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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017176
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B41J2/01 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119655
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】小倉 清孝
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA18
2C056FA10
2C056HA60
(57)【要約】
【課題】媒体支持部の下方にインクが漏れた場合に該インクが電子部品に至ることを抑制する。
【解決手段】媒体99にインクを吐出して印刷を行う印刷部15と、媒体99を支持する媒体支持部19と、重力方向において媒体支持部19の下方に配置される電子部品57と、媒体支持部19と電子部品57との間であって、電子部品57と重力方向において重なる位置に配置される可撓性のシート部材200と、シート部材200を固定部100に固定する固定部材61と、を備え、シート部材200は、固定部材61を取り外すことなく固定部100から取り外し可能に構成されている印刷装置11。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体にインクを吐出して印刷を行う印刷部と、
前記媒体を支持する媒体支持部と、
重力方向において前記媒体支持部の下方に配置される電子部品と、
前記媒体支持部と前記電子部品との間であって、前記電子部品と重力方向において重なる位置に配置される可撓性のシート部材と、
前記シート部材を固定部に固定する固定部材と、
を備え、
前記シート部材は、前記固定部材を取り外すことなく前記固定部から取り外し可能に構成されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記シート部材は、折り曲げ位置で一部を折り曲げた折り曲げ部を有し、前記折り曲げ部が前記固定部に対して前記固定部材で固定されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置において、
前記固定部材は、前記固定部に取り付けられた軸部を有し、
前記折り曲げ部は、前記軸部を通す孔と、前記孔から延びるスリットと、を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷装置において、
前記スリットは、前記孔から前記シート部材の端部まで前記折り曲げ位置とは異なる方向に延びることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷装置において、
前記スリットの間隔は、前記軸部の外径よりも狭いことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の印刷装置において、
前記固定部材は、金属製であることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項3から5のいずれか1項に記載の印刷装置において、
前記固定部材は、螺旋状の溝が形成された前記軸部と、前記軸部の一端に設けられ前記軸部の外径よりも大きな外径の頭部と、を有するネジであることを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な印刷装置が使用されている。このうち、媒体にインクを吐出して印刷を行う印刷装置がある。例えば、特許文献1には、媒体にインクを吐出して印刷を行う印刷装置の一例であって、プラテンの側方に配置されたフラッシングエリアから漏洩した液体を、受け皿に誘導する溝を有する流路部材を備えたインクジェットプリンターの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-45908号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、プラテンの下方に液体が漏洩した場合、プラテンの下方に配置された電子部品と液体とが接触することにより、電子部品が故障する恐れがあるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明の印刷装置は、媒体にインクを吐出して印刷を行う印刷部と、前記媒体を支持する媒体支持部と、重力方向において前記媒体支持部の下方に配置される電子部品と、前記媒体支持部と前記電子部品との間であって、前記電子部品と重力方向において重なる位置に配置される可撓性のシート部材と、前記シート部材を固定部に固定する固定部材と、を備え、前記シート部材は、前記固定部材を取り外すことなく前記固定部から取り外し可能に構成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施例1の印刷装置としてのプリンターの構成を示す断面図。
図2図1のプリンターの構成を示す正面図。
図3図1のプリンターの構成を示す背面図。
図4図1のプリンターのシート部材の斜視図。
図5図1のプリンターのシート部材の折り曲げ部の拡大図。
図6】本発明の実施例2のプリンターのシート部材の折り曲げ部の拡大図。
図7】本発明の実施例3のプリンターのシート部材の折り曲げ部の拡大図。
図8】本発明の実施例4のプリンターのシート部材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を概略的に説明する。
本発明の第1の態様に係る印刷装置は、媒体にインクを吐出して印刷を行う印刷部と、前記媒体を支持する媒体支持部と、重力方向において前記媒体支持部の下方に配置される電子部品と、前記媒体支持部と前記電子部品との間であって、前記電子部品と重力方向において重なる位置に配置される可撓性のシート部材と、前記シート部材を固定部に固定する固定部材と、を備え、前記シート部材は、前記固定部材を取り外すことなく前記固定部から取り外し可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、媒体支持部と電子部品との間であって電子部品と重力方向において重なる位置に可撓性のシート部材を備える。このため、媒体支持部の下方にインクが漏れた場合に該インクが電子部品に至ることを抑制することができる。また、シート部材が固定部材を取り外すことなく固定部から取り外し可能に構成されていることで、固定部材の紛失や固定部材の電子部品への接触に伴う不具合を抑制することができるとともに、シート部材の固定部からの取り外し及び固定部への取り付けが容易になる。
【0009】
また、本発明の第2の態様は、前記第1の態様の印刷装置において、前記シート部材は、折り曲げ位置で一部を折り曲げた折り曲げ部を有し、前記折り曲げ部が前記固定部に対して前記固定部材で固定されていることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、シート部材は、折り曲げ部を有し、折り曲げ部が固定部に対して固定部材で固定されている。シート部材に折り曲げ部を設け、折り曲げ部において固定部に対して固定する構成とすることで、シート部材の固定部からの取り外し及び固定部への取り付けが容易になる。
【0011】
また、本発明の第3の態様は、前記第2の態様の印刷装置において、前記固定部材は、前記固定部に取り付けられた軸部を有し、前記折り曲げ部は、前記軸部を通す孔と、前記孔から延びるスリットと、を有することを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、固定部材は固定部に取り付けられた軸部を有し、折り曲げ部は軸部を通す孔と孔から延びるスリットとを有する。このような構成とすることで、シート部材の固定部からの取り外し及び固定部への取り付けが特に容易になる。
【0013】
また、本発明の第4の態様は、前記第3の態様の印刷装置において、前記スリットは、前記孔から前記シート部材の端部まで前記折り曲げ位置とは異なる方向に延びることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、スリットは孔からシート部材の端部まで折り曲げ位置とは異なる方向に延びる。このような構成とすることで、孔からシート部材の端部までスリットに軸部を通してシート部材を固定部から取り外すことができるとともに、シート部材の端部から孔までスリットに軸部を通してシート部材を固定部に取り付けることができる。
【0015】
また、本発明の第5の態様は、前記第4の態様の印刷装置において、前記スリットの間隔は、前記軸部の外径よりも狭いことを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、スリットの間隔は軸部の外径よりも狭い。このため、スリットと軸部との間で摩擦力が働くことにより、ユーザーが意図せずにシート部材が固定部から外れることを抑制することができる。
【0017】
また、本発明の第6の態様は、前記第1から第5のいずれか1つの態様の印刷装置において、前記固定部材は、金属製であることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、固定部材は金属製である。固定部材は金属製である場合、固定部材が電子部品に接触するとショートなど不具合を引き起こす虞があるが、固定部材を取り外すことなくシート部材が固定部から取り外し可能に構成されていることで、このような不具合の虞を低減することができる。
【0019】
また、本発明の第7の態様は、前記第3から第5のいずれか1つの態様の印刷装置において、前記固定部材は、螺旋状の溝が形成された前記軸部と、前記軸部の一端に設けられ前記軸部の外径よりも大きな外径の頭部と、を有するネジであることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、固定部材は、螺旋状の溝が形成された軸部と、軸部の一端に設けられ軸部の外径よりも大きな外径の頭部と、を有するネジである。このため、固定部材を簡単に構成することができるとともに、ネジの頭部でシート部材を固定部に対して確りと押さえ付けることができる。
【0021】
以下、本発明を具体的に説明する。
以下の各図においては、互いに直交する3つの軸をX軸、Y軸、及びZ軸として説明する。X軸に沿う方向を「X方向」、Y軸に沿う方向を「Y方向」、Z軸に沿う方向を「Z方向」とし、矢印の方向が+方向であり、+方向と反対の方向を-方向とする。なお、+Z方向を「上」又は「上方」、-Z方向を「下」又は「下方」ということもあり、+Z方向から見ることを平面視あるいは平面的ともいう。また、Z方向+側の面を上面、これと反対側となるZ方向-側の面を下面として説明する。
【0022】
まず、図1から図3を参照しながら、印刷装置としてのプリンター11の構成を説明する。図1から図3に示すように、プリンター11は、例えば、媒体としての用紙99に、液体としてのインクを吐出することにより、文字や、写真などの画像を形成する。
【0023】
プリンター11は、筐体12と、脚部14と、印刷部15と、プラテン19と、第1媒体保持部23と、第2媒体保持部24と、を備えている。筐体12には、画像が形成された後、すなわち、印刷された後の用紙99を排出する排出口13が設けられている。筐体12は、脚部14によって支持されている。脚部14は、プリンター11において、着脱可能である。脚部14は、プリンター11が設置される設置面A1に接触する。
【0024】
印刷部15は、筐体12に収容されている。印刷部15は、用紙99にインクを吐出する。印刷部15が用紙99にインクを吐出することによって、用紙99に画像が印刷される。印刷部15は、ヘッド16と、ヘッド16を搭載するキャリッジ17と、を有する。ヘッド16は、インクを吐出する複数のノズル18を有する。キャリッジ17は、用紙99に対して走査する。具体的には、キャリッジ17は、筐体12内において、幅方向W、すなわち、+X方向及び-X方向に移動する。これにより、ヘッド16は、用紙99の幅にわたってインクを吐出する。
【0025】
本実施形態のプリンター11は、シリアルプリンターである。なお、プリンター11は、用紙99の幅にわたって一斉にインクを吐出可能なラインプリンターでもよい。プラテン19は、筐体12に収容され、印刷部15と対向して配置されている。プラテン19は、搬送方向Vに搬送される用紙99を下方から支持する。印刷部15は、プラテン19に支持されている部分にインクを吐出する。プラテン19の搬送方向Vには、印刷部15によって印刷された後の用紙99を支持する排出支持部21が配置されている。
【0026】
第1媒体保持部23は、印刷部15によって印刷される前の、ロール状に巻き重ねられた用紙99を保持する。第1媒体保持部23は、用紙99が巻き重ねられている繰出軸25を有する。第1媒体保持部23は、筐体12に収容される。
【0027】
第2媒体保持部24は、印刷部15によって印刷された後の用紙99を、ロール状に巻き重ねられた状態で保持する。第2媒体保持部24は、用紙99が巻き重ねられた巻取軸26を有する。巻取軸26が回転することによって、用紙99が巻き取られる。第2媒体保持部24は、例えば、脚部14に取り付けられている。
【0028】
図2及び図3に示すように、プリンター11は、筐体12と、脚部14とが取り付けられた本体フレーム27を備える。本体フレーム27は、メインフレーム28と、ベースフレーム29と、第1サイドフレーム31と、第2サイドフレーム32と、背面側フレーム36と、を有する。そして、本体フレーム27は、連結フレーム46に取り付けられる。
【0029】
メインフレーム28は、印刷部15のキャリッジ17を支持するフレームである。メインフレーム28は、X方向に長尺である。ベースフレーム29は、プラテン19を支持するフレームである。ベースフレーム29は、X方向に長尺である。第1サイドフレーム31及び第2サイドフレーム32は、メインフレーム28及びベースフレーム29を支持し、X方向において、プラテン19を挟むように配置される。第1サイドフレーム31及び第2サイドフレーム32には、脚部14が取り付けられる。
【0030】
第1サイドフレーム31は、3つのサイドフレーム33,34,35を有する。サイドフレーム33は、メインフレーム28及びベースフレーム29を支持する。第2サイドフレーム32は、3つのサイドフレーム41,42,43を有する。サイドフレーム41は、メインフレーム28及びベースフレーム29を支持する。
【0031】
連結フレーム46は、サイドフレーム35とサイドフレーム43とに取り付けられる。サイドフレーム35及びサイドフレーム43は本体フレーム27の一部を構成すると見なすことができるので、サイドフレーム35とサイドフレーム43とが載せられる連結フレーム46は、本体フレーム27を保持すると見なすことができる。連結フレーム46には、保持ユニット53と、電子部品57と、が配置されている。
【0032】
保持ユニット53は、インクを収容する液体収容部52を保持する保持トレイ54と、インクを受ける液体受け部56と、を備えている。保持ユニット53は、例えば、プリンター11に2つ配置されている。2つの保持ユニット53の間には、電子部品57が配置されている。言い換えれば、プラテン19の下方に、電子部品57が配置されている。また、電子部品57以外には、図示しないポンプユニットが配置されている。ポンプユニットは、液体収容部52から印刷部15に向けて液体を供給するポンプである。ポンプユニットは、例えば、液体収容部52内を減圧することによって、印刷部15にインクを供給する。
【0033】
Z方向において、プラテン19と電子部品57との間には、例えば、ベースフレーム29に固定されたフレーム100と、フレーム100に2カ所において取り付けられた樹脂板200と、が配置されている。フレーム100は、例えば、図示しないファンのカバーである。なお、プラテン19と電子部品57との間に樹脂板200が配置されればよく、例えば、フレーム100を介さずにベースフレーム29に樹脂板200が取り付けられていてもよく、筐体12の内部やプリンター11本体に、樹脂板200が取り付けられていてもよい。また、樹脂板200のかわりに樹脂以外の可撓性のシート部材を備えていてもよい。
【0034】
樹脂板200はネジ61により4カ所で本体フレーム27に固定されている。具体的には、図2で表されるようにネジ61により2カ所で本体フレーム27を構成するフレーム100に固定され、図3で表されるようにネジ61により2カ所で本体フレーム27を構成する背面側フレーム36に固定されている。ただし、樹脂板200の固定カ所の数や位置に特に限定は無い。なお、樹脂板200の詳細な構成については後述する。
【0035】
上記のように、本実施例のプリンター11は、媒体としての用紙99にインクを吐出して印刷を行う印刷部15と、用紙99を支持する媒体支持部としてのプラテン19と、重力方向においてプラテン19の下方に配置される電子部品57と、を備えている。さらに、本実施例のプリンター11は、プラテン19と電子部品57との間であって電子部品57と重力方向において重なる位置に可撓性のシート部材である樹脂板200を備え、樹脂板200をその固定部であるフレーム100及び背面側フレーム36に固定する固定部材であるネジ61を備えている。以下に、本実施例のプリンター11の樹脂板200の詳細な構成について図4及び図5を参照して説明する。
【0036】
本実施例の樹脂板200は、可撓性であるとともに、図4で表されるように、プリンター11に取り付けられた状態で、受け面200aがZ方向と交差する方向に広がるシート状であり、+Y方向側に2カ所の折り曲げ部210と、-Y方向側に1カ所の折り曲げ部200bと、を有している。2カ所の折り曲げ部210のうちの一方の折り曲げ部210aには、ネジ61により締結されるネジ孔部220aが設けられている。また、2カ所の折り曲げ部210のうちの他方の折り曲げ部210bには、ネジ61により締結されるネジ孔部220bが設けられている。そして、折り曲げ部200bには、2カ所、ネジ61により締結されるネジ孔部230a及びネジ孔部230bが設けられている。
【0037】
ネジ孔部230a及びネジ孔部230bは丸孔であり、ネジ孔部230a及びネジ孔部230bにネジ61の軸部を背面側フレーム36に設けられたネジ孔に該軸部を嵌合させ、ネジ61の頭部で背面側フレーム36に対して折り曲げ部200bを挟み込むことで、折り曲げ部200bを背面側フレーム36に対して固定することができる。したがって、折り曲げ部200bを背面側フレーム36に対して着脱する際には、ネジ61を一旦取り外す必要がある。
【0038】
一方、2つのネジ孔部220であるネジ孔部220a及びネジ孔部220bは、同様の構成をしており、図5で表されるように、ネジ孔部220は丸孔部221に加えてスリット部222を有している。なお、ネジ孔部220にネジ61の軸部を通しフレーム100に設けられたネジ孔に該軸部を嵌合させ、ネジ61の頭部でフレーム100に対して折り曲げ部210を挟み込むことで、折り曲げ部210をフレーム100に対して固定することができる。折り曲げ部210としての本実施例のプリンター11の2カ所の折り曲げ部210Aは、このようなスリット部222を有し、折り曲げ部200bをフレーム100に対して着脱する際、ネジ61を少し緩めた状態としてスリット部222をネジ61の軸部に通して折り曲げ部210を-Z方向に移動させることで、ネジ61を取り外すことなく折り曲げ部200bをフレーム100に対して着脱することができる。
【0039】
このように、本実施例のプリンター11においては、プラテン19と電子部品57との間であって電子部品57と重力方向において重なる位置に可撓性のシート部材である樹脂板200を備えている。このため、プラテン19の下方にインクが漏れた場合に該インクが電子部品57に至ることを抑制することができる。また、樹脂板200が固定部材であるネジ61を取り外すことなく固定部であるフレーム100から取り外し可能に構成されていることで、ネジ61の紛失やネジ61の電子部品57への接触に伴う不具合を抑制することができるとともに、樹脂板200のフレーム100からの取り外し及びフレーム100への取り付けが容易になる。なお、本実施例の可撓性のシート部材は樹脂板200であるが、可撓性のシート部材は樹脂以外の素材で構成されていてもよく、例えば、薄い金属板などとすることも可能である。また、本実施例の固定部材はネジ61であるが、フック状の突起などネジ以外の固定部材としてもよい。
【0040】
なお、図4で表されるように、本実施例の樹脂板200Aにおいては、ネジ孔部220a及びネジ孔部220bはネジ61を取り外すことなく折り曲げ部200bを背面側フレーム36に対して着脱することができる構成になっているが、ネジ孔部230a及びネジ孔部230bはネジ61を取り外すことなく折り曲げ部200bを背面側フレーム36に対して着脱することができる構成になっていない。これは、樹脂板200Aを取り外す際というのはフレーム100に収容されたファンを交換するときや保持トレイ54を取り外す際などであるが、樹脂板200Aの+Y方向に対応する前面側のみを本体フレーム27から取り外すだけで対応可能であるためである。しかしながら、ネジ孔部230a及びネジ孔部230bもネジ孔部220a及びネジ孔部220bと同様の構成としてもよいことは言うまでもない。
【0041】
また、図5で表されるように、本実施例の折り曲げ部210Aにおいては、丸孔部221とスリット部222との境界部分223及びスリット部222の端部224が面取りされてラウンド形状となっている。このため、樹脂板200のフレーム100からの取り外し及びフレーム100への取り付けが特に容易になっている。
【0042】
また、図5で表されるように、本実施例の樹脂板200Aは、折り曲げ位置211で一部を折り曲げた折り曲げ部210を有している。そして、本実施例の樹脂板200Aは、折り曲げ部210がフレーム100に対してネジ61で固定される構成となっている。本実施例の樹脂板200Aのように、可撓性のシート部材に折り曲げ部210を設け、折り曲げ部210においてフレーム100などの固定部に対して固定する構成とすることで、シート部材の固定部からの取り外し及び固定部への取り付けが容易になる。
【0043】
ここで、固定部材としてのネジ61はフレーム100に取り付けられる軸部を有し、折り曲げ部210は軸部を通す孔である丸孔部221と、丸孔部221から延びるスリットであるスリット部222と、を有する。このような構成とすることで、シート部材の固定部からの取り外し及び固定部への取り付けが特に容易になる。
【0044】
また、図5で表されるように、スリット部222は、丸孔部221から樹脂板200Aの端部まで折り曲げ位置211とは異なる方向に延びている。このような構成とすることで、丸孔部221から樹脂板200Aの端部までスリット部222にネジ61の軸部を通して樹脂板200Aをフレーム100から取り外すことができるとともに、樹脂板200Aの端部から丸孔部221までスリット部222にネジ61の軸部を通して樹脂板200Aをフレーム100に取り付けることができる。
【0045】
なお、固定部材としてのネジ61は、螺旋状の溝が形成された軸部と、軸部の一端に設けられ軸部の外径よりも大きな外径の頭部と、を有するネジである。このため、固定部材を簡単に構成することができるとともに、ネジ61の頭部でシート部材を固定部に対して確りと押さえ付けることができる。ただし、シート部材が固定部材を取り外すことなく固定部から取り外し可能に構成されている限り、固定部材の構成に特に限定は無い。
【0046】
また、本実施例の折り曲げ部210Aのスリット部222の間隔は、ネジ61の軸部の外径よりも狭く構成されている。このような構成とすることで、スリット部222とネジ61の軸部との間で摩擦力が働くことにより、ユーザーが意図せずにシート部材が固定部から外れることを抑制することができる。
【0047】
また、本実施例の固定部材としてのネジ61は、金属製である。固定部材が金属製である場合、固定部材が電子部品57に接触するとショートなど不具合を引き起こす虞があるが、本実施例のプリンター11はネジ61を取り外すことなく樹脂板200Aがフレーム100から取り外し可能に構成されていることで、このような不具合の虞を低減することができる。
【0048】
[実施例2]
次に、実施例2のプリンター11について、図6を用いて説明する。なお、図6は実施例1のプリンター11における図5に対応する図である。図6において上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例のプリンター11は、折り曲げ部210の構成以外は実施例1のプリンター11と同様の形状をしている。このため、下記で説明する部分以外に関しては、本実施例のプリンター11は、実施例1のプリンター11と同様の特徴を有している。
【0049】
図5で表されるように、実施例1のプリンター11の折り曲げ部210Aにおいては、スリット部222は、丸孔部221から折り曲げ位置211とは反対方向となる折り曲げ部210Aの+Z方向側端部に至る構成となっていた。一方、図6で表されるように、本実施例のプリンター11の折り曲げ部210Bにおいては、スリット部222は、丸孔部221から折り曲げ部210Bの+X方向側端部に至る構成となっている。このように、折り曲げ部210の孔から延びるスリットの方向に特に限定は無い。プリンター11の装置構成に応じて適宜、折り曲げ部210の孔から延びるスリットの方向を設定することができる。
【0050】
[実施例3]
次に、実施例3のプリンター11について、図7を用いて説明する。なお、図7は実施例1のプリンター11における図5に対応する図である。図7において上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例のプリンター11は、折り曲げ部210の構成以外は実施例1のプリンター11と同様の形状をしている。このため、下記で説明する部分以外に関しては、本実施例のプリンター11は、実施例1のプリンター11と同様の特徴を有している。
【0051】
図5で表されるように、実施例1のプリンター11の折り曲げ部210Aにおいては、丸孔部221から折り曲げ部210Aの端部に至る構成となっていた。一方、図7で表されるように、本実施例のプリンター11の折り曲げ部210Cにおいては、丸孔部221から折り曲げ部210Cの端部にまでは至らない構成となっている。さらに詳細には、本実施例の折り曲げ部210Cにおいては、丸孔部221から+Z方向側にスリット部222aが延び、丸孔部221から-Z方向側にスリット部222bが延びている。このような構成とすることで、スリット部222a及びスリット部222bを変形させつつフレーム100に固定されたネジ61に対して丸孔部221を着脱し、フレーム100に対して折り曲げ部210Cを取り付け及び取り外しすることができる。
【0052】
[実施例4]
次に、実施例4のプリンター11について、図8を用いて説明する。なお、図8は実施例1のプリンター11における図4に対応する図である。図8において上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例のプリンター11は、樹脂板200の構成以外は実施例1のプリンター11と同様の形状をしている。このため、下記で説明する部分以外に関しては、本実施例のプリンター11は、実施例1のプリンター11と同様の特徴を有している。
【0053】
図4で表されるように、実施例1のプリンター11の樹脂板200Aにおいては、折り曲げ部210a及び折り曲げ部210bは、受け面200aに構成された+Y方向側に延びる凸部を折り曲げることにより構成されていた。一方、図8で表されるように、本実施例のプリンター11の樹脂板200Bにおいては、折り曲げ部210a及び折り曲げ部210bは、受け面200aの+Y方向側の領域にX方向に並ぶ切り込みを入れ、X方向に並ぶ切り込み同士の間の部分を折り曲げることにより構成されている。このような構成とすることで、樹脂板200を特に簡単に構成することができる。
【0054】
なお、図8では受け面200aのY方向+側の縁から切り込みを入れているが、縁から切り込まずに折り曲げ部210a及び折り曲げ部210bを形成しても良い。例えば、受け面200aのY方向+側の縁よりも内側(Y方向-側)で、Y方向に沿った2ヶ所とX方向に沿った1ヶ所に切り込みを入れ、X方向に沿った切り込みを持ち上げながらX方向に並ぶ切り込み同士の間の部分を折り曲げることにより、折り曲げ部210a及び折り曲げ部210bを形成しても良い。このような構成では、受け面200aに周囲が閉じた開口を形成するように折り曲げ部210a及び折り曲げ部210bを形成することになり、受け面200aのY方向+側の縁に切り欠きができず、受け面200aのY方向+側の縁が撓み難くなる。前述に限らず、受け面200aへ入れる切り込みについては、様々な位置や向き、形状などが適用可能である。
【0055】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0056】
11…プリンター(印刷装置)、12…筐体、13…排出口、14…脚部、15…印刷部、16…ヘッド、17…キャリッジ、18…ノズル、19…プラテン(媒体支持部)、21…排出支持部、23…第1媒体保持部、24…第2媒体保持部、25…繰出軸、26…巻取軸、27…本体フレーム、28…メインフレーム、29…ベースフレーム、31…第1サイドフレーム、32…第2サイドフレーム、33…サイドフレーム、34…サイドフレーム、35…サイドフレーム、36…背面側フレーム、41…サイドフレーム、42…サイドフレーム、43…サイドフレーム、46…連結フレーム、52…液体収容部、53…保持ユニット、54…保持トレイ、56…液体受け部、57…電子部品、61…ネジ(固定部材)、99…用紙(媒体)、100…フレーム(固定部)、200…樹脂板(シート部材)、200A…樹脂板(シート部材)、200B…樹脂板(シート部材)、200a…受け面、200b…折り曲げ部、210…折り曲げ部、210A…折り曲げ部、210B…折り曲げ部、210C…折り曲げ部、210a…折り曲げ部、210b…折り曲げ部、211…折り曲げ位置、220a…ネジ孔部、220b…ネジ孔部、221…丸孔部(孔)、222…スリット部(スリット)、222a…スリット部(スリット)、222b…スリット部(スリット)、223…境界部分、224…端部、230a…ネジ孔部、230b…ネジ孔部、A1…設置面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8