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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171715
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06V 10/22 20220101AFI20241205BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241205BHJP
   G06V 20/59 20220101ALI20241205BHJP
   G06T 7/174 20170101ALI20241205BHJP
【FI】
G06V10/22
G06T7/00 650Z
G06T7/00 660Z
G06V20/59
G06T7/174
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088873
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】中島 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】魚住 哲生
(72)【発明者】
【氏名】兼松 春奈
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA04
5L096DA03
5L096EA37
5L096FA02
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】車両内に変化があったか否かを判断する際に、画像処理にかかる時間を短縮する。
【解決手段】情報処理装置20の取得部211は、車両100内の映像データを取得する。検出部213は、映像データを画像処理することにより、車両100に乗車している乗客の手の位置を検出する。領域設定部214は、映像データ内に、検出部213が乗客の手の位置を検出した範囲を含む第1画像処理領域を設定する。判断部215は、車両100が目的地に到着した後の映像データである第1映像データにおける第1画像処理領域内の画像に基づいて、車両100内に変化があったか否かを判断する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の映像データを取得する取得部と、
前記映像データを画像処理することにより、前記車両に乗車している乗客の手の位置を検出する検出部と、
前記映像データ内に、前記検出部が前記乗客の手の位置を検出した範囲を含む第1画像処理領域を設定する領域設定部と、
前記車両が目的地に到着した後の前記映像データである第1映像データにおける前記第1画像処理領域内の画像に基づいて、前記車両内に変化があったか否かを判断する判断部と、
を備える
情報処理装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記第1映像データにおける前記第1画像処理領域内で物体を検出した場合に、前記車両内に変化があったと判断する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記第1映像データにおける前記第1画像処理領域内の画像と、前記乗客が乗車する前の前記映像データである第2映像データにおける前記第1画像処理領域内の画像とを比較して、前記車両内に変化があったか否かを判断する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記映像データを画像処理することにより、前記乗客が手に物体を持っているか否かを検出し、
前記領域設定部は、前記検出部が、前記乗客が手に物体を持っていることを検出した場合の前記第1画像処理領域の範囲を、前記検出部が、前記乗客が手に物体を持っていることを検出しない場合の第1画像処理領域の範囲より大きく設定する
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記領域設定部は、前記検出部が前記乗客の手の位置を検出した範囲が前記車両の座面より高い位置に位置する場合には、前記乗客の手の位置を検出した範囲の下方に位置する前記座面上の範囲を更に含むように前記第1画像処理領域を設定する
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判断部は、前記第1画像処理領域の画像処理を、前記第1画像処理領域以外の領域の画像処理より高い精度で行う
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記判断部は、前記第1映像データにおける前記第1画像処理領域のみに画像処理を行う
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記判断部は、前記第1画像処理領域以外の領域の前記第1映像データの画像ピクセルに情報が無いものとして画像処理を行う
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記判断部は、前記第1映像データにおける前記第1画像処理領域以外の領域の画像データを圧縮して画像処理を行う
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記判断部は、前記第1画像処理領域のうち、前記車両内の部材に近接する範囲の画像処理を、前記第1画像処理領域以外の領域より高い精度で行う
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記判断部が前記車両内に変化があったと判断した場合に、前記車両内に忘れ物が無いかを注意喚起する情報を表示装置に出力する出力部
を更に備える請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記出力部は、前記検出部が、前記乗客が着席していた前記車両のシート以外の範囲で前記乗客の手を検出した場合、又は、前記検出部が、前記車両内の所定の領域内で前記乗客の手を検出した場合に、前記車両内に忘れ物が無いかを注意喚起する情報を表示装置に出力する
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記判断部が前記車両内に変化があったと判断した場合に、前記車両内に忘れ物が無いかを注意喚起する音声データを報知装置に出力する出力部を更に備える請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項14】
車両に搭載された情報処理装置による情報処理方法であって、
車両内の映像データを取得し、
前記映像データを画像処理することにより、前記車両に乗車している乗客の手の位置を検出し、
前記映像データ内に、前記乗客の手の位置を検出した範囲を含む第1画像処理領域を設定し、
前記車両が目的地に到着した後の前記映像データである第1映像データにおける前記第1画像処理領域内の画像に基づいて、前記車両内に変化があったか否かを判断する
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1の時刻における自動車内の第1映像データと、第1の時刻より後の第2の時刻における自動車内の第2映像データとに基づいて、第1の時刻と第2の時刻との間で、自動車内に変化があったか否かを判断する情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/180985号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術によれば、情報処理装置は、第1及び第2の時刻における2つの映像データに映し出されている全範囲を画像処理して比較することにより、自動車内に変化があったか否かを判断している。しかしながら、映像データには光や影などのノイズが含まれているため、精度よく自動車内の変化を検出するためには、高精度な画像処理が必要となる。このため、処理を完了するまでに時間がかかってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものである。その目的とするところは、車両内に変化があったか否かを判断する際に、画像処理にかかる時間を短縮することができる情報処理方法及び情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係わる情報処理装置及び情報処理方法は、車両内の映像データを画像処理することにより、車両に乗車している乗客の手の位置を検出し、乗客の手の位置を検出した範囲を含む第1画像処理領域を設定し、車両が目的地に到着した後の映像データである第1映像データにおける第1画像処理領域内の画像に基づいて、車両内に変化があったか否かを判断する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両内に変化があったか否かを判断する際に、画像処理にかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る情報処理装置と周辺装置とを含む車両の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、検出部が車両に乗車している乗客の手の位置を検出した範囲を模式的に示す図である。
図3図3は、図2において検出された範囲に基づいて設定される第1画像処理領域を模式的に示す図である。
図4図4は、第1画像処理領域の一例を示す図である。
図5図5は、第1画像処理領域の他の例を示す図である。
図6図6は、一実施形態に係る情報処理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
[情報処理装置の構成]
図1を参照して一実施形態に係る情報処理装置20の構成例を説明する。情報処理装置20は、図1に示すように、車両100に搭載される。情報処理装置20は、車両100に搭載された車内カメラ11、ドアセンサ12、シートベルトセンサ13、ナビゲーション装置14、車内用モニタ15、車外用モニタ16、車外スピーカ17と接続される。
【0011】
車両100は、自動運転機能を有する車両であってもよく、自動運転機能を有しない車両であってもよい。また、車両100は、自動運転と手動運転とを切り替えることが可能な車両であってもよい。車両100は、例えば、自動運転機能を有するタクシー等の車両であり、運転手が不在の状態で乗客を目的地まで運ぶことができる車両であってもよい。
【0012】
車内カメラ11は、車両100の車室内に設置される。車内カメラ11の設置場所は特に限定されないが、一例として車両100の天井における前席乗客用シート上方近傍に複数設けられ、更に天井におけるサイドウィンドウ近傍に複数設けられる。車内カメラ11は、例えば広角のデジタルカメラまたはビデオカメラであり、死角が生じないように車両100内の映像データを撮像する。車内カメラ11は、撮像した映像データを情報処理装置20に出力する。
【0013】
ドアセンサ12は、車両100の前方ドア及び後方ドアの開閉を検出する。ドアセンサ12は、車両100の各ドアの開閉を検出すると、その旨を示す情報を情報処理装置20へ出力する。シートベルトセンサ13は、車両100の各座席のシートベルトが着用されているか否かを検出する。シートベルトセンサ13は、車両100の各座席のシートベルトが着用から非着用になったことを検出すると、その旨を示す情報を情報処理装置20へ出力する。ナビゲーション装置14は、車両100が目的地に到着したと判定した場合に、その旨を示す情報を情報処理装置20へ出力する。
【0014】
情報処理装置20は、コントローラ21と、車内カメラ11から取得された映像データを記憶する記憶装置22とを備える。コントローラ21はCPU(Central Processing Unit)、メモリ、記憶部、入出力部などを備える汎用のコンピュータである。コントローラ21は車内カメラ11、ドアセンサ12、シートベルトセンサ13及びナビゲーション装置14から取得したデータを処理し、車内用モニタ15、車外用モニタ16及び車外スピーカ17を制御する。
【0015】
具体的には、CPUは記憶部に記憶されている様々なプログラムをメモリに読み込んで、プログラムに含まれる各種の命令を実行する。これによりコントローラ21は情報処理装置20が備える複数の情報処理回路として機能する。コントローラ21は複数の情報処理回路として、取得部211、第1判断部212、検出部213、領域設定部214、第2判断部215、出力部216を備える。
【0016】
取得部211は、車内カメラ11により撮像された、車両100内の映像データを取得する。取得部211は、取得した車両100内の映像データを記憶装置22に格納する。取得部211は、ドアセンサ12から車両100の各ドアの開閉状態を示す情報を取得し、シートベルトセンサ13から車両100の各座席のシートベルトが着用状態を示す情報を取得する。また、取得部211は、ナビゲーション装置14から、車両100が目的地に到着したことを示す情報を取得する。
【0017】
第1判断部212は、取得部211がドアセンサ12、シートベルトセンサ13、ナビゲーション装置14から取得した情報に基づいて、車両100が目的地に到着したか否かを判断する。また、第1判断部212は、取得部211がドアセンサ12、シートベルトセンサ13、ナビゲーション装置14から取得した情報に基づいて、車両100に乗客が乗車したか否か、及び車両100から乗客が降車したか否かをそれぞれ判断する。第1判断部212は、車両100が目的地に到着したと判断した場合又は車両100から乗客が降車したと判断した場合に、処理を開始する指示信号を検出部213、領域設定部214、第2判断部215に送信する。
【0018】
検出部213は、第1判断部212から指示信号を受信した場合に、記憶装置22から、乗客が乗車している間の車両100内の映像データを取得する。すなわち、検出部213は、乗客が車両100に乗車してから、第1判断部212から指示信号を受信するまでの間の車両100内の映像データを取得する。検出部213は、取得した映像データを画像処理することにより、車両100に乗車している乗客の手の位置を検出する。図2に示す例では、検出部213は、乗客の手の位置を検出し、乗客の手が範囲31~33の範囲で動いたことを検出する。車両100に乗車中に乗客が手を動かすことで、範囲31~33は、乗客の手に対応したものとなる。なお、検出部213は、乗客が車両100に乗車している間に、車内カメラ11からリアルタイムに映像データを取得し、取得した映像データをリアルタイムに画像処理することにより、乗客の手の位置を検出してもよい。
【0019】
また、検出部213は、取得した映像データを画像処理することにより、乗客が手に物体を持っているか否かを検出する。図2に示す例では、検出部213は、範囲31、32において、乗客が手に物体を持っていることを検出し、範囲33において、乗客が手に物体を持っていることを検出しない。
【0020】
領域設定部214は、第1判断部212から指示信号を受信した場合に、映像データ内に、検出部213が乗客の手の位置を検出した範囲を含む領域である第1画像処理領域を設定する。
【0021】
(第1画像処理領域の設定方法)
図2図4を参照して、第1画像処理領域の設定方法について説明する。図3に示す例では、領域設定部214は、図2において検出部213が乗客の手の位置を検出した範囲31~33を含む領域である第1画像処理領域41を設定する。検出部213が乗客の手を検出した範囲31~33は、乗客の手が検出されない範囲よりも、乗客が物体を落としたり置き忘れたりする可能性が高い範囲であると言える。したがって、映像データにおいて範囲31~33を含む第1画像処理領域41を高精度に画像処理することによって、車両100内の忘れ物を効率的に検出できる。
【0022】
また、領域設定部214は、検出部213が、乗客が手に物体を持っていることを検出した場合、第1画像処理領域の範囲を、検出部213が乗客が手に物体を持っていることを検出しない場合より大きく設定する。図2においては、検出部213が乗客が手に物体を持っていることを検出した範囲31、32は、乗客が手に物体を持っていることを検出しない範囲33よりも更に、乗客が物体を落としたり置き忘れたりする可能性が高い範囲であると言える。したがって、乗客が手に物体を持っていることを検出した場合に第1画像処理領域の範囲をより大きく設定することで、より確実に車両100内の忘れ物を検出できる。
【0023】
また、領域設定部214は、検出部213が乗客の手の位置を検出した範囲が車両100の各座席の座面より高い位置に位置する場合には、乗客の手の位置を検出した範囲の下方に位置する座面上の範囲を更に含むように第1画像処理領域を設定してもよい。
【0024】
例えば図4において、領域設定部214は、検出部213が乗客の手の位置を検出した範囲34~36を含む第1画像処理領域42、43を設定する。図4において、領域設定部214は、検出部213が乗客の手の位置を検出した範囲34~36が車両100の座席50の座面51より高い位置に位置する場合には、範囲34~36の下方に位置する座面上の範囲44、45を第1画像処理領域に含めてもよい。
【0025】
第2判断部215は、車両100が目的地に到着した後の映像データである第1映像データにおける第1画像処理領域内の画像に基づいて、車両100内に変化があったか否かを判断する。具体的には、第2判断部215は、第1判断部212から指示信号を受信した場合に、乗客が乗車している間の車両100内の映像データから、車両100が目的地に到着した後の映像データである第1映像データを抽出する。第2判断部215は、抽出した第1映像データを画像処理することにより、第1映像データにおける第1画像処理領域内に存在する物体を検出する。
【0026】
第2判断部215は、第1映像データにおける第1画像処理領域内で物体を検出した場合に、車両100内に変化があったと判断する。一方、第2判断部215は、第1映像データにおける第1画像処理領域内で物体を検出しない場合には、車両100内に変化がないと判断する。
【0027】
(第2判断部が行う画像処理方法)
図4及び図5を参照して、第2判断部215が行う画像処理方法について説明する。第2判断部215は、第1映像データにおける第1画像処理領域に対して、第1画像処理領域以外の領域とは異なる画像処理を行う。具体的には、第2判断部215は、第1画像処理領域の画像処理を、第1画像処理領域以外の領域の画像処理より高い精度で行う。第2判断部215は、例えば、後述する第1及び第2の画像処理方法のいずれかの画像処理方法により、物体を検出するための高精度な画像処理を行う範囲を限定することができる。
【0028】
まず、第1の画像処理方法について説明する。例えば図4において、第2判断部215は、第1映像データにおける第1画像処理領域42~45のみに画像処理を行う。或いは、第2判断部215は、第1映像データの(A+n)×(B+n)個の画像ピクセルのうち、第1画像処理領域42~45以外の領域の画像ピクセルに情報が無いものとして画像処理を行ってもよい。これにより、第2判断部215は、物体を検出するための高精度な画像処理を行う範囲を実質的に第1画像処理領域42~45に限定することができる。
【0029】
次に、第2の画像処理方法について説明する。例えば図4において、第2判断部215は、第1映像データにおける第1画像処理領域42~45以外の領域の画像データを圧縮して画像処理を行う。この場合、第2判断部215は、第1映像データにおける第1画像処理領域42~45の画像データは圧縮せずに画像処理を行う。第1画像処理領域42~45以外の領域の画像データが圧縮されることにより、第1画像処理領域42~45以外の領域に対する画像処理の精度は、第1映像データにおける第1画像処理領域42~45に対する画像処理の精度よりも実質的に低くなる。第2判断部215は、物体を検出するための高精度な画像処理を行う際に、処理にかかる負荷及び時間を軽減することができる。
【0030】
これら第1及び第2の画像処理方法で画像処理を行うにあたり、第2判断部215は、第1画像処理領域に対する画像処理を、以下のような手法で行ってもよい。例えば図5に示すように、第2判断部215は、第1映像データにおける第1画像処理領域42~45のうち、車両100内の部材に近接する範囲の画像処理を、第1画像処理領域42~45以外の領域より高い精度で行う。ここで言う車両100内の部材とは、車両100内に設置されている部材であって、例えば図5においては、座面51、背もたれ部52、ヘッドレスト53とを含む座席50である。
【0031】
図5において、第2判断部215は、第1画像処理領域42~45のうち、車両100内の座面51、背もたれ部52、ヘッドレスト53の少なくともいずれかに近接する範囲の画像処理を、第1画像処理領域以外の領域より高い精度で行う。換言すれば、第2判断部215は、第1画像処理領域42~45のうち、座面51、背もたれ部52、ヘッドレスト53のいずれにも近接しない範囲46、47を除いた領域の画像処理を、第1画像処理領域以外の領域より高い精度で行う。すなわち、第2判断部215は、第1画像処理領域42~45のうち、座面51、背もたれ部52、ヘッドレスト53のいずれにも近接しない範囲46、47では、第1画像処理領域以外の領域と同程度の精度で画像処理を行う。これにより、第2判断部215は、物体を検出するための高精度な画像処理を行う範囲を第1画像処理領域42~45から更に限定することができる。
【0032】
出力部216は、第2判断部215が車両100内に変化があったと判断した場合に、車内用モニタ15又は車外用モニタ16に、車両100内の物体が検出された場所に忘れ物が無いかを注意喚起する情報を出力する。出力部216は、例えば、車両100が目的地に到着し、乗客が車両100を降車する前に第2判断部215が車両100内に変化があったと判断した場合には車内用モニタ15に、乗客が車両100を降車した後に第2判断部215が車両100内に変化があったと判断した場合には車外用モニタ16に、忘れ物が無いかを注意喚起する情報を出力する。
【0033】
なお、出力部216は、検出部213が、乗客が着席していた座席以外の範囲で乗客の手を検出した場合、又は、検出部213が、車両の小物入れ、ドリンクホルダーなどの忘れ物をしやすいような車両100内の所定の領域内で乗客の手を検出した場合には、第2判断部215の判断結果に関わらず、車両100内の乗客が着席していた座席以外の範囲又は所定の領域内に忘れ物が無いかを注意喚起する情報を車内用モニタ15又は車外用モニタ16に出力してもよい。
【0034】
また、出力部216は、第2判断部215が車両100内に変化があったと判断した場合に、車両100内に忘れ物が無いかを注意喚起する音声データを車外スピーカ17に出力してもよい。
【0035】
車内用モニタ15は、情報処理装置20から出力された情報に基づいて、物体が検出された場所に忘れ物が無いかを注意喚起する画像を表示する。車内用モニタ15は、車両100の車室内に設置される。車内用モニタ15は、車両100の各座席から視認可能な位置に設置されればよく、車内用モニタ15の設置場所及び設置台数は特に限定されない。車内用モニタ15は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)であってもよく、タッチパネルであってもよい。車内用モニタ15は、例えば、車両100が目的地に到着し、乗客が車両100を降車する前に、第2判断部215が車両100内に変化があったと判断した場合に、物体が検出された場所に忘れ物が無いかを注意喚起する画像を表示する。
【0036】
車外用モニタ16は、情報処理装置20から出力された情報に基づいて、物体が検出された場所に忘れ物が無いかを注意喚起する画像を表示する。車外用モニタ16は、車両100の車室内に設置される。車外用モニタ16は、車両100を降車した乗客が視認可能な位置に設置されればよく、車外用モニタ16の設置場所及び設置台数は特に限定されない。車外用モニタ16は、例えばLCDや有機ELであってもよい。車外用モニタ16は、例えば、乗客が車両100を降車した後に第2判断部215が車両100内に変化があったと判断した場合に、物体が検出された場所に忘れ物が無いかを注意喚起する画像を表示する。
【0037】
車外スピーカ17は、情報処理装置20から出力された情報に基づいて、忘れ物が無いかを乗客に注意喚起する音声データを出力する。車外スピーカ17は、車両100の車室外に設置される。車外スピーカ17の設置場所及び設置台数は特に限定されない。
【0038】
[情報処理装置の動作]
次に、図6を参照して、一実施形態に係る情報処理装置20による処理の一例を説明する。ステップS1において、取得部211は、車内カメラ11により撮像された、車両100内の映像データを取得する。取得部211は、取得した車両100内の映像データを記憶装置22に格納する。また、取得部211は、ドアセンサ12から車両100の各ドアの開閉状態を示す情報を取得し、シートベルトセンサ13から車両100の各座席のシートベルトが着用状態を示す情報を取得し、ナビゲーション装置14から、車両100が目的地に到着したことを示す情報を取得する。
【0039】
処理はステップS2に進み、第1判断部212は、第1判断部212は、取得部211がドアセンサ12、シートベルトセンサ13、ナビゲーション装置14から取得した情報に基づいて、車両100が目的地に到着したか否か又は車両100から乗客が降車したか否かを判断する。車両100が目的地に到着した場合又は車両100から乗客が降車した場合(ステップS2でYES)には、第1判断部212は、処理を開始する指示信号を検出部213、領域設定部214、第2判断部215に送信する。その後、処理はステップS3に進む。一方、車両100が目的地に到着していない場合且つ車両100から乗客が降車した場合(ステップS2でNO)には、処理はステップS1に戻る。
【0040】
ステップS3において、検出部213は、記憶装置22から、乗客が乗車している間の車両100内の映像データを取得する。検出部213は、取得した映像データを画像処理することにより、車両100に乗車している乗客の手の位置を検出する。また、検出部213は、取得した映像データを画像処理することにより、乗客が手に物体を持っているか否かを検出する。
【0041】
処理はステップS4に進み、領域設定部214は、映像データ内に、検出部213が乗客の手の位置を検出した範囲を含む領域である第1画像処理領域を設定する。
【0042】
処理はステップS5に進み、第2判断部215は、乗客が乗車している間の車両100内の映像データから、車両100が目的地に到着した後の映像データである第1映像データを抽出する。
【0043】
処理はステップS6に進み、第2判断部215は、抽出した第1映像データを画像処理することにより、第1映像データにおける第1画像処理領域内に存在する物体を検出する。第2判断部215は、第1画像処理領域の画像処理を、第1画像処理領域以外の領域の画像処理より高い精度で行う。第2判断部215は、例えば、第1及び第2の画像処理方法のいずれかの画像処理方法により、第1映像データにおける第1画像処理領域内に存在する物体を検出する。
【0044】
処理はステップS7に進み、第2判断部215は、車両100が目的地に到着した後の映像データである第1映像データにおける第1画像処理領域内の画像に基づいて、車両100内に変化があったか否かを判断する。第2判断部215は、第1映像データにおける第1画像処理領域内で物体を検出した場合に、車両100内に変化があったと判断する。第2判断部215が車両100内に変化があったと判断した場合(ステップS7でYES)には、処理はステップS8に進む。一方、第2判断部215が車両100内に変化がないと判断した場合(ステップS7でNO)には、情報処理装置20は図6の処理を終了する。
【0045】
ステップS8において、出力部216は、物体が検出された場所に忘れ物が無いかを注意喚起する情報を車内用モニタ15又は車外用モニタ16に出力する。車外スピーカ17に出力してもよい。出力部216は、例えば、車両100が目的地に到着し、乗客が車両100を降車する前に第2判断部215が車両100内に変化があったと判断した場合には車内用モニタ15に、乗客が車両100を降車した後に第2判断部215が車両100内に変化があったと判断した場合には車外用モニタ16に、忘れ物が無いかを注意喚起する情報を出力する。その後、情報処理装置20は図6の処理を終了する。
【0046】
[作用効果]
以上説明したように、一実施形態に係る情報処理装置20は、取得部211と、検出部213と、領域設定部214と、判断部(第2判断部)215と、を備える。取得部211は、車両100内の映像データを取得する。検出部213は、映像データを画像処理することにより、車両100に乗車している乗客の手の位置を検出する。領域設定部214は、映像データ内に、検出部213が乗客の手の位置を検出した範囲を含む第1画像処理領域を設定する。判断部215は、車両100が目的地に到着した後の映像データである第1映像データにおける第1画像処理領域内の画像に基づいて、車両100内に変化があったか否かを判断する。
【0047】
また、一実施形態に係る情報処理装置20の判断部215は、第1映像データにおける第1画像処理領域内で物体を検出した場合に、車両100内に変化があったと判断する。
【0048】
情報処理装置20は、第1映像データ全体ではなく、第1映像データにおいて乗客の手を検出した範囲を含む第1画像処理領域内の画像に対してのみ高精度な画像処理を行うことができる。このため、車両100内に変化があったか否かを判断する際に、画像処理にかかる時間を短縮することができる。車両100に乗車している乗客の手の位置を検出した範囲を第1画像処理領域として設定することにより、第1映像データにおいて、乗客が手に持っていた物体が忘れ物として車両100内に残っている可能性がより高い範囲のみを高精度に画像処理することができる。これにより、車両100内に変化があったことを効率的に判断できる。
【0049】
また、一実施形態に係る情報処理装置20の検出部213は、映像データを画像処理することにより、乗客が手に物体を持っているか否かを検出する。領域設定部214は、検出部213が、乗客が手に物体を持っていることを検出した場合の第1画像処理領域の範囲を、検出部213が、乗客が手に物体を持っていることを検出しない場合の第1画像処理領域の範囲より大きく設定する。
【0050】
情報処理装置20は、第1映像データにおいて乗客が手に持っていた物体が忘れ物として車両100内に残っている可能性がより高い範囲を、より大きな第1画像処理領域として設定できる。乗客が手に持っていた物体が忘れ物として車両100内に残っている可能性がより高い範囲に対してより確実に、高精度な画像処理を行うことができる。
【0051】
また、一実施形態に係る情報処理装置20の領域設定部214は、検出部213が乗客の手の位置を検出した範囲が車両100の座面より高い位置に位置する場合には、乗客の手の位置を検出した範囲の下方に位置する座面51上の範囲を更に含むように第1画像処理領域を設定してもよい。
【0052】
情報処理装置20は、乗客が手に持っていた物体を座面51上に落とした可能性が高い領域に対しても、第1画像処理領域以外の領域より高い精度で画像処理を行うことができる。第1映像データにおいて、乗客が手に持っていた物体が忘れ物として車両100内に残っている可能性が高い範囲を高精度に画像処理することができる。これにより、車両100内に変化があったか否かをより正確に判断できる。
【0053】
また、一実施形態に係る情報処理装置20の判断部215は、第1画像処理領域の画像処理を、第1画像処理領域以外の領域の画像処理より高い精度で行う。
【0054】
例えば、一実施形態に係る情報処理装置20の判断部215は、第1映像データにおける第1画像処理領域のみに画像処理を行う。或いは判断部215は、第1画像処理領域以外の領域の第1映像データの画像ピクセルに情報が無いものとして画像処理を行ってもよい。
【0055】
情報処理装置20は、高精度な画像処理を行う範囲を第1映像データ全体ではなく第1画像処理領域のみに限定することができる。
【0056】
また、一実施形態に係る情報処理装置20の判断部215は、第1映像データにおける第1画像処理領域以外の領域の画像データを圧縮して画像処理を行ってもよい。これにより、情報処理装置20の第2判断部215は、物体を検出するための高精度な画像処理を行う際に、処理にかかる負荷及び時間を軽減することができる。
【0057】
また、一実施形態に係る情報処理装置20の判断部215は、第1画像処理領域のうち、車両100内の部材に近接する範囲の画像処理を、第1画像処理領域以外の領域より高い精度で行ってもよい。
【0058】
情報処理装置20は、乗客の手を検出した範囲のうち、車両のシートなどの部材に近接する範囲に対してのみ、第1画像処理領域以外の領域より高い精度で画像処理を行うことができる。第1映像データにおいて、乗客が手に持っていた物体が忘れ物として車両100内に残っている可能性がより高い範囲のみを高精度に画像処理することができる。これにより、車両100内に変化があったことをより効率的に判断できる。
【0059】
また、一実施形態に係る情報処理装置20は、判断部215が車両100内に変化があったと判断した場合に、車両100内に忘れ物が無いかを注意喚起する情報を表示装置に出力する出力部をさらに備える。
【0060】
情報処理装置20は、車両100の乗客に物体が検出された場所に忘れ物が無いかを注意喚起する情報を表示することにより、車両100内の忘れ物を抑制できる。
【0061】
また、一実施形態に係る情報処理装置20の出力部216は、検出部213が、乗客が着席していた車両100のシート以外の範囲で乗客の手を検出した場合、又は、検出部213が、車両100内の所定の領域内で乗客の手を検出した場合に、車両100内に忘れ物が無いかを注意喚起する情報を表示装置(車内用モニタ15又は車外用モニタ16)に出力してもよい。
【0062】
情報処理装置20は、乗客が着席していた車両100のシート以外の範囲、又は、車両100の小物入れ、ドリンクホルダーなどの忘れ物をしやすいような車両100内の所定の領域に手を移動させた場合に、これらの場所に忘れ物が無いか乗客に注意喚起することができる。これにより、車両100内の忘れ物を抑制できる。
【0063】
また、一実施形態に係る情報処理装置20の出力部216は、判断部215が車両100内に変化があったと判断した場合に、車両100内に忘れ物が無いかを注意喚起する音声データを報知装置(車外スピーカ17)に出力してもよい。
【0064】
情報処理装置20は、車両100の乗客に物体が検出された場所に忘れ物が無いかを音声により報知することにより、車両100内の忘れ物を抑制できる。
【0065】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0066】
例えば、一実施形態に係る情報処理装置20では、第2判断部215は、車両100が目的地に到着した後の映像データである第1映像データのみから、車両100内に変化があったか否かを判断した。しかしながら、第2判断部215は、第1映像データにおける第1画像処理領域内の画像と、乗客が乗車する前の映像データである第2映像データにおける第1画像処理領域内の画像とを比較する画像処理を行って、車両100内に変化があったか否かを判断してもよい。乗客が乗車した後の第1映像データと、乗客が乗車する前の第2映像データとを比較することにより、情報処理装置20は、車両内に変化があったか否かをより正確に判断できる。
【符号の説明】
【0067】
20 情報処理装置
41~45 第1画像処理領域
100 車両
211 取得部
213 検出部
214 領域設定部
215 第2判断部(判断部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6