(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171723
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】コンテナ用冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
F25D11/00 101D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088885
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若園 直樹
(72)【発明者】
【氏名】武内 隆司
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045GA04
3L045JA02
3L045KA11
3L045LA06
3L045LA10
3L045MA02
3L045NA01
3L045NA07
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L045PA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】換気動作に伴って庫内空気の温度が変化してしまうことを抑制する。
【解決手段】制御部は、換気装置40の換気動作に伴う冷却負荷である換気冷却負荷に基づいて、前記冷却ユニット10Aの冷却能力を調整する。換気装置の換気量を第1換気量に近づけるように該換気装置を制御し、庫内の冷却負荷である庫内冷却負荷と、第1換気量に対応する換気冷却負荷とに基づいて、冷却ユニットの冷却能力を調整する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(25)、放熱器(26)、膨張機構(31)、蒸発器(29)を有し、蒸発器(29)によってコンテナ(1)の庫内を冷却する冷却動作を行う冷却ユニット(10A)と、
庫外空気を前記コンテナ(1)の庫内に供給する換気装置(40) と、
前記冷却ユニット(10A)および前記換気装置(40) を制御する制御部(100)とを備え、
前記制御部(100)は、前記換気装置(40) の換気動作に伴う冷却負荷である換気冷却負荷に基づいて、前記冷却ユニット(10A)の冷却能力を調整する
コンテナ用冷凍装置。
【請求項2】
前記制御部(100)は、
前記換気装置(40)の換気量を第1換気量に近づけるように該換気装置(40)を制御し、
庫内の冷却負荷である庫内冷却負荷と、前記第1換気量に対応する前記換気冷却負荷とに基づいて、前記冷却ユニット(10A)の冷却能力を調整する
請求項1に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項3】
前記制御部(100)は、
前記庫内冷却負荷と、前記第1換気量に対応する前記換気冷却負荷とに基づいて前記冷却ユニット(10A)の第1冷却能力を決定する第1制御と、
前記第1制御の後、前記換気装置(40)の換気量を前記第1換気量に近づける第2制御と、
前記第1制御の後、前記冷却ユニット(10A)の冷却能力を前記第1冷却能力に近づける第3制御とを実行する
請求項2に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項4】
前記制御部(100)は、前記換気装置(40)の換気動作に伴う前記冷却ユニット(10A)の冷却能力の変化速度を示す指標が所定値以下となるように、前記換気装置(40)の換気量の変化速度を制限する第1制限動作を行う
請求項1~3のいずれか1つに記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項5】
前記制御部(100)は、操作部(110)の操作により第1モードが選択されている場合に、前記第1制限動作を実行する
請求項4に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項6】
前記制御部(100)は、前記冷却ユニット(10A)の冷却能力に基づいて前記換気装置(40)を制御する
請求項1~3のいずれか1つに記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項7】
前記制御部(100)は、前記冷却ユニット(10A)の冷却能力を示す指標が所定値より大きい場合に、前記換気装置(40) の換気量を制限する第2制限動作を行う
請求項6に記載のコンテナ用冷凍装置。
【請求項8】
前記制御部(100)は、操作部(110)の操作により第2モードが選択されている場合に、前記第2制限動作を行う
請求項7に記載のコンテナ用冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンテナ用冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コンテナ用冷凍装置を開示する。コンテナ用冷凍装置は、食品などの対象物を搬送するコンテナに適用され、コンテナの庫内を冷却する冷却動作を行う。特許文献1の段落0099には、冷却動作によって庫内の温度が所定温度に至ると、圧縮機が停止し、換気装置が庫外空気を庫内に導入する動作を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のコンテナ用冷凍装置では、換気装置によって庫外空気を庫内に供給する換気動作が行われる。換気動作が行われると、庫外空気が庫内に導入されることに起因して庫内空気の温度が変化してしまう。その結果、対象物の品温の管理が損なわれてしまう。
【0005】
本開示は、換気動作に伴って庫内空気の温度が変化してしまうことを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、コンテナ用冷凍装置である。コンテナ用冷凍装置は、圧縮機(25)、放熱器(26)、膨張機構(31)、蒸発器(29)を有し、蒸発器(29)によってコンテナ(1)の庫内を冷却する冷却動作を行う冷却ユニット(10A)と、庫外空気をコンテナ(1)の庫内に供給する換気装置(40) と、冷却ユニット(10A)および換気装置(40) を制御する制御部(100)とを備える。制御部(100)は、換気装置(40) の換気動作に伴う換気冷却負荷に基づいて、冷却ユニット(10A)の冷却能力を調整する。
【0007】
第1の態様では、制御部(100)は、換気装置(40)の換気動作に伴う換気冷却負荷に基づいて、冷却ユニット(10A)の冷却能力を調整する。このため、換気動作に伴って冷却ユニット(10A)の冷却負荷が増大した場合に、この冷却負荷に応じて冷却能力が増大する。その結果、換気動作に伴って庫内空気の温度が変化してしまうことを抑制できる。
【0008】
第2の態様は、制御部(100)が、換気装置(40)の換気量を第1換気量に近づけるように換気装置(40)を制御する。制御部(100)は、庫内の冷却負荷である庫内冷却負荷と、第1換気量に対応する換気冷却負荷とに基づいて、冷却ユニット(10A)の冷却能力を調整する。
【0009】
第2の態様では、換気装置(40)が第1換気量を目標値として換気動作を行う。冷却ユニット(10A)は、制御部(100)は、庫内の冷却負荷である庫内冷却負荷に加えて、第1換気量に対応する換気冷却負荷に基づいて、冷却ユニット(10A)の冷却能力を調整する。このため、換気装置(40)の換気量が第1換気量まで変化することに起因して、庫内空気の温度が変化することを抑制できる。
【0010】
第3の態様は、第2の態様において、制御部(100)は、庫内冷却負荷と、第1換気量に対応する換気冷却負荷とに基づいて冷却ユニット(10A)の第1冷却能力を決定する第1制御と、第1制御の後、換気装置(40)の換気量を第1換気量に近づける第2制御と、第1制御の後、冷却ユニット(10A)の冷却能力を第1冷却能力に近づける第3制御とを実行する。
【0011】
第3の態様では、第1制御において、庫内冷却負荷と、第1換気量に対応する換気冷却負荷とに基づいて第1冷却能力が決定される。第1制御の後の第2制御では、換気装置(40)の換気量が第1換気量に近づく。また、第1制御の後の第3制御では、冷却能力が第1冷却能力に近づく。その結果、換気装置(40)の換気量が第1換気量に至るときには、冷却能力が既に第1冷却能力に至りやすくなる。このため、換気装置(40)の換気量が第1換気量まで変化することに起因して、庫内空気の温度が変化することを抑制できる。
【0012】
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、制御部(100)は、換気装置(40)の換気動作に伴う冷却ユニット(10A)の冷却能力の変化速度を示す指標が所定値以下となるように、換気装置(40)の換気量の変化速度を制限する第1制限動作を行う。
【0013】
換気装置(40)の換気動作に伴い第1冷却負荷が大きく変化すると、冷却ユニット(10A)の冷却能力の変化速度の制限範囲を越えてしまい、庫内空気の温度の変化を抑制できない可能性がある。そこで、制御部(100)は、換気装置(40)の換気動作に伴う冷却ユニット(10A)の冷却能力の速度変化を示す指標が所定値以下となるように、換気装置(40)の換気量の変化速度を制限する。これにより、冷却ユニット(10A)の冷却能力が、換気動作に伴う第2冷却負荷の変化に追従できなくなることを抑制できる。その結果、庫内空気の温度の変化を抑制できる。
【0014】
第5の態様は、第4の態様において、前記制御部(100)は、操作部(110)の操作により第1モードが選択されている場合に、第1制限動作を実行する。
【0015】
第5の態様では、ユーザ等が、操作部(110)を操作することにより、第1制限動作を実行するか否かを選択できる。
【0016】
第6の態様は、第1~第5のいずれか1つの態様において、制御部(100)は、冷却ユニット(10A)の冷却能力に基づいて換気装置(40)を制御する。
【0017】
第6の態様では、換気装置(40)が、冷却ユニット(10A)の冷却能力に基づいて制御される。
【0018】
第7の態様は、第6の態様において、制御部(100)は、冷却ユニット(10A)の冷却能力を示す指標が所定値より大きい場合に、換気装置(40) の換気量を制限する第2制限動作を行う。
【0019】
第7の態様では、冷却ユニット(10A)の冷却能力が高い状態において、換気装置(40)の換気量が制限されるので、冷却ユニット(10A)が、換気動作に伴う第2冷却負荷を処理できなくなることを回避できる。
【0020】
第8の態様は、第7の態様において、操作部(110)の操作により第2モードが選択されている場合に、前記第2制限動作を行う。
【0021】
第8の態様では、ユーザ等が、操作部(110)を操作することにより、第2制限動作を実行するか否かを選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施形態に係るコンテナ用冷凍装置を前面から見る斜視図である。
【
図2】
図2は、コンテナ用冷凍装置の縦断面図である。
【
図3】
図3は、コンテナ用冷凍装置の配管系統図である。
【
図4】
図4は、換気装置の概略の正面図である。
図4(A)は、蓋が閉位置である状態を、
図4(B)は、蓋が中間位置である状態を、
図4(C)は、蓋が全開位置である状態をそれぞれ示す。
【
図5】
図5は、コンテナ用冷凍装置の主要機器のブロック図である。
【
図6】
図6は、冷却運転の通常モード、換気負荷抑制モード、および冷却優先モードの切り換えを説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、通常モードの制御を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図8は、換気負荷抑制モードの制御を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図9は、冷却優先モードの制御を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表す場合がある。
【0024】
(1)コンテナ用冷凍装置の全体構成
コンテナ用冷凍装置(10)について説明する。なお、以下の説明における、「前」、「後」、「上」、「下」、「右」、「左」に関する語句は、
図1の矢印で示す方向を基準とする。
【0025】
図1および
図2に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ(1)に設けられる。コンテナ(1)は、海上輸送に用いられる。コンテナ(1)は、その内部の空気を冷却する冷凍コンテナである。コンテナ(1)は、コンテナ本体(2)と、コンテナ用冷凍装置(10)とを有する。コンテナ本体(2)は、食品や植物などの対象物を貯蔵する。コンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ本体(2)の庫内空間(3)の空気を冷却する。
図2に示すように、コンテナ本体(2)の前面には、前面開口(4)が形成される。コンテナ用冷凍装置(10)は、コンテナ本体(2)の前面開口(4)を塞ぐように、コンテナ本体(2)に取り付けられる。
【0026】
図5に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、庫内空間(3)を冷却するための冷却ユニット(10A)と、庫内空間(3)の換気を行うための換気装置(40)とを有する。
【0027】
(2)冷却ユニット
図1および
図2に示すように、冷却ユニット(10A)は、ケーシング(11)を有する。ケーシング(11)は、コンテナ本体(2)の前面開口(4)の蓋を構成する。ケーシング(11)は、ケーシング本体(12)と仕切板(13)とを有する。ケーシング本体(12)は、コンテナ本体(2)の外部空間である庫外空間(5)と、庫内空間(3)とを仕切る。仕切板(13)は、ケーシング(11)の背面側(後側)に位置する。
【0028】
冷却ユニット(10A)は、庫外に配置される機器として、圧縮機(25)、庫外熱交換器(26)、および庫外ファン(27)を有する。冷却ユニット(10A)は、庫内に配置される機器として、庫内熱交換器(29)および庫内ファン(30)を有する。
【0029】
(2-1)ケーシング本体
図2に示すように、ケーシング本体(12)は、平板部(12a)と凹部(12b)とを有する。平板部(12a)は、ケーシング(11)の前面開口(4)と略面一になるようにケーシング本体(12)の上部に形成される。
図1に示すように、平板部(12a)には、点検窓(22)が設けられる。点検窓(22)は、平板部(12a)の右寄りの部分に配置される。点検窓(22)は、ケーシング本体(12)の内部を確認するための透明の窓である。
【0030】
凹部(12b)は、ケーシング(11)の下部に形成される。凹部(12b)は、平板部(12a)の下端から後方に向かって凹んでいる。凹部(12b)の前側には、庫外収容空間(14)が形成される。凹部(12b)の上方であって平板部(12a)と仕切板(13)の間には、庫内収容空間(15)が形成される。凹部(12b)の下端は、底板(12c)を構成する。底板(12c)は、ケーシング本体(12)の左右の両端に亘って延びている。
【0031】
ケーシング本体(12)は、庫外ケーシング(16)と、断熱層(17)と、庫内ケーシング(18)とが厚さ方向(前後方向)に積層されて構成される。庫外ケーシング(16)は、庫外空間(5)に面している。庫内ケーシング(18)は、庫内に面している。断熱層(17)は、庫外ケーシング(16)と庫内ケーシング(18)との間に設けられる。庫外ケーシング(16)は、アルミニウム材料によって構成される。庫内ケーシング(18)は、強化繊維プラスチック(FRP)によって構成される。断熱層(17)は、発泡樹脂によって構成される。
【0032】
(2-2)仕切板および空気通路
図2に示すように、仕切板(13)は、凹部(12b)の後側に位置する板状の部材である。仕切板(13)は、凹部(12b)の後面と所定の間隔を置くように上下方向に延びている。ケーシング本体(12)と仕切板(13)との間には、庫内空気が流れる内部通路(19)が形成される。仕切板(13)の上端とコンテナ本体(2)の上壁(2a)との間には、流入口(20)が形成される。流入口(20)は、庫内空間(3)と内部通路(19)の流入端とを連通する。仕切板(13)の下端とコンテナ本体(2)の下壁(2b)との間には、流出口(21)が形成される。流出口(21)は、庫内空間(3)と内部通路(19)の流出端とを連通する。
【0033】
(2-3)庫外空間の機器
庫外収容空間(14)には、圧縮機(25)と、庫外熱交換器(26)と、庫外ファン(27)とが設けられる。圧縮機(25)は、ケーシング(11)の底板(12c)の上に設置される。圧縮機(25)は、庫外収容空間(14)の下部寄りに配置される。圧縮機(25)は、庫外収容空間(14)の右寄りに配置される。
【0034】
庫外ファン(27)は、庫外収容空間(14)における上部寄りに位置する。庫外ファン(27)は、プロペラファンによって構成される。
図2に示すように、庫外ファン(27)の裏側には、庫外空気が流れる外部通路(28)が形成される。
【0035】
庫外熱交換器(26)は、庫外収容空間(14)において、庫外ファン(27)と圧縮機(25)の間の高さ位置に設けられる。庫外熱交換器(26)は、外部通路(28)に位置する。庫外熱交換器(26)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。
【0036】
(2-4)庫内空間の機器
庫内収容空間(15)には、庫内熱交換器(29)と、庫内ファン(30)とが設けられる。庫内熱交換器(29)は、ケーシング本体(12)と仕切板(13)とに亘るようにケーシング(11)に支持される。庫内熱交換器(29)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器である。
【0037】
(2-5)冷媒回路
図3に示すように、冷却ユニット(10A)は、冷媒回路(R)を有する。冷媒回路(R)には、冷媒が充填される。冷媒回路(R)は、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。冷媒回路(R)の冷媒は、例えば自然冷媒であるプロパンや二酸化炭素が用いられる。
【0038】
冷媒回路(R)は、主として、圧縮機(25)と、庫外熱交換器(26)と、膨張弁(31)と、庫内熱交換器(29)とを有する。
【0039】
圧縮機(25)は、吸入した冷媒を圧縮する。圧縮機(25)は、圧縮した冷媒を吐出する。圧縮機(25)の吐出部には、吐出管(32)が接続される。圧縮機(25)の吸入部には、吸入管(33)が接続される。吸入管(33)には、アキュムレータ(34)が設けられる。アキュムレータ(34)は、液冷媒を貯める容器である。
【0040】
庫外熱交換器(26)は、その内部を流れる冷媒と、庫外空気とを熱交換させる。庫外熱交換器(26)のガス端は、吐出管(32)と連通する。庫外熱交換器(26)の液端は、液管(35)を介して庫内熱交換器(29)の液端と接続する。庫外熱交換器(26)は、冷媒が空気へ放熱する放熱器(凝縮器)として機能する。
【0041】
膨張弁(31)は、液管(35)に設けられる。膨張弁(31)は、高圧冷媒を低圧冷媒まで減圧する膨張機構である。膨張弁(31)は、開度が調整可能な電子膨張弁である。膨張機構は、キャピラリーチューブや、膨張機であってもよい。液管(35)における庫外熱交換器(26)と膨張弁(31)との間には、レシーバ(36)が設けられる。レシーバ(36)は、冷媒回路(R)の余剰の冷媒を貯める容器である。
【0042】
庫内熱交換器(29)は、その内部を流れる冷媒と、庫内空気とを熱交換させる。庫内熱交換器(29)のガス端は、吸入管(33)と連通する。庫内熱交換器(29)は、冷媒が空気から吸熱する蒸発器として機能する。
【0043】
冷媒回路(R)は、バイパス管(37)を有する。バイパス管(37)の流入端は、吐出管(32)と連通し、バイパス管(37)の流出端は、液管(35)と連通する。バイパス管(37)は、圧縮機(25)から吐出された冷媒を、庫外熱交換器(26)をバイパスして庫内熱交換器(29)に送る。
【0044】
冷媒回路(R)には、第1弁(38)と第2弁(39)とが設けられる。第1弁(38)は、圧縮機(25)の吐出側と庫外熱交換器(26)のガス端との間で、且つバイパス管(37)の接続部よりも下流側に設けられる。第2弁(39)は、バイパス管(37)に設けられる。第1弁(38)および第2弁(39)は、電磁開閉弁で構成される。第1弁(38)や第2弁(39)は、開度が調節可能な流量調節弁であってもよい。
【0045】
(3)換気装置
換気装置(40)の構成について
図1、
図2、および
図4を参照しながら説明する。換気装置(40)は、コンテナ本体(2)の庫内空間(3)を換気する。本実施形態の換気装置(40)は、室外空気である庫外空気を庫内空間(3)に供給する給気の機能と、庫内空気を庫外空間(5)へ排出する排気の機能とを有する。
【0046】
図1に示すように、換気装置(40)は、ケーシング本体(12)の平板部(12a)の左寄りの部分に配置される。
図2に示すように、換気装置(40)は、ケーシング本体(12)の前面に形成される換気取付口(6)に設けられる。換気取付口(6)は、ケーシング本体(12)を前後に貫通する。換気取付口(6)は、庫外ケーシング(16)、断熱層(17)、および庫内ケーシング(18)に亘って形成される。
【0047】
換気装置(40)の内部には、給気通路(41)と排気通路(42)とが形成される。給気通路(41)および排気通路(42)は、庫内空間(3)と庫外空間(5)とを連通する。具体的には、給気通路(41)の流入端は、庫外空間(5)と連通する。給気通路(41)の流出端は、内部通路(19)における庫内ファン(30)の一次側(上流側)と連通する。排気通路(42)の流入端は、内部通路(19)における庫内ファン(30)の二次側(下流側)と連通する。排気通路(42)の流出端は、庫外空間(5)と連通する。
【0048】
換気装置(40)は、換気ファンを有する。換気ファンは、上述した庫内ファン(30)によって構成される。本実施形態の庫内ファン(30)は、換気装置(40)と冷却ユニット(10A)に兼用される。庫内ファン(30)が駆動されると、庫外空間(5)の庫外空気が給気通路(41)を通じて庫内空間(3)へ供給される。同時に、庫内空間(3)の庫内空気が排気通路(42)を通じて庫外空間(5)へ排出される。
【0049】
図2および
図4に示すように、給気通路(41)における庫外空間(5)側の端部には、給気連通口(41a)が形成される。排気通路(42)における庫外空間(5)側の端部には、排気連通口(42a)が形成される。
【0050】
図2に示すように、換気装置(40)は、モータ(43)と、モータ(43)に回転駆動される駆動軸(44)と、駆動軸(44)に連結する開閉蓋(45)とを有する。モータ(43)および駆動軸(44)は、換気装置(40)のケーシング内に収容される。モータ(43)は、ステッピングモータで構成される。駆動軸(44)は、モータ(43)に直接連結される。駆動軸(44)は、ピニオンやギアを介してモータ(43)と間接的に連結されてもよい。
【0051】
開閉蓋(45)は、駆動軸(44)の前側に設けられる。開閉蓋(45)は、駆動軸(44)の軸心を中心として回転可能に構成される。開閉蓋(45)は、その回転角度に応じて給気通路(41)および排気通路(42)を開閉する。開閉蓋(45)は、給気通路(41)および排気通路(42)の開度を調節する開度調節機構を構成する。
【0052】
図4に示すように、開閉蓋(45)には、給気開口(46)と排気開口(47)とが形成される。給気開口(46)は、給気連通口(41a)と連通可能に構成される。排気開口(47)は、排気連通口(42a)と連通可能に構成される。
【0053】
具体的には、開閉蓋(45)が
図4(A)に示す第1回転角度(閉位置)にあるときには、給気連通口(41a)の全体が開閉蓋(45)に覆われ、且つ排気連通口(42a)の全体が開閉蓋(45)に覆われる。このため、給気通路(41)および排気通路(42)が全閉状態となる。
【0054】
開閉蓋(45)が
図4(C)に示す第2回転角度(全開位置)にあるときには、給気連通口(41a)の全体が給気開口(46)と重なり、且つ排気連通口(42a)の全体が排気開口(47)と重なる。このため、給気通路(41)および排気通路(42)が全開状態となる。
【0055】
開閉蓋(45)が
図4(B)に示す第3回転角度(中間位置)にあるときには、給気連通口(41a)の一部が給気開口(46)と軸方向に重なり、且つ排気連通口(42a)の一部が排気開口(47)と軸方向に重なる。中間位置は、閉位置と全開位置との間の位置である。このため、給気通路(41)および排気通路(42)の開度は、全開状態より小さい開度となる。
【0056】
開閉蓋(45)の回転角度が、閉位置から全開位置までの間で調節されることで、給気通路(41)および排気通路(42)の開度が調節され、さらには換気装置(40)の換気量が調節される。
【0057】
(4)センサ
コンテナ用冷凍装置(10)は、複数のセンサを有する。
図2および
図5に示すように、複数のセンサは、庫内温度センサ(51)と、庫外温度センサ(52)と、酸素濃度センサ(53)を含む。
【0058】
庫内温度センサ(51)は、コンテナ(1)内の庫内空気の温度(以下、庫内温度(Ti)ともいう)を検出する。庫内温度センサ(51)は、内部通路(19)における庫内ファン(30)よりも空気流れの上流側に配置される。庫内温度センサ(51)は、内部通路(19)の流入口(20)付近に配置される。
【0059】
庫外温度センサ(52)は、コンテナ(1)外の庫外空気の温度(以下、庫外温度(To)ともいう)を検出する。庫外温度センサ(52)は、外部通路(28)における庫外熱交換器(26)よりも空気流れの上流側に配置される。庫外温度センサ(52)は、外部通路(28)の流入口付近に配置される。
【0060】
酸素濃度センサ(53)は、庫内空気中の成分の濃度を検出する空気質センサである。酸素濃度センサ(53)は、庫内空気中の酸素濃度を検出する。酸素濃度センサ(53)は、内部通路(19)における庫内ファン(30)よりも空気流れの上流側に配置される。酸素濃度センサ(53)は、内部通路(19)の流入口(20)付近に配置される。
【0061】
図3および
図5に示すように、複数のセンサは、高圧圧力センサ(54)と低圧圧力センサ(55)と、吸入温度センサ(56)を含む。高圧圧力センサ(54)は、冷媒回路(R)の高圧ライン、例えば圧縮機(25)の吐出管(32)に設けられる。高圧圧力センサ(54)は、冷媒回路(R)の高圧冷媒の圧力を検出する。低圧圧力センサ(55)は、冷媒回路(R)の低圧ライン、例えば圧縮機(25)の吸入管(33)に設けられる。低圧圧力センサ(55)は、冷媒回路(R)の低圧冷媒の圧力を検出する。吸入温度センサ(56)は、圧縮機(25)に吸入さされる冷媒の温度を検出する。
【0062】
(5)制御部および操作部
図5に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、制御部(100)を有する。制御部(100)は、冷却ユニット(10A)および換気装置(40)を制御する。制御部(100)は、マイクロプロセッサ(Micro Processor)、電気回路、電子回路を含む。マイクロプロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、通信インターフェース、アナログ入出力、および接点入出力インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラム、およびプログラムが使用するデータが記憶されている。
【0063】
制御部(100)は、冷却ユニット(10A)の各機器を制御する。具体的には、制御部(100)は、圧縮機(25)の回転数、庫内ファン(30)の回転数、庫外ファン(27)の回転数、膨張弁(31)の開度などを制御する。制御部(100)は、換気装置(40)のモータ(43)を制御する。制御部(100)は、換気装置(40)の給気通路(41)や排気通路(42)の開度を調節し、さらには換気装置(40)の換気量を調節する。
【0064】
図5に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、操作部(110)を有する。操作部(110)は、例えばコンテナ用冷凍装置(10)に設けられるタッチパネル、リモートコントローラ、スイッチなどで構成される。操作部(110)は、ネットワークを介してコンテナ用冷凍装置(10)と接続する通信端末であってもよい。ユーザが操作部(110)を操作することで、コンテナ用冷凍装置(10)の運転モードを切り換えたり、各運転モードの設定値を変更したりできる。設定値は、庫内空間(3)の目標温度を含む。
【0065】
(6)運転動作
コンテナ用冷凍装置(10)は、冷却運転とデフロスト運転とを行う。冷却運転は、ユーザなどが操作部(110)を操作するにより実行される運転モードである。
【0066】
冷却運転時には、圧縮機(25)で圧縮された冷媒が、庫外熱交換器(26)で凝縮し、膨張弁(31)で減圧され、庫内熱交換器(29)で蒸発する冷凍サイクルが行われる。庫内空間(3)から内部通路(19)に流出した空気は、蒸発器として機能する庫内熱交換器(29)で冷却される。冷却された空気は、庫内空間(3)に送られる。
【0067】
制御部(100)は、冷却運転において、原則として、庫内空間(3)の庫内空気の温度と目標温度との差に基づいて圧縮機(25)の回転数を制御する。制御部(100)は、冷却運転において、原則として、冷媒回路(R)の吸入過熱度に基づいて膨張弁(31)の開度を制御する。吸入過熱度は、低圧圧力センサ(55)で検出される低圧圧力に相当する飽和温度と、吸入温度センサ(56)で検出される冷媒の温度との差により求められる。
【0068】
デフロスト運転時には、圧縮機(25)で圧縮された冷媒が、バイパス管(37)を流れて、庫内熱交換器(29)を流れる。庫内熱交換器(29)の表面の霜は、庫内熱交換器(29)の内部を流れる冷媒の熱によって融ける。
【0069】
(7)冷却運転時の換気動作に伴う制御
(7-1)概要
上述した冷却運転では、蒸発器である庫内熱交換器(29)によってコンテナ(1)の庫内が冷却される。冷却運転において、換気装置(40)が庫外空気を庫内に供給する換気を行う換気動作を行うと、庫外空気からの入熱の影響により、庫内空気の温度が変化してしまう。その結果、対象物の温度を所望の温度に維持することができないという問題がある。そこで、本実施形態のコンテナ用冷凍装置(10)は、換気動作に伴う換気冷却負荷に基づき冷却ユニット(10A)の冷却能力を調節する。具体的には、制御部(100)は、庫内冷却負荷と、換気冷却負荷とに基づいて冷却能力を調節する。ここで、庫内冷却負荷は、現在の庫内の冷却負荷である。換気冷却負荷は、換気装置(40)の動作に伴い変化する冷却負荷である。換気装置(40)の換気量が増大すれば換気冷却負荷は増大し、換気装置(40)の換気量が減少すれば換気冷却負荷は減少する。
【0070】
(7-2)各モードの切り換え
冷却運転の各モードの切り換えについて説明する。ユーザは、操作部(110)を操作することにより、通常モード、第1モードである換気負荷抑制モード、および第2モードである冷却優先モードを選択できる。通常モードは、庫内の冷却よりも換気を優先するモードである。換気負荷抑制モードは、換気冷却負荷の変化を抑制するモードである。冷却優先モードは換気よりも庫内の冷却を優先するモードである。
【0071】
図6に示すように、ステップS11において、冷却運転の開始指令が制御部(100)に入力されると、ステップS12において、冷却運転が開始される。ステップS13において、操作部(110)の操作により換気負荷抑制モードが選択されている場合、操作部(110)から制御部(100)に換気負荷抑制モードを実行するための第1指令が出力される。第1指令が入力された制御部(100)は、ステップS17の換気負荷抑制モードを実行させる。
【0072】
ステップS14において、操作部(110)の操作により冷却優先モードが選択されている場合、操作部(110)から制御部(100)に第2指令が出力される。第2指令が入力された制御部(100)は、ステップS16の冷却優先モードを実行させる。ステップS13において換気負荷抑制モードが選択されず、且つステップS14において冷却優先モードが選択されていない場合、操作部(110)から制御部(100)に通常モードを実行するための第3指令が出力される。第3指令が入力された制御部(100)は、ステップS15の通常モードを実行させる。
【0073】
ステップS18において、冷却運転の終了指令が制御部(100)に入力されると、ステップS19において、冷却運転が終了する。
【0074】
(7-3)通常モード
通常モードについて、
図7を参照しながら説明する。
【0075】
通常モードが開始すると、ステップS21において、制御部(100)は、現在の庫内空気の酸素濃度(Ci)と、目標酸素濃度(Ct)とに基づき、換気装置(40)の目標換気量(Vt)(第1換気量)を決定する。ここで、現在の庫内空気の酸素濃度(Ci)は、酸素濃度センサ(53)によって検出される。目標酸素濃度(Ct)は、コンテナ(1)に貯蔵される対象物の種類や保存期間などに応じて、ユーザが操作部(110)の操作により設定される。現在の酸素濃度(Co)が目標酸素濃度(Ct)よりも小さい場合、換気装置(40)の目標換気量(Vt)が大きくなる。現在の酸素濃度(Ci)が目標酸素濃度(Ct)より大きい場合、目標換気量(Vt)はゼロになる。
【0076】
制御部(100)は、以下の(1)式を用いて目標換気量(Vt)を決定する。
【0077】
Vt=(Ct-Ci)×A/(t1×Co)・・・(1)式
ここで、Ctは目標酸素濃度[%]であり、Ciは現在の庫内空気の酸素濃度[%]であり、Aはコンテナ(1)内の庫内空間(3)の容積であり、t1は酸素濃度を目標酸素濃度に収束させるための換気動作の実行時間[h]であり、Coは庫外空気の酸素濃度[%]である。庫内空間(3)の容積(A)は、ユーザ等が操作部(110)を操作することにより設定される。庫外空気の酸素濃度(Co)は、例えば21%に設定される。
【0078】
次いで、ステップS22では、制御部(100)は、ステップS21で求めた目標換気量(Vt)に対応する換気冷却負荷(L1)を予測する。本実施形態の換気冷却負荷(L1)は、換気装置(40)に換気動作によって庫内空間(3)に付与される顕熱負荷に相当する。制御部(100)は、以下の(2)式を用いて換気冷却負荷(L1)を算出する。
【0079】
L1=α×Vt×(To-Ti)・・・(2)式
ここで、L1は換気冷却負荷 [W]であり、本例では換気に伴う顕熱負荷(Ls)に相当する。Vtは、換気装置(40)の目標換気量[m3/h]であり、αは、空気の比熱および密度を考慮した係数(例えば0.33)である。Toは庫外空気の温度(以下、庫外温度ともいう)[℃]であり、Tiは庫内空気の温度(以下、庫内温度ともいう)[℃]である。庫外温度(To)は、庫外温度センサ(52)によって検出される。庫内温度(Ti)は、庫内温度センサ(51)によって検出される。
【0080】
ステップS23では、制御部(100)は、庫内冷却負荷(L2)を推定する。庫内冷却負荷(L2)[W]は、現在の冷却ユニット(10A)の冷却能力に相当する。庫内冷却負荷(L2)は、現在の圧縮機(25)の回転数と、冷媒回路(R)の高圧圧力と、冷媒回路(R)の低圧圧力とによって求められる。ここで、現在の圧縮機(25)の回転数は、庫内温度(Ti)と、庫内空間(3)の目標温度(Ts)との温度差によって決定される。温度差が大きくなると、庫内熱交換器(29)の目標蒸発温度が低くなり、ひいては圧縮機(25)の回転数が大きくなる。温度差が小さくなると、庫内熱交換器(29)の目標蒸発温度が高くなり、ひいては圧縮機(25)の回転数が小さくなる。高圧圧力は、高圧圧力センサ(54)によって検出される。低圧圧力は、低圧圧力センサ(55)によって検出される。
【0081】
制御部(100)は、現在の圧縮機(25)の回転数と、高圧圧力と、低圧圧力とに基づいて、圧縮機(25)の性能特性から庫内冷却負荷(L2)を推定する。制御部(100)は、関数やテーブルを用いて庫内冷却負荷(L2)を推定してもよい。
【0082】
なお、制御部(100)は、ステップS23の処理を、ステップS22の処理よりも先に実行してもよい。
【0083】
ステップS24では、制御部(100)は、ステップS22で決定した換気冷却負荷(L1)と、ステップS23で推定した庫内冷却負荷(L2)とに基づいて、冷却ユニット(10A)の目標冷却能力(第1冷却能力)を決定する。ステップS24の処理は第1制御に対応する。具体的には、制御部(100)は、以下の(3)式を用いて圧縮機(25)の目標回転数(Nt)[rps]を決定する。
【0084】
Nt=Nc×(L1+L2)/L2・・・(3)
ここで、Ncは、圧縮機(25)の現在の回転数[rps]である。
【0085】
(3)式によると、換気装置(40)の目標換気量(Vt)、さらには換気冷却負荷(L1)が増大すれば、圧縮機(25)の目標回転数(Nt)が大きくなる。換気装置(40)の目標換気量(Vt)、さらには換気冷却負荷(L1)が小さくなれば、圧縮機(25)の目標回転数(Nt)が小さくなる。
【0086】
次いで、ステップS25では、換気装置(40)の現在の換気量が、目標換気量(Vt)に近づくように換気装置(40)を制御する。ステップS25の処理は第2制御に対応する。目標換気量(Vt)が大きければ、換気装置(40)の換気口(VO)の開度が大きくなり、換気量が増大する。目標換気量(Vt)が小さければ、換気装置(40)の換気口(VO)の開度が小さくなり、換気量が減少する。目標換気量(Vt)がゼロであると、換気装置(40)の換気口(VO)が全閉状態となり、換気量がゼロになる。
【0087】
ステップS26では、制御部(100)は、冷却ユニット(10A)の冷却能力が第1冷却能力に近づくように冷却ユニット(10A)を制御する。ステップS26の処理は第3制御に対応する。第1冷却能力は、庫内冷却負荷と換気冷却負荷との和に相当する。具体的には、制御部(100)は、圧縮機(25)の回転数が、ステップS25で決定した目標回転数(Nt)に近づくように圧縮機(25)を制御する。
【0088】
このように、本実施形態の制御部(100)は、現在の庫内冷却負荷(L2)に加えて、換気冷却負荷(L1)に基づき圧縮機(25)の回転数、ひいては冷却ユニット(10A)の冷却能力を決定する。言い換えると、制御部(100)は、換気装置(40)の目標換気量(Vt)に対応する換気冷却負荷(L1)を制御指標として、フィードフォワード制御を行う。このため、換気装置(40)の換気量が目標換気量(Vt)に至るタイミングにおいて、冷却ユニット(10A)の冷却能力が、換気冷却負荷(L1)を処理可能な冷却能力に近づく。その結果、換気装置(40)の換気動作に伴い、庫内空間(3)の庫内空気の温度が大きく変化してしまうことを抑制できる。その結果、対象物の品温の管理が損なわれることを抑制できる。
【0089】
制御部(100)は、ステップS25の第2制御とステップS26の第3制御とを同時に開始してもよいし、ステップS25の第2制御よりも先にステップS26の第3制御を開始してもよい。
【0090】
(7-4)換気負荷抑制モード
上述のように通常モードでは、冷却ユニット(10A)の冷却能力が、換気冷却負荷に基づいて決定される。一方、通常モードにおいて、換気装置(40)の換気量が大きく変化すると、冷却ユニット(10A)の冷却能力がこの変化に十分に追従できない可能性がある。具体的には、通常モードにおいて、(3)式で求まる圧縮機(25)の目標回転数と、現在の圧縮機(25)の回転数との差が大きい場合、ステップS26の第3制御において、圧縮機(25)の回転数の変化速度が大きくなる。ここで、変化速度は、所定の期間における圧縮機の変化量である。圧縮機(25)の回転数の変化速度が、所定の制限値を越える場合、圧縮機(25)を十分に制御でなかったり、圧縮機(25)や他の機器の故障を招いたりする可能性がある。そこで、換気負荷抑制モードでは、換気冷却負荷の変動を抑制することで、このような不具合を解消する。
【0091】
換気負荷抑制モードについて、
図8を参照しながら詳細に説明する。
【0092】
換気負荷抑制モードが開始すると、ステップS31~ステップS34の処理が実行される。これらの処理は、通常モードのステップS21~ステップS24の処理と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0093】
次いで、ステップS35では、制御部(100)は、圧縮機(25)の回転数と、圧縮機(25)の目標回転数との差の絶対値が、第1値より大きいか否かを判定する。この絶対値は、冷却ユニット(10A)の冷却能力の変化速度を示す指標である。第1値は、圧縮機(25)の回転数の変化速度の制限値である。
【0094】
目標回転数(Nt)と現在の回転数(Nc)との差の絶対値が第1値より小さい場合、処理はステップS36~S37の通常動作に移行する。この場合、制御部(100)は、換気装置(40)の換気量を制限しない。ステップS36において、制御部(100)は、換気量が目標換気量(Vt)に近づくように換気装置(40)を制御する。ステップS37において、制御部(100)は、冷却ユニット(10A)の冷却能力が目標冷却能力に近づくように、具体的には、圧縮機(25)の回転数が目標回転数(Nt)に近づくように、冷却ユニット(10A)を制御する。通常動作では、圧縮機(25)の回転数の変化速度が第1値より小さいので、上述した不具合を招くことはない。
【0095】
目標回転数(Nt)と現在の回転数(Nc)の差の絶対値が第1値より大きい場合、処理はステップS41~S45の第1制限動作に移行する。
【0096】
ステップS41では、制御部(100)は、制限換気量(Vl)を決定する。制限換気量(Vl)は、圧縮機(25)の回転数(Nc)の変化速度(上述した絶対値)が第1値を越えないようにするための換気量である。制御部(100)は、ステップS41において、以下の手順で制限換気量(Vl)を決定する。
【0097】
ステップS41では、まず、制御部(100)は、(4)式を用いて冷却能力制限変化量(ΔW)を算出する。
【0098】
冷却能力制限変化量(ΔW)=R2/Rc×L2-L2・・・(4)式
冷却能力制限変化量(ΔW)は、圧縮機(25)の回転数を制限幅(ΔR1)[rps]で制限させた場合に得られる冷却能力の変化量である。R2は、現在の圧縮機(25)の回転数を、動作時間(t2)において制限幅(ΔR1)で変化させた後の制限回転数[rps]である。制限幅(ΔR1)は、動作時間(t2)において制御可能な圧縮機(25)の回転数の変動幅[rps]である。ΔR1は例えば5[rps]、動作時間(t2)は例えば20秒に設定される。現在の換気量が目標換気量(Vt)よりも小さい場合、換気装置(40)の換気量は増大変化するので、圧縮機(25)の回転数を増大させる必要がある。このため、現在の換気量が目標換気量(Vt)よりも小さい場合、制限回転数(R2)は、現在の圧縮機(25)の回転数(Nc)にΔR1を加えた値になる。現在の換気量が目標換気量(Vt)よりも大きい場合、換気装置(40)の換気量は減少変化するので、圧縮機(25)の回転数(Nc)を減少させる必要がある。このため、現在の換気量が目標換気量(Vt)よりも大きい場合、制限回転数(R2)は、圧縮機(25)の現 在の回転数(Nc)から制限幅(ΔR1)を引いた値になる。
【0099】
次いで、ステップS41では、制御部(100)は、(5)式を用いて制限換気量(Vl)を決定する。
【0100】
制限換気量(Vl)=Vc+ΔW/L1’・・・(5)
ここで、Vcは、換気装置(40)の現在の換気量[m3/h]であり、ΔWは、(4)式で求めた冷却能力制限変化量[W]である。L1’は、換気量1m3あたりの換気冷却負荷であり、換気冷却負荷(L1)を目標換気量(Vt)で除した値である。
【0101】
ステップS42では、制御部(100)は、換気装置(40)の換気量が制限換気量(Vl)に近づくように換気装置(40)を制御する。
【0102】
ステップS43では、制御部(100)は、冷却ユニット(10A)の冷却能力が制限冷却能力に近づくように冷却ユニット(10A)を制御する。ここで、制限冷却能力は、冷却ユニット(10A)の冷却能力の変動幅を第1値以下に制限するための冷却能力の目標値である。具体的には、ステップS43では、制御部(100)は、圧縮機(25)の回転数が上述した制限回転数(R2)に近づくように、冷却ユニット(10A)を制御する。
【0103】
次いで、換気装置(40)の換気量が目標換気量(Vt)に至っておらず(ステップS44のNO)、且つ動作時間(t2)が経過すると(ステップS45のYES)、制御部(100)は、ステップS41~43の処理を繰り返す。ステップS44において、換気装置(40)の換気量が目標換気量(Vt)に至ると、第1制限動作が終了する。
【0104】
このように、第1制限動作においては、制御部(100)は、換気装置(40)の制限換気量(Vl)に対応する換気冷却負荷を制御指標として、フィードフォワード制御を行う。このため、換気装置(40)の換気量が制限換気量(Vl)に至るタイミングにおいて、冷却ユニット(10A)の冷却能力が、換気冷却負荷(L1)を処理可能な冷却能力に近づく。その結果、換気装置(40)の換気動作に伴い、庫内空間(3)の庫内空気の温度が大きく変化してしまうことを抑制できる。その結果、対象物の周囲温度を十分に管理できる。
【0105】
加えて、第1制限動作では、冷却ユニット(10A)の冷却能力の変化速度が第1値以下に制限される。具体的には、動作時間(t2)において、圧縮機(25)の回転数の変動幅が制限値(ΔR1)に制限される。このため、圧縮機(25)の回転数の変動幅が過剰に大きくなることに起因して、圧縮機(25)を十分に制御でなかったり圧縮機(25)や他の機器の故障を招いたりする不具合を回避できる。
【0106】
(7-5)冷却優先モード
上述のように通常モードでは、冷却ユニット(10A)の冷却能力が、換気冷却負荷に基づいて決定される。一方、通常モードにおいて、換気装置(40)の換気量が大きく変化すると、冷却ユニット(10A)の冷却能力が過剰に大きくなり、庫内を十分に冷却できなくなる可能性がある。この場合、庫内空気の温度が上昇してしまい、対象物の品温の管理が損なわれてしまう可能性がある。そこで冷却優先モードでは、冷却ユニット(10A)の冷却能力が所定値より大きくなる場合、制御部(100)は、換気装置(40)の換気量を制限する。
【0107】
冷却優先モードについて、
図9を参照しながら説明する。
【0108】
冷却優先モードでは、基本的には、通常運転モードと同様の処理が行われる。制御部(100)は、ステップS51~ステップ56において、ステップS21~ステップS26と同じ処理を行う。
【0109】
ここで、ステップS57において、冷却ユニット(10A)の冷却能力を示す指標が所定値より大きい場合、ステップS58において、制御部(100)は換気装置(40)の換気量を制限する。具体的には、ステップS57において、圧縮機(25)の回転数が第2値より大きい場合、ステップS58において、制御部(100)は、換気装置(40)の換気量が目標換気量(Vt)よりも小さい所定値に近づくように換気装置(40)を制御する。制御部(100)は、ステップS58において、換気装置(40)の換気量をゼロとしてもよい。その結果、庫内空間(3)では、換気動作に伴う室外空気の入熱を抑制できるので、庫内空間(3)の温度上昇を抑制できる。その後、庫内温度(Ti)と目標温度(Ts)との差が小さくなると、圧縮機(25)の回転数が小さくなる。
【0110】
ステップS59において、冷却ユニット(10A)の冷却能力を示す指標が所定値より小さい場合、ステップS60において、制御部(100)は、換気装置(40)の換気量の制限が解除する。具体的には、圧縮機(25)の回転数が第3値より小さい場合、制御部(100)は、換気装置(40)の換気量の制限が解除する。したがって、その後には、ステップS51~S56の処理が再び実行される。つまり、制御部(100)は、換気装置(40)の換気量が目標換気量に近づくように換気装置(40)を制御する。
【0111】
(8)実施形態の効果
本実施形態では、制御部(100)は、換気装置(40) の換気動作に伴う冷却負荷である換気冷却負荷に基づいて、冷却ユニット(10A)の冷却能力を調整する。
【0112】
このため、換気装置(40)の換気動作により換気量が増大する、あるいは減少することに起因して、庫内空気の温度が変化してしまうことを抑制できる。その結果、庫内空間(3)の周囲の温度を目標温度に維持し易くなるので、対象物を十分に管理できる。庫内空気の温度変化に起因して圧縮機(25)が発停する頻度を減らすことができるので、圧縮機(25)の寿命を延ばすことができる。
【0113】
本実施形態では、制御部(100)は、換気装置(40)の換気量を第1換気量(目標換気量)に近づけるように換気装置(40)を制御し、庫内の冷却負荷である庫内冷却負荷と、第1換気量に対応する換気冷却負荷とに基づいて、冷却ユニット(10A)の冷却能力を調整する。
【0114】
このため、換気量が目標換気量に収束するときには、冷却ユニット(10A)の冷却能力は、目標換気量に対応する換気冷却負荷を処理可能な冷却能力に至る。その結果、換気動作に伴って、庫内空気の温度が変化することを抑制できる。
【0115】
本実施形態では、制御部(100)は、庫内冷却負荷と、第1換気量(目標換気量)に対応する換気冷却負荷とに基づいて冷却ユニット(10A)の第1冷却能力(目標冷却能力)を決定する第1制御と(例えばステップS24)と、第1制御の後、換気装置(40)の換気量を第1換気量(目標能力)に近づける第2制御(例えばステップS25)と、第1制御の後、冷却ユニット(10A)の冷却能力を第1冷却能力(目標冷却能力)に近づける第3制御(例えばステップS26(とを実行する。
【0116】
これにより、冷却ユニット(10A)の冷却能力が目標冷却能力に至るタイミングと、換気装置(40)の換気量が目標換気量に至るタイミングとを近づけることができる。その結果、換気動作に伴って、庫内空気の温度が変化することを抑制できる。
【0117】
本実施形態では、制御部(100)は、第1モードである換気負荷抑制モードにおいて、換気装置(40)の換気動作に伴う冷却ユニット(10A)の冷却能力の変化速度を示す指標が所定値以下となるように、換気装置(40)の換気量の変化速度を制限する第1制限動作を行う。具体的には、第1制限動作では、圧縮機(25)の回転数の変化速度が所定値以下になるように、換気装置(40)の換気量の経変化速度を制限する。
【0118】
これにより、圧縮機(25)の回転数の変動幅が制限値を越えてしまうことを抑制できるので、圧縮機(25)を十分に制御でなかったり、圧縮機(25)や他の機器の故障を招いたりすることを抑制できる。その結果、コンテナ用冷凍装置(10)の信頼性を確保できる。
【0119】
本実施形態では、制御部(100)は、操作部(110)の操作により第1モードが選択されている場合に、第1制限動作を実行する。
【0120】
このため、ユーザによる操作部(110)の操作に応じて、換気装置(40)の換気を優先するか、換気装置(40)の冷却負荷の変化を抑制することを優先するかを、任意に選択できる。
【0121】
本実施形態では、制御部(100)は、前記冷却ユニット(10A)の冷却能力を示す指標が所定値より大きい場合に、前記換気装置(40) の換気量を制限する第2制限動作を行う。具体的には、制御部(100)は、圧縮機(25)の回転数が所定値より大きい場合に、換気装置(40)の換気量を制限する第2制限動作を実行する。
【0122】
このため、換気装置(40)の換気動作に伴い圧縮機(25)の回転数が過剰に高くなり、庫内を十分に冷却できない条件下において、換気冷却負荷を低減できる。その結果、換気動作に伴い過庫内空気の温度が上昇してしまうことを抑制できる。
【0123】
(9)変形例
上記実施形態は、以下の変形例の構成としてもよい。以下では、基本的には、上記実施形態と異なる点について説明する。
【0124】
(9-1)変形例1
変形例1の制御部(100)は、通常モードのステップS26の第1制御において、圧縮機(25)の目標回転数(Nt)だけでなく、膨張弁(31)の目標開度(Dt)を決定する。を調整してもよい。具体的には、制御部(100)は、以下の(5)式を用いて膨張弁(31)の目標開度(Dt)を決定する。
【0125】
Dt=Dc×Nt/Nc・・・(6)式
ここでDtは、膨張弁(31)の目標開度[pls]であり、Ntは上述したようにステップS24の第1制御で決定した圧縮機(25)の目標回転数[rps]であり、圧縮機(25)の現在の回転数[rps]である。
【0126】
変形例1の制御部(100)は、ステップS26の第3制御において、圧縮機(25)の回転数(Nc)を目標回転数(Nt)に近づけるととともに膨張弁(31)の開度を目標開度(Dt)に近づけるように膨張弁(31)を制御する。
【0127】
これにより、圧縮機(25)の回転数の制御に追従するように膨張弁(31)の開度が調節されるので、換気動作に起因して庫内熱交換器(29)の蒸発温度が変化してしまうことを抑制できる。その結果、換気動作に起因して庫内空気の温度が変化することを抑制できる。
【0128】
変形例1の膨張弁の制御を、換気負荷抑制モードや、冷却優先モードにおいて適用してもよい。
【0129】
(9-2)変形例2
変形例2の制御部(100)は、ステップS22において換気冷却負荷を推定する際、顕熱負荷(Ls)と顕熱負荷(Ls)との和を換気冷却負荷(L1)とする。ここで、制御部(100)は、潜熱負荷(LL)を以下の(7)式を用いて求める。
【0130】
LL=β×Vt×(ho-hi)・・・(7)式
ここで、LLは換気動作により庫外空気から庫内空間(3)に付与される潜熱負荷 [W]である。Vtは、換気装置(40)の目標換気量[m3/h]であり、βは、水の蒸発潜熱および空気の密度を考慮した係数(例えば830)である。hoは庫外空気の絶対湿度[kg/kg(DA)]であり、hiは庫内空気の絶対湿度[kg/kg(DA)]である。庫外空気の絶対湿度(Ro)は、庫外に配置される庫外湿度センサによって検出される。庫内空気の絶対湿度(Ri)は、庫内に配置される庫内湿度センサによって検出される。
【0131】
このようにして換気冷却負荷を求めることで、潜熱負荷に応じた目標冷却能力を決定することができる。その結果、換気動作に伴う潜熱負荷の影響により、庫内空気の温度が変化してしまうことを抑制できる。
【0132】
変形例2の制御を、換気負荷抑制モードや、冷却優先モードにおいて適用してもよい。
【0133】
(10)その他の実施形態
上記実施形態や各変形例においては、以下のような構成としてもよい。
【0134】
コンテナ(1)は、海上輸送用でなくてもよく、トレーラなどの車両や鉄道によって搬送される陸上輸送用であってもよい。
【0135】
換気装置(40)は、庫外空間(5)の庫外空気を庫内空間(3)に供給する給気の機能のみを有し、排気の機能は有していなくてもよい。言い換えると、換気装置(40)は、給気通路(41)のみを有し、排気はコンテナ本体(2)に設けられる排気口から自然に行うものであってもよい。
【0136】
換気装置(40)の換気ファンは、庫内ファンとは別の換気専用のファンであってもよい。
【0137】
給気通路(41)や排気通路(42)の開度を調節する開度調節機構は、必ずしも開閉蓋(45)でなくてもよい。開度調節機構は、給気通路(41)や排気通路(42)に設けられるダンパや弁機構であってもよい。
【0138】
制御部(100)は、二酸化炭素濃度センサで検出した二酸化炭素濃度と、目標二酸化炭素濃度に基づき換気装置(40)の目標換気量を決定してもよい。
【0139】
コンテナ用冷凍装置(10)は、庫内空間(3)の空気の酸素、二酸化炭素、窒素などの組成を調整する空気組成調整装置を有してもよい。空気組成調整装置は、例えばPSA(Pressure Swing Adsorption)や、ガス分離膜を用いて庫内空間(3)の空気を調整する。
【0140】
制御部(100)は、換気装置(40) の目標換気量に対応する換気冷却負荷ではなく、換気装置(40)の現在の換気量に対応する換気冷却負荷に基づいて冷却ユニット(10A)の冷却能力を調整してもよい。
【0141】
冷却ユニット(10A)の冷却能力を調節するための制御パラメータとしては、圧縮機(25)の回転数ではなく、圧縮機(25)の運転周波数、庫内熱交換器(29)の蒸発温度、庫内ファン(30)の風量、庫外ファン(27)の風量などがある。
【0142】
第1制限動作の判定を行うための冷却能力の変化速度を示す指標としては、圧縮機(25)の回転数だけではなく、圧縮機(25)の運転周波数、庫内熱交換器(29)の蒸発温度、庫内熱交換器(29)の蒸発圧力などがある。
【0143】
第2制限動作において、制御部(100)は、圧縮機(25)の回転数だけでなく、圧縮機(25)の運転周波数、庫内熱交換器(29)の蒸発温度、庫内熱交換器(29)の蒸発圧力に基づいて換気装置(40)を制御してもよい。
【0144】
第2制限動作の判定を行うための冷却ユニット(10A)の冷却能力を示す指標としては、圧縮機(25)の回転数だけではなく、圧縮機(25)の運転周波数、庫内熱交換器(29)の蒸発温度、庫内熱交換器(29)の蒸発圧力などがある。
【0145】
(11)参考形態
参考形態では、制御部(100)は、換気冷却負荷に基づかず、庫内の冷却負荷に基づいて冷却ユニット(10A)の冷却能力を調整する。庫内の冷却負荷は、庫内温度と目標温度である。制御部(100)は、換気装置(40)が換気動作と、冷却ユニット(10A)が庫内を冷却する冷却動作とを同時に行う運転において、冷却ユニット(10A)の冷却能力に基づいて換気装置(40)を制御する。具体的には、制御部(100)は、冷却ユニット(10A)の冷却能力を示す指標が所定値より大きい場合に、換気装置(40) の換気量を制限する。これにより、換気動作に伴い冷却ユニット(10A)の冷却能力が過剰となる場合に、庫外空気の導入に起因する冷却負荷を軽減できる。その結果、庫内空気の温度が変動することを抑制できる。
【0146】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0147】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0148】
以上に説明したように、本開示は、コンテナ用冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0149】
1 コンテナ
10 コンテナ用冷凍装置
10A 冷却ユニット
25 圧縮機
26 庫外熱交換器(放熱器)
29 庫内熱交換器(蒸発器)
31 膨張弁(膨張機構)
40 換気装置
100 制御部
110 操作部
L1 換気冷却負荷
L2 庫内冷却負荷