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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171789
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ロール状ペーパータオル包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/671 20060101AFI20241205BHJP
   A47K 10/16 20060101ALI20241205BHJP
   D04H 1/26 20120101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D85/671
A47K10/16 A
D04H1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088999
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 美沙
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
【テーマコード(参考)】
2D135
3E037
4L047
【Fターム(参考)】
2D135AB01
2D135AB06
2D135AB13
2D135BA01
2D135BA02
2D135CA01
2D135DA01
2D135DA02
2D135DA06
2D135DA09
3E037AA03
3E037BA09
3E037BC01
3E037CA06
4L047AA08
4L047AA13
4L047AA19
4L047AB02
4L047AB03
4L047AB06
4L047BA04
4L047CA01
4L047CB01
4L047CB02
4L047CB07
4L047CB10
4L047CC03
(57)【要約】
【課題】包装体の美粧性(タイト性)、持ち運び時の破れ難さ、ロール製品の巻き柔らかさ、及びシートの吸水性を確保することが可能なロール状ペーパータオル包装体を提供する。
【解決手段】本開示は、ロール状ペーパータオル包装体10であって、第2定規の自重による包装用フィルム30の沈み込み深さは、3mm以上14mm以下であり、式:(包装用フィルム30の実際の周長)/(包装用フィルム30の理論上の周長)×100で表される値は、97以上130以下であり、ペーパータオルの単位面積当たりの吸水量は、210g/m以上520g/m以下であり、ロール密度は、0.05g/cm以上0.19g/cm以下であり、巻固さは、2mm以上7mm以下であり、式:(巻固さ)/(第2定規の自重による包装用フィルム30の沈み込み深さ)で表される値は、0.3以上1.8以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプを主体として合成繊維を含有した1プライのシート状のペーパータオルをロール状に巻き取った複数のロール状ペーパータオルと、前記複数のロール状ペーパータオルをキャラメル包装する包装用フィルムと、を備えるロール状ペーパータオル包装体であって、
前記複数のロール状ペーパータオルの軸方向が水平となるように前記ロール状ペーパータオル包装体を載置し、前記軸方向と直交する第1方向に隣接する2つの前記ロール状ペーパータオルを跨いで、質量64g、厚み1.0mm、幅25mm、目盛長さ300mmのステンレス製の第1定規を渡し、その板面が前記包装用フィルムに接するように置いて基準線とし、隣接する前記2つの前記ロール状ペーパータオル間に位置する前記包装用フィルムの上に、質量10g、厚み0.5mm、幅15mm、目盛長さ150mmのステンレス製の第2定規を、前記第2定規の幅方向が前記第1方向に沿う状態で前記包装用フィルムに対して垂直に載せたとき、前記基準線に対する前記第2定規の自重による前記包装用フィルムの沈み込み深さは、3mm以上14mm以下であり、
式:(前記包装用フィルムの実際の周長)/(前記ロール状ペーパータオルの巻直径から求めた前記包装用フィルムの理論上の周長)×100で表される値は、97以上130以下であり、
前記ペーパータオルの単位面積当たりの吸水量は、210g/m以上520g/m以下であり、
前記ロール状ペーパータオルのロール密度は、0.05g/cm以上0.19g/cm以下であり、
前記ロール状ペーパータオルの巻固さは、2mm以上7mm以下であり、
式:(前記ロール状ペーパータオルの巻固さ)/(前記第2定規の自重による前記包装用フィルムの沈み込み深さ)で表される値は、0.3以上1.8以下である
ことを特徴とするロール状ペーパータオル包装体。
【請求項2】
前記包装用フィルムの厚みは、20μm以上55μm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載のロール状ペーパータオル包装体。
【請求項3】
前記ペーパータオルの坪量は、40g/m以上150g/m以下である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロール状ペーパータオル包装体。
【請求項4】
前記ペーパータオルの紙厚は、200μm以上1400μm以下である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロール状ペーパータオル包装体。
【請求項5】
前記ロール状ペーパータオルの巻密度は、0.10m/cm以上0.25m/cm以下である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロール状ペーパータオル包装体。
【請求項6】
前記包装用フィルムのJIS Z 1702に基づく縦方向の引張強度(DMDT)は、20MPa以上70MPa以下であり、
前記包装用フィルムのJIS Z 1702に基づく横方向の引張強度(DCDT)は、10MPa以上55MPa以下である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロール状ペーパータオル包装体。
【請求項7】
前記ペーパータオルのJIS P 8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強度(DMDT)は、8N/25mm以上75N/25mm以下であり、
前記ペーパータオルのJIS P 8113に基づく乾燥時の横方向の引張強度(DCDT)は、2N/25mm以上50N/25mm以下である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロール状ペーパータオル包装体。
【請求項8】
前記ペーパータオルの単位重量当たりの吸水量は、3.0g/g以上8.0g/g以下である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロール状ペーパータオル包装体。
【請求項9】
前記包装用フィルムは、ヒートシール性を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロール状ペーパータオル包装体。
【請求項10】
前記ペーパータオルは、キッチンタオルである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロール状ペーパータオル包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロール状ペーパータオル包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレットロールやロール状ペーパータオルといった衛生薄葉紙のロール状製品は、その使用頻度の高さから複数個のロール製品を包装した多ロール包装体が好まれる。このようなトイレットロールやキッチンタオルロール等のロール製品を複数個包装したロール製品包装体として、ポリエチレン等のフィルムを折り畳んで熱融着させるキャラメル包装体が知られている。こうしたキャラメル包装体は、持ち運び時等のフィルム破れや包装体美粧性に優れたフィルム包装体とするために、タイト性や内容物の仕様について適宜検討がなされてきた(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0003】
ところでペーパータオルには、水および油に対する優れた吸収性、掃除用途に使用した際にも簡単に破れず継続使用に耐える強度が求められている。このような要求を満たすペーパータオルとして、合成繊維の不織布にパルプを水流交絡する技術が開発されている(例えば、特許文献3)。
【0004】
通常のペーパータオルの場合、包装フィルムのタイト性を調整し、美粧性に優れた包装体とすることができる(例えば、特許文献4)。しかし、合成繊維を含有する高坪量かつ吸水性に優れたペーパータオルでは、ロールが柔らかいため、包装時のフィルムのテンションやヒートシールの安定性が悪く、タイトに包装することができずに包装体の美粧性に劣るという欠点がある。例えば、ロールの巻きを固くすることで、タイト性やシール性は良好となるが、逆にシートが潰され、本来の良好な吸水性や柔らかさを損なう。また、タイトに包装し過ぎると、持ち運び時に側面中央部(ロールとロールの中間部)からフィルムが裂けるおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-090255号公報
【特許文献2】特開2013-082468号公報
【特許文献3】特開2018-193634号公報
【特許文献4】特開2018-90270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のことから、従来の高坪量かつ吸水性に優れるペーパータオルでは、包装体の美粧性(タイト性)、持ち運び時の破れ難さ、ロール製品の巻き柔らかさを高水準で両立することが困難であった。
【0007】
そこで、本開示は、1plyで高坪量かつ吸水性に優れるロール状ペーパータオルを複数個並べてフィルム包装したロール状ペーパータオル包装体において、包装体の美粧性(タイト性)、持ち運び時の破れ難さ、及びロール製品の巻き柔らかさを確保することが可能なロール状ペーパータオル包装体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、パルプを主体として合成繊維を含有した1プライのシート状のペーパータオルをロール状に巻き取った複数のロール状ペーパータオルと、前記複数のロール状ペーパータオルをキャラメル包装する包装用フィルムと、を備えるロール状ペーパータオル包装体であって、前記複数のロール状ペーパータオルの軸方向が水平となるように前記ロール状ペーパータオル包装体を載置し、前記軸方向と直交する第1方向に隣接する2つの前記ロール状ペーパータオルを跨いで、質量64g、厚み1.0mm、幅25mm、目盛長さ300mmのステンレス製の第1定規を渡し、その板面が前記包装用フィルムに接するように置いて基準線とし、隣接する前記2つの前記ロール状ペーパータオル間に位置する前記包装用フィルムの上に、質量10g、厚み0.5mm、幅15mm、目盛長さ150mmのステンレス製の第2定規を、前記第2定規の幅方向が前記第1方向に沿う状態で前記包装用フィルムに対して垂直に載せたとき、前記基準線に対する前記第2定規の自重による前記包装用フィルムの沈み込み深さは、3mm以上14mm以下であり、式:(前記包装用フィルムの実際の周長)/(前記ロール状ペーパータオルの巻直径から求めた前記包装用フィルムの理論上の周長)×100で表される値は、97以上130以下であり、前記ペーパータオルの単位面積当たりの吸水量は、210g/m以上520g/m以下であり、前記ロール状ペーパータオルのロール密度は、0.05g/cm以上0.19g/cm以下であり、前記ロール状ペーパータオルの巻固さは、2mm以上7mm以下であり、式:(前記ロール状ペーパータオルの巻固さ)/(前記第2定規の自重による前記包装用フィルムの沈み込み深さ)で表される値は、0.3以上1.8以下である。
【0009】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様のロール状ペーパータオル包装体であって、前記包装用フィルムの厚みは、20μm以上55μm以下である。
【0010】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様のロール状ペーパータオル包装体であって、前記ペーパータオルの坪量は、40g/m以上150g/m以下である。
【0011】
本発明の第4の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様のロール状ペーパータオル包装体であって、前記ペーパータオルの紙厚は、200μm以上1400μm以下である。
【0012】
本発明の第5の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様のロール状ペーパータオル包装体であって、前記ロール状ペーパータオルの巻密度は、0.10m/cm以上0.25m/cm以下である。
【0013】
本発明の第6の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様のロール状ペーパータオル包装体であって、前記包装用フィルムのJIS Z 1702に基づく縦方向の引張強度(DMDT)は、20MPa以上70MPa以下であり、前記包装用フィルムのJIS Z 1702に基づく横方向の引張強度(DCDT)は、10MPa以上55MPa以下である。
【0014】
本発明の第7の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様のロール状ペーパータオル包装体であって、前記ペーパータオルのJIS P 8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強度(DMDT)は、8N/25mm以上75N/25mm以下であり、前記ペーパータオルのJIS P 8113に基づく乾燥時の横方向の引張強度(DCDT)は、2N/25mm以上50N/25mm以下である。
【0015】
本発明の第8の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様のロール状ペーパータオル包装体であって、前記ペーパータオルの単位重量当たりの吸水量は、3.0g/g以上8.0g/g以下である。
【0016】
本発明の第9の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様のロール状ペーパータオル包装体であって、前記包装用フィルムは、ヒートシール性を有する。
【0017】
本発明の第10の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様のロール状ペーパータオル包装体であって、前記ペーパータオルは、キッチンタオルである。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、1plyで高坪量かつ吸水性に優れるロール状ペーパータオルを複数個並べてフィルム包装したロール状ペーパータオル包装体において、包装体の美粧性(タイト性)、持ち運び時の破れ難さ、及びロール製品の巻き柔らかさを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るロール状ペーパータオル包装体の斜視図である。
図2図1のロール状ペーパータオル包装体の天面を示す模式平面図である。
図3】ロール状ペーパータオルの斜視図である。
図4】吸水量の測定方法を示す説明図である。
図5】ロール状ペーパータオル包装体における包装用フィルムの沈み込み深さの測定方法を示す図である。
図6】包装用フィルムの理論上の周長の説明図であって、(a)は2ロールの場合を、(b)は3ロールの場合を、(c)は4ロールの場合をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明するが、以下の実施形態は例示の目的で提示するものであり、本発明は、以下に示す実施形態に、何ら限定されるものではない。
【0021】
<ロール状ペーパータオル包装体>
図1は、本発明の一実施形態に係るロール状ペーパータオル包装体の斜視図である。図2は、図1のロール状ペーパータオル包装体の天面を示す模式平面図である。
【0022】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るロール状ペーパータオル包装体10(以下、単に「包装体10」という場合もある。)は、パルプを主体として合成繊維を含有した1プライのシート状のペーパータオル20a(図3参照)をロール状に巻き取った複数のロール状ペーパータオル20と、複数のロール状ペーパータオル20をキャラメル包装する包装用フィルム30と、を備える。本実施形態では、ロール状ペーパータオル20の軸方向と、包装用フィルム30のMD(machine direction)方向とが一致するように、ロール状ペーパータオル20が包装用フィルム30によって包装されている。なお、以下では、ロール状ペーパータオル20を2ロール包装したロール状ペーパータオル包装体10について説明するが、ロール状ペーパータオル20を収納する数はこれに限定されるものではなく、包装体10はロール状ペーパータオル20を少なくとも2ロール収納していればよい。
【0023】
各構成の詳細は次のとおりである。
【0024】
図1及び図2に示すように、ロール状ペーパータオル包装体10は、ペーパータオル20aをロール状に巻き取った2個(2ロール)のロール状ペーパータオル20を、ロール状ペーパータオル20の幅方向(軸方向)両端面がそれぞれ包装体10の天面11及び底面12と対面するように、包装用フィルム30でキャラメル包装している。
【0025】
複数のロール状ペーパータオル20は、軸方向を互いに平行な状態にして並列的に配置された状態で包装用フィルム30によってキャラメル包装される。キャラメル包装は公知である。例えば、シート状の包装用フィルム30上に複数のロール状ペーパータオル20を載置した状態で、ロール状ペーパータオル20の周面に沿うように包装用フィルム30を巻き付けて筒状にし、又は予め筒状に形成された包装用フィルム30の軸方向の一端から複数のロール状ペーパータオル20を筒状の包装用フィルム30と同軸方向に挿入する。そして、複数のロール状ペーパータオル20の両端側からはみ出た包装用フィルム30のうち、対向する2つのフラップ状の辺を互いに折り畳み、次に別の対向する2つのフラップ状の辺を同様に互いに折り畳み、これら折り畳み部分を熱融着等で封止(ヒートシール)する。すなわち、包装用フィルム30は、ヒートシールすることが可能なヒートシール性を有することが好ましい。
【0026】
<包装用フィルム>
包装用フィルム30は、単層で形成されてもよく複層で形成されてもよい。包装用フィルム30の材質は、リサイクルに適した熱可塑性樹脂であることが好ましい。具体的には、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレン等)、ポリエステル(PET等)、ポリアミド(ナイロン等)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの中でも、本実施形態の効果を十分に発揮させる観点から、ポリエチレンフィルムが好ましい。
【0027】
(包装用フィルムの厚み)
包装用フィルム30の厚みは、20μm以上55μm以下であることが好ましい。包装用フィルム30の厚みが20μm未満であると、スコーチ等の包装不良が起こり易くなり、ロール状ペーパータオル包装体10の美粧性に劣る。一方、包装用フィルム30の厚みが55μmを超えると、包装不良が起こり易くなり、ロール状ペーパータオル包装体10の美粧性に劣る。包装用フィルム30の厚みは、JIS B 7503に準拠して測定できる。なお、包装用フィルム30の厚みの上記範囲の下限値は、25μmであることがより好ましく、30μmであることが更に好ましい。また、包装用フィルム30の厚みの上記範囲の上限値は、45μmであることがより好ましく、40μmであることが更に好ましい。
【0028】
(包装用フィルムの引張強度)
包装用フィルム30のJIS Z 1702に基づく縦方向(MD方向)の引張強度(DMDT(Dry Machine Direction Tensile strength))は、20MPa以上70MPa以下であることが好ましい。また、包装用フィルム30のJIS Z 1702に基づく横方向(CD(cross direction)方向)の引張強度(DMDT(Dry Cross Direction Tensile strength))は、10MPa以上55MPa以下であることが好ましい。包装用フィルム30の引張強度を上記範囲に設定することによって、包装体の美粧性(タイト性)、及び持ち運び時の破れ難さを確保できる傾向がある。なお、包装用フィルム30の上記DMDTの上記範囲の下限値は、25MPaであることがより好ましく、30MPaであることが更に好ましい。また、包装用フィルム30の上記DMDTの上記範囲の上限値は、60MPaであることがより好ましく、55MPaであることが更に好ましい。また、包装用フィルム30の上記DMDTの上記範囲の下限値は、15MPaであることがより好ましく、20MPaであることが更に好ましい。また、包装用フィルム30の上記DMDTの上記範囲の上限値は、50MPaであることがより好ましく、45MPaであることが更に好ましい。
【0029】
<ロール状ペーパータオル>
図3は、ロール状ペーパータオルの斜視図である。
【0030】
本実施形態のロール状ペーパータオル20は、パルプ繊維及び合成繊維を含有した1プライのペーパータオル20aをロール状に巻取ったロール状ペーパータオル20である。なお、ペーパータオル20aは、ペーパータオル20aの最外巻の端縁21から、MD(流れ)方向における等間隔において、CD(幅)方向にミシン目(図示省略)を施されていることが好ましい。
【0031】
このとき、MD方向とはペーパータオル20aが巻き取られる方向(ペーパータオル20aが製造される方向であり、流れ方向とも称する)であり、CD方向とはMD方向に直交する方向(幅方向とも称する)である。
【0032】
本開示に係るペーパータオル20aは、様々な紙製品として用いることができ、ワイパー又はキッチンタオルの用途で使用することが好ましいが、キッチンタオルの用途で使用することがより好ましい。また、本願発明は、ワイパー又はキッチンタオルの用途で使用される紙製品であるが、不織布製品として使用されてもよい。
【0033】
ロール状ペーパータオル20には、中心部に円筒形の紙芯、円筒状空間等のコア22を有するものであり、外径(巻径)がDR、コア22の外径がDIである。また、ペーパータオル20aの2つの面のうち、ロール状ペーパータオル20の外方を臨む面をペーパータオル20aの表面23、ロール状ペーパータオル20のコア22を臨む面をペーパータオル20aの裏面24という。以下は、ロール状ペーパータオル20としての代表的な特性である。
【0034】
(巻長)
ロール状ペーパータオル20の巻長は、7m以上24m以下であることが好ましい。ロール状ペーパータオル20の巻長が7m未満では、所定の巻径を確保しようとすると柔巻きとなり、包装時の包装用フィルム30のテンションやヒートシールの安定性が悪く、タイトに包装することができずに包装体10の美粧性に劣る。一方、ロール状ペーパータオル20の巻長が24mを超えると、固巻きとなり易く、タイト性やシール性は良好となるが、逆にペーパータオル20aが潰され、本来の良好な吸水性や柔らかさを損なう。また、タイトに包装し過ぎると、持ち運び時に側面中央部(ロールとロールの中間部)から包装用フィルム30が裂けるおそれもある。なお、ロール状ペーパータオル20の巻長の上記範囲の下限値は、10mであることがより好ましく、13mであることが更に好ましい。また、ロール状ペーパータオル20の巻長の上記範囲の上限値は、22mであることがより好ましく、18mであることが更に好ましい。
【0035】
巻長は、ロール状ペーパータオル20においてミシン目とミシン目の間のシート状となるペーパータオル20aについて、10枚分の長さを実測する。その後、ロール状ペーパータオル20におけるペーパータオル20aの枚数を実測し、巻長は10枚分の長さとペーパータオル20aの枚数から比例計算で求める。例えば、10枚分の長さが1.80m、ペーパータオル20aの枚数が120枚の場合、1.80m×(120/10)=21.6mとなる。なお、ミシン目がない場合は、巻長を実測する。
【0036】
(巻径)
ロール状ペーパータオル20の巻径(巻直径DR)は、75mm以上160mm以下であることが好ましい。ロール状ペーパータオル20の巻径が75mm未満では、巻直径DRが小さくなり過ぎるため、ロール製品としての使い易さに劣る。一方、ロール状ペーパータオル20の巻径が160mmを超えると、巻直径DRが大きくなり過ぎるため、ロール製品としての使い易さに劣る。なお、ロール状ペーパータオル20の巻径の上記範囲の下限値は、100mmであることがより好ましく、108mmであることが更に好ましい。また、ロール状ペーパータオル20の巻径の上記範囲の上限値は、140mmであることがより好ましく、130mmであることが更に好ましい。
【0037】
ロールの巻直径DRは、ムラテックKDS株式会社製ダイヤメータールールを用いて測定する。測定は、10個のロール状ペーパータオル20を測定し、測定結果を平均する。
【0038】
(ロール幅)
ロール状ペーパータオル20のロール幅は、180mm以上350mm以下であることが好ましい。ロール幅を上記範囲内に設定することによって、本願のような合成繊維を含む高坪量のロール状ペーパータオル20を使用する際、使用する面積が適正になり、ロール製品としての使い易さが良好になる。なお、ロール状ペーパータオル20のロール幅の上記範囲の下限値は、210mmであることがより好ましく、240mmであることが更に好ましい。また、ロール状ペーパータオル20のロール幅の上記範囲の上限値は、325mmであることがより好ましく、300mmであることが更に好ましい。
【0039】
(ロール重量)
ロール状ペーパータオル20のロール重量は、100g以上580g以下であることが好ましい。ロール重量を上記範囲内に設定することによって、ロール製品として扱い易いロール状ペーパータオル20及びロール状ペーパータオル包装体10を得ることができる。なお、ロール状ペーパータオル20のロール重量の上記範囲の下限値は、180gであることがより好ましく、220gであることが更に好ましい。また、ロール状ペーパータオル20のロール重量の上記範囲の上限値は、450gであることがより好ましく、400gであることが更に好ましい。また、ロール重量は、コア22(芯の紙管)を含まないロール幅280mmあたりの1ロールの重量とする。ロール幅が280mmでない場合は、比例計算により280mmあたりの重量に換算する。
【0040】
(ロール密度)
ロール状ペーパータオル20のロール密度は、0.05g/cm以上0.19g/cm以下である。ロール状ペーパータオル20のロール密度が0.05g/cm未満であると、柔巻きになり過ぎるため、包装時の包装用フィルム30のテンションやヒートシールの安定性が悪く、タイトに包装することができずに包装体10の美粧性に劣る。また、内巻の巻付け力が弱くなり過ぎて、ロール状ペーパータオル20の内巻側が軸方向に飛び出して不良品が生じる場合もある。一方、ロール状ペーパータオル20のロール密度が0.19g/cmを超えると、固巻きになり過ぎるため、タイト性やシール性は良好となるが、逆にペーパータオル20aが潰され、本来の良好な吸水性や柔らかさを損なう。また、タイトに包装し過ぎると、持ち運び時に側面中央部(ロールとロールの中間部)から包装用フィルム30が裂けるおそれもある。なお、ロール状ペーパータオル20のロール密度の上記範囲の下限値は、0.07g/cmであることがより好ましく、0.09g/cmであることが更に好ましい。また、ロール状ペーパータオル20のロール密度の上記範囲の上限値は、0.17g/cmであることがより好ましく、0.15g/cmであることが更に好ましい。
【0041】
ロール状ペーパータオル20のロール密度は、下記式(1)から求められる。
ロール密度=(ロール重量)/(ロールの体積)=(ロール重量)/[{ロールの外径(巻直径DR)部分の断面積}-(コア外径DI部分の断面積)]×ロール幅(280mmを基準にして換算)・・・(1)
例えば、ロール幅280mmあたりのロール重量が327g、巻直径DR122mm、コア外径DIが39mmの場合、ロール密度=327g÷[{3.14×(122mm÷2÷10)-3.14×(39mm÷2÷10)}×(280mm÷10)]=0.11g/cmとなる。なお、ロール状ペーパータオル20にコア22が無い場合は、中心孔の直径をコア外径DIとする。
【0042】
(巻密度)
ロール状ペーパータオル20の巻密度は0.10m/cm以上0.25m/cm以下であることが好ましい。ロール状ペーパータオル20の巻密度が0.10m/cm未満であると、ロール状ペーパータオル20が嵩張る割に吸水量が向上し難くなる。一方、ロール状ペーパータオル20の巻密度が0.25m/cmを超えると、紙厚や比容積が低くなり、吸水量に劣る。なお、ロール状ペーパータオル20の巻密度の上記範囲の下限値は、0.12m/cmであることがより好ましく、0.14m/cmあることが更に好ましい。また、ロール状ペーパータオル20の巻密度の上記範囲の上限値は、0.23m/cmであることがより好ましく、0.20m/cmであることが更に好ましい。
【0043】
巻密度は、(巻長×プライ数)÷(ロールの断面積)で表される。ロールの断面積は、{ロールの外径(巻直径DR)部分の断面積-(コア(紙管)外径部分の断面積)}で表される。コア外径DIは、ロールの中心孔の直径である。ロール状ペーパータオル20にコア22が無い場合は、中心孔の直径をコア外径DIとする。
【0044】
(巻固さ)
ロール状ペーパータオル20の巻固さは、2mm以上7mm以下である。ロール状ペーパータオル20の巻固さが2mm未満であると、固巻きになり過ぎるため、タイト性やシール性は良好となるが、逆にペーパータオル20aが潰され、本来の良好な吸水性や柔らかさを損なう。また、タイトに包装し過ぎると、持ち運び時に側面中央部(ロールとロールの中間部)から包装用フィルム30が裂けるおそれもある。一方、ロール状ペーパータオル20の巻固さが7mmを超えると、柔巻きになり過ぎるため、包装時の包装用フィルム30のテンションやヒートシールの安定性が悪く、タイトに包装することができずに包装体10の美粧性に劣る。また、内巻の巻付け力が弱くなり過ぎて、ロール状ペーパータオル20の内巻側が軸方向に飛び出して不良品が生じる場合もある。なお、ロール状ペーパータオル20の巻固さの上記範囲の下限値は、2.5mmであることがより好ましく、3.0mmあることが更に好ましい。また、ロール状ペーパータオル20の巻固さの上記範囲の上限値は、6.5mmであることがより好ましく、6.0mmであることが更に好ましい。
【0045】
ロール状ペーパータオル20の巻固さは、圧縮試験機(カトーテック株式会社製のハンディー圧縮試験機KES-G5)を用いて、次のように測定する。まず、ロール状ペーパータオル20を軸心が水平になるよう硬い台上に横に置く。次に、ロール状ペーパータオル20の上面にアクリル板(幅4cm、長辺の長さ29cm、厚さ2mm)を、アクリル板の長辺が、ロール幅方向(280mm程度)と平行になるように置く。この際、アクリル板の重量でロール状ペーパータオル20が潰れないよう、アクリル板の重量は約27gとする。次に、アクリル板の中心に上記KES-G5の圧縮子(面積2.0cm)を、速度0.01cm/秒の条件で押し込む。圧縮子がアクリル板を押す圧力が0.5gf/cmのときの押し込み深さをT0、圧力が250gf/cmのときの押し込み深さをTmとして、TmとT0の差(Tm-T0)を巻固さとする。このように、圧縮子でロール状ペーパータオル20を直接圧縮せず、アクリル板を使用することで、ロール状ペーパータオル20の幅全体にわたって押し込むことができ、包装用フィルムで包装した時のロール状ペーパータオル20の潰れ易さを評価することができる。測定は、10個のロール状ペーパータオル20を測定し、測定結果を平均する。なお、巻固さという物性は、原紙の物性(坪量、厚さ、原料配合、厚み方向のクッション性などの圧縮特性、表面性など)、エンボス加工(エンボス形状、面積、深さなど)、及び巻き取り加工による巻き加減などの複数の因子が複雑に絡み合った因子であり、それぞれ一つ一つの物性を規定することが困難なため、本願では巻固さという指標で規定した。
【0046】
(コア)
コア22は、ロール状ペーパータオル20の中心にあって、ペーパータオル20aを巻き付けるための断面視略円形状の部分であって、ロール状ペーパータオル20のコア22としては、紙管を挿入したもの、中空部分のもの等がある。コア22は、原紙を複数枚重ねたものであり、2枚重ねであることが好ましい。
【0047】
(コア外径)
コア外径DIは、コア22(紙管、中空部分など)の外径であって、25mm以上55mm以下であることが好ましい。コア外径DIを上記範囲に設定することによって、1つのロール状ペーパータオル20に、その使用期間中に変質をきたさない量のペーパータオル20aを巻き付けることができる。なお、コア外径DIの上記範囲の下限値は、32mmであることがより好ましく、36mmであることが更に好ましい。また、コア外径DIの上記範囲の上限値は、47mmであることがより好ましく、42mmであることが更に好ましい。
【0048】
<ペーパータオル>
本実施形態で使用するペーパータオル20aは、パルプを主体として合成繊維を含有した1プライのシート状のペーパータオル20aである。合成繊維としては、例えばナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等が挙げられる。合成繊維として使用される不織布は制限がないが、スパンボンド不織布が好ましい。また、パルプ繊維としては、特に限定されるものではないが、例えば、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)の含有率が、50質量%以上100質量%以下の範囲、70質量%以上100質量%以下の範囲、又は90質量%以上100質量%以下の範囲であり、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)の含有率が、50質量%以下の範囲、30質量%以下の範囲、又は10質量%以下の範囲であることが好ましい。NBKPとしては、例えば、ラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、ロッジポールパイン、スプルース及びダグラスファーからなる繊維が好ましい。なお、NBKPの代わりにNUKP、LBKPの代わりにLUKPを用いることもできる。このとき、ペーパータオル20aにおける合成繊維の含有割合が5%以上45%以下の範囲、9%以上38%以下の範囲、又は12%以上28%以下の範囲であることが好ましい。また、ペーパータオル20aにおけるパルプ繊維の含有割合が55%以上95%以下の範囲、62%以上91%以下の範囲、又は72%以上88%以下の範囲であることが好ましい。
【0049】
このような合成繊維とパルプ繊維とを含有するペーパータオル20aとした場合、1plyで吸水性に優れるペーパータオル20aを得ることができる。
【0050】
(坪量)
ペーパータオル20aの1プライあたりの坪量は、40g/m以上150g/m以下であることが好ましい。ペーパータオル20aの坪量が40g/m未満であると、耐久性や吸水性が悪くなるため、ロール製品としての使い易さに劣る。ペーパータオル20aの坪量が150g/mを超えると、固巻きになり過ぎたり、巻直径DRが大きくなり過ぎたりするため、ロール製品としての使い易さに劣る。ペーパータオル20aの坪量は、JIS P 8124に準拠して測定できる。なお、ペーパータオル20aの1プライあたりの坪量の上記範囲の下限値は、48g/mであることがより好ましく、55g/mであることが更に好ましい。また、ペーパータオル20aの1プライあたりの坪量の上記範囲の上限値は、110g/mであることがより好ましく、80g/mであることが更に好ましい。
【0051】
(紙厚)
ペーパータオル20aの1プライあたりの紙厚は、200μm以上1400μm以下であることが好ましい。紙厚が200μm未満であると、吸水性が悪くなるため、ロール製品としての使い易さに劣る。紙厚が1400μmを超えると、固巻きになり過ぎたり、巻直径DRが大きくなり過ぎたりするため、ロール製品としての使い易さに劣る。なお、ペーパータオル20aの1プライあたりの紙厚の上記範囲の下限値は、400μmであることがより好ましく、500μmであることが更に好ましい。また、ペーパータオル20aの1プライあたりの紙厚の上記範囲の上限値は、1200μmであることがより好ましく、1000μmであることが更に好ましい。
【0052】
ペーパータオル20aの1プライあたりの紙厚は、シックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定する。測定条件は、測定荷重3.7kPa、測定子直径29mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。また、測定を10回繰り返して測定結果を平均する。なお、測定は3枚のペーパータオル20aを重ねて測定し、値を1/3にして、紙厚の値とする。
【0053】
(ペーパータオルの引張強度)
ペーパータオル20aの、JIS P 8113に基づく乾燥時におけるMD方向の引張強度(DMDT)は、8N/25mm以上75N/25mm以下であることが好ましい。DMDTが8N/25mm未満であると、強度が弱くなり過ぎてしまい、ロール製品としての使い易さに劣る。一方、DMDTが75N/25mmを超えると、ペーパータオル20aの坪量が高くなるため、固巻きになり過ぎたり、巻直径DRが大きくなり過ぎたりして、ロール製品としての使い易さに劣る。なお、ペーパータオル20aのDMDTの上記範囲の下限値は、13N/25mmであることがより好ましく、20N/25mmであることが更に好ましい。また、ペーパータオル20aのDMDTの上記範囲の上限値は、65N/25mmであることがより好ましく、50N/25mmであることが更に好ましい。
【0054】
また、ペーパータオル20aの、JIS P 8113に基づく乾燥時におけるCD方向の引張強度DCDTは、2N/25mm以上50N/25mm以下であることが好ましい。DCDTが2N/25mm未満であると、強度が弱くなり過ぎてしまい、ロール製品としての使い易さに劣る。一方、DCDTが50N/25mmを超えると、ペーパータオル20aの坪量が高くなるため、固巻きになり過ぎたり、巻直径DRが大きくなり過ぎたりして、ロール製品としての使い易さに劣る。なお、ペーパータオル20aのDCDTの上記範囲の下限値は、4N/25mmであることがより好ましく、5N/25mmであることが更に好ましい。また、ペーパータオル20aのDCDTの上記範囲の上限値は、40N/25mmであることがより好ましく、25N/25mmであることが更に好ましい。
【0055】
ペーパータオル20aのDMDT及びDCDTは、上述したようにJIS P 8113に基づいて測定するが、測定条件として、速度は300m/min、試験片幅は25mm、つかみ具間の距離は100mmとする。なお、ミシン目の間隔、シート幅(ロール幅)の関係でつかみ具間の距離を100mm確保できない場合は、適宜短くしてよい。
【0056】
(シート長)
ペーパータオル20aのシート長は、160mm以上330mm以下であることが好ましい。シート長が上記の数値範囲内であることにより、ロール製品としての使い易さに優れるロール状ペーパータオル20及びロール状ペーパータオル包装体10を得ることができる。ペーパータオル20aのシート長は、ロール状ペーパータオル20のミシン目とミシン目の間の1枚のペーパータオル20aにおける、MD方向の長さを実測した値である。なお、ペーパータオル20aのシート長の上記範囲の下限値は、180mmであることがより好ましく、200mmであることが更に好ましい。また、ペーパータオル20aのシート長の上記範囲の上限値は、305mmであることがより好ましく、280mmであることが更に好ましい。
【0057】
(吸水量)
ペーパータオル20aの単位面積当たり(1m当たり)の吸水量は、210g/m以上520g/m以下である。ペーパータオル20aの単位面積当たりの吸水量が210g/m未満であると、吸水性が悪くなるため、ロール製品としての使い易さに劣る。一方、ペーパータオル20aの単位面積当たりの吸水量が520g/mを超えると、ペーパータオル20aの坪量が高くなるため、固巻きになり過ぎたり、巻直径DRが大きくなり過ぎたりして、ロール製品としての使い易さに劣る。なお、ペーパータオル20aの単位面積当たりの吸水量の上記範囲の下限値は、260g/mであることがより好ましく、310g/mであることが更に好ましい。また、ペーパータオル20aの単位面積当たりの吸水量の上記範囲の上限値は、430g/mであることがより好ましく、400g/mであることが更に好ましい。
【0058】
ペーパータオル20aの単位重量当たり(1g当たり)の吸水量は、3.0g/g以上8.0g/g以下であることが好ましい。ペーパータオル20aの単位重量当たりの吸水量が上記の数値範囲内であることにより、合成繊維を含む高坪量の1プライのロール状ペーパータオル20であって、ロール製品としての使い易さに優れる、ロール状ペーパータオル20及びロール状ペーパータオル包装体10を得ることができる。なお、ペーパータオル20aの単位重量当たりの吸水量の上記範囲の下限値は、3.5g/gであることがより好ましく、4.0g/gであることが更に好ましい。また、ペーパータオル20aの単位重量当たりの吸水量の上記範囲の上限値は、7.5g/gであることがより好ましく、7.0g/gであることが更に好ましい。
【0059】
なお、ペーパータオル20aの各吸水量は以下のように測定する。
【0060】
図4は、吸水量の測定方法を示す説明図である。
【0061】
まず、ペーパータオル20aを採取し、一片が7.6cm(3インチ)の正方形の型版を用いてカットし、一辺7.6cmの矩形の試験片200を作製する。その後、吸水前の試験片200の質量を電子天秤で測定しておく。そして、試験片200をホルダー220(試験片200の3点を固定するジグで、ジグは水分を吸収しない金属からなる)にセットする。
【0062】
次に、市販のバットに、蒸留水を深さ2cm入れ、ホルダー220にセットした試験片200を蒸留水中に2分間浸漬する。2分間浸漬後に試験片200をホルダー220と共に蒸留水から取り出し、図4に示すように、試験片200の1つの隅部200dに帯210を貼り付ける。帯210は、測定するサンプルと同じペーパータオル20aを幅2mm×長さ15mmの大きさに切り、試験片200の隅部200dから中心に向かって6mmの部分に貼り付ける。次に、ホルダー220と試験片200を、隅部200dに対向する隅部200aが上になるようにして空の水槽内に設置した棒にぶら下げ、水槽の蓋を閉めて10分間、放置する。その後、ホルダー220と試験片200を水槽から取り出し、帯210とホルダー220を外し、電子天秤で試験片200の質量を測定する。蒸留水に浸す前後での試験片200の質量変化から、試験片200の単位面積当たりの蒸留水の吸水量(g(水)/m(ペーパータオル))を計算する。さらに、単位面積当たりの吸水量(g(水)/m(ペーパータオル))を試験片200の坪量で割ることにより、単位面積当たりの吸水量(g(水)/m(ペーパータオル))/坪量(g(ペーパータオル)/m(ペーパータオル))=単位重量当たりの吸水量(g(水)/g(ペーパータオル))を算出する。測定は各サンプル5回ずつ行い、平均値を採用する。
【0063】
なお、本測定は、JIS P 8111法に従い、温度23±1℃、湿度50±2%の状態で行う。また、蒸留水は23±1℃に保持する。
【0064】
<ロール状ペーパータオル包装体のその他の特性>
本開示に係るロール状ペーパータオル包装体10は、1plyで高坪量かつ吸水性に優れるロール状ペーパータオル20を複数個並べてフィルム包装したロール状ペーパータオル包装体10において、包装体10の美粧性(タイト性)、及び持ち運び時の破れ難さを確保するために、以下のような特性を有している。
【0065】
(タイト性)
図5は、ロール状ペーパータオル包装体における包装用フィルムの沈み込み深さの測定方法を示す図である。なお、図5には、台Bに載置したロール状ペーパータオル包装体10をロール状ペーパータオル20の軸方向に沿った方向から視た状態が図示されている。また、図中の矢印Xは上方を示し、矢印Yは第1方向を示す。
【0066】
タイト性は、隣接する2つの前記ロール状ペーパータオル上に跨ぐように第1定規Sを渡し、上記2つのロール状ペーパータオル20間に位置する包装用フィルム30上に第2定規Rを載置した際の、第2定規Rの自重による包装用フィルム30の沈み込み深さd(以下、単に「包装用フィルム30の沈み込み深さd」という場合がある。)である。
【0067】
包装用フィルム30の沈み込み深さdは、3mm以上14mm以下である。包装用フィルム30の沈み込み深さdを上記範囲に設定することによって、包装体10の美粧性(タイト性)、及び持ち運び時の破れ難さを確保することができる。なお、包装用フィルム30の沈み込み深さdの上記範囲の下限値は、4mmであることがより好ましく、5mmであることが更に好ましい。また、包装用フィルム30の沈み込み深さdの上記範囲の上限値は、12mmであることがより好ましく、10mmであることが更に好ましい。
【0068】
包装用フィルム30の沈み込み深さdは、図5に示すようにして測定する。
【0069】
先ず、図5に示すように、ロール状ペーパータオル包装体10をロール状ペーパータオル20の軸方向が水平となるように台B等に載置する。次に、ロール状ペーパータオル20の軸方向と直交する第1方向(図5に矢印Yで示す方向)に隣接する2つのロール状ペーパータオル20を跨いで、ステンレス製の第1定規Sを渡し、その板面が包装用フィルム30に接するように置き、第1定規Sの包装用フィルム30と接する面(線)を基準線SL(図5中に二点鎖線で示す)とする。次に、上記隣接する2つのロール状ペーパータオル20間に位置する包装用フィルム30の上に、ステンレス製の第2定規Rを載置する。この第2定規Rを載置する際には、包装用フィルム30のうち上記隣接する2つのロール状ペーパータオル20間の第1方向の略中央に、第2定規Rの幅方向Rwが上記第1方向に沿う状態で、第2定規Rを包装用フィルム30に対して垂直に載せる。そして、第1定規Sの基準線SLの高さ位置に対する第2定規Rの自重による包装用フィルム30の沈み込み深さdを測定する。なお、第1定規Sは、質量64g、厚み1.0mm、幅25mm、目盛長さ300mmの第1定規Sを使用する。また、第2定規Rは、質量10g、厚み0.5mm、幅15mm、目盛長さ150mmの第2定規Rを使用する。第1定規S及び第2定規Rとしては、例えば、シンワ測定株式会社の「直尺シルバー」を用いることができる。
【0070】
包装用フィルム30の沈み込み深さdの測定は、ロール状ペーパータオル包装体10の軸方向(ロール状ペーパータオル20の軸方向)の両端からロール状ペーパータオル包装体10の軸方向の長さの25%の位置、及び軸方向の中央の3カ所について行う。また、1つのロール状ペーパータオル包装体10について、表裏で測定を行う。これを5個のロール状ペーパータオル包装体10について行い、合計30カ所の沈み込み深さdの値を平均し、包装用フィルム30の沈み込み深さdとして採用する。
【0071】
(巻固さ/タイト性)
ロール状ペーパータオル20の巻固さと、第2定規Rの自重による包装用フィルム30の沈み込み深さdとを用いて下記式(2)で表される値A1は、0.3以上1.8以下である。
値A1=(ロール状ペーパータオル20の巻固さ)/(第2定規Rの自重による包装用フィルム30の沈み込み深さd)・・・(2)
上記値A1を上記範囲に設定することによって、包装体10の美粧性(タイト性)、及び持ち運び時の破れ難さを確保することができる。なお、上記値A1の上記範囲の下限値は、0.4であることがより好ましく、0.5であることが更に好ましい。また、上記値A1の上記範囲の上限値は、1.6であることがより好ましく、1.3であることが更に好ましい。
【0072】
(実際のフィルム周長/理論上のフィルム周長)
ロール状ペーパータオル包装体10における包装用フィルム30の実際の周長P1と、ロール状ペーパータオル20の巻直径DRから求めた包装用フィルム30の理論上の周長P2とを用いて下記式(3)で表される値A2は、97以上130以下である。
値A2=(包装用フィルム30の実際の周長P1)/(ロール状ペーパータオル20の巻直径DRから求めた包装用フィルム30の理論上の周長P2)×100・・・(3)
上記値A2を上記範囲に設定することによって、包装体10の美粧性(タイト性)、及び持ち運び時の破れ難さを確保することができる。なお、上記値A2の上記範囲の下限値は、99であることがより好ましく、100であることが更に好ましい。また、上記値A2の上記範囲の上限値は、120であることがより好ましく、115であることが更に好ましい。
【0073】
包装用フィルム30の理論上の周長P2は、ロール状ペーパータオル20の巻直径DRから算出される理論上の周長P2であって、例えば、以下のようにして求められる。なお、以下の説明は、一例であり、ロール状ペーパータオル20のロール数が同じであっても、ロール状ペーパータオル20の配置位置によっては、異なる長さになる場合がある。
【0074】
図6は、包装用フィルムの理論上の周長の説明図であって、(a)は2ロールの場合を、(b)は3ロールの場合を、(c)は4ロールの場合をそれぞれ示す。なお、図6には、ロール状ペーパータオル包装体10をロール状ペーパータオル20の軸方向に沿った方向から視た状態が図示されている。
【0075】
図6(a)に示すように、2ロールのロール状ペーパータオル20を収納している場合の包装用フィルム30の理論上の周長P2は、ロール状ペーパータオル20の周長の半分(巻直径DR×円周率(3.14)/2)の長さL1を2つと、ロール状ペーパータオル20の半径(巻直径DR/2)の長さL2を4つとによって構成される。このため、2ロールのロール状ペーパータオル20を収納している場合の包装用フィルム30の理論上の周長P2は、下記式(4)で表される。
2ロールの場合の周長P2=(L1×2)+(L2×4)=(巻直径DR×円周率/2×2)+(巻直径DR/2×4)=(巻直径DR×円周率)+(巻直径DR×2)・・・(4)
【0076】
また、図6(b)に示すように、3ロールのロール状ペーパータオル20を一列に収納している場合の包装用フィルム30の理論上の周長P2は、ロール状ペーパータオル20の周長の半分(巻直径DR×円周率/2)の長さL1を2つと、ロール状ペーパータオル20の半径(巻直径DR/2)の長さL2を8つとによって構成される。このため、3ロールのロール状ペーパータオル20を収納している場合の包装用フィルム30の理論上の周長P2は、下記式(5)で表される。
3ロールの場合の周長P2=(L1×2)+(L2×8)=(巻直径DR×円周率/2×2)+(巻直径DR/2×8)=(巻直径DR×円周率)+(巻直径DR×4)・・・(5)
【0077】
また、図6(c)に示すように、4ロールのロール状ペーパータオル20を2ロール×2列で収納している場合の包装用フィルム30の理論上の周長P2は、ロール状ペーパータオル20の周長の4分の1(巻直径DR×円周率/4)の長さL3を4つと、ロール状ペーパータオル20の半径(巻直径DR/2)の長さL2を8つとによって構成される。このため、4ロールのロール状ペーパータオル20を収納している場合の包装用フィルム30の理論上の周長P2は、下記式(6)で表される。
4ロールの場合の周長P2=(L3×4)+(L2×8)=(巻直径DR×円周率/4×4)+(巻直径DR/2×8)=(巻直径DR×円周率)+(巻直径DR×4)・・・(6)
【0078】
なお、包装用フィルム30の実際の周長P1は、ロール状ペーパータオル包装体10の包装用フィルム30の周長を実測することによって求めることが可能である。包装用フィルム30の実際の周長P1を実測する際、オーバーラップ部分(接着するために包装用フィルム30が重なっている部分)は、1枚の長さとして測定する。
【0079】
(ペーパータオル及びロール状ペーパータオルの製造方法)
ペーパータオル20a及びロール状ペーパータオル20の製造方法としては、ペーパータオル20aが合成繊維及びパルプ繊維を含むキッチンタオルである場合は、例えば(1)所定のスパンボンド不織布にパルプ繊維を積層して水流交絡、(2)エンボス処理、(3)ロール巻取り加工の順で製造することができる。このとき、製造方法の(1)水流交絡において、合成繊維にパルプ繊維を水流交絡することで、合成繊維及びパルプ繊維を含む不織布を得る。水流交絡の方法に関しては、例えば、特開2018-193634号公報に記載された方法で行うことが好ましい。
【0080】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【実施例0081】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0082】
(実施例1及び比較例1~4)
表1に示す各条件において、実施例1及び比較例1~4のそれぞれのロール状ペーパータオル包装体を、上述したペーパータオル及びロール状ペーパータオルの製造方法で製造したロール状ペーパータオルを上述したキャラメル包装することによって作製した。そして、各ロール状ペーパータオル包装体について、以下の3つの評価(「包装体の美粧性(タイト性)」の評価、「持ち運び時の破れ難さ」の評価、及び「ロール製品の巻き柔らかさ」の評価)を行った。なお、各ロール状ペーパータオル包装体に収納するロール製品の収納数は、2ロールとした。
【0083】
(包装体の美粧性(タイト性))
「包装体の美粧性(タイト性)」の評価は、モニター30名によって包装体のタイト性を官能評価し、美粧性が良好であると答えた人数により4段階で評価した。
◎:包装の美粧性が良好であると感じた人数が28人以上
〇:包装の美粧性が良好であると感じた人数が25人以上27人以下
△:包装の美粧性が良好であると感じた人数が21人以上24人以下
×:包装の美粧性が良好であると感じた人数が20人以下
【0084】
(持ち運び時の破れ難さ)
「持ち運び時の破れ難さ」の評価は、モニター30名に包装体を手に持った状態で100m歩いてもらい、包装が破れた人数により4段階で評価した。
◎:包装が破れた人数が0人
〇:包装が破れた人数が1人
△:包装が破れた人数が2人以上4人以下
×:包装が破れた人数が5人以上
【0085】
(ロール製品の巻き柔らかさ)
「ロール製品の巻き柔らかさ」の評価は、ペーパータオルをロール状に巻き取ったロール状ペーパータオル(ロール製品)の巻き柔らかさの評価であって、巻固さ(mm)に基づいて下記4段階で評価した。
◎:巻固さが3mm以上
〇:巻固さが2.5mm以上3mm未満
△:巻固さが2mm以上2.5mm未満
×:巻固さが2mm未満
【0086】
得られた結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
表1から、本開示によれば、1plyで高坪量かつ吸水性に優れるロール状ペーパータオルを複数個並べてフィルム包装したロール状ペーパータオル包装体において、包装体の美粧性(タイト性)、持ち運び時の破れ難さ、及びロール製品の巻き柔らかさを確保できることが確認された。
【符号の説明】
【0089】
10:ロール状ペーパータオル包装体
20:ロール状ペーパータオル
20a:ペーパータオル
30:包装用フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6