(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171725
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】動力伝達装置製造方法
(51)【国際特許分類】
F16H 57/037 20120101AFI20241205BHJP
F16H 57/021 20120101ALI20241205BHJP
F16H 57/028 20120101ALI20241205BHJP
F16H 57/03 20120101ALI20241205BHJP
F16C 35/067 20060101ALI20241205BHJP
F16C 25/08 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F16H57/037
F16H57/021
F16H57/028
F16H57/03
F16C35/067
F16C25/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088891
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅井 尭之
(72)【発明者】
【氏名】山崎 洋一
(72)【発明者】
【氏名】山田 和弘
【テーマコード(参考)】
3J012
3J063
3J117
【Fターム(参考)】
3J012AB02
3J012AB06
3J012AB07
3J012BB03
3J012CB10
3J012DB20
3J012FB12
3J063AA02
3J063AB13
3J063AC11
3J063BA01
3J063BA04
3J063BB11
3J063BB27
3J063BB48
3J063CA05
3J063CD02
3J063CD09
3J063CD42
3J063CD43
3J063XA05
3J117AA01
3J117AA05
3J117DA01
3J117DB10
(57)【要約】
【課題】動力伝達装置のノイズの発生等を抑制する。
【解決手段】デフケース3Aを転がり軸受10を介してデフキャリア1の内部に回転可能に支持する動力伝達装置100を製造する動力伝達装置製造方法において、軸受け穴1Aの穴径の寸法公差を第1公差としてデフキャリア1を作成し、第1公差の下限許容値から上限許容までの範囲を複数nに等分して下限許容値側から第1範囲、・・・第n範囲とし、外形寸法の寸法公差をそれぞれ第1範囲、・・・第n範囲とするn種類の転がり軸受10を作成し、作成されたデフキャリア1を、穴径が第1範囲のものを第1種キャリア、・・・第n範囲のものを第n種キャリアとして分類し、第1種キャリアには、外形寸法の寸法公差が第1範囲の第1種転がり軸受を、・・・第n種キャリアには、外形寸法の寸法公差が第n範囲の第n種転がり軸受を、それぞれ隙間嵌めにより固定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源から入力される駆動力を左右の駆動輪に分配する差動装置を収容したデフケースを、転がり軸受を介してデフキャリアの内部に回転可能に支持する動力伝達装置を製造する動力伝達装置製造方法において、
前記転がり軸受を配置する軸受け穴の穴径の寸法公差を第1公差として前記デフキャリアを作成し、
前記第1公差の下限許容値から上限許容までの範囲を複数nに等分して下限許容値側から第1範囲、第2範囲、・・・第n範囲とし、外形寸法の寸法公差をそれぞれ前記第1範囲、前記第2範囲、・・・前記第n範囲とするn種類の前記転がり軸受を作成し、
作成された前記デフキャリアを、前記穴径が前記第1範囲のものを第1種キャリア、前記第2範囲のものを第2種キャリア、・・・前記第n範囲のものを第n種キャリアとして分類し、
前記第1種キャリアには、外形寸法の寸法公差が前記第1範囲の第1種転がり軸受を、前記第2種キャリアには、外形寸法の寸法公差が前記第2範囲の第2種転がり軸受を、・・・前記第n種キャリアには、外形寸法の寸法公差が前記第n範囲の第n種転がり軸受を、それぞれ隙間嵌めにより固定することを特徴とする、動力伝達装置製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の動力伝達装置製造方法において、
前記nが2である、動力伝達装置製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の動力伝達装置製造方法において、
前記第1種キャリアと前記第1種転がり軸受、前記第2種キャリアと前記第2種転がり軸受、・・・及び前記第n種キャリアと前記第n種転がり軸受のいずれの組み合わせも、前記軸受け穴と前記転がり軸受との間に所定の隙間寸法が設定されている、動力伝達装置製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の動力伝達装置製造方法において、
前記転がり軸受に、前記寸法公差がいずれの範囲に属するのかを示すマーキングを施す、動力伝達装置製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の動力伝達装置製造方法において、
前記デフキャリアを分類したら、前記第1種キャリア~前記第n種キャリアのいずれなのかを示すマーキングを施す、動力伝達装置製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の動力伝達装置製造方法において、
前記デフキャリアはアルミ系材料により形成されている、動力伝達装置製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の動力伝達装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の動力伝達装置として、差動装置を収容したデフケースをテーパローラベアリングまたはボールベアリング等の転がり軸受を介してデフキャリアの内部に回転可能に支持したものが知られている。
【0003】
ところで、軽量化の観点等から、デフキャリアの材料にはアルミニウム系材料が用いられることが多い。一方、転がり軸受のアウターレースには鉄系材料が用いられることが多い。このため、デフキャリアはアウターレースに比べて熱膨張率が大きくなり、高温時にはデフキャリアのケースに圧入された転がり軸受に対する締め付け力が低下し、ノイズの発生や転がり軸受の寿命の低下を招くという問題がある。
【0004】
この問題を解消するための構成として、特許文献1には、アウターレースが圧入される筒状部に、鉄系材料からなる外側環状部材を外嵌する構成が開示されている。当該構成によれば、熱膨張率が比較的大きなアルミニウム系の材料からなる筒状部が、熱膨張率が比較的小さな鉄系材料からなる外側環状部材によって外側から締め付けられているから、温度上昇に伴う筒状部の熱膨張を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記文献の構成では外側環状部材という一般的には用いられない部品が必要となり、これを組み付ける作業も必要になる。また、転がり軸受のアウターレースを圧入する構成には有効であるが、圧入しない構成では効果が望めない。
【0007】
そこで本発明は、部品点数を増やすことなく、かつアウターレースを圧入しない構成でも、ノイズの発生や転がり軸受の寿命の低下を抑制し得る動力伝達装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、駆動源から入力される駆動力を左右の駆動輪に分配する差動装置を収容したデフケースを、転がり軸受を介してデフキャリアの内部に回転可能に支持する動力伝達装置を製造する動力伝達装置製造方法が提供される。この方法は、転がり軸受を配置する軸受け穴の穴径の寸法公差を第1公差としてデフキャリアを作成し、第1公差の下限許容値から上限許容までの範囲を複数nに等分して下限許容値側から第1範囲、第2範囲、・・・第n範囲とし、外形寸法の寸法公差をそれぞれ第1範囲、第2範囲、・・・第n範囲とするn種類の転がり軸受を作成し、作成されたデフキャリアを、穴径が第1範囲のものを第1種キャリア、第2範囲のものを第2種キャリア、・・・第n範囲のものを第n種キャリアとして分類し、第1種キャリアには、外形寸法の寸法公差が第1範囲の第1種転がり軸受を、第2種キャリアには、外形寸法の寸法公差が第2範囲の第2種転がり軸受を、・・・第n種キャリアには、外形寸法の寸法公差が第n範囲の第n種転がり軸受を、それぞれ隙間嵌めにより固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記の各態様によれば、ノイズの発生や転がり軸受の寿命の低下を抑制し得る動力伝達装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る製造方法を適用する動力伝達装置の断面図である。
【
図3】
図3は、動力伝達装置の製造工程の概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る製造方法で製造する際の管理寸法を示す図である。
【
図5】
図5は、比較例に係る製造方法で製造する際の管理寸法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る製造方法を適用するファイナルドライブ(動力伝達装置)100の断面図である。このファイナルドライブ100は、図示しない内燃エンジン等の駆動源が車両前部に配置された後輪駆動車に搭載され、内燃エンジンの駆動力を図示しない左右の後輪に分配するものである。
【0013】
ファイナルドライブ100は、ドライブピニオンシャフト2と、差動装置3と、これらを収容するデフキャリア1と、を備える。デフキャリア1はアルミ系材料により形成されている。
【0014】
ドライブピニオンシャフト2は、テーパベアリング5、6を介してデフキャリア1に回転自在に支持されており、駆動源の駆動軸に連結されて、駆動源の駆動力によって軸O1まわりの回転運動をする。また、ドライブピニオンシャフト2の後端にはドライブピニオンギヤ2Aが形成されている。
【0015】
差動装置3は、略円筒状のデフケース3Aと、デフケース3A内に固定されたピニオンシャフト7と、ピニオンシャフト7を回転軸として回転するピニオンギヤ8、8と、ピニオンギヤ8、8の左右両側に配置されてピニオンギヤ8、8と噛み合い、軸O2まわりに回転するサイドギヤ9、9と、を備える。また、デフケース3Aの外周部には径方向外側に突出する円環状のフランジ3Bが設けられており、このフランジ3Bにはリングギヤ4がボルト等により固定されている。
【0016】
デフケース3Aは左右の端部に配置される転がり軸受10L、10Rを介してデフキャリア1に回転自在に支持されている。本実施形態では転がり軸受10L、10Rとしてテーパベアリングを用いるが、これに限られるわけではない。なお、以下の説明において、転がり軸受10L、10Rの左右を区別する必要がない場合には、単に転がり軸受10と称することもある。また、転がり軸受10のインナーレース及びアウターレースには鉄系材料が用いられている。
【0017】
上記のような構成のファイナルドライブ100は、ドライブピニオンシャフト2の回転運動を、ドライブピニオンギヤ2Aとリングギヤ4とにより減速しつつ軸O2まわりの回転運動に変換し、左右の駆動輪に伝達する。
【0018】
【0019】
転がり軸受10は、デフキャリア1に設けられた軸受け穴1Aに隙間嵌めされ、スナップリング11により左右方向の動きを規制される。
【0020】
隙間嵌めをするためには、軸受け穴1Aと転がり軸受10のアウターレース10Aとの間にクリアランスを設ける必要がある。このクリアランスは、組み立て作業の観点からは大きい方が望ましいが、大きいほどデフケース3Aとドライブピニオンシャフト2との前後方向の位置関係のズレ(以下、ミスアライメントともいう。)が生じやすくなる。また、デフキャリア1にはアルミ系材料が、アウターレース10Aには鉄系材料がそれぞれ用いられているため、運転中の熱膨張によりクリアランスが拡大し、ミスアライメントがより生じ易くなる。ミスアライメントが生じると騒音及び振動が大きくなり、いわゆる音振性能が低下する。さらに、振動が大きくなることで、ドライブピニオンシャフト2及びリングギヤ4に要求される強度も高くなる。特に、大型車の場合には、伝達するトルクが小型車に比べて大きく、ドライブピニオンシャフト2及びリングギヤ4にかかる荷重も大きくなるため、強度を確保することが難しくなり、また、強度確保のための素材や熱処理を採用するとコストがかかってしまう。
【0021】
このため、軸受け穴1Aと転がり軸受10のアウターレース10Aとの間のクリアランスは小さい方が望ましいが、軸受け穴1A及びアウターレース10Aの各寸法には公差範囲のバラつきがあるため、組み合わせ次第ではミスアライメントを抑制し切れないこともある。公差を小さくすれば上記の寸法のバラつきも小さくなるが、公差には使用する加工機械の性能やコスト等による限界がある。
【0022】
そこで本実施形態では、ファイナルドライブ100を製造する際に、軸受け穴1Aとアウターレース10Aの寸法及び両者のクリアランスを以下に説明するように管理する。
【0023】
図3は、ファイナルドライブ100の製造工程の概略図である。なお、
図3はデフキャリア1及び転がり軸受10に着目したものであって、その他の部品については適宜省略している。
【0024】
工程S1-1で、デフキャリア1を作成する。このとき、軸受け穴1Aの径寸法は、基準値Dに対して公差範囲を+c以上+(c+t)以下とする。cは隙間嵌めのためのクリアランスである。tは穴加工の限界公差(第1公差)である。なお、ここでいう限界公差は、穴加工に用いる加工機械の精度により異なる。
【0025】
工程S2-1で、転がり軸受10を作成する。このとき、アウターレース10Aの外径寸法が基準値Dに対して公差範囲がゼロ以上+t/2以下の第1種転がり軸受と、基準値Dに対して公差範囲が-t/2以上ゼロ以下の第2種転がり軸受と、いう2種類の転がり軸受10を作成する。作成された転がり軸受10には、第1種転がり軸受なのか第2種転がり軸受なのかを示すマーキングを施しておく。
【0026】
なお、工程S1-1及びS2-1は組み立て作業場とは別の場所で事前に行われ、以下に説明する工程S1-2~S1-4及びS2-2が組み立て作業場で行われる。
【0027】
工程S1-2では、これから組み立て作業に用いるデフキャリア1の、軸受け穴1Aの穴径測定を行う。そして、測定結果に基づいて、当該デフキャリア1を第1種キャリアまたは第2種キャリアのいずれかに分別する。なお、作業の確実性向上のために、デフキャリア1に第1種キャリアまたは第2種キャリアのいずれなのかを示すマーキングを施してもよい。
【0028】
工程S1-3では、デフキャリア1に組み合わせる転がり軸受10を選択する。具体的には、第1種キャリアの場合には、第1種キャリアと組み合わせたときに嵌め合い寸法がc以上c+t以下の隙間嵌めになる転がり軸受10、つまり第1種転がり軸受を選択する。第2種キャリアの場合には、第2種キャリアと組み合わせたときに嵌め合い寸法がc以上c+t以下の隙間嵌めになる転がり軸受10、つまり第2種転がり軸受を選択する。そして、工程S1-4では、工程S1-3で選択された転がり軸受10及びその他の部品をデフキャリア1に組み付ける。
【0029】
なお、工程S2-2では、組み立て作業時の取り間違い防止のために、第1種転がり軸受と第2種転がり軸受を分別して配置する。
【0030】
なお、工程S1-2を、デフキャリア1を作成した後、組み立て作業場に搬入する前に行ってもよい。これにより、組み立て作業時間の短縮を図ることができる。
【0031】
また、上記説明では軸受け穴1Aの穴径の下限許容値から上限許容値までの公差範囲を二等分した場合、つまり分割数n=2とした場合について説明したが、分割数nは3以上であっても構わない。分割数nが2の場合には、軸受け穴1Aの穴径の公差の1/2の公差で2種類の転がり軸受10を作成し、嵌め合い寸法がc以上c+t以下の隙間嵌めになるデフキャリア1と転がり軸受10とを組み合わせる。分割数nが3以上の場合も同様で、穴径の公差の1/nの公差でn種類の転がり軸受10を作成し、嵌め合い寸法がc以上c+t以下の隙間嵌めになるデフキャリア1と転がり軸受10とを組み合わせる。
【0032】
次に、上記の製造方法による効果について
図4及び
図5を参照して説明する。
【0033】
図4は、軸受け穴1Aの穴径の公差と、転がり軸受10のアウターレース10Aの外径の公差と、隙間嵌めのためのクリアランスとの合計を管理寸法としたときの、管理寸法の大きさを示している。
図5は比較例であり、従来の製造方法を用いる場合の管理寸法の大きさを示している。ここでいう従来の製造方法とは、デフキャリア1を2種類に分別せず、かつ、転がり軸受10を±t/2の公差で一種類だけ作成し、これらを組み合わせる方法である。
【0034】
本実施形態では、第1種キャリアには第1種転がり軸受を組み合わせ、第2種キャリアには第2種転がり軸受を組み合わせる。いずれの組み合わせも、隙間嵌めのためのクリアランスcを設ける。その結果、いずれの組み合わせの場合も、管理寸法はc+tになる。
【0035】
これに対し従来の製造方法の場合には、軸受け穴1Aの穴径が上限許容値のデフキャリア1と、アウターレース10Aの外径が下限許容値の転がり軸受10とが組み合わされることもあるので、管理寸法はc+3t/2となる。
【0036】
つまり、本実施形態に係る製造方法によれば、従来の製造方法に比べ管理寸法を小さくすることができる。そして、管理寸法が小さくなれば、ノイズや振動の発生や転がり軸受の寿命の低下の原因となるミスアライメントを抑制できる。
【0037】
以上のように本実施形態では、駆動源から入力される駆動力を左右の駆動輪に分配する差動装置3を収容したデフケース3Aを、転がり軸受10を介してデフキャリア1の内部に回転可能に支持するファイナルドライブ(動力伝達装置)100を製造する動力伝達装置製造方法が提供される。この方法は、転がり軸受10を配置する軸受け穴1Aの穴径の寸法公差を第1公差tとしてデフキャリア1を作成し、第1公差tの下限許容値から上限許容までの範囲を複数nに等分して下限許容値側から第1範囲、第2範囲、・・・第n範囲とし、外形寸法の寸法公差をそれぞれ第1範囲、第2範囲、・・・第n範囲とするn種類の転がり軸受10を作成し、作成されたデフキャリア1を、穴径が第1範囲のものを第1種キャリア、第2範囲のものを第2種キャリア、・・・第n範囲のものを第n種キャリアとして分類し、第1種キャリアには、外形寸法の寸法公差が第1範囲の第1種転がり軸受を、第2種キャリアには、外形寸法の寸法公差が第2範囲の第2種転がり軸受を、・・・第n種キャリアには、外形寸法の寸法公差が第n範囲の第n種転がり軸受を、それぞれ隙間嵌めにより固定することを特徴とする。これにより、より小さい管理寸法を実現可能となり、アルミ系材料を用いるファイナルドライブ100にあっても、ミスアライメントによるノイズや振動の発生や転がり軸受の寿命の低下を抑制できる。
【0038】
本実施形態では、nが2である。これにより、複数種類の転がり軸受10を作成することによるコスト増を抑制しつつ、より小さい管理寸法を実現可能となる。
【0039】
本実施形態では、第1種キャリアと第1種転がり軸受、第2種キャリアと第2種転がり軸受、・・・及び第n種キャリアと第n種転がり軸受のいずれの組み合わせも、軸受け穴1Aと転がり軸受10との間に所定のクリアランス(隙間寸法)cが設定されている。これにより、転がり軸受10をデフキャリア1に組み付ける際の、いわゆるかじりを防止できる。
【0040】
本実施形態では、転がり軸受10に寸法公差がいずれの範囲に属するのかを示すマーキングを施す。これにより、組み付ける際の取り違いを防止できる。
【0041】
本実施形態では、デフキャリア1を分類したら、第1種キャリア~第n種キャリアのいずれなのかを示すマーキングを施す。転がり軸受10とデフキャリア1にマーキングを施すことで、正しい組み合わせになっているか否かを組み立て後に確認できる。
【0042】
本実施形態では、デフキャリア1はアルミ系材料により形成されている。これにより鉄系材料により形成されたものに比べて軽量化が可能となる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0044】
1 デフキャリア、 2 ドライブピニオンシャフト、 3 差動装置、 4 リングギヤ、 10 転がり軸受、 11 スナップリング