(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171721
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】導光部材および照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20241205BHJP
G09F 13/18 20060101ALI20241205BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241205BHJP
【FI】
F21S2/00 431
F21S2/00 438
G09F13/18 D
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088881
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【弁理士】
【氏名又は名称】北 倫子
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】百足山 真平
(72)【発明者】
【氏名】井上 洸一
(72)【発明者】
【氏名】吉川 仁
【テーマコード(参考)】
3K244
5C096
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244AA06
3K244BA08
3K244BA11
3K244BA31
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA02
3K244EA12
3K244ED25
3K244ED28
3K244GA01
3K244GC03
3K244GC13
3K244GC14
3K244GC28
5C096AA05
5C096BA04
5C096CB02
5C096CC06
5C096CD02
5C096CD23
5C096CD33
5C096CD44
5C096FA01
(57)【要約】
【課題】光源からの距離が増大するにつれて輝度が減少することが抑制された照明装置およびそのような照明装置に用いられる導光部材を提供する。
【解決手段】
導光部材110Aは、第1主面10mと、第1主面と反対側の第2主面10nと、光源LSから出射された光を受ける受光部10s1とを有する導光層10と、導光層10内を伝搬する光の一部を第1主面側または第2主面側から取り出す光取り出し構造とを有する。導光部材110Aは、第1主面の法線方向から平面視したとき、光取り出し構造が存在する第1領域R1と、光取り出し構造が存在しない第2領域R2とを有する。第1領域R1の、導光層の導光方向と平行な第1方向における長さは、350mm以上である。第1領域R1の、第1方向と交差する第2方向における長さWbの、導光層の第2方向における長さWaに対する比率Wb/Waは、30%超100%未満である。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面と、光源から出射された光を受ける受光部とを有する導光層と、
前記導光層内を伝搬する光の一部を前記第1主面側または前記第2主面側から取り出す光取り出し構造と
を有し、
前記第1主面の法線方向から平面視したとき、前記光取り出し構造が存在する第1領域と、前記光取り出し構造が存在しない第2領域とを有し、
前記第1領域の、前記導光層の導光方向と平行な第1方向における長さは、350mm以上であり、
前記第1領域の、前記第1方向と交差する第2方向における長さWbの、前記導光層の前記第2方向における長さWaに対する比率Wb/Waは、30%超100%未満である、導光部材。
【請求項2】
前記比率Wb/Waは、40%以上90%以下である、請求項1に記載の導光部材。
【請求項3】
前記光取り出し構造は、内部全反射によって光を取り出す複数の内部空間を有する、請求項1に記載の導光部材。
【請求項4】
前記第1主面の法線方向から平面視したとき、前記第1領域の面積に占める前記複数の内部空間の面積の割合が3%以上である、請求項3に記載の導光部材。
【請求項5】
前記光取り出し構造は、前記導光層の前記第1主面側または前記第2主面側に設けられた光取り出し層に形成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の導光部材。
【請求項6】
前記第1領域は、前記第1方向に離散的に配置された2以上の部分領域を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の導光部材。
【請求項7】
前記第1領域は、前記第2方向に離散的に配置された2以上の部分領域を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の導光部材。
【請求項8】
前記比率Wb/Waが、前記受光部から遠ざかるほど小さくなるように構成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の導光部材。
【請求項9】
前記導光層の前記第2方向における長さWaが、前記受光部から遠ざかるほど大きくなるように構成されている、請求項8に記載の導光部材。
【請求項10】
前記第1領域の前記第2方向における長さWbが、前記受光部から遠ざかるほど小さくなるように構成されている、請求項8に記載の導光部材。
【請求項11】
前記比率Wb/Waが、前記受光部から遠ざかるほど大きくなるように構成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の導光部材。
【請求項12】
請求項1から4のいずれか1項に記載の導光部材と、
前記導光部材の前記受光部に向けて光を出射するように配置された光源と
を有する、照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光部材および照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光源としてLED素子を用いた多様な照明装置が開発されている。例えば、導光層と、導光層の側面に向けて光を出射する光源とを有する、シート状(板状およびフィルム状を含む)の照明装置がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、導光板と、導光板の端面に対向するように設けられた光源と、導光板の一方の主面に形成された、光を拡散させるドット印刷パターンとを有する照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
導光層と、導光層の受光部(例えば導光層の側面または端部)に向けて光を出射し、受光部から導光層内に光を入射させる光源とを有する照明装置において、光源からの距離が増大するにつれて輝度が減少することがある。
【0006】
本発明は、光源からの距離が増大するにつれて輝度が減少することが抑制された照明装置およびそのような照明装置に用いられる導光部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によると、以下の項目に記載の解決手段が提供される。
【0008】
[項目1]
第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面と、光源から出射された光を受ける受光部とを有する導光層と、
前記導光層内を伝搬する光の一部を前記第1主面側または前記第2主面側から取り出す光取り出し構造と
を有し、
前記第1主面の法線方向から平面視したとき、前記光取り出し構造が存在する第1領域と、前記光取り出し構造が存在しない第2領域とを有し、
前記第1領域の、前記導光層の導光方向と平行な第1方向における長さは、350mm以上であり、
前記第1領域の、前記第1方向と交差する第2方向における長さWbの、前記導光層の前記第2方向における長さWaに対する比率Wb/Waは、30%超100%未満である、導光部材。
[項目2]
前記比率Wb/Waは、40%以上90%以下である、項目1に記載の導光部材。
[項目3]
前記光取り出し構造は、内部全反射によって光を取り出す複数の内部空間を有する、項目1または2に記載の導光部材。
[項目4]
前記第1主面の法線方向から平面視したとき、前記第1領域の面積に占める前記複数の内部空間の面積の割合が3%以上である、項目3に記載の導光部材。
[項目5]
前記光取り出し構造は、前記導光層の前記第1主面側または前記第2主面側に設けられた光取り出し層に形成されている、項目1から4のいずれか1項に記載の導光部材。
[項目6]
前記第1領域は、前記第1方向に離散的に配置された2以上の部分領域を含む、項目1から5のいずれか1項に記載の導光部材。
[項目7]
前記第1領域は、前記第2方向に離散的に配置された2以上の部分領域を含む、項目1から6のいずれか1項に記載の導光部材。
[項目8]
前記比率Wb/Waが、前記受光部から遠ざかるほど小さくなるように構成されている、項目1から7のいずれか1項に記載の導光部材。
[項目9]
前記導光層の前記第2方向における長さWaが、前記受光部から遠ざかるほど大きくなるように構成されている、項目8に記載の導光部材。
[項目10]
前記第1領域の前記第2方向における長さWbが、前記受光部から遠ざかるほど小さくなるように構成されている、項目8または9に記載の導光部材。
[項目11]
前記比率Wb/Waが、前記受光部から遠ざかるほど大きくなるように構成されている、項目1から7のいずれか1項に記載の導光部材。
[項目12]
項目1から11のいずれか1項に記載の導光部材と、
前記導光部材の前記受光部に向けて光を出射するように配置された光源と
を有する、照明装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によると、光源からの距離が増大するにつれて輝度が減少することが抑制された照明装置およびそのような照明装置に用いられる導光部材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の実施形態による照明装置200Aの模式的な平面図である。
【
図1B】照明装置200Aの模式的な断面図である。
【
図3A】導光部材110Aが有し得る内部空間24Aの模式的な断面図である。
【
図3C】内部空間24Aのバリエーションを示す模式的な平面図である。
【
図4】本発明の実施形態の変形例による照明装置200A1の模式的な断面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態による照明装置200Bの模式的な平面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態による照明装置200B1の模式的な平面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態による照明装置200B2の模式的な平面図である。
【
図8】本発明のさらに他の実施形態による照明装置200Cの模式的な平面図である。
【
図9】本発明のさらに他の実施形態による照明装置200Dの模式的な平面図である。
【
図10】比較例による照明装置900の模式的な平面図である。
【
図11】試作した照明装置のサンプル1~3の評価結果を示すグラフである。
【
図12】シミュレーション1~5による評価結果を示すグラフである。
【
図13】シミュレーション6~10による評価結果を示すグラフである。
【
図14】シミュレーション11~15による評価結果を示すグラフである。
【
図15】試作した照明装置のサンプルの光学像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態による導光部材および照明装置を説明する。本発明の実施形態による導光部材および照明装置は以下で例示されるものに限定されない。以下の図面において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、その説明を省略することがある。
【0012】
(実施形態1)
図1Aおよび
図1Bを参照しながら、本実施形態による照明装置200Aを説明する。
図1Aおよび
図1Bに、照明装置200Aの模式的な平面図および断面図をそれぞれ示す。
図1Bは、
図1A中のA-A’線に沿った断面を示している。図面には、互いに直交するx軸、y軸およびz軸を有する直交座標系を示している。x軸の矢印の方向を+x方向と称し、その反対の方向を-x方向と称し、±x方向を区別しない場合、単にx方向と称する。±y方向、±z方向についても同様である。
【0013】
照明装置200Aは、導光部材110Aと、光源LSとを有する。
【0014】
導光部材110Aは、導光層10と、光取り出し層20とを有する。導光層10は、第1主面10mと、第1主面10mと反対側の第2主面10nと、光源LSから出射された光を受ける受光部とを有する。図示している例では、導光層10の受光部は、導光層10の光源LS側の側面(受光側面)10s1である。なお、導光層10の受光部は、第1主面10mまたは第2主面10nの一部(例えば、第1主面10mまたは第2主面10nの端部)であってもよい。光取り出し層20は、導光層10の第2主面10n側に設けられている。光取り出し層20は、導光層10内を伝搬する光の一部を第1主面10m側から出射する光取り出し構造を有する。すなわち、導光層10内を伝搬する光の一部は、導光層10の第1主面10m側から取り出され、図中の-z方向に向けて出射される。図中の-z方向を照明装置200Aの前面側(または導光部材110Aの前面側)ということがある。
【0015】
導光部材110Aは、導光層10の第1主面10mの法線方向から平面視したとき、光取り出し層20が設けられている第1領域R1と、光取り出し層20が設けられていない第2領域R2とを有する。第1領域R1の、導光層10の導光方向(図中の+y方向)と平行な第1方向における長さLbは、350mm以上である。第1領域R1の、第1方向と交差する第2方向における長さWbの、導光層10の第2方向における長さWaに対する比率Wb/Waは、30%超100%未満である。ここでは、第1方向を図中のy方向とし、第2方向を図中のx方向として説明するが、第2方向は第1方向に直交する方向に限られない。以下、「第1領域R1の第2方向における長さWb」を、「第1領域R1の幅Wb」といい、「第1領域R1の第1方向における長さLb」を、単に「第1領域R1の長さLb」ということがある。導光層10についても同様に、「導光層10の第2方向における長さWa」を、「導光層10の幅Wa」といい、「導光層10の第1方向における長さLa」を単に「導光層10の長さLa」ということがある。
【0016】
照明装置200Aは、
図10に示す比較例の照明装置900と比べて、光源LSからの距離(すなわち受光側面10s1からの距離)が増大するにつれて輝度が減少することを抑制することができる。比較例の照明装置900は、第1領域R1の幅Wbが導光層10の幅Waと等しい、すなわち、第1領域R1の幅Wbの、導光層10の幅Waに対する比率Wb/Waが100%である点において、照明装置200Aと異なる。照明装置200Aにおいては、導光層10は、導光層10の幅Wa方向の端部に、光取り出し層20が設けられていない第2領域R2を有するので、光源LSから出射されて導光層10に入った光は、
図1A中の破線の矢印で示されるように、光源LSからより遠くまで導光層10内を伝搬する。したがって、光源LSからの距離が増大しても輝度が減少することを抑制することができる。後に実験例を示して説明するように、第1領域R1の幅Wbの、導光層10の幅Waに対する比率Wb/Waが30%超100%未満であると、比率Wb/Waが100%である場合に比べて、光源LSからの距離の増大に伴う輝度の減少が抑制される。光源からの距離の増大に伴って輝度が減少するという問題は、光源からの長さ(導光層の導光方向に沿った長さ)が大きい照明装置において特に顕著である。照明装置200Aは、光源LSからの距離の増大に伴う輝度の減少を抑制する観点から、例えば第1領域R1の長さLbが350mm以上であることが好ましい。また、第1領域R1の長さLbは、500mm以上でもよいし、700mm以上でもよいし、1000mm以上でもよい。第1領域R1の長さLbの上限値は特に限定されないが、例えば100m以下、50m以下、または、10m以下でもよい。また、導光層10の幅Waは、例えば10mm以上、50mm以上、または、100mm以上である。導光層10の幅Waの上限値は特に限定されないが、例えば100m以下、50m以下、10m以下、5000mm以下、または、1000mm以下でもよい。第1領域R1の幅Wbは、導光層10の幅Waに対する比率Wb/Waが30%超100%未満の範囲内になるように適宜決定されればよい。
【0017】
図1Bに示されるように、光取り出し層20は、光取り出し構造として、導光層10内を伝搬する光の一部を少なくとも導光部材110Aの前面側(すなわち、照明装置200Aの前面側)に向けることができる配光制御構造を有している。ここで例示する配光制御構造は、内部全反射によって光を導光部材110Aの前面側に向ける前方傾斜面ISaを有する複数の内部空間24Aを有している。各内部空間24Aは、導光層10内を伝搬する光の一部を内部全反射によって第1主面10m側に向ける第1傾斜面(前方傾斜面)ISaと、第1傾斜面ISaとは反対側の第2傾斜面(後方傾斜面)ISbとを有している。各内部空間24Aが有する「前方傾斜面」の「前方」は、内部空間24Aが有する傾斜側面のうち、受光側面10s1側に位置する(受光側面10s1に近い)ことを意味する。各内部空間24Aが有する傾斜側面のうち、受光側面10s1側とは反対側に位置する(受光側面10s1から遠い)傾斜面を「後方傾斜面」と呼ぶことがある。
【0018】
複数の内部空間24Aを有する光取り出し層20は、表面に凹部24A(内部空間24Aと同じ参照符号で示す。)を有する賦形フィルム24と接着剤層54とによって構成されている。複数の内部空間(エアキャビティ)を有する光取り出し構造は、例えば、国際公開第2019/182091号、国際公開第2019/146628号、国際公開第2011/124765号および国際公開第2019/087118号に記載されている。これら4件の国際公開公報の開示内容のすべてを参照により本明細書に援用する。光取り出し層20は、導光層10の第2主面10n側に接着剤層52を介して配置されている。また、接着剤層54によって、賦形フィルム24と基材層30とが接着されている。
【0019】
内部空間24Aを形成するための賦形フィルム24は、例えば、以下のようにして製造され得る。特表2013-524288号公報に記載の方法にしたがって凹凸賦形フィルムを製造することができる。具体的には、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)フィルムの表面をラッカー(三洋化成工業社製ファインキュアー RM-64)でコーティングし、当該ラッカーを含むフィルム表面上に光学パターンをエンボス加工し、その後ラッカーを硬化させることによって目的の凹凸賦形フィルムが製造される。
【0020】
導光層10は、可視光に対する透過率が高い公知の材料で形成される。導光層10は、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート(PC)系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ガラス(例えば、石英ガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス)で形成される。導光層10の屈折率nGPは、例えば、1.40以上1.80以下である。なお屈折率は、特に断らない限り、波長550nmにおいてエリプソメーターで測定した屈折率をいう。導光層10の厚さDa(導光層10のz方向における長さ)は用途に応じて適宜設定され得る。導光層10の厚さDaは、例えば、0.05mm以上50mm以下である。導光層10の厚さDaの下限値は、例えば0.5mm以上、1mm以上、1.5mm以上、または、2mm以上が好ましい。導光層10の厚さDaの上限値は、例えば10mm以下、8mm以下、6mm以下、または、5mm以下が好ましい。導光層10の厚さDaが小さいほど、光源LSから離れることに伴う輝度の減少の程度が大きくなる。したがって、後に実験例を示すように、導光層10の厚さDaが小さいと、光源LSからの距離がより小さい地点で、比率Wb/Waが100%である場合に比べて輝度の低下を抑制する効果が得られる。これに対して、導光層10の厚さDaが大きいと、光源LSからの距離が比較的大きい地点で、比率Wb/Waが100%である場合に比べて輝度の低下を抑制する効果が得られる。
【0021】
基材層30は、導光層10にも用いられる、可視光に対する透過率が高いプラスチック、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート(PC)系樹脂、シクロオレフィン系樹脂で形成される。基材層30の厚さは、例えば1μm以上1000μm以下であり、10μm以上100μm以下が好ましく、20μm以上80μm以下がさらに好ましい。基材層30の屈折率は、1.40以上1.70以下が好ましく、1.43以上1.65以下がさらに好ましい。
【0022】
接着剤層52および54の厚さは、それぞれ独立に、例えば0.1μm以上100μm以下であり、0.3μm以上100μm以下が好ましく、0.5μm以上50μm以下がさらに好ましい。接着剤層52および54の屈折率は、それぞれ独立に、好ましくは1.42以上1.60以下であり、より好ましくは1.47以上1.58以下である。また、接着剤層52および54の屈折率は、それが接する導光層10、賦形フィルム24または基材層30の屈折率と近いことが好ましく、屈折率の差の絶対値が0.2以下であることが好ましい。
【0023】
本願明細書において、「接着剤」は、感圧接着剤(粘着剤とも呼ぶ)を含む意味で用いる。接着剤の具体例としては、ゴム系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤が挙げられる。これらの接着剤は単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0024】
賦形フィルム24の表面の隣接する凹部24Aの間の平坦部に接し、内部空間24Aを構成する接着剤層54は、賦形フィルム24の表面の凹部24Aを埋めることなく接着できることが好ましい。このような接着剤層の形成に好適な接着剤としては、本出願人による国際公開第2021/167090号、国際公開第2021/167091号または国際公開第2022/176658号に記載の接着剤を好適に用いることができる。これらの出願の開示内容のすべてを本明細書に援用する。特に、国際公開第2022/176658号に記載のポリエステル系接着剤が好ましい。
【0025】
光取り出し層20の側面20s1(導光層10の受光側面10s1と同じ側に位置する側面)は、図示される例では、導光層10の受光側面10s1よりも光源LSから遠くに位置している。導光層10の受光側面10s1から光取り出し層20の側面20s1までの距離Lgは、例えば導光層10の長さLaの10%以下、5%以下、または、1%以下であることが好ましい。光源LSの配置や種類にもよるが、例えば距離Lgが導光層10の長さLaの10%以下であれば、光源LSから遠ざかるにつれて輝度が減少することを抑制する効果への影響は小さいと考えられる。なお、光源LSから導光層10の受光側面10s1の距離が、光源LSから光取り出し層20の側面20s1の距離と等しくなる(すなわちLg=0)ように配置されていてもよい。
【0026】
図示される例では、導光層10の受光側面10s1と対向する側面10s2(光源LSから遠い側面)は、光取り出し層20の側面20s1と対向する側面20s2(光源LSから遠い側面)と、光源からの距離が等しくなるように配置されている。光源LSから光取り出し層20の側面20s2の距離が、光源LSから導光層10の側面10s2の距離よりも小さくなるように配置されていてもよい。
【0027】
光源LSは、導光層10の受光部(この例では受光側面10s1)に向けて光を出射するように配置されている。光源LSは、例えばLED装置である。光源LSとして、複数のLED装置が用いられてもよい。複数のLED装置は、例えばX方向に配列される。1または複数のLED装置のそれぞれから出射される光はy方向に対して広がりを有する。LED装置の指向半値角は、例えば±10°以上±60°以下(20°以上120°以下)であることが好ましい。
【0028】
次に、
図2を参照して、内部空間24Aの平面形状および配置の例を説明する。
図2は、導光部材110の模式的な平面図を示す。また、
図3A、
図3Bおよび
図3Cを参照して、内部空間24Aの形状を説明する。
図3Aは、内部空間24Aの模式的な断面図であり、
図3Bは、内部空間24Aの模式的な平面図であり、
図3Cは、内部空間24Aのバリエーションを示す模式的な平面図である。
【0029】
図2に示されるように、複数の内部空間24Aは、例えば、導光層10の導光方向に平行な方向(第1方向、図中のy方向)および導光方向に直交する方向(第2方向、図中のx方向)に離散的に配置されている。内部空間24Aの大きさ(長さLi、幅Wi:
図3A、
図3B参照)は、例えば、長さLiは10μm以上500μm以下であることが好ましく、幅Wiは1μm以上100μm以下であることが好ましい。また、光取り出し効率の観点から、高さHi(
図3A参照)は、1μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0030】
ここでは、複数の内部空間24Aが、導光層10の導光方向に平行な方向(第1方向、図中のy方向)および導光方向に直交する方向(第2方向、図中のx方向)に離散的に配置されている例を示したが、これに限られず、複数の内部空間24Aは、導光層10の導光方向に平行な方向および導光方向と交差する方向に離散的に配置され得る。内部空間24Aの離散的な配置は、導光層10の形状や求められる配光分布等に応じて適宜設定され得る。なお、導光層10内において光は種々の方向に伝搬するが、+y方向を導光方向といい、+y方向の成分(ゼロでない。)を有する光は、+y方向に伝搬しているということにする。また、他の方向についても同様とする。すなわち、-y方向に伝搬する光は、-y方向の成分(ゼロでない。)を有する光をすべて包含する。
【0031】
複数の内部空間24Aは、例えば、導光層10の導光方向に平行な方向および導光方向に交差する方向に離散的に配置される。離散的な配置は、少なくとも1つの方向において周期性(規則性)を有してもよいし、規則性を有しなくてもよい。ただし、量産性の観点からは、複数の内部空間24Aが一様に配置されることが好ましい。例えば、
図2に示した例では、実質的に同一の形状で同一の方向に凸な曲面を有する複数の内部空間24Aが、導光層10の導光方向に平行な方向(第1方向、図中のy方向)および導光方向に直交する方向(第2方向、図中のx方向)に離散的に、周期的に全領域に配置されている。このとき、ピッチPxは、例えば、10μm以上500μm以下であることが好ましく、ピッチPyは、例えば、10μm以上500μm以下であることが好ましい。
図2に示した例では、y方向およびx方向のそれぞれに2分の1ピッチずれて配置された内部空間24Aをさらに有している。
【0032】
図2に示したように、導光層10の主面(第1主面10mまたは第2主面10n)に対する法線方向から見たとき、前方傾斜面ISaは光源LS側に凸な曲面を形成している。光源LSは、例えばLED装置であり、複数のLED装置がx方向に配列されている。複数のLED装置のそれぞれから出射される光はy方向に対して広がりを有するので、前方傾斜面ISaが光源LS側に凸な曲面を有している方が、前方傾斜面ISaが光に対して均一に作用する。なお、光源LSと導光部材110Aの受光側面10s1との間に結合光学系を設け、平行度の高い光(y方向に対する広がりが小さい光)を入射させるようにした場合は、前方傾斜面ISaはx方向に平行であってもよい。また、離散的な内部空間24Aに代えて、例えば、x方向に延びる溝(例えば三角柱)のような内部空間であってもよい。
【0033】
図3Aに示すように、内部空間24Aの断面形状は、例えば、三角形である。光源LS側の前方傾斜面ISaの傾斜角θaは、例えば、10°以上70°以下である。傾斜角θaが10°よりも小さいと配光の制御性が低下し、光取り出し効率も低下することがある。一方、傾斜角θaが70°を超えると、例えば製造が困難になることがある。また、後方傾斜面ISbの傾斜角θbは、例えば、50°以上100°以下である。傾斜角θbが50°より小さいと、意図しない方向に迷光が発生することがある。一方、傾斜角θbが100°を超えると、例えば製造が困難になることがある。
図3Bおよび
図3Cに示すように、内部空間24Aの長さLiは10μm以上500μm以下であることが好ましく、幅Wiは1μm以上100μm以下であることが好ましい。長さLiは、例えば、幅Wiの2倍以上である。高さHi(
図3A参照)は、1μm以上100μm以下であることが好ましい。なお、
図3Bに示す平面形状を有する凹部を形成する際の加工精度によって、
図3Cに示す平面形状を有する凹部が形成されることがある。そのような場合であっても、長さLiおよび幅Wiによって、内部空間24Aの平面形状を特徴づけることができる。前方傾斜面ISaの光源LS側に凸な曲面の導光層10の主面の法線方向から見たときの形状は、例えば、4次曲線で表すことができる。内部空間24Aは、
図1Bに示した例のように、例えば表面に凹部を有する賦形フィルム24と接着剤層54とによって構成することができる。
【0034】
導光部材110Aを導光層10の第1主面10mの法線方向から平面視したときに、第1領域R1の面積(この例では光取り出し層20の面積)に占める複数の内部空間24Aの面積の割合(複数の内部空間24Aの占有面積率ということがある。)は、1%以上80%以下であることが好ましく、1%以上50%以下であることがさらに好ましく、45%以下がさらに好ましい。高い透過率および/または低いヘイズ値を得るためには、複数の内部空間24Aの占有面積率は、30%以下が好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下がさらに好ましい。複数の内部空間24Aの占有面積率が高いほど、光源LSから離れることに伴う輝度の減少の程度が大きくなる。したがって、後に実験例を示すように、複数の内部空間24Aの占有面積率が高いと、光源LSからの距離がより小さい地点で、比率Wb/Waが100%である場合に比べて輝度の低下を抑制する効果が得られる。これに対して、複数の内部空間24Aの占有面積率が低いと、光源LSからの距離が比較的大きい地点で、比率Wb/Waが100%である場合に比べて輝度の低下を抑制する効果が得られる。光源LSからの距離の増大に伴う輝度の減少を抑制する観点からは、内部空間24Aの占有面積率の下限値は、例えば1%以上、2%以上、3%以上、3.5%以上、または、3.7%以上が好ましい。
【0035】
[光取り出し層の配置の他の例]
図4を参照しながら、光取り出し層20の配置の他の例を説明する。
図4に、本実施形態の変形例による照明装置200A1の模式的な断面図を示す。照明装置200A1は、導光部材110A1と、光源LSとを有する。導光部材110A1において、光取り出し層20は、導光層10の第1主面10m側に設けられている点において、
図1Bに示した照明装置200Aが有する導光部材110Aと異なる。導光部材110A1においても、導光層10内を伝搬する光の一部は第1主面10m側から取り出され、導光部材110A1の前面側(図中の-z方向)に向けて出射される。光取り出し層20は、導光層10内を伝搬する光の一部を少なくとも導光部材110A1の前面側(すなわち、照明装置200A1の前面側)に向けることができる配光制御構造を有している。配光制御構造を構成する複数の内部空間24Aを有する光取り出し層20は、表面に凹部24A(内部空間24Aと同じ参照符号で示す。)を有する賦形フィルム24と接着剤層54とによって構成されている。接着剤層54は、賦形フィルム24と導光層10とを接着している。また、照明装置200A1のように、光源LSから導光層10の受光側面10s1の距離が、光源LSから光取り出し層20の側面20s1の距離と等しくなるように配置されていてもよい。
【0036】
[配光制御構造の他の例]
これまでの説明では、導光層10の2つの主面(第1主面10mおよび第2主面10n)の一方側に設けられた光取り出し層20に、複数の内部空間を有する配光制御構造が形成される構成を例示したが、複数の内部空間を有する配光制御構造が導光層10に形成されてもよい。そのような導光層を有する導光部材および照明装置において、第1領域R1と第2領域R2とは、配光制御構造を構成する複数の内部空間を有するか否かによって区分される。そのような導光層は、例えば、パターンが形成されていない第1フィルムと、所望の微細パターンが形成された第2フィルムとを、ラミネーション法で貼り合わせるか、または接着剤(感圧接着剤を含む)により接着することで作製される。
【0037】
第2フィルムへの微細パターンの形成には、レーザパターニング、ダイレクトレーザイメージング、レーザドリル、マスクによるまたはマスクレスのレーザまたは電子ビーム照射が用いられる。また印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷等によって個別の特性を付与して、材料や屈折率値を変更してもよい。マイクロ/ナノディスペンス、ドージング、ダイレクト「書込み」、離散的レーザ焼結、マイクロ放電加工(マイクロEDM)、またはマイクロマシニング、マイクロ成形、インプリンティング、エンボス加工およびこれらに類するものを用いることもできる。
【0038】
[光取り出し構造の他の例]
これまでの説明では、導光層10内を伝搬する光の一部を第1主面10m側から取り出す光取り出し構造として、複数の内部空間を有する配光制御構造を光取り出し層20内または導光層10内に有する構成を例示したが、光取り出し構造はこの例に限られない。光取り出し層20に代えて、他の光取り出し構造を表面または内部に有する光取り出し層を、導光層10の第1主面10m側または第2主面10n側に設けてもよい。光取り出し構造は、導光層10内を伝搬する光の一部を第1主面10m側または第2主面10n側から取り出すことができるように構成されている。言い換えると、光取り出し構造によって、導光層10内を伝搬する光の一部は、第2主面10nから第1主面10mに向かう方向または第1主面10mから第2主面10nに向かう方向に出射される。このような光取り出し層としては、公知の光学シート、例えば、プリズムシート、マイクロレンズシート、レンチキュラーレンズシート、拡散フィルム等を用いることができる。光取り出し層20に代えて、光取り出し構造として、導光層10の第1主面10mまたは第2主面10nに形成された、複数の凸部または凹部を含む凹凸構造を有してもよい。
【0039】
(実施形態2)
図5を参照しながら、本実施形態による照明装置200Bを説明する。
図5は、照明装置200Bの模式的な平面図である。以下では、本実施形態による照明装置200Bが実施形態1による照明装置200Aと異なる点を中心に説明する。照明装置200Bは、導光部材110Bと、光源LSとを有する。
【0040】
図1Aおよび
図1Bに示した実施形態1による照明装置200Aにおいては、導光層10の幅Waおよび第1領域R1の幅Wbは一定であり、したがって、比率Wb/Waも一定である。これに対して、照明装置200Bにおいては、比率Wb/Waが導光層10の受光側面10s1からの距離に応じて変化している。照明装置200Bにおいては、比率Wb/Waは、導光層10の受光側面10s1から(すなわち光源LSから)遠ざかるほど小さくなるように構成されている。照明装置200Bにおいては、導光層10の幅Waが、受光側面10s1から(すなわち光源LSから)遠ざかるほど大きくなるように構成されている。導光層10の幅Waは、受光側面10s1における値Wa1が最小値であり、受光側面10s1と対向する側面10s2(光源LSから遠い側面)における値Wa2が最大値である。この例では、第1主面10mの法線方向から平面視したとき、導光層10は、台形状である。一方で、第1領域R1の幅Wbは一定である。第1主面10mの法線方向から平面視したとき、第1領域R1の形状、すなわち、光取り出し層20は、矩形状である。
【0041】
本実施形態の照明装置200Bにおいても、第1領域R1の幅Wbの導光層10の幅Waに対する比率Wb/Waが30%超100%未満であり、第1領域R1の長さLbが350mm以上である。なお、第1領域R1の全領域において比率Wb/Waが30%超100%未満を満たす場合に限られず、比率Wb/Waが30%超100%未満である部分を第1領域R1が含めばよい。第1領域R1のうち、比率Wb/Waが30%超100%未満である部分の第1方向における長さが350mm以上であることが好ましい。本実施形態の照明装置200Bにおいても、実施形態1の照明装置200Aと同様に、光源からの距離が増大するにつれて輝度が減少することが抑制される。
【0042】
図6を参照しながら、本実施形態の変形例による照明装置200B1を説明する。
図6は、照明装置200B1の模式的な平面図である。照明装置200B1は、導光部材110B1と、光源LSとを有する。
図6に示される照明装置200B1のように、第1領域R1の幅Wbが、受光側面10s1から遠ざかるほど小さくなるように構成されていてもよい。この例では、第1領域R1の幅Wbは、側面20s1における値Wb1が最大値であり、側面20s1と対向する側面20s2(光源LSから遠い側面)における値Wb2が最小値である。第1主面10mの法線方向から平面視したとき、第1領域R1は、台形状である。照明装置200B1においても、比率Wb/Waが、導光層の10の受光側面10s1から(すなわち光源LSから)遠ざかるほど小さくなるように構成されている。
【0043】
図7を参照しながら、本実施形態の他の変形例による照明装置200B2を説明する。
図7は、照明装置200B2の模式的な平面図である。照明装置200B2は、導光部材110B2と、光源LSとを有する。
図7に示される照明装置200B2のように、照明装置200Bにおいては、比率Wb/Waは、導光層10の受光側面10s1から(すなわち光源LSから)遠ざかるほど大きくなるように構成されていてもよい。この例では、第1領域R1の幅Wbが、受光側面10s1から遠ざかるほど大きくなるように構成されている。第1領域R1の幅Wbは、側面20s1における値Wb1が最小値であり、側面20s1と対向する側面20s2における値Wb2が最大値である。これに代えて、または、これに加えて、導光層10の幅Waが、受光側面10s1から(すなわち光源LSから)遠ざかるほど小さくなるように構成されていてもよい。
【0044】
(実施形態3)
図8を参照しながら、本実施形態による照明装置200Cを説明する。
図8は、照明装置200Cの模式的な平面図である。以下では、本実施形態による照明装置200Cが実施形態1による照明装置200Aと異なる点を中心に説明する。照明装置200Cは、導光部材110Cと、光源LSとを有する。
【0045】
照明装置200Cにおいては、第1領域R1は、第1方向(図中のy方向)および第2方向(図中のx方向)に離散的に配置された2以上の部分領域を含む。第1領域R1を構成する2以上の部分領域は、第1方向または第2方向のいずれか一方にのみ離散的に配置されていてもよい。第1領域R1の長さLbは、各部分領域の第1方向の長さLbeの和とする。第1領域R1の幅Wbについても同様に、各部分領域の第2方向の長さWbeの和とする。第1方向に隣接する部分領域の間の隙間の第1方向における長さは、例えば、第1領域R1の長さLbの10%以下、5%以下、または、1%以下であることが好ましい。第2方向に隣接する部分領域の間の隙間の第2方向における長さは、例えば、第1領域R1の幅Wbの10%以下、5%以下、または、1%以下であることが好ましい。図示する例では、第1領域R1を構成する各部分領域の第1方向の長さ、第2方向の長さおよび形状は同じであるが、これらは互いに異なっていてもよい。
【0046】
本実施形態の照明装置200Cにおいても、第1領域R1の幅Wbの導光層10の幅Waに対する比率Wb/Waが30%超100%未満であり、第1領域R1の長さLbが350mm以上である。本実施形態の照明装置200Cにおいても、実施形態1の照明装置200Aと同様に、光源からの距離が増大するにつれて輝度が減少することが抑制される。
【0047】
[第1領域の形状の他の例]
導光層10の第1主面10mの法線方向から平面視したときの第1領域R1の形状は、これまでの説明で例示した矩形状、台形等に限られず、任意の形状であってよい。例えば
図9に示される照明装置200Dおよび照明装置200Dが有する導光部材110Dのように、第1領域R1と第2領域R2とは、所定の図柄を規定するように配置されていてもよい。照明装置200Dは、光源LSと、導光部材110Dとを有する。ここで、「図柄」は、文字、数字、記号、絵柄、模様およびこれらの組み合わせ等を含む。
【0048】
[実験例]
以下で、実験例を説明する。
【0049】
下記の表1Aに示すパラメータの照明装置のサンプル1~3を試作し、輝度を測定した。測定結果を下記の表1Bおよび
図11に示す。
【0050】
サンプル1(実施例1a)およびサンプル3(比較例2a)は、
図1Aおよび
図1Bに示した照明装置200Aと同様の構造を有し、サンプル2(比較例1a)は、
図10に示した比較例の照明装置900と同様の構造を有する。光源LSとして、LEDエッジライト(エーシック株式会社製、AI-6156B)を用いた。光取り出し層20および内部空間24Aを特徴付けるパラメータを以下に示す。
ピッチPx:120μm、ピッチPy:70μm
前方傾斜面ISaの傾斜角θa:49°
光取り出し層20の面積に占める複数の凹部24Aの面積の割合:3.7%
導光層10の受光側面10s1から光取り出し層20の側面20s1までの距離Lg:30mm
【0051】
表1Aに示すように、サンプル1~3は、第1領域R1の、幅Wbの導光層10の幅Waに対する比率Wb/Waにおいて互いに異なる。表1Bに示すように、各サンプルにおいて、光取り出し層20の側面20s1からの第1方向(図中のy方向)における距離が互いに異なる4箇所の輝度を測定した。すなわち、光源LSからの距離(第1方向における距離)が互いに異なる4箇所の輝度を測定した。輝度は、導光部材の幅Waの二等分線上において測定した。なお、サンプル1~3においては、導光層10の幅Waの二等分線と、光取り出し層20の幅Wbの二等分線とが一致するように構成されている。輝度の測定は、コニカミノルタ社の輝度計SR5000を用いて行った。光源LSから遠ざかることによる輝度の低下の程度を、側面20s1からの距離が530mmである地点の輝度L
530の、側面20s1からの距離が30mmである地点の輝度L
30に対する比率L
530/L
30で評価した。表1Bおよび
図11から分かるように、比率Wb/Waが60%であるサンプル1において、比率Wb/Waが100%であるサンプル2に比べて、比率L
530/L
30の値が大きく、輝度の低下が抑制されていることが分かる。比率Wb/Waが20%であるサンプル3においては、比率Wb/Waが100%であるサンプル2に比べて、比率L
530/L
30の値が小さく、輝度の低下を抑制する効果が得られなかった。
【0052】
【0053】
【0054】
下記の表2Aに示すパラメータでシミュレーションを行った(シミュレーション1~5)。シミュレーション結果を下記の表2Bおよび
図12に示す。
【0055】
シミュレーション2(実施例1b)、シミュレーション3(実施例2b)、シミュレーション4(実施例3b)およびシミュレーション5(比較例2b)は、
図1Aおよび
図1Bに示した照明装置200Aと同様の構造を用い、シミュレーション1(比較例1b)は、
図10に示した比較例の照明装置900と同様の構造を用いて行った。光取り出し層20および内部空間24Aを特徴付けるパラメータは、サンプル1~3と同じである。以下、サンプル1~3の実測と異なる点を主に説明する。
【0056】
表2Aに示すように、シミュレーション1~5は、第1領域R1の幅Wbの、導光層10の幅Waに対する比率Wb/Waにおいて互いに異なる。表2Bに示すように、各シミュレーションにおいて、光取り出し層20の側面20s1からの第1方向(図中のy方向)における距離が互いに異なる4箇所の照度を求めた。すなわち、光源LSからの距離(第1方向における距離)が互いに異なる4箇所の照度を求めた。照度は、導光部材の幅Waの二等分線上において求めた。光源LSから遠ざかることによる輝度の低下の程度を、側面20s1からの距離が530mmである地点の照度E
530の、側面20s1からの距離が30mmである地点の照度E
30に対する比率E
530/E
30で評価した。表2Bおよび
図12から分かるように、比率Wb/Waが40%、60%および80%であるシミュレーション2~4の結果では、比率Wb/Waが100%であるシミュレーション1の結果に比べて、比率E
530/E
30の値が大きく、輝度の低下が抑制されていることが分かる。比率Wb/Waが20%であるシミュレーション5の結果においては、比率Wb/Waが100%であるシミュレーション1の結果に比べて、比率E
530/E
30の値が小さく、輝度の低下を抑制する効果が得られなかった。シミュレーションによる結果は、表1Bおよび
図11に示した実測の結果と整合している。
図12のグラフには、比率Wb/Waを30%としたシミュレーション結果もあわせて示している。比率Wb/Waが30%である場合は、比率Wb/Waが100%である場合に比べて輝度の低下を抑制する効果が得られなかった。
図12から、比率Wb/Waが30%超100%未満であると、比率Wb/Waが100%である場合に比べて、輝度の低下を抑制する効果が得られることが分かる。
【0057】
【0058】
【0059】
下記の表3Aに示すパラメータでシミュレーションを行った(シミュレーション6~10)。シミュレーション結果を下記の表3Bおよび
図13に示す。シミュレーション6~10は、導光層10の厚さDaを2mmとした点において、導光層10の厚さDaを5mmとしたシミュレーション1~5と主に異なる。以下、シミュレーション1~5と異なる点を主に説明する。
【0060】
シミュレーション7(実施例1c)、シミュレーション8(実施例2c)、シミュレーション9(実施例3c)およびシミュレーション10(比較例2c)は、
図1Aおよび
図1Bに示した照明装置200Aと同様の構造を用い、シミュレーション6(比較例1c)は、
図10に示した比較例の照明装置900と同様の構造を用いて行った。光取り出し層20および内部空間24Aを特徴付けるパラメータは、シミュレーション1~5と同じである。シミュレーション6~10においては、光取り出し層20の側面20s1からの第1方向(図中のy方向)における距離が互いに異なる2箇所の照度を求めた。光源LSから遠ざかることによる輝度の低下の程度を、側面20s1からの距離が380mmである地点の照度E
380の、側面20s1からの距離が30mmである地点の照度E
30に対する比率E
380/E
30で評価した。表3Bおよび
図13から分かるように、比率Wb/Waが40%、60%および80%であるシミュレーション7~9の結果では、比率Wb/Waが100%であるシミュレーション6の結果に比べて、比率E
380/E
30の値が大きく、輝度の低下が抑制されていることが分かる。
【0061】
【0062】
【0063】
光取り出し層20の面積に占める複数の凹部24Aの面積の割合(占有面積率)を変更してシミュレーション11~15を行った。シミュレーション11~15は、複数の凹部24Aの占有面積率を1%未満とした点において、シミュレーション1~5と主に異なる。
図14にシミュレーション11~15の結果を示す。以下、シミュレーション1~5と異なる点を主に説明する。
【0064】
シミュレーション11~15においては、光源LSから遠ざかることによる輝度の低下の程度を、光取り出し層20の側面20s1からの距離が995mmである地点の照度E
995の、側面20s1からの距離が35mmである地点の照度E
35に対する比率E
995/E
35で評価した。シミュレーション11~15においては、照度は、導光部材の第2方向(図中のx方向)における端部において求めた。
図14から分かるように、比率Wb/Waが40%、60%および80%であるとき、比率Wb/Waが100%である場合に比べて、比率E
995/E
35の値が大きく、輝度の低下が抑制されていることが分かる。
【0065】
上記のシミュレーション結果をまとめて表4および表5に示す。
【0066】
【0067】
【0068】
表4は、導光層10の厚さDaが互いに異なるシミュレーション結果を比較して示している。表4から、導光層10の厚さDaが変わっても、第1領域R1の幅Wbの導光層10の幅Waに対する比率Wb/Waが30%超100%未満であると、比率Wb/Waが100%である場合に比べて、輝度の低下を抑制する効果が得られることが分かる。導光層10の厚さDaが5mmの場合(シミュレーション1~5)および2mmの場合(シミュレーション6~10)のいずれにおいても、比率Wb/Waが60%付近で最も効果が大きい。例えば比率Wb/Waは、40%以上90%以下であることが好ましく、40%以上80%以下であることがより好ましく、40%超80%未満であってもよく、50%以上70%以下であることがさらに好ましい。
【0069】
表5は、導光層10の厚さDaおよび内部空間24Aの占有面積率が互いに異なるシミュレーション結果を比較して示しており、光取り出し層20の側面20s1からの距離が互いに異なる4箇所について、比率Wb/Waが100%である場合に比べて、輝度の低下を抑制する効果が得られたか否かを示している。比率Wb/Waが100%である場合に比べて、輝度の低下を抑制する効果が得られた場合を「○」、得られなかった場合を「×」で示している。導光層10の厚さDaがDa=2mmの場合、導光層10の厚さDaがDa=5mmの場合に比べて、側面20s1からの距離(すなわち光源LSからの距離)がより小さい地点において、輝度の低下を抑制する効果が得られている。導光層10の厚さDaが小さいと、光源LSから離れることに伴う輝度の減少の程度が大きいので、側面20s1からの距離(すなわち光源LSからの距離)がより小さい地点で、輝度の低下を抑制する効果が得られたと考えられる。内部空間24Aの占有面積率が1%未満の場合、内部空間24Aの占有面積率が3.7%の場合に比べて、光源LSから離れることに伴う輝度の減少の程度が小さいので、側面20s1からの距離(すなわち光源LSからの距離)がより大きい地点まで、輝度の低下を抑制する効果が得られなかったと考えられる。光源からの距離の増大に伴って輝度が減少するという問題は、光源からの長さ(導光層の導光方向に沿った長さ)が大きい照明装置において特に顕著である。光源LSからの距離の増大に伴う輝度の減少を抑制する観点から、第1領域R1の長さ(例えば光取り出し層20の長さ)Lbが所定値よりも大きいことが好ましい。この所定値は、導光層10の厚さDa、光取り出し構造を特徴付けるパラメータ等によって変わり得るが、例えば第1領域R1の長さ(光取り出し層20の長さ)Lbが350mm以上であることが好ましいことが分かる。
【0070】
図15に試作した照明装置の光学像を示す。
図15の左側の照明装置は、
図10に示した比較例の照明装置900と同様の構造を有し、
図15の右側の照明装置は、
図1Aおよび
図1Bに示した照明装置200Aと同様の構造を有する。
図15の左側の照明装置は、比率Wb/Waが100%である点において、
図15の右側の照明装置と異なる。
図15の右側の照明装置を特徴付けるパラメータを以下に示す。
光取り出し層20の幅Wb:50mm、導光層10の幅Wa:145mm
比率Wb/Wa:34.5%
光取り出し層20の長さLb:970mm、導光層10の長さLa:1000mm
ピッチPx:120μm、ピッチPy:70μm
前方傾斜面ISaの傾斜角θa:49°
光取り出し層20の面積に占める複数の凹部24Aの面積の割合:3.7%
【0071】
図15の右側の照明装置において、
図15の左側の照明装置に比べて、光源(図中、導光部材の下側に設けられている)からの距離が増大するにつれて輝度が減少することが抑制されていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の実施形態によると、光源からの距離が増大するにつれて輝度が減少することが抑制された照明装置およびそのような照明装置に用いられる導光部材が提供される。
【符号の説明】
【0073】
10:導光層
20:光取り出し層
110A、110A1、110B、110B1、110B2、110C、110D:導光部材
200A、200A1、200B、200B1、200B2、200C、200D:照明装置
LS:光源
R1:第1領域
R2:第2領域