(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171764
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】吐出容器用支持台
(51)【国際特許分類】
B65D 83/38 20060101AFI20241205BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D83/38
B65D83/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088963
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】永井口 梨恵
(72)【発明者】
【氏名】西村 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】大野 綾音
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PC02
3E014PC03
3E014PC20
3E014PD01
3E014PD11
3E014PF10
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、底部形状の異なる複数の吐出容器が支持可能であり、使用時・使用後において吐出容器の転倒防止を図ることができる吐出容器用支持台を提供することである。
【解決手段】上記課題を解決するための本発明の吐出容器用支持台は、底部形状の異なる複数の吐出容器を支持する吐出容器用支持台であって、吐出容器の底部が嵌合する複数の領域を備え、各領域は、それぞれ異なる形状を有し、かつ中心軸を同一とすることを特徴とする。
これにより、1つの構造体で、底部形状の異なる複数の吐出容器を支持することができ、併せて使用時・使用後における吐出容器の転倒防止を図ることができる吐出容器用支持台を提供することが可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部形状の異なる複数の吐出容器を支持する吐出容器用支持台であって、
前記吐出容器の底部が嵌合する複数の領域を備え、
各領域は、それぞれ異なる形状を有し、かつ中心軸を同一とすることを特徴とする、吐出容器用支持台。
【請求項2】
前記領域は、
単一の容器からなる吐出容器本体の底部が嵌合する領域と、
複数の容器からなる吐出容器本体の底部が嵌合する領域と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載の吐出容器用支持台。
【請求項3】
前記領域は、
平面円形状である領域と、
平面小判形状である領域と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載の吐出容器用支持台。
【請求項4】
前記吐出容器は、エアゾール組成物を吐出する容器であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の吐出容器用支持台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器用支持台に関する。さらに詳しくは、本発明は、底部形状の異なる複数の吐出容器が支持可能であり、使用時・使用後における吐出容器の転倒防止を図ることができる吐出容器用支持台に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に収容された内容物を吐出するための容器(以下、「吐出容器」と呼ぶ)は、内容物の性質や用途により様々な形状のものが知られている。
ここで、内容物の種類、あるいは吐出手段によっては、吐出容器底部の形状が平坦とならないものがあり、使用途中で机上などの作業台に直立状態で安定して置くことが困難な場合がある。
また、吐出容器は、一般的に横方向のサイズ(幅あるいは直径)に対し、縦方向のサイズ(高さ)が大きいものが多い。そのため、吐出容器の使用時・使用後(使用者が作業台に置くとき、作業台上にあるものを使用者が手に取るとき・操作するとき、作業台上に載置しているとき等)に、吐出容器が不意に転倒してしまうことが課題とされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、円筒状の胴部及び半球状の底部を有する本体(吐出容器)と、本体の肩部及び底部のいずれとも嵌合しうる保持部を有するキャップとからなるエアゾール装置が記載されており、このキャップが本体の蓋及び支持台を兼ねるものとなる。
【0004】
また、特許文献2には、化粧品等のための容器(吐出容器)が転倒する可能性を低減するため、容器を支持体(作業台表面等)に離脱可能に固定する装置が記載されており、また、この装置は、容器の一部と共同して吸着カップを形成し、支持体上に気密的に押圧されるリップ部を形成する周縁部を有することが記載されている。この装置は、容器が取り付けられることで吸着カップが形成されるものであり、これにより支持体に対して可逆的又は離脱可能な固定化を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63-69573号公報
【特許文献2】特開2002-193265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載されるように、吐出容器の転倒防止のため、吐出容器に対して支持台を設けることは知られている。
一方で、吐出容器は様々な分野で広く用いられる容器の一つであり、内容物の種類や用途が同一または類似したものであっても、内容物を収容する吐出容器自体の形状が異なることがある。例えば、化粧料、特に毛髪に適用する製品(染毛剤)を収容した吐出容器としては、特許文献1及び2に記載されるような円筒形状の吐出容器のほか、第1剤と第2剤からなる染毛剤を収容し、吐出する2剤吐出容器が知られている。このとき、2剤吐出容器は、それぞれの染毛剤(第1剤及び第2剤)を収容した容器が連結した形となるものが広く知られており、その断面形状は横長の円状(小判形状)となる。そして、いずれの形状(断面形状)の吐出容器であっても、特許文献1及び2に記載されるように、吐出容器の転倒の可能性が高く、使用時・使用後において、作業台等に直立状態で安定して置くことが困難であるという課題については何ら変わらないものである。
【0007】
また、異なる断面形状を有する吐出容器に収容された製品(例えば染毛剤等)については、内容物を適用する対象(毛髪等)の点では同一であるものの、仕上がりや持続性等の違いから、使用者は各種製品をそれぞれ別途入手して使用することが多い。そのため、特許文献1及び2に記載されるように、各吐出容器ごとに支持台を設けると、吐出容器と支持台とが一対一対応のため、保管時に必要となるスペースの増加を招くとともに、製品作製に係るコストも増加する。
【0008】
本発明の課題は、底部形状の異なる複数の吐出容器が支持可能であり、使用時・使用後において吐出容器の転倒防止を図ることができる吐出容器用支持台を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、吐出容器用支持台として吐出容器の底部が嵌合する領域を複数設けることで、底部形状の異なる複数の吐出容器を支持可能とし、使用時・使用後における吐出容器の転倒防止が図られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下を特徴とする吐出容器用支持台である。
【0010】
上記課題を解決するための本発明の吐出容器用支持台は、底部形状の異なる複数の吐出容器を支持する吐出容器用支持台であって、吐出容器の底部が嵌合する複数の領域を備え、各領域は、それぞれ異なる形状を有し、かつ中心軸を同一とすることを特徴とする。
この特徴によれば、1つの構造体で、底部形状の異なる複数の吐出容器を支持することができ、併せて使用時・使用後における吐出容器の転倒防止を図ることができる吐出容器用支持台を提供することが可能となる。特に、吐出容器における内容物の残量にかかわらず、吐出容器の転倒防止を図ることが可能となる。また、吐出容器ごとに支持台を用意する必要がなく、保管に係る省スペース化及び製品作製に係るコスト低減が可能となる。
【0011】
また、本発明の吐出容器用支持台の一実施態様としては、領域は、単一の容器からなる吐出容器本体の底部が嵌合する領域と、複数の容器からなる吐出容器本体の底部が嵌合する領域と、を備えることを特徴とする。
この特徴によれば、吐出容器として使用頻度や汎用性の高い形状に嵌合する領域を設けることで、吐出容器用支持台を汎用性の高いものとすることができる。特に、毛髪に適用する製品(染毛剤)のように、所望する適用効果(仕上がり、持続性等)に応じて内容物の種類が異なることと併せ、構成する容器の個数が異なる吐出容器に対し、好適に利用できる吐出容器用支持台を提供することが可能となる。
【0012】
また、本発明の吐出容器用支持台の一実施態様としては、領域は、平面円形状である領域と、平面小判形状である領域と、を備えることを特徴とする。
この特徴によれば、吐出容器として使用頻度や汎用性の高い形状に嵌合する領域を設けることで、吐出容器用支持台を汎用性の高いものとすることができる。特に、毛髪に適用する製品(染毛剤)のように、所望する適用効果(仕上がり、持続性等)に応じて内容物の種類が異なることと併せ、構成する容器の個数が異なることで、底部形状が異なるものとなる吐出容器に対し、好適に利用できる吐出容器用支持台を提供することが可能となる。
【0013】
また、本発明の吐出容器用支持台の一実施態様としては、吐出容器は、エアゾール組成物を吐出する容器であることを特徴とする。
一般に、エアゾール容器は、エアゾール組成物の保持・吐出のために、内圧を高くする必要があるため、吐出容器には耐圧性が求められる。そのため、吐出容器底部の構造を平坦にしないことが好ましい一方、使用時・使用後に転倒しやすく、吐出口・吐出機構の破損や、容器周辺に内容物が飛散するなどの不具合が発生することがある。
一方、この特徴によれば、比較的転倒しやすいエアゾール容器についても、使用時・使用後における吐出容器の転倒防止を効果的に図ることが可能となる。すなわち、本発明の吐出容器用支持台の適用対象をエアゾール容器とすることで、本発明の効果をより顕著に発揮させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、底部形状の異なる複数の吐出容器が支持可能であり、使用時・使用後において吐出容器の転倒防止を図ることができる吐出容器用支持台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施態様における吐出容器用支持台及び吐出容器を示す概略説明図である。
【
図2】本発明の実施態様における吐出容器用支持台の構造に係る各種説明図(平面図、断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る吐出容器用支持台の実施態様について詳細に説明する。なお、以下の実施態様に記載する吐出容器用支持台については、本発明に係る吐出容器用支持台を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0017】
本発明は、底部形状の異なる複数の吐出容器を支持する吐出容器用支持台であって、1つの構造体で、複数種類の吐出容器に対して適用が可能となるものである。
図1は、本実施態様における吐出容器用支持台10を示す概略説明図である。
また、
図1は、本実施態様における吐出容器用支持台10と併せて、吐出容器用支持台10を適用する吐出容器1(第1吐出容器1A及び第2吐出容器1B)についても示している。
【0018】
[吐出容器]
本実施態様の吐出容器用支持台10を適用する吐出容器1としては、内容物を収容する空間を有し、外部からの押圧により内容物が吐出されるものであればよく、公知(市販)の各種吐出容器を用いることができる。
本実施態様における吐出容器1の具体例としては、例えば、
図1に示すように、1又は複数の容器からなる吐出容器本体2と、内容物の吐出機構3と、吐出口4と、を備えるものが挙げられる。
【0019】
本実施態様の吐出容器1の形状に係る具体例としては、例えば、
図1に示すように、円筒形状の単一容器からなる吐出容器本体(吐出容器本体2a)を備える吐出容器や、2剤吐出容器のように、それぞれ異なる内容物が収容された円筒形状の容器を複数組み合わせた吐出容器本体(吐出容器本体2b)を備える複数剤型の吐出容器が挙げられる。このような吐出容器1の形状は汎用性が高く、様々な分野で使用されていることから、本実施態様の吐出容器用支持台10の適用対象とすることで、吐出容器用支持台10自体も汎用性の高いものとなる。
なお、本実施態様の吐出容器1としては、単一の円筒形状容器(断面形状が円形の容器)からなる吐出容器本体2aと、吐出機構3aと、吐出口4aとを備えるものを第1吐出容器1Aとし、複数の円筒形状容器を連結した形からなる吐出容器本体2bと、吐出機構3bと、吐出口4bとを備えるものを第2吐出容器1Bとして、以下説明を行うが、これに限定されるものではない。
【0020】
本実施態様の吐出容器1に収容された内容物の吐出手段については特に限定されない。例えば、ポンプを利用して内容物を放出するもの(いわゆるノンエアゾール容器)や、噴射剤を利用して内容物を放出するもの(いわゆるエアゾール容器)などが挙げられる。
また、吐出機構3については吐出手段に応じた公知の構造を選択することができる。例えば、ノンエアゾール容器に用いられる吐出機構の例としては、吐出容器本体2内の内容物を吸引・吐出する手動ポンプと、手動ポンプを作動させるための押圧部材とを組み合わせたものなどが挙げられる。また、エアゾール容器に用いられる吐出機構の例としては、吐出容器本体2の上端にマウンティングカップを介して取り付けられるバルブと、外部からの押圧を加える押圧部材とを備えるものなどが挙げられる。
このとき、吐出容器1から放出された内容物の剤型としては、特に制限されず、例えば、液状、乳液状、泡状、クリーム状、ジェル状、ペースト状等が挙げられる。
【0021】
そして、吐出容器本体2の底部は、本実施態様の吐出容器用支持台10と嵌合させるため、内容物を吐出する吐出口4は吐出容器本体2の上方に設けられるものとする。なお、吐出口4の取付位置は、
図1に示すように、吐出容器本体2の側面であってもよく、吐出容器本体2の上面(天井面)であってもよい。
また、吐出口4の具体的構造については特に限定されないが、例えば、ノズル状とすることなどが挙げられる。
【0022】
また、本実施態様における吐出容器1の材質については特に限定されないが、吐出容器本体2については、本実施態様の吐出容器用支持台10に嵌合した際に直立状態を維持できる材質からなるものが好ましい。これにより、本実施態様の吐出容器用支持台10による転倒防止の効果に加え、使用者が使用時に手に取りやすい状態を維持したまま、吐出容器1の安定した支持が可能となる。このような吐出容器1(特に吐出容器本体2)の材質については、例えば、アルミニウム、ブリキ、ステンレス等の金属材料、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の合成樹脂材料等が挙げられる。
【0023】
本実施態様の吐出容器1は、吐出容器本体2内に直接内容物を収容するものであってもよいが、吐出容器本体2内に内容物を封入するための内袋を設けるものとしてもよい。また、吐出容器本体2内部をコート剤で被覆し、吐出容器1としての強度や耐薬品性を高めることが好ましい。
【0024】
本実施態様の吐出容器1に収容される内容物については、特に限定されない。内容物としては、食品、化粧料、工業・工作用製剤(接着剤やコート剤など)等に係る組成物が挙げられる。また、第1吐出容器1A及び第2吐出容器1Bに収容される内容物は、互いに適用対象や適用効果が、同一または類似したものを選択することが挙げられる。
具体的には、内容物として毛髪に適用する化粧料を選択し、第1吐出容器1Aのように単一の吐出容器本体2aからなるものについては、酸性染料を含有するヘアマニキュアや、顔料を含有するヘアマスカラ等、1剤で毛髪を半永久的あるいは一時的に染色する染毛剤(半永久染毛剤、一時染毛剤)を内容物とする一方、第2吐出容器1Bのように複数の内容物を収容する吐出容器本体2bを備えるものについては、酸化染料を含有するヘアカラー等、第1剤及び第2剤を用いて毛髪を永久的に染色する染毛剤(酸化染毛剤)を内容物とすることが挙げられる。
なお、本実施態様における第1吐出容器1A及び第2吐出容器1Bは、少なくとも容器の底部形状が異なる関係にあればよく、内容物の性状・性質は必ずしも異なるものとは限らない。すなわち、吐出容器本体2a内に複数の内袋や間仕切りを設けることで、第1吐出容器1A内に複数の剤を収容可能としたものを用い、第1吐出容器1A及び第2吐出容器1Bに収容される内容物が、いずれも複数の剤からなるものとしてもよい。
【0025】
本実施態様の吐出容器1は、エアゾール組成物を吐出する容器、いわゆるエアゾール容器であることが好ましい。
一般に、エアゾール容器は、エアゾール組成物の保持・吐出のために、内圧を高くする必要があるため、吐出容器には耐圧性が求められる。そのため、吐出容器底部の構造を平坦にしないことが好ましい一方、使用時・使用後に転倒しやすく、吐出口・吐出機構の破損や、容器周辺に内容物が飛散するなどの不具合が発生することがある。
一方、本実施態様の吐出容器用支持台10を用いることで、比較的転倒しやすいエアゾール容器についても、使用時・使用後における吐出容器の転倒防止を効果的に図ることが可能となる。すなわち、本発明の吐出容器用支持台の適用対象をエアゾール容器とすることで、本発明の効果をより顕著に発揮させることができる。
なお、エアゾール容器の構造及び内容物の吐出手段は特に限定されない。例えば、噴射剤と内容物を混合して噴射剤と共に内容物を放出するものや、吐出容器本体2の内部に内容物を封入した内袋を設け、吐出容器本体2と内袋との間の空間に充填した噴射剤により内容物を放出するもの等が挙げられる。
【0026】
[吐出容器用支持台]
本実施態様の吐出容器用支持台10に係る構造の一例を、
図1と併せ、
図2に示す。
図2Aは本実施態様の吐出容器用支持台10を上方から見たときの平面図、
図2Bは本実施態様の吐出容器用支持台10を側面から見たときの断面図(
図2AのA-A断面)、
図2Cは本実施態様の吐出容器用支持台10を別の側面から見たときの断面図(
図2AのB-B断面)をそれぞれ示している。
【0027】
図1及び
図2に示すように、本実施態様における吐出容器用支持台10は、吐出容器1の底部が嵌合する複数の領域(領域20A及び20B)を備え、各領域がそれぞれ異なる形状を有し、かつ中心軸Cを同一とするものである。
また、本実施態様の吐出容器用支持台10は、底板11と、各領域を形成する側壁12と、底板11と側壁12とを接続するフランジ13と、を備える。
【0028】
本実施態様の吐出容器用支持台10の材質は、領域20A及び20Bの形成に係る側壁12の成形容易性や、吐出容器1との嵌合に係る耐性強度を鑑み、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の合成樹脂材料等が挙げられる。また、環境への影響を鑑み、吐出容器用支持台10の材質として、一部又は全てに環境対応素材(例えば、再生可能な有機資源を原料とするバイオマスプラスチック等)を用いることが好ましい。
なお、吐出容器用支持台10の成形手段については特に限定されない。例えば、底板11、側壁12、フランジ13などの各構成部品をパーツごとに作成したものを接着(あるいは融着)させて組み上げることや、吐出容器用支持台10全体に係るパターン(金型、3D画像データなど)を作成し、公知の手段により一体成型(一体成形)することなどが挙げられる。
【0029】
本実施態様の吐出容器用支持台10において、吐出容器1の底部が嵌合する各領域はそれぞれが異なる形状であればよく、領域に係る形状の組み合わせについては特に限定されない。これにより、1つの構造体によって、底部形状の異なる複数の吐出容器を支持することができ、併せて使用時・使用後における吐出容器の転倒防止を図ることができる吐出容器用支持台として提供することができる。
本実施態様の吐出容器用支持台10としては、吐出容器1として使用頻度・汎用性が高い構造である第1吐出容器1A及び第2吐出容器1Bを嵌合させる領域を形成するものについて主に説明するが、本発明の吐出容器用支持台における領域に係る技術範囲を限定するものではない。
以下、第1吐出容器1Aが嵌合する領域を領域20A、第2吐出容器1Bが嵌合する領域を領域20Bとして説明を行う。
【0030】
本実施態様における領域20Aは、単一の容器からなる吐出容器本体2(吐出容器本体2a)の底部、すなわち第1吐出容器1Aの底部が嵌合する領域となる。
また、本実施態様における領域20Aは、第1吐出容器1Aの底部形状に合わせ、平面円形状である領域となる。
【0031】
領域20Aは、
図2Aに示すとおり、第1吐出容器1Aと嵌合させるために、第1吐出容器1Aの底部形状及びサイズ(直径)に合わせ、幅L1を直径とする断面円形状を側壁12の第1円弧部分12aによって形成するものである。
ここで、幅L1については、公知(市販)の吐出容器1(第1吐出容器1A)に合わせたサイズを選択することができ、例えば、30mm~80mmとすることが挙げられる。
【0032】
また、領域20Aを形成する高さH1は、
図2Bに示すように、側壁12全体の高さHとは等しくせず、吐出容器用支持台10上方から所定の高さの位置で、吐出容器1(第1吐出容器1A)の底部が係止する係止部14(水平面)を設けることが好ましい。また、併せて、係止部14より下部側の空間がテーパー状となるように、側壁12を傾斜させ、吐出容器用支持台10の底部(底板11上)の幅L2を、幅L1よりも小さくし、第2吐出容器1Bの底部形状における短径側の長さに合わせることが好ましい。これにより、吐出容器用支持台10の上方側(係止部14より上部側)は、第1吐出容器1Aが嵌合する幅L1を備えた領域20Aとなり、吐出容器用支持台10の下方側(係止部14より下部側)は、第2吐出容器1Bの短径側が嵌合するのに適した幅L2を備えた領域20Bの一部を形成するものとなる。
領域20Aを形成する高さH1は、第1吐出容器1Aの底部が安定して嵌合できる高さであればよい。本実施態様における高さH1の一例としては、例えば、第1吐出容器1Aの高さに対し、10%以上30%以下とすることが挙げられる。また、高さH1の別の例としては、吐出容器用支持台10全体の高さHに対し、25%以上80%以下となるようにすることが挙げられる。そして、具体的な数値の一例としては、全体の高さHを30mm~80mmとし、高さH1を15mm~50mmとすることが挙げられる。これにより、本実施態様における吐出容器用支持台10を、公知(市販)の吐出容器1(第1吐出容器1A)に対して広く適用することが可能となる。
【0033】
また、
図2Bに示した幅L1については、吐出容器用支持台10の上方から下方(係止部14まで)にわたって均一値となるようにしてもよいが、係止部14側に近くなるに従い、幅L1の値が小さくなるように設定することが好ましい。これにより、領域20Aがテーパー状の空間を形成し、第1吐出容器1Aとの嵌合性を高めることが可能となる。
【0034】
本実施態様における領域20Bは、複数の容器からなる吐出容器本体2(吐出容器本体2b)の底部、すなわち第2吐出容器1Bの底部が嵌合する領域となる。
また、第2吐出容器1Bが円筒形状容器を2つ隣り合わせに並べたものであることから、このときの第2吐出容器1Bの底部形状に合わせると、本実施態様における領域20Bは平面小判形状(横長の円形状)である領域となる。
【0035】
領域20Bは、
図2Aに示すとおり、第2吐出容器1Bと嵌合させるために、第2吐出容器1Bの底部形状及びサイズ(直径)に合わせ、幅L3を直径(長径)とする断面小判形状を側壁12の第2円弧部分12bによって形成するものである。
ここで、幅L3については、公知(市販)の吐出容器1(第2吐出容器1B)に合わせたサイズを選択することができ、例えば、2剤吐出容器として市販されているものであれば、40mm~100mmとすることが挙げられる。なお、幅L1と幅L3の関係としては、一般的な吐出容器1(第1吐出容器1A及び第2吐出容器1B)を用いた場合、L1<L3となる。
また、
図2Cに示した幅L3については、吐出容器用支持台10の上方から下方(底板11側)にわたって均一値となるようにしてもよいが、底板11側に近くなるに従い、幅L3の値が小さくなるように設定することが好ましい。これにより、領域20Bが吐出容器用支持台10の底部に向かってテーパー状の空間を形成し、第2吐出容器1Bとの嵌合性を高めることが可能となる。
なお、上述した吐出容器用支持台10の下部(底部)における第2吐出容器1Bの短径に合わせた幅L2は、幅L1及び幅L3よりも当然に小さくなる。幅L2としては、例えば、30mm~60mmとすることが挙げられる。
【0036】
また、領域20Bを形成する高さは、
図2Cに示すように、側壁12全体の高さHと等しくなる。すなわち、本実施態様における高さHは、第2吐出容器1Bの底部を嵌合させる高さに相当するものとなる。そして、本実施態様における高さHの一例としては、上述した内容と併せ、第2吐出容器1B全体の高さに対し、20%以上50%以下とすることが挙げられる。第2吐出容器1Bは、底部形状の特性上、第1吐出容器1Aよりも転倒しやすいものである。したがって、嵌合させる領域(高さ)を第1吐出容器1Aよりも大きくすることで、より一層の転倒防止を図ることが好ましい。これにより、本実施態様における吐出容器用支持台10を、公知(市販)の吐出容器1(第2吐出容器1B)に対して広く適用することが可能となる。
【0037】
底板11は、作業台、化粧台等の比較的平坦な表面に接する箇所となる。また、底板11と側壁12とをフランジ13によって接続することにより、底板11と側壁12との接合部分における面積を増やし、吐出容器用支持台10としての強度を高めることが好ましい。
底板11の形状は、
図2Aに示すように領域20Aの同心円状とすることが挙げられるが、これに限定されるものではない。底板11の別の形状としては、中心軸Cを中心とする形状であることが好ましく、例えば、中心軸Cを中点とする長方形や正方形とするものが挙げられる。
なお、底板11の幅L4(直径あるいは長径)は、少なくとも幅L1及び幅L3よりも大きくする。これにより、吐出容器1を嵌合した際に、吐出容器1の底部面積よりも平坦な表面に接地する面積を増やし、効果的な転倒防止を図ることが可能となる。
例えば、幅L4と幅L1(または幅L3)との関係は、幅L1に対し、幅L4が1.1倍以上となるようにすることが挙げられる。
また、吐出容器用支持台10の作業台等への設置に際して必要となる配置スペースを鑑み、幅L4に一定の上限値を設けるものとしてもよい。
より具体的には、幅L4を50mm~100mmとすることが挙げられる。
【0038】
本実施態様の底板11は、作業台等と接する面が平坦な構造を有するものであればよいが、転倒防止効果を高めるための構造、あるいは手段を設けるものとしてもよい。例えば、作業台等との密着(接着)効果を高める構造の設計、あるいは密着性を高める剤の使用などが挙げられる。
【0039】
また、本発明の吐出容器用支持台10に係る付属品として、各領域(領域20A及び20B)と、各吐出容器1との嵌合性を高めるために、吐出容器1に対して着脱可能なアタッチメントを設けるものとしてもよい。これにより、吐出容器用支持台10が支持可能となる吐出容器1の種類(底部形状及びサイズ)を拡張することが可能となり、吐出容器用支持台10の汎用性を高めることが可能となる。
【実施例0040】
以下に本発明の吐出容器用支持台について、実施例に基づき評価したものを説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例に係る評価内容によって限定されるものではない。
【0041】
[吐出容器用支持台の構造]
図1及び
図2に基づく吐出容器用支持台を、ポリプロピレンを用いて作製した。
各構成に係るサイズ(単位:mm)は以下のとおりである。
高さH:43.4、高さH1:23.4
幅L1:51.3、幅L2:37.2、幅L3:57.3、幅L4:70
【0042】
[評価試験]
上記吐出容器用支持台を用い、各種吐出容器に適用した状態(装着した状態)を実施例とし、「転倒角度(または滑り傾斜角)」「衝撃による転倒の有無」を、それぞれ下記の評価方法及び評価基準に基づき評価した。
ここで、実施例の吐出容器用支持台を適用する吐出容器としては、第1吐出容器1A(底部直径50mm、高さ170mm)及び第2吐出容器1B(底部長径56mm、底部短径28mm、高さ180mm)を用いた。
なお、吐出容器用支持台を適用してない(装着していない)吐出容器に対し、同様の評価方法及び評価基準に基づき評価したものを比較例とする。
【0043】
<転倒角度(滑り傾斜角度)>
各実施例、各比較例について、傾斜法に基づく滑り傾斜角度測定装置を用い、吐出容器が滑り始める角度(滑り傾斜角度)、あるいは吐出容器の転倒が生じる角度(転倒角度)を測定した。
このとき、測定装置に対する設置角度を変えたもの、及び、吐出容器における内容物の内容量を変えたものについても測定を行った。
ここで、設置角度とは、吐出容器における吐出口の向きによって規定する角度であり、吐出口が傾斜方向(下り方向)を向いたものを正面(0度)と規定し、測定を行った。
また、吐出容器における内容量については、全量(約80g)、半量(約40g)、残量(10g以内)として測定を行った。
測定結果を表1に示す。なお、表1に示す測定結果は、3回測定の平均値(単位:度)を示している。
【0044】
【0045】
表1に示すように、吐出容器用支持台を用いた実施例1、2では、吐出容器用支持台を用いない比較例1、2と比べ、吐出容器の転倒角度(滑り傾斜角度)が大きくなる傾向を示した。特に、吐出容器における内容物の内容量が減少した際においても、実施例1、2のほうが、比較例1、2よりも転倒角度が大きくなる傾向にあることが示された。すなわち、本発明の吐出容器用支持台によって、底部形状の異なる複数の吐出容器を支持することができるとともに、吐出容器の転倒防止が効果的に図られることが示された。
【0046】
<衝撃による転倒の有無>
各実施例、各比較例について、紐に25gの重りを取り付けた振り子を用い、30度、45度、90度の高さから離した重りを吐出容器に当て、その衝撃で転倒するか否かについての評価を行った。なお、この評価は、吐出容器を作業台等に載置している際に、使用者の手が意図せず吐出容器に当たってしまった状態を想定するものである。また、吐出容器における内容物の内容量は、全量(約80g)にて評価を行っている。
評価結果を表2に示す。なお、表2において、吐出容器が転倒しなかった場合を「○」、転倒した場合を「×」としている。
【0047】
【0048】
表2に示すように、吐出容器用支持台を用いた実施例3、4では、吐出容器用支持台を用いない比較例3、4と比べ、衝撃による転倒防止が図られることが示された。すなわち、本発明の吐出容器用支持台によって、底部形状の異なる複数の吐出容器を支持することができるとともに、特に、使用時・使用後において吐出容器が転倒する大きな要因の一つである衝撃に対しても、転倒防止に係る対応が可能となることが示された。