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特開2024-171739金属コイルの内周梱包材装着装置及び金属コイルの内周梱包材装着方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171739
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】金属コイルの内周梱包材装着装置及び金属コイルの内周梱包材装着方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 11/02 20060101AFI20241205BHJP
   B65B 25/14 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65B11/02
B65B25/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088917
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】501120122
【氏名又は名称】スチールプランテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】中尾 亮太
(72)【発明者】
【氏名】福島 靖規
【テーマコード(参考)】
3E028
3E051
【Fターム(参考)】
3E028AB01
3E028BB05
3E028EA05
3E028HA02
3E051AA01
3E051AB02
3E051BA04
3E051CA04
3E051CA10
3E051EA01
3E051FA04
3E051FA05
3E051FA07
3E051FA09
(57)【要約】
【課題】簡単な構造で小型化が可能な金属コイルの内周梱包材装着方法及び金属コイルの内周梱包材装着装置を提供する。
【解決手段】金属薄板のコイルの内周面に梱包材を装着するための内周梱包材装着装置が、円柱形状の心棒と、筒状に巻かれた前記梱包材に前記心棒が挿入された状態において、前記心棒上で前記梱包材を保持すること、及び前記心棒上で前記梱包材が保持されている保持状態と前記梱包材の保持が解除された解除状態とを切り替えることができるよう構成された梱包材押さえ装置と、前記心棒の一端を支持するとともに、前記心棒を前記コイルの前記内周面に沿って一周回動させることができるよう構成された心棒駆動装置と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄板のコイルの内周面に梱包材を装着するための内周梱包材装着装置であって、
円柱形状の心棒と、
筒状に巻かれた前記梱包材に前記心棒が挿入された状態において、前記心棒上で前記梱包材を保持すること、及び前記心棒上で前記梱包材が保持されている保持状態と前記梱包材の保持が解除された解除状態とを切り替えることができるよう構成された梱包材押さえ装置と、
前記心棒の一端を支持するとともに、前記心棒を前記コイルの前記内周面に沿って一周回動させることができるよう構成された心棒駆動装置と、
を備える内周梱包材装着装置。
【請求項2】
前記心棒駆動装置が多関節ロボットである、
請求項1に記載の内周梱包材装着装置。
【請求項3】
前記心棒が、金属製の丸棒と、該丸棒の外周に設けられた緩衝材層とを含む、
請求項1又は2に記載の内周梱包材装着装置。
【請求項4】
前記心棒駆動装置が、前記心棒の中心軸周りに前記心棒が回転可能な状態で前記心棒の前記一端を支持する支持装置を備えている、
請求項1又は2に記載の内周梱包材装着装置。
【請求項5】
前記内周梱包材装着装置が制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記梱包材押さえ装置及び前記心棒駆動装置それぞれの動作を制御するよう構成され、
前記動作は、
(動作1)前記梱包材の一端の近傍に前記一端の縁と平行に接着手段が付着しており、かつ前記梱包材の他端から前記接着手段が付着した部分である接着部分の直前まで前記接着手段が付着した面の側に巻かれている状態の前記梱包材に、前記心棒を挿入すること、
(動作2)前記梱包材押さえ装置を前記保持状態とすること、
(動作3)前記心棒を前記コイルの前記内周面の内側の空間に挿入すること、
(動作4)前記梱包材の前記接着部分よりも内側の部分を前記心棒で前記コイルの前記内周面のうちの下側の部分に押し付けること、
(動作5)前記動作4の前又は後に、前記梱包材押さえ装置を前記解除状態とすること、及び
(動作6)前記梱包材を前記心棒で前記コイルの前記内周面に押し付けながら、前記梱包材の内側方向に向けて前記心棒を前記コイルの前記内周面に沿って一周回動させること、
を含む、請求項1又は2に記載の内周梱包材装着装置。
【請求項6】
金属薄板のコイルの内周面に、梱包材を装着する内周梱包材装着方法であって、
(ステップ1)前記梱包材の一端の近傍に前記一端の縁と平行に接着手段を付着させること、
(ステップ2)前記梱包材の他端から前記接着手段が付着した部分である接着部分の直前まで前記接着手段が付着した面の側に前記梱包材を巻くこと、
(ステップ3)筒状に巻かれた状態の前記梱包材に円柱形状の心棒を挿入すること、
(ステップ4)前記梱包材を前記心棒上で保持すること、
(ステップ5)前記心棒を前記コイルの内周内側の空間に挿入すること、
(ステップ6)前記梱包材の前記接着部分よりも内側の部分を前記心棒で前記コイルの前記内周面のうちの下側の部分に押し付けること、
(ステップ7)前記ステップ6の前又は後に、前記梱包材が前記心棒上で保持された状態を解除すること、及び
(ステップ8)前記梱包材を前記心棒で前記コイルの前記内周面に押し付けながら、前記梱包材の内側方向に向けて前記心棒を前記コイルの前記内周面に沿って一周回動させること、
を含む内周梱包材装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属コイルの内周面に梱包材を装着するための内周梱包材装着装置及び内周梱包材装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧延機で圧延された薄板を円筒状に巻き取った金属コイルは、運搬や保管時の錆や汚れ、傷などの防止のためコイルの内周面を含む全面を梱包材で覆う梱包が行われる。
【0003】
特許文献1には、梱包材を装着したマンドレルを金属コイル内周面内側の空間内に挿入し、挿入したマンドレルを拡径して内周梱包材を装着するマンドレルタイプの金属コイルの内周梱包材装着方法及び装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-310206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、マンドレルタイプの装置は、構造が複雑であり、また装置が大型であるため、導入できる現場が限られるという問題がある。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で小型化が可能な金属コイルの内周梱包材装着装置及びそれを用いて実施することができる金属コイルの内周梱包材装着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、金属薄板のコイルの内周面に梱包材を装着するための内周梱包材装着装置であって、円柱形状の心棒と、筒状に巻かれた前記梱包材に前記心棒が挿入された状態において、前記心棒上で前記梱包材を保持すること、及び前記心棒上で前記梱包材が保持されている保持状態と前記梱包材の保持が解除された解除状態とを切り替えることができるよう構成された梱包材押さえ装置と、前記心棒の一端を支持するとともに、前記心棒を前記コイルの前記内周面に沿って一周回動させることができるよう構成された心棒駆動装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な構造で小型化が可能な金属コイルの内周梱包材装着装置及びそれを用いて実施することができる金属コイルの内周梱包材装着方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の内周梱包材装着装置の一実施形態を示す概略図である。
図2】本実施形態における内周梱包材装着ユニットの構成を示す側面図である。
図3】本実施形態における内周梱包材装着ユニットに含まれる梱包材押さえ装置及び支持装置の斜視図である。
図4】本実施形態における内周梱包材装着ユニットに含まれる丸棒の回転機構を示す斜視図である。
図5】本実施形態における内周紙の紙筒を用意する方法を説明するための説明図である。
図6】金属コイルの内周内側空間に内周紙が巻回された紙筒を挿入する様子を模式的に示す図である。
図7】梱包材押さえ装置が心棒上で紙筒を保持している保持状態を示す側面図である。
図8】内周紙の装着手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の内周梱包材装着装置の一実施形態を示す概略図であり、図2は本実施形態における内周梱包材装着ユニット60の構成を示す側面図である。本実施形態の金属コイルの内周梱包材装着装置は、内周梱包材装着ユニット60、多関節ロボット10、及び制御装置100を備える。制御装置100は、例えば、外部に接続されたパーソナルコンピュータと、多関節ロボット10及び/又は内周梱包材装着ユニット60に内蔵されたマイクロコンピュータで構成される。梱包材としては、本実施形態のように紙シート(内周紙20)を用いることが好ましいが、梱包材はこれに限られず、樹脂シート等、金属コイルの梱包に一般に用いられているシート材を用いることもできる。
【0011】
本発明の心棒駆動装置として機能する多関節ロボット10は、協働ロボットであり、例えば、6つの軸(ジョイント)を有するものである。多関節ロボット10は、ジョイント間を接続する複数のリンクを有するアーム部11を備え、3次元空間(XYZ軸座標系)において、XYZ軸方向それぞれの方向の並進、及びXYZ軸方向それぞれの周りの回転の全部で6軸の自由度を有する。制御装置100は、制御信号を出力することでジョイントの並進及び回転を制御することができ、アーム部11を所要の姿勢に制御できる。
【0012】
内周梱包材装着ユニット60は、心棒50(丸棒51及びスポンジ層52)と、本発明における梱包材押さえ装置として機能するエアシリンダ54、紙筒押さえ部56、保持部57、及びピストン部59と、本発明の支持装置として機能する取付部53、軸受部材55、及び当接板58とを備える。心棒50の一端側は、多関節ロボット10のアーム部11に接続されている。具体的には、心棒50の一端側を取り付けている軸受部材55に固定された取付部53を、アーム部の先端に設けられた装着部12に接続してある。これにより、本発明の心棒駆動装置として機能する多関節ロボット10、取付部53、軸受部材55、及び当接板58は、アーム部11を移動させて心棒50の姿勢を制御することができ、心棒の一端を支持するとともに、心棒をコイルの内周面に沿って一周回動させることができる。
【0013】
丸棒51は、金属製のシャフトであり、一端側が軸受部材55に取り付けられ、軸受部材55の内部に配置されたベアリングによって中心軸回りに回転可能になっている。丸棒51の長さは、金属コイルの内周面の長さ方向の長さと同程度とすることができる。丸棒51の長さは、例えば、100cm程度とすることができるが、これに限定されない。丸棒51の外周には、心棒50が円柱形状となるように一様の厚さを有するスポンジ層52を取り付けてある。本実施形態では、好ましい態様として緩衝材層がスポンジ層52である構成を示しているが、緩衝材層の材料はスポンジには限られず、コイルの内周面の形状変化に追従できるような柔軟性を有する材料を使用すればよい。
【0014】
本発明においては、心棒は緩衝材層を有していなくともよいが、緩衝材層を有していることが好ましい。コイル内周面の断面が真円とは限らないことや、心棒の回動の円軌道の中心とコイル内周面との中心が必ずしも一致しないこと等から、心棒が金属等の硬質材のみからなるよりも、緩衝材層を有していることで心棒のコイル内周面に対する追従性が向上し、良好な状態で内周梱包材をコイルの内周面上に装着することができる。緩衝材層の材料は、例えば、スポンジなどの、内部に細かな孔が多数存在する多孔質の柔らかい物質であることが好ましい。なお、ゴムなどの内周紙との摩擦力が大きな弾性部材は、内周紙を引張ってしまい紙筒の形状が崩れることもあるため、緩衝材層の材料は、摩擦力が小さいものが好ましい。
【0015】
図3は本実施形態における内周梱包材装着ユニット60に含まれる梱包材押さえ装置及び支持装置の斜視図である。図3に示すように、梱包材押さえ装置の紙筒押さえ部56の一端側は、ねじ部561で軸受部材55に対して回動可能に固定されている。紙筒押さえ部56の他端側には、紙筒の縁部を心棒50との間で保持する保持部57が取り付けられている。保持部57は、ゴムなどの摩擦力が比較的大きい弾性部材を用いることができるが、金属製であってもよい。
【0016】
エアシリンダ54には、ピストン部59が摺動可能に保持され、ピストン部59の一端部は紙筒押さえ部56に固定されている。エアシリンダ54は、制御装置100が出力する制御信号に基づいて、ピストン部59を押し出す方向及びエアシリンダ54内に挿入する方向に沿って移動させることができる。エアシリンダ54によってピストン部59を押し出すように平行移動すると、当該平行移動に連動して紙筒押さえ部56がねじ部561を中心に回動し、保持部57が心棒50に近づくように円弧状に移動する。逆に、エアシリンダ54によってピストン部59をエアシリンダ54内に挿入するように平行移動すると、当該平行移動に連動して紙筒押さえ部56がねじ部561を中心に回動し、保持部57が心棒50から遠ざかるように円弧状に移動する(図中の矢印参照)。これにより、保持部57によって紙筒の縁部を掴む動作と紙筒の縁部を離す動作を繰り返し行うことができる。
【0017】
このようにして、本実施形態のエアシリンダ54、紙筒押さえ部56、保持部57、及びピストン部59(梱包材押え装置)は、筒状に巻かれた内周紙20(梱包材)に心棒50が挿入された状態において、心棒上で内周紙20を保持すること、及び心棒上で内周紙20が保持されている保持状態と内周紙20の保持が解除された解除状態とを切り替えることができるよう構成されている。これにより、内周紙20の紙筒に挿入された心棒50を移動させる際に、紙筒が巻かれた状態からほぐれてしまうことや、心棒50から脱落してしまうこと等を防止することができる。
【0018】
図4は本実施形態における内周梱包材装着ユニット60に含まれる心棒50の回転機構を示す斜視図である。図4に示すように、心棒50の一端側は、軸受部材55に取り付けられ、軸受部材55の内部に配置されたベアリングによって、心棒50は中心軸回りに回転可能になっている(図中の矢印参照)。心棒50は、制御装置100が出力する制御信号に基づいて、中心軸回りに回転させることができる。心棒50の回転トルクは、紙筒の形の内周紙を金属コイルの内周面に展開する際に、内周紙を引張る抵抗とならないように適切に調整されている。このようにして、本実施形態の取付部53、軸受部材55、及び当接板58(支持装置)は、心棒の中心軸周りに心棒が回転可能な状態で心棒の一端を支持している。
【0019】
次に、金属コイルの内周紙装着方法について説明する。本発明の内周梱包材装着装置は、梱包材の一端の近傍に一端の縁と平行に接着手段が付着しており、かつ梱包材の他端から接着手段が付着した部分である接着部分の直前まで接着手段が付着した面の側に巻かれている状態の梱包材を、既に市場に流通している梱包材カット装置、梱包材を丸める装置、及びテープ貼り装置等を用いて用意しておき、この状態の梱包材を金属コイルの内周面を装着するものである。そのため、まず、紙筒を用意する方法について説明する。
【0020】
図5は本実施形態における内周紙の紙筒を用意する方法を説明するための説明図である。図5Aに示すように、金属コイル30の寸法(内周面の径寸法(円周長さ)、内周面の幅)に合わせた寸法の内周紙20を予めカットしておき、内周紙20の第1端22(一端)の近傍に第1端22の縁と平行に両面テープ21を付着させる。具体的には、内周紙20の寸法は、幅を金属コイルの幅と同程度とし、長さを(内周面の断面円周の長さ)+(4~8cm程度)としておく。その上で、内周紙20の長さ方向における第1端22から上記余裕分4~8cm以内の領域に、第1端22の縁と平行に両面テープ21を付着させておく。接着手段には、本実施形態のように適幅の両面接着テープなどを用いることができるが、これには限られない。例えば、接着手段として接着剤を塗布しておいても良い。両面テープ21は、内周紙20の両面(表面及び裏面)のうち、内周紙20が金属コイル30の内周面に当接する面と反対側の面に設ける。両面テープ21の貼り付けは、人手で行ってもよいし、テープ貼り装置を用いて行ってもよい。
【0021】
次に、図5Bに示すように、両面テープ21を付着させた上記の内周紙20を、両面テープ21が付着している側と反対側の端である第2端23(他端)から、両面テープ21が付着した部分である接着部分の直前まで両面テープ21が付着した面の側に巻いて紙筒の形とする。この作業も、人手で行ってもよいし、機械装置を用いて自動で行ってもよい。
【0022】
次に、図6図7を用いて本実施形態の内周梱包材装着装置により行われる動作について説明する。図6は金属コイル30の内周内側空間31に内周紙20が巻回された紙筒を挿入する様子を模式的に示す図である。金属コイル30は、圧延機で圧延された薄板を円筒状に巻き取ったものであり、図6に示すように内周面側に空間(内周内側空間)31がある。制御装置100は、以下のような動作を行うように梱包材押さえ装置及び心棒駆動装置を制御する。すなわち、内周紙20が巻回された紙筒に心棒50を挿入し、エアシリンダ54を介して紙筒押さえ部56を心棒50の方向に回動させ、保持部57で紙筒の縁部を保持して保持状態とする。図7は、梱包材押さえ装置が心棒50上で紙筒を保持している保持状態を示す側面図である。その後、紙筒を保持した状態の心棒50を金属コイル30の内周面の内側の空間である内周内側空間31に挿入する。
【0023】
図8は、内周紙の装着手順の一例を示す図である。図8Aに示すように、心棒50を金属コイル30の内周内側空間31に挿入した後、内周紙20の接着部分よりも内側の部分を心棒50で金属コイル30の内周面のうちの下側の部分に押し付ける。心棒50が円柱形状であるため、心棒50の中心軸に対してどの位置(角度)が内周紙20に接触する状態であっても、同じ圧力で内周紙20を金属コイル30の内周面に押し付けることができる。
【0024】
次に、エアシリンダ54を介して紙筒押さえ部56を心棒50から離れる方向に回動させ、梱包材押さえ装置を保持状態から解除状態とする。その後、図8B図8Cに示すように、内周紙20を心棒50で金属コイル30の内周面32に押し付けながら、内周面32の内側方向に向けて心棒50を金属コイルの内周面に沿って一周回動させることにより内周紙20を内周面32上に展開する。スポンジ層52で覆われた心棒50が中心軸周りに回転可能な状態で支持されており、この心棒50で内周紙20を金属コイル30の内周面32に押し付けながら心棒50を内周面32に沿って移動させるので、内周紙20が心棒50との摩擦で引きずられてずれることもなく、容易に良好な配置状態で内周面32上に内周紙20を展開することができる。
【0025】
内周紙20は、長さが(内周面の断面円周の長さ)+(4~8cm程度)であるため、第2端23の側の端部が両面テープ21により第1端22の側の端部に接着される。これにより、内周紙20を内周面32に沿って容易に装着できる。
【0026】
上述のように、本実施形態の金属コイルの内周梱包材装着装置によれば、従来のマンドレルタイプの装置に比べて、構造が簡単であり、装置の小型化が可能になる。これにより、省スペース化が可能となり、様々な現場に導入することが可能になる。また、装置が小型化され、また簡単な構造になるので、設備費や運用コストを低減することができ、またメンテナンスも容易になる。さらに、従来の装置では、稼動中に装置の近傍への人の立ち入りは不可能であったが、本実施形態では、協働ロボットを用いるので、稼動中であっても作業領域内への人の立ち入りが可能になる。
【0027】
また、本実施形態によれば、人手による内周梱包材の装着に比べて作業効率が向上する。例えば、人手では、1個の金属コイルに対して1名の作業者が2分程度要していた装着作業を、例えば、10数秒程度に短縮することができる。
【0028】
また、図6に示す装着手順において、心棒50で内周紙20を金属コイル30の内周面32に押し付けながら心棒50の中心軸回りに心棒50を回転させてもよい。これにより、心棒50の内周面32に沿った円弧状の動きに加えて、スポンジ層52が回転しながら内周紙20を紙筒から引き出すので、内周面32に沿って内周紙20を展開することが容易になる。
【0029】
(付記1)金属薄板のコイルの内周面に梱包材を装着するための内周梱包材装着装置が、円柱形状の心棒と、筒状に巻かれた前記梱包材に前記心棒が挿入された状態において、前記心棒上で前記梱包材を保持すること、及び前記心棒上で前記梱包材が保持されている保持状態と前記梱包材の保持が解除された解除状態とを切り替えることができるよう構成された梱包材押さえ装置と、前記心棒の一端を支持するとともに、前記心棒を前記コイルの前記内周面に沿って一周回動させることができるよう構成された心棒駆動装置と、を備える。
【0030】
(付記2)内周梱包材装着装置は、付記1において、前記心棒駆動装置が多関節ロボットである。
【0031】
(付記3)内周梱包材装着装置は、付記1又は付記2において、前記心棒が、金属製の丸棒と、該丸棒の外周に設けられた緩衝材層とを含む。
【0032】
(付記4)内周梱包材装着装置は、付記1から付記3のいずれか一つにおいて、前記心棒駆動装置が、前記心棒の中心軸周りに前記心棒が回転可能な状態で前記心棒の前記一端を支持する支持装置を備えている。
【0033】
(付記5)内周梱包材装着装置は、付記1から付記4のいずれか一つにおいて、制御装置を更に備え、前記制御装置は、前記梱包材押さえ装置及び前記心棒駆動装置それぞれの動作を制御するよう構成され、前記動作は、(動作1)前記梱包材の一端の近傍に前記一端の縁と平行に接着手段が付着しており、かつ前記梱包材の他端から前記接着手段が付着した部分である接着部分の直前まで前記接着手段が付着した面の側に巻かれている状態の前記梱包材に、前記心棒を挿入すること、(動作2)前記梱包材押さえ装置を前記保持状態とすること、(動作3)前記心棒を前記コイルの前記内周面の内側の空間に挿入すること、(動作4)前記梱包材の前記接着部分よりも内側の部分を前記心棒で前記コイルの前記内周面のうちの下側の部分に押し付けること、(動作5)前記動作4の前又は後に、前記梱包材押さえ装置を前記解除状態とすること、及び(動作6)前記梱包材を前記心棒で前記コイルの前記内周面に押し付けながら、前記梱包材の内側方向に向けて前記心棒を前記コイルの前記内周面に沿って一周回動させることを含む。
【0034】
(付記6)金属薄板のコイルの内周面に、梱包材を装着する内周梱包材装着方法が、(ステップ1)前記梱包材の一端の近傍に前記一端の縁と平行に接着手段を付着させること、(ステップ2)前記梱包材の他端から前記接着手段が付着した部分である接着部分の直前まで前記接着手段が付着した面の側に前記梱包材を巻くこと、(ステップ3)筒状に巻かれた状態の前記梱包材に円柱形状の心棒を挿入すること、(ステップ4)前記梱包材を前記心棒上で保持すること、(ステップ5)前記心棒を前記コイルの内周内側の空間に挿入すること、(ステップ6)前記梱包材の前記接着部分よりも内側の部分を前記心棒で前記コイルの前記内周面のうちの下側の部分に押し付けること、(ステップ7)前記ステップ6の前又は後に、前記梱包材が前記心棒上で保持された状態を解除すること、及び(ステップ8)前記梱包材を前記心棒で前記コイルの前記内周面に押し付けながら、前記梱包材の内側方向に向けて前記心棒を前記コイルの前記内周面に沿って一周回動させることを含む。
【0035】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【0036】
以上、実施形態を用いて本発明を説明してきたが、本発明はこれらの形態の構成には限られない。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲の記載に基づいて定まるものであり、その範囲内において実施の形態及び変形例に示した構成要素の一部の省略や変形、またそれらの改良を施した構成の全てが本発明に含まれる。
【0037】
例えば、上記の実施形態では、本発明の心棒駆動装置が多関節ロボット10を含む構成を示したが、本発明はこれには限られず、心棒駆動装置として、心棒の長手方向を水平に保った状態で、心棒の一端を支持するとともに心棒をコイル内周面に沿って回動させることができるよう構成された専用機械を用いても良い。但し、心棒駆動装置として専用機械を用いると、その特殊な機械のメンテナンスを行うための専門の技術知識が必要となる一方、汎用の多関節ロボットを用いれば、メンテナンスを行う技術者がそのような特殊な知識を習得する負担を減らすことができる。
【0038】
また例えば、上記の実施形態では、動作5(ステップ7)を動作4(ステップ6)の後に行う形態を示したが、動作5(ステップ7)は動作4(ステップ6)の前に行っても良い。
【符号の説明】
【0039】
10 多関節ロボット
11 アーム部
12 装着部
20 内周紙(内周梱包材)
21 両面テープ
22 第1端(一端)
23 第2端(他端)
30 金属コイル
31 内周内側空間
32 内周面
50 心棒
51 丸棒
52 スポンジ層(緩衝材層)
53 取付部
54 エアシリンダ
55 軸受部材
56 紙筒押さえ部
561 ねじ部
57 保持部
58 当接板
59 ピストン部
60 内周梱包材装着ユニット
100 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8