(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171737
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】車両リフト用アタッチメント装置
(51)【国際特許分類】
B66F 7/28 20060101AFI20241205BHJP
B66F 7/16 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B66F7/28 F
B66F7/16
B66F7/28 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088911
(22)【出願日】2023-05-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 集会名:車両ズレ抑止リフトアタッチメント検討に関する打合せ、開催場所:南関東日野自動車株式会社 新橋本社5階(東京都港区新橋5-18-1)、開催日:令和4年6月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000226600
【氏名又は名称】株式会社アルティア
(74)【代理人】
【識別番号】100200229
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 徹夫
(72)【発明者】
【氏名】菅原 慎二
(57)【要約】
【課題】 車両を持ち上げて作業している際に車両の不意なずれを防止するための車両リフト用アタッチメント装置を提供する。
【解決手段】 車両リフトに取り付け可能な取付部と、前記取付部の上に設けられた基台と、前記基台の上に設けられた一対のL字形支持部と、前記基台の上に設けられ、車両の荷重を受けるための荷重受け部と、一対の前記L字形支持部それぞれの上部が横方向に開閉可能に、一対の前記L字形支持部と前記荷重受け部とを固定する固定部と、を備え、前記L字形支持部の下部の底面には、弾性体が設けられている、車両リフト用のアタッチメント装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両リフトに取り付け可能な取付部と、
前記取付部の上に設けられた基台と、
前記基台の上に設けられた一対のL字形支持部と、
前記基台の上に設けられ、車両の荷重を受けるための荷重受け部と、
一対の前記L字形支持部それぞれの上部が横方向に開閉可能に、一対の前記L字形支持部と前記荷重受け部とを固定する固定部と、
を備え、
前記L字形支持部の下部の底面には、弾性体が設けられている、
車両リフト用のアタッチメント装置。
【請求項2】
一対の前記L字形支持部の各下部は同じ大きさである請求項1に記載の車両リフト用のアタッチメント装置。
【請求項3】
一対の前記L字形支持部の一方の下部は、他方の下部よりも長く、前記一方の下部の先端と前記他方の下部の先端は高さ方向に重なる請求項1に記載の車両リフト用のアタッチメント装置。
【請求項4】
前記L字形支持部の上部の内側に設けられた凸部をさらに備える請求項1に記載の車両リフト用のアタッチメント装置。
【請求項5】
前記取付部の水平断面は、四角形、十字形、又は、円形である請求項1に記載の車両リフト用のアタッチメント装置。
【請求項6】
前記荷重受け部は、1個、又は、2個である請求項1に記載の車両リフト用のアタッチメント装置。
【請求項7】
前記固定部は、軸ピンと止め輪で構成されている請求項1に記載の車両リフト用のアタッチメント装置。
【請求項8】
前記弾性体は、バネである請求項1に記載の車両リフト用のアタッチメント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両の点検や整備などの際、車両を昇降させる車両リフトの車両受け台上に取り付けて使用する車両リフト用アタッチメント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バス、トラックなどの大型車両の点検や整備をする工場には、その床面に施工されて帯状に設けられたピット内に、車両リフトが複数配置されている。車両リフトは、油圧などで駆動されるシリンダー機構がピット内に設置され、油圧によってラムを昇降可能にしている。ラムの上端には車両受け台が取り付けられている。車両受け台は、互いに異方向へ伸縮可能な一対の支持アームを備えている。各支持アームの先端には、アタッチメント装着部が形成されている。アタッチメント装着部に、車両を支持するためのアタッチメントを取り付けることが可能である。
【0003】
アタッチメントは、昇降する車両の車軸やフレーム形態に合わせて適宜な形状のものが取りそろえられている。そして、車両の整備工場では、支持すべき車両に応じて適宜な形状のアタッチメントが選択され、アタッチメント装着部に取り付けられる。
【0004】
特許文献1は、大型車両用リフト装置の受け台を取り替えなくとも小型車を昇降支持できるようにするため、大型車両を支持するためのアタッチメントを装着可能なスライド板に加え、小型車両を支持するためのアタッチメントを装着可能な回転アームも受け台に配置している。回転アームは鉛直軸周りに回転可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、大型車両の整備工場では、整備作業の安全面から、車両を持ち上げて作業している際に車両の不意なずれを防止することについて要望が出ている。
【0007】
本発明は、このような課題に着目して鋭意研究され完成されたものであり、その目的は、車両を持ち上げて作業している際に車両の不意なずれを防止するための車両リフト用アタッチメント装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、車両リフトに取り付け可能な取付部と、前記取付部の上に設けられた基台と、前記基台の上に設けられた一対のL字形支持部と、前記基台の上に設けられ、車両の荷重を受けるための荷重受け部と、一対の前記L字形支持部それぞれの上部が横方向に開閉可能に、一対の前記L字形支持部と前記荷重受け部とを固定する固定部と、を備え、前記L字形支持部の下部の底面には、弾性体が設けられている、車両リフト用のアタッチメント装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両を持ち上げて作業している際に車両の不意なずれを防止するための車両リフト用アタッチメント装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両リフト用のアタッチメント装置の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るアタッチメント装置の開閉を説明するための断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るアタッチメント装置を装着した車両リフトの斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るアタッチメント装置を装着した車両リフトが車両を支持している状態を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態の変形例に係るアタッチメント装置の開閉を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(アタッチメント装置の構成)
図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。ここで、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。座標軸は、アタッチメント装置の下端から上端に向う軸(鉛直軸又は高さ方向)をX軸と呼び、アタッチメント装置の上部が開閉する方向(幅方向又は横方向)をY軸と呼び、アタッチメント装置の奥行方向をZ軸と呼ぶ。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る車両リフト用のアタッチメント装置の斜視図である。以下、単にアタッチメント装置という。また、AAは後述する切断面を表している。
【0013】
アタッチメント装置100は、車両リフトに取り付け可能な取付部110と、取付部110の上に設けられた基台120と、基台120の上に設けられ、大きさが同じ一対のL字形支持部(130-1,130-2)と、L字形支持部それぞれの上部の内側に設けられた凸部(131-1,131-2)と、基台120の上に設けられ、車両の荷重を受けるための荷重受け部(140-1,140-2)と、各L字形支持部と各荷重受け部を固定するための固定部(150-1,150-2)を備える。また、一対のL字形支持部(130-1,130-2)は同じ大きさである。すなわち、各上部の高さは左右で同じであり、各下部も左右で同じ長さであり、さらに、奥行方向の厚さも同じである。
【0014】
荷重受け部(140-1,140-2)の左右には貫通孔が設けられている。また、荷重受け部(140-1,140-2)に挟まれたL字形支持部(130-1,130-2)の対応する部分にも貫通孔が設けられている。各固定部(150-1,150-2)は、これらの貫通孔を通る軸構造の軸ピンと、軸ピンの両端に取り付けられた一対の止め輪(Cリング、Eリングなど)で構成されている。本実施形態は、荷重受け部(140-1,140-2)の両外側からCリングを軸ピンに取り付けて、軸ピンが貫通孔から抜けない構造になっている。
図1では、紙面の手前側の荷重受け部140-1の左右に、軸ピンとCリングで構成されている各固定部(150-1,150-2)を表示している。紙面では見えないが、実際には紙面の裏側の荷重受け部140-2の左右の軸ピンの外側にもCリングが取り付けられていることに留意していただきたい。
【0015】
固定部(150-1,150-2)がL字形支持部(130-1,130-2)及び荷重受け部(140-1,140-2)を固定することによって、L字形支持部(130-1,130-2)の上部が横方向に開閉可能になる。すなわち、点線で示す方向に開閉することが可能になる(点線参照)。
【0016】
図1では、Z軸方向に2個設けた荷重受け部(140-1,140-2)が、L字形支持部(130-1,130-2)を挟んでいる。しかしながら、これに限られず、1個であってもよい。荷重受け部を1個にするか2個にするかは、車両の荷重、及び、荷重受け部自体の材質及び大きさ(例えば、Z軸方向の厚さ)に応じて適宜変更してよい。また、取付部110は車両リフトのアタッチメント装着部に取り付け可能である。本実施形態では、取付部110は四角柱、すなわち水平断面は四角形である。
【0017】
図2は、本発明の実施形態に係るアタッチメント装置の開閉を説明するための断面図である。
図2(a)及び(b)は、
図1の切断面AAでの断面を表す。
図2(a)は、アタッチメント装置100のL字形支持部130-1、130-2が開いている状態を表す。
図2(b)は、アタッチメント装置100のL字形支持部130-1、130-2が閉じている状態を表す。
【0018】
図2(a)は、アタッチメント装置100がアクスル200を載置する前の状態を表す。アクスル200は車両の車軸であり、車両の下部に設けられている。アクスル200はL字形支持部130-1、130-2の上にある。L字形支持部130-1、130-2それぞれの下部と基台120の間には、弾性体160-1,160-2が設けられている。アクスル200は、車両の荷重を分担するために車両の下部に設けられている。本実施形態のアクスル200は車両の進行方向に対して垂直に設けられている。なお、車両前側のアクスルをフロントアクスルと呼び、車両後側のアクスルをリアアクスルと呼ぶ。
【0019】
本実施形態では、弾性体160-1,160-2は円錐台形状の巻きバネであり、円錐台の上面が大きく、下面が小さい(以下、単にバネ160-1,160-2という)。負荷を受けていない通常状態では伸びており、圧力を受けると縮み、圧縮に抵抗するように設計されている。なお、巻きバネの形状は円錐台に限られず、円筒などであってもよい。
【0020】
バネ160-1,160-2それぞれの上面はL字形支持部130-1、130-2それぞれの下部の底面と機械的に接合されている。一方、バネ160-1,160-2の下面は、基台120とは接合しておらず、バネ160-1,160-2とL字形支持部130-1、130-2の自重により、基台120の上面と接している。すなわち、
図2(a)は、バネ160-1,160-2が伸びている通常の状態を表す。このような状態でL字形支持部130-1、130-2の上部と下部の外側の角が基台120と接することを防ぐため、曲線状にカットして角を丸めるR加工が施されている。なお、バネ160-1,160-2の下面は基台120と接合されており、バネ160-1,160-2それぞれの上面はL字形支持部130-1、130-2それぞれの下部の底面とは接合しておらず、L字形支持部130-1、130-2の自重により、L字形支持部130-1、130-2それぞれの下部の底面と接していてもよい。
【0021】
図2(b)は、アタッチメント装置100が車両を支持している状態を表す。
【0022】
車両リフトが上昇すると、アタッチメント装置100は
図2(a)の位置から
図2(b)の位置へ上昇する。車両の一部であるアクスル200は、L字形支持部130-1、130-2の下部の上面に接する。アクスル200など車両の負荷が掛かると、バネ160-1,160-2は縮み、L字形支持部130-1、130-2は、固定部150-1,150-2を回転軸として、凸部131-1,131-2が近づくように回転し、アクスル200の下側の幅広部分を閉じる。これによって、アタッチメント装置100はアクスル200を載置し、かつ、アクスル200のズレを防ぎ、車両を支持する状態になる。
【0023】
凸部131-1,131-2の上下には面取り加工がされている。上側の面取りは、アタッチメント装置100が上昇してアクスル200に近づく際に、アクスル200の下側の幅広部分をスムーズに入れるようにするためである。また、下側の面取りは、アタッチメント装置100が下降してアクスル200から離れる際に、アクスル200の下側の幅広部分をスムーズに解放するためである。
【0024】
L字形支持部130-1、130-2がアクスル200の下側の幅広部分を載置することによって、L字形支持部130-1、130-2の上部が、車両の不意な横方向のずれ(例えば、地震の横揺れなど)を少なくとも一時的に防ぐことができ、作業者が避難する時間を確保することが可能である。さらに、凸部131-1,131-2が、車両の不意な縦方向のずれ(例えば、地震の縦揺れなど)を少なくとも一時的に防ぐことが可能である。
【0025】
このように、車両の不意な横方向のずれを防ぐためには、L字形支持部130-1、130-2の上部がアクスル200の下側の幅広部分よりも高ければ良く、凸部131-1,131-2は必須の構成ではないことに留意していただきたい。
【0026】
L字形支持部130-1、130-2は、アクスル200など車両の負荷の一部を受けるだけであり、車両荷重のほとんどを受けるのは、L字形支持部130-1、130-2を挟む荷重受け部140-1,140-2(
図1参照)である。荷重受け部140-1,140-2が車両全体の荷重を受けるように構造設計することによって、バネ160-1,160-2は、車両全体の荷重を受ける必要が無くなり、そのバネ力はL字形支持部130-1、130-2の先端を持ち上げる程度でよい。バネ160-1,160-2は、アタッチメント装置100の開閉機構として簡易かつ安価に構造設計することが可能になる。
【0027】
(車両リフトの説明)
図3は、本発明の実施形態に係るアタッチメント装置を装着した車両リフトの斜視図である。ピット300が、バス、トラックなどの大型車両の点検や整備をする工場の作業床面に施工されている。長尺のピット300は被検車両の進入方向に沿って設けられている。ピット300内には、車両リフト400が前後に2つ配置されている。本実施形態では、前側の車両リフト400(紙面手前側)はピット300内での位置が固定されている。一方、後側の車両リフト400(紙面奥側)はピット300内での位置が被検車両の進入方向に沿って移動可能であり、被検車両のホイールベースに合わせることができる。
【0028】
ピット300は、車両リフト400が収納される部分(後述するリフト用カバー310に相当)を除き、作業者の転落防止用カバーで覆われている。転落防止用カバーは、複数枚のカバープレートがスライドする形態やカバープレートがキャタピラのように収納される形態になっている。
【0029】
車両リフト400は、上下移動する昇降支柱410と、昇降支柱410の上端に設けられた車両受け台420と、車両受け台420の両端に設けられた左右一対の支持アーム430と、支持アーム430の上部に設けられたアタッチメント装着部440を備える。本実施形態のアタッチメント装着部440は、四角柱の取付部110と嵌め合うように四角管状に形成されている。
【0030】
一対の支持アーム430は、車両受け台420の内部に設けられた一対の流体圧シリンダーによって、左右別々に伸縮可能である。
図3は、一対の支持アーム430が伸びている状態を示す。流体圧シリンダーとしては油圧シリンダーが一般的である。以下では油圧シリンダーを例として説明する。
【0031】
本実施形態の昇降支柱410は四角形のパイプであり、その内部には、昇降機構の一部を構成する丸形の油圧シリンダー及びラム、並びに、上述した一対の油圧シリンダーの伸縮を制御するための油導管が設けられている。昇降支柱410は、ピット内に隠れている昇降機構によって上下移動する。
図3は、昇降支柱410が床面から上に伸び、車両リフト400が車両を支持する程度にまで上昇している状態を示す。この状態では、床下からリフト用カバー310が現れ、上述した転落防止用カバーと併用してピット300全体を覆い、作業者が転落することを防止している。
【0032】
車両を支持しない場合には、まず、アタッチメント装置100をアタッチメント装着部440から取り外す。次に、一対の支持アーム430を縮め、車両受け台420に収納する。最後に、昇降支柱410を下げると、リフト用カバー310も連動して下がり、車両受け台420の上面が床面とフラットになるまで下げることが可能になる。
【0033】
図4は、本発明の実施形態に係るアタッチメント装置を装着した車両リフトが車両を支持している状態を示す図である。アクスル200は、車両荷重を分担する機能、かじを取る機能、駆動力を車輪に伝達する機能などを有し、車両500の前輪側と後輪側に設けられている。これら2つのアクスル200は車両500の進行方向に対して垂直に設けられている。また、フレーム210は、運転席、駆動装置、架装物を搭載する機能などを有し、アクスル200と垂直に(車両500の長手方向に)2つ設けられている。フレーム210はアクスル200よりも上側に設けられている。そして、
図3で説明した車両リフト400がアクスル200を支持している状態を見やすく表示するために、車両500を簡易的かつ一点鎖線で表し、アクスル200、フレーム210、及び、車両リフト400を実線で表す。
【0034】
図4では、車両リフト400がアクスル200の両端、すなわち、左右の車輪近傍を支持するために、
図3で説明した一対の支持アーム430が伸びている状態である。このように支持アーム430が伸びた状態で車両500を支持することによって、車両500の左右の荷重バランスを取りながら支持することが可能になる。
【0035】
車両リフト400はフレーム210を支持することも可能である。車両リフト400がフレーム210を支持する場合には、
図3に表示しているアタッチメント装置100をアタッチメント装着部440からいったん抜く。そして、アタッチメント装置100を90度回転させた状態で再度、アタッチメント装着部440に取り付ければよい。
【0036】
(作用効果)
本実施形態に係るアタッチメント装置100を装着した車両リフト400の上昇時と下降時に分けて説明する。まず、車両リフト400が上昇する際には、自動車などの車両500をピット300に移動する。車両500の前後のアクスル200が、前後の車両リフト400の真上に配置するために、作業者は前側アクスル200が前側の車両リフト400の真上になるように、車両500を移動させる。その次に、後側アクスル200が後側の車両リフト400の真上になるように、車両500はそのままの位置で、後側車両リフト400を移動させる。次に、車両受け台420を床上に上昇させて、支持アーム430を左右に伸ばす。続いて、前後の車両リフト400を上昇させると、各L字形支持部130-1、130-2の下部の上面が前後のアクスル200に接する。
【0037】
さらに車両リフト400が上昇すると、車両500の荷重を支持するアクスル200に接するL字形支持部130-1、130-2に荷重がかかり、バネ160-1,160-2が収縮する。L字形支持部130-1、130-2の両側にある凸部131-1,131-2が近づくように回転し、アクスル200を閉じる。これによって、アクスル200の横揺れなどを制限することが可能になる。
【0038】
車両リフト400を下降させると、アクスル200に接するL字形支持部130-1、130-2にかかる荷重が減り、バネ160-1,160-2が伸びて、L字形支持部130-1、130-2の下部の先端が上昇する。L字形支持部130-1、130-2の両側にある凸部131-1,131-2が開いて、アクスル200を解放する。このように、車両500の整備工場で車両500を持ち上げて、作業者が作業をする際に、車両リフト400を昇降させるだけで、L字形支持部130-1、130-2が自動的に開閉し、車両500の不意なずれを防止することが可能になる。
【0039】
(変形例)
図5は、本発明の実施形態の変形例に係るアタッチメント装置の開閉を説明するための断面図である。この変形例に係るアタッチメント装置は、
図1のアタッチメント装置100の大きさが同じ一対のL字形支持部(130-1,130-2)と異なり、左右のL字形支持部(630-1、630-2)の大きさが異なる。また、バネは1個である(660)。ここでは、
図2と共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
図5(a)及び(b)は、
図2と同様、
図1の切断面AAでの断面を表す。
図5(a)は、L字形支持部(630-1、630-2)が開いている状態を表す。
図5(b)は、L字形支持部(630-1、630-2)が閉じている状態を表す。
【0040】
一対のL字形支持部(630-1,630-2)は、各上部は左右で同じ高さであるが、各下部は左右で長さが異なる。左側のL字形支持部630-1の下部は、右側のL字形支持部630-2の下部よりも長い。また、左側のL字形支持部630-1の下部の先端632-1は、右側のL字形支持部630-2の下部の先端632-2と高さ方向に重なり、かつ、上側に配置されている。このため、アクスル200の負荷を受けていない状態(
図5(a))では、バネ660の力によって、一対のL字形支持部の先端(632-1、632-2)は持ち上がっている。
【0041】
バネ660の形状は円柱形である。基台620の上面には、バネ660の下部を収納する凹部621が設けられている。また、右側のL字形支持部の先端631の下面には、バネ660の上部を収納する凹部631が設けられている。バネ660と、各凹部(621、631)は一方又は両方が接合していてもよいし、両方とも接合されていなくてもよい。
【0042】
左右のストッパー部(640-1、640-2)の下面は、一対のL字形支持部(630-1,630-2)の下面よりも高くなっている。一対のL字形支持部(630-1,630-2)が開いている状態(
図5(a))では、左右のストッパー部(640-1、640-2)の下面が基台620の上面と接する。これによって、
図5(a)の開いている状態を維持することが可能になる。
【0043】
図5のように、一対のL字形支持部の一方(630-1)が長くなっていることによって、車両の大きさを問わずに、一つのアタッチメント装置で車両を支持することが可能になる。例えば、小型車両の場合、アクスルも小型である。もしも一対のL字形支持部が同じ大きさの場合、アクスルは一方のL字形支持部だけと接し、この一方のL字形支持部は閉じるが、他方のL字形支持部は開いた状態のままである。このように小型車両を支持した状態で、横揺れが生じると、開いた状態の他方のL字形支持部の下部の先端が、アクスルと衝突し、破損する可能性がある。本変形例によれば、このような破損を防ぐことができ、一つのアタッチメント装置で大型車両から小型車両までを支持することが可能になる。
【0044】
(その他の変形例)
本実施形態では、車両リフト400が前後に2つ配置した状態を説明したが、車両リフトの個数は2つに限定されず、車両の種類及び用途に合わせて3つ以上にしてもよい。また、複数の車両リフト400のうち、一つの位置は固定にし、他は前後に移動可能にしてもよい。車両の長さに応じて、複数の車両リフト400の前後間の長さを調整することが可能になる。
【0045】
また、本実施形態のアタッチメント装置100の取付部110の水平断面は四角形であるが、取付部110の水平断面が十字形になるようにしてもよい。この場合、十字形の一部に補強用のリブを設けてもよい。また、アタッチメント装着部440の水平断面が円形の溝である場合、取付部110は、アタッチメント装着部440に対応する大きさの円柱、すなわち水平断面が円形でもよい。また、長さの異なる一対のL字形支持部(630-1、630-2)は、長い方のL字形支持部630-1の下部の先端632-1が、短い方のL字形支持部630-2の下部の先端632-2の下側に配置される形で高さ方向に重なってもよい。また、アタッチメント装置100は鉄製であるが、これに限られず、車両を支持するのに適した他の材料で構成されていてもよい。
【0046】
以上、本発明の実施例(変形例を含む)について説明してきたが、これらのうち、2つ以上の実施例を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施例を部分的に実施しても構わない。さらには、これらのうち、2つ以上の実施例を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
【0047】
また、本発明は、上記発明の実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
100 アタッチメント装置
110 取付部
120、620 基台
130、630 L字形支持部
131 凸部
140 荷重受け部
150 固定部
160、660 弾性体(バネ)
200 アクスル
210 フレーム
300 ピット
310 リフト用カバー
400 車両リフト
410 昇降支柱
420 車両受け台
430 支持アーム
440 アタッチメント装着部
500 車両
621、631 凹部
632-1、632-2 下部先端部