(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171749
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】表示パネル格納構造、電子機器、並びに表示パネル格納方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20241205BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20241205BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20241205BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
F16B5/10 M
G02F1/1333
H05K5/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088932
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 朔
(72)【発明者】
【氏名】下山 峻
【テーマコード(参考)】
2H189
3J001
4E360
5G435
【Fターム(参考)】
2H189AA53
2H189AA55
2H189AA63
2H189AA67
2H189AA70
2H189HA03
3J001FA06
3J001GA01
3J001GA06
3J001GB01
3J001HA04
3J001HA08
3J001JD15
3J001KB01
3J001KB06
4E360AB05
4E360AB06
4E360AB08
4E360AB09
4E360EA03
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4E360EC04
4E360EC05
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4E360GA08
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4E360GB99
4E360GC02
4E360GC08
5G435AA06
5G435AA17
5G435EE03
5G435EE04
5G435EE07
5G435EE13
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】製造コストを低減しつつ、振動による異音の発生を防ぐこと。
【解決手段】表示パネル格納構造は、表示パネルを収容する外観パネル11と、表示パネルの背面を覆うように外観パネル11に取り付けられる背面板金13と、背面板金13に設けられて外観パネル11の周壁11Cに沿うように延びる舌片1と、外観パネル11の長辺部中央の周壁11Cに形成されて舌片1が挿入される挿入部2と、挿入部2に設けられる振動防止部2Aと、を含み、振動防止部2Aは、弾性変形することにより舌片1を挿入部2の内面に向けて押さえ付ける態様で設けられており、舌片1の挿入方向に沿って延びる先端2Aaが内面に向いて形成され、先端2Aaと内面との間隔T2が舌片1の板厚T1よりも小さく形成される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルを収容する外観パネルと、
前記表示パネルの背面を覆うように前記外観パネルに取り付けられる背面板金と、
前記背面板金に設けられて前記外観パネルの周壁に沿うように延びる舌片と、
前記外観パネルの長辺部の前記周壁の中央に形成されて前記舌片が挿入される挿入部と、
前記挿入部に設けられる振動防止部と、
を含み、
前記振動防止部は、弾性変形することにより前記舌片を前記挿入部の内面に向けて押さえ付ける態様で設けられており、前記舌片の挿入方向に沿って延びる先端が前記内面に向いて形成され、前記先端と前記内面との間隔が前記舌片の板厚よりも小さく形成される、
表示パネル格納構造。
【請求項2】
前記挿入部の内部において、前記挿入部に挿入された前記舌片を介して前記背面板金の位置決めをする位置決め部をさらに含む、請求項1に記載の表示パネル格納構造。
【請求項3】
前記挿入部は、
前記外観パネルの前記周壁の厚さをえぐって形成された切込と、
当該切込を囲んで前記舌片を挿入可能にするガイド部材と、
前記ガイド部材が前記周壁の背面端から前記背面板金の板厚分を含み前記舌片の挿入方向に位置がずれたえぐれ部と、
を有する、請求項1または2に記載の表示パネル格納構造。
【請求項4】
表示パネルを収容する外観パネルと、
前記表示パネルの背面を覆うように前記外観パネルに取り付けられる背面板金と、
前記背面板金に設けられて前記外観パネルの周壁に沿うように延びる舌片と、
前記外観パネルの長辺部の前記周壁の中央に形成されて前記舌片が挿入される挿入部と、
前記挿入部に設けられる振動防止部と、
を含み、
前記振動防止部は、弾性変形することにより前記舌片を前記挿入部の内面に向けて押さえ付ける態様で設けられており、前記舌片の挿入方向に沿って延びる先端が前記内面に向いて形成され、前記先端と前記内面との間隔が前記舌片の板厚よりも小さく形成される、表示パネル格納構造が適用される、電子機器。
【請求項5】
表示パネルを収容する外観パネルと、
前記表示パネルの背面を覆うように前記外観パネルに取り付けられる背面板金と、
前記背面板金に設けられて前記外観パネルの周壁に沿うように延びる舌片と、
前記外観パネルの長辺部の前記周壁の中央に形成されて前記舌片が挿入される挿入部と、
前記挿入部に設けられる振動防止部と、
を含み、
前記振動防止部は、弾性変形することにより前記舌片を前記挿入部の内面に向けて押さえ付ける態様で設けられており、前記舌片の挿入方向に沿って延びる先端が前記内面に向いて形成され、前記先端と前記内面との間隔が前記舌片の板厚よりも小さく形成される、表示パネル格納構造を適用し、
前記外観パネルに前記表示パネルを収容する工程と、
前記外観パネルに前記背面板金を取り付けるように、前記挿入部に前記舌片を挿入する工程と、
を含む、表示パネル格納方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネル格納構造、電子機器、並びに表示パネル格納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ボディを構成するボディ本体と上部カバーとを組み付ける構造が示されている。この構造は、上部カバーの両側壁に係合片が設けられ、ボディ本体の両側壁に被係合部が設けられ、係合片を被係合部に嵌合させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、電子機器は、表示部において、外観パネルに板金を固定して外観パネルと板金との間に液晶パネルのような表示パネルを格納する表示パネル格納構造が採用される。外観パネルは、液晶パネルを収容するように背面が開放された枠状に形成される。板金は、液晶パネルの背面側を覆うように形成され、その周縁に外観パネルの側壁の内面に沿うように折れ曲がった固定片が形成され、当該固定片が外側からネジで外観パネルに固定される。しかし、この表示パネル格納構造では、外側の複数方向からネジを固定するため、ネジの部品費用や組み立て工数が多く製造コストが嵩む問題がある。
【0005】
そこで、表示パネル格納構造において、ネジで固定する点数を極力減らすには、特許文献1に示されるように、外観パネルの両側壁に被係合部を設け、板金に係合片を設ける嵌合構造が考えられる。しかしながら、この嵌合構造を採用した場合、係合片の厚みと被係合部の間隔との寸法公差の関係上、隙間が生じてしまう。そして、嵌合のみの構造により外観パネルの両側壁の剛性が低下して変形しやすく、この変形により、嵌合部分付近が振動で揺れ、隙間によって振動時に異音が発生する懸念がある。
【0006】
本発明は、製造コストを低減しつつ、振動による異音の発生を防ぐことのできる表示パネル格納構造、電子機器、並びに表示パネル格納方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様の表示パネル格納構造は、表示パネルを収容する外観パネルと、前記表示パネルの背面を覆うように前記外観パネルに取り付けられる背面板金と、前記背面板金に設けられて前記外観パネルの周壁に沿うように延びる舌片と、前記外観パネルの長辺部の前記周壁の中央に形成されて前記舌片が挿入される挿入部と、前記挿入部に設けられる振動防止部と、を含み、前記振動防止部は、弾性変形することにより前記舌片を前記挿入部の内面に向けて押さえ付ける態様で設けられており、前記舌片の挿入方向に沿って延びる先端が前記内面に向いて形成され、前記先端と前記内面との間隔が前記舌片の板厚よりも小さく形成される。
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様の電子機器は、上述した表示パネル格納構造が適用される。
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様の表示パネル格納方法は、上述した表示パネル格納構造が適用し、前記外観パネルに前記表示パネルを収容する工程と、前記外観パネルに前記背面板金を取り付けるように、前記挿入部に前記舌片を挿入する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製造コストを低減しつつ、振動による異音の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る表示パネル格納構造が適用される電子機器の正面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る表示パネル格納構造を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る表示パネル格納構造の背面板金の斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る表示パネル格納構造の外観パネルの部分拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る表示パネル格納構造の外観パネルの部分拡大背面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る表示パネル格納構造の外観パネルの部分拡大平面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る表示パネル格納構造の部分拡大断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る表示パネル格納構造の部分拡大断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る表示パネル格納構造の部分拡大断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る表示パネル格納構造の部分拡大断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る表示パネル格納方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態(以下、実施形態という)につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0013】
本実施形態に係る電子機器は、車両の内部に搭載される、例えば、AV(Audio Visual)一体型のカーナビゲーション装置である。
【0014】
ここで、以下の説明において、正面とは、オペレータが視る面であって、各図で示す電子機器の前側に相当する。カーナビゲーション装置の場合は、車内前方に配置されるため、車内の後方に向く側が前側(正面)となる。また、本実施形態において、電子機器および表示パネル格納構造を説明するうえで、前側から視た状態を基準にして、上側、下側、右側、左側とし、前側の反対側を後側(背面)とする。
【0015】
実施形態の電子機器は、
図1に示すように、表示部10を有する。図には明示しないが、電子機器は、表示部10の後側に表示部10を制御する制御基板が収容される機器筐体を有する。従って、表示部10は、機器筐体に電気的に接続され、機器筐体に取り付けられる。
【0016】
表示部10は、実施形態の表示パネル格納構造をなすものであり、
図2に示すように、外観パネル11と、表示パネル12と、背面板金13と、を含む。
【0017】
表示パネル12は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイが含まれる。表示パネル12は、矩形の板状に形成される。
【0018】
外観パネル11および背面板金13は、その間に表示パネル12を格納する。
【0019】
外観パネル11は、合成樹脂材からなる。外観パネル11は、表示パネル12において、前側、上側、下側、右側、左側を囲む外観を構成する。外観パネル11は、後側が矩形状に開放する開放部11Fと、前側の正面板11Aと、正面板11Aの周りを囲む上側周壁11B、下側周壁11C、右側周壁11D、および左側周壁11Eと、を有する。上側周壁11B、下側周壁11C、右側周壁11D、および左側周壁11Eは、単に周壁ともいう。上側周壁11Bおよび下側周壁11Cは、外観パネル11の矩形状の全体形状において比較的長い長辺部に設けられ、右側周壁11Dおよび左側周壁11Eは、比較的短い短辺部に設けられる。正面板11Aは、表示パネル12の正面を露わにする開口11Aaが形成される。当該開口11Aaから視られる表示パネル12の正面を表示面12Aという。
【0020】
背面板金13は、金属材からなる。背面板金13は、外観パネル11の開放部11Fを塞ぐように矩形の板状に形成される。背面板金13は、その周りを囲むように縁から前側に折り曲げられた上側周縁13B、下側周縁13C、右側周縁13D、および左側周縁13Eを有する。上側周縁13B、下側周縁13C、右側周縁13D、および左側周縁13Eは、単に周縁ともいう。上側周縁13Bおよび下側周縁13Cは、背面板金13の矩形状の全体形状において比較的長い長辺部に設けられ、右側周縁13Dおよび左側周縁13Eは、比較的短い短辺部に設けられる。上側周縁13B、下側周縁13C、右側周縁13D、および左側周縁13Eは、折り曲げ加工によって背面板金13の強度部分として機能する。また、背面板金13は、貫通孔13Gを有する。貫通孔13Gは、右側周縁13Dおよび左側周縁13Eの近傍の計4箇所に形成される。貫通孔13Gは、ネジ14が貫通する部分であり、このネジ14が外観パネル11のネジ穴11Gに締め付けられて背面板金13が外観パネル11に固定される。
【0021】
実施形態の表示パネル格納構造は、背面板金13に設けられる舌片1と、外観パネル11に設けられる挿入部2と、を含む。
【0022】
舌片1は、
図2および
図3に示すように、背面板金13において、主に、上下で対向する上側および下側の長辺部に設けられる。実施形態では、舌片1は、背面板金13において、右側の短辺部にも設けられる。舌片1は、背面板金13の上側、下側、右側のそれぞれの縁の中央において、前側に折り曲げられて前側に向けて外観パネル11の周壁11B,11C,11Dに沿うように延びて設けられた板片状のものである。舌片1は、背面板金13の上側および下側において、前後に所定の長さを有し、上下に所定の板厚を有し、左右に所定の幅を有する。また、舌片1は、背面板金13の右側において、前後に所定の長さを有し、左右に所定の板厚を有し、上下に所定の幅を有する。
【0023】
舌片1は、
図3に示すように、前側に延びる先端部において、押付部1Aと、規制部1Bと、係合凹部1Cと、を有する。押付部1Aは、舌片1において前側に最も延びて前後方向に最も長い部分である。規制部1Bは、舌片1の幅方向の両側において、押付部1Aよりも長さの短い部分である。係合凹部1Cは、押付部1Aの幅方向の一側において、舌片1が後側に切り欠かれて後側に凹んだ部分である。係合凹部1Cは、押付部1Aと幅方向(舌片1が挿入部2に挿入される方向に対して交差する方向)に並んで配置される。
【0024】
挿入部2は、舌片1が挿入される部分である(
図7から
図10参照)。挿入部2は、
図2に示すように、外観パネル11において、主に、上下で対向する長辺部である上側周壁11Bおよび下側周壁11Cに設けられる。実施形態では、挿入部2は、外観パネル11において、短辺部である右側周壁11Dにも設けられる。挿入部2は、外観パネル11の上側周壁11B、下側周壁11C、および右側周壁11Dのそれぞれの長さの中央において、前後方向に貫通する貫通孔として形成される。挿入部2は、外観パネル11の上側周壁11Bおよび下側周壁11Cにおいて、前後に所定の長さを有し、上下に所定の間隙を有し、左右に所定の幅を有する。また、挿入部2は、外観パネル11の右側周壁11Dにおいて、前後に所定の長さを有し、左右に所定の間隙を有し、上下に所定の幅を有する。なお、
図4から
図10では、説明の便宜上、下側周壁11Cに設けられた挿入部2を示しているが、他の周壁11B,11Dに設けられているものも同じ構成であるため、説明を省略する。
【0025】
挿入部2は、外観パネル11において、開放部11Fの内側である下側周壁11Cの内面側に形成される。挿入部2は、下側周壁11Cの内面が後端(背面端)11Hから前側に向けて厚さがえぐられ、下側周壁11Cの厚さを薄く形成する切込2Dと、切込2Dを幅方向で囲んで前後方向(長さ方向)で突き抜ける門型のガイド部材2Eとで、前後方向に貫通する貫通孔を構成し、舌片1が後側から挿入可能に形成される。
【0026】
挿入部2は、振動防止部2Aと、段部2Bと、係合突起2Cと、を含む。
【0027】
振動防止部2Aは、ガイド部材2Eに設けられる。振動防止部2Aは、ガイド部材2Eの前側の端部において、前方に沿って延びて、幅方向に2つ配置されたスリット2Eaの間に設けられて、2つのスリット2Eaと、自身の弾性によって下側周壁11Cの内面に対して近づいたり離れたりする方向に弾性変形が可能に形成される。振動防止部2Aは、
図7および
図8に示すように、前方に延びる先端2Aaが、挿入部2の貫通孔の内面(ここでは、切込2Dのえぐられた底面)に向いて折れ曲がって形成される。
【0028】
段部2Bは、
図5、
図7および
図9に示すように、切込2Dとガイド部材2Eとがなす貫通孔の内部に形成される。段部2Bは、貫通孔をなすガイド部材2Eから突出して形成される。また、段部2Bは、貫通孔をなす切込2Dから突出して形成される。また、段部2Bは、ガイド部材2Eと切込2Dとに形成されたもの同士が厚さ方向で対向して設けられる。対向する各段部2Bは、幅方向の両端にそれぞれ設けられる。また、対向する各段部2Bは、後側に向けて相互の間隔が広がるように斜面2Baが形成される。
【0029】
係合突起2Cは、
図10に示すように、挿入部2に挿入された舌片1の係合凹部1Cが嵌る部分である。係合突起2Cは、切込2Dとガイド部材2Eとがなす貫通孔の内部に形成される。係合突起2Cは、先端を後側に向けて形成される。係合突起2Cは、振動防止部2Aと幅方向(舌片1が挿入部2に挿入される方向に対して交差する方向)に並んで配置される。
【0030】
また、挿入部2は、ガイド部材2Eの後端2Ebが、下側周壁11Cの後端11Hから舌片1の挿入方向(前側)に位置がずれて配置されてガイド部材2Eの後端2Ebがえぐれたように形成されたえぐれ部2Fを有する。
【0031】
上述した挿入部2は、外観パネル11と共に合成樹脂材で成形される。挿入部2を成形する金型は、図には明示しないが、主に切込2Dとガイド部材2Eとがなす貫通孔や段部2Bや係合突起2Cを形成するように後側にスライドする第一スライド金型と、主に振動防止部2Aおよびスリット2Eaを形成するように周壁の内側に離れるようにスライドする第二スライド金型と、を含む。従って、挿入部2は、その成形に特別な金型を用いることなく形成できる。
【0032】
ここで、舌片1と挿入部2との各寸法の関係について
図7を参照して説明する。舌片1は、一定の板厚T1で形成される。この舌片1の板厚T1と、舌片1の挿入前(振動防止部2Aが弾性変形する前)での振動防止部2Aの先端2Aaと挿入部2の貫通孔の内面(ここでは、振動防止部2Aの先端2Aaが向く側にある段部2Bの面)との隙間寸法T2とは、板厚T1よりも隙間寸法T2が小さい関係にある。また、舌片1の板厚T1と、対向する各段部2Bの間の隙間寸法T3とは、板厚T1よりも隙間寸法T3が大きい関係にある。また、舌片1を有する背面板金13の板厚T4と、えぐれ部2Fのずれた寸法T5(ガイド部材2Eの後端2Ebと下側周壁11Cの後端11Hとの前後にずれた寸法)とは、板厚T4よりも寸法T5が大きい関係にある。つまり、えぐれ部2Fのずれた寸法T5は、背面板金13の板厚T4分を含む。
【0033】
このように構成された表示パネル格納構造を用いて、表示パネル12を格納する表示パネル格納方法は、
図2、
図5から
図11に示すように、外観パネル11に表示パネル12を収容する工程(ステップS1)と、外観パネル11に背面板金13を取り付けるように、挿入部2に舌片1を挿入する工程(ステップS2)と、を含む。挿入部2に舌片1を挿入した後は、ネジ14によって外観パネル11に背面板金13を固定する。
【0034】
舌片1は、
図7および
図8に示すように、板厚T1と隙間寸法T3との関係において、規制部1Bが、対向する各段部2Bの斜面2Baに案内されながら各段部2Bの間を通るように挿入部2の貫通孔に挿入される。挿入部2に挿入された舌片1は、板厚T1と隙間寸法T2との関係において、押付部1Aが、振動防止部2Aの先端2Aaに当接して振動防止部2Aを押し上げて弾性変形させる。この変形により、振動防止部2Aは、自身の弾性によって、舌片1の規制部1Bを対向する段部2Bの一方に当接させるように、挿入部2の貫通孔の内面(ここでは、切込2Dのえぐられた底面)に向けて押付部1Aを押さえ付ける。また、挿入部2に挿入された舌片1は、
図9および
図10に示すように、挿入部2の貫通孔の内部において、係合突起2Cに係合凹部1Cが嵌合する。この嵌合により、背面板金13は、舌片1を介して外観パネル11に位置決めされる。このように作用する係合凹部1Cおよび係合突起2Cを位置決め部という。そして、舌片1が挿入部2に挿入された背面板金13は、挿入部2のえぐれ部2Fの寸法T5の範囲内に板厚T4が入ることで、下側周壁11Cの後端11Hよりも前側に位置し、外観パネル11の周壁の内部に入り込む。なお、位置決め部を構成する係合突起2Cは、
図9および
図10に示すように、切込2Dとガイド部材2Eとがなす貫通孔において幅方向の中央寄りに設けられる。
【0035】
このように、実施形態の表示パネル格納構造は、表示パネル12を収容する外観パネル11と、表示パネル12の背面を覆うように外観パネル11に取り付けられる背面板金13と、背面板金13に設けられて外観パネル11の周壁11B,11Cに沿うように延びる舌片1と、外観パネル11の長辺部の周壁11B,11Cの中央に形成されて舌片1が挿入される挿入部2と、挿入部2に設けられる振動防止部2Aと、を含み、振動防止部2Aは、弾性変形することにより舌片1を挿入部2の内面に向けて押さえ付ける態様で設けられており、舌片1の挿入方向に沿って延びる先端2Aaが内面に向いて形成され、先端2Aaと内面との間隔寸法T2が舌片1の板厚T1よりも小さく形成される。
【0036】
この表示パネル格納構造によれば、振動防止部2Aの弾性変形によって舌片1を挿入部2の内面に向けて押さえ付けるようにしたことにより、舌片1を有する背面板金13が外観パネル11に対して弾性力を伴って押さえつけられる。この結果、実施形態の表示パネル格納構造は、挿入部2への舌片1の挿入によって外観パネル11の長辺部中央の周壁11B,11Cの変形を抑制できる。また、実施形態の表示パネル格納構造は、振動防止部2Aの弾性変形によって舌片1を挿入部2の内面に向けて押さえ付けるため、振動による異音の発生を防ぐことができる。特に、この表示パネル格納構造によれば、挿入部2が、振動の振幅が大きくなる外観パネル11の長辺部の周壁11B,11Cの中央に形成されているため、振動の発生の防止効果が大きい。これにより、実施形態の表示パネル格納構造は、挿入部2への舌片1の挿入によって背面板金13を外観パネル11に固定するネジの点数を削減できるため、部品点数や組み立て工数にかかる製造コストを低減できる。なお、舌片1は、一定の板厚T1で形成されており、振動防止部2Aは、この舌片1を弾性変形によって押さえ付ける。舌片1に凹凸を設けて振動防止部2Aを引っかける構成では、舌片1が挿入部2から抜け難くなり、組み付け後に背面板金13を外観パネル11から外すことが難しくなる。実施形態の表示パネル格納構造は、このような問題が無く、かつ振動による異音の発生を防ぐことができる。
【0037】
また、実施形態の表示パネル格納構造では、挿入部2の内部において、挿入部2に挿入された舌片1を介して背面板金13の位置決めをする位置決め部(係合凹部1C、係合突起2C)をさらに含む。
【0038】
この表示パネル格納構造によれば、位置決め部によって背面板金13の位置決めをすることで、外観パネル11と背面板金13との組み付け位置のずれを抑えることができる。この位置決め部(係合突起2C)は、
図9および
図10に示すように、切込2Dとガイド部材2Eとがなす貫通孔において幅方向の中央寄りに設けられる。従って、背面板金13の位置決めの寸法公差を長辺部の中央から幅方向に亘って考慮できるため、長辺部の端部から幅方向に亘って考慮する場合と比べて位置決め精度を向上できる。
【0039】
また、実施形態の表示パネル格納構造では、挿入部2は、外観パネル11の周壁11B,11Cの厚さをえぐって形成された切込2Dと、切込2Dを囲んで舌片1を挿入可能にするガイド部材2Eと、ガイド部材2Eが周壁11B,11Cの後端11Hから背面板金13の板厚T4分を含み舌片1の挿入方向に位置がずれたえぐれ部2Fと、を有する。
【0040】
この表示パネル格納構造によれば、挿入部2が、外観パネル11の周壁11B,11Cの厚さをえぐって形成された切込2Dと、切込2Dを囲んで舌片1を挿入可能にするガイド部材2Eと、を有することで、外観パネル11の周壁11B,11Cの厚さの一部に潜り込むように舌片1を挿入でき、切込2Dを設けない場合と比較して表示部10の高さ寸法を抑え、且つ表示パネル12の収容可能な高さ寸法を拡げることができる。この結果、実施形態の表示パネル格納構造は、表示パネル12を収容する容積を大きくしたり、表示パネル12に対して収容する部材の大きさを小さくしたりすることができる。しかも、この表示パネル格納構造によれば、ガイド部材2Eが周壁11B,11Cの後端11Hから背面板金13の板厚T4分を含み舌片1の挿入方向に位置がずれたえぐれ部2Fを有することで、背面板金13の板厚T4分をえぐれ部2Fに差し込んで外観パネル11に組み付けることができ、周壁11B,11Cの後端11Hよりも前側に背面板金13を配置するため、周壁11B,11Cの変形を背面板金13によって抑制でき、振動による異音の発生をより防ぐことができる。また、周壁11B,11Cの後端11Hよりも前側に背面板金13を配置するため、表示部10の厚さ寸法を抑えることができる。
【0041】
また、実施形態の電子機器は、上述した表示パネル格納構造が適用される。
【0042】
この電子機器によれば、製造コストを低減しつつ、振動による異音の発生を防ぐことができる。
【0043】
また、実施形態の表示パネル格納方法は、上述した表示パネル格納構造を適用し、外観パネル11に表示パネル12を収容する工程と、外観パネル11に背面板金13を取り付けるように、挿入部2に舌片1を挿入する工程と、を含む。
【0044】
この表示パネル格納方法によれば、製造コストを低減しつつ、振動による異音の発生を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0045】
1 舌片
1C 係合凹部(位置決め部)
2 挿入部
2A 振動防止部
2Aa 先端
2C 係合突起(位置決め部)
2D 切込
2E ガイド部材
2F えぐれ部
11 外観パネル
11H 後端(背面端)
11B,11C 周壁
12 表示パネル
13 背面板金