(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171768
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 21/16 20060101AFI20241205BHJP
B41J 25/20 20060101ALI20241205BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20241205BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241205BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B41J21/16
B41J25/20
B41J5/30 C
B41J2/01 201
B41J2/01 203
B41J2/01 451
B41J2/01 401
G03G21/00 500
G03G21/00 386
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088968
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓真
(72)【発明者】
【氏名】杉本 雅宏
(72)【発明者】
【氏名】柳 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】大地 潤一
(72)【発明者】
【氏名】川崎 皓太
【テーマコード(参考)】
2C056
2C187
2H270
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EB27
2C056EB36
2C056EB52
2C056EC37
2C056EC77
2C056EE02
2C056FA13
2C056HA58
2C187AC01
2C187AC06
2C187AC08
2C187AE07
2C187AG05
2C187BF60
2C187BG06
2C187BH18
2C187BH23
2C187CD07
2C187DB46
2C187GA00
2H270LA70
2H270LB14
2H270LC10
2H270LD03
2H270MH13
2H270QA13
2H270QA33
2H270QB18
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】追い刷り印刷にてレジストレーション補正を実施する場合において十分な印刷可能領域を確保する。
【解決手段】 連続シートに画像を形成する印刷装置であって、前記画像の形成位置を示す前記連続シート上の第一マークを検知する第一検知手段と、前記第一検知手段が検知した前記第一マークが示す前記形成位置に、前記画像に対応する複数の色版を重ねて印刷し、当該複数の色版それぞれに対応する複数の第二マークを前記連続シートに印刷する画像形成手段と、前記連続シート上の前記複数の第二マークを検知する第二検知手段と、前記第二検知手段による前記複数の第二マークの検知結果に基づき、前記色版毎のずれが解消するように前記色版の印刷開始タイミングを調整する制御手段と、を備え、前記複数の第二マークは、シート幅方向において前記第一マークと少なくとも一部が重なるように前記連続シートの端部に印刷される、ことを特徴とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続シートに画像を形成する印刷装置であって、
前記画像の形成位置を示す前記連続シート上の第一マークを検知する第一検知手段と、
前記第一検知手段が検知した前記第一マークが示す前記形成位置に、前記画像に対応する複数の色版を重ねて印刷し、当該複数の色版それぞれに対応する複数の第二マークを前記連続シートに印刷する画像形成手段と、
前記連続シート上の前記複数の第二マークを検知する第二検知手段と、
前記第二検知手段による前記複数の第二マークの検知結果に基づき、前記色版毎のずれが解消するように前記色版の印刷開始タイミングを調整する制御手段と、
を備え、
前記複数の第二マークは、シート幅方向において前記第一マークと少なくとも一部が重なるように前記連続シートの端部に印刷される、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記第二検知手段は、前記複数の第二マークの検知結果に基づき、前記複数の色版のうち基準色の色版に対する基準色以外の色版のシート搬送方向における相対位置ずれ量を算出し、
前記制御手段は、前記第二検知手段が算出した前記相対位置ずれ量の分だけ前記ずれが解消するように、前記色版の印刷開始タイミングを調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第一検知手段における検出範囲と前記第二検知手段における検出範囲は重複し、
前記複数の色版の数がM個のとき、前記画像形成手段は、シート搬送方向に隣り合う前記第一マークの間にM個の前記第二マークを並べて印刷し、
前記第二検知手段は、検知したマークの色に基づき動作モードを切り替えることで、検知したM個のマークを前記第二マークとして、前記相対位置ずれ量を算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第二検知手段は、
前記基準色以外の色のマークを検知した場合に前記動作モードを非検知モードから検知モードに移行し、
前記検知モードの下で検知したマークを、M個の前記色版それぞれに対応する前記第二マークとして、前記相対位置ずれ量を算出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記基準色はブラックであり、前記基準色以外の色はシアン、マゼンタ、イエローである、ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第一検知手段における検出範囲と前記第二検知手段における検出範囲は重複し、
前記複数の色版の数がM個のとき、前記画像形成手段は、隣り合う前記第一マークの間にM個の前記第二マークをシート搬送方向に並べて印刷し、
前記第二検知手段は、検知したマークの間隔に基づき、検知したマークが前記第二マークかどうかを判別して、前記相対位置ずれ量を算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記第一検知手段における検出範囲と前記第二検知手段における検出範囲は重複し、
前記第一マークの長さと前記第二マークの長さは異なり、
前記複数の色版の数がM個のとき、前記画像形成手段は、隣り合う前記第一マークの間にM個の前記第二マークをシート搬送方向に並べて印刷し、
前記第二検知手段は、検知したマークの長さに基づき、検知したマークが前記第二マークであるかどうかを判別して、前記相対位置ずれ量を算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記第二マークの長さは、前記第一マークの長さよりも短い、ことを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記第一検知手段における検出範囲と前記第二検知手段における検出範囲は重複し、
前記第一マークの長さと前記第二マークの長さは異なり、
前記複数の色版の数がM個のとき、前記画像形成手段は、シート搬送方向に隣り合う前記第一マークの間に、前記基準色に対応する前記第二マークと前記基準色以外の色のうち少なくとも1色に対応する前記第二マークとの組合せを並べて印刷し、
前記第二検知手段は、検知したマークの長さに基づき、検知したマークが前記第二マークであるかどうかを判別して、前記相対位置ずれ量を算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記組合せは、前記基準色と前記基準色以外の色のうちの1色から成る2色のレジマークの組合せである、ことを特徴とする請求項9に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記複数の色版のうち前記相対位置ずれ量の算出が完了した色版から順次、前記調整を開始する、ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記画像形成手段は、
前記複数の色版それぞれに対応する記録ヘッドを有し、
前記基準色の色版を形成する記録ヘッドに対応する色の前記第二マークを1番目に印刷し、
2番目以降の前記第二マークについては、前記基準色以外の色版に対応する複数の記録ヘッドのうち、前記基準色の色版を形成する記録ヘッドからの距離が遠い記録ヘッドに対応する色の前記第二マークほど先に印刷する、
ことを特徴とする請求項11に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記第一検知手段は、隣り合う前記第一マークの間隔を測定し、
前記画像形成手段は、前記第一検知手段によって測定された前記第一マークの間隔に基づき、隣り合う前記第一マークの間に前記M個の前記第二マークを並べて印刷するかどうかを決定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項14】
連続シートに画像を形成する印刷装置の制御方法であって、
前記画像の形成位置を示す前記連続シート上の第一マークを第一検知手段によって検知する第一検知ステップと、
画像形成手段によって、前記第一検知ステップにて検知した前記第一マークが示す前記形成位置に、前記画像に対応する複数の色版を重ねて印刷し、当該複数の色版それぞれに対応する複数の第二マークを前記連続シートに印刷する、印刷ステップと、
前記連続シート上の前記複数の第二マークを第二検知手段によって検知する第二検知ステップと、
前記第二検知ステップにて得られた前記複数の第二マークの検知結果に基づき、前記色版毎のずれが解消するように前記色版の印刷開始タイミングを調整する制御ステップと、
を含み、
前記複数の第二マークは、シート幅方向において前記第一マークと少なくとも一部が重なるように前記連続シートの端部に印刷される、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項15】
コンピュータに、請求項14に記載の制御方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シートに画像形成を行う印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺のシート(記録媒体)の幅に相当する分だけ複数の記録素子を配列したインク色毎の記録ヘッド(ラインヘッド)を用いて、記録素子の配列方向と交差する方向に一定の速度でシートを搬送させて画像を形成する印刷装置がある。ここで、個々のラインヘッドが有する公差やラインヘッドの取り付け誤差によってラインヘッド間で画像形成位置にずれが発生し、重なるべき異色ドットが分離したり、離れるべきドット同士が重なったりして、所望の色再現が得られない場合がある。この問題に対しては、色毎にテストマークを印刷してセンサでこれを検知することにより、ラインヘッド間の画像形成位置のずれを解消するレジストレーション補正と呼ばれる技術がある(特許文献1を参照)。また、長尺シートに対応した印刷装置には、予めシート上に印刷された画像の位置を示す基準マークをセンサで検知し、この基準マークに合わせながら新たに画像を印刷する所謂「追い刷り印刷」機能を有するものもある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-182297号公報
【特許文献2】特開2019-77043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した「追い刷り印刷」にて「レジストレーション補正」を実施する場合、基準マークとテストマークの両方が検知できるように相互に干渉しないよう長尺シート上に形成すると印刷可能な領域が小さくなって、生産性が低下してしまうという問題があった。
【0005】
本開示は、上述した問題を解決するためになされたものであり、「追い刷り印刷」において「レジストレーション補正」を実施する場合に十分な印刷可能領域を確保することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る印刷装置は、連続シートに画像を形成する印刷装置であって、前記画像の形成位置を示す前記連続シート上の第一マークを検知する第一検知手段と、前記第一検知手段が検知した前記第一マークが示す前記形成位置に、前記画像に対応する複数の色版を重ねて印刷し、当該複数の色版それぞれに対応する複数の第二マークを前記連続シートに印刷する画像形成手段と、前記連続シート上の前記複数の第二マークを検知する第二検知手段と、前記第二検知手段による前記複数の第二マークの検知結果に基づき、前記色版毎のずれが解消するように前記色版の印刷開始タイミングを調整する制御手段と、を備え、前記複数の第二マークは、シート幅方向において前記第一マークと少なくとも一部が重なるように前記連続シートの端部に印刷される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、「追い刷り印刷」にて「レジストレーション補正」を実施する場合において十分な印刷可能領域を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)及び(b)は、本開示の解決課題を説明する図
【
図2】高速ラインプリンタの内部構造を示す概略断面図
【
図6】追い刷り印刷を実行中のシートの状態を示した上面図
【
図7】
図6に対して所定時間経過後のレジマークが印刷された状態を示した上面図
【
図8】レジマークセンサの動作モードの遷移と各インク色のレジマークの検知結果を示したタイミングチャート
【
図9】(a)は色レジ補正前の各色版の印刷位置を示した上面図、(b)は色レジ補正後の各色版の印刷位置を示した上面図
【
図10】(a)は基準マークセンサの出力値の変化を示したタイミングチャート、(b)はレジマークセンサにおける出力値の変化とレジマークセンサの動作モードの状態変化を示したタイミングチャート
【
図11】(a)は基準マークセンサによる基準マークの検知タイミングを示したタイミングチャート、(b)は各レジマークの印刷位置とサイズを示したシート上面図、(c)はレジマークセンサによるレジマークの検知タイミングを示したタイミングチャート
【
図12】各インク色に対応するレジマークの印刷位置を示したシート上面図
【
図13】検知処理と色レジ補正処理との時系列な関係を示したタイミングチャート
【
図14】(a)及び(b)は、レジマークの印刷手法の切り替えを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態を実施するための形態について図面などを参照して説明する。なお、以下の実施形態は、本開示の技術を限定するものではなく、また、以下の実施形態で説明されている全ての構成が課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。
【0010】
<課題の確認>
各実施形態の説明に入る前に、追い刷り印刷の際にレジストレーション補正を行うと印刷可能な領域が小さくなって生産性が低下する、という本開示に係る課題について図を参照しながら具体例を交えて説明する。なお、追い刷り印刷は「マーク検知印刷」とも呼ばれる。
【0011】
図1(a)及び(b)は、追い刷り印刷にてレジストレーション補正を実施したときの、シートSHに印刷されたそれぞれのマークの配置を示した上面図である。ここでは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのライン型記録ヘッド(ヘッドC、ヘッドM、ヘッドY、ヘッドK)を用いたフルカラー印刷装置を例に説明する。搬送方向Fに向かって搬送される長尺シートに対して、レジストレーション補正用のCMYKそれぞれに対応したテストマークを検知するセンサと、追い刷り印刷用の基準マークを検知するセンサが、印刷装置内部に対向配置されているものとする。
【0012】
まず「追い刷り印刷」について説明する。追い刷り印刷に用いるロール状に巻かれた長尺シートは“ロールシート”或いは“連続シート”とも呼ばれる(以下、「シートSH」と表記)。いま、シートSHには、基準マークと画像Aが事前に印刷されている。そして、搬送されてくるシートSHに形成された基準マークを基準マークセンサによって検知し、基準マークの検知タイミング情報に基づき、画像Bが所望の位置に形成されるように4つのライン型記録ヘッドでシート上に印刷が行われる。
【0013】
次に「レジストレーション補正」について説明する。いま、4つのライン型記録ヘッドは、ブラックのヘッドK、シアンのヘッドC、マゼンタのヘッドM、イエローのヘッドYで構成されている。レジストレーション補正では、シートSH上に形成される各色版に対応するテストマークを専用のセンサで検知して、ヘッド間の画像形成位置(ドット形成位置)のずれを補正する。この際、専用のセンサで、基準マークを誤検知しないよう、テストマークの幅方向の範囲Bが、基準マークの幅方向の範囲Aに対して重ならないようテストマークを印刷している。以下、レジストレーション補正のための各色版に対応するテストマークを「レジマーク」と表記し、専用のセンサを「レジセンサ」と表記し、レジストレーション補正を「色レジ補正」と表記する。
【0014】
上述のとおり、シートSHの幅方向における範囲Aには基準マークが、範囲Bにはレジマークがそれぞれ印刷されるため、残された範囲Cの領域が、印刷対象の画像A及び画像Bを形成可能な領域(以下、「印刷可能領域」と呼ぶ。)となる。基準マークとレジマークを形成するための領域を確保する必要性から印刷可能領域が小さくなると、単位時間あたりの印刷面積・印刷量が低下することになり、生産性が大きく低減してしまう。ここで、
図1(b)に示すように、搬送方向に並ぶ画像同士の間に色レジ補正用のレジマークを印刷することで、幅方向に印刷可能領域を減らさないようにする方法も考えられる。しかしながらこの方法では、シート搬送方向における範囲Dにおいて印刷対象の画像を印刷することができなくなり、シート搬送方向において印刷可能領域が減ってしまうことになる。
【0015】
本開示は、上述した課題を解決するため、追い刷り印刷において色レジ補正を実施する場合においてより広い印刷可能領域を確保することを目的する。
【0016】
[実施形態1]
図2は、本実施形態に係る印刷装置1としての、ロール状に巻かれた連続する長尺シートを使用した高速ラインプリンタの内部構造を示す概略断面図である。
図2において、印刷装置1上方を「上方」、シート搬送方向に直交する長尺シートの短手方向(手前から奥)を「シート幅方向」と定義する。印刷装置1は、巻出ロール部2、第一ダンサー部3、第一主搬送部4、蛇行補正部5、基準マークセンサ6、張力検出部7、画像形成部8、レジマークセンサ82を備える。さらに、印刷装置1は、第一乾燥部10、第二乾燥部11、冷却部12、第二スキャナ部13、第二主搬送部14、第二ダンサー部15、巻取ロール部16、メンテナンス部17を備える。シートSHは、図中の実線で示した搬送経路に沿って搬送され、各部で処理がなされる。
【0017】
巻出ロール部2は、シートSHを保持して供給する。巻出ロール部2は、巻出ロールを収納し、シートSHを引き出して供給する構成となっている。なお、収納可能なロールは1つに限定されず、2つ、あるいは3つ以上を収納し、択一的にシートSHを引き出して供給する構成であってもよい。第一ダンサー部3は、巻出ロール部2と第一主搬送部4との間で一定のシート張力を付与するためのユニットである。第一ダンサー部3は、不図示の張力付与手段により、シート張力が付与される。第一主搬送部4は、搬送経路に沿って以下の順に配置された、蛇行補正部5、張力検出部7、基準マークセンサ6、画像形成部8、レジマークセンサ82、第一乾燥部10、第二乾燥部11、冷却部12、第二スキャナ部13に、シートSHを送り込む。また、第一主搬送部4は、第二主搬送部14との間でシート張力を付与しつつ、不図示のモータを駆動することにより回転し、シートSHの張力搬送を行う。蛇行矯正部5は、シートSHの張力搬送時に、シート幅方向の蛇行を矯正する。蛇行矯正部5は、蛇行矯正ローラ5aと、シートSHの蛇行を検知する不図示の蛇行検知センサを備えた構成となっている。蛇行矯正ローラ5aは、蛇行検知センサの測定を基に不図示のモータによってシートSHとの傾きを変更して、シートSHの蛇行矯正を行う。このとき、蛇行矯正ローラ5aにシートSHが巻き付くことで、蛇行矯正の機能を高めることができる。
【0018】
張力検出部7は、第一主搬送部4と第二主搬送部14の間で張力搬送をする際に、張力を検出するためのユニットである。基準マークセンサ6は、画像形成部8が色版毎の印刷開始タイミングを制御するためシートSHの端部に予め印刷された基準位置を示すマーク(基準マーク)を検出する第一のマーク検知部である。また、レジマークセンサ82は、色レジ補正を行うため、画像形成部8によってシートSHの端部に印刷されたインク色毎のレジストレーション用マーク(レジマーク)を検出する第二のマーク検知部である。基準マークセンサ6とレジマークセンサ82はいずれも搬送経路上に設けられ、基準マークセンサ6は画像形成部8の上流に、レジマークセンサ82は画像形成部8の下流にそれぞれ配置される。また、本実施形態の基準マークセンサ6とレジマークセンサ82は、検出範囲が重複する位置(後述の具体例ではシート幅方向において同位置)に設けられる。
【0019】
画像形成部8は、搬送されるシートSHに対して上方から、インクジェット方式で色版毎に印刷を行うインク色毎のラインヘッド22により構成される。画像形成部8における搬送経路は、上方に凸となる円弧形状に配置されたガイドローラ23によって形成されており、シートSHに一定の張力が付与されることにより、ラインヘッド22とのクリアランスが確保される。ラインヘッド22は、搬送方向に沿って並び、本実施形態ではBk(ブラック)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の4色に対応した4つのラインヘッド22K、22Y、22M、22Cが存在する。すなわち、色版の数がM個であればM個のラインヘッド22が搬送方向に並ぶことになる。なお、色版の数(ラインヘッド22の数)は上述の4つに限定されない。また、インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、不図示のインクタンクからそれぞれインクチューブを介してラインヘッド22に供給される。また、
図3に示すように、画像形成部8のシート搬送部筐体71にはラインヘッドの位置決めを行うための位置決め部材711が複数備えられている。位置決め部材711は、シートSHを挟んでシート幅方向前後にラインヘッド22一つに対してそれぞれ手前側に一つ、奥側に二つずつ備えている。また、
図4に示すように、ラインヘッド22は、ラインヘッド22を保持して上下に昇降するためのヘッド保持部26にヘッド支持軸27を下方から支えるような形で軸支されている。ヘッド保持部26は内部に備えている不図示の駆動機構によりラインヘッド昇降用フレーム28内に備えられた昇降用のレール29に沿って上下に昇降動作を行う。第一乾燥部10および第二乾燥部11は、シートSH上に吐出されたインクに含まれる液体分を減少させ、シートSHとインクとの定着性を高める。第二乾燥部11は第一乾燥部10のシート搬送方向下流に配置される。第一乾燥部10および第二乾燥部11は、インクが付与されたシートSHを加熱して、付与されたインクを乾燥させる。第一乾燥部10および第二乾燥部11の内部では通過するシートSHに対して少なくともインク付与面側から熱風を付与してシートSHのインク付与面を乾燥させる。なお、乾燥方式は熱風を付与する方式の他に、電磁波(紫外線や赤外線など)をシートSH表面に照射する方式や、発熱体の接触による伝導伝熱方式を組み合わせて構成してもよい。巻付きガイドローラ31は、第一乾燥部10の熱風による振動が画像形成部8に伝達するのを遮断する必要があるため、画像形成部8の搬送下流のシートSHのインク付与面とは反対側となる面を一定の巻き付け角で巻き付けるローラである。本例では、巻付きガイドローラ31はレジマークセンサ82と第一乾燥部10の間に2つ配置され、シートSHは装置上下で略平行に折り返されている。第一乾燥部10は画像形成部8の装置下方に配置され、第二乾燥部11は前述の基準マークセンサ6の装置下方に配置される。冷却部12は、第一乾燥部10および第二乾燥部11で定着されたシートSHを冷却し、軟化したインクを固化させるとともに、印刷装置1の下流工程におけるシートSHの温度変化量を抑制させる。冷却部12の内部では通過するシートSHに対して少なくともインク付与面側から低温の風を付与してシートSHのインク付与面を冷却させる。なお、冷却方式は風を付与する方式に限らず、放熱部材の接触による伝導伝熱方式や、それらを組み合わせて構成してもよい。
【0020】
第二主搬送部14は、第一主搬送部4とシートSHに張力を付与しながらシート搬送し、シートSHの張力を調整する。第二主搬送部14は、不図示のモータで駆動することにより回転し、不図示の張力制御部より張力検出部7により検出された張力値に応じて、駆動連結されたトルクを制御できるクラッチ(不図示)によってシートSHの張力を調整する。尚、シートSHの張力を調整する追加の構成として、張力検出部7によって第二主搬送部14の速度を制御する構成が付加されても良い。この場合の張力制御方法として、クラッチから伝達されるトルク値を制御するトルク制御方法と、第二主搬送部14のローラ速度を制御する速度制御方法の2方式を有し、目的に応じて張力制御方法を切替え、または、双方同時に使用することができる。第二ダンサー部15は、第二主搬送部14と巻取ロール部16の間で一定のシート張力を付与する。巻取ロール部16は、印刷処理されたシートSHを巻き芯に巻き取る。回収可能なロールは1つに限定されず、2つ以上の巻き芯を択一的に切り替えてシートSHを回収する構成であってもよい。なお、印刷後の加工処理内容によっては、巻き芯に巻き取る構成ではなく、カッターを用いてシートSHを裁断して積載する構成としてもよい。
【0021】
制御部21は、CPU等の演算装置、メモリ(RAM及びROM)やHDD等の記憶装置を備え、記憶装置に格納されたプログラムを演算装置が実行することで上記各部を統括制御し、後述の動作フローを実現する。制御部21は、また、外部インターフェースおよびユーザが入出力を行なう操作部を有する。印刷装置1の動作は、制御部21または外部インターフェースを介して接続されるホストコンピュータ等のホスト装置25からの指令に基づいて制御される。メンテナンス部17は、ラインヘッド22のインク吐出面を保護するキャップ機構、インク吐出面をワイピングするワイパ機構、インク吐出面からラインヘッド22内のインクを負圧吸引する吸引機構を有し、ラインヘッド22の性能を維持する。
【0022】
なお、本開示においてはインクジェット方式の印刷装置を例に説明を行うが、画像を形成する方式はインクジェット方式に限定されるものではなく、例えば電子写真方式による印刷装置にも適用可能である。
【0023】
<印刷装置1の動作フロー>
図5は、追い刷り印刷にて色レジ補正を行う際の大まかな流れを示したフローチャートである。なお、以下の説明において記号「S」はステップを意味する。
【0024】
S501では、制御部21の指示に基づき基準マークセンサ6が、搬送されてくるシートSH上に予め印刷されている追い刷り印刷用の基準マークの検知処理を行う。基準マークセンサ6は、例えば対象物の濃度変化を検出するコントラストセンサを用いて、搬送されてくるシートSHと基準マークとの濃度差によって基準マークを検知する。ただし、基準マークを検知できればよく、本ステップの検知処理に用いるセンサはコントラストセンサに限定されない。また、基準マークの色はブラックであることが多く、本実施形態においても基準マークの色はブラックであるものとして説明するが、基準マークの色はブラックに限定されない。
【0025】
S502では、制御部21の指示に基づき画像形成部8が、搬送されてくるシートSHに対し、S501にて検知した基準マークが示す画像形成位置に各色版を重ねて印刷して対象の第二画像を形成する。さらに、画像形成部8は、色版毎(インク色毎)のレジマークを、S501にて検知した隣り合う基準マークの間にシート搬送方向において重ならないように並べて、かつ、シート幅方向において同じ位置に印刷する。本実施形態では、基準色であるブラックのレジマークと非基準色であるシアン、マゼンタ、イエローのレジマークが、隣り合う基準マークの間に形成されることになる。
【0026】
S503では、制御部21の指示に基づきレジマークセンサ82が、搬送されてくるシートSH上に印刷された各色版に対応するレジマークの検知処理を行う。この検知処理では、非基準色であるシアン、マゼンタ、イエローのレジマークの各位置と、基準色であるブラックのレジマークの位置との差を表す相対的なずれ量(相対位置ずれ量)ΔXc-k、ΔXm-k、ΔXy-kの算出も行われる。ここで、基準マークと各色版に対応するレジマークはシート幅方向において少なくとも一部が重なる位置に印刷され、どちらもレジマークセンサ82の直下を通過するため、レジマークセンサ82は基準マークも検知してしまう。そこで、本ステップの検知処理においては、基準色以外の色(ここではブラック以外の色)を検出すると、レジマークセンサ82の動作モードを非検知モードから検知モードに移行するように制御する。そして、検知モードの下で検知した順番に各インク色のレジマークとして認識する。本実施形態では、1番目をシアンのレジマーク、2番目をブラックのレジマーク、3番目をマゼンタのレジマーク、4番目をイエローのレジマークとしてそれぞれ検知することになる。そして、4番目のレジマークを検出後にレジマークセンサ82の動作モードを検知モードから非検知モードに戻す。このように、基準色と異なる色のマークを検出したら動作モードを検知モードに移行させる制御を行うことで、基準マークの誤検知を防止している。
【0027】
S504では、制御部21によって、色レジ補正が開始される。すなわち、シートSH上の基準マークの位置に合わせて各色版を印刷する際の印刷開始タイミングを、S503にて得られた色版毎の相対位置ずれ量に基づき調整する処理が開始される。なお、実際の色レジ補正では、シート搬送方向の位置ずれだけでなくシート幅方向の位置ずれについても補正を行うが、本開示とは関係しないのでここでは説明を省く。そして、本ステップ以降は、入力された印刷指示データに係る第二画像がシートSH上にすべて形成されるまで、基準マークの検知、対象画像及びレジマークの印刷、レジマークの検知の各処理が繰り返されることになる。
【0028】
以上が、追い刷り印刷にて色レジ補正を行う際の印刷装置1における動作の大まかな流れである。本実施形態の手法では、基準マークとレジマークとを、シートSHの搬送方向にずらしつつ幅方向に同じ位置で印刷することで、
図1に示す従来手法よりも大きな印刷可能領域の確保を可能にしている。以下、各ステップにおける処理が具体的にどのように進んでいくのかを図を用いて詳しく説明する。
【0029】
<基準マークの検知処理(S501)>
図6は、追い刷り印刷を実行中のシートSHの状態を示した上面図である。いま、シートSH上には第一画像83と基準マーク85が予め印刷されており、基準マークセンサ6は、搬送されるシートSH上の基準マーク85を順次検知する。そして、基準マーク85を検知する都度、その検知タイミングに基づき、事前に印刷された第一画像83に対して適切な位置に4つのラインヘッド22によって第二画像84が印刷される。例えば基準マーク85
n-5が検知されると、第一画像83
n-5に対して中央で重なるように第二画像84
n-5が印刷されることになる。いま、
図6における基準マーク85
n-5、85
n-4、85
n-3、85
n-2は、基準マークセンサ6による検知処理と、4つのラインヘッド22による印刷処理が実施された状態である。つまり、基準マークが既に検知済み、かつ、第一画像83
n-5、83
n-4、83
n-3、83
n-2に対して適切な位置への第二画像84
n-5、84
n-4、84
n-3、84
n-2の形成が完了した状態である。そして、基準マーク85
n-1については検知済みであるが、第二画像84の形成は未だ行われていない状態である。そして、基準マーク85
n、85
n+1、85
n+2については未だ検知されていない(当然、第二画像84の形成も行われていない)状態である。
【0030】
なお、ここでは第一画像83が別の印刷装置等によってシートSHに事前印刷されているものとして説明を行ったがこれに限定されない。例えば、画像形成部8を2つ備えた印刷装置1において、前段の画像形成部8によって第一画像83を印刷し、続けて後段の画像形成部8によって第二画像84を印刷する構成であってもよい。
【0031】
<対象画像及びレジマークの印刷処理(S502)>
図7は、上述の
図6に対して所定時間後のレジマークが印刷された状態を示しており、印刷順にシアンのレジマーク86C、ブラックのレジマーク86K、マゼンタのレジマーク86M、イエローのレジマーク86Yとなっている。いま、検知された基準マーク85
n、85
n+1、85
n+2、85
n+3に基づき、第二画像84
n、84
n+1、84
n+2、84
n+3が第一画像83
n、83
n+1、83
n+2、83
n+3に対してそれぞれ適切な位置に形成されている。また、基準マーク85
nと基準マーク85
n+1の間において、シート幅方向に基準マーク85と同じ位置でレジマーク86C、86K、86M、86Yが形成されている。これらレジマーク86C、86K、86M、86Yは、基準マークセンサ6による基準マーク85
nの検知タイミングを基準にしてシートSH上に印刷される。この際の印刷順は、シアン、ブラック、マゼンタ、イエローの順になっている。ここでは、先頭の色を基準マーク85の色であるブラック以外の色のうちシアンとしているが、マゼンタ或いはイエローでもよい。
【0032】
<レジマークの検知処理(S503)>
シートSH上に印刷されたインク色毎のレジマーク86C、86K、86M、86Yは、ラインヘッド22の下流に配置された(前述の
図2を参照。)レジマークセンサ82によって検知される。その際、ブラック以外の各色レジマーク86C、86M、86Yそれぞれのブラックのレジマーク86Kに対する相対位置ずれ量Xc-k、Xm-k、Xy-kの算出も行われる。
【0033】
≪レジマークの判別・検知≫
前述のとおり、レジマーク86と基準マーク85はシート幅方向において少なくとも一部が重なる位置(本実施形態ではシート幅方向に同じ位置)で形成される。そこで、誤検知することなく、レジマーク86を判別して検知する手法について説明する。
図8は、レジマークセンサ82の動作モードの遷移と各インク色のレジマーク86C、86K、86M、86Yの検知結果を示したタイミングチャートである。レジマークセンサ82は、シートSH上における非マーク部分(下地)の濃度とマーク部分の濃度との差によって各レジマークを検知する。そして、レジマークセンサ82は、シートSHの下地を読み取ると出力値“0”を、ブラックのレジマーク86Kを読み取ると出力値“1”を、シアン、マゼンタ、イエローの各レジマーク86C、86M、86Yを読み取ると出力値“2”をそれぞれ出力する。ここで、基準マーク85は本ステップにおける検知処理の対象外である。しかしながら、基準マーク85とレジマーク86とはいずれもシート幅方向に同じ位置で印刷され、基準マーク85もレジマークセンサ82の直下を通過するため、レジマークセンサ82によって基準マーク85も読み取られることになる。この際、読み取ったマークが基準マーク85なのかレジマーク86なのかを判別する必要があり、本実施形態ではレジマークセンサ82の動作モードを制御することでこれに対応している。すなわち、
図8に示すように、レジマークセンサ82の初期動作モードを「非検知モード」に設定しておき、レジマークセンサ82でブラック以外の色のレジマーク86(ここでは86C)を読み取ると「検知モード」に切り替えるモード制御を行っている。そして、検知モードの下で読み取ったマークはすべてレジマーク86として扱うこととしている。いま、検知モードへの設定変更後に読み取った(検知した)順に、シアンのレジマーク86C、ブラックのレジマーク86K、マゼンタのレジマーク86M、イエローのレジマーク86Yとなる。そして、4つのレジマークを検知した時点で、レジマークセンサ86の動作モードが「非検知モード」へと戻される。その後、レジマークセンサ82によって再びブラック以外の色のマークが検知されると動作モードは再び「検知モード」となり、4つのレジマークの検知を行った後にまた「非検知モード」へと戻ることになる。
【0034】
≪相対位置ずれ量の算出≫
続いて、ブラック以外のレジマーク86C、86M、86Yそれぞれのブラックのレジマーク86Kに対する相対位置ずれ量の算出について説明する。いま、レジマーク86C、レジマーク86K、レジマーク86M、レジマーク86Yの先端を検知したタイミングにおけるシートSH上の位置を、それぞれ検知位置Xc、Xk、Xm、Xyとする。また、レジマーク86Cの検知位置Xcとレジマーク86Kの検知位置Xkとの間隔をXc-kとする。同様に、レジマーク86Mの検知位置Xmとレジマーク86Kの検知位置Xkとの間隔をXm-k、レジマーク86Yの検知位置Xyとレジマーク86Kの検知位置Xkとの間隔をXy-kとする。そして、各マーク間隔Xc-k、Xm-k、Xy-kと、理想的なマーク間隔(理想間隔)Xid
c-k、Xid
m-k、Xid
y-kとの差分をそれぞれ求める。ここで、
図7に示す順番で各レジマークが形成される場合の理想間隔Xidは、Xid
c-kとXid
m-kとが等しくなり、Xid
y-kはその2倍の長さとなる。これにより、ブラック以外のレジマーク86C、86M、86Yそれぞれについて、ブラックのレジマーク86Kに対する相対位置ずれ量ΔXc-k、ΔXm-k、ΔXy-kが得られる。この場合のブラックのレジマーク86Kに対する相対位置ずれ量ΔXc-k、ΔXm-k、ΔXy-kは、それぞれ以下の式(1)~式(3)によって表される。
【0035】
ΔXc-k=Xc-k-Xidc-k ・・・式(1)
ΔXm-k=Xm-k-Xidm-k ・・・式(2)
ΔXy-k=Xy-k-Xidy-k ・・・式(3)
なお、上記式(1)~式(3)によって、0.01mm~0.1mmといった値が相対位置ずれ量として算出されることになる。また、理想間隔Xidの方が小さい場合は正の値となり、理想間隔Xidの方が大きければ負の値となる。なお、レジマーク86の検知位置Xc、Xk、Xm、Xyは、対応する各レジマークの後端を検知したタイミングにおける位置でもよい。または各レジマークの先端を検知したタイミングと後端を検知したタイミングから求まる中間位置を、それぞれの検知位置Xc、Xk、Xm、Xyとしてもよい。
【0036】
<色レジ補正(S504)>
図9(a)は色レジ補正前の各色版の印刷位置を示した上面図、同(b)は色レジ補正後の各色版の印刷位置を示した上面図である。
図9(a)は、それぞれ同じ位置が画像形成位置として指定されて各ラインヘッド22Y、22M、22C、22Kによって印刷された各色版84K、84C、84M、84Yを示している。いま、
図9(a)に示すように色レジ補正前は、ブラックの色版に対してブラック以外の色版が、搬送方向Fと逆側にそれぞれΔXc-k、ΔXm-k、ΔXy-k(いずれも正の値)だけずれている。これに対し
図9(b)における各色版84K、84C、84M、84Yは、色レジ補正によって全色版の印刷開始タイミングが調整されたことで、各色版の位置が揃っている。この例では、シアンの色版についてはラインヘッド22Cによる印刷開始タイミングを、一定搬送速度(例えば300mm/sec)の下でシートSHがΔXc-kだけ進むのに要する時間分だけ速くすることでブラックの色版との位置ずれを解消している。マゼンタ及びイエローの色版についても同様に、それぞれシートSHがΔXm-k或いはΔXy-kだけ進むのに要する時間分だけ速いタイミングで印刷を開始することで、ブラックの色版との位置ずれを解消している。なお、ΔXc-k、ΔXm-k、ΔXy-kが負の値となる場合(各マーク間隔Xc-k、Xm-k、Xy-kの方が理想間隔Xidよりも小さい場合)は、その分だけ印刷開始タイミングを遅くすればよい。なお、各色のレジマーク毎に算出した相対位置ずれ量に基づき各色版の印刷開始タイミングを調整する色レジ補正においては、相対位置ずれ量を算出して印刷開始タイミングを調整するまでにタイムラグがある。例えば前述の
図7の例では、第二画像84
nについて算出した相対位置ずれ量に基づく印刷開始タイミングの調整は、第一画像83
n+6或いは83
n+7から実施されることになる。このように、S503の検知処理にて得られた相対位置ずれ量に基づき各色版の印刷開始タイミングを調整することで、シアン、マゼンタ、イエローの色版がブラックの色版に対して揃い、色版間の印刷位置のずれを解消することが可能となる。
【0037】
<変形例1>
上述の実施形態では、レジマークセンサ82が基準色以外の色を検知すると非検知モードから検知モードに切り替えるモード制御を行うことで、シート搬送方向同位置に形成される基準マークがレジマークとして誤検知されてしまうことを防いでいた。誤検知を防ぐ方法はこれに限定されない。以下、誤検知を防ぐための2通りのレジマーク判別方法を説明する。
【0038】
≪マーク間隔に基づく判別≫
1つ目は、マーク同士の間隔に閾値を設け、1つ前のマークとの間隔が閾値以下であれば、検知したマークはレジマークであると判別する方法である。この場合の閾値としては、搬送方向Fにおいて隣り合う2つの基準マーク(基準マーク
nと基準マーク
n+1)を検知する際の時間間隔よりも短い時間を用いる。レジマークは例えば前述の
図6及び
図7に示すように、隣り合う2つの基準マークの間に印刷される。そこで、隣り合う2つの基準マークを検知した際の時間間隔より短い時間間隔で次のマークを検知した場合は、当該検知に係るマークはレジマークであると判断することができる。
図10(a)は、本変形例における、基準マークセンサ6の出力値の変化を示したタイミングチャートである。前述の
図6及び
図7に示す基準マーク85
nと基準マーク85
n+1とが検知されたタイミングの時間間隔Pnを測定し、これを例えば0.9倍した値を閾値Thとして設定する。
【0039】
図10(b)は、本変形例に係る、レジマークセンサ82における出力値の変化と、レジマークセンサ82の動作モードの状態変化を示したタイミングチャートである。
図10(b)において、X1~X3は、レジマークセンサ82によってマークの先端を検出したタイミングから次のマークの先端を検出したタイミングまでに要した時間を表している。レジマークセンサ82の動作モードが「非検知モード」のときのみマーク同士の先端の間隔測定を行い、「検知モード」のときは行わない。レジマークセンサ82の動作モードは初期状態として「非検知モード」となっており、レジマーク86を検知すると「検知モード」に移行する。いま、基準マーク85
n-1を検知してから次の基準マーク85
nを検知するまでの時間間隔X1は、閾値Th(0.9×時間間隔Pn)より大きい。よって、この間は「非検知モード」である。そして、次の基準マーク85
nを検知してから1番目のレジマーク86Kを検知するまでの時間間隔X2は、閾値Th以下である。よって、このときレジマークセンサ82の動作モードは「検知モード」となる。そして、「検知モード」の下でレジマークセンサ82が検知したマークはすべてレジマーク86として扱う。
図10(b)に示す例では、検知した順番に、1番目がブラックのレジマーク86K、2番目がシアンのレジマーク86C、3番目がマゼンタのレジマーク86M、4番目がイエローのレジマーク86Yとして認識される。そして、色版の数(ここでは4つ)のレジマーク86を検知すると、レジマークセンサ82の動作モードは「非検知モード」へと戻る。そして、レジマーク86Yを検知してから基準マーク85
n+1を検知するまでの時間間隔X3は閾値Thより小さいが、レジマークセンサ82の動作モードが「非検知モード」に遷移した後に検知されたマークであるため、レジマーク86としては認識しない。そして、これ以降に検知されたマークに関して検知間隔が閾値より小さくなった場合は、レジマークセンサ82の動作モードは再度「検知モード」に遷移し、4つのレジマーク86の検知が終わると「非検知モード」に戻る。上述の実施形態の場合は先頭のレジマークの色を基準マークの色とは異なる色にする必要があったが、本変形例ではマークの色に関する制約はない。よって例えば、先頭のレジマークの色を基準マークの色(ここではブラック)と同じにしてもよい。また、本変形例の場合は、マークの色を判別する必要がないため、レジマークセンサ82として色の判別機能を持たないセンサを採用でき、より簡易にレジマークを判別することが可能になる。
【0040】
≪マーク長に基づく判別≫
2つ目は、レジマーク86の搬送方向の長さを基準マーク85とは異なる長さとし、レジマーク86の検知処理においてマーク長も測定することで、検知されたマークがレジマーク86であるのか基準マーク85であるのかを判別する方法である。
図11(a)は、本変形例に係る、基準マークセンサ6による基準マーク85の検知タイミングを示したタイミングチャートである。基準マーク85
nの先端の検知タイミングXUnと後端の検知タイミングXDnとの時間差分と搬送速度とから、基準マーク85
nのマーク長LRnが求まる。
図11(b)はシートSHの上面図であり、本変形例に係る各レジマーク86K、86C、86M、86Yの印刷位置とサイズを示している。いま、各レジマーク86K、86C、86M、86Yは、基準マーク85
n及び85
n+1のマーク長LRnの半分の長さLRn/2としている。そして、上記変形例1と同様、先頭のレジマークの色を基準マークの色と同じブラックとし、各レジマーク86K、86C、86M、86Yを、基準マーク85
nとシート搬送方向同位置、かつ、基準マーク85
nと基準マーク85
n+1との間に印刷している。
図11(c)は、本変形例に係る、レジマークセンサ82によるレジマーク86の検知タイミングを示したタイミングチャートである。マーク先端の検知タイミングとマーク後端の検知タイミングとの時間差分と搬送速度とから、検知したマークのマーク長X1~X7を求め、所定長さ以下であればレジマーク86として扱う。
図11(c)において、基準マーク85
n、85
n+1、85
n+2を検知したときのそれぞれのマーク長X1、X6、X7は所定長さ以上であるため、レジマーク86としては扱わない。これに対し、レジマーク86K、86C、86M、86Yを検知したときのそれぞれのマーク長X2、X3、X4、X5は所定長さより大きいため、レジマーク86として扱う。そして、検知順に1番目をブラックのレジマーク86K、2番目をシアンのレジマーク86C、3番目をマゼンタのレジマーク86M、4番目をイエローのレジマーク86Yとして認識する。本変形例の場合もマークの色に関する制約はないので、レジマークセンサ82として色の判別機能を持たないセンサを採用でき、より簡易にレジマークを判別することが可能になる。
【0041】
以上のとおり本実施形態によれば、色レジ補正用のレジマークと追い刷り印刷用の基準マークとをシート搬送方向同位置に印刷しても、基準マークをレジマークとして誤検知することなく、従来手法よりも広い印刷可能領域を確保することが可能となる。
【0042】
<変形例2>
上述の実施形態では各インク色に対応するすべてのレジマークを隣り合う基準マークの間に印刷していたが、隣り合う基準マークの間隔が短いとすべてのインク色のレジマークが収まりきらない場合がある。そこで、レジマークを分散して基準マークの間に印刷する態様を変形例2として説明する。
【0043】
図12は、本変形例に係る、各インク色に対応するレジマークの印刷位置を示したシートSHの上面図である。本変形例の場合、基準色と非基準色との組み合わせから成る2色のレジマーク86のペアを分散して印刷する。
図12において、隣り合う基準マーク85
nと基準マーク85
n+1との間隔P
nには、シアンの色レジ補正用として、基準色であるブラックのレジマーク861Kと非基準色であるシアンのレジマーク86Cが印刷されている。また、基準マーク85
n+1と基準マーク85
n+2の間隔P
n+1には、マゼンタの色レジ補正用として、基準色であるブラックのレジマーク862Kと非基準色であるマゼンタのレジマーク86Mが印刷されている。また、基準マーク85
n+2と基準マーク85
n+3の間隔P
n+2には、イエローの色レジ補正用として、基準色であるブラックのレジマーク863Kと非基準色であるイエローのレジマーク86Yが印刷されている。このように、色レジ補正の対象色毎に分散して隣り合う基準マーク85の間にレジマーク86を印刷することで、基準マーク同士の間隔が狭くても必要なレジマークを印刷することができる。
図12の例では、最初に基準色のレジマークを印刷し、次に非基準色のレジマークを印刷しているが、逆の順番でもよい。また、上述の例では基準色をブラックとしているが、ブラック以外の色(すなわち、シアン、マゼンタ、イエローのいずれか)としてもよい。
【0044】
本変形例に係るレジマークの印刷は以上のように実行される。そして、続くレジマークの検知(S503)では、変形例1で説明したレジマーク判別手法でレジマークを検知する。そして、例えば
図12に示すように、シアンのレジマーク86Cの検知タイミングとブラックのレジマーク861Kの検知タイミングとからマーク間隔Xc-kを算出する。また、マゼンタのレジマーク86Mの検知タイミングとブラックのレジマーク862Kの検知タイミングからマーク間隔Xm-kを算出する。また、イエローのレジマーク86Yの検知タイミングとブラックのレジマーク863Kの検知タイミングからマーク間隔Xy-kを算出する。そして、各色の相対位置ずれ量ΔXc-k、ΔXm-k、ΔXy-kを実施形態1と同様に前述の式(1)~(3)を用いて求める。この際、本変形例においては理想間隔Xid
c-k、Xid
m-k、Xid
y-kはすべて等しくなる。レジマークの検知処理が完了した後、求めた各色の相対位置ずれ量ΔXc-k、ΔXm-k、ΔXy-kに基づく色レジ補正を開始する。
【0045】
なお、基準色と非基準色のうちの1色から成る2色のレジマークのペアの組合せ単位で分散させる例を説明したが、基準マークの間隔の長さに応じて、3色以上のレジマークの組合せ単位で分散させてもよい。例えば、最初にブラック、シアン、マゼンタの3色から成る組合せでレジマークを印刷し、次に、ブラックとイエローの2色の組合せから成る組合せでのレジマークを印刷する、といった具合である。
【0046】
<変形例3>
上述の実施形態では、レジマークの検知処理においてすべての非基準色(シアン、マゼンタ、イエロー)のレジマークについて相対位置ずれ量を求めた後に色レジ補正を開始していたがこれに限定されない。相対位置ずれ量が得られた色から順に色レジ補正を開始してもよい。例えば上述の変形例2のように分散してレジマークを印刷する場合などに本手法は特に有効である。
【0047】
図13は、本変形例に係る、検知処理と色レジ補正処理との時系列な関係を示したタイミングチャートである。まず、イエローのレジマークを検知して相対位置ずれ量ΔXy-kの算出が完了したタイミングで、直ちにイエローの色版のみを対象として色レジ補正を開始する。この時点では、マゼンタとシアンの色版については色レジ補正が開始されないことになる。そして、次にマゼンタのレジマークを検知して相対位置ずれ量ΔXm-kの算出が完了したタイミングで、直ちにマゼンタの色版を対象として色レジ補正を開始する。この時点では、シアンの色版については色レジ補正が開始されないことになる。そして、シアンのレジマークを検知して相対位置ずれ量ΔXc-kの算出が完了したタイミングで、残ったシアンの色版を対象として色レジ補正を開始する。この時点で、イエロー、マゼンタ、シアンの全部についての色レジ補正が実行されることになる。このように、色毎にレジマーク検知処理が完了した時点で順次色レジ補正を開始することで、より早期に印刷位置ずれを解消することができる。上述の例では、イエローの色版は、マゼンタとシアンの色版に比べて早期に印刷位置ずれを解消でき、マゼンタの色版はシアンの色版に比べて早期に印刷位置ずれを解消することができる。また最後まで残るシアンの色版についても、色レジ補正の開始タイミングが上述の実施形態と同じになるだけで遅くなることはない。
【0048】
なお、レジマークを印刷・検知する際の非基準色の順番は任意であるが、基準色であるブラックに対する相対位置ずれ量が悪化しやすい色の順番に印刷・検知するのが望ましい。その理由は、印刷を続けると温度上昇によりラインヘッドの保持部材が熱膨張し、CMYKのラインヘッド相互の間隔が変化することが、印刷位置がずれる大きな要因として考えられるためである。つまり、ラインヘッド同士の間隔が離れているほど悪化の程度が増すことになる。そのため、基準色であるブラックのレジマークを1番目に印刷し、2番目以降についてはラインヘッド22Kから距離が離れている順に印刷する。
図6及び
図7に示すようなラインヘッド構成の場合は、ラインヘッド22Kから最も遠いのはラインヘッド22Yであることから、イエローのレジマークを2番目に印刷し、その後にマゼンタとシアンのレジマークを印刷する。そして、これら印刷順に検知するのが望ましいことになる。
【0049】
<変形例4>
基準マーク同士の間隔が十分であるのに例えば装置側にて変形例2で説明したレジマークを分散して印刷する手法がデフォルトで設定されていたりすると、すべての色について色レジ補正を開始するまでの時間が長くなってしまう。そこで、実際の基準マーク同士の間隔に応じて、レジマークの印刷手法を切り替えてもよい。具体的には、基準マーク同士の間隔を測定し、その測定値に応じて、全ての色のレジマークをまとめて印刷するか、分散して印刷するかを決定する。すなわち、測定値が閾値未満であれば
図14(a)のように基準色と1つの非基準色から成る2色のペア単位でレジマークを印刷し、閾値以上であれば
図14(b)のようにすべての色のレジマークをまとめて印刷する制御を行う。これにより、基準マーク同士の間隔が広い場合と狭い場合の両方に柔軟に対応することが可能となる。
【0050】
以上のとおり、各変形例を含む本実施形態によれば、追い刷り印刷において色レジ補正を行う場合に従来手法よりも広い印刷可能領域を確保することが可能となる。
【0051】
[その他の実施形態]
本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0052】
また、本開示は、以下の構成及び方法を含む。
【0053】
[構成1]
連続シートに画像を形成する印刷装置であって、
前記画像の形成位置を示す前記連続シート上の第一マークを検知する第一検知手段と、
前記第一検知手段が検知した前記第一マークが示す前記形成位置に対し前記画像に対応する複数の色版を重ねて印刷し、当該複数の色版それぞれに対応する複数の第二マークを前記連続シートに対し印刷する、前記第一検知手段の下流に設けられた画像形成手段と、
前記連続シート上の前記複数の第二マークを検知する、前記画像形成手段の下流に設けられた第二検知手段と、
前記第二検知手段による前記複数の第二マークの検知結果に基づき、色版毎のずれが解消するように各色版の印刷開始タイミングを調整する制御手段と、
を備え、
前記複数の第二マークは、シート幅方向において前記第一マークと少なくとも一部が重なるように前記連続シートの端部に印刷される、
ことを特徴とする印刷装置。
【0054】
[構成2]
前記第二検知手段は、前記複数の第二マークの検知結果に基づき、前記複数の色版のうち基準色の色版に対する基準色以外の色版のシート搬送方向における相対位置ずれ量を算出し、
前記制御手段は、前記第二検知手段が算出した前記相対位置ずれ量の分だけ前記ずれが解消するように、各色版の印刷開始タイミングを調整する、
ことを特徴とする構成1に記載の印刷装置。
【0055】
[構成3]
前記第一検知手段における検出範囲と前記第二検知手段における検出範囲は重複し、
前記複数の色版の数がM個のとき、前記画像形成手段は、シート搬送方向に隣り合う前記第一マークの間にM個の前記第二マークを並べて印刷し、
前記第二検知手段は、検知したマークの色に基づき動作モードを切り替えることで、検知したM個のマークを前記第二マークとして、前記相対位置ずれ量を算出する、
ことを特徴とする構成2に記載の印刷装置。
【0056】
[構成4]
前記第二検知手段は、
前記基準色以外の色のマークを検知した場合に前記動作モードを非検知モードから検知モードに移行し、
前記検知モードの下で検知したマークを、M個の前記色版それぞれに対応する前記第二マークとして、前記相対位置ずれ量を算出する、
ことを特徴とする構成3に記載の印刷装置。
【0057】
[構成5]
前記基準色はブラックであり、前記基準色以外の色はシアン、マゼンタ、イエローである、ことを特徴とする構成2乃至4のいずれか一項に記載の印刷装置。
【0058】
[構成6]
前記第一検知手段における検出範囲と前記第二検知手段における検出範囲は重複し、
前記複数の色版の数がM個のとき、前記画像形成手段は、隣り合う前記第一マークの間にM個の前記第二マークをシート搬送方向に並べて印刷し、
前記第二検知手段は、検知したマークの間隔に基づき、検知したマークが前記第二マークかどうかを判別して、前記相対位置ずれ量を算出する、
ことを特徴とする構成2に記載の印刷装置。
【0059】
[構成7]
前記第一検知手段における検出範囲と前記第二検知手段における検出範囲は重複し、
前記第一マークの長さと前記第二マークの長さは異なり、
前記複数の色版の数がM個のとき、前記画像形成手段は、隣り合う前記第一マークの間にM個の前記第二マークをシート搬送方向に並べて印刷し、
前記第二検知手段は、検知したマークの長さに基づき、検知したマークが前記第二マークであるかどうかを判別して、前記相対位置ずれ量を算出する、
ことを特徴とする構成2に記載の印刷装置。
【0060】
[構成8]
前記第二マークの長さは、前記第一マークの長さよりも短い、ことを特徴とする構成7に記載の印刷装置。
【0061】
[構成9]
前記第一検知手段における検出範囲と前記第二検知手段における検出範囲は重複し、
前記第一マークの長さと前記第二マークの長さは異なり、
前記複数の色版の数がM個のとき、前記画像形成手段は、シート搬送方向に隣り合う前記第一マークの間に、前記基準色に対応する前記第二マークと前記基準色以外の色のうち少なくとも1色に対応する前記第二マークとの組合せを並べて印刷し、
前記第二検知手段は、検知したマークの長さに基づき、検知したマークが前記第二マークであるかどうかを判別して、前記相対位置ずれ量を算出する、
ことを特徴とする構成2に記載の印刷装置。
【0062】
[構成10]
前記組合せは、前記基準色と前記基準色以外の色のうちの1色から成る2色のレジマークの組合せである、ことを特徴とする構成9に記載の印刷装置。
【0063】
[構成11]
前記制御手段は、前記複数の色版のうち前記相対位置ずれ量の算出が完了した色版から順次、前記調整を開始する、ことを特徴とする構成2に記載の印刷装置。
【0064】
[構成12]
前記画像形成手段は、
前記複数の色版それぞれに対応する記録ヘッドを有し、
前記基準色の色版を形成する記録ヘッドに対応する色の前記第二マークを1番目に印刷し、
2番目以降の前記第二マークについては、前記基準色以外の色版に対応する複数の記録ヘッドのうち、前記基準色の色版を形成する記録ヘッドからの距離が遠い記録ヘッドに対応する色の前記第二マークほど先に印刷する、
ことを特徴とする構成11に記載の印刷装置。
【0065】
[構成13]
前記第一検知手段は、隣り合う前記第一マークの間隔を測定し、
前記画像形成手段は、前記第一検知手段によって測定された前記第一マークの間隔に基づき、隣り合う前記第一マークの間に前記M個の前記第二マークを並べて印刷するかどうかを決定する、
ことを特徴とする構成3に記載の印刷装置。
【0066】
[方法1]
連続シートに画像を形成する印刷装置の制御方法であって、
前記画像の形成位置を示す前記連続シート上の第一マークを第一検知手段によって検知する第一検知ステップと、
画像形成手段によって、前記第一検知ステップにて検知した前記第一マークが示す前記形成位置に、前記画像に対応する複数の色版を重ねて印刷し、当該複数の色版それぞれに対応する複数の第二マークを前記連続シートに印刷する、印刷ステップと、
前記連続シート上の前記複数の第二マークを第二検知手段によって検知する第二検知ステップと、
前記第二検知ステップにて得られた前記複数の第二マークの検知結果に基づき、前記色版毎のずれが解消するように前記色版の印刷開始タイミングを調整する制御ステップと、
を含み、
前記複数の第二マークは、シート幅方向において前記第一マークと少なくとも一部が重なるように前記連続シートの端部に印刷される、
ことを特徴とする制御方法。
【0067】
[構成14]
コンピュータを、構成1乃至13のいずれか一項に記載の印刷装置として機能させるためのプログラム。