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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171742
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】成形用金型、成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/50 20060101AFI20241205BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20241205BHJP
   B29C 49/72 20060101ALI20241205BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B29C49/50
B29C45/17
B29C49/72
B29C49/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088921
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】丹治 忠敏
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
4F208
【Fターム(参考)】
4F202AG07
4F202AH55
4F202AJ08
4F202AM33
4F202AR07
4F202CA11
4F202CA15
4F202CB01
4F202CK35
4F202CK42
4F202CK52
4F202CK85
4F206AG07
4F206AH55
4F206AJ08
4F206AM33
4F206AR07
4F206JA06
4F206JL02
4F206JQ81
4F208AG07
4F208AH55
4F208AM33
4F208LA01
4F208LA07
4F208LD16
4F208LG04
4F208LG22
4F208LW01
4F208LW22
4F208LW23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】成形品の製造効率の低下を抑制可能な、成形用金型を提供する。
【解決手段】開閉可能な第1及び第2分割型を有する成形用金型であって、ピンチオフ部は、キャビティを取り囲むように第1及び第2分割型11,12の合わせ面に設けられ、バリ収容空間は、前記ピンチオフ部の外側に設けられ且つ成形品の周囲に形成されるバリを収容する空間であり、第1分割型は、前記バリ収容空間に対向する部位に案内孔を備え、突き出し部材は、前記案内孔を通じて前記バリ収容空間に対して進退可能に構成され、第2分割型は、前記バリ収容空間に対向し且つ前記ピンチオフ部に沿って設けられた溝状凹部を備え、前記溝状凹部は、前記ピンチオフ部から前記溝状凹部の底に向かって延びる内側側面を備え、前記内側側面は、第1及び第2分割型の開閉方向に垂直な基準面に対する傾斜角度が60度以下となる第1部位を有する、成形用金型が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な第1及び第2分割型を有する成形用金型であって、
キャビティと、ピンチオフ部と、バリ収容空間と、突き出し部材を備え、
前記キャビティは、所望の成形品を成形するための空間であり、第1及び第2分割型のそれぞれに設けられたキャビティ面が合わさって前記キャビティの外面が構成され、
前記ピンチオフ部は、前記キャビティを取り囲むように第1及び第2分割型の合わせ面に設けられ、
前記バリ収容空間は、前記ピンチオフ部の外側に設けられ且つ前記成形品の周囲に形成されるバリを収容する空間であり、
第1分割型は、前記バリ収容空間に対向する部位に案内孔を備え、
前記突き出し部材は、前記案内孔を通じて前記バリ収容空間に対して進退可能に構成され、
第2分割型は、前記バリ収容空間に対向し且つ前記ピンチオフ部に沿って設けられた溝状凹部を備え、
前記溝状凹部は、前記ピンチオフ部から前記溝状凹部の底に向かって延びる内側側面を備え、
前記内側側面は、第1及び第2分割型の開閉方向に垂直な基準面に対する傾斜角度が60度以下となる第1部位を有する、成形用金型。
【請求項2】
請求項1に記載の成形用金型であって、
前記内側側面は、第1部位よりも前記ピンチオフ部から離れた位置に第2部位を有し、
第2部位は、前記基準面に対する傾斜角度が第1部位よりも大きい、成形用金型。
【請求項3】
請求項1に記載の成形用金型であって、
前記内側側面には、前記突き出し部材が前記溝状凹部内に突き出されたときに前記突き出し部材に対向する位置に、前記突き出し部材の進退方向に沿って延びる局所凹部が設けられる、成形用金型。
【請求項4】
請求項1に記載の成形用金型であって、
前記成形用金型は、バリ挟み部を備え、
前記バリ挟み部は、前記ピンチオフ部の外側において第1及び第2分割型の合わせ面に設けられ、
前記バリ収容空間は、前記ピンチオフ部と前記バリ挟み部の間に設けられる、成形用金型。
【請求項5】
請求項4に記載の成形用金型であって、
前記溝状凹部は、前記バリ挟み部から前記溝状凹部の底に向かって延びる外側側面を備え、
前記外側側面は、前記基準面に対する傾斜角度が60度以下となる第1部位を有する、成形用金型。
【請求項6】
成形品の製造方法であって、
成形工程と、分断工程を備え、
前記成形工程では、請求項1~請求項5の何れか1つに記載の成形用金型を用いてパリソンを成形することによって成形体を形成し、
前記成形体は、前記キャビティ内に形成された前記成形品と、前記成形品の周囲につながった前記バリを備え、
前記分断工程では、前記突き出し部材を前記バリ収容空間内に突き出すことによって、前記バリを前記成形品から分断する工程を備える、方法。
【請求項7】
開閉可能な第1及び第2分割型を有する成形用金型であって、
キャビティと、ピンチオフ部と、バリ収容空間と、突き出し部材を備え、
前記キャビティは、所望の成形品を成形するための空間であり、第1及び第2分割型のそれぞれに設けられたキャビティ面が合わさって前記キャビティの外面が構成され、
前記ピンチオフ部は、前記キャビティを取り囲むように第1及び第2分割型の合わせ面に設けられ、
前記バリ収容空間は、前記ピンチオフ部の外側に設けられ且つ前記成形品の周囲に形成されるバリを収容する空間であり、
第1分割型は、前記バリ収容空間に対向する部位に案内孔を備え、
前記突き出し部材は、前記案内孔を通じて前記バリ収容空間に対して進退可能に構成され、
第2分割型は、前記バリ収容空間に対向し且つ前記ピンチオフ部に沿って設けられた溝状凹部を備え、
前記溝状凹部は、前記ピンチオフ部から前記溝状凹部の底に向かって延びる内側側面を備え、
前記内側側面は、第1及び第2部位を有し、
第2部位は、第1部位よりも前記ピンチオフ部から離れた位置に設けられ、第1及び第2分割型の開閉方向に垂直な基準面に対する傾斜角度が第1部位よりも大きい、成形用金型。
【請求項8】
開閉可能な第1及び第2分割型を有する成形用金型であって、
キャビティと、ピンチオフ部と、バリ収容空間と、突き出し部材を備え、
前記キャビティは、所望の成形品を成形するための空間であり、第1及び第2分割型のそれぞれに設けられたキャビティ面が合わさって前記キャビティの外面が構成され、
前記ピンチオフ部は、前記キャビティを取り囲むように第1及び第2分割型の合わせ面に設けられ、
前記バリ収容空間は、前記ピンチオフ部の外側に設けられ且つ前記成形品の周囲に形成されるバリを収容する空間であり、
第1分割型は、前記バリ収容空間に対向する部位に案内孔を備え、
前記突き出し部材は、前記案内孔を通じて前記バリ収容空間に対して進退可能に構成され、
第2分割型は、前記バリ収容空間に対向し且つ前記ピンチオフ部に沿って設けられた溝状凹部を備え、
前記溝状凹部は、前記ピンチオフ部から前記溝状凹部の底に向かって延びる内側側面を備え、
前記内側側面には、前記突き出し部材が前記溝状凹部内に突き出されたときに前記突き出し部材に対向する位置に、前記突き出し部材の進退方向に沿って延びる局所凹部が設けられる、成形用金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形用金型、及び成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、金型内において、成形品の周囲に付着したバリに対して突き出し部材を突き出すことによって、前記バリを前記成形品から分断する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-276125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、突き出し部材は、ピンチオフ部の周囲に設けられた溝状凹部内に突き出されるところ、成形品から分断されたバリが溝状凹部内に嵌って取り除きにくくなる場合がある。この場合、バリを溝状凹部から取り除くのに手間がかかり、成形品の製造効率が低下する。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、成形品の製造効率の低下を抑制可能な、成形用金型を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]開閉可能な第1及び第2分割型を有する成形用金型であって、キャビティと、ピンチオフ部と、バリ収容空間と、突き出し部材を備え、前記キャビティは、所望の成形品を成形するための空間であり、第1及び第2分割型のそれぞれに設けられたキャビティ面が合わさって前記キャビティの外面が構成され、前記ピンチオフ部は、前記キャビティを取り囲むように第1及び第2分割型の合わせ面に設けられ、前記バリ収容空間は、前記ピンチオフ部の外側に設けられ且つ前記成形品の周囲に形成されるバリを収容する空間であり、第1分割型は、前記バリ収容空間に対向する部位に案内孔を備え、前記突き出し部材は、前記案内孔を通じて前記バリ収容空間に対して進退可能に構成され、第2分割型は、前記バリ収容空間に対向し且つ前記ピンチオフ部に沿って設けられた溝状凹部を備え、前記溝状凹部は、前記ピンチオフ部から前記溝状凹部の底に向かって延びる内側側面を備え、前記内側側面は、第1及び第2分割型の開閉方向に垂直な基準面に対する傾斜角度が60度以下となる第1部位を有する、成形用金型。
[2][1]に記載の成形用金型であって、前記内側側面は、第1部位よりも前記ピンチオフ部から離れた位置に第2部位を有し、第2部位は、前記基準面に対する傾斜角度が第1部位よりも大きい、成形用金型。
[3][1]又は[2]に記載の成形用金型であって、前記内側側面には、前記突き出し部材が前記溝状凹部内に突き出されたときに前記突き出し部材に対向する位置に、前記突き出し部材の進退方向に沿って延びる局所凹部が設けられる、成形用金型。
[4][1]~[3]の何れか1つに記載の成形用金型であって、前記成形用金型は、バリ挟み部を備え、前記バリ挟み部は、前記ピンチオフ部の外側において第1及び第2分割型の合わせ面に設けられ、前記バリ収容空間は、前記ピンチオフ部と前記バリ挟み部の間に設けられる、成形用金型。
[5][4]に記載の成形用金型であって、前記溝状凹部は、前記バリ挟み部から前記溝状凹部の底に向かって延びる外側側面を備え、前記外側側面は、前記基準面に対する傾斜角度が60度以下となる第1部位を有する、成形用金型。
[6]成形品の製造方法であって、成形工程と、分断工程を備え、前記成形工程では、[1]~[5]の何れか1つに記載の成形用金型を用いてパリソンを成形することによって成形体を形成し、前記成形体は、前記キャビティ内に形成された前記成形品と、前記成形品の周囲につながった前記バリを備え、前記分断工程では、前記突き出し部材を前記バリ収容空間内に突き出すことによって、前記バリを前記成形品から分断する工程を備える、方法。
[7]開閉可能な第1及び第2分割型を有する成形用金型であって、キャビティと、ピンチオフ部と、バリ収容空間と、突き出し部材を備え、前記キャビティは、所望の成形品を成形するための空間であり、第1及び第2分割型のそれぞれに設けられたキャビティ面が合わさって前記キャビティの外面が構成され、前記ピンチオフ部は、前記キャビティを取り囲むように第1及び第2分割型の合わせ面に設けられ、前記バリ収容空間は、前記ピンチオフ部の外側に設けられ且つ前記成形品の周囲に形成されるバリを収容する空間であり、第1分割型は、前記バリ収容空間に対向する部位に案内孔を備え、前記突き出し部材は、前記案内孔を通じて前記バリ収容空間に対して進退可能に構成され、第2分割型は、前記バリ収容空間に対向し且つ前記ピンチオフ部に沿って設けられた溝状凹部を備え、前記溝状凹部は、前記ピンチオフ部から前記溝状凹部の底に向かって延びる内側側面を備え、前記内側側面は、第1及び第2部位を有し、第2部位は、第1部位よりも前記ピンチオフ部から離れた位置に設けられ、第1及び第2分割型の開閉方向に垂直な基準面に対する傾斜角度が第1部位よりも大きい、成形用金型。
[8]開閉可能な第1及び第2分割型を有する成形用金型であって、キャビティと、ピンチオフ部と、バリ収容空間と、突き出し部材を備え、前記キャビティは、所望の成形品を成形するための空間であり、第1及び第2分割型のそれぞれに設けられたキャビティ面が合わさって前記キャビティの外面が構成され、前記ピンチオフ部は、前記キャビティを取り囲むように第1及び第2分割型の合わせ面に設けられ、前記バリ収容空間は、前記ピンチオフ部の外側に設けられ且つ前記成形品の周囲に形成されるバリを収容する空間であり、第1分割型は、前記バリ収容空間に対向する部位に案内孔を備え、前記突き出し部材は、前記案内孔を通じて前記バリ収容空間に対して進退可能に構成され、第2分割型は、前記バリ収容空間に対向し且つ前記ピンチオフ部に沿って設けられた溝状凹部を備え、前記溝状凹部は、前記ピンチオフ部から前記溝状凹部の底に向かって延びる内側側面を備え、前記内側側面には、前記突き出し部材が前記溝状凹部内に突き出されたときに前記突き出し部材に対向する位置に、前記突き出し部材の進退方向に沿って延びる局所凹部が設けられる、成形用金型。
【発明の効果】
【0007】
本発明の成形用金型では、ピンチオフ部に沿って設けられた溝状凹部の内側側面に、傾斜角度が60度以下という緩やかな傾斜の第1部位が設けられているので、成形品から分断されたバリが溝状凹部内に嵌って外れにくくなることが抑制され、成形品の製造効率の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の製造方法の成形工程において、成形用金型1を構成する第1及び第2分割型11,12の間にパリソン2を配置した状態を示す、正面図である。
図2図1の第1分割型11をパリソン2側から見た図である。
図3図1の第2分割型12をパリソン2側から見た図である。
図4図4Aは、図1の成形用金型1の第1及び第2分割型11,12を閉状態にして、その一部を切り出した状態の部分斜視図である。図4Bは、図4Aの成形用金型1を、図4Aの断面に垂直な方向から見た図である。
図5図4Aの成形用金型1の第1分割型11と第2分割型12を別々の方向から見た斜視図である。
図6図6Aは、図4Bの第1及び第2分割型11,12を開いた状態の図であり、図6B及び図6Cは、それぞれ、図6A中の領域B及びCの拡大図である。
図7図7Aは、図4Bの断面に平行で且つ突き出し部材16の中心軸を通る断面図であり、図7Bは、図7A中の領域Bの拡大図である。
図8図8Aは、第1及び第2分割型11,12の間にパリソン2を挟んで成形して成形体3を形成した後の状態を示す、図7Aに対応する断面図であり、図8Bは、図8Aから成形体3を抜き出した図である。
図9図9Aは、図8A中の領域Aの拡大図であり、図9Bは、図8Aの状態からバリ冷却孔12iを通じてバリ5に冷却媒体を吹き付けた後の状態を示す。
図10図10Aは、図9Aの状態から突き出し部材16でバリ5を押圧している状態を示し、図10Bは、図10Aの状態からバリ5をさらに押圧した後の状態を示す。
図11】第1及び第2分割型11,12の変形例を示す、図7Bに対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0010】
図1図10を用いて、本発明の一実施形態の成形品の製造方法について説明する。この方法で製造する成形品4としては、ダクトなどの中空成形品や、ドアトリムのようなシート成形品などが挙げられる。成形品4は、発泡成形品であっても非発泡成形品であってもよい。この方法は、成形工程と、分断工程を備える。成形工程と分断工程の間に冷却工程を備えることが好ましい。以下、各工程について説明する。
【0011】
1.成形工程
図1及び図8に示すように、成形工程では、成形用金型1を用いてパリソン2を成形することによって成形体3を形成する。成形体3は、成形品4の周囲にバリ5がつながった構造を有する。バリ5は、成形品4とつながる部位に薄肉部5aを有しており、薄肉部5aを引き裂くことによってバリ5が成形品4から分断可能になっている。成形方法としては、成形品4の周囲にバリ5がつながった成形体3が得られるものであれば特に限定されず、ブロー成形や真空成形が挙げられる。これらの成形は、溶融樹脂が押し出されて形成されたパリソン2を冷却することなく成形に用いるダイレクト成形であっても、冷却されたパリソンを再加熱したものを用いて行う成形であってもよいが、ダイレクト成形であることが好ましい。パリソン2の形状は、特に限定されず、筒状であっても、シート状であってもよい。成形に用いる樹脂は任意であり、例えばポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂のような熱可塑性樹脂が用いられる。一例では、筒状のパリソン2を用いたダイレクトブロー成形によってダクト用の成形体が成形される。
【0012】
図4に示すように、成形用金型1は、開閉可能な第1及び第2分割型11,12を有する。また、成形用金型1は、キャビティ13と、ピンチオフ部14と、バリ収容空間15と、突き出し部材16を備える。
【0013】
図4図7に示すように、キャビティ13は、所望の成形品4を成形するための空間であり、第1及び第2分割型11,12のそれぞれに設けられた分割キャビティ面11a,12aが合わさってキャビティ外面13aが構成される。一例では、第1及び第2分割型11,12のそれぞれに設けられた分割キャビティ11b,12bが合わさってキャビティ13が形成される。キャビティ外面13aは、成形品4の外面に対応した形状を有する。キャビティ13内で袋状になったパリソン2内にエアーを吹き込むか、キャビティ外面13aからパリソン2を減圧吸引することによって、パリソン2をキャビティ外面13aに沿った形状に賦形することができる。
【0014】
ピンチオフ部14は、キャビティ13を取り囲むように第1及び第2分割型11,12の合わせ面17に設けられる。ピンチオフ部14は、キャビティ13の全周に渡って設けられることが好ましい。ピンチオフ部14では、パリソン2が挟圧されて薄肉化され、薄肉部5aとなる。図2に示すように、第1分割型11には分割キャビティ11bを取り囲む凸条11cが設けられており、第2分割型12には、分割キャビティ12bを取り囲む凸条12cが設けられており、凸条11cと凸条12cが互いに押し付けられてピンチオフ部14が構成される。凸条11cと凸条12cの幅は互いに異なっていてもよく、凸条11cと凸条12cの一方は平坦面であってもよい。ピンチオフ部14の幅は、例えば、0.1~3.0mmであり、0.2~1.0mが好ましい(本実施形態では0.5mm)。この幅は、具体的には例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0015】
バリ収容空間15は、ピンチオフ部14の外側に設けられ且つ成形品4の周囲に形成されるバリ5を収容する空間である。バリ収容空間15は、ピンチオフ部14を取り囲むように設けられることが好ましい。バリ収容空間15は、細長い空間であることが好ましい。バリ収容空間15は、第1及び第2分割型11,12で囲まれた空間であるので、第1及び第2分割型11,12は、それぞれ、バリ収容空間15に対向する部位を有する。
【0016】
図7に示すように、第1分割型11は、バリ収容空間15に対向する部位に案内孔11dを備える。突き出し部材16は、案内孔11dを通じてバリ収容空間15に対して進退可能に構成される。図8図10に示すように、第1分割型11側から突き出し部材16をバリ収容空間15内のバリ5に向かって突き出し、バリ5を第2分割型12側に向かって押圧することによって、薄肉部5aが引き裂かれてバリ5が成形品4から分断される。図2に示すように、案内孔11d及び突き出し部材16は、ピンチオフ部14に沿って複数設けられることが好ましい。
【0017】
バリ5の分断性を高めるべく、突き出し部材16は、ピンチオフ部14にできるだけ近い位置に配置されることが好ましい。ピンチオフ部14と突き出し部材16の間隔D1(図7Bに図示)は、例えば、3~20mmであり、5~15mmが好ましい(本実施形態では10mm)。突き出し部材16の中心軸とピンチオフ部14の間隔D2は、例えば、10~30mmであり、15~25mmが好ましい(本実施形態では20mm)。これらの値が小さすぎると突き出し部材16が第2分割型12と干渉しやすくなり、これらの値が大きすぎるとバリ5の分断性が悪化する場合がある。D1は、具体的には例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。D2は、具体的には例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0018】
突き出し部材16の直径は、例えば、5~40mmであり、10~30mmが好ましく、15~25mmがさらに好ましい(本実施形態では20mm)。この値が小さすぎると、バリ5の分断性が低くなる場合があり、この値が大きすぎると、バリ収容空間15が大きくなって、金型サイズの増大につながる場合がある。この値は、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0019】
図7Bに示すように、突き出し部材16の先端面16aの中央には凹部16bが設けられている。先端面16aの周縁にはテーパー面16cが設けられている。これによって、先端面16aがバリ5に食い込みやすくなって、突き出し部材16を突き出す際に、バリ5が先端面16aに対して滑りにくくなり、突き出し部材16が加える力がバリ5に伝わりやすくなる。
【0020】
図6に示すように、本実施形態では、第1及び第2分割型11,12は、それぞれ、バリ収容空間15に対向し且つピンチオフ部14に沿って設けられた溝状凹部11e,12eを備える。溝状凹部11e,12eが合わさってバリ収容空間15が形成される。なお、第1分割型11は、溝状凹部11eを備えず、バリ収容空間15に対向する部位が例えば平坦面であってもよい。
【0021】
第1分割型11の溝状凹部11eの深さは、例えば、0~5.0mmであり、1.0~4.0mmが好ましく、2.0~3.0mmがさらに好ましい(本実施形態では2.5mm)。なお、深さ0mmは、バリ収容空間15に対向する部位が平坦面であることを意味する。この値が小さすぎると、ピンチオフ部14から押し出された樹脂がバリ収容空間15ではなくキャビティ13に向かって移動しやすくなり、成形品4が中空体である場合に成形品4の内面に樹脂の盛り上がりが発生しやすくなる場合がある。この値が大きすぎると、突き出し部材16によるバリ5の分断性が低下しやすくなる場合がある。
【0022】
第2分割型12の溝状凹部12eの深さは、例えば、10~50mmであり、20~40mmが好ましく、25~35mmがさらに好ましい(本実施形態では30mm)。この値が小さすぎると、突き出し部材16のストロークが短くなりすぎてバリ5の分断性が低下する場合がある。この値が大きすぎると、バリ5が溝状凹部12eに嵌って外れにくくなる場合がある。この値は、具体的には例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0023】
第2分割型12の溝状凹部12eは、ピンチオフ部14から溝状凹部12eの底12kに向かって延びる内側側面12fを備える。内側側面12fは、第1及び第2分割型11,12の開閉方向(図1の左右方向、図6Aの上下方向)に垂直な基準面19に対する傾斜角度α1(図7Bに図示)が60度以下となる第1部位12f1を有する(本実施形態では、α1=45度)。内側側面12fにこのような部位を設けることによって分断したバリ5が溝状凹部12eに嵌って外れにくくなることが抑制される。第1部位12f1の角度は、例えば、15~60度であり、20~55度が好ましく、25~50度がさらに好ましい。この値は、例えば、具体的には例えば、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以下であってもよい。第1部位12f1は平面であっても曲面であってもよい(本実施形態では平面)。なお、本実施形態では、合わせ面17と基準面19が平行であるので、図4B及び図6Aでは、同一の直線に合わせ面17と基準面19の符号を付しているが、合わせ面17と基準面19は非平行であってもよい。
【0024】
第1部位12f1は、溝状凹部12eの深さ方向の中央よりも浅い位置に設けられることが好ましく、ピンチオフ部14に連なるように設けられることがさらに好ましい(つまり、第1部位12f1がピンチオフ部14に連なる連接部位12jであることが好ましい)。ピンチオフ部14に連なる連接部位12jの傾斜角度が大きすぎると、ピンチオフ部14を構成する凸条12cが細い突出形状になって強度が低くなってしまうところ、本実施形態では、連接部位12jの傾斜角度が60度以下であるので、凸条12cが極端に細くならず、強度低下が抑制される。この点は、凸条11cについても同様であり、ピンチオフ部14の外側でピンチオフ部14に連なる連接部位11jの傾斜角度は、60度以下が好ましい(本実施形態では45度)。連接部位11j,12jの傾斜角度は、例えば、具体的には例えば、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以下であってもよい。
【0025】
さらに、連接部位12jの傾斜角度が大きくなりすぎると、図9図10に示すように突き出し部材16でバリ5を押圧する前にバリ5が分断されやすくなり、その場合、冷却工程で冷却媒体がピンチオフ部14に直接接触して、ピンチオフ部14を通じて成形品4が冷却されやすくなって成形品4にヒケなどの不具合が発生しやすくなるところ、連接部位12jの傾斜角度を60度以下にすることによって、上記不具合の発生が抑制される。
【0026】
第1部位12f1の射影幅W(基準面19への射影の、ピンチオフ部14の延在方向に垂直な方向の長さ。図6Cに図示)は、例えば1~20mmであり、3~10mmが好ましい。この値が小さすぎると第1部位12f1を設けた効果が十分に発揮されない場合がある。この値が大きすぎると、第2分割型12が突き出し部材16に干渉しやすくなる。この値は、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0027】
内側側面12fは、第1部位12f1よりもピンチオフ部14から離れた位置に第2部位12f2を有することが好ましい。第2部位12f2は平面であっても曲面であってもよい(本実施形態では平面)。第2部位12f2は、第1部位12f1に連なるように設けられることが好ましい。第2部位12f2は、基準面19に対する傾斜角度α2が第1部位12f1の傾斜角度α1よりも大きい(本実施形態では、α2=75度)。このような構成によれば、第2分割型12が突き出し部材16に干渉しにくくなる。また、第2部位12f2の傾斜角度α2は、例えば、50~85度であり、60~80度が好ましい。第2部位12f2の傾斜角度α2と、第1部位12f1の傾斜角度α1の差は、例えば、10~50度であり、20~40度が好ましい。この値が小さすぎると、第2部位12f2を設けた効果が十分に発揮されない場合がある。この値が大きすぎると、バリ5が溝状凹部12eに嵌って外れにくくなる場合がある。傾斜角度α2は、具体的には例えば、50、55、60、65、70、75、80、85度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。傾斜角度α2と傾斜角度α1の差は、具体的には例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0028】
第2部位12f2の射影幅は、例えば、1~5mmであり、具体的には例えば、1、2、3、4、5mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。第2部位12f2の射影幅は、第1部位12f1の射影幅Wよりも狭いことが好ましい。
【0029】
内側側面12fは、第2部位12f2よりもピンチオフ部14から離れた位置に第3部位12f3を有することが好ましい。第3部位12f3は、第2部位12f2に連なるように設けられることが好ましい。第3部位12f3は、基準面19に対する傾斜角度α3が第2部位12f2の傾斜角度α2よりも大きい(本実施形態では、α3=90度)。このような構成によれば、第2分割型12が突き出し部材16に一層干渉しにくくなる。また、第3部位12f3の傾斜角度α3は、例えば、80~90度であり、85~90度が好ましい。
【0030】
図7Bに示すように、内側側面12fには、突き出し部材16が溝状凹部12e内に突き出されたときに突き出し部材16に対向する位置に、突き出し部材16の進退方向に沿って延びる局所凹部12gが設けられることが好ましい。局所凹部12gを設けることによって、第2分割型12と突き出し部材16の干渉を避けることができるので、突き出し部材16をピンチオフ部14に近づけやすくなり、バリ5の分断性が向上する。また、バリ5が局所凹部12g内に押し込まれると、反作用によって局所凹部12g以外の部位においてバリ5が浮きやすくなったり、溝状凹部12e内でバリ5が波打った形状になったりしやすくなったりするので、バリ5を溝状凹部12eから取り除きやすくなる。
【0031】
局所凹部12gの深さ(突き出し部材16の進退方向に垂直な方向(つまり、図7の左右方向)の深さ)は、例えば、1~10mmであり、2~8mmが好ましい(本実施形態では5mm)。この値が小さすぎると局所凹部12gを設けた効果が十分に発揮されない場合があり、この値が大きすぎると、バリ5が局所凹部12gに嵌って外れにくくなる場合がある。この値は、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。局所凹部12gの幅(ピンチオフ部14の延在方向の長さ)は、例えば、5~40mmであり、10~30mmが好ましく、25~35mmが好ましい(本実施形態では20mm)。この値が小さすぎると局所凹部12gを設けた効果が十分に発揮されない場合があり、この値が大きすぎると、バリ5が局所凹部12gに嵌って外れにくくなる場合がある。この値は、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0032】
図9Aに示すように、成形用金型1は、バリ挟み部18を備えることが好ましい。バリ挟み部18は、ピンチオフ部14の外側において第1及び第2分割型11,12の合わせ面17に設けられる。バリ収容空間15は、ピンチオフ部14とバリ挟み部18の間に設けられる。バリ挟み部18は、バリ収容空間15の外側でバリ5を挟むことによって、突き出し部材16をバリ5に向かって突き出したときにバリ5が変位しにくくなって、バリ5の分断性が高まる。突き出し部材16をバリ5に向かって突き出したときにバリ挟み部18側でバリ5が分断されないようにすべく、バリ挟み部18ではバリ5を挟むものの、ピンチオフ部14ほどは薄肉化しないことが好ましい。従って、第1及び第2分割型11,12を閉状態にした状態で、バリ挟み部18での第1及び第2分割型11,12の間隔が、ピンチオフ部14での第1及び第2分割型11,12の間隔よりも広いことが好ましい。
【0033】
ピンチオフ部14とバリ挟み部18の間隔D(図7Bに図示)は、例えば、20~150mmであり、30~100mmが好ましい(本実施形態では40mm)。この間隔が小さすぎると、突き出し部材16が加えた力が、バリ5のうち、バリ挟み部18で挟まれた部位にも強く作用して、この部位でバリ5が分断されやすくなってしまう場合がある。この間隔が大きすぎると、バリ5の分断性が低下する場合がある。間隔Dは、具体的には例えば、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0034】
D1/Dは、0.40以下が好ましく、0.30以下がさらに好ましい(本実施形態では0.25)。D1/Dは、例えば0.05~0.50であり、0.15~0.40が好ましい。また、D2/Dは、0.50以下が好ましく、0.35以下がさらに好ましい(本実施形態では0.50)。D2/Dは、例えば0.10~0.70であり、0.10~0.50が好ましい。これらの値が小さすぎると突き出し部材16が第2分割型12と干渉しやすくなり、これらの値が大きすぎるとバリ5の分断性が悪化する場合がある。D1/Dは、具体的には例えば、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲または何れか以下であってもよい。D2/Dは、具体的には例えば、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65,0.70であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以下であってもよい。突き出し部材は、図7Bに示すように、溝状凹部12eの幅方向の中央に配置してもよく、図11に示すように溝状凹部12e内においてピンチオフ部14に寄った位置に配置してもよい。後者の場合、D2/Dは、0.50よりも小さい値になる。
【0035】
図6Cに示すように、溝状凹部12eは、バリ挟み部18から溝状凹部12eの底に向かって延びる外側側面12hを備える。外側側面12hは、基準面19に対する傾斜角度が60度以下となる第1部位12h1を有することが好ましい。外側側面12hにこのような部位を設けることによって分断したバリ5が溝状凹部12eに嵌って外れにくくなることが抑制される。第1部位12h1の角度は、例えば、15~60度であり、20~55度が好ましく、25~50度がさらに好ましい(本実施形態では45度)。この値は、例えば、具体的には例えば、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以下であってもよい。
【0036】
第1部位12h1は、溝状凹部12eの深さ方向の中央よりも浅い位置に設けられることが好ましく、バリ挟み部18につらなるように設けられることがさらに好ましい。第1部位12h1の射影幅は、例えば1~20mmであり、3~10mmが好ましい。この値が小さすぎると第1部位12h1を設けた効果が十分に発揮されない場合がある。この値が大きすぎると、第2分割型12が突き出し部材16に干渉しやすくなる。この値は、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0037】
外側側面12hは、第1部位12h1よりもバリ挟み部18から離れた位置に第2部位12h2を有する。第2部位12h2は、第1部位12h1に連なるように設けられることが好ましい。第2部位12h2は、基準面19に対する傾斜角度が第1部位12h1よりも大きい(本実施形態では、80度)。第1部位12h1と第2部位12h2の説明は、第1部位12f1と第2部位12f2の説明と同様である。
【0038】
上述した成形用金型1を用いた成形では、まず、図1に示すように開状態にした第1及び第2分割型11,12の間にパリソン2を配置し、その状態で第1及び第2分割型11,12を閉じてキャビティ13を形成すると共に、パリソン2を成形して成形体3を形成する。パリソン2のうちキャビティ13内に配置された部位は、成形品4の形状に成形され、キャビティ13外に配置された部位は、バリ5となる。以上の工程によって、図9Aに示す構造が得られる。
【0039】
2.冷却工程
図9Bに示すように、冷却工程では、バリ収容空間15内のバリ5を冷却する。バリ5の冷却は、バリ5に冷却媒体(例:エアー)を吹き付けることによって行うことが好ましい。また、バリ5の冷却は、第2分割型12に設けたバリ冷却孔12iを通じてバリ5に冷却媒体を吹き付けることによって行うことが好ましい。この場合、冷却媒体によってバリ5が第1分割型11側に押し付けられつつ冷却される。これによって、突き出し部材16が加える力がバリ5に伝わりやすくなって、バリ5が分断されやすくなる。また、冷却工程を行う時点では、突き出し部材16は、第1分割型11から突出していることが好ましい。この場合、バリ5に第1分割型11側に押し付けられたときに、突き出し部材16がバリ5に食い込みやすくなり、突き出し部材16が加える力がバリ5に伝わりやすくなる。突き出し部材16の突出量は、例えば、0.5~3mmであり、1.0~2.0mmが好ましい。冷却工程は、不要な場合は、省略可能である。
【0040】
3.分断工程
図10A図10Bに示すように、分断工程では、突き出し部材16をバリ収容空間15内に突き出すことによって、バリ5を成形品4から分断する。本実施形態の成形用金型1では、ピンチオフ部14に沿って設けられた溝状凹部12eの内側側面12fに、傾斜角度が60度以下という緩やかな傾斜の第1部位12f1が設けられているので、図10A図10Bのような状態を経て、バリ5が成形品4から分断される。この場合、傾斜が比較的緩やかな第1部位12f1によってバリ5が支持されつつバリ5が突き出し部材16によって押圧されて、バリ5が成形品4から分断される。このような構成によれば、成形品4から分断されたバリ5が溝状凹部12e内に嵌って外れにくくなることが抑制され、成形品4の製造効率の低下が抑制される。なお、分断工程では、成形品4の全周に渡ってバリ5を分断することが好ましいが、成形品4の外周の一部においてバリ5を分断してもよい。この場合、成形品4とバリ5を一緒に成形用金型1から取り出した後の後処理工程で、分断されていない部位を分断させることによってバリ5を成形品4から分離することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 :成形用金型
2 :パリソン
3 :成形体
4 :成形品
5 :バリ
5a :薄肉部
11 :第1分割型
11a :分割キャビティ面
11b :分割キャビティ
11c :凸条
11d :案内孔
11e :溝状凹部
11j :連接部位
12 :第2分割型
12a :分割キャビティ面
12b :分割キャビティ
12c :凸条
12e :溝状凹部
12f :内側側面
12f1 :第1部位
12f2 :第2部位
12f3 :第3部位
12g :局所凹部
12h :外側側面
12h1 :第1部位
12h2 :第2部位
12i :バリ冷却孔
12j :連接部位
12k :底
13 :キャビティ
13a :キャビティ外面
14 :ピンチオフ部
15 :バリ収容空間
16 :突き出し部材
16a :先端面
16b :凹部
16c :テーパー面
17 :合わせ面
18 :バリ挟み部
19 :基準面
W :射影幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11