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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171751
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】光検出装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H01L27/146 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088937
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小野 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】用正 武
(72)【発明者】
【氏名】長村 英樹
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
4M118CA22
4M118DD03
4M118DD12
4M118EA17
4M118FA06
4M118FA38
4M118FB21
4M118GA02
4M118GC07
4M118GD01
(57)【要約】
【課題】特性の低下を抑制することができる光検出装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】光検出装置は、半導体層と、半導体層に設けられた画素と、半導体層上に設けられて画素を覆う絶縁膜と、絶縁膜に設けられた開口部内に配置される電極と、を備える。画素は、光電変換部と、光電変換部で生成された電荷を蓄積するフローティングディフュージョンと、光電変換部で生成された電荷をフローティングディフュージョンに転送する転送トランジスタと、を有する。開口部は、絶縁膜の表面に開口する第1開口部と、第1開口部の底面に開口し、第1開口部よりも径が小さい第2開口部と、を有する。第2開口部の底面下にフローティングディフュージョンが位置する。第2開口部を通してフローティングディフュージョンに電極が接続される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層と、
前記半導体層に設けられた画素と、
前記半導体層上に設けられて前記画素を覆う絶縁膜と、
前記絶縁膜に設けられた開口部内に配置される電極と、を備え、
前記画素は、
光電変換部と、
前記光電変換部で生成された電荷を蓄積するフローティングディフュージョンと、
前記光電変換部で生成された電荷を前記フローティングディフュージョンに転送する転送トランジスタと、を有し、
前記開口部は、
前記絶縁膜の表面に開口する第1開口部と、
前記第1開口部の底面に開口し、前記第1開口部よりも径が小さい第2開口部と、を有し、
前記第2開口部の底面下に前記フローティングディフュージョンが位置し、
前記第2開口部を通して前記フローティングディフュージョンに前記電極が接続される、光検出装置。
【請求項2】
前記半導体層の表面に平行な一方向において、前記フローティングディフュージョンの長さは、前記第2開口部の径よりも大きく、前記第1開口部の径よりも小さい、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記電極と前記フローティングディフュージョンとの間に設けられたバリアメタル層と、
前記バリアメタル層と前記半導体層との合金層と、をさらに備え、
前記合金層は、前記フローティングディフュージョンの内側にのみ設けられている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記絶縁膜は、
第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜と前記半導体層との間に設けられた第2絶縁膜とを有し、
前記第1開口部は前記第1絶縁膜に設けられ、
前記第2開口部は前記第2絶縁膜に設けられている、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記第1絶縁膜はシリコン酸化膜であり、
前記第2絶縁膜はシリコン窒化膜、又は、シリコン酸化膜上にシリコン窒化膜を積層した積層膜である、請求項4に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記フローティングディフュージョンは、
前記転送トランジスタに隣接して設けられた第1フローティングディフュージョンを有し、
前記第2開口部を通して前記第1フローティングディフュージョンに前記電極が接続される、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記半導体層に設けられた画素間分離用の不純物領域、をさらに備え、
前記フローティングディフュージョンは、
前記不純物領域に隣接して設けられた第2フローティングディフュージョンを有し、
前記第2開口部を通して前記第2フローティングディフュージョンに前記電極が接続される、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記画素を複数備え、
前記複数の画素が1つの前記フローティングディフュージョンを共有する、請求項1に記載の光検出装置。
【請求項9】
フローティングディフュージョンが設けられた半導体層上に絶縁膜を成膜する工程と、
前記絶縁膜に前記フローティングディフュージョンを底面とする開口部を形成する工程と、
前記開口部内に電極を形成する工程と、を含み、
前記開口部を形成する工程は、
前記絶縁膜の表面に開口する第1開口部を形成する工程と、
前記第1開口部の底面に開口し、前記第1開口部よりも径が小さい第2開口部を形成する工程と、を含み、
前記電極を形成する工程では、前記第2開口部を通して前記フローティングディフュージョンに前記電極を接続する、光検出装置の製造方法。
【請求項10】
前記開口部を形成する工程は、
前記第2開口部を形成する前に、前記第1開口部の側面を保護膜で覆う工程をさらに含み、
前記第2開口部を形成する工程では、前記第1開口部の前記側面が前記保護膜で覆われた状態で、前記第1開口部の底部をエッチングして前記第2開口部を形成する、請求項9に記載の光検出装置の製造方法。
【請求項11】
前記第2開口部を形成する工程はエッチバックで行う、請求項10に記載の光検出装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2開口部を形成した後で、前記保護膜の少なくとも一部を除去する工程をさらに含む、請求項10に記載の光検出装置の製造方法。
【請求項13】
前記保護膜はシリコン酸化膜であり、
前記保護膜を除去する工程では、フッ酸を含む溶液を用いてウェットエッチングを行う、請求項12に記載の光検出装置の製造方法。
【請求項14】
前記保護膜は金属膜であり、
前記保護膜を除去する工程では、硫酸を含む溶液を用いてウェットエッチングを行う、請求項12に記載の光検出装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の画素(例えば、4画素)を1共有単位とし、1共有単位を構成する複数の画素が2次元アレイ状に配列されるとともに、1共有単位を構成する複数の画素が1つのフローティングディフュージョンを共有するCMOSイメージセンサが知られている(例えば、特許文献1参照)。フローティングディフュージョンは、例えば、4画素に囲まれた中央に配置され、接続配線を介してリセットトランジスタのソースと増幅トランジスタのゲートとに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-71347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画素領域の微細化に伴い、フローティングディフュージョンと他の領域(例えば、素子間分離用の不純物領域や、転送トランジスタのゲート)との間が狭小化しつつある。狭小化が進むと、フローティングディフュージョンと他の領域との間に強電界が生じ易くなり、強電界が原因で白点等のノイズが発生し易くなるなど、CMOSイメージセンサの特性が低下する可能性がある。
【0005】
本開示はこのような事情に鑑みてなされたもので、特性の低下を抑制することができる光検出装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る光検出装置は、半導体層と、前記半導体層に設けられた画素と、前記半導体層上に設けられて前記画素を覆う絶縁膜と、前記絶縁膜に設けられた開口部内に配置される電極と、を備える。前記画素は、光電変換部と、前記光電変換部で生成された電荷を蓄積するフローティングディフュージョンと、前記光電変換部で生成された電荷を前記フローティングディフュージョンに転送する転送トランジスタと、を有する。前記開口部は、前記絶縁膜の表面に開口する第1開口部と、前記第1開口部の底面に開口し、前記第1開口部よりも径が小さい第2開口部と、を有する。前記第2開口部の底面下に前記フローティングディフュージョンが位置する。前記第2開口部を通して前記フローティングディフュージョンに前記電極が接続される。
【0007】
これによれば、開口部内に配置される電極のうち、フローティングディフュージョンと接する部位(例えば、下部)の径を他の部位の径よりも細くすることができる。これにより、半導体層の表面に平行な方向において、フローティングディフュージョンの幅を小さくすることができ、フローティングディフュージョンと他領域(例えば、フローティングディフュージョンとは異なる電位の領域)との間の距離を確保することが容易となる。この距離が長いほど、フローティングディフュージョンと他領域との間に生じる電界を緩和することが容易となる。例えば強電界を原因とする白点等のノイズ発生を抑制することができるので、撮像装置は特性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態に係る撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係る撮像装置の共有画素単位の構成例を示す回路図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係る撮像装置の共有画素単位のレイアウト例を示す平面図である。
図4図4は、本開示の実施形態に係る撮像装置の第1フローティングディフュージョンとその周辺部の構成例を示す断面図である。
図5図5は、本開示の実施形態に係る撮像装置の第2フローティングディフュージョンとその周辺部の構成例を示す断面図である。
図6A図6Aは、本開示の実施形態に係る撮像装置の製造方法例1を工程順に示す断面図である。
図6B図6Bは、本開示の実施形態に係る撮像装置の製造方法例1を工程順に示す断面図である。
図6C図6Cは、本開示の実施形態に係る撮像装置の製造方法例1を工程順に示す断面図である。
図6D図6Dは、本開示の実施形態に係る撮像装置の製造方法例1を工程順に示す断面図である。
図6E図6Eは、本開示の実施形態に係る撮像装置の製造方法例1を工程順に示す断面図である。
図7A図7Aは、本開示の実施形態に係る撮像装置の製造方法例2を工程順に示す断面図である。
図7B図7Bは、本開示の実施形態に係る撮像装置の製造方法例2を工程順に示す断面図である。
図7C図7Cは、本開示の実施形態に係る撮像装置の製造方法例2を工程順に示す断面図である。
図8図8は、本開示の実施形態に係る製造方法例2の変形例を示す断面図である。
図9A図9Aは、本開示の実施形態に係る撮像装置の製造方法例3を工程順に示す断面図である。
図9B図9Bは、本開示の実施形態に係る撮像装置の製造方法例3を工程順に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下の説明で参照する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0010】
以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本開示の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。
【0011】
以下の説明では、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の文言を用いて、方向を説明する場合がある。例えば、X軸方向及びY軸方向は、半導体基板11の表面11aに平行な方向である。X軸方向及びY軸方向を水平方向ともいう。Z軸方向は、半導体基板11の表面11aの法線方向であり、半導体基板11の厚さ方向でもある。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに直交する。
【0012】
また、以下の説明において、「平面視」とは、例えば、半導体基板11の厚さ方向(例えば、Z軸方向)から見ることを意味する。
【0013】
<実施形態>
(撮像装置の全体構成例)
図1は、本開示の実施形態に係る撮像装置1(本開示の「光検出装置」の一例)の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、撮像装置1は、半導体基板に設けられた画素領域12と、垂直駆動回路13と、カラム信号処理回路14と、水平駆動回路15と、出力回路16と、制御回路17とを備える。垂直駆動回路13と、カラム信号処理回路14と、水平駆動回路15と、出力回路16と、制御回路17は、半導体基板に設けられていてもよいし、配線層と層間絶縁膜とからなる多層配線層(いずれも図示せず)を介して(第1の)半導体基板の表面側に配置される第2の半導体基板に設けられていてもよい。
【0014】
画素領域12は、図示しない光学系により集光される光を受光する受光領域であり、複数の画素21を有する。複数の画素21は、行列状に配置されている。複数の画素21は、水平信号線22を介して行ごとに垂直駆動回路13に接続されるとともに、垂直信号線23を介して列ごとにカラム信号処理回路14に接続される。複数の画素21は、それぞれ受光する光の光量に応じたレベルの画素信号をそれぞれ出力する。それらの画素信号から、被写体の画像が構築される。
【0015】
垂直駆動回路13は、複数の画素21の行ごとに順次、それぞれの画素21を駆動(転送や、選択、リセットなど)するための駆動信号を、水平信号線22を介して画素21に供給する。カラム信号処理回路14は、複数の画素21から垂直信号線23を介して出力される画素信号に対してCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)処理を施すことにより、画素信号のAD変換を行うとともにリセットノイズを除去する。
【0016】
水平駆動回路15は、複数の画素21の列ごとに順次、カラム信号処理回路14から画素信号をデータ出力信号線24に出力させるための駆動信号を、カラム信号処理回路14に供給する。出力回路16は、水平駆動回路15の駆動信号に従ったタイミングでカラム信号処理回路14からデータ出力信号線24を介して供給される画素信号を増幅し、後段の信号処理回路に出力する。制御回路17は、撮像装置1の内部の各ブロックの駆動を制御する。例えば、制御回路17は、各ブロックの駆動周期に従ったクロック信号を生成して、それぞれのブロックに供給する。
【0017】
画素21は、フォトダイオードPD(本開示の「光電変換部」の一例)、転送トランジスタTR、フローティングディフュージョンFD、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL、及びリセットトランジスタRSTを備える。転送トランジスタTR、フローティングディフュージョンFD、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL、及びリセットトランジスタRSTは、フォトダイオードPDで光電変換された電荷(画素信号)の読み出しを行う読出回路30を構成している。
【0018】
フォトダイオードPDは、入射した光を光電変換により電荷に変換して蓄積する光電変換部であり、アノード端子が接地されているとともに、カソード端子が転送トランジスタTRに接続されている。転送トランジスタTRのゲート電極TGには、垂直駆動回路13から転送信号が供給される。転送トランジスタTRは、転送ゲートTGに供給される転送信号に従って駆動する。以下、ゲート電極TGを転送ゲートともいう。転送トランジスタTRがオンになると、フォトダイオードPDに蓄積されている電荷がフローティングディフュージョンFDに転送される。フローティングディフュージョンFDは、増幅トランジスタAMPのゲート電極に接続された所定の蓄積容量を有する浮遊拡散領域であり、フォトダイオードPDから転送される電荷を一時的に蓄積する。
【0019】
増幅トランジスタAMPは、フローティングディフュージョンFDに蓄積されている電荷に応じたレベル(即ち、フローティングディフュージョンFDの電位)の画素信号を、選択トランジスタSELを介して垂直信号線23に出力する。すなわち、フローティングディフュージョンFDが増幅トランジスタAMPのゲート電極に接続される構成により、フローティングディフュージョンFD及び増幅トランジスタAMPは、フォトダイオードPDにおいて発生した電荷を増幅し、その電荷に応じたレベルの画素信号に変換する変換部として機能する。
【0020】
選択トランジスタSELは、垂直駆動回路13から供給される選択信号に従って駆動し、選択トランジスタSELがオンになると、増幅トランジスタAMPから出力される画素信号が垂直信号線23に出力可能な状態となる。リセットトランジスタRSTは、垂直駆動回路13から供給されるリセット信号に従って駆動し、リセットトランジスタRSTがオンになると、フローティングディフュージョンFDに蓄積されている電荷が電源線Vddに排出されて、フローティングディフュージョンFDがリセットされる。
【0021】
図2は、本開示の実施形態に係る撮像装置1の共有画素単位10の構成例を示す回路図である。図2に示すように、撮像装置1では、複数の画素21のフォトダイオードPD及び転送トランジスタTRが並列に接続されて、共有画素単位10を構成してもよい。共有画素単位10では、例えば、共有画素単位10に含まれる各画素21のフォトダイオードPDが各画素21の転送トランジスタTRを介して、1つのフローティングディフュージョンFDにそれぞれ接続されている。なお、共有画素単位10に含まれる画素21の数は特に限定されないが、一例を挙げると4つである。
【0022】
(画素共有単位のレイアウト例)
図3は、本開示の実施形態に係る撮像装置1の共有画素単位10のレイアウト例を示す平面図である。なお、図3では、フォトダイオードPDを含む画素21と、フローティングディフュージョンFD及び選択トランジスタSELのレイアウト例を示しており、図2に示した転送トランジスタTR、選択トランジスタSEL、増幅トランジスタAMPの図示は省略している。
【0023】
図3に示すように、撮像装置1では、例えば縦方向および横方向にそれぞれ2個ずつ配列された計4つの画素21が、1つの共有画素単位10を構成している。1つの共有画素構造は、4つのフォトダイオードPD(本開示の「光電変換部」の一例)と、4つの転送トランジスタTR(図2参照)と、共有される1つのフローティングディフュージョンFDと、共有される1つの選択トランジスタSEL(図2参照)と、共有される1つのリセットトランジスタRST(図2と、後述の図4参照)と、共有される1つの増幅トランジスタAMP(図2参照)とを含む。
【0024】
フローティングディフュージョンFDは、1つの共有画素単位10を構成する4つの画素21の中央部に配置されている。フローティングディフュージョンFDの近傍に、転送ゲートTG(図2と、後述の図4参照)が配置されている。例えば、フローティングディフュージョンFDは、4つの画素21の中央部に配置される第1フローティングディフュージョンFD1と、リセットトランジスタRSTのソースとなる第2フローティングディフュージョンFD2とを有する。第1フローティングディフュージョンFD1と第2フローティングディフュージョンFD2は、後述の電極61A、61B(図4図5参照)と、多層配線層に含まれる配線層とを介して接続されている。
【0025】
4つの画素21の外周には、画素分離部35が設けられている。画素分離部35は、例えば、半導体基板11(本開示の「半導体層」の一例)とは異なる導電型の不純物領域、又は、ディープトレンチアイソレーションなどで構成されている。
【0026】
図3において、紙面の垂直方向上側が半導体基板11の表面側であり、複数の配線層と層間絶縁膜とからなる多層配線層(いずれも図示せず)が設けられている。一方、図3において、紙面の垂直方向下側が半導体基板11の裏面側であり、光が入射される光入射面であって、オンチップレンズやカラーフィルタ等(いずれも図示せず)が設けられている。撮像装置1は、半導体基板11の裏面側から入射された光を光電変換する裏面照射型のCMOSイメージセンサである。
【0027】
(フローティングディフュージョンとその周辺の構成例)
図4は、本開示の実施形態に係る撮像装置1の第1フローティングディフュージョンFD1とその周辺部の構成例を示す断面図である。図4は、図3に示す平面図をA-A´線で切断した断面を模式的に示している。図5は、本開示の実施形態に係る撮像装置1の第2フローティングディフュージョンFD2とその周辺部の構成例を示す断面図である。図5は、図3に示す平面図をB-B´線で切断した断面を示している。
【0028】
図4及び図5において、半導体基板11は、例えば、単結晶のシリコン基板、又は、図示しない基板上にエピタキシャル成長法で形成された単結晶のシリコン層である。
【0029】
転送トランジスタTR(図2参照)は、例えば半導体基板11の内部から表面11a(本開示の「第1面」の一例)上にかけて設けられている。転送トランジスタTRは、例えば、ゲート電極(転送ゲート)TGと、転送ゲートTGと半導体基板11との間に設けられたゲート絶縁膜31とを有し、フォトダイオードPD(図3参照)をソースとし、フローティングディフュージョンFDをドレインとする、N型の縦型トランジスタである。転送トランジスタTRは、フォトダイオードPDで生成された電荷e-を、フォトダイオードPDからフローティングディフュージョンFDへ転送する。
【0030】
フローティングディフュージョンFDは、半導体基板11の表面11a側に設けられており、例えばN型の不純物拡散層で構成されている。フローティングディフュージョンFDは、転送トランジスタTRから転送されてきた電荷eを保持する。
【0031】
図3に示したように、フローティングディフュージョンFDは、4つの画素21の中央部に配置される第1フローティングディフュージョンFD1と、リセットトランジスタRSTのソースとなる第2フローティングディフュージョンFD2とを有する。第1フローティングディフュージョンFD1と第2フローティングディフュージョンFD2は、例えば、図4に示す層間絶縁膜51を貫通して第1フローティングディフュージョンFD1に接続する電極61Aと、図5に示す層間絶縁膜51を貫通して第2フローティングディフュージョンFD2に接続する電極61Bと、これら電極61A、61Bに接続する配線層(図示せず)とを介して、互いに接続されている。
【0032】
図4及び図5を参照しながら、フローティングディフュージョンFDとその周辺部の構成例について、より詳しく説明する。図4及び図5に示すように、半導体基板11の表面11a側には、絶縁膜52(本開示の「第2絶縁膜」の一例)が設けられている。この絶縁膜52は、例えばシリコン窒化膜(SiN膜)である。
【0033】
図4に示すように、第1フローティングディフュージョンFD1は転送トランジスタTRに隣接して設けられている。第1フローティングディフュージョンFD1の近傍には、転送ゲートTGと、転送ゲートTGの側面を覆う絶縁性のサイドウォール41とが設けられている。転送ゲートTGと、その側面を覆う絶縁性のサイドウォール41は、絶縁膜52で覆われている。また、第1フローティングディフュージョンFD1も、後述の第2開口部H2の直下に位置する領域を除いて、絶縁膜52で覆われている。
【0034】
また、図5に示すように、第2フローティングディフュージョンFD2は、素子間分離用のP型の不純物領域37に隣接して設けられている。例えば、X軸方向において、第2フローティングディフュージョンFD2の両側に不純物領域37が設けられている。第2フローティングディフュージョンFD2と不純物領域37は、互いに離れている。不純物領域37は、絶縁膜52で覆われている。また、第2フローティングディフュージョンFD2も、後述の第2開口部H2の直下に位置する領域を除いて、絶縁膜52で覆われている。
【0035】
図4及び図5に示すように、絶縁膜52上に層間絶縁膜51(本開示の「第1絶縁膜」の一例)が設けられている。層間絶縁膜51は、例えばシリコン酸化膜(SiO膜)である。層間絶縁膜51によって、複数の画素21を有する画素領域12(図1参照)が覆われている。層間絶縁膜51には、複数の開口部Hが設けられており、これら開口部H内に電極61が配置されている。
【0036】
(1)第1フローティングディフュージョンFD1とその周辺について
例えば、図4に示すように、第1フローティングディフュージョンFD1上には、開口部HAが設けられている。開口部HAは、層間絶縁膜51の表面に開口する第1開口部H1と、第1開口部H1の底面に開口し、第1開口部H1よりも径が小さい第2開口部H2と、を有する。第1開口部H1は層間絶縁膜51に設けられている。第2開口部H2は絶縁膜52に設けられている。第1開口部H1の径をRH1とし、第2開口部H2の径をR2とすると、RH1>RH2である。第2開口部H2の底面下に第1フローティングディフュージョンFD1が位置する。
【0037】
開口部HA内には、バリアメタル層62を介して電極61Aが配置されている。電極61Aは、例えばタングステン(W)で構成されている。バリアメタル層62は、例えばチタン(Ti)上に窒化チタン(TiN)が積層された積層膜で構成されている。電極61Aと第1フローティングディフュージョンFD1との間には、バリアメタル層62と、バリアメタル層62と半導体基板11との合金層63とが設けられている。合金層63は、例えば、半導体基板11を構成するSiと、バリアメタル層62を構成するTiとが反応して形成されたチタンシリサイド(TiSi)を主成分とする。
【0038】
第1フローティングディフュージョンFD1は、開口部HAの底部に形成された合金層63を覆うように設けられている。合金層63は、第1フローティングディフュージョンFD1の内側にのみ設けられている。
【0039】
半導体基板11の表面11aに平行な一方向において、第1フローティングディフュージョンFD1の長さ(幅)をW1とすると、この長さ(幅)W1は、第2開口部H2の径RH2よりも大きく、第1開口部H1の径RH1よりも小さい。RH2<W1<RH1となっている。
【0040】
第1フローティングディフュージョンFD1は合金層63を覆うように形成する必要がある。このため、例えば第1フローティングディフュージョン上の開口部が第1開口部H1のみで構成されている場合(以下、比較例1)は、第1フローティングディフュージョンを転送ゲートTG側へ広げる必要がある。比較例1では、第1フローティングディフュージョンの水平方向の長さ(幅)を第1開口部H1の径RH1よりも長くする必要があるため、第1フローティングディフュージョンと転送ゲートTGとの水平方向の距離d1を長く確保することは難しい。
【0041】
これに対して、本実施形態に係る撮像装置1では、図4に示すように、開口部HAが第1開口部H1と、第1開口部H1よりも径が小さい第2開口部H2とを有する。電極61Aは、第2開口部H2を通して第1フローティングディフュージョンFD1に接続するため、合金層63の水平方向の長さを短くすることができる。これにより、合金層63を覆うように形成する必要がある第1フローティングディフュージョンFD1の水平方向の長さ(幅)W1を短くすることができ、例えば第1開口部H1の径RH1よりも短くすることができる。上記の長さ(幅)W1を短くした分だけ、第1フローティングディフュージョンFD1と転送ゲートTGとの距離d1を確保することが容易となる。距離d1が長いほど、第1フローティングディフュージョンFD1と転送ゲートTGとの間に生じる電界を緩和することが容易となる。
【0042】
(2)第2フローティングディフュージョンFD2とその周辺について
図5に示すように、第2フローティングディフュージョンFD2と、その上に配置される開口部HB及び電極61Bは、上記(1)で説明した第1フローティングディフュージョンFD1と、その上に配置される開口部HA及び電極61Aと同様の構成を有する。
【0043】
例えば、図5に示すように、第2フローティングディフュージョンFD2上には、開口部HBが設けられている。開口部HBは、層間絶縁膜51の表面に開口する第1開口部H1と、第1開口部H1の底面に開口し、第1開口部H1よりも径が小さい第2開口部H2と、を有する。第1開口部H1は層間絶縁膜51に設けられている。第2開口部H2は絶縁膜52に設けられている。第1開口部H1の径をRH1とし、第2開口部H2の径をR2とすると、RH1>RH2である。第2開口部H2の底面下に第2フローティングディフュージョンFD2が位置する。
【0044】
開口部HB内には、バリアメタル層62を介して電極61Bが配置されている。電極61Bは、例えばタングステン(W)で構成されている。電極61Bと第2フローティングディフュージョンFD2との間には、バリアメタル層62と合金層63とが設けられている。
【0045】
第2フローティングディフュージョンFD2は、開口部HBの底部に形成された合金層63を覆うように設けられている。合金層63は、第2フローティングディフュージョンFD2の内側にのみ設けられている。
【0046】
半導体基板11の表面11aに平行な一方向において、第2フローティングディフュージョンFD2の長さ(幅)をW2とすると、この長さ(幅)W2は、第2開口部H2の径RH2よりも大きく、第1開口部H1の径RH1よりも小さい。RH2<W2<RH1となっている。
【0047】
第2フローティングディフュージョンFD2は合金層63を覆うように形成する必要がある。このため、例えば第2フローティングディフュージョン上の開口部が第1開口部H1のみで構成されている場合(以下、比較例2)は、第2フローティングディフュージョンを素子間分離用の不純物領域37側へ広げる必要がある。比較例2では、第2フローティングディフュージョンの水平方向の長さ(幅)を第1開口部H1の径RH1よりも長くする必要があるため、第2フローティングディフュージョンと不純物領域37との水平方向の距離d2を長く確保することは難しい。
【0048】
これに対して、本実施形態に係る撮像装置1では、図5に示すように、開口部HBが第1開口部H1と、第1開口部H1よりも径が小さい第2開口部H2とを有する。電極61Bは、第2開口部H2を通して第2フローティングディフュージョンFD2に接続するため、合金層63の水平方向における長さを短くすることができる。これにより、合金層63を覆うように形成する必要がある第2フローティングディフュージョンFD2の水平方向の長さ(幅)W2を短くすることができ、例えば第1開口部H1の径RH1よりも短くすることができる。上記の長さ(幅)W2を短くした分だけ、第2フローティングディフュージョンFD2と不純物領域37との距離d2を確保することが容易となる。距離d2が長いほど、第2フローティングディフュージョンFD2と不純物領域37との間に生じる電界を緩和することが容易となる。
【0049】
(製造方法)
次に、本開示の実施形態に係る撮像装置1の製造方法として、開口部H及び電極61の形成方法を説明する。ここでは、3通りの方法(製造方法例1から3)を説明する。なお、以下に説明する製造方法では、図4に示した開口部HAと図5に示した開口部HBとを同一プロセスで同時に形成する。また、図4に示した電極61Aと図5に示した電極61Bとを同一プロセスで同時に形成する。開口部HA、HBの形成方法は互いに同じであり、電極61A、電極61Bの形成方法も互いに同じである。したがって、以下の説明では、開口部HA、HBのうち開口部HBを、電極61A、61Bのうち電極61Bを、それぞれ例に挙げて説明する。
【0050】
また、撮像装置1は、成膜装置(CVD(chemical vapor deposition)装置、ALD(Atomic Layer Deposition)装置、スパッタ装置を含む)、エッチング装置、CMP(Chemical Mechanical Polishing)装置など、各種の装置を用いて製造される。以下、これらの装置を、製造装置と総称する。
【0051】
(1)製造方法例1
図6Aから図6Eは、本開示の実施形態に係る撮像装置1の製造方法例1を工程順に示す断面図である。図6Aにおいて、半導体基板11には、第2フローティングディフュージョンFD2(以下、単にフローティングディフュージョンFDという)と、素子間分離用の不純物領域37が形成されている。
【0052】
図6Aにおいて、製造装置は、フローティングディフュージョンFDと素子間分離用の不純物領域37とが形成された半導体基板11の表面11a上に絶縁膜52を成膜する。絶縁膜52は例えばSiN膜であり、CVD法で成膜する。
【0053】
次に、製造装置は、絶縁膜52上に層間絶縁膜51を成膜する。層間絶縁膜51は、例えばSiO膜である。製造装置は、CVD法を用いて、層間絶縁膜51の1層目となるSiO膜511を成膜する。次に、製造装置は、ALD法を用いて、層間絶縁膜51の2層目となるSiO膜5121を成膜する。CVD法よりもALD法の方が、SiO膜を密で硬い膜質に成膜することができる。
【0054】
次に、図6Bに示すように、製造装置は、フォトリソグラフィ技術を用いて、SiO膜5121上にマスクM1を形成する。マスクM1は、例えばフォトレジストで構成されている。マスクM1は、第1開口部H1を形成する予定領域を露出し、それ以外の領域を覆う形状を有する。
【0055】
次に、製造装置は、マスクM1を用いて、SiO膜5121、SiO膜511をこの順でドライエッチングして、第1開口部H1を形成する。上述したように、絶縁膜52は例えばSiN膜である。このため、SiO膜5121、SiO膜511をドライエッチングする際に、絶縁膜52はエッチングストッパとして機能する。絶縁膜52を底面とする第1開口部H1が形成される。第1開口部H1の形成後、製造装置は、マスクM1を除去する。
【0056】
次に、図6Cに示すように、製造装置は、半導体基板11の表面11a側にSiO膜5122を成膜する。SiO膜5122の成膜方法は、例えばALD法である。SiO膜5122によって、層間絶縁膜51が厚膜化されるとともに、第1開口部H1の側面及び底面が覆われる。この製造方法例1では、SiO膜5122が本開示の「保護膜」の一例となる。
【0057】
次に、製造装置は、半導体基板11の表面11a側をエッチバックする。これにより、図6Dに示すように、第1開口部H1の底面を覆うSiO膜5122と、その下に位置する絶縁膜52とが除去されて、絶縁膜52にフローティングディフュージョンFDを底面とする第2開口部H2が形成される。エッチバックでは、第1開口部H1の側面よりも、第1開口部H1の底面の方がエッチングされ易い。このため、第1開口部H1の側面がSiO膜5122で覆われた状態で第2開口部H2の形成が進み、第2開口部H2の形成後も第1開口部H1の側面はSiO膜5122で覆われた状態が維持される。なお、これ以降の工程では、SiO膜5121とSiO膜5122とを合わせて、SiO膜512という。
【0058】
次に、製造装置は、例えばフッ酸(HF)を含む溶液を用いて、SiO膜512をウェットエッチングして薄膜化する。HFを用いたウェットエッチングでは、SiOは高レートでエッチングされるのに対して、SiNはエッチングされない。絶縁膜52はSiNで構成されているため、絶縁膜52はエッチングされない。これにより、図6Eに示すように、第1開口部H1の側面からSiO膜512の一部が除去されて、第1開口部H1の径が拡がり、第1開口部H1と第2開口部H2との間に段差Gが形成される。
【0059】
次に、製造装置は、半導体基板11の表面11a側にバリアメタル層62(図4図5参照)を成膜して、開口部HB(以下、単に開口部Hという)の側面と底面とを覆う。次に、製造装置は、半導体基板11の表面11a上に金属膜を成膜して、開口部Hを埋め込む。開口部Hに埋め込まれる金属は、例えばタングステン(W)である。次に、製造装置は、金属膜にCMP処理を施して、層間絶縁膜51上から金属膜を除去する。これにより、金属膜から電極61(図4図5参照)を形成する。以上の工程を経て、図4及び図5に示した断面構造を有する撮像装置1が完成する。
【0060】
(2)製造方法例2
上記の製造方法例1では、本開示の「保護膜」として、SiO膜5122を用いる場合を説明した。製造方法例2では、本開示の「保護膜」として、金属膜を用いる場合を説明する。
【0061】
図7Aから図7Cは、本開示の実施形態に係る撮像装置1の製造方法例2を工程順に示す断面図である。図7Aにおいて、層間絶縁膜51に第1開口部H1を形成する工程までは、製造方法例1と同じである。製造方法例2では、第1開口部H1の形成後、製造装置は、半導体基板11の表面11a側に金属膜71を成膜する。金属膜71の成膜方法は、特に限定されないが、例えばスパッタ法又はCVD法である。金属膜71の種類も特に限定されない。この製造方法例2では、金属膜71が本開示の「保護膜」の一例となる。
【0062】
次に、製造装置は、半導体基板11の表面11a側をエッチバックする。これにより、図7Bに示すように、第1開口部H1の底面を覆う金属膜71と、その下に位置する絶縁膜52とが除去されて、絶縁膜52にフローティングディフュージョンFDを底面とする第2開口部H2が形成される。エッチバックでは、第1開口部H1の側面よりも、第1開口部H1の底面の方がエッチングされ易い。このため、第1開口部H1の側面が金属膜71で覆われた状態で第2開口部H2の形成が進み、第2開口部H2の形成後も第1開口部H1の側面は金属膜71で覆われた状態が維持される
【0063】
次に、製造装置は、例えば硫酸(HSO)を含む溶液を用いて、金属膜71をウェットエッチングして除去する。硫酸を用いたウェットエッチングでは、金属膜71は高レートでエッチングされるのに対して、SiO膜511、512と、SiNで構成される絶縁膜52はエッチングされない。これにより、図7Cに示すように、第1開口部H1の側面から金属膜71が全て除去されて、第1開口部H1の径が拡がり、第1開口部H1と第2開口部H2との間に段差Gが形成される。
【0064】
これ以降の工程は、製造方法例1と同じである。製造装置は、半導体基板11の表面11a側にバリアメタル層62(図4図5参照)を成膜し、金属膜を成膜し、金属膜にCMP処理を施して電極61(図4図5参照)を形成する。以上の工程を経て、図4及び図5に示した断面構造を有する撮像装置1が完成する。
【0065】
(2.1)変形例
図8は、本開示の実施形態に係る製造方法例2の変形例を示す断面図である。本開示の第2絶縁膜の一例となる絶縁膜52は、SiNの単層膜に限定されない。図8に示すように、絶縁膜52は、SiO膜521上にSiN膜522が積層された積層膜であってもよい。このような構成であっても、絶縁膜52に第2開口部H2を形成することができる。
【0066】
また、第1開口部H1の側面を覆う金属膜71(図7B参照)を、硫酸(HSO)を用いたウェットエッチングで除去する際に、絶縁膜52を構成するSiO膜521、SiN膜522はいずれもエッチングされない。例えば、硫酸(HSO)を用いて金属膜71を除去する際に、SiN膜522下のSiO膜521がエッチングされて、SiN膜522と半導体基板11との間に隙間が形成されることはない。絶縁膜52が上記のような積層膜である場合も、単層膜の場合と同様に、第2開口部H2の側面を平坦に形成することができる。
【0067】
(3)製造方法例3
上記の製造方法例1、2では、第1開口部H1の側面を保護膜で覆った状態でエッチバックを行って第2開口部H2を形成し、その後、保護膜を除去することで、第1開口部H1と第2開口部H2との間に段差Gを形成することを説明した。しかしながら、本開示の実施形態において、段差Gの形成方法はこれに限定されない。段差Gは、SiOで構成される層間絶縁膜51と、SiNで構成される絶縁膜52とのエッチング選択比を利用して形成してもよい。
【0068】
図9A及び図9Bは、本開示の実施形態に係る撮像装置1の製造方法例3を工程順に示す断面図である。図9Aにおいて、製造装置は、図示しないマスクを用いて層間絶縁膜51をドライエッチングして、第1開口部H1と第2開口部H2とを形成する。製造方法例3では、製造方法例1、2と比べて、第1開口部H1の幅を狭く形成する。より具体的には、第1開口部H1を第2開口部H2と同じ(または、ほぼ同じ)幅で形成する。
【0069】
次に、製造装置は、例えばフッ酸(HF)を含む溶液を用いて、層間絶縁膜51をウェットエッチングする。層間絶縁膜51はSiOで構成されており、絶縁膜52はSiNで構成されているため、第1開口部H1の側面はエッチングされて第1開口部H1の径が拡がるが、第2開口部H2の側面はエッチングされない。これにより、図9Bに示すように、第1開口部H1と第2開口部H2との間に段差Gが形成される。
【0070】
(実施形態の効果)
以上説明したように、本開示の実施形態に係る撮像装置1は、半導体基板11と、半導体基板11に設けられた画素21と、半導体基板11上に設けられて画素21を覆う層間絶縁膜51及び絶縁膜52と、層間絶縁膜51及び絶縁膜52に設けられた開口部H内に配置される電極61と、を備える。画素21は、フォトダイオードPDと、フォトダイオードPDで生成された電荷を蓄積するフローティングディフュージョンFDと、フォトダイオードPDで生成された電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する転送トランジスタTRと、を有する。開口部Hは、層間絶縁膜51の表面に開口する第1開口部H1と、第1開口部H1の底面に開口し、第1開口部H1よりも径が小さい第2開口部H2と、を有する。第2開口部H2の底面下にフローティングディフュージョンFDが位置する。第2開口部H2を通してフローティングディフュージョンFDに電極61が接続される。
【0071】
これによれば、開口部H内に配置される電極61のうち、フローティングディフュージョンFDと接する部位(例えば、下部)の径を他の部位の径よりも細くすることができる。これにより、半導体基板11の表面に平行な方向において、フローティングディフュージョンFDの幅を小さくすることができ、フローティングディフュージョンFDと他領域(例えば、フローティングディフュージョンFDとは異なる電位の領域)との間の距離を確保することが容易となる。他領域として、図4に示した転送ゲートTGや、図5に示した素子間分離用の不純物領域37が例示される。
【0072】
例えば、図4に示す距離d1が長いほど、第1フローティングディフュージョンFD1と転送ゲートTGとの間に生じる電界を緩和することが容易となる。図5に示す距離d2が長いほど、第2フローティングディフュージョンFD2と素子間分離用の不純物領域37との間に生じる電界を緩和することが容易となる。例えば強電界を原因とする白点等のノイズ発生を抑制することができるので、撮像装置1は特性の低下を抑制することができる。撮像装置のさらなる微細化の進展に寄与できる可能性がある。
【0073】
本開示の実施形態に係る撮像装置の製造方法は、フローティングディフュージョンFDが設けられた半導体基板11上に層間絶縁膜51及び絶縁膜52を成膜する工程と、層間絶縁膜51及び絶縁膜52にフローティングディフュージョンFDを底面とする開口部Hを形成する工程と、開口部H内に電極61を形成する工程と、を含む。開口部Hを形成する工程は、層間絶縁膜51の表面に開口する第1開口部H1を形成する工程と、第1開口部H1の底面に開口し、第1開口部H1よりも径が小さい第2開口部H2を形成する工程と、を含む。電極61を形成する工程では、第2開口部H2を通してフローティングディフュージョンFDに電極61を接続する。これによれば、上記の撮像装置1を製造することができる。
【0074】
<その他の実施形態>
上記のように、本開示は実施形態及び変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本開示を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。本技術はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。上述した実施形態及び変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。また、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0075】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)
半導体層と、
前記半導体層に設けられた画素と、
前記半導体層上に設けられて前記画素を覆う絶縁膜と、
前記絶縁膜に設けられた開口部内に配置される電極と、を備え、
前記画素は、
光電変換部と、
前記光電変換部で生成された電荷を蓄積するフローティングディフュージョンと、
前記光電変換部で生成された電荷を前記フローティングディフュージョンに転送する転送トランジスタと、を有し、
前記開口部は、
前記絶縁膜の表面に開口する第1開口部と、
前記第1開口部の底面に開口し、前記第1開口部よりも径が小さい第2開口部と、を有し、
前記第2開口部の底面下に前記フローティングディフュージョンが位置し、
前記第2開口部を通して前記フローティングディフュージョンに前記電極が接続される、光検出装置。
(2)
前記半導体層の表面に平行な一方向において、前記フローティングディフュージョンの長さは、前記第2開口部の径よりも大きく、前記第1開口部の径よりも小さい、前記(1)に記載の光検出装置。
(3)
前記電極と前記フローティングディフュージョンとの間に設けられたバリアメタル層と、
前記バリアメタル層と前記半導体層との合金層と、をさらに備え、
前記合金層は、前記フローティングディフュージョンの内側にのみ設けられている、前記(1)又は(2)に記載の光検出装置。
(4)
前記絶縁膜は、
第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜と前記半導体層との間に設けられた第2絶縁膜とを有し、
前記第1開口部は前記第1絶縁膜に設けられ、
前記第2開口部は前記第2絶縁膜に設けられている、前記(1)から(3)のいずれか1項に記載の光検出装置。
(5)
前記第1絶縁膜はシリコン酸化膜であり、
前記第2絶縁膜はシリコン窒化膜、又は、シリコン酸化膜上にシリコン窒化膜を積層した積層膜である、前記(4)に記載の光検出装置。
(6)
前記フローティングディフュージョンは、
前記転送トランジスタに隣接して設けられた第1フローティングディフュージョンを有し、
前記第2開口部を通して前記第1フローティングディフュージョンに前記電極が接続される、前記(1)から(5)のいずれか1項に記載の光検出装置。
(7)
前記半導体層に設けられた画素間分離用の不純物領域、をさらに備え、
前記フローティングディフュージョンは、
前記不純物領域に隣接して設けられた第2フローティングディフュージョンを有し、
前記第2開口部を通して前記第2フローティングディフュージョンに前記電極が接続される、前記(1)から(6)のいずれか1項に記載の光検出装置。
(8)
前記画素を複数備え、
前記複数の画素が1つの前記フローティングディフュージョンを共有する、前記(1)から(7)のいずれか1項に記載の光検出装置。
(9)
フローティングディフュージョンが設けられた半導体層上に絶縁膜を成膜する工程と、
前記絶縁膜に前記フローティングディフュージョンを底面とする開口部を形成する工程と、
前記開口部内に電極を形成する工程と、を含み、
前記開口部を形成する工程は、
前記絶縁膜の表面に開口する第1開口部を形成する工程と、
前記第1開口部の底面に開口し、前記第1開口部よりも径が小さい第2開口部を形成する工程と、を含み、
前記電極を形成する工程では、前記第2開口部を通して前記フローティングディフュージョンに前記電極を接続する、光検出装置の製造方法。
(10)
前記開口部を形成する工程は、
前記第2開口部を形成する前に、前記第1開口部の側面を保護膜で覆う工程をさらに含み、
前記第2開口部を形成する工程では、前記第1開口部の前記側面が前記保護膜で覆われた状態で、前記第1開口部の底部をエッチングして前記第2開口部を形成する、前記(9)に記載の光検出装置の製造方法。
(11)
前記第2開口部を形成する工程はエッチバックで行う、前記(10)に記載の光検出装置の製造方法。
(12)
前記第2開口部を形成した後で、前記保護膜の少なくとも一部を除去する工程をさらに含む、前記(10)又は(11)に記載の光検出装置の製造方法。
(13)
前記保護膜はシリコン酸化膜であり、
前記保護膜を除去する工程では、フッ酸を含む溶液を用いてウェットエッチングを行う、前記(12)に記載の光検出装置の製造方法。
(14)
前記保護膜は金属膜であり、
前記保護膜を除去する工程では、硫酸を含む溶液を用いてウェットエッチングを行う、前記(12)に記載の光検出装置の製造方法。
【符号の説明】
【0076】
1 撮像装置
10 共有画素単位
11 半導体基板
11a 表面
12 画素領域
13 垂直駆動回路
14 カラム信号処理回路
15 水平駆動回路
16 出力回路
17 制御回路
21 画素
22 水平信号線
23 垂直信号線
24 データ出力信号線
30 読出回路
31 ゲート絶縁膜
35 画素分離部
37 不純物領域
41 サイドウォール
51 層間絶縁膜
52 絶縁膜
61 電極
61A、61B 電極
62 バリアメタル層
63 合金層
71 金属膜
511、512、521、5121、5122 SiO膜
522 SiN膜
AMP 増幅トランジスタ
FD フローティングディフュージョン
FD1 第1フローティングディフュージョン
FD2 第2フローティングディフュージョン
G 段差
H 開口部
H1 第1開口部
H2 第2開口部
HA、HB 開口部
M1 マスク
PD フォトダイオード
RST リセットトランジスタ
SEL 選択トランジスタ
TG 転送ゲート
TG ゲート電極(転送ゲート)
Vdd 電源線
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B