(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171787
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】照明装置及び電照栽培システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/16 20200101AFI20241205BHJP
H05B 45/357 20200101ALI20241205BHJP
H05B 47/185 20200101ALI20241205BHJP
H05B 47/155 20200101ALI20241205BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20241205BHJP
A01G 22/05 20180101ALI20241205BHJP
【FI】
H05B47/16
H05B45/357
H05B47/185
H05B47/155
A01G7/00 601C
A01G22/05 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088994
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】泉 正男
(72)【発明者】
【氏名】神舎 敏也
(72)【発明者】
【氏名】蒲田 幸平
【テーマコード(参考)】
2B022
3K273
【Fターム(参考)】
2B022DA08
3K273PA09
3K273QA17
3K273QA21
3K273QA30
3K273QA39
3K273RA12
3K273SA08
3K273SA23
3K273SA32
3K273SA43
3K273SA60
3K273TA15
3K273TA27
3K273TA31
3K273TA40
3K273TA41
3K273TA53
3K273TA62
3K273TA67
3K273UA02
3K273UA19
3K273UA22
3K273VA03
3K273VA05
(57)【要約】
【課題】作業性の向上と消費電力の低減とを両立することができる照明装置等を提供する。
【解決手段】照明装置10は、植物2の育成用の第1光を発する育成用光源部110と、作業用の第2光を発する作業用光源部120と、育成用光源部110及び作業用光源部120に電力を供給する電源30からの通電時間を記憶するための記憶部130と、育成用光源部110及び作業用光源部120の点灯及び消灯を制御する制御部140と、を備え、制御部140は、記憶部130に記憶された通電時間に基づいて、育成用光源部110及び作業用光源部120を択一的に点灯させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の育成用の第1光を発する第1光源部と、
作業用の第2光を発する第2光源部と、
前記第1光源部及び前記第2光源部に電力を供給する電源からの通電時間を記憶するための記憶部と、
前記第1光源部及び前記第2光源部の点灯及び消灯を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された通電時間に基づいて、前記第1光源部及び前記第2光源部を択一的に点灯させる、
照明装置。
【請求項2】
前記第1光は、赤色光又は遠赤光を含み、
前記第2光は、白色光を含む、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1光は、赤色光及び遠赤光を含む、
請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記白色光の平均演色評価数Raは、85以上である、
請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された通電時間が第1時間未満である場合に、前記第1光源部を点灯させる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された通電時間が第1時間以上、第2時間未満である場合に、前記第2光源部を点灯させる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された通電時間が前記第2時間以上である場合、前記第1光源部を点灯させる、
請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記第1光源部、前記第2光源部、前記記憶部及び前記制御部を収容する電球型筐体を備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記電源から供給される電力を検出する検出部と、
前記電力を前記検出部が検出してから検出されなくなるまでの時間を計測し、計測した時間を通電時間として前記記憶部に記録する計時部と、を含み、
前記検出部が前記電力を検出した場合に、前記記憶部に記憶されている通電時間を読み出し、読み出した通電時間に基づいて前記第1光源部及び前記第2光源部を択一的に点灯させる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項10】
前記植物は、イチゴ又は菊である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項11】
請求項1~4のいずれか1項に記載の照明装置を複数備え、
前記電源から複数の前記照明装置への電力の供給及び停止を切り替える操作スイッチを備える、
電照栽培システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及び電照栽培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3には、赤色光を利用した植物の電照栽培方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-46575号公報
【特許文献2】特開2012-39901号公報
【特許文献3】特開2021-119743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
赤色光は、植物の育成に有用である一方で、人が作業を行う場合には適していない。例えば、特許文献1に記載されているイチゴの栽培においては、収穫時期をイチゴの赤さで判断する。しかしながら、赤色光では正確な判断が難しいため、作業性が低下する。
【0005】
特許文献3に開示された照明装置は、白色LED(Light Emitting Diode)を備える。白色LEDを作業に利用できれば、作業性の向上は期待されるが、消費電力が増大するという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、作業性の向上と消費電力の低減とを両立することができる照明装置及び電照栽培システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る照明装置は、植物の育成用の第1光を発する第1光源部と、作業用の第2光を発する第2光源部と、前記第1光源部及び前記第2光源部に電力を供給する電源からの通電時間を記憶するための記憶部と、前記第1光源部及び前記第2光源部の点灯及び消灯を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記記憶部に記憶された通電時間に基づいて、前記第1光源部及び前記第2光源部を択一的に点灯させる。
【0008】
本発明の一態様に係る電照栽培システムは、上記一態様に係る照明装置を複数備え、前記電源から複数の前記照明装置への電力の供給及び停止を切り替える操作スイッチを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業性の向上と消費電力の低減とを両立することができる照明装置及び電照栽培システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る電照栽培システムの概略図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る電照栽培システムの機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る照明装置の一部切り欠き断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る電照栽培方法のフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る照明装置の照明光とユーザ操作との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の実施の形態に係る照明装置及び電照栽培システムについて、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
また、本明細書において、要素の形状を示す用語、及び、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0014】
また、本明細書において、「第1」、「第2」などの序数詞は、特に断りの無い限り、構成要素の数又は順序を意味するものではなく、同種の構成要素の混同を避け、区別する目的で用いられている。
【0015】
(実施の形態)
[電照栽培システム]
まず、本実施の形態に係る電照栽培システム1の概要について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る電照栽培システム1の概略図である。
図2は、本実施の形態に係る電照栽培システム1の機能ブロック図である。
【0016】
図1に示す電照栽培システム1は、植物2に光を照射して植物2の栽培を行うシステムである。光によって植物2の成長の促進及び/又は抑制を行うことができ、収穫期及び収穫量等の調整が可能になる。
【0017】
植物2は、野菜、果物等の食用植物、観賞植物又は工芸用植物等である。例えば、植物2は、イチゴである。あるいは、植物2は、菊であってもよい。
【0018】
電照栽培システム1は、いわゆるビニルハウス又はプラスチックハウス等の温室、又は、植物工場等に利用される。電照栽培システム1は、例えば、温室内に植えられた複数の植物2の栽培を行う。
図1及び
図2に示すように、電照栽培システム1は、複数の照明装置10と、操作スイッチ20と、を備える。
【0019】
複数の照明装置10はそれぞれ、植物2の育成用の第1光と、作業用の第2光とを照射することができる。複数の照明装置10は、互いに異なる照射範囲(一部が重なっていてもよい)に向けて光を照射する。複数の照明装置10はいずれも、電源配線(例えば、ケーブル)によって電源30に接続されており、電源30から電源配線を介して供給される電力を用いて光を照射する。
【0020】
操作スイッチ20は、電源30から複数の照明装置10への電力の供給及び停止を切り替える。操作スイッチ20は、ユーザによって操作される。操作スイッチ20は、電源30と複数の照明装置10とを接続する電源配線の途中に接続されており、ユーザからの操作に基づいて、電源配線の接続(導通)及び切断(非導通)を切り替える。操作スイッチ20は、例えば、ナイフスイッチ、壁スイッチのような簡易な構成のスイッチである。操作スイッチ20は、電力の供給先の照明装置10の選択、及び、電力の供給量の調整を行うことができない。操作スイッチ20がオンされた場合には、電源配線が接続されて複数の照明装置10の全てに電力が供給される。操作スイッチ20がオフされた場合には、電源配線が切断されて複数の照明装置10の全てに対する電力の供給が停止される。
【0021】
電源30は、照明装置10の育成用光源部110及び作業用光源部120に電力を供給する。電源30は、いわゆる商用電源であり、例えばAC100V(又は、110V、200V~220V等の地域毎に定められた大きさ)の電力を供給するための電源である。あるいは、電源30は、電力を生成する発電部と、発電部によって発電された電力を貯める蓄電池と、直流電力を交流電力に変換して出力するインバータ回路と、を備えてもよい。発電部は、太陽光等の再生可能エネルギーを利用した発電部であってもよく、化石燃料を用いて動作するモータ発電機等であってもよく、特に限定されない。
【0022】
[照明装置]
次に、照明装置10の具体的な構成について、
図2及び
図3を用いて説明する。
【0023】
図3は、本実施の形態に係る照明装置10の一部切り欠き断面図である。具体的には、
図3では、グローブ13の一部を切り欠いた状態を表している。また、
図2では、照明装置10の1つの機能構成を具体的に図示しており、他の照明装置10の機能構成の図示は省略している。複数の照明装置10は、互いに同じ機能構成を有する。
【0024】
図2に示すように、照明装置10は、育成用光源部110と、作業用光源部120と、記憶部130と、制御部140と、を備える。また、
図3に示すように、照明装置10は、電球型ランプであり、電球型筐体11を備える。
【0025】
電球型筐体11は、育成用光源部110、作業用光源部120、記憶部130及び制御部140を収容する。
図3に示すように、電球型筐体11は、本体筐体12と、グローブ13と、口金14と、を備える。本体筐体12、グローブ13及び口金14が互いに組み合わさることによって、照明装置10の外郭筐体(電球型筐体11)を構成している。
【0026】
本体筐体12は、グローブ13側から口金14側にかけて開口面積が漸次小さくなる円錐台筒形状を有する。本体筐体12の内部には、記憶部130及び制御部140(後述するマイクロコントローラ141)が収容されている。本体筐体12は、例えば、金属材料を用いて形成されており、熱伝導性が高い。このため、本体筐体12は、育成用光源部110及び作業用光源部120で発する熱を放熱するヒートシンクとしても機能する。
【0027】
グローブ13は、育成用光源部110及び作業用光源部120を覆う透光性のカバーである。グローブ13は、育成用光源部110及び作業用光源部120の各々から発せられる光をランプ外部に取り出すように構成されている。グローブ13は、開口を有する中空部材であり、開口とは反対側の頂部が閉塞された形状を有する。グローブ13は、例えば、ランプ軸を軸とする中空の回転体であり、開口が絞られた略半球状に構成されているが、これに限定されない。グローブ13の開口の縁が本体筐体12に接着剤によって固定されている。接着剤は、例えばシリコーン樹脂などである。
【0028】
グローブ13は、例えば、シリカガラスなどのガラス材料、又は、アクリル(PMMA)若しくはポリカーボネート(PC)などの樹脂材料などからなる透光性材料を用いることができる。グローブ13には、光を拡散させるための拡散処理が施されていてもよい。例えば、グローブ13の内面又は外面に、光拡散膜(光拡散層)、又は、複数の光拡散ドット若しくは微小凹凸などを形成してもよい。あるいは、グローブ13は、内部を視認可能なように透明な(クリア)材料から形成されていてもよい。
【0029】
口金14は、育成用光源部110及び作業用光源部120を発光させるための電力を電源30から受電する受電部である。口金14は、例えば、照明器具のソケットに取り付けられる。口金14は、ソケットを介して受電した電力を、リード線(図示せず)を介して制御部140に供給する。本実施の形態では、口金14は、ねじ込み式のエジソンタイプの口金(E口金)であり、例えば、E26、E17又はE16などである。あるいは、口金14は、差し込み式の口金であってもよい。
【0030】
育成用光源部110は、第1光源部の一例であり、植物2の育成用の第1光を発する。第1光は、赤色光又は遠赤光を含む。本実施の形態では、第1光は、赤色光及び遠赤光を含む。
図2に示すように、育成用光源部110は、赤色光源部112と、遠赤色光源部114と、を含む。
【0031】
赤色光源部112は、赤色光を発する。赤色光源部112は、具体的には、
図3に示すような複数の赤色LED113を含む。複数の赤色LED113はそれぞれ、赤色光を発する。複数の赤色LED113は、基板に実装されており、基板に設けられた銅等の金属配線を介して電気的に接続されている。なお、基板は、本体筐体12に支持された基台(図示せず)の載置面に固定されている。
【0032】
赤色光は、例えば、610nm以上680nm以下の範囲の光である。赤色光は、植物2の休眠を抑制して成長を促進することができる。また、赤色光は、植物2の花芽分化を抑制することができるので、収穫時期を遅らせることができる。
【0033】
具体的には、赤色光源部112は、610nm以上680nm以下の範囲内に発光強度のピークを有する狭帯域の光を赤色光として発する。「狭帯域の光」は、例えば、半値幅が50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、又は、10nm以下の光である。あるいは、赤色光源部112は、610nm以上680nm以下の範囲の全域に亘って所定強度以上の強度を有するブロードな光を赤色光として発してもよい。なお、所定強度以上の強度とは、最大強度の50%以上であってもよく、40%以上であってもよく、30%以上であってもよく、20%以上であってもよい。赤色光源部112は、610nm未満の光、及び、680nmより大きい光の少なくとも一方を除去するフィルタを備えてもよい。
【0034】
遠赤色光源部114は、遠赤光を発する。遠赤色光源部114は、具体的には、
図3に示すような複数の遠赤色LED115を含む。複数の遠赤色LED115はそれぞれ、遠赤光を発する。複数の遠赤色LED115は、基板に実装されており、基板に設けられた銅等の金属配線を介して電気的に接続されている。なお、遠赤色LED115が実装される基板は、赤色LED113が実装される基板と同一の基板であるが、異なる基板であってもよい。
【0035】
遠赤光は、例えば、685nm以上780nm以下の範囲の光である。遠赤光は、赤色光による花芽分化の抑制効果を打ち消すことができる。
【0036】
具体的には、遠赤色光源部114は、685nm以上780nm以下の範囲内に発光強度のピークを有する狭帯域の光を遠赤光として発する。あるいは、遠赤色光源部114は、685nm以上780nm以下の範囲の全域に亘って所定強度以上の強度を有するブロードな光を遠赤光として発してもよい。遠赤色光源部114は、685nm未満の光、及び、780nmより大きい光の少なくとも一方を除去するフィルタを備えてもよい。
【0037】
作業用光源部120は、第2光源部の一例であり、作業用の第2光を発する。第2光は、白色光を含む。
図2に示すように、作業用光源部120は、白色光源部122を含む。
【0038】
白色光源部122は、白色光を発する。白色光源部122は、具体的には、
図3に示すような複数の白色LED123を含む。複数の白色LED123はそれぞれ、白色光を発する。複数の白色LED123は、基板に実装されており、基板に設けられた銅等の金属配線を介して電気的に接続されている。なお、白色LED123が実装される基板は、赤色LED113及び遠赤色LED115が実装される基板と同一の基板であるが、異なる基板であってもよい。
【0039】
白色光の平均演色評価数Raは、85以上である。平均演色評価数Raが100に近い程、自然の色の再現性が高くなる。このため、収穫等の作業を行う場合に、イチゴの色を目視で判断することが容易になる。よって、収穫するか否かの判断を適切かつ速やかに行うことができるので、作業効率を高めることができる。
【0040】
記憶部130は、電源30からの通電時間132を記憶するためのメモリである。記憶部130は、半導体メモリ等の不揮発性記憶装置である。通電時間132は、制御部140の計時部144によって計測される。通電時間132は、照明装置10に対する直前の通電時間を示している。直前の通電時間とは、照明装置10に電力が供給されている場合には、電力供給が継続中の通電時間ではなく、1回前の通電時間であって、電力供給が終了済みの通電時間を意味している。
【0041】
制御部140は、育成用光源部110及び作業用光源部120の点灯及び消灯を制御する。制御部140は、記憶部130に記憶された通電時間132に基づいて、育成用光源部110及び作業用光源部120を択一的に点灯させる。制御部140は、育成用光源部110を点灯させる場合には、作業用光源部120を消灯し、作業用光源部120を点灯させる場合には、育成用光源部110を消灯する。すなわち、育成用光源部110と作業用光源部120とは、同時には点灯しない。
【0042】
図2に示すように、制御部140は、検出部142と、計時部144と、点灯制御部146と、を含む。
【0043】
検出部142は、電源30から供給される電力を検出する。検出部142は、電力が照明装置10に供給されているか否か、具体的には、口金14が電力を受電しているか否かを判定できればよい。検出部142は、例えば、抵抗等で実現されるが、検出部142の回路構成は特に限定されない。
【0044】
計時部144は、電力を検出部142が検出してから検出されなくなるまでの時間を計測し、計測した時間を通電時間132として記憶部130に記録する。計時部144は、例えば、クロック発生器及びカウンタ回路等で実現されるが、特に限定されない。例えば、計時部144は、検出部142が電力を検出した時刻と、検出部142が電力を検出しなくなった時刻とを計測して、その差分を通電時間132として算出してもよい。
【0045】
点灯制御部146は、検出部142が電力を検出した場合に、記憶部130に記憶されている通電時間132を読み出し、読み出した通電時間132に基づいて育成用光源部110及び作業用光源部120を択一的に点灯させる。具体的には、点灯制御部146は、通電時間132と所定の閾値とを比較して、その比較結果に基づいて、育成用光源部110及び作業用光源部120の一方を選択して点灯させる。具体的な動作については、後で説明する。
【0046】
点灯制御部146は、育成用光源部110及び作業用光源部120の各々に点灯用の電力を供給する点灯回路を含む。点灯回路は、例えば、回路基板と、当該回路基板に実装された複数の電子部品(図示せず)とを有している。
【0047】
回路基板は、金属配線がパターニングされたプリント基板である。回路基板に実装された複数の電子部品は、当該金属配線によって電気的に接続されている。複数の電子部品は、例えば、電解コンデンサ、セラミックコンデンサなどの容量素子、抵抗素子、整流回路素子、コイル素子、チョークコイル(チョークトランス)、ノイズフィルタ、ダイオード又は集積回路素子などである。
【0048】
制御部140の少なくとも一部は、例えば、
図3に示すようなマイクロコントローラ141で実現される。マイクロコントローラ141は、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサ等を含んでいる。マイクロコントローラ141が有する不揮発性メモリは、記憶部130として機能してもよい。制御部140は、プログラム可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又は、LSI内の回路セルの接続及び設定が再構成可能なリコンフィギュラブルプロセッサであってもよい。制御部140が実行する機能の少なくとも一部は、ソフトウェアで実現されてもよく、ハードウェアで実現されてもよい。
【0049】
[動作]
続いて、照明装置10の具体的な動作について、
図4を用いて説明する。
図4は、本実施の形態に係る照明装置10の動作を示すフローチャートである。
【0050】
図4に示すように、照明装置10では、電源30から供給される電力を検出部142が検出するまで待機する(S10でNo)。例えば、操作スイッチ20がオフ状態である場合、電源30と照明装置10とを接続する電源配線が切断された状態であるので、照明装置10には電力が供給されていない。操作スイッチ20がオンされた場合に、照明装置10は、電源30から電力を受ける。
【0051】
電源30から供給される電力を検出部142が検出した場合(S10でYes)、計時部144は、通電時間の計測を開始する(S12)。また、点灯制御部146は、記憶部130に記憶されている通電時間132を読み出す(S14)。記憶部130から読み出される通電時間132は、直前に電力が検知されてから検知されなくなるまでの通電時間を表している。すなわち、通電時間132は、ステップS12で計測を開始したばかりの通電時間(電力供給が継続中の通電時間)ではなく、後述するステップS26で計測を終了した通電時間(すなわち、直前の通電時間)を表している。この直前の通電時間の長さをT[秒]とする。なお、照明装置10を設置した直後等の初期状態のように記憶部130に通電時間132が記憶されていない場合は、T=0とみなして以降の処理が実行される。
【0052】
次に、点灯制御部146は、読み出された通電時間132の判定を行う(S16)。具体的には、点灯制御部146は、通電時間132の長さTと1以上の閾値とを比較する。本実施の形態では、1以上の閾値として、Ta及びTbの2つが設定されている。
【0053】
Taは、第1時間の一例であり、照明装置10のリセットの判定及び作業用の光(白色光)の点灯の判定に利用される閾値時間である。Taは、例えば10秒であるが、これに限定されない。Taは、例えば、0秒より長く、30秒以下の時間である。
【0054】
Tbは、第1時間より長い第2時間の一例であり、作業用の光(白色光)への切り替えに利用される閾値時間である。Tbは、例えば20秒であるが、これに限定されない。Tbは、例えば、Taより長く、1分以下の時間である。
【0055】
点灯制御部146は、記憶部130に記憶された通電時間132が第1時間未満である場合、すなわち、T<Taである場合、育成用光源部110を点灯させる(S18)。また、点灯制御部146は、記憶部130に記憶された通電時間が第2時間以上である場合、すなわち、Tb≦Tである場合、育成用光源部110を点灯させる(S18)。ステップS18では、点灯制御部146は、赤色光源部112及び遠赤色光源部114の両方を点灯させる。このとき、点灯制御部146は、作業用光源部120(白色光源部122)を点灯させずに消灯させておく。
【0056】
また、点灯制御部146は、記憶部130に記憶された通電時間132が第1時間以上、第2時間未満である場合、すなわち、Ta≦T<Tbである場合、作業用光源部120を点灯させる(S20)。このとき、点灯制御部146は、育成用光源部110(赤色光源部112及び遠赤色光源部114)を点灯させずに消灯させておく。
【0057】
次に、照明装置10では、電源30から供給される電力を検出部142が検出されなくなるまで待機する(S22でNo)。待機中は、育成用光源部110及び作業用光源部120のうちの一方のみが点灯状態を保っている。
【0058】
ユーザによって操作スイッチ20がオフされた場合、電源30と照明装置10とを接続する電源配線が切断されるので、照明装置10への供給電力が停止される。検出部142が電力を検出しなくなった場合、すなわち、供給電力が停止した場合(S22でYes)、点灯制御部146は、点灯中の育成用光源部110及び作業用光源部120を消灯する(S24)。
【0059】
また、計時部144は、通電時間の計測を終了する(S26)。計時部144は、計測を開始してから終了するまでの時間、すなわち、電力を検出部142が検出してから検出されなくなるまでの時間を、通電時間132として記憶部130に記録する(S28)。例えば、計時部144は、前回の通電時間を上書きして今回の通電時間のみを記憶部130に記憶させる。あるいは、記憶部130には、複数回分の通電時間が記憶されていてもよい。なお、電源30からの電力供給が停止した後に、記憶部130への通電時間の記録を行うために、制御部140は、電力を一時的に貯めるコンデンサ等を含んでいる。
【0060】
以上のように、本実施の形態に係る照明装置10は、記憶部130に記憶された通電時間132に基づいて、点灯させる光源部を育成用光源部110と作業用光源部120とで切り替えることができる。通電時間132は、操作スイッチ20の操作によってユーザが調整することができる。これにより、照明装置10は、ユーザが求める光を照射させることができる。
【0061】
なお、
図4に示した動作は、一例に過ぎない。複数の処理が実行される順序は適宜入れ替わってもよく、複数の処理が同時に実行されてもよい。例えば、計時開始(ステップS12)と通電時間132の読み出し(ステップS14)とは同時に行われてもよく、通電時間132の読み出し(ステップS14)が計測開始(ステップS12)よりも先に実行されてもよい。消灯(ステップS24)及び計時終了(S26)についても同様である。
【0062】
[ユーザ操作]
続いて、ユーザの目的と、操作スイッチ20に対するユーザの操作と、複数の照明装置10から照射される照明光との関係について、
図5を用いて説明する。
図5は、本実施の形態に係る照明装置10の照明光とユーザ操作との関係を示す図である。
【0063】
電照栽培システム1では、ユーザの目的として、植物2の育成と、収穫等の作業とがある。また、複数の照明装置10が設けられている場合には、照明装置10の点灯状態を同じにすることも求められる。例えば、何らかの要因で1つの照明装置10のみが他の照明装置10とは異なる色の光を照射する場合が起こりうる。複数の照明装置10の点灯状態を同じにすることを、ここでは“リセット”と呼ぶ。
【0064】
植物2の育成を目的とする場合、育成用の第1光(赤色光及び遠赤光)の照射は、一般的には、日没から日の出前の時間帯(夜間)に行われる。赤色光が照射されることによって植物2の休眠を妨げて、植物2の成長を促進することができる。また、赤色光による花芽分化の抑制効果を遠赤光の照射によって打ち消すことができる。育成用の第1光の照射は、通常、数日から数ヶ月、1年等の長期間に亘って行われる。例えば、植物2がイチゴの場合、11月頃から2月頃において毎日行われ、植物2が菊の場合、親株に対しては1年を通して毎日行われる。1日あたりの照射時間は、数時間の長さである。記憶部130に記憶される通電時間132の長さも、数時間になる。
【0065】
このため、ユーザは、植物2の育成を目的とする場合、操作スイッチ20に対して、オン操作を行う。複数の照明装置10に電源30からの電力が供給されると、前日に数時間、第1光の照射が行われているので、
図4のステップS16では、Tb≦Tが成立する。このため、育成用光源部110が点灯されて第1光が植物2に照射される。
【0066】
また、リセットを目的とする場合、ユーザは、操作スイッチ20に対して、短期間で、オン、オフ、オンの連続操作を行う。リセットを目的とする状況としては、例えば、育成を目的として操作スイッチ20をオン状態にしたが、複数の照明装置10の一部が白色光を出射していることが確認できた状況等がある。この場合、ユーザは、操作スイッチ20を一度、オフにして、そのまますぐにオン操作を行う。最初のオンからオフまでの期間がTa未満であれば、記憶部130に記憶される通電時間132の長さがTa未満になる。このため、
図4のステップS16では、T<Taが成立するので、育成用光源部110が点灯されて第1光(赤色光及び遠赤光)が植物2に照射される。このように、オン、オフ、オンの連続操作によって強制的に複数の照明装置10の全ての点灯状態を第1光の点灯状態にすることができる。例えば、Taを長く設定しておいた場合には、リセットを行うか否かの判断を行う時間を稼ぐことができる。このため、ユーザは、複数の照明装置10の点灯状態を十分に確認することができ、必要な場合にはリセットを適切に行うことができる。
【0067】
作業を目的とする場合は、ユーザは、操作スイッチ20に対して、オン、待機、オフ、オンの連続操作を行う。待機は、Ta以上Tb未満の時間である。これにより、記憶部130に記憶される通電時間132の長さがTa以上Tb未満になるので、作業用光源部120が点灯されて第2光(白色光)が植物2に照射される。作業前には、操作スイッチ20の操作の待機期間が要求されることになるが、Ta及びTbの設定時間によって数秒から数十秒の僅かな期間とすることができる。また、作業は、収穫であれば1日から数日間のみ行われることが多いため、育成の場合に比べて頻度が少ない。このため、待機期間を設けたとしても、ユーザに煩わしさを感じさせることもほとんどない。例えば、Taを短く設定しておいた場合には、作業用の光への切り替えを短期間で行うことができる。
【0068】
このように、本実施の形態に係る照明装置10及び電照栽培システム1によれば、通電時間をユーザが調整することによって、照明装置10が点灯させる光源部を育成用光源部110と作業用光源部120とで切り替えることができる。これにより、植物2に対して所望の光を簡単に照射させることができる。
【0069】
なお、点灯させる光源部の切り替えは、例えば、リモートコントローラ又はスマートフォン等の携帯端末を利用して、複数の照明装置10の各々に点灯命令を送信することによっても行うことも可能である。しかし、この場合には、複数の照明装置10の各々に無線通信部を設ける必要があるので、照明装置10のコストの増加が問題となる。また、電照栽培では、広範囲に複数の照明装置10が設置されることがあるため、点灯命令を含む電波を全ての照明装置10に受信させることができずに、所望の点灯状態を形成することができなくなる場合が起こりうる。
【0070】
また、操作スイッチ20の代わりに、複数の照明装置10の各々に点灯命令を有線で送信できる操作部を設けることも可能である。しかし、この場合も同様に、複数の照明装置10には点灯命令を受信する通信インタフェースが必要になり、コストの増加が問題となる。また、既存の操作スイッチ20及び電力インフラ設備が利用できないため、電照栽培システム1の導入が難しいという問題もある。
【0071】
これに対して、本実施の形態に係る照明装置10は、既存の照明装置に置き換えて利用できる。既存の操作スイッチ20をユーザが操作する際に通電時間を調整するだけでよい。このため、コストの増加を抑制することができ、通信状況の影響も受けずに電照栽培システム1の導入も容易に行うことができる。
【0072】
[まとめ]
以上のように、本発明の第1態様に係る照明装置は、例えば、上述した照明装置10のように、植物2の育成用の第1光を発する育成用光源部110と、作業用の第2光を発する作業用光源部120と、育成用光源部110及び作業用光源部120に電力を供給する電源30からの通電時間132を記憶するための記憶部130と、育成用光源部110及び作業用光源部120の点灯及び消灯を制御する制御部140と、を備え、制御部140は、記憶部130に記憶された通電時間132に基づいて、育成用光源部110及び作業用光源部120を択一的に点灯させる。
【0073】
これにより、収穫等の作業を行いたい場合には直前の通電時間を調整することによって、作業用光源部120を点灯させることができるので、作業性を向上させることができる。また、育成用光源部110と作業用光源部120とは同時には点灯しないので、目的に合わない光の照射を抑えることができ、消費電力を低減することができる。このように、本態様によれば、作業性の向上と消費電力の低減とを両立することができる照明装置を実現することができる。
【0074】
また、上述したように、光源部の点灯の切り替えに直前の通電時間を利用するので、既存の電力インフラ設備を利用することができる。このため、コストの増加を抑制することができ、システムの導入も容易に行うことができる。
【0075】
また、本発明の第2態様に係る照明装置では、第1態様に係る照明装置において、第1光は、赤色光又は遠赤光を含み、第2光は、白色光を含む。
【0076】
これにより、赤色光又は遠赤光を利用することで、植物2の成長の促進及び抑制をコントロールでき、収穫時期及び収穫量の調整を行うことができる。また、作業時には白色光を利用することで、植物2の本来の色を視認しやすくなるので、収穫時期の判断を適切に行うことができる。特に、イチゴのような赤い実の収穫の場合は、赤色光の照射環境下では、その赤みを判断しにくい。白色光を利用することで、収穫の作業性を高めることができる。
【0077】
また、本発明の第3態様に係る照明装置では、第2態様に係る照明装置において、第1光は、赤色光及び遠赤光を含む。
【0078】
これにより、赤色光による花芽分化の抑制効果を、遠赤光によって打ち消すことができる。これにより、植物2の成長をより促進することができる。
【0079】
また、本発明の第4態様に係る照明装置では、第2態様又は第3態様に係る照明装置において、白色光の平均演色評価数Raは、85以上である。
【0080】
これにより、イチゴ等の植物2の本来の色の視認しやすさが高まるので、収穫時期の判断をより適切に行うことができる。
【0081】
また、本発明の第5態様に係る照明装置では、第1態様~第4態様のいずれか1つに係る照明装置において、制御部140は、記憶部130に記憶された通電時間132が第1時間Ta未満である場合に、育成用光源部110を点灯させる。
【0082】
これにより、何らかの要因で照明装置10の点灯動作に不具合が生じている場合に、短期間の通電を行うことによって、強制的に育成用光源部110を点灯した状態を作り出すことができる。このため、例えば、複数の照明装置10が設置された環境等において、複数の照明装置10の点灯状態を簡単に同じにすることができる。
【0083】
また、本発明の第6態様に係る照明装置では、第1態様~第5態様のいずれか1つに係る照明装置において、制御部140は、記憶部130に記憶された通電時間132が第1時間Ta以上、第2時間Tb未満である場合に、作業用光源部120を点灯させる。
【0084】
これにより、通電時間を調整することによって、作業用光源部120を点灯させることができる。
【0085】
また、本発明の第7態様に係る照明装置では、第1態様~第6態様のいずれか1つに係る照明装置において、制御部140は、記憶部130に記憶された通電時間132が第2時間Tb以上である場合、育成用光源部110を点灯させる。
【0086】
これにより、一般的には、育成用光源部110の点灯時間は数時間以上になる場合が多いので、ユーザは通電時間の調整を意識せずに、育成用光源部110を点灯させることができる。
【0087】
また、本発明の第8態様に係る照明装置では、第1態様~第7態様のいずれか1つに係る照明装置において、育成用光源部110、作業用光源部120、記憶部130及び制御部140を収容する電球型筐体11を備える。
【0088】
これにより、電球型ランプを利用した既存の電力インフラ設備を利用することができるので、既存の電照栽培システムへの導入が容易になる。
【0089】
また、本発明の第9態様に係る照明装置では、第1態様~第8態様のいずれか1つに係る照明装置において、制御部140は、電源30から供給される電力を検出する検出部142と、電力を検出部142が検出してから検出されなくなるまでの時間を計測し、計測した時間を通電時間132として記憶部130に記録する計時部144と、を含む。制御部140は、検出部142が電力を検出した場合に、記憶部130に記憶されている通電時間132を読み出し、読み出した通電時間132に基づいて育成用光源部110及び作業用光源部120を択一的に点灯させる。
【0090】
これにより、通電時間を正確かつ簡単に検出して記憶部130に記憶させることができる。
【0091】
また、本発明の第10態様に係る照明装置では、第1態様~第9態様のいずれか1つに係る照明装置において、植物2は、イチゴ又は菊である。
【0092】
これにより、植物2がイチゴの場合は、11月頃から2月頃にかけて、また、植物2が菊の場合は、親株に対して一年を通して毎日、電照栽培が行われる。長期にわたる電照栽培における消費電力の低減が期待できるので、極めて有用である。
【0093】
また、本発明の第11態様に係る電照栽培システムは、第1態様~第10態様のいずれか1つに係る照明装置10を複数備え、電源30から複数の照明装置10への電力の供給及び停止を切り替える操作スイッチ20を備える。
【0094】
これにより、作業性の向上と消費電力の低減とを両立することができる電照栽培システムを実現することができる。
【0095】
(その他)
以上、本発明に係る照明装置及び電照栽培システムについて、上記の実施の形態などに基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0096】
例えば、育成用光源部110は、赤色LED113及び遠赤色LED115の代わりに、赤色光及び遠赤光の両方を発する1種類の育成用LEDを備えてもよい。例えば、育成用LEDは、610nm以上780nm以下の範囲の全域に亘って所定強度以上の強度を有するブロードな光を育成用の第1光として発する。あるいは、育成用LEDは、610nm以上680nm以下の範囲内と、685nm以上780nm以下の範囲内との各々に発光強度のピークを有する狭帯域の光を育成用の第1光として発してもよい。
【0097】
また、例えば、育成用光源部110は、植物2の育成用の第1光として、赤色光及び遠赤光の一方のみを発してもよい。例えば、育成用光源部110は、赤色光のみを発してもよい。
【0098】
また、例えば、照明装置10は、電球型ランプでなくてもよい。照明装置10は、シーリングライト、ダウンライト、スポットライト、ライトバー等の所定の構造物に固定された照明装置であってもよい。
【0099】
また、例えば、照明装置10は、リセット目的に対応するために、通電時間Tと第1時間Taとの比較を行ったが、当該比較は行われなくてもよい。この場合、照明装置10では、育成と作業とを切り替えるために、通電時間Tと第2時間Tbとの比較を行えばよく、第2時間Tbを短い時間に設定することができる。この場合、ユーザの操作は、オン、オフ、オンの連続操作であればよく、オンとオフとの間の待機期間を実質的になくすことが可能になり、作業性を高めることができる。
【0100】
また、
図5に示した操作は、一例にすぎず、例えば、育成と作業とでは、操作方法が入れ替わっていてもよい。この場合、制御部140は、記憶部130に記憶された通電時間132が第1時間Ta未満である場合に、作業用光源部120を点灯させ、通電時間132が第1時間Ta以上第2時間Tb未満である場合に、育成用光源部110を点灯させ、通電時間132が第2時間Tb以上である長い場合に、作業用光源部120を点灯させる。通電時間132と閾値との比較結果と、点灯させる光源部の選択とは、状況に応じて適宜設定可能である。
【0101】
また、例えば、本発明は、植物2への照明方法又は電照栽培方法として実現されてもよい。植物2への照明方法又は電照栽培方法は、植物の育成用の第1光を発する第1光源部及び作業用の第2の光を発する第2光源部に電力を供給する電源からの通電時間を記憶部に記憶するステップと、第1光源部及び第2光源部の点灯及び消灯を制御するステップと、を含み、制御するステップでは、記憶部に記憶された通電時間に基づいて、第1光源部及び第2光源部を択一的に点灯させる。
【0102】
また、植物2への照明方法又は電照栽培方法では、制御するステップにおいて、記憶部に記憶された通電時間が第1時間未満である場合に、第1光源部を点灯させてもよい。制御するステップにおいて、記憶部に記憶された通電時間が第1時間以上、第2時間未満である場合に、第2光源部を点灯させてもよい。制御するステップにおいて、記憶部に記憶された通電時間が第2時間以上である場合、第1光源部を点灯させてもよい。
【0103】
また、例えば、本発明は、植物2への照明方法又は電照栽培方法をコンピュータに実行させるプログラムとして実現されてもよい。あるいは、本発明は、当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現することもできる。
【0104】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
1 電照栽培システム
2 植物
10 照明装置
11 電球型筐体
20 操作スイッチ
30 電源
110 育成用光源部(第1光源部)
120 作業用光源部(第2光源部)
112 赤色光源部
114 遠赤色光源部
122 白色光源部
130 記憶部
132 通電時間
140 制御部
142 検出部
144 計時部
146 点灯制御部