(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171794
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】注出キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20241205BHJP
B65D 47/24 20060101ALI20241205BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20241205BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D47/20 100
B65D47/24 200
B65D83/00 K
B65D47/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089008
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
【Fターム(参考)】
3E014PB03
3E014PC07
3E014PD12
3E014PD15
3E014PD22
3E014PE14
3E014PF10
3E084AB01
3E084BA02
3E084JA20
3E084KA20
3E084LD01
3E084LD03
3E084LD26
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】 二重容器をスクイズすることなく内容液を吸い上げ、吐出することができる注出キャップを提供すること。
【解決手段】 外容器A1と内容器A2からなり、内容器A2を減容変形させて内容液を吐出すると、外容器A1と内容器A2との間に外気が導入されて、外容器A1のみを元の形状に保持する二重容器Aに装着される注出キャップであって、注出キャップは、内容器A2からの内容液を一時貯留するポンプ室αと、ポンプ室αから内容液を吐出する注出部12とを備え、ポンプ室αは、ポンプ室α内を加圧および減圧する押ボタン部23と、減圧時に開口し、内容器A2からポンプ室α内に内容液を吸い上げる第1弁部Dと、加圧時に開口し、ポンプ室αから内容液を注出部12に吐出するボール弁28とを有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外容器と内容器からなり、内容器を減容変形させて内容液を吐出すると、外容器と内容器との間に外気が導入されて、外容器のみを元の形状に保持する二重容器に装着される注出キャップであって、
注出キャップは、内容器からの内容液を一時貯留するポンプ室と、ポンプ室から内容液を吐出する注出部とを備え、
ポンプ室は、ポンプ室内を加圧および減圧する押ボタン部と、減圧時に開口し、内容器からポンプ室内に内容液を吸い上げる第1弁部と、加圧時に開口し、ポンプ室から内容液を注出部に吐出するボール弁とを有することを特徴とする注出キャップ。
【請求項2】
ポンプ室は、二重容器の口筒部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体の内周に装着され、口筒部の上端部を閉塞する栓体と、栓体に開口される栓開口を開閉する第1弁部とを有し、
キャップ本体は、上部に形成された押圧変形可能な押ボタン部と、内容液を外部に吐出する注出部と、注出部の内方に形成される弁座開口と、弁座開口を開閉するボール弁とを有することを特徴とする請求項1に記載の注出キャップ。
【請求項3】
第1弁部は、ボール弁と近接する対向位置に形成される突出部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の注出キャップ。
【請求項4】
キャップ本体は、押ボタン部と、弁座開口とが弾性樹脂により一体成形されることを特徴とする請求項2に記載の注出キャップ。
【請求項5】
キャップ本体は、押ボタン部と、弁座開口とが弾性樹脂により一体成形されることを特徴とする請求項3に記載の注出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出キャップに関し、特に、外容器内に、減容変形可能な内容器を形成した二重容器に装着する注出キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の食品調味料をはじめ、化粧料や薬剤等の内容液を収容し、内容液の品質維持が可能な容器として、これらの内容液を収容するとともに、減容変形可能に設けられる内容器と、この内容器を内側に収める外容器とを備える二重容器であるデラミ容器(積層剥離容器)が知られており、このような二重容器として、外容器の胴部をスクイズ(押圧)することで注出キャップの注出口から内容液を吐出させるスクイズタイプの二重容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の二重容器では、外容器の胴部をスクイズして注出キャップの注出口から内容液を吐出させた後、注出キャップに設けられた外気導入孔から空気が導入され、外気導入孔から導入された空気は、内容器と外容器との間に形成された空間に流入し、外容器を元の形状に復元させる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の二重容器では、内容液の残量が少なくなると、外容器の胴部をスクイズしても、内容器を押し切ることができず、内容液を最後まで使い切るのが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、二重容器をスクイズすることなく内容液を吸い上げ、吐出することができる注出キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、注出キャップとして、外容器と内容器からなり、内容器を減容変形させて内容液を吐出すると、外容器と内容器との間に外気が導入されて、外容器のみを元の形状に保持する二重容器に装着される注出キャップであって、注出キャップは、内容器からの内容液を一時貯留するポンプ室と、ポンプ室から内容液を吐出する注出部とを備え、ポンプ室は、ポンプ室内を加圧および減圧する押ボタン部と、減圧時に開口し、内容器からポンプ室内に内容液を吸い上げる第1弁部と、加圧時に開口し、ポンプ室から内容液を注出部に吐出するボール弁とを有することを特徴とする構成を採用する。
【0008】
注出キャップの実施形態として、ポンプ室は、二重容器の口筒部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体の内周に装着され、口筒部の上端部を閉塞する栓体と、栓体に開口される栓開口を開閉する第1弁部とを有し、キャップ本体は、上部に形成された押圧変形可能な押ボタン部と、内容液を外部に吐出する注出部と、注出部の内方に形成される弁座開口と、弁座開口を開閉するボール弁とを有することを特徴とする構成、また、第1弁部は、ボール弁と近接する対向位置に形成される突出部を有することを特徴とする構成、また、キャップ本体は、押ボタン部と、弁座開口とが弾性樹脂により一体成形されることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の注出キャップは、上記構成を採用することにより、二重容器を傾けて押ボタン部を押圧したり、押圧を解除したりすることによって、内容液の残量が少なくなっても、二重容器をスクイズすることなく内容液を吸い上げ、吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例である注出キャップを装着した二重容器の閉蓋時の側面断面図である。
【
図2】本発明の実施例である注出キャップを構成するヒンジキャップの開蓋時の上面図である。
【
図3】本発明の実施例である注出キャップを構成するヒンジキャップの開蓋時の下面図である。
【
図4】本発明の実施例である注出キャップを構成するヒンジキャップの閉蓋時の側面断面図である。
【
図5】本発明の実施例である注出キャップを構成する栓体および第1弁部を示す図で、(a)は上面図、(b)は側面半断面図である。
【
図6】本発明の実施例である注出キャップを装着した二重容器の押ボタン部押圧時の側面断面図である。
【
図7】本発明の実施例である注出キャップを装着した二重容器の押ボタン部押圧解除時の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の注出キャップの実施形態について、実施例をあげ、図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、
図1でみて、上方向を「上」、下方向を「下」、左方向を「注出方向」、右方向を「背面方向」とする。
【0012】
(実施例)
図1において、Aは二重容器、Bは二重容器Aに装着されるヒンジキャップ、Cは二重容器Aの口筒部1の開口を塞ぐとともに、ヒンジキャップB内に装着される栓体、Dは栓体Cの上面に装着され、開口からの内容液の戻りを止める第1弁部であり、ヒンジキャップBと、栓体Cと、第1弁部Dとにより注出キャップが構成されている。
【0013】
ヒンジキャップBは、二重容器Aに装着されるキャップ本体B1と、キャップ本体B1にヒンジ部B3を介して連設される上蓋B2とを備えている。
ヒンジキャップBの上蓋B2、ヒンジ部B3およびキャップ本体B1の本体部Eは、ある程度の剛性を有し、変形し難いポリプロピレンやポリエチレンなどの通常の基本樹脂Gで形成され、キャップ本体B1の押圧変形部Fは、弾性変形可能なエラストマーなどの軟質材の弾性樹脂Hで形成されている。
【0014】
図1に示すように、二重容器Aは、外容器A1と、外容器A1の内側で外容器A1に対して剥離可能に積層される内容器A2とを有する積層剥離容器(デラミ容器)として形成され、外容器A1の口筒部1の上端面2には、内容器A2の端部3が積層されており、外容器A1内を閉塞している。
外容器A1の口筒部1の外周面には、上部に雄ねじ部5が形成され、その下に係合突条6が突設され、口筒部1の雄ねじ部5下端部付近の所定の個所には、雄ねじ部5の外側から内方に貫通し、外容器A1と内容器A2との間に外気を導入するための貫通口7が穿設され、また、雄ねじ部5の貫通口7が位置する個所には、上下方向に切り欠く溝部8が形成されている。
【0015】
内容器A2は、減容変形可能な樹脂で、外容器A1は、ある程度保形性のある樹脂で形成され、内容液の使用により内容器A2が外容器A1内で剥離して減容変形するとともに、貫通口7から外容器A1と内容器A2との間に外気が吸入され、外容器A1が復元される。
なお、内容器A2は、外容器A1内で剥離しないものでも、減容変形可能であれば、どのような形態でも構わない。また、外容器A1は、胴部をスクイズ可能な形態としてもよい。
【0016】
ヒンジキャップBは、開蓋した状態で形成されるキャビティ(第1金型)とコア(第2金型)とを係合させ、基本樹脂Gを射出してヒンジキャップB全体を形成した後、コアをキャビティに対してコアバックし、エラストマーなどの軟質材の弾性樹脂Hを射出し、キャップ本体B1の本体部Eの内方に押圧変形部Fを一体成形する二色成形技術(コアバック)で形成される。
また、ヒンジキャップBは、二色成形技術に限らずインサート成形などで一体成形することができ、基本樹脂Gの部分と弾性樹脂Hの部分とを一体成形できれば、成形方法は問わない。
【0017】
キャップ本体B1は、
図1、
図2および
図4に示すように、本体部Eと本体部Eの内方に形成される押圧変形部Fとから構成されている。
本体部Eは、基本樹脂Gにより形成され、二重容器Aの口筒部1の外周に装着される外周筒壁10と、外周筒壁10の上端内縁から内方に延設され、下面に栓体Cおよび第1弁部Dの外周上端面が係合して装着されるリング状の上壁11とを備えている。
【0018】
上壁11には、
図2に示すように、上から見て、ヒンジ部B3から左側90°の位置に、注出開口12aが穿設され、注出開口12aの周囲から注出部である注出筒12が立設され、さらに、注出筒12の外周右側に隣接する直線状の直線縁13aと、直線縁13aの両端から注出筒12と反対側に上壁11の周縁から所定間隔を隔てて円弧状に湾曲する円弧縁13bとを形成するように、上から見て半月形状のボタン開口13が開口されており、押圧変形部Fの一部がボタン開口13を貫き上壁11の上方に突出して一体的に成形される。
注出筒12の上部は、液切れが良いようにラッパ状に形成され、
図1および
図2に示すように、内周下部には、注出開口12aの内周から突設される抜け止め突部14が形成されている。
【0019】
図2~
図4に示すように、外周筒壁10の内周には、上部に栓体Cの外周と係合し固定する装着部15と、装着部15より間隔面10aを開けて下方に、二重容器Aの口筒部1に設けられた雄ねじ部5の外周部と係合(螺合)する縦リブ16が等間隔に複数配設され、縦リブ16より下方は係合突条6外周面と密着する内周下部面10bとなっており、また、装着部15の所定の個所には、上下に外気を案内する案内溝17が凹設されている。なお、本実施例では、ヒンジキャップBを二重容器Aに打栓して装着し、それぞれの縦リブ16の内側には、クリープ現象により応力緩和が生じることによって、口筒部1の雄ねじ部5の形状が転写され、ねじ溝が形成される。
外周筒壁10の外周には、上端部の所定の位置に、ヒンジ部B3が連設されている。
【0020】
上壁11には、外周に上蓋B2の閉蓋を維持する蓋係合部18が設けられ、さらに、ヒンジ部B3側に、上面から内面に貫通し、外周筒壁10の案内溝17に外気を導入する外気導入孔19が形成され、下面に、第1弁部Dを固定して装着する下凹部20が形成されている。
【0021】
押圧変形部Fは、弾性樹脂Hにより形成され、上壁11の下面に一体的に成形される平壁部22と、注出開口12a下端から下方に向けて形成され、下端内周が注出開口12aの内径より縮径される平壁部22の弁座開口22aと、平壁部22からボタン開口13を貫通し、ボタン開口13の上から見て半月形状に沿って上方に傾斜して延び、上壁11の上面から突出するとともに、内方を塞ぐドーム状の押ボタン部23とを備えている。
【0022】
押ボタン部23は、ボタン開口13の直線縁13aに沿って内方に傾斜して上方に延びる直線状傾斜壁24と、円弧縁13bに沿って内方に傾斜して上方に延びる円弧状傾斜壁25と、それぞれの上端内周から延びて塞ぐ天壁26とから構成され、上から見て半月形状のドーム状に形成されている。
【0023】
第2弁部27は、軟質材の弾性樹脂Hで形成される弁座開口22aと、弁座開口22aに着座可能で、注出開口12aの内周面を移動可能なボール弁28とで構成されている。
ボール弁28は、金属あるいは合成樹脂からなり、第2弁部27は、内容液の吐出時に、二重容器Aが傾けられたとき、または、押圧変形部Fの押ボタン部23を押圧し、後述するポンプ室α内の圧力が上昇したときに、ボール弁28が移動量sだけ移動できるように構成されており、ボール弁28の移動量sは、0.5mm~1.5mmが好ましい。
【0024】
上蓋B2は、頂壁30と、頂壁30の周縁から垂設される側周壁31と、頂壁30の下面の注出方向側から垂設され、閉蓋時に注出筒12の内周上部に挿入される密封筒32とから構成されている。
側周壁31は、外周下端部の所定の位置に、ヒンジ部B3が連設され、ヒンジ部B3と反対側に、指などを掛ける摘み部33が形成され、内周の下端部には、閉蓋時にキャップ本体B1の蓋係合部18と嵌合し、閉蓋を維持する係合部34が形成されている。
【0025】
図1および
図5に示すように、栓体Cは、外周がキャップ本体B1の外周筒壁10内周の装着部15に係合し固定されるとともに、下面が二重容器Aの内容器A2の端部3上面に当接するリング状の外壁部35と、外壁部35の下面から垂設され、内容器A2の内周上部に挿入される内筒36と、外壁部35の内周上端を塞ぐ隔壁栓部37とから構成されている。
また、外壁部35の外周縁には、キャップ本体B1と係合する位置決め凹部35aが凹設され、さらに、外壁部35の上面には、第1弁部Dを装着する上凹部38が凹設され、隔壁栓部37には、中央位置に上下を貫通する栓開口39が形成されている。
【0026】
図1および
図5に示すように、第1弁部Dは、上部がキャップ本体B1の上壁11の下凹部20に係合する上係合筒部40と、上係合筒部40の内周下部から内方に延設されるとともに、栓体Cの隔壁栓部37の上面に装着される隔壁弁部41と、隔壁弁部41の下面から垂設され、栓体Cの外壁部35の上凹部38に係合する下係合筒部42と、隔壁弁部41の上面から立設される突出部43とから構成されている。
上係合筒部40には、外周面から径方向外側に向けて形成され、栓体Cの位置決め凹部35aと係合可能な位置決め凸部40a(本実施例では、周方向に間隔をおいて3個所)が突設されている。
なお、本実施例では、突出部43は、第1弁部Dから第2弁部27に向けて立設されているが、これに限らず、栓体Cから第1弁部Dを貫通して、第2弁部27に向けて突出部43を立設しもよい。
【0027】
隔壁弁部41には、中央位置を中心として開口した弁口44と、弁口44内縁と間に隙間44aを介在し、栓体Cの隔壁栓部37の栓開口39周辺の上面と当接して栓開口39を塞ぐ弁板45と、弁口44と弁板45とを連設するとともに、変形可能に形成される複数(本実施例では等間隔で3個)の変形連結片46とが配設されている。
【0028】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
ヒンジキャップBは、
図2に示すように、キャップ本体B1と上蓋B2とをヒンジ部B3を介して開蓋した状態で、基本樹脂Gと弾性樹脂Hとで、二色成形により一体的に成形される。
【0029】
ヒンジキャップBの成形後は、ヒンジ部B3を支点として折り曲げ、キャップ本体B1に対して上蓋B2を閉蓋方向に回動させて閉蓋する。
閉蓋時には、
図3に示すように、キャップ本体B1の外周筒壁10より上方を上蓋B2が覆うとともに、上蓋B2の側周壁31の内周に設けられた係合部34は、キャップ本体B1の上壁11外周の蓋係合部18に嵌合して、閉蓋状態を維持する。
また、上蓋B2の密封筒32の下部外周は、キャップ本体B1の注出筒12の内周上部に挿入され、注出筒12内をシールする。
【0030】
次に、栓体Cの位置決め凹部35aに第1弁部Dの位置決め凸部40aを係合させるように、上方から第1弁部Dを挿入し、栓体Cと第1弁部Dの位置合わせをして、栓体Cの外壁部35の上凹部38に第1弁部Dの下係合筒部42を係合させて装着する。
その際、第1弁部Dの弁板45下面は、栓体Cの栓開口39付近の隔壁栓部37上面に密着して栓開口39を閉塞する。
【0031】
第1弁部Dを装着した栓体Cは、位置決め凹部35aがキャップ本体B1の位置決め部(図示せず)に来るように位置合わせして、キャップ本体B1の下方から装着し、本実施例の注出キャップとしてセットが完了する。
また、キャップ本体B1の押圧変形部Fの下面と、上壁11の内方面と、第1弁部Dの上面および内側面とでポンプ室αが形成される。
【0032】
次いで、セットされた注出キャップのキャップ本体B1を、内容器A2に内容液が充填された二重容器Aの口筒部1に打栓すると、キャップ本体B1の縦リブ16の内側に雄ねじ部5の形状が転写され、縦リブ16に形成されたねじ溝を二重容器Aの雄ねじ部5に係合させるとともに、栓体Cの外壁部35下面および内筒36外周面は、二重容器Aの内容器A2の端部3上面および内周面に密着する。
本実施例では、注出キャップを二重容器Aの口筒部1に打栓によって装着しているが、口筒部1に螺設された雄ねじ部5に、キャップ本体B1の外周筒壁10に螺設された雌ねじ部を螺合させて装着してもよい。
【0033】
セットしたキャップ本体B1の外周筒壁10の内周下部面10bに外容器A1の係合突条6外周が密着し、下方から外周筒壁10内が密封される。
また、キャップ本体B1の上壁11に開口した外気導入孔19から、外周筒壁10の装着部15の案内溝17、間隔面10aと二重容器Aの外周との隙間、外容器A1の雄ねじ部5の溝部8、を導入路として、貫通口7から二重容器Aの外容器A1と内容器A2との間に外気が導入される。
【0034】
二重容器A内の内容液を使用するには、上蓋B2の摘み部33に指を掛けて持ち上げると、上蓋B2の係合部34とキャップ本体B1の蓋係合部18との嵌合が外れ、ヒンジ部B3を支点に上蓋B2が回動し、開蓋する。
開蓋すると、上蓋B2の密封筒32の外周下部と、キャップ本体B1の注出筒12の内周上部とのシールが外され、注出筒12が開口する。
【0035】
次に、
図6に示すように、注出筒12が下を向くように、二重容器Aを傾けると、第2弁部27のボール弁28は、それまで着座していた弁座開口22aを離れ、注出開口12a内を移動量sだけ移動して抜け止め突部14と当接するまで移動し、注出開口12aを開口する。
さらに、キャップ本体B1の押ボタン部23を矢印方向に押圧すると、押圧変形部Fの変形により、ポンプ室α内が加圧され、加圧されたポンプ室α内の空気は、第1弁部Dの弁板45を栓体Cの隔壁栓部37に押し付けるとともに、開口された第2弁部27を通過した空気は、注出筒12から外に排出される。
【0036】
その後、
図7に示すように、押ボタン部23の押圧を解除すると、押圧変形部Fの変形が復元するので、ポンプ室α内が負圧になる。
ポンプ室α内が負圧になると、第2弁部27のボール弁28は、弁座開口22aに向けて吸引され、再び弁座開口22aを塞ぐとともに、変形連結片46(
図5参照)を介して連結された弁板45がポンプ室α内に向けて吸引され、弁板45は、栓体Cの隔壁栓部37上面から離れ、栓開口39が開口することにより、栓開口39を介して内容器A2内の内容液がポンプ室α内に吸い込まれる。
なお、本実施例では、
図1に示すように、第1弁部Dの突出部43は、上端面が第2弁部27のボール弁28と近接するように形成されているので、ボール弁28が弁座開口22aから抜け落ちることを防止できる。
【0037】
押圧変形部Fの変形が復元し終わると、ポンプ室α内が常圧に戻り、第1弁部Dの弁板45の吸引が止まり、弁板45が元の位置に戻り、弁板45と栓体Cの隔壁栓部37上面が密着し、速やかに栓開口39が封鎖され、ポンプ室α内に吸い込まれた内容液が残る。
同時に、内容器A2内の内容液が減少する。
【0038】
再び、キャップ本体B1の押ボタン部23を押圧すると、ポンプ室α内に残った内容液が加圧され、第2弁部27のボール弁28を押し出し、弁座開口22aを開口させ、加圧された内容液を注出開口12aを介して注出筒12内に流入させるので、押ボタン部23を押圧した分だけ内容液を注出筒12から吐出できる。
【0039】
押ボタン部23の押圧および解除を繰り返すことで、内容液をポンプ室α内に吸い込んだ後、ポンプ室αから弁座開口22aを介して外部へ吐出することができる。
また、押ボタン部23の押圧を解除すると、ポンプ室α内が負圧になり、ボール弁28が移動量sだけ移動するように吸引され、弁座開口22aと密着し、弁座開口22aを塞ぐので、ポンプ室α内の負圧とボール弁28の着座のタイムラグにより、弁座開口22aから注出筒12内に残った内容液を内容器A2内にサックバックする(引き戻す)ので、内容液が外に垂れることがない。
本実施例では、ボール弁28の移動量sを0.5mm~1.5mmに設定することにより、吐出時に、内容液が出すぎず、注出筒12内の内容液をサックバックさせることができるので、閉蓋時に内容液が溢れ出ることがない。
【0040】
内容液は、使用することにより、内容器A2を減容しながらポンプ室α内に移動するので、最初の2、3回の押圧操作で、内容器A2内に残った空気およびポンプ室α内に残った空気を第2弁部27から排出でき、以降は、内容液に空気が触れることを抑制することができる。
【0041】
本実施例のヒンジキャップBは、キャップ本体B1の弾性変形部Fを弾性変形可能な弾性樹脂Hとし、キャップ本体B1の本体部Eおよび残りの部分を基本樹脂Gとして、両樹脂を一体成形することができるので、別々の樹脂で成形した後、組み立てる手間がなく、また、組み立て後に外れることもないので、生産性がよく、また、一体成形される弾性樹脂Hの押圧変形部Fを押した時の使用感および弾性変形の安定感がよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の注出キャップは、二重容器を傾けて押ボタン部を押圧したり、押圧を解除したりすることによって、内容液の残量が少なくなっても、二重容器をスクイズすることなく内容液を吸い上げ、吐出することができるので、品質維持を必要とする各種の食品調味料をはじめ、化粧料や薬剤等の内容液を収容する二重容器の注出キャップとして好適である。
【符号の説明】
【0043】
A 二重容器
A1 外容器
A2 内容器
B ヒンジキャップ
B1 キャップ本体
B2 上蓋
B3 ヒンジ部
C 栓体
D 第1弁部
E 本体部
F 押圧変形部
G 基本樹脂
H 弾性樹脂
s 移動量
α ポンプ室
1 口筒部
2 上端面
3 端部
5 雄ねじ部
6 係合突条
7 貫通口
8 溝部
10 外周筒壁
10a 間隔面
10b 内周下部面
11 上壁
12 注出筒(注出部)
12a 注出開口
13 ボタン開口
13a 直線縁
13b 円弧縁
14 抜け止め突部
15 装着部
16 縦リブ
17 案内溝
18 蓋係合部
19 外気導入孔
20 下凹部
22 平壁部
22a 弁座開口
23 押ボタン部
24 直線状傾斜壁
25 円弧状傾斜壁
26 天壁
27 第2弁部
28 ボール弁
30 頂壁
31 側周壁
32 密封筒
33 摘み部
34 係合部
35 外壁部
35a 位置決め凹部
36 内筒
37 隔壁栓部
38 上凹部
39 栓開口
40 上係合筒部
40a 位置決め凸部
41 隔壁弁部
42 下係合筒部
43 突出部
44 弁口
44a 隙間
45 弁板
46 変形連結片