用電源アウトレットに対して差込プラグを差し込みやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態の車両用電源アウトレットが設けられた車両を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態における車両、車両用電源アウトレット、及びケーブルを示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、車両の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態における車両用電源アウトレットを示す側面図である。
【
図5】
図5は、実施形態における車両用電源アウトレットを示す断面図である。
【
図6】
図6は、変更例における車両用電源アウトレットを示す断面図である。
【
図7】
図7は、従来技術における車両用電源アウトレットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、アウトレットボックスを具体化した一実施形態を
図1~
図5にしたがって説明する。
図1に示すように、車両100は、車両100の前部に位置するキャビン110と、車両100の後部に位置する荷台120とを有するピックアップトラックである。荷台120は、床部121と、前側壁部122と、後側壁部123と、左側壁部124と、右側壁部125とを有している。床部121、前側壁部122、後側壁部123、左側壁部124、及び右側壁部125によって、荷室Lが区画されている。後側壁部123は、開閉可能である。左側壁部124及び右側壁部125はそれぞれ、車両100の外面を構成する外側壁部126と、荷室Lを区画する内側壁部127とを有している。右側壁部125は、内側壁部127から荷室L側に突出する突出部128を有している。突出部128は、車両100の上下方向において右側壁部125の上部かつ車両100の前後方向において右側壁部125の後部に位置している。
【0016】
図2に示すように、突出部128は、後述する車両用電源アウトレット10が取り付けられる取付面128aを有している。取付面128aは、車両100の上下方向に対して傾斜している。本実施形態では、取付面128aは、車両100の上下方向の上側から下側に向かうにつれて内側壁部127から離れるように傾斜している。つまり、取付面128aは、車両100の上下方向において上方を向いている。本実施形態の取付面128aは、平面である。
【0017】
突出部128には、取付孔128bと、4つのボルト挿通孔128cとが設けられている。取付孔128b及び4つのボルト挿通孔128cはそれぞれ、突出部128を貫通している。本実施形態の取付孔128bは、長方形状である。4つのボルト挿通孔128cは、取付孔128bの角部に位置している。
【0018】
図3に示すように、車両100は、車載バッテリ130と、車載バッテリ130の直流電力を交流電力に変換するインバータ140とを備えている。
図1及び
図2に示すように、車両100には、車両用電源アウトレット10が設けられている。本実施形態では、車両用電源アウトレット10は、突出部128の取付面128aに取り付けられている。車両用電源アウトレット10は、車載バッテリ130の電力を供給可能な供給口である。例えば、120V用のケーブル200や図示しない240V用のケーブルによって車両用電源アウトレット10と電化製品300とを電気的に接続することにより、車載バッテリ130の電力を電化製品300に供給することができる。
【0019】
ケーブル200は、ハーネス210と、ハーネス210の一端部に設けられた差込プラグ220とを有している。図示しないが、ハーネス210は、導線と、導線を被覆する絶縁性の被覆部とによって構成されている。差込プラグ220は、導線と電気的に接続された端子221と、端子221を保持する絶縁性の端子保持部222とを有している。端子221の一部は、端子保持部222から延出している。
図2に示すケーブル200は、端子保持部222からの端子221の延出方向と、差込プラグ220からのハーネス210の延出方向とが直交するL字状のケーブルである。なお、ケーブル200は、端子保持部222からの端子221の延出方向と、差込プラグ220からのハーネス210の延出方向とが一致するI字状のケーブルでもよい。なお、
図2等では、120V用のケーブル200の形状を示すが、120V用のケーブルと240V用のケーブルの違いは、本発明の本質には関係ないため、240V用ケーブルの図示及び説明を省略する。
【0020】
<車両用電源アウトレットの構成>
図2及び
図4に示すように、本実施形態の車両用電源アウトレット10は、1つの第1コンセント部材11と、4つの第2コンセント部材12とを備えている。各コンセント部材11,12は、車載バッテリ130の電力を供給可能である。第1コンセント部材11の出力電圧は240Vである。第1コンセント部材11は、図示しない240V用のケーブルの差込プラグの端子が差し込まれる複数の第1端子差込口11aを有している。各第2コンセント部材12の出力電圧は120Vである。各第2コンセント部材12は、120V用のケーブル200の差込プラグ220の端子221が差し込まれる複数の第2端子差込口12aを有している。
【0021】
図3に示すように、本実施形態の各コンセント部材11,12は、インバータ140の出力部と電気的に接続されている。各コンセント部材11,12は、インバータ140によって直流から交流に変換された電力を供給する。
【0022】
図2及び
図4に示すように、車両用電源アウトレット10は、アウトレットボックス13を備えている。
アウトレットボックス13は、取付面128aに取り付けられる取付基部20を備えている。取付基部20は、板状である。取付基部20は、第1面20a及び第2面20bを有している。第1面20a及び第2面20bはそれぞれ、取付基部20の板厚方向と直交する面である。第2面20bは、第1面20aと反対側の面である。本実施形態の取付基部20は、平板状である。したがって、第1面20a及び第2面20bはそれぞれ、平面である。
【0023】
図2及び
図5に示すように、アウトレットボックス13は、取付基部20の第2面20bから凹む凹部30を有している。凹部30は、取付基部20の第2面20bにおいて開口する開口面30aを有している。本実施形態の開口面30aは、長方形状である。
【0024】
凹部30は、底壁31と、底壁31と取付基部20とを接続する側壁32とによって区画されている。本実施形態の底壁31は、長方形状である。本実施形態の側壁32は、四角筒状である。側壁32は、底壁31の長手方向に対をなす一対の第1壁部32aと、底壁31の短手方向に対をなす一対の第2壁部32bとを有している。
【0025】
図4に示すように、本実施形態の取付基部20は、凹部30を取り囲む四角枠状である。取付基部20は、底壁31の長手方向において凹部30の両側に位置する一対の第1構成部21と、底壁31の短手方向において凹部30の両側に位置する一対の第2構成部22とによって構成されている。取付基部20の角部にはそれぞれ、ボルト挿通孔20hが形成されている。ボルト挿通孔20hは、取付基部20を板厚方向に貫通している。
【0026】
図4及び
図5に示すように、底壁31は、第1カバー部33と、第2カバー部34と、段差部35とを有している。
図5に示すように、第1カバー部33は、底壁31の内面の一部を構成する第1内面33aを有している。第2カバー部34は、底壁31の内面の一部を構成する第2内面34aを有している。本実施形態の第1カバー部33及び第2カバー部34はそれぞれ、平板状である。第1内面33a及び第2内面34aはそれぞれ、平面である。
【0027】
第1カバー部33及び第2カバー部34はそれぞれ、凹部30の開口面30aに対して傾斜している。本実施形態では、第1カバー部33と第2カバー部34とは、平行な関係である。したがって、凹部30の開口面30aに対する第1カバー部33の傾斜角度と、凹部30の開口面30aに対する第2カバー部34の傾斜角度とは、同じである。凹部30の開口面30aに対する各カバー部33,34の傾斜角度は、車両100の上下方向に対する取付面128aの傾斜角度とほぼ同じである。
【0028】
第1カバー部33が凹部30の開口面30aに対して傾斜していることによって、開口面30aから第1カバー部33への深さd1は変化している。すなわち、開口面30aから第1カバー部33への深さd1に浅い側と深い側が形成されている。なお、開口面30aから第1カバー部33への深さd1とは、開口面30aと直交する方向における開口面30aから第1カバー部33までの距離である。本実施形態では、開口面30aから第1カバー部33への深さd1は、開口面30aの長手方向において一方側の第1構成部21から他方側の第1構成部21に向かうにつれて深くなっている。
【0029】
また、第2カバー部34が凹部30の開口面30aに対して傾斜していることによって、開口面30aから第2カバー部34への深さd2は変化している。すなわち、開口面30aから第2カバー部34への深さd2に浅い側と深い側が形成されている。なお、開口面30aから第2カバー部34への深さd2とは、開口面30aと直交する方向における開口面30aから第2カバー部34までの距離である。本実施形態では、開口面30aから第2カバー部34への深さd2は、開口面30aの長手方向において一方側の第1構成部21から他方側の第1構成部21に向かうにつれて深くなっている。したがって、開口面30aから第1カバー部33への深さd1が深くなる方向と、開口面30aから第2カバー部34への深さd2が深くなる方向とは、一致している。
【0030】
第1カバー部33及び第2カバー部34は、開口面30aに沿い、かつ開口面30aから第1カバー部33への深さd1が変化する方向に併設されている。第2カバー部34は、開口面30aに沿い、かつ開口面30aから第1カバー部33への深さd1が変化する方向において深さd1が深い側に位置している。つまり、第1カバー部33及び第2カバー部34は、開口面30aに沿い、かつ開口面30aから第1カバー部33への深さd1が変化する方向において深さd1が浅い側から深い側に向かってこの順に併設されている。
【0031】
第2カバー部34は、第1カバー部33に対して凹部30の開口面30a側に張り出している。第2カバー部34の第2内面34aは、第1カバー部33の第1内面33aに対して凹部30の開口面30a側に張り出している。開口面30aから第2カバー部34への深さd2が最も浅くなる部分での深さd21は、開口面30aから第1カバー部33への深さd1が最も深くなる部分での深さd10よりも浅くなる。これに伴い、開口面30aから第2カバー部34への深さd2が最も深くなる部分の深さd22も、第2カバー部34が第1カバー部33に対して開口面30a側に張り出していない場合と比較すると浅くなる。
【0032】
図4に示すように、第1カバー部33には、1つの第1貫通孔33hが形成されている。第1貫通孔33hは、第1カバー部33を板厚方向に貫通している。本実施形態の第1貫通孔33hは、円形状である。第2カバー部34には、4つの第2貫通孔34hが形成されている。各第2貫通孔34hは、第2カバー部34を板厚方向に貫通している。本実施形態の各第2貫通孔34hは、矩形状である。4つの第2貫通孔34hは、底壁31の長手方向において2つずつ2段に配置されている。
【0033】
段差部35は、第1カバー部33と第2カバー部34との間に位置している。段差部35は、第1カバー部33と第2カバー部34とを接続している。本実施形態では、段差部35における凹部30内に臨む内面35aは、第1カバー部33から第2カバー部34に向かうにつれて第1カバー部33から離れるように第1カバー部33に対して傾斜している。すなわち、第1カバー部33の第1内面33aと段差部35の内面35aとがなす角は鈍角になっている。
【0034】
図5に示すように、本実施形態のアウトレットボックス13は、底壁31から側壁32とは反対側に向かって延出する筒状の立設壁40を有している。各コンセント部材11,12は、底壁31及び立設壁40によって区画された収容空間S内に収容されている。つまり、各コンセント部材11,12は、底壁31を挟んで側壁32とは反対側に配置されている。
【0035】
図4に示すように、第1コンセント部材11の第1端子差込口11aは、第1カバー部33の第1貫通孔33hにより、第1カバー部33において開口している。つまり、第1端子差込口11aは、底壁31において開口している。各第2コンセント部材12の第2端子差込口12aは、第2カバー部34の第2貫通孔34hにより、第2カバー部34において開口している。つまり、各第2端子差込口12aは、底壁31において開口している。
【0036】
<車両に対する車両用電源アウトレットの取付状態>
車両用電源アウトレット10は、荷室L側から突出部128の取付孔128bに挿入されている。各コンセント部材11,12及びアウトレットボックス13における取付基部20以外の部分は、右側壁部125内に配置されている。凹部30は、荷室L側に開口している。
【0037】
取付基部20の第1面20aは、取付面128aと対向している。取付基部20の第2面20bは、荷室L内に露出している。取付基部20は、車両100の上下方向に対して傾斜している。本実施形態では、取付基部20は、第2面20bが車両100の上下方向の上方を向くように車両100の上下方向に対して傾斜している。
【0038】
取付基部20は、取付面128aに取り付けられている。具体的には、図示しないボルトが取付基部20のボルト挿通孔20h及び突出部128のボルト挿通孔128cの順に挿通された後、右側壁部125内において図示しないナットに螺合されている。これにより、アウトレットボックス13は、取付面128aに取り付けられている。本実施形態では、一対の第1構成部21は、車両100の上下方向において取付孔128bの両側に位置している。一対の第2構成部22は、車両100の前後方向において取付孔128bの両側に位置している。
【0039】
アウトレットボックス13が取付面128aに取り付けられた状態において、凹部30を区画する底壁31は、取付面128aよりも凹んだ位置にある。第1端子差込口11a及び各第2端子差込口12aはそれぞれ、底壁31に設けられている。このため、アウトレットボックス13が取付面128aに取り付けられた状態において、第1端子差込口11a及び各第2端子差込口12aはそれぞれ、取付面128aよりも凹んだ位置にある。
【0040】
第1カバー部33は、凹部30の開口面30aに対して傾斜している。アウトレットボックス13が取付面128aに取り付けられた状態において、開口面30aから第1カバー部33への深さd1は、車両100の上下方向において上側から下側に向かうにつれて深くなっている。また、第2カバー部34は、凹部30の開口面30aに対して傾斜している。アウトレットボックス13が取付面128aに取り付けられた状態において、開口面30aから第2カバー部34への深さd2は、車両100の上下方向において上側から下側に向かうにつれて深くなっている。このため、第1カバー部33及び第2カバー部34はそれぞれ、車両100の上下方向に沿って配置されている。底壁31の長手方向は、車両100の上下方向と一致している。底壁31の短手方向は、車両100の前後方向と一致している。したがって、第1端子差込口11a及び各第2端子差込口12aはそれぞれ、水平方向に開口している。
【0041】
第1カバー部33及び第2カバー部34は、開口面30aに沿い、かつ開口面30aから第1カバー部33への深さd1が変化する方向において深さd1が浅い側から深い側に向かってこの順に併設されている。このため、アウトレットボックス13が取付面128aに取り付けられた状態において、第1カバー部33は、車両100の上下方向において第2カバー部34よりも上側に位置している。したがって、第1端子差込口11aは、車両100の上下方向において第2端子差込口12aよりも上側に位置している。
【0042】
図示しない240V用のケーブルの差込プラグの端子は、凹部30の開口側から第1カバー部33において開口する第1コンセント部材11の第1端子差込口11aに差し込まれる。120V用のケーブル200の差込プラグ220の端子221は、凹部30の開口側から第2カバー部34において開口する第2コンセント部材12の第2端子差込口12aに差し込まれる。
【0043】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)第2カバー部34は、第1カバー部33に対して凹部30の開口面30a側に張り出している。このため、第2カバー部34が第1カバー部33に対して開口面30a側に張り出しておらず、第2カバー部34が第1カバー部33と同じ平面に設けられている場合と比較して、凹部30の開口面30aから第2カバー部34までの距離が短くなる。したがって、差込プラグ220の端子221を第2コンセント部材12の第2端子差込口12aに差し込みやすくなる。
【0044】
(2)車両用電源アウトレット10は、車両100の荷台120に設けられている。つまり、車両用電源アウトレット10は、雨水がかかるおそれのある場所に設けられている。アウトレットボックス13は、車両100の上下方向の上方を向くように上下方向に対して傾斜する取付面128aに取り付けられている。
【0045】
例えば、各カバー部33,34が凹部30の開口面30aに対して傾斜していない場合、アウトレットボックス13が取付面128aに取り付けられた状態において、各カバー部33,34は、車両100の上下方向に対して傾斜する。具体的には、各カバー部33,34は、各内面33a,34aが車両100の上下方向の上方を向くように傾斜する。このため、各コンセント部材11,12の各端子差込口11a,12aも、車両100の上下方向の上方を向く。
【0046】
この場合、各端子差込口11a,12aに差込プラグ220の端子221を差し込みにくい。また、各端子差込口11a,12aに雨水がかかるおそれがある。さらに、ハーネス210は、車両用電源アウトレット10よりも下方に向かって取り回されることが多いが、ケーブル200がI字状である場合、ハーネス210は車両用電源アウトレット10から上方に向かって延びるため、ハーネス210を取り回しにくい。
【0047】
これに対し、本実施形態では、各カバー部33,34は、凹部30の開口面30aに対して傾斜している。このため、取付面128aが車両100の上下方向に対して傾斜していても、車両100の上下方向に沿うようにカバー部33,34を配置することができる。この場合、各コンセント部材11,12の各端子差込口11a,12aは、水平方向に開口する。したがって、差込プラグ220の端子221を各端子差込口11a,12aに対して水平方向に差し込むことができる。また、各端子差込口11a,12aに雨水がかかりにくくなる。さらに、ハーネス210を取り回しやすくなる。
【0048】
(3)アウトレットボックス13の各貫通孔33h,34hは、凹部30を区画する底壁31に設けられている。このため、アウトレットボックス13が取付面128aに取り付けられた状態において、各端子差込口11a,12aは、取付面128aよりも凹んだ位置に設けられている。したがって、例えば、各端子差込口11a,12aが取付面128a上に設けられている場合と比較して、荷室Lの荷物が各端子差込口11a,12aに差し込まれた差込プラグ220に干渉しにくい。
【0049】
(4)
図5は、L字状のケーブル200の差込プラグ220が、4つの第2端子差込口12aのうち、下側に位置する第2端子差込口12aに差し込まれた状態を示している。例えば、第2カバー部34が第1カバー部33に対して開口面30a側に張り出しておらず、第2カバー部34が第1カバー部33と同じ平面に設けられている場合、ハーネス210は、側壁32に干渉しやすい。また、ハーネス210は、差込プラグ220から90度に近い角度で屈曲するように取り回される。これに対し、本実施形態では、第2カバー部34は、第1カバー部33に対して凹部30の開口面30a側に張り出しているため、開口面30aから第2カバー部34までの距離が短くなる。これにより、ハーネス210が側壁32に干渉しにくくなる。また、差込プラグ220に対するハーネス210の屈曲角度を小さくできる。
【0050】
(5)底壁31は、第1カバー部33と第2カバー部34との間に位置する段差部35を有している。段差部35における凹部30内に臨む内面35aは、第1カバー部33から第2カバー部34に向かうにつれて第1カバー部33から離れるように第1カバー部33に対して傾斜している。このため、車両100の上下方向において第1カバー部33が第2カバー部34よりも上側に位置するようにアウトレットボックス13が車両100に取り付けられている場合において、雨水は段差部35の内面35aを流れ落ちやすい。したがって、段差部35に雨水が溜まりにくくなる。
【0051】
[変更例]
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0052】
○ 段差部35の内面35aは、第1カバー部33から第2カバー部34に向かうにつれて第1カバー部33から離れるように第1カバー部33に対して傾斜していなくてもよい。段差部35の内面35aは、例えば、第1カバー部33に対して直交していてもよい。
【0053】
○ 上記実施形態のアウトレットボックス13は、第1カバー部33及び第2カバー部34の2つのカバー部を有していたが、これに限定されない。アウトレットボックス13は、3つ以上のカバー部を有していてもよい。
【0054】
例えば、アウトレットボックス13は、車載バッテリ130の電力を供給可能な第3コンセント部材の第3端子差込口を底壁31において開口させるための第3貫通孔が設けられた第3カバー部を有していてもよい。第3カバー部も第1カバー部33及び第2カバー部34と同様、凹部30の開口面30aに対して傾斜している。第3カバー部は、第2カバー部34に対して凹部30の開口面30a側に張り出している。第1カバー部33、第2カバー部34、及び第3カバー部は、開口面30aに沿い、かつ開口面30aから第1カバー部33への深さd1が変化する方向において深さd1が浅い側から深い側に向かってこの順に併設されている。つまり、第1カバー部33、第2カバー部34、及び第3カバー部は、階段状に配置されている。
【0055】
この場合、アウトレットボックス13は、第1カバー部33と第2カバー部34との間に位置する段差部35に加えて、第2カバー部34と第3カバー部との間に位置する段差部を有する。第2カバー部34と第3カバー部との間に位置する段差部において凹部30内に臨む内面は、段差部35の内面35aと同様、傾斜していてもよい。なお、第2カバー部34と第3カバー部との間に位置する段差部の内面の傾斜角度は、段差部35の内面35aの傾斜角度と同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0056】
○ 凹部30の開口面30aに対する第1カバー部33の傾斜角度と、凹部30の開口面30aに対する第2カバー部34の傾斜角度とは、異なっていてもよい。つまり、第1カバー部33と第2カバー部34とは、平行な関係でなくてもよい。
【0057】
○
図6に示すように、取付面128aは、車両100の上下方向の下方を向くように車両100の上下方向に対して傾斜していてもよい。この場合、アウトレットボックス13は、車両100の上下方向において第1カバー部33が下側に位置し、かつ第2カバー部34が上側に位置するように、車両100に取り付けられる。
【0058】
例えば、各カバー部33,34が凹部30の開口面30aに対して傾斜していない場合、アウトレットボックス13が取付面128aに取り付けられた状態において、各カバー部33,34は、車両100の上下方向に対して傾斜する。具体的には、各カバー部33,34は、各内面33a,34aが車両100の上下方向の下方を向くように傾斜する。このため、各コンセント部材11,12の各端子差込口11a,12aも、車両100の上下方向の下方を向く。この場合、各端子差込口11a,12aに差込プラグ220の端子221を差し込みにくい。また、端子221が自重により抜けやすい。
【0059】
これに対し、本実施形態では、各カバー部33,34は、凹部30の開口面30aに対して傾斜している。このため、取付面128aが車両100の上下方向に対して傾斜していても、車両100の上下方向に沿うようにカバー部33,34を配置することができる。この場合、各コンセント部材11,12の各端子差込口11a,12aは、水平方向に開口する。したがって、差込プラグ220の端子221を各端子差込口11a,12aに対して水平方向に差し込むことができる。また、端子221が抜けにくくなる。
【0060】
また、例えば、第2カバー部34が第1カバー部33と同じ平面に設けられている場合、第2コンセント部材12に接続されたケーブル200のハーネス210が第1コンセント部材11に接続されたケーブルに干渉しやすい。これに対し、本実施形態では、第2カバー部34は、第1カバー部33に対して凹部30の開口面30a側に張り出している。このため、第2コンセント部材12に接続されたケーブル200のハーネス210が第1コンセント部材11に接続されたケーブルに干渉しにくくなる。
【0061】
○ 車両用電源アウトレット10が備える第1コンセント部材11の数及び第2コンセント部材12の数はそれぞれ、適宜変更されてもよい。
○ 第1コンセント部材11の出力電圧は、240Vに限定されない。第2コンセント部材12の出力電圧は、120Vに限定されない。各コンセント部材11,12の出力電圧は、任意である。
【0062】
○ 各コンセント部材11,12が供給する電力は、直流電力でもよい。
○ 取付基部20は、一対の第1構成部21を有していなくてもよい。つまり、取付基部20は、一対の第2構成部22のみを有していてもよい。
【0063】
○ 取付基部20は、一対の第2構成部22を有していなくてもよい。つまり、取付基部20は、一対の第1構成部21のみを有していてもよい。
○ 取付基部20は、平板状でなくてもよい。例えば、取付面128aが湾曲面である場合、取付基部20の第1面20aは、取付面128aに沿うように湾曲していてもよい。
【0064】
○ 凹部30を区画する側壁32は、筒状でなくてもよい。側壁32は、一対の第1壁部32aのうち、第1カバー部33側に位置する第1壁部32aを有していなくてもよい。つまり、側壁32は、第2カバー部34側に位置する第1壁部32aと一対の第2壁部32bとを有するU字形状であってもよい。この場合、底壁31の短手方向に延びる一対の縁部のうち、第1カバー部33側に位置する一方の縁部は、側壁32を介さずに取付基部20と接続される。
【0065】
○ アウトレットボックス13は、立設壁40を有していなくてもよい。
○ アウトレットボックス13は、第1貫通孔33hを覆う第1貫通孔カバー部材を備えていてもよい。この場合、第1端子差込口11aを使用していないときには、第1貫通孔カバー部材によって第1貫通孔33hを覆っておけば、第1端子差込口11aに雨水がかかりにくくなる。
【0066】
同様に、アウトレットボックス13は、第2貫通孔34hを覆う第2貫通孔カバー部材を備えていてもよい。この場合、第2端子差込口12aを使用していないときには、第2貫通孔カバー部材によって第2貫通孔34hを覆っておけば、第2端子差込口12aに雨水がかかりにくくなる。
【0067】
○ 車両用電源アウトレット10は、荷台120の前側壁部122や後側壁部123、左側壁部124に設けられていてもよい。
○ 車両用電源アウトレット10は、キャビン110に設けられていてもよい。
【0068】
○ 車両用電源アウトレット10は、ピックアップトラック以外の車両100に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10…車両用電源アウトレット、11…第1コンセント部材、11a…第1端子差込口、12…第2コンセント部材、12a…第2端子差込口、13…アウトレットボックス、20…取付基部、20a…第1面、20b…第2面、30…凹部、30a…開口面、31…底壁、33…第1カバー部、33h…第1貫通孔、34…第2カバー部、34h…第2貫通孔、35…段差部、35a…内面、100…車両、128a…取付面、130…車載バッテリ、d1…深さ。