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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171747
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】空間、および表示媒体
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/431 20110101AFI20241205BHJP
【FI】
H04N21/431
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088928
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】509281519
【氏名又は名称】アイキューブド研究所株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(72)【発明者】
【氏名】近藤 哲二郎
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA14
5C164UB81P
(57)【要約】
【課題】従来、部屋等の空間において、自然環境を再現できなかった。その結果、例えば、部屋等の空間において、異なる脳を有する2以上の人が協調することが困難であった。
【解決手段】自然環境に基づいて取得された映像であり、自然環境を再現した映像を表示する1以上の表示媒体11を含む空間1であり、異なる人が協調することを可能にした空間1により、部屋等の空間において、自然環境を再現できる。その結果、例えば、部屋等の空間において、異なる脳を有する2以上の人の協調が容易になる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然環境に基づいて取得された映像であり、自然環境を再現した映像を表示する1以上の表示媒体を含む空間であり、異なる人が協調することを可能にした空間。
【請求項2】
前記協調することは、2以上の人が異なる価値を持ち寄り、新しい価値を創出することである、請求項1記載の空間。
【請求項3】
同一の場所の映像または同一の場所に関連した映像を表示する2以上の表示媒体を具備する請求項1記載の空間。
【請求項4】
空間における異なる位置に配置される前記2以上の各表示媒体が表示する映像は、前記異なる位置に応じた異なる映像である請求項3記載の空間。
【請求項5】
3以上の側壁面を有し、少なくとも2以上の各側壁面に、少なくとも1以上の表示媒体を具備する請求項3または請求項4記載の空間。
【請求項6】
前記2以上の各表示媒体は、
表示している映像を、当該映像に対応する前記場所が異なる他の映像に切り替える、請求項3記載の空間。
【請求項7】
前記2以上の各表示媒体は、
切替条件が満たされた場合に、前記他の映像に切り替える請求項6記載の空間。
【請求項8】
輸送体の中に設けられた空間であり、2以上のサブ空間を有し、
前記2以上の各表示媒体は、前記2以上の各サブ空間に存在する請求項3から請求項5記載の空間。
【請求項9】
請求項1記載の空間が具備する1または2以上の表示媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然環境を再現することにより、異なる人が協調することを可能にした空間等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、部屋等において、絵画を飾ることにより、複数の人がリラックスして話ができる空間を提供していた(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“一枚の絵画で心が豊かに☆アートな空間作りのヒント”、[令和5年5月20日検索]、インターネット[URL:https://roomclip.jp/mag/archives/52852]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来においては、部屋または輸送体等の空間において、自然環境を再現できなかった。そのために、例えば、部屋等の空間において、異なる脳を有する2以上の人が協調することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本第一の発明の空間は、自然環境に基づいて取得された映像であり、自然環境を再現した映像を表示する1または2以上の表示媒体を含む空間であり、異なる人が協調することを可能にした空間である。なお、空間は、例えば、建造物、家屋、部屋、または輸送体である。
【0006】
かかる構成により、部屋等の空間において、自然環境を再現できる。その結果、例えば、部屋等の空間において、異なる脳を有する2以上の人の協調が容易になる。
【0007】
また、本第二の発明の空間は、第一の発明に対して、協調することは、2以上の人が異なる価値を持ち寄り、新しい価値を創出することである、空間である。
【0008】
かかる構成により、部屋等の空間において、自然環境を再現できる。その結果、部屋等の空間において、異なる脳を有する2以上の人が異なる価値を持ち寄り、新しい価値を創出することを支援できる。
【0009】
また、本第三の発明の空間は、第一または第二の発明に対して、同一の場所の映像または同一の場所に関連した映像を表示する2以上の表示媒体を具備する空間である。
【0010】
かかる構成により、部屋等の空間において、特定の場所の自然環境を再現できる。
【0011】
また、本第四の発明の空間は、第三の発明に対して、空間における異なる位置に配置される2以上の各表示媒体が表示する映像は、異なる位置に応じた異なる映像である空間である。
【0012】
かかる構成により、部屋等の空間において、自然環境をより適切に再現できる。
【0013】
また、本第五の発明の空間は、第三または第四の発明に対して、3または4以上の側壁面を有し、少なくとも2以上の各側壁面に、少なくとも1以上の表示媒体を具備する空間である。
【0014】
かかる構成により、3以上の側壁面を有する部屋等の空間において、自然環境を再現できる。
【0015】
また、本第六の発明の空間は、第三から第五いずれか1つの発明に対して、2以上の各表示媒体は、表示している映像を、映像に対応する場所が異なる他の映像に切り替える、空間である。
【0016】
かかる構成により、部屋等の空間において、2以上の各自然環境を再現できる。
【0017】
また、本第七の発明の空間は、第六の発明に対して、2以上の各表示媒体は、切替条件が満たされた場合に、他の映像に切り替える空間である。
【0018】
かかる構成により、部屋等の空間において、2以上の各自然環境を切り替えて再現できる。
【0019】
また、本第八の発明の空間は、第三から第五いずれか1つの発明に対して、輸送体の中に設けられた空間であり、2以上のサブ空間を有し、2以上の各表示媒体は、2以上の各サブ空間に存在する空間である。
【0020】
かかる構成により、輸送体の空間において、自然環境を再現できる。その結果、例えば、輸送体において、異なる脳を有する2以上の人の協調が容易になる。
【0021】
また、本第九の発明の表示媒体は、第一から第八のいずれか1つの発明に対して、空間が具備する1以上の表示媒体である。
【0022】
かかる構成により、部屋等の空間において、自然環境を再現する表示媒体を提供できる。
【0023】
また、本第十の発明のサーバは、第三から第八のいずれか1つの発明に対して、空間が具備する2以上の各表示媒体に、映像を送信するサーバである。
【0024】
かかる構成により、部屋等の空間において、自然環境を再現することを支援できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、自然環境を再現できる空間を提供できる。その結果、例えば、部屋等の空間において、異なる脳を有する2以上の人の協調が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施の形態1における空間システムAの概念図
図2】同空間システムAのブロック図
図3】同空間1の例を示す図
図4】同空間1の例を示す図
図5】同空間1の例を示す図
図6】実施の形態2における空間システムBのブロック図
図7】同空間3の例を示す図
図8】実施の形態4における動画出力装置5のブロック図
図9】同動画出力装置5の動作例について説明するフローチャート
図10】同変換処理の例について説明するフローチャート
図11】同制御情報変更処理の例について説明するフローチャート
図12】同LUTを説明する図
図13】同LUTの構造の例を示す図
図14】同制御情報管理表を示す図
図15】同動画出力装置5の動作例を説明する図
図16】同画面例を示す図
図17】同制御情報管理表を示す図
図18】同動画出力装置5の動作例を説明する図
図19】同画面例を示す図
図20】同制御情報管理表を示す図
図21】同動画出力装置5の動作例を説明する図
図22】実施の形態5におけるシステムCのブロック図
図23】上記実施の形態におけるコンピュータシステムの概観図
図24】同コンピュータシステムのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、空間等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0028】
(実施の形態1)
本実施の形態において、自然環境を再現することにより、異なる脳を有する人が協調することを可能にした空間について説明する。なお、人が育ってきた環境や今までの人の経験等により、人の脳は異なっており、その結果、従来は、複数の人が協調することは容易ではなかった。ここで、協調することは、例えば、各自が異なる価値を持ち寄り、新しい価値を創出することである。また、協調することとは、例えば、各自が協力して共同作業を行うこと、各自が話し合いにおいて意思の疎通がスムーズにできること、である。
【0029】
また、本実施の形態において、2以上の表示媒体を有する空間であって、当該2以上の各表示媒体には、同一の場所の映像もしくは同一の場所に関連した映像が表示される空間について説明する。なお、2以上の各表示媒体が表示する映像は、表示媒体の位置に応じた、異なる映像であることは好適である。
【0030】
また、本実施の形態において、3以上の側壁面を有する空間であり、少なくとも2以上の各側壁面に、少なくとも1以上の表示媒体を有する空間について説明する。なお、空間は、4つの側壁面を有することは好適である。
【0031】
また、本実施の形態において、表示媒体が表示する映像を変更することにより、役割が変化する空間について説明する。なお、映像の変更は、自動的な変更であることは好適である。
【0032】
なお、本明細書において、情報Xが情報Yに対応付いていることは、情報Xから情報Yを取得できること、または情報Yから情報Xを取得できることであり、その対応付けの方法は問わない。情報Xと情報Yとがリンク付いていても良いし、同じバッファに存在していても良いし、情報Xが情報Yに含まれていても良いし、情報Yが情報Xに含まれている等でも良い。
【0033】
図1は、本実施の形態における空間システムAの概念図である。空間システムAは、1または2以上の空間1、およびサーバ2を備える。
【0034】
空間1には、1以上の表示媒体11が存在する。空間1には、通常、2以上の表示媒体11が存在する。
【0035】
空間1は、3または4以上の側壁面12を備えることは好適である。空間1は、閉空間であることは好適である。空間1は、天井を有することは好適である。空間1は、一部に開放されている空間でも良い。一部に開放されている空間は、例えば、ドアが開いている空間、天井が無い空間である。空間1は、例えば、建造物、または輸送体である。建造物とは、人工的に作られた空間である。建造物は、例えば、家屋、部屋、テントである。輸送体とは、人を輸送する物である。輸送体は、例えば、列車、自動車、飛行機であるが、その種類は問わない。
【0036】
空間1の側壁面12には、通常、1または2以上の表示媒体11が配置されている。空間1における2以上の各側壁面12に、1または2以上の表示媒体11が配置されていることは好適である。なお、空間1における3以上の側壁面12のうち、表示媒体11が配置されていない側壁面12があっても良い。
【0037】
表示媒体11とは、映像を表示する媒体である。表示媒体11は、映像を表示する装置である。表示媒体11は、通常、ディスプレイであるが、プロジェクタまたはプロジェクタが映像を投影する領域でも良い。ディスプレイは、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELのディスプレイであるが、その種類は問わない。また、表示媒体には意匠登録第1648658号のようなフレームを有することは好適である。
【0038】
ここでの映像は、通常、自然映像である。自然映像とは、自然環境に基づいて取得された映像である。自然映像とは、自然環境を再現した映像である。自然映像は、例えば、自然を撮影した動画である。自然映像に、人工物が映っていても良い。自然映像は、実施の形態4、または5のような処理を施した映像であることは好適である。自然は、例えば、山、森、湖、池、川、海である。
【0039】
表示媒体11は、サーバ2から送信された映像を表示することは好適であるが、元々、表示媒体11が格納している映像を表示しても良い。表示媒体11は、表示装置と言っても良い。表示媒体11は、例えば、サーバ2から映像を受信する。表示媒体11は、例えば、受信した映像を格納部111に、少なくとも一時蓄積する。表示媒体11は、サーバ2に映像の送信指示を送信して、当該送信指示の送信に応じて、サーバ2から映像を受信しても良い。
【0040】
サーバ2は、1または2以上の各表示媒体11に映像を供給する装置である。サーバ2は、例えば、クラウドサーバまたはASPサーバであるが、その種類は問わない。
【0041】
サーバ2と1または2以上の各表示媒体11とは、インターネット等のネットワークにより通信可能であることは好適である。
【0042】
図2は、本実施の形態における空間システムAのブロック図である。空間システムAは、1または2以上の空間1、およびサーバ2を備える。空間1は、3以上の側壁面12を備える。3以上の各側壁面12のうちの1または2以上の側壁面12には、1または2以上の表示媒体11が配置される。表示媒体11は、例えば、格納部111、表示部112、および切替部113を備える。
【0043】
サーバ2は、サーバ格納部21、サーバ受信部22、サーバ処理部23、およびサーバ送信部24を備える。
【0044】
格納部111には、1または2以上の映像が格納される。格納部111の映像は、サーバ2から受信された映像であることは好適である。格納部111には、2以上の各場所の映像が格納されることは好適である。
【0045】
空間1の1または2以上の側壁面12には、2以上の表示媒体11が配置されることは好適である。また、2以上の各表示媒体11は、異なる位置に配置されていることは好適である。また、2以上の各表示媒体11は、同じサイズであることは好適であるが、異なるサイズでも良い。つまり、映像が表示される領域は同じサイズであることは好適であるが、異なるサイズでも良い。さらに、2以上の各表示媒体11が配置される高さは、同じ高さであることは好適である。同じ高さに2以上の各表示媒体11が配置されることにより、人の脳は、2以上の各表示媒体11が表示する映像を繋げて、一の自然映像を認識し易くなる。
【0046】
空間1の2以上の各表示媒体11が表示する映像は、同一の場所の映像であることは好適である。空間1の2以上の表示媒体11が表示する映像は、例えば、同一の場所に関連した映像である。同一の場所の映像は、同じ自然を撮影した映像である。同一の場所に関連した映像は、例えば、自然を撮影した映像および撮影した場所の名物の映像である。名物とは、例えばその場所の特産品、その場所で食べることのできる料理、その場所で行われるイベント、その場所で体験できるアクティビティ、その場所に存在する建築物などである。
【0047】
空間1における異なる位置に配置される2以上の各表示媒体11が表示する映像は、2以上の表示媒体11の異なる位置に応じた異なる映像であることは好適である。2以上の表示媒体11の異なる位置に応じた異なる各映像は、一の場所の映像のうちの一部の領域の映像であり、表示媒体11の異なる位置に応じた領域の映像であることは好適である。2以上の表示媒体11の異なる位置に応じた異なる各映像は、例えば、一の場所の広角の映像から、表示媒体11の異なる位置に応じた領域を切り取った一部の映像であることは好適である。また、一の場所から、実際に表示媒体11の異なる位置に応じた方向を撮影した映像であることは好適である。かかることにより、2以上の各表示媒体11が表示する映像を見る人の脳は、映像が表示されている領域(例えば、ディスプレイ)を、空間(例えば、部屋)の向こう側に広がる光景であると錯覚し、当該人は、空間の向こう側には、映像の場所の自然が広がっている、と考える。つまり、2以上の各表示媒体11が表示する映像を見る人が居る空間1が、映像の場所に存在する空間であると、人の脳が錯覚する。言い換えれば、当該空間1に居る人の脳が、2以上の各表示媒体11に表示された映像を繋げて、2以上の表示媒体11の間の壁の向こうに自然が広がっていると錯覚し、自分がその自然の中に身を置いているように感じる。
【0048】
表示媒体11の位置は、空間1において、通常、窓が設置される位置であることは好適である。窓が設置される位置であり、表示媒体11の位置は、例えば、表示媒体11の下辺が、床面から略600m以上略1200mm未満の位置である。窓が設置される位置であり、表示媒体11の位置は、例えば、平均的な座高の人がソファーに座った場合に、当該人の目の高さが表示媒体11の領域のうちのいずれかの点と同じ高さとなる位置である。
【0049】
また、2以上の各表示媒体11は、ある場所の自然映像のうち、各表示媒体11の異なる位置に応じた異なる一部の領域の自然映像を表示することは好適である。
【0050】
例えば、一の側壁面12の左側に配置された表示媒体11には、ある場所の自然映像のうちの、左側の一部の領域の自然映像を表示し、一の側壁面12の中央に配置された表示媒体11には、ある場所の自然映像のうちの、中央の一部の領域の自然映像を表示し、一の側壁面12の右側に配置された表示媒体11には、ある場所の自然映像のうちの、右側の一部の領域の自然映像を表示する。かかることにより、その空間1に居る人の脳は、左側の表示媒体11の自然映像と中央の表示媒体11の自然映像と右側の表示媒体11の自然映像とを、脳の中で繋ぎ、当該人は、あたかもその場所に居るように錯覚する。
【0051】
例えば、一の側壁面12(1)に配置された表示媒体11(1)と当該一の側壁面12(1)と直角に接する他の側壁面12(2)に配置された表示媒体11(2)とは、例えば、空間1の中の代表点(例えば、中心位置の点)から当該場所の自然を見た場合の一部の領域の映像であり、方向が異なる映像を、各々、表示する。
【0052】
表示部112は、格納部111の映像を表示する。表示部112は、例えば、ディスプレイである。表示部112は、格納部111の映像を側壁面12に投影しても良い。かかる投影も、表示である。かかる場合、表示媒体11は、プロジェクタでも良いし、側壁面12の映像が投影されている領域でも良い。なお、側壁面12の色とディスプレイの枠の色とは同色であることは好適である。
【0053】
切替部113は、表示部112が表示する映像を切り替える。切替部113は、一の場所の映像を他の場所の映像に切り替える。切替部113は、2以上のすべての表示媒体11において、一斉に、一の場所の映像を他の場所の映像に切り替えることは好適である。
【0054】
切替部113は、切替条件が満たされた場合に、表示部112が表示している映像を他の映像に切り替えることは好適である。切替条件は、例えば、一定時間以上、同じ映像が表示されたことである。切替条件は、例えば、ユーザからの指示が受け付けられた場合である。
【0055】
切替部113により、2以上のすべての表示媒体11は、同じタイミングで、一の場所の自然映像から他の場所の自然映像に表示する自然映像を切り替えることは好適である。つまり、2以上のすべての表示媒体11は、同期をとって、表示する自然映像を変更することは好適である。かかることにより、その空間1に居る人の脳は、一の場所から他の場所に移動した、と錯覚する。
【0056】
サーバ2を構成するサーバ格納部21には、1または2以上の映像が格納される。1または2以上の各映像は、表示媒体11を識別する媒体識別子に対応付いていることは好適である。媒体識別子は、例えば、表示媒体11のIPアドレスであるが、問わない。サーバ格納部21には、例えば、場所識別子と媒体識別子に対応付いている、2以上の映像が格納される。場所識別子は、映像の場所を識別する情報である。場所識別子は、例えば、場所名、場所のIDである。
【0057】
サーバ受信部22は、例えば、映像の送信指示を表示媒体11から受信する。
【0058】
サーバ処理部23は、表示媒体11に送信する映像をサーバ格納部21から取得する。サーバ処理部23は、例えば、映像の送信指示の受信に応じて、映像をサーバ格納部21から取得する。
【0059】
サーバ送信部24は、サーバ処理部23が取得した映像を、当該映像と対になる媒体識別子で識別される表示媒体11に送信する。
【0060】
格納部111、およびサーバ格納部21は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
【0061】
格納部111等に情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して情報が格納部111等で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報が格納部111等で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報が格納部111等で記憶されるようになってもよい。
【0062】
切替部113、およびサーバ処理部23は、通常、プロセッサやメモリ等から実現され得る。切替部113等の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。なお、プロセッサは、CPU、MPU、GPU等であり、その種類は問わない。
【0063】
サーバ受信部22は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段で実現されても良い。
【0064】
サーバ送信部24は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送手段で実現されても良い。
【0065】
以下、本実施の形態における空間システムAの具体的な動作例について説明する。今、空間1は、閉空間である。また、空間1は、応接室である。当該空間1は、図3図4、および図5である。
【0066】
空間1の第一の側壁面12(1)には、3つの表示媒体11が配置されている。3つの表示媒体11は、11(1)、11(2)、11(3)である、とする(図3参照)。また、空間1の第一の側壁面12(1)と直角に接しており、右側の側壁面である第二の側壁面12(2)には、1つの表示媒体11が配置されている。当該1つの表示媒体11は、11(4)である、とする(図4参照)。さらに、空間1の第一の側壁面12(1)と直角に接しており、左側の側壁面である第三の側壁面12(3)には、1つの表示媒体11が配置されている。当該1つの表示媒体11は、11(5)である、とする(図5参照)。
【0067】
なお、表示媒体11(1)~(5)は、側壁面12の、通常、窓がある高さの位置に配置されている。また、表示媒体11(1)~(5)は、床からの高さが同じ高さの位置に配置されている。また、表示媒体11(1)~(5)のサイズは、ここでは、同じサイズである。なお、表示媒体11は、側壁面12に接している必要はなく、側壁面12に近い位置に配置されていても良い。かかる場合も、側壁面12は表示媒体11を有する、と考えても良い。
【0068】
そして、表示媒体11(1)~(5)は、一の自然映像を表示している。ここでの一の自然映像は、川の両側の川辺に桜並木が存在する場所を撮影した映像である。表示媒体11(1)~(5)は、空間1における各々の位置に応じた領域の映像であり、前記一の自然映像の一部の領域の映像(適宜、部分映像と言う。)を出力する。なお、表示媒体11(1)~(5)の各格納部111には、前記一の自然映像の中の異なる領域の部分映像が格納されており、表示媒体11(1)~(5)の各表示部112は、当該一の自然映像の中の異なる領域の部分映像を各格納部111から取得し、表示する。なお、表示媒体11(1)~(5)の各表示部112は、時間的な同期がとれた部分映像を表示することは好適である。
【0069】
さらに、本実施の形態において、空間1は、2以上の各表示媒体11が表示する映像を変えることによって、その役割を切り替えることが可能である。
【0070】
なお、役割を切り替える際も、2以上の各表示媒体11が表示する映像は、同一の場所の映像または同一の場所に関連した映像であることは好適である。
以下に、空間1における役割の例を説明する。ここで、同一の場所とは例えば函館とする。
【0071】
空間1の2以上の表示媒体11は、例えば、函館山の麓にある立待岬から海を一望する映像を表示する。そして、空間1では、2以上の人に一面に広がる大海原の映像を見せながら、函館の特産品の料理(例えば、うに、いくら、イカ等が入った海鮮丼)が提供されている。その結果、空間1に居る複数の人は、異なる脳を有するが、協調することを可能にする状況となる。例えば、表示媒体11に映像が表示されていない時と比べて、同じ景色を楽しみながら一緒に食事をしているという感覚を得ることができ、会話が弾み食事を味わうことが可能になる。
【0072】
また、2以上の表示媒体の1つで、函館に関連した映像、例えば提供されている料理を調理している映像や、料理の素材を得ている映像(例えば素材である魚介を釣っている映像)を表示してもよい。それにより、さらに食事を楽しむことが可能になる。
【0073】
このような空間1を「食事空間」とする。
【0074】
空間1の2以上の表示媒体11は、例えば、函館近郊の景勝地である大沼の湖畔の映像を表示する。そして、空間1では、2以上の人が湖畔の映像を見ながら、ディスカッションする、とする。その結果、例えば空間1に居る人の脳は、大自然の中で湖畔を散策しながらリラックスした気分で議論しているように感じる。このような空間では、閉塞的な会議室に比べ、人は他人の意見を素直に聞き、受け入れたり、さらにアイディアを得たりすることができるようになる。それにより、2以上の各人が異なる価値を持ち寄り、新しい価値を創出することができる。
【0075】
空間1の2以上の表示媒体11は、例えば、函館山の頂上からの景色の映像を表示する。そして、空間1では、2以上の人が函館山からの眺望を楽しみながら会話をする、とする。この時、表示媒体11の1つまたは複数で、函館に関連した映像、例えば函館の観光名所の映像を表示してもよい。その結果、例えば、空間1に居る2以上の人の脳は、実際に一緒に函館を観光しているような感覚になり、函館に関する会話も弾む。その結果、空間1に居る2以上の人は、異なる脳を有するが、協調することを可能にする状況となる。例えば、お互いに函館に関する知識を披露したり、体験談を共有したりすることで、お互いの成長に繋げることが可能となる。また、実際に函館に行ってみて実物を体験してみたい、という思いを共有することが可能になる。
【0076】
このような空間1を「成長空間」とする。
【0077】
空間1の2以上の表示媒体11は、例えば、函館の桜の名所である五稜郭の一面に咲き誇る桜の映像を表示する。そして、空間1にはソファーが置かれている。当該ソファーに座っている2以上の人は、一面の満開の桜を見ながら休息しつつ談笑する。その結果、異なる脳を有する人が協調することを可能にする。例えば、お花見をしている華やかな気分を共有してお互いに会話することで、お互いに心身ともにリフレッシュすることが可能となる。
【0078】
このような空間1を「休息空間」とする。
【0079】
空間1の2以上の表示媒体11は、例えば、函館山から見る夕暮れの映像を表示する。そして、時間経過とともに日が沈み夜景となる。そして、空間1には、2以上のベッドが置かれている。当該ベッドに寝そべっている2以上の人は、夕暮れから日が沈んで夜景になっていく様を見ながら就寝する。その結果、異なる脳を有する人が協調することを可能にする。すなわち、本来生活リズムの異なる2以上の人であっても、表示される映像を見て、日が沈んだからそろそろ寝ようという気持ちになり、自然と生活リズムが揃って、お互いに安眠することが可能になる。また、起床時には同様に夜明けの映像を提示してもよい。
【0080】
このような空間1を「睡眠空間」とする。
【0081】
また、各役割において表示媒体11に表示される映像は、それぞれ異なることが好適であるが、同じであってもよい。
【0082】
以上、本実施の形態によれば、部屋等の空間1において、自然環境を再現できる。その結果、例えば、部屋等の空間において、異なる脳を有する2以上の人の協調が容易になる。
【0083】
また、本実施の形態によれば、部屋等の空間1において、自然環境を再現できる。その結果、部屋等の空間1において、異なる脳を有する複数の人が異なる価値を持ち寄り、新しい価値を創出することを支援できる。
【0084】
また、本実施の形態によれば、部屋等の空間1において、自然環境を再現する表示媒体11を提供できる。
【0085】
さらに、本実施の形態によれば、表示媒体11に動画を提供するサーバ2を実現できる。
【0086】
なお、本実施の形態における表示媒体11およびサーバ2の処理は、ソフトウェアで実現しても良い。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布しても良い。また、このソフトウェアをCD-ROMなどの記録媒体に記録して流布しても良い。なお、このことは、本明細書における他の実施の形態においても該当する。
【0087】
(実施の形態2)
本実施の形態と実施の形態1との差異は、本実施の形態においては、空間が2以上のサブ空間を有する点である。本実施の形態において、2以上の各サブ空間は、1以上の表示媒体を有する。ここでの2以上の各表示媒体も、同一の場所の映像もしくは同一の場所に関連した映像を表示することは好適である。なお、サブ空間も空間である。
【0088】
また、本実施の形態においても、自然環境を再現することにより、異なる脳を有する人が協調することを可能にした空間について説明する。
【0089】
さらに、本実施の形態において、輸送体を構成する空間であり、当該空間が有する2以上の各サブ空間は、各々、独立して役割を切り替えることが可能な、2以上のサブ空間である、空間について説明する。
【0090】
図6は、本実施の形態における空間システムBのブロック図である。空間システムBは、空間3、サーバ2を備える。空間3は、2以上のサブ空間31を備える。サブ空間31は、1または2以上の表示媒体11を具備する。
【0091】
サブ空間31は、例えば、輸送体の中に設けられた空間である。サブ空間31は、例えば、輸送体の中の部屋である。サブ空間31における表示媒体11も、通常、サブ空間31の中の側壁面に配置されている。
【0092】
空間3は、2以上のサブ空間31を繋ぐ通路32(図7参照)を有する。
【0093】
空間3は、個々のサブ空間31に対して換気・空調を行う空気制御部33(図7参照)を有する。空気制御部33は、通常サブ空間31および通路32の上下に配置される。
【0094】
以下、本実施の形態における空間システムBの具体的な動作例について説明する。ここでの空間3は、輸送体の中の空間である。輸送体の空間3は、移動空間である、と言える。輸送体は、ここでは、列車である。当該列車は、一の目的地に向かって走行している、とする。当該列車は、例えば、東京から函館に向かっている、とする。
【0095】
空間3は、ここでは、サブ空間31(1)~(5)等を有する(図7参照)。サブ空間31(1)~(5)は、各々、実施の形態1で説明したような役割を切り替えることが可能である。サブ空間31(1)~(5)では、各々の表示媒体11が映像を表示する。その映像は、函館の自然映像、または函館に関連した自然映像である。また、サブ空間31(1)~(5)の各表示媒体11が表示する映像は、サブ空間31の役割に応じて異なっていることは好適であるが、同じでも良い。
【0096】
なお、一のサブ空間31において、表示媒体11が表示する映像次第で、サブ空間31が食事空間にも、仕事空間にも、成長空間にも、休息空間にも、睡眠空間にもなり得る。
【0097】
この時、個々のサブ空間31(1)~(5)において、個別に空気制御33により換気・空調されることは好適である。また、個々のサブ空間31(1)~(5)において、それぞれの役割に応じて換気・空調の状態が制御されることは好適である。
【0098】
以上、本実施の形態によれば、輸送体や部屋等の空間3が有するサブ空間31において、自然環境を再現できる。その結果、例えば、輸送体等のサブ空間31において、異なる脳を有する2以上の人の協調が容易になる。なお、空間3は、一つのサブ空間31のみを有しても良い。
【0099】
また、本実施の形態によれば、輸送体等の空間3が有するサブ空間31において、異なる脳を有する2以上の人が異なる価値を持ち寄り、新しい価値を創出することを支援できる。
【0100】
また、本実施の形態によれば、輸送体等の空間3において、輸送体が向かっている目的地の自然映像を見ながら、移動できる。その結果、輸送体に乗った後は、人の脳は、当該目的地に居るように錯覚する。そのため、異なる脳を有する2以上の人の協調が容易になる。
【0101】
(実施の形態3)
2以上の人が存在する空間4に、1または2以上の表示媒体11を有する実施例について説明する。
【0102】
ここで、2以上の人は対面して会話をする。対面している人の一方は客であり、もう一方は店員である。例えば、空間4が観光案内所である場合、観光客と案内員になる。
【0103】
表示媒体11は、店員が客に対して説明し、提供しようとしている商品または役務に関する映像を表示する。例えば、空間4が観光案内所である場合、案内員が観光客に対して説明しようとしている観光地の映像を表示する。
【0104】
このようにすることで、店員と客が同じ自然環境が再現された空間に身を置くことで、会話が弾み商談をスムーズに行うことが出来る。例えば、空間が観光案内所である場合、案内員は、自然環境が再現されることで、実際に自分がそこに行ったときの体験談を説明することができる。また、観光客は、自然環境が再現されることで、その自然環境に身を置いた気持ちになり、より強く実際にそこに行ってみたいという気持ちになる。
【0105】
このようにして、異なる脳を有する2以上の人の協調が容易になる。
【0106】
なお、段落[0034]から[0036]で説明したように、表示媒体11が複数あることは好適である。その際、段落[0049]から[0051]で説明したように、各表示媒体11の異なる位置に応じた異なる一部の領域の自然映像を表示することは好適である。
【0107】
また、空間4に表示媒体11が1つであってもよい。
【0108】
この時、本来、表示媒体11が複数ある空間用に作られた複数の自然映像を、一定時間で切り替えて表示することは好適である。
【0109】
このようにしても、異なる脳を有する2以上の人の脳内にそれぞれの映像が蓄積され、表示媒体が複数ある時に近い効果を発揮することが可能となる。
【0110】
(実施の形態4)
本実施の形態において、動画を超自然光景に変換する処理を行い、出力する動画出力装置について説明する。なお、本明細書で述べる動画出力装置は、例えば、テレビ、動画再生装置、であり、その種類は問わない。また、映像が表示される面の周囲に意匠登録第1648658号のようなフレームを有することは好適である。また、動画出力装置は、実施の形態1から実施の形態3の表示媒体11の例である。
【0111】
なお、「超自然光景に変換する処理」とは、受け付けた動画を構成する1以上の各画像ごとに、画像を構成する1または2以上の各対象画像から2以上の特徴量を取得し、当該2以上の特徴量を用いて、各対象画像のクラスを決定し、LUT制御表から当該クラスに対応する1または2以上のルックアップテーブル(以下、適宜「LUT」と言う)を決定し、各対象画像に対して1以上のLUTを用いて変換し、統合した変換画像を取得する処理である。
【0112】
図8は、本実施の形態における動画出力装置5のブロック図である。動画出力装置5は、格納部51、受付部52、処理部53、および出力部54を備える。格納部51は、LUT格納部511、および制御情報格納部512を備える。受付部52は、動画取得部521、および入力受付部522を備える。処理部53は、変換部531、および制御変更部532を備える。変換部531は、分割手段5311、分類手段5312、変換手段5313、および統合手段5314を備える。出力部54は、画像出力部541を備える。
【0113】
格納部51には、各種の情報が格納される。各種の情報は、例えば、LUT、制御情報、クラス管理表、1または2以上の動画である。格納部51には、予め超自然光景に変換する処理を行った動画が格納されていても良い。
【0114】
クラス管理表は、クラスを管理する表である。クラス管理表は、例えば、クラス識別子と特徴量ベクトルとを有する2以上のレコードを有する。クラス識別子は、対象画像のクラスを識別する情報である。対象画像は、変換対象の画像である。対象画像は、変換対象の画像または変換対象の部分画像である。対象画像は、通常、部分画像であるが、動画を構成する画像(フィールドやフレームと言っても良い)の全体でも良い。部分画像は、動画を構成する画像の一部の領域の画像である。なお、領域の形状やサイズは問わない。特徴量ベクトルは、対象画像から抽出した2以上の各特徴量を要素とするベクトルである。
【0115】
特徴量は、例えば、近傍特徴量、または全体特徴量である。近傍特徴量とは、画像の一部分の特徴量である。近傍特徴量は、例えば、輝度、画素値、画素の座標、アクティビティ、時空間相関、動きベクトル、周波数分布などがある。また、アクティビティとは、例えば、複数の画素の最大値および最小値、ダイナミックレンジ(DR)、複数の画素の間の差分値などである。複数の画素の間の差分値は、空間内の複数画素間の差分値でも良いし、時間方向の複数画素間の差分値でも良いし、空間内および時間方向の複数画素間の差分値でも良い。また、全体特徴量とは、画像全体の特徴量である。全体特徴量は、例えば、画像全体の画素値分布、画像全体の動きベクトル分布、1または2以上の画像全体の時空間相関、画像全体のノイズ量、画像フォーマット、1以上の画像であるコンテンツに関するコンテンツ情報、パターン検出結果(顔など)などである。ここで、コンテンツ情報とは、例えば、コンテンツの撮影場所、撮影日時、撮影時の気象、被写体の名称や種類、カメラパラメータ(レンズ絞りやシャッター速度など)等である。
【0116】
特徴量は、例えば、フレーム差分の大きさ、空間における平坦度合い、空間における中から高周波成分の多さ、空間における低周波成分の多さ、空間におけるボケ具合である。ボケ具合は、画素値の変化の滑らかさに関する特徴量である。なお、かかる特徴量の取得方法は公知技術であるので、かかる特徴量の取得方法の説明は省略する。なお、特徴量は上述した特徴量に限らないことは言うまでもない。
【0117】
格納部51の動画は、通常、動画識別子に対応付いている。動画識別子は、動画を識別する情報であり、例えば、動画のタイトル、ID、撮影場所、撮影日時、撮影時の気象、被写体の名称や種類、カメラパラメータ(レンズ絞りやシャッター速度など)である。
【0118】
LUT格納部511には、2以上のルックアップテーブルが格納される。通常、LUTは、LUTを識別するLUT識別子に対応付いている。LUT識別子は、例えば、ID、ルックアップテーブルの名称である。
【0119】
LUTは、1または2以上の対応情報を有する。対応情報は、第一画像または第一部分画像と、第二画像または第二部分画像との対応を取るための情報である。第一画像は、変換前の画像である。第二画像は、第一画像とは異なる画像であり、変換後の画像である。第一部分画像は、第一画像の一部分である。第二部分画像は、第二画像の一部分である。
【0120】
対応情報は、例えば、画像を変換する演算式、画像を変換する演算式に与える1以上のパラメータ群、画像を変換するための変換フィルタの1以上のパラメータ群、第一画像または第一部分画像に対応する第二画像または第二部分画像そのものである。対応情報は、例えば、時空間ブロックの画素値の中央値を算出する演算式でも良い。
【0121】
LUTが有する2以上の各対応情報は、例えば、2以上の特徴量に対応付いている。2以上の特徴量は、各特徴量を要素とする特徴量ベクトルと言っても良い。
【0122】
また、1以上の第一画像の全部または第一部分画像および1以上の第二画像の全部または第二部分画像は、出力される一画面の画像でも良いし、一画面の一部のブロックの画像でも良いし、一画素でも良いし、時間的に連続する複数画面でも良いし、時間的に連続する複数画面の空間上の一部分(後述する時空間ブロック)でも良いし、時間的に連続する複数画面の連続する一画素の集合などでも良い。つまり、第一画像および第二画像の情報量の単位は問わない。なお、時空間ブロックとは、通常、動画(映像と言っても良い)を、空間的、または時間的、または空間的かつ時間的に分割した一部分をいう。ただし、時空間ブロックは、画素の集合であれば良い。つまり、時空間ブロックは、矩形の連続領域とは限らない。時空間ブロックは、非矩形かつ不連続な画像の領域でも良い。また、画像を分割されて取得された複数の時空間ブロックは、一部に重複した画素を有するものでも良い。
【0123】
ここで、第一画像と第二画像とは、同一の対象についての異なる画像である。例えば、第一画像は歪の多い画像(例えば、カメラ撮影時に映像に混在するノイズの影響が大きい画像)であり、第二画像は第一画像より歪の少ない画像(例えば、カメラ撮影時に映像に混在するノイズの影響が少ない画像)である。かかる場合、ルックアップテーブルは、例えば、歪量の異なる二つの画像信号のブロック毎に符号化したものの相関を示すものである。また、第一画像は通常の自然環境を撮影した画像であり、第二画像は1000年に一度といった稀にしか発生しない自然環境を撮影した画像である。なお、かかる変換処理については後述する。
【0124】
2以上の各LUTは、達成できることが異なるLUTであることは好適である。2以上の各LUTは、例えば、動きの滑らかさを向上できるLUT、透明感を向上できるLUT、質感を向上できるLUT、壮大さを向上できるLUT、異物の除去ができるLUTなどである。
【0125】
制御情報格納部512には、2以上の制御情報が格納される。制御情報は、対象画像を変換する際に使用するLUTに関する情報である。制御情報は、1または2以上のLUTの使用を特定する情報である。制御情報は、クラス識別子に対応付けられた情報である。クラス識別子に対応付けられた情報は、特徴量ベクトルに対応付けられた情報と同意義であっても良い。クラス識別子は、対象画像のクラスを識別する情報である。制御情報が2以上のLUTの使用を特定する情報である場合、2以上のLUTの使用順序をも特定する情報であることは好適である。制御情報は、例えば、「LUT1,LUT2」である。かかる場合、制御情報は、例えば、対象画像に対して、「LUT1」で識別されるルックアップテーブルを用いて第一変換処理を行い、次に、当該第一変換処理の結果の画像に対して、「LUT2」で識別されるルックアップテーブルを用いて第二変換処理を行い、出力する画像である変換画像を取得することを示す情報である。
【0126】
受付部52は、各種の情報や指示を受け付ける。各種の情報や指示は、例えば、動画、ユーザからの入力である。各種の情報や指示の入力手段は、テンキーやキーボードやマウスやメニュー画面によるもの等、何でも良い。受付部52は、タッチパネルやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現され得る。
【0127】
動画取得部521は、2以上の画像を有する動画を取得する。動画取得部521は、例えば、図示しない放送装置から動画を受信する。動画取得部521は、例えば、図示しない動画管理装置(サーバ)から動画を取得する。動画取得部521は、例えば、格納部51に格納されている動画を読み出す。
【0128】
入力受付部522は、ユーザからの入力を受け付ける。入力は、例えば、出力指示、動画切替指示、動画識別子、特性識別子、領域識別子、LUT、LUTの変更指示、制御情報、制御情報の変更指示である。
【0129】
出力指示は、動画を出力する指示であり、動画を特定する情報(例えば、動画識別子)が含まれることは好適である。動画切替指示は、出力中の動画を切り替える指示であり、切り替える動画を特定する情報(例えば、動画識別子)が含まれることは好適である。特性識別子は、動画の特性を識別する情報であり、例えば、「動きの滑らかさ」「透明感」「質感」「壮大さ」「異物除去」等である。領域識別子は、領域を特定する情報である。領域は、例えば、ユーザが指示する矩形の領域であるが、非矩形の領域であったりオブジェクトであったりしてもよい。
【0130】
ここで、受け付けとは、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力デバイスから入力された情報の受け付け、有線もしくは無線の通信回線を介して送信された情報の受信、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなどの記録媒体から読み出された情報の受け付けなどを含む概念である。
【0131】
処理部53は、各種の処理を行う。各種の処理は、例えば、変換部531、制御変更部532が行う処理である。
【0132】
入力受付部522がLUTを受け付けた場合、処理部53は、当該LUTをLUT格納部511に蓄積する。また、入力受付部522がLUTの変更指示を受け付けた場合、処理部53は、当該変更指示に従って、LUTを変更する。
【0133】
入力受付部522が制御情報を受け付けた場合、処理部53は、当該制御情報を制御情報格納部512に蓄積する。また、入力受付部522が制御情報の変更指示を受け付けた場合、処理部53は、当該変更指示に従って、制御情報を変更する。
【0134】
変換部531は、動画を構成する1以上の各画像に対して、超自然光景に変換する処理を行い、変換画像を取得する。かかる処理を変換処理と言う。
【0135】
分割手段5311は、動画を構成する1以上の各画像を分割し、2以上の部分画像を取得する。分割手段5311は、通常、動画を構成する全ての画像(静止画)に対して、分割する処理を行うが、一部の画像に対してのみ、分割する処理を行っても良い。
【0136】
分割手段5311は、例えば、動画を構成する各画像を同じサイズの部分画像に分割する。分割手段5311は、例えば、動画を構成する画像を、縦X、横Yのサイズの部分画像に分割する。分割手段5311は、動画を構成する各画像を異なるサイズの同じ形状(例えば、矩形)の部分画像に分割しても良い。
【0137】
分割手段5311は、例えば、動画を構成する各画像から1または2以上のオブジェクトを抽出し、1以上の各オブジェクトと背景とを、部分画像として取得する。分割手段5311は、例えば、動画を構成する各画像から2以上のオブジェクトを抽出し、2以上の各オブジェクトを、部分画像として取得する。なお、画像に対してオブジェクトを抽出する技術は公知技術であるので、詳細な説明を省略する。
【0138】
分類手段5312は、例えば、まず、対象画像から2以上の特徴量を取得する。対象画像は、例えば、分割手段5311が取得した部分画像である。対象画像は、例えば、動画取得部521が取得した画像である。動画取得部521が取得した画像は、第一画像と言っても良い。動画取得部521が取得した画像は、変換前の画像である。
【0139】
次に、分類手段5312は、2以上の特徴量を用いて、当該対象画像のクラス識別子を取得する。分類手段5312は、例えば、対象画像から2以上の特徴量を取得し、当該2以上の特徴量を用いて特徴量ベクトルを構成し、当該特徴量ベクトルに最も近似する特徴量ベクトルと対になるクラス識別子を決定する。なお、クラス識別子を決定することは、通常、格納部51のクラス管理表から取得することである。クラス識別子を決定することは、クラス識別子を取得することでも良い。
【0140】
変換手段5313は、対象画像ごとに、分類手段5312が決定したクラス識別子に対応する制御情報を制御情報格納部512から取得する。次に、変換手段5313は、対象画像ごとに、取得した制御情報が特定する1以上のルックアップテーブルを用いて、対象画像を変換し、変換対象画像を取得する。
【0141】
変換手段5313は、例えば、対象画像ごとに、制御情報が特定する1以上の各ルックアップテーブルごとに、分類手段5312が取得した2以上の特徴量(特徴量ベクトル)に対応する対応情報を決定し、当該対応情報を用いて、対象画像を変換し、変換対象画像を取得する。
【0142】
なお、分類手段5312が取得した特徴量ベクトルに対応する対応情報を決定する処理は、例えば、分類手段5312が取得した特徴量ベクトルに最も近似する特徴量ベクトルに対応する対応情報を決定する処理である。
【0143】
統合手段5314は、変換手段5313が取得した2以上の変換対象画像を統合し、変換画像を取得する。2以上の変換対象画像を統合することは合成することである、と考えても良い。2以上の変換対象画像を統合することは、2以上の変換対象画像を含む画像を構成することである。
【0144】
統合手段5314は、通常、2以上の変換対象画像の元になった2以上の対象画像の位置関係を変更しないように、2以上の変換対象画像を合成し、変換後の動画を構成する変換画像を構成する。
【0145】
制御変更部532は、入力受付部522が受け付けた入力に基づいて、2以上のクラス識別子のうちのいずれか1以上のクラス識別子に対応する制御情報を変更する。
【0146】
制御変更部532は、例えば、まず、変更する1以上の制御情報を決定する。次に、制御変更部532は、変更対象の制御情報を変更する。制御変更部532は、すべての制御情報を変更しても良い。
【0147】
変更する制御情報を決定することは、例えば、変更する対象のクラスのクラス識別子を取得することである。例えば、入力受付部522が受け付けた入力が不足する特性を特定する特性識別子である場合、制御変更部532は、当該特性識別子に対応するLUTのLUT識別子を有さない1以上の制御情報を、変更する対象の制御情報であるとして決定する。制御変更部532は、例えば、入力受付部522が受け付けた入力に対応する動画であり、出力された1以上の画像において、分類手段5312が、頻度条件を満たすほど高い頻度で決定した1以上のクラス識別子に対応する制御情報を、変更する対象の制御情報であるとして決定する。なお、特性識別子は、LUTの特性を特定する情報であり、例えば、LUTが向上できる効果を識別する情報であり、例えば、「動きの滑らかさ」「透明感」「質感」「壮大さ」「異物除去」等である。また、頻度条件は、決定した回数が閾値以上または閾値より多いクラス識別子であること、決定された回数が最大のクラス識別子であること、決定された回数が上位N(Nは2以上の自然数)までのクラス識別子であることである。
【0148】
入力受付部522が受け付けた入力が不足する特性を特定する特性識別子である場合、制御変更部532は、当該特性識別子に対応するLUTのLUT識別子を制御情報に加える。当該LUT識別子を加える対象の制御情報は、制御変更部532が変更する制御情報として決定した制御情報であることは好適である。ただし、制御変更部532は、全ての制御情報に当該LUT識別子を加えても良い。
【0149】
例えば、入力受付部522が受け付けた入力が不足する特性を特定する特性識別子と領域を示す情報である場合、制御変更部532は、当該領域を示す情報に対応する1または2以上の部分画像を決定し、当該1以上の各部分画像から2以上の特徴量を取得し、当該2以上の特徴量に対応するクラス識別子を取得する。そして、制御変更部532は、取得した1以上の各クラス識別子に対応する1以上の制御情報を、変更する対象の制御情報であるとして決定する。次に、制御変更部532は、変更する対象の制御情報に、入力受付部522が受け付けた特性識別子に対応するLUTのLUT識別子を制御情報に加える。
【0150】
出力部54は、各種の情報を出力する。各種の情報は、例えば、変換画像である。
【0151】
ここで、出力とは、ディスプレイへの表示、プロジェクタを用いた投影であるが、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。なお、出力を図示しない蓄積部に記録し、再生指示に従って出力してもよい。
【0152】
画像出力部541は、変換部531が取得した1以上の各変換画像を、順次、出力する。画像出力部541は、変換された動画を出力する。
【0153】
格納部51、LUT格納部511、および制御情報格納部512は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
【0154】
格納部51等に情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して情報が格納部51等で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報が格納部51等で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報が格納部51等で記憶されるようになってもよい。
【0155】
受付部52、動画取得部521、および入力受付部522は、例えば、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段、タッチパネルやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現されても良い。
【0156】
処理部53、変換部531、制御変更部532、分割手段5311、分類手段5312、変換手段5313、および統合手段5314は、通常、プロセッサやメモリ等から実現され得る。処理部53等の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。なお、プロセッサは、CPU、MPU、GPU等であり、その種類は問わない。
【0157】
出力部54、および画像出力部541は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部54等は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
【0158】
次に、動画出力装置5の動作例について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0159】
(ステップS901)受付部52は、動画の出力指示を受け付けたか否かを判断する。出力指示を受け付けた場合はステップS902に行き、出力指示を受け付けなかった場合はステップS901に戻る。
【0160】
(ステップS902)動画取得部521は、出力指示に対応する動画から、順次、画像を取得する。そして、動画取得部521は、画像を取得した否かを判断する。画像を取得した場合はステップS903に行き、画像を取得しなかった場合はステップS905に行く。
【0161】
(ステップS903)変換部531は、ステップS902で取得された画像に対して、変換処理を行い、変換画像を取得する。変換処理の例について、図10のフローチャートを用いて説明する。
【0162】
(ステップS904)画像出力部541は、ステップS903で取得された変換画像を出力する。ステップS902に戻る。
【0163】
(ステップS905)入力受付部522は、入力を受け付けたか否かを判断する。入力を受け付けた場合はステップS906に行き、入力を受け付けなかった場合はステップS907に行く。
【0164】
(ステップS906)制御変更部532は、制御情報変更処理を行う。ステップS902に戻る。制御情報変更処理の例について、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0165】
(ステップS907)処理部53は、処理を終了するか否かを判断する。処理を終了する場合はステップS901に戻り、処理を終了しない場合はステップS902に戻る。なお、処理を終了する場合は、例えば、動画の最後の画像に対応する変換画像が出力された場合、終了指示が受け付けられた場合である。ただし、処理の終了のトリガーは問わない。
【0166】
なお、図9のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0167】
次に、ステップS903の変換処理の例について、図10のフローチャートを用いて説明する。
【0168】
(ステップS1001)分割手段5311は、画像を分割し、1以上の部分画像を取得する。部分画像は、変換対象の対象画像である。
【0169】
(ステップS1002)分類手段5312は、カウンタiに1を代入する。
【0170】
(ステップS1003)分類手段5312は、i番目の対象画像が存在するか否かを判断する。
【0171】
(ステップS1004)分類手段5312は、分割手段5311により分割され、取得されたi番目の対象画像を取得する。
【0172】
(ステップS1005)統合手段5314は、対象画像の位置情報を取得する。なお、位置情報は、i番目の対象画像の画像における相対的な位置を示す情報であり、通常、1以上の(x,y)である。対象画像が矩形の場合、例えば、位置情報は、当該矩形の左上座標と右下座標である。対象画像がオブジェクトである場合、例えば、位置情報は、当該オブジェクトの重心座標、または当該オブジェクトの輪郭を示す3以上の座標の集合である。
【0173】
(ステップS1006)分類手段5312は、i番目の対象画像の2以上の特徴量(特徴量ベクトル)を取得する。
【0174】
(ステップS1007)分類手段5312は、ステップS1006で取得した特徴量ベクトルに最も近似する特徴量ベクトルを、格納部51のクラス管理表が有する特徴量ベクトルから決定する。次に、分類手段5312は、当該決定した特徴量ベクトルと対になるクラス識別子をクラス管理表から取得する。
【0175】
(ステップS1008)変換手段5313は、ステップS1007で取得されたクラス識別子と対になる制御情報を制御情報格納部512から取得する。
【0176】
(ステップS1009)カウンタjに1を代入する。
【0177】
(ステップS1010)変換手段5313は、ステップS1008で取得した制御情報の中に、j番目に使用するべきLUT識別子が存在するか否かを判断する。j番目のLUT識別子が存在する場合はステップS1011に行き、存在しない場合はステップS1014に行く。
【0178】
(ステップS1011)変換手段5313は、j番目のLUT識別子で識別されるLUTが有する対応情報の中から、ステップS1006で取得された特徴量ベクトルに最も近似する特徴量ベクトルを決定し、当該特徴量ベクトルに対応する対応情報を決定する。
【0179】
(ステップS1012)変換手段5313は、ステップS1011で決定した対応情報を用いて、変換対象の画像を変換する。なお、変換対象の画像は、i番目の対象画像または、直前のループ処理においてステップS1012で変換して、取得した画像である。なお、対応情報を用いて画像を変換する処理は、例えば、公開特許公報(特開2012-252687、特開2014-154046)に開示されている。
【0180】
(ステップS1013)カウンタjを1、インクリメントする。ステップS1010に戻る。
【0181】
(ステップS1014)統合手段5314は、最終的にステップS1012で取得された画像である変換対象画像を、ステップS1005で取得した位置情報が示す位置に配置する。
【0182】
(ステップS1015)分類手段5312は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS1003に戻る。
【0183】
次に、ステップS906の制御情報変更処理の例について、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0184】
(ステップS1101)制御変更部532は、変更する1以上の制御情報を決定する。
【0185】
(ステップS1102)制御変更部532は、カウンタiに1を代入する。
【0186】
(ステップS1103)制御変更部532は、i番目の変更対象の制御情報が存在するか否かを判断する。i番目の変更対象の制御情報が存在する場合はステップS1104に行き、存在しない場合は上位処理にリターンする。
【0187】
(ステップS1104)制御変更部532は、i番目の変更対象の制御情報を取得する。
【0188】
(ステップS1105)制御変更部532は、変更後の制御情報を取得する。
【0189】
(ステップS1106)制御変更部532は、i番目の変更対象の制御情報を、ステップS1105で取得した変更後の制御情報に書き換える。
【0190】
(ステップS1107)制御変更部532は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS1103に戻る。
【0191】
以下、本実施の形態における動画出力装置5の具体的な動作例について説明する。以下、2つの具体例を説明する。具体例1は、動画に対して超自然光景に変換する処理を行うことにより、部屋等の空間において、自然環境を再現する動画を出力する場合である。具体例2は、制御情報が変更される場合である。
【0192】
ここでの具体例において、動画出力装置5のLUT格納部511には、図12に示す5つのLUTを含む多数のLUTが格納されている、とする。また、LUTの構造の例は、図13である。図13のLUTは、多数の対応情報を有する。また、対応情報は、ここでは、特徴量ベクトルとフィルタ係数とを有する。図13において「特徴量ベクトル」は、1以上の全体特徴量(例えば、「A1=(V1,V2,V3,V4)」)と1以上の近傍特徴量(例えば、「α01=(p01-1,p01-2,p01-3,p01-4)」とを有するベクトルである。なお、画像からかかる全体特徴量と近傍特徴量とを取得する処理は、公知技術であり、例えば、公開特許公報(特開2012-252687)に開示されている。また、フィルタ係数は、画像の変換フィルタが使用する係数である。対応情報が有する「フィルタ係数」(例えば、「F01」)は、フィルタ係数の集合である。なお、LUTの構造は種々考えられ、問わないことは、上述した通りである。
【0193】
また、制御情報格納部512には、図14に示す制御情報管理表が格納されている。制御情報管理表は、制御情報を管理する表である。制御情報管理表は、「クラス識別子」「特徴量ベクトル」「制御情報」を有する2以上のレコードを有する。制御情報管理表の「特徴量ベクトル」は、1以上の全体特徴量(例えば、「a1=(v1,v2,v3,v4)」)と1以上の近傍特徴量(例えば、「β01=(P01-1,P01-2,P01-3,P01-4)」とを有するベクトルである。
【0194】
(具体例1)
かかる状況において、出力指示が動画出力装置5に与えられた、とする。次に、動画出力装置5の受付部52は、動画の出力指示を受け付ける。
【0195】
次に、動画取得部521は、出力指示に対応する動画から、順次、画像を取得する。例えば、動画取得部521は、図15の1501の画像(富士山の画像)を取得する。
【0196】
変換部531は、画像1501に対して、以下のような変換処理を行い、変換画像を取得する。つまり、変換部531を構成する分割手段5311は、画像1501を時空間ブロックに分割して部分画像を取得する。次に、分類手段5312は、各部分画像の特徴量ベクトル(例えば、「鳥の位置の部分画像に対する特徴量ベクトル:(8,0,・・・,3,0,0)」)を取得する。また、統合手段5314は、各時空間ブロック(対象画像)の位置情報を取得する。なお、分割手段5311は、画像1501を時空間ブロックに分割することに代えて、画像1501に対してオブジェクト認識処理を行い、鳥、空、山、虫の各々の部分画像を取得しても良い。
【0197】
次に、分類手段5312は、対象画像ごとに、取得した特徴量ベクトルに最も近似する特徴量ベクトルを、図14の制御情報管理表の特徴量ベクトルから決定する。そして、分類手段5312は、対象画像「鳥」に対してクラス識別子「C1」、対象画像「空」に対してクラス識別子「C2」、対象画像「山」に対してクラス識別子「C3」、対象画像「虫」に対してクラス識別子「C4」を取得した、とする。
【0198】
次に、変換手段5313は、各対象画像に対して、クラス識別子と対になる制御情報を取得する。つまり、例えば、変換手段5313は、対象画像「鳥」に対して制御情報「LUT1,LUT3」を取得する。また、変換手段5313は、対象画像「空」に対して制御情報「LUT2」を取得する。また、変換手段5313は、対象画像「山」に対して制御情報「LUT4」を取得する。さらに、変換手段5313は、対象画像「虫」に対して制御情報「LUT5」を取得する。
【0199】
次に、変換手段5313は、各対象画像に対して、1または2以上の各LUTを順番に適用し、変換画像を取得する。つまり、変換手段5313は、対象画像「鳥」に対して、LUT1を用いて画像変換を行い、動きの滑らかさが向上した画像を取得する。次に、変換手段5313は、当該変換結果の画像に対して、LUT3を用いて画像変換を行い、質感が向上した変換対象画像を取得する。次に、統合手段5314は、当該変換対象画像を、対象画像「鳥」に対して取得した位置情報が示す位置に配置する。
【0200】
また、変換手段5313は、対象画像「空」に対して、LUT2を用いて画像変換を行い、透明感が向上した変換対象画像を取得する。次に、統合手段5314は、当該変換対象画像を、対象画像「空」に対して取得した位置情報が示す位置に配置する。
【0201】
また、変換手段5313は、対象画像「山」に対して、LUT4を用いて画像変換を行い、壮大さが向上した変換対象画像を取得する。次に、統合手段5314は、当該変換対象画像を、対象画像「山」に対して取得した位置情報が示す位置に配置する。
【0202】
さらに、変換手段5313は、対象画像「虫」に対して、LUT5を用いて画像変換を行い、異物(虫)が除去された変換対象画像を取得する。次に、統合手段5314は、当該変換対象画像を、対象画像「虫」に対して取得した位置情報が示す位置に配置する。以上の処理により、変換画像が取得された。
【0203】
次に、画像出力部541は、当該変換画像(1502)を出力する。以上の処理を、出力指示が特定する動画を構成する各画像に対して行うことにより、変換処理が行われた2以上の変換画像が順次出力される。その結果、動画の視聴者は、超自然光景に変換する処理が行われることにより、部屋等の空間において、自然環境を再現できる。その結果、例えば、部屋等の空間において、異なる脳を有する2以上の人の協調が容易になる。
【0204】
(具体例2)
視聴者が、具体例1において出力された富士山の動画(1502参照)を見ながら、図16の出力に対して、視聴者は、特性「質感」が不足していると思い、「質感」ボタン1601と質感が不足している「領域」1602とを指示した、とする。
【0205】
次に、入力受付部522は、「質感」ボタン1601に対応するLUT識別子「LUT3」を、格納部51から取得する。なお、格納部51には、図16の各ボタンに対応する1以上のLUT識別子が格納されている、とする。
【0206】
次に、分類手段5312は指示された領域に含まれる部分画像の2以上の特徴量を取得し、当該2以上の特徴量を有する特徴量ベクトルと対になるクラス識別子を決定する。ここでは、例えばクラス識別子「C3」が該当したとする。
【0207】
なお、領域内に複数の部分画像が含まれる場合は、それら全てに対してクラス識別子を決定してもよい(すなわちクラス識別子は複数になる)し、それらの特徴量ベクトルの重心に対して1つのクラス識別子を決定してもよい。
【0208】
次に、制御変更部532は該当したクラス識別子(ここでは例えばクラス識別子「C3」)に対応する制御情報に、入力受付部522が取得したLUT識別子「LUT3」を付加する(図17参照)。なお、ここでは図示しない手段でLUTの順序を指示してもよい。
【0209】
以後、変換部531は、更新された制御情報管理表を用いて、画像を変換し、変換画像を取得する(図18参照)。また、画像出力部541は、かかる変換画像を出力する。
【0210】
さらに、視聴者が、画像出力部541から出力された変換画像を見て、空の部分の「透明感」が不足していると思い、透明感が不足している「領域」1901(空の一部分)を指定し、「透明感」ボタン1902を指示したとする(図19参照)。
【0211】
次に、入力受付部522は、「透明感」ボタンに対応するLUT識別子「LUT2」を、格納部51から取得する。
【0212】
次に、分類手段5312は指示された領域に含まれる部分画像の特徴量を求め、当該特徴量ベクトルと対になるクラス識別子を決定する。ここでは、例えばクラス識別子「C2」が該当したとする。
【0213】
次に、制御変更部532は該当したクラス識別子(ここでは例えばクラス識別子「C2」)に対応する制御情報に、入力受付部522が取得したLUT識別子「LUT2」を付加する(図20参照)。ここで、同一のLUTが2回選択されてもよい。
【0214】
以後、変換部531は、更新された制御情報管理表を用いて、画像を変換し、変換画像を取得する(図21参照)。また、画像出力部541は、かかる変換画像を出力する。
【0215】
以上の処理により、動画の視聴中にでも、富士山の質感が向上し、なおかつ空の透明感がさらに向上した画像への変換を行える。これを繰り返すことで、従来の処理では得られない、視聴者がより価値を感じる映像を容易に出力することが可能となる。
【0216】
以上、本実施の形態によれば、視聴者は、超自然光景に変換する処理が行われることにより、部屋等の空間において、自然環境を再現できる。その結果、例えば、部屋等の空間において、異なる脳を有する2以上の人の協調が容易になる。
【0217】
また、本実施の形態によれば、視聴者からの入力に基づいて、視聴者がより価値を感じる動画への変換を行える。
【0218】
なお、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現しても良い。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布しても良い。また、このソフトウェアをCD-ROMなどの記録媒体に記録して流布しても良い。なお、このことは、本明細書における他の実施の形態においても該当する。なお、本実施の形態における情報処理装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、2以上の画像を有する動画を取得する動画取得部と、前記動画を構成する1以上の各画像に対して、超自然光景に変換する処理を行い、変換画像を取得する変換部と、前記変換部が取得した1以上の各変換画像を、順次、出力する画像出力部として機能させるためのプログラムである。
【0219】
(実施の形態5)
本実施の形態において、部屋等の空間において、自然環境を再現するシステムCについて説明する。図22は、システムCのブロック図である。かかるシステムCは、1または2以上の動画出力装置6を具備する。システムCは、動画出力システムと言っても良い。なお、システムCは、2以上の動画出力装置6を有することは好適である。
【0220】
動画出力装置6は、動画出力装置5と同じ装置であることは好適であるが、他の動画出力装置でも良い。動画出力装置6は、動画取得部621が取得した動画を、変換せずに、出力しても良い。
【0221】
動画出力装置6は、例えば、格納部61、受付部62、処理部63、出力部64を具備する。受付部62は、動画取得部621を具備する。
【0222】
格納部61には、例えば、1または2以上の動画が格納されている。格納部61には、予め超自然光景に変換する処理を行った動画が格納されていても良い。
【0223】
処理部63は、例えば、動画取得部621が取得した動画を出力部64に渡す。なお、出力される動画は、格納部61から取得されても良いし、図示しない放送装置やサーバ等から受信されても良い。
【0224】
出力部64は、処理部63から渡された動画を出力する。出力部64は、画像出力部41と同じでも良い。
【0225】
格納部61は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
【0226】
格納部61に情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して情報が格納部61で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報が格納部61で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報が格納部61で記憶されるようになってもよい。
【0227】
処理部63は、通常、プロセッサやメモリ等から実現され得る。処理部63の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。なお、プロセッサは、CPU、MPU、GPU等であり、その種類は問わない。
【0228】
出力部64は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部4等は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
【0229】
システムCを構成する2以上の動画出力装置6は、予め決められた位置関係に配置されていることは好適である。システムCを構成する2以上の動画出力装置6は、横に並んでいることは好適である。2以上の動画出力装置6は、水平な床に対して、同じ高さの位置に横に並んでいることは好適である。2以上の動画出力装置6は、同じ画面サイズであることは好適である。なお、システムCを構成する2以上の動画出力装置6は、縦に並んでいても良い。
【0230】
システムCにおいて、2以上の各動画出力装置6は、同じ環境(一の環境)に設置されていることは好適である。ここでの環境とは、空間、部屋、地点等である。一の環境とは、例えば、同じ部屋、同じ空間である。また、2以上の動画出力装置6の動画取得部621が取得する動画は、他の環境を撮影した動画であることは好適である。他の環境は、動画出力装置6が設置される一の環境とは異なる環境である。
【0231】
2以上の各動画出力装置6で出力される動画は、同期が取れた動画であることは好適である。2以上の各動画出力装置6で出力される動画は、2以上の各動画出力装置6が一の環境に設置される際の位置関係と同じ位置関係にある2以上のカメラで、他の環境を撮影した動画であることは好適である。
【0232】
なお、2以上の各動画出力装置6において、動画を出力する際の同期の取り方は問わない。同期が取れた各画像を、2以上の各動画出力装置6が同時に出力を開始するようにしても良い。一の動画出力装置6が他の動画出力装置6に指示を送信し、同じタイミング情報に対応する画像を出力するようにしても良い。また、図示しないサーバから2以上の各動画出力装置6にタイミング情報を送信し、同じタイミングで、各動画出力装置6において、同期が取れた画像を出力するようにしても良い。
【0233】
以上、本実施の形態によれば、2以上の動画出力装置6を用いて、部屋等の空間において、自然環境を再現できる。その結果、例えば、部屋等の空間において、異なる脳を有する2以上の人の協調が容易になる。
【0234】
なお、本実施の形態によれば、システムCは、2以上の動画出力装置6が設置された部屋、2以上の動画出力装置6が設置された家屋、2以上の動画出力装置6が設置されたマンション等でも良い。
【0235】
(実施の形態6)
本実施の形態において、ユーザからの入力によって、複数の環境を撮影した動画を切り替えて出力するシステムEについて説明する。なお、システムEは、動画出力システムと言っても良い。
【0236】
システムEは、1または2以上の動画出力装置6を具備する。1以上の各動画出力装置6は、ユーザの指示に基づいて、異なる2以上の動画のうちのいずれかの動画を出力する。なお、動画出力装置6は、動画出力装置5でも良い。
【0237】
また、2以上の各動画は、動画出力装置6が設置されている一の環境とは異なる他の環境である景勝地を撮影した動画であることは好適である。異なる2以上の動画は、各々、異なる景勝地を撮影した動画であることは好適である。
【0238】
また、各動画はそれぞれの自然環境が最もよい条件で撮影されたもの(例えば、雲1つない晴天、空気の透明度が高い時、夕焼けの瞬間、雲海が発生している状況など)であることは好適である。
【0239】
以上、本実施の形態によれば、部屋等の空間において、自然環境を再現するシステムを提供できる。
【0240】
さらに具体的には、散在する複数の景勝地の、それぞれ最高の瞬間を一か所にいながらに見ることが可能になることで、日常の生活では得られないような感動を覚え、自身の社会環境の中での行動規範へとフィードバックすることができる(例えば、自身を顧みて生活信条を改める、その景勝地に行ってみようと決心するなど)。
【0241】
また、空間に存在する2以上の人が、そのような感動を同時に感じることによって、異なる脳を有する2以上の人の協調が容易になる。
【0242】
また、図23は、本明細書で述べたプログラムを実行して、上述した種々の実施の形態のサーバ2等を実現するコンピュータの外観を示す。上述の実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムで実現され得る。図23は、このコンピュータシステム300の概観図であり、図24は、システム300のブロック図である。
【0243】
図23において、コンピュータシステム300は、例えば、コンピュータ301と、キーボード302と、マウス303と、モニタ304とを含む。
【0244】
図24において、コンピュータ301は、例えば、CD-ROMドライブ3012に加えて、MPU3013と、CD-ROMドライブ3012等に接続されたバス3014と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM3015と、MPU3013に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶するとともに一時記憶空間を提供するためのRAM3016と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するためのハードディスク3017とを含む。
【0245】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0246】
以上のように、本発明にかかる部屋や輸送体等の空間において、自然環境を再現できる。その結果、例えば、部屋等の空間において、異なる脳を有する2以上の人の協調が容易になるという効果を有し、建造物、輸送体等として有用である。
【符号の説明】
【0247】
A、B 空間システム
1、3 空間
2 サーバ
11 表示媒体
12 側壁面
21 サーバ格納部
22 サーバ受信部
23 サーバ処理部
24 サーバ送信部
31 サブ空間
111 格納部
112 表示部
113 切替部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24