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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171717
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】コネクタカバー
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20241205BHJP
   H01R 31/08 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
H01R13/52 301F
H01R31/08 A
H01R31/08 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088875
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邉 真明
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087FF18
5E087LL04
5E087LL12
5E087LL14
5E087QQ03
5E087QQ04
5E087RR03
5E087RR12
5E087RR17
(57)【要約】
【課題】ダミーカバーとハウジングとの間の止水性を容易に確保することができるコネクタカバーを提供する。
【解決手段】コネクタカバー1は、ショート端子4と、ショート端子4を保持する筒状のハウジング2と、ハウジング2に対して抜去方向X2側から嵌合して開口端部10bを覆うダミーカバー6とを備える。ハウジング2は、嵌合状態でハウジング本体部10の開口端面10cから突出する円環状のリブ11を有する。ダミーカバー6は、外周壁21と内周壁22の径方向の間に形成され、嵌合状態でリブ11が挿入される隙間23と、当該隙間23に充填されたシール材24とを有する。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタに収容された相手側端子に接続されるショート端子と、
絶縁性を有し、前記ショート端子を保持すると共に、前記相手側コネクタに対して抜去方向側から嵌合可能に形成される筒状のハウジングと、
絶縁性を有し、前記ハウジングに対して前記抜去方向側から嵌合して当該ハウジングの前記抜去方向側の開口端部を覆うダミーカバーと、を備え、
前記ハウジングは、
前記ショート端子を内部の端子収容空間に保持し、かつ前記ダミーカバーが前記ハウジングに嵌合された嵌合状態において、前記ダミーカバーを係止する円筒状のハウジング本体部と、
前記嵌合状態で前記ハウジング本体部の前記抜去方向側の開口端面から前記ダミーカバー側に突出し、前記開口端面の外周に沿って全周に設けられる円環状のリブと、を有し、
前記ダミーカバーは、
前記嵌合状態で前記ハウジング本体部に前記抜去方向と反対側の挿入方向に対向して前記開口端面の開口を閉塞するカバー本体部と、
前記嵌合状態で前記カバー本体部の外周端から前記ハウジング側に突出し前記ハウジング本体部の外周面と径方向に対向する外周壁と、
前記外周壁の内側に位置し、前記外周壁に対して径方向に対向する内周壁と、
前記外周壁と前記内周壁の前記径方向の間に形成され、前記嵌合状態で前記リブが挿入される隙間と、
当該隙間に充填されたシール材と、を有する
ことを特徴とするコネクタカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタに関する止水技術として、例えば、シールド電線の内部被覆とハウジングとの間をシールするハウジングシール部を有し、ハウジングシール部が、ハウジングの凸部とアッパーシェルとの間に挟まれているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-018979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コネクタカバーに関する止水技術に関して、例えば、ハウジングに設けられた円環状のシール用溝にシールパッキンを組み付ける際に、当該シールパッキンが当該シール用溝から脱落したり、ダミーカバー組付け後のシールパッキンがシール面に噛み込んだりすることでコネクタカバー全体の止水性が低下するおそれがあることから、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、ダミーカバーとハウジングとの間の止水性を容易に確保することができるコネクタカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るコネクタカバーは、相手側コネクタに収容された相手側端子に接続されるショート端子と、絶縁性を有し、前記ショート端子を保持すると共に、前記相手側コネクタに対して抜去方向側から嵌合可能に形成される筒状のハウジングと、絶縁性を有し、前記ハウジングに対して前記抜去方向側から嵌合して当該ハウジングの前記抜去方向側の開口端部を覆うダミーカバーと、を備え、前記ハウジングは、前記ショート端子を内部の端子収容空間に保持し、かつ前記ダミーカバーが前記ハウジングに嵌合された嵌合状態において、前記ダミーカバーを係止する円筒状のハウジング本体部と、前記嵌合状態で前記ハウジング本体部の前記抜去方向側の開口端面から前記ダミーカバー側に突出し、前記開口端面の外周に沿って全周に設けられる円環状のリブと、を有し、前記ダミーカバーは、前記嵌合状態で前記ハウジング本体部に前記抜去方向と反対側の挿入方向に対向して前記開口端面の開口を閉塞するカバー本体部と、前記嵌合状態で前記カバー本体部の外周端から前記ハウジング側に突出し前記ハウジング本体部の外周面と径方向に対向する外周壁と、前記外周壁の内側に位置し、前記外周壁に対して径方向に対向する内周壁と、前記外周壁と前記内周壁の前記径方向の間に形成され、前記嵌合状態で前記リブが挿入される隙間と、当該隙間に充填されたシール材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るコネクタカバーによれば、ダミーカバーとハウジングとの間の止水性を容易に確保することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るコネクタカバーの概略構成を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るコネクタカバーの分解斜視図である。
図3図3は、コネクタカバーを構成するハウジングの平面図である。
図4図4は、コネクタカバーを構成するダミーカバーの平面図である。
図5図5は、コネクタカバーの断面図である。
図6図6は、嵌合状態にあるハウジングとダミーカバーの止水部を示す部分拡大断面図である。
図7図7は、嵌合前状態にあるハウジングとダミーカバーの止水部を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係るコネクタカバーについて図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記実施形態により本発明が限定されるものではない。すなわち、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれ、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0010】
[実施形態]
図1図7に示すコネクタカバー1は、ショート端子4を有し、筐体100に設けられた相手側コネクタ110に嵌合することで、当該相手側コネクタ101に収容された相手側端子111と電気的に接続される。コネクタカバー1は、ショート端子4が相手側端子111と電気的に接続することで、当該ショート端子4と当該相手側端子111がインターロック回路の一部を構成する。
【0011】
なお、以下の説明において、便宜上、図示のX方向、Y方向、及び、Z方向のうち、X方向が「軸線方向X」を意味し、Y方向が「幅方向Y」を意味し、Z方向が「高さ方向Z」を意味する。軸線方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に直交する。幅方向Yと高さ方向Zとは、軸線方向Xと直交する径方向に含まれる。また、軸線方向Xは、相手側コネクタ101に対するコネクタカバー1の挿抜方向を意味し、図示のX1方向を「挿入方向X1」、X2方向を「抜去方向X2」とする。
【0012】
ここで、筐体100は、例えば、電気自動車等の車両に搭載され、当該車両の電源の一部を構成し、相手側コネクタ110を有する。相手側コネクタ110は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料等により成型されたものであり、コネクタカバー1に対して嵌合可能に形成される。相手側端子111は、例えば、導電性を有する金属材料等により成型された金属端子であり、ショート端子4に対して嵌合可能に形成される。本実施形態のコネクタカバー1は、いわゆるダミーコネクタを構成するものであり、例えば、相手側コネクタ110を使用しない場合等に、当該相手側コネクタ110に嵌合されることで当該相手側コネクタ110の導通部位(相手側端子111)をカバーし外部に露出しないようにするものである。
【0013】
コネクタカバー1は、図2に示すように、ハウジング2と、フロントホルダ3と、ショート端子4と、シール部材5と、ダミーカバー6と、インサートナット7と、シールドシェル8と、ボルト9とを備える。
【0014】
ハウジング2は、絶縁性を有する樹脂材料等により成型され、軸線方向Xに沿って円筒状に形成されている。ハウジング2は、ショート端子4を保持すると共に、相手側コネクタ110に対して抜去方向X2側から嵌合可能に形成される。
【0015】
ハウジング2は、ハウジング本体部10と、リブ11とを有する。
【0016】
ハウジング本体部10は、挿入方向X1側の端部がシール部材5を介してフロントホルダ3に嵌合し、抜去方向X2側の端部がダミーカバー6に嵌合するように形成される部分である。ハウジング本体部10は、内部に端子収容空間10aを有し、当該端子収容空間10aに収容されたショート端子4を保持する。ハウジング本体部10は、ダミーカバー6がハウジング2に嵌合された嵌合状態において、当該ダミーカバー6を係止固定する係止構造を有する。
【0017】
リブ11は、ダミーカバー6がハウジング2に嵌合された嵌合状態でハウジング本体部10の抜去方向X2側の開口端面10cからダミーカバー6側に突出して形成される部分である。リブ11は、図3に示すように、開口端面10cの外周に沿って全周に設けられ、抜去方向X2側から視た場合、円環状に形成される。リブ11は、ダミーカバー6がハウジング2に嵌合された嵌合状態において、後述するダミーカバー6に設けられた隙間23に挿入される。
【0018】
フロントホルダ3は、絶縁性を有する樹脂材料等により成型され、軸線方向Xに沿って円筒状に形成されている。フロントホルダ3は、ハウジング2に対してシール部材5を挟んで嵌合する。フロントホルダ3は、ハウジング2に嵌合された状態で相手側コネクタ110に嵌合する。
【0019】
ショート端子4は、例えば、導電性を有する金属材料等により成型された金属端子である。ショート端子4は、図2に示すように、平板で形成され、厚み方向から視た形状が矩形状に形成された端子本体部4aと、端子本体部4aの延在方向の一方の端部から突出する一対の端子接続部4bとを有する。端子本体部4aは、ショート端子4が端子収容空間10aに収容された状態で、ハウジング本体部10に保持される。一対の端子接続部4bは、端子本体部4aがハウジング本体部10に保持された状態で挿入方向X1側に位置し、ダミーカバー6がハウジング2に嵌合された嵌合状態において、相手側端子111に接触し当該相手側端子111に電気的に接続される。
【0020】
シール部材5は、コネクタカバー1が相手側コネクタ110に嵌合した状態で筐体100とコネクタカバー1との間を止水するものである。シール部材5は、ハウジング2に対してフロントホルダ3が嵌合された状態でハウジング2とフロントホルダ3との間に介在する。シール部材5は、ハウジング2及びフロントホルダ3の各外周面から径方向外側に突出する止水部を有し、当該止水部が筐体100側に当接することで筐体100とコネクタカバー1との間を止水する。
【0021】
ダミーカバー6は、絶縁性を有する樹脂材料等により成型され、軸線方向Xに沿って円筒状に形成されている。ダミーカバー6は、ハウジング2に対して抜去方向X2側から嵌合してハウジング2の抜去方向X2側の開口端部10bを覆う。ダミーカバー6は、コネクタカバー1において、シールドシェル8の内側に位置する。
【0022】
ダミーカバー6は、カバー本体部20と、外周壁21と、内周壁22と、隙間23と、シール材24とを有する。
【0023】
カバー本体部20は、ダミーカバー6がハウジング2に嵌合された嵌合状態において、ハウジング本体部10に対して挿入方向X1に対向して開口端面10cの開口10eを閉塞する部分である。カバー本体部20は、内側に内部空間20aを有し、当該内部空間20aにハウジング2の抜去方向X2側の開口端部10bが収容される。
【0024】
外周壁21は、ダミーカバー6がハウジング2に嵌合された嵌合状態において、カバー本体部20の外周端からハウジング2側に突出しハウジング本体部10の外周面10dと径方向に対向する部分である。外周壁21の外周面には、ダミーカバー6がハウジング2に嵌合された嵌合状態において、ハウジング本体部10に係止される係止突起が設けられている。外周壁21は、図4に示すように、挿入方向X1側から視た場合、円環状に形成される。
【0025】
内周壁22は、外周壁21の内側に位置し、外周壁21に対して径方向に対向する部分である。内周壁22は、図5に示すように、軸線方向Xに延在する高さ(長さ)が、外周壁21の高さ(長さ)より相対的に低い(短い)。また、内周壁22は、図4に示すように、挿入方向X1側から視た場合、円環状に形成される。
【0026】
隙間23は、外周壁21と内周壁22の径方向の間に形成される空間である。隙間23は、ダミーカバー6がハウジング2に嵌合された嵌合状態において、ハウジング2側に開口し、当該ハウジング2に形成されたリブ11が挿入される。隙間23は、図4に示すように、挿入方向X1側から視た場合、円環状に形成される。隙間23は、ダミーカバー6がハウジング2に嵌合された嵌合状態において、図6に示すように、リブ11が外周壁21の内側壁面21a及び内周壁22の外側壁面22aのいずれにも接触しないように形成されることが好ましい。また、隙間23は、ダミーカバー6がハウジング2に嵌合された嵌合状態において、図6に示すように、リブ11が、当該リブ11に対して軸線方向Xに対向する隙間底面20bに当接しないように形成されることが好ましい。
【0027】
シール材24は、例えば、液状硬化型の止水部材であり、ハウジング2に対するダミーカバー6の組付け作業前に、図7に示すように、当該ダミーカバー6の隙間23に充填される。シール材24は、ダミーカバー6がハウジング2に嵌合された嵌合状態において、ハウジング2のリブ11に対して径方向の両側及び抜去方向X2側から覆ってハウジング2の内部と外部を遮断する。
【0028】
インサートナット7は、ボルト9と共に、ダミーカバー6に対してシールドシェル8を固定するための締結部材である。
【0029】
シールドシェル8は、ダミーカバー6がハウジング2に嵌合された嵌合状態において、ハウジング2及びダミーカバー6の外側を覆って電磁的にシールドするシールド部材である。シールドシェル8は、ノイズ等の原因となる不要な電磁波(不要電磁波)を遮蔽しノイズを抑制する。すなわち、シールドシェル8は、ノイズ対策対象部位への電磁波の侵入やノイズ対策対象部位からの電磁波の漏洩を防ぐ。ここで、シールドシェル8によるノイズ対策対象部位は、ショート端子4や相手側端子111等である。
【0030】
上記構成を有するコネクタカバー1は、ダミーカバー6の外周壁21と内周壁22の間に形成され、ハウジング2のリブ11が挿入される隙間23にシール材24を充填させた後、当該ハウジング2にダミーカバー6を嵌合させる(図7)。このとき、リブ11が隙間23に充填されたシール材24を押しのけることで当該シール材24が当該リブ11の周囲に回り込んでリブ11の周囲を覆う(図6)。これにより、コネクタカバー1は、隙間23に充填されたシール材24によりハウジング2とダミーカバー6との間の空間が埋まって止水がなされる。例えば、コネクタカバー1は、ハウジング2の外周面10dとダミーカバー6の外周壁21の内側壁面21aとの間に外部から水分等の液体が侵入しても隙間23に充填されたシール材24によりハウジング2とダミーカバー6の間の止水性を確保することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係るコネクタカバー1は、ショート端子4と、ショート端子4を保持する筒状のハウジング2と、ハウジング2に対して抜去方向X2側から嵌合して開口端部10bを覆うダミーカバー6とを備える。ハウジング2は、嵌合状態でハウジング本体部10の開口端面10cから突出する円環状のリブ11を有する。ダミーカバー6は、外周壁21と内周壁22の径方向の間に形成され、嵌合状態でリブ11が挿入される隙間23と、当該隙間23に充填されたシール材24とを有する。
【0032】
上記構成により、コネクタカバー1は、ハウジングとダミーカバーとの隙間を埋め、当該シール材が乾燥することで、ダミーカバーとハウジングとの間のシール性を確保することができる。この結果、コネクタカバーは、ダミーカバーとハウジングとの間のコネクタの止水性を容易に確保することができる。また、従来のコネクタカバーでは、ハウジング2に止水用のパッキンを組み付けた後、当該ハウジング2にダミーカバー6を組み付けてコネクタカバー1の止水性を確保していたが、当該パッキンが不要となり、部品点数を削減することができる。また、従来のコネクタカバーでは、ハウジング2に止水用のパッキンを組み付けて止水性を機能させる場合、当該パッキンが脱落することで、止水性が低下するおそれがあるが、上記構成により、パッキンの脱落リスクがなくなり、止水性を容易に確保可能となる。
【0033】
なお、上記実施形態では、シール材24は、液状硬化型の止水部材としているが、これに限定されず、例えば、ゴム等の弾性変形可能な弾性部材であってもよいし、シリコンであってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 コネクタカバー
2 ハウジング
4 ショート端子
5 シール部材
6 ダミーカバー
10 ハウジング本体部
10a 端子収容空間
10b 開口端部
10c 開口端面
10d 外周面
10e 開口
11 リブ
20 カバー本体部
21 外周壁
22 内周壁
23 隙間
24 シール材
110 相手側コネクタ
111 相手側端子

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7