IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立製作所の特許一覧

特開2024-171806データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法
<>
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図1
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図2
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図3
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図4
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図5
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図6
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図7
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図8
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図9
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図10
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図11
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図12
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図13
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図14
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図15
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図16
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図17
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図18
  • 特開-データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171806
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/73 20180101AFI20241205BHJP
【FI】
G06F8/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089035
(22)【出願日】2023-05-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】河合 克己
(72)【発明者】
【氏名】大林 浩気
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 敬子
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376BA05
(57)【要約】
【課題】
チェックリストと構成管理ツールを利用したデータ管理を行う場合において、チェックリストの内容の変更があった際に、チェックリスト内の情報を確認する作業負担の軽減を図ることを目的とする。
【解決手段】
プロセッサと、構成管理ツールに用いられ、前記構成管理ツールのユーザが記入するチェックリストのテキストデータを格納する記憶部と、を用いて行うデータ管理支援方法であって、前記プロセッサは、前記ユーザによる前記チェックリストのマスタの変更があった場合に、前記マスタの変更前の内容と、前記マスタの変更後の内容と、に基づいて、前記チェックリストの更新の候補である更新候補の情報および/または前記ユーザが記入した情報の引継ぎ候補を生成する、ことを特徴とするデータ管理支援方法。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、記憶部と、を備え、
前記記憶部は、
構成管理ツールに用いられ、前記構成管理ツールのユーザがチェックにおいて記入するチェックリストのテキストデータを格納し、
前記プロセッサは、
前記構成管理ツールのユーザによる前記チェックリストのマスタの変更を検知した際に、前記マスタの変更前の内容と、前記マスタの変更後の内容と、に基づいて、前記チェックリストの更新の候補である更新候補を生成する、
ことを特徴とするデータ管理支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ管理支援装置であって、
前記プロセッサは、
前記更新候補の情報を確認する画面を提示するデータを生成する、
ことを特徴とするデータ管理支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載のデータ管理支援装置であって、
前記記憶部は、
更新パタンと、前記更新パタンの判定に用いるデータと、参考文書を引き継ぐ方式を定める参考文書の引き継ぎ方式と、を紐づけた更新パタンマスタを格納し、
前記プロセッサは、
前記構成管理ツールのユーザが前記の参考文書の記載箇所を変更した際に、前記更新パタンマスタを用いて、前記変更に対応する前記更新パタンを判定し、
前記更新パタンに対応する前記の参考文書の引き継ぎ方式に基づいて、前記更新候補を生成する、
ことを特徴とするデータ管理支援装置。
【請求項4】
請求項1に記載のデータ管理支援装置であって、
前記記憶部は、
更新パタンと、前記更新パタンの判定に用いるデータと、を紐づけた更新パタンマスタを格納し、
前記プロセッサは、
前記構成管理ツールのユーザによる前記チェックリストのマスタの変更を検知した際に、前記更新パタンマスタを用いて、前記変更に対応する前記更新パタンを判定し、
前記変更の箇所と前記更新パタンの確認に用いる情報を画面に提示するデータを生成する、
ことを特徴とするデータ管理支援装置。
【請求項5】
請求項2に記載のデータ管理支援装置であって、
表示装置を備え、
前記表示装置は、
前記データに基づく表示を行う、
ことを特徴とするデータ管理支援装置。
【請求項6】
請求項2に記載のデータ管理支援装置と、
前記データ管理支援装置にネットワークを介して接続される外部装置と、
を備え、
前記プロセッサは、
生成した前記データを、前記外部装置に出力する、
ことを特徴とするデータ管理支援システム。
【請求項7】
プロセッサと、記憶部と、を備え、
前記記憶部は、
構成管理ツールに用いられ、前記構成管理ツールのユーザがチェックにおいて記入するチェックリストのテキストデータを格納し、
前記プロセッサは、
前記構成管理ツールのユーザによる前記チェックリストのマスタの変更を検知した際に、前記マスタの変更前の内容と、前記マスタの変更後の内容と、に基づいて、前記ユーザが記入したデータの引継ぎ候補を生成する、
ことを特徴とするデータ管理支援装置。
【請求項8】
請求項7に記載のデータ管理支援装置であって、
前記プロセッサは、
前記引継ぎ候補を確認する画面を提示するデータを生成する、
ことを特徴とするデータ管理支援装置。
【請求項9】
請求項7に記載のデータ管理支援装置であって、
前記記憶部は、
更新パタンと、前記更新パタンの判定に用いるデータと、チェック結果を引き継ぐ方式を定めるチェック結果引き継ぎ方式と、を紐づけた更新パタンマスタを格納し、
前記プロセッサは、
前記構成管理ツールのユーザが前記チェックリストのマスタを変更した際に、前記更新パタンマスタを用いて、前記変更に対応する前記の更新パタンを判定し、
更新パタンに対応する前記のチェック結果引き継ぎ方式に基づいて、チェック結果に関する前記引き継ぎ候補を生成する、
ことを特徴とするデータ管理支援装置。
【請求項10】
請求項7に記載のデータ管理支援装置であって、
前記記憶部は、
更新パタンと、前記更新パタンの判定に用いるデータと、を紐づけた更新パタンマスタを格納し、
前記プロセッサは、
前記構成管理ツールのユーザによる前記チェックリストのマスタの変更を検知した際に、前記更新パタンマスタを用いて、前記変更に対応する前記更新パタンを判定し、
前記変更の箇所と前記の更新パタンの確認に用いる情報を画面に提示するデータを生成する、
ことを特徴とするデータ管理支援装置。
【請求項11】
請求項8に記載のデータ管理支援装置であって、
表示装置を備え、
前記表示装置は、
前記データに基づく表示を行う、
ことを特徴とするデータ管理支援装置。
【請求項12】
請求項8に記載のデータ管理支援装置と、
前記データ管理支援装置にネットワークを介して接続される外部装置と、
を備え、
前記プロセッサは、
生成した前記データを、前記外部装置に出力する、
ことを特徴とするデータ管理支援システム。
【請求項13】
プロセッサと、構成管理ツールに用いられ、前記構成管理ツールのユーザが記入するチェックリストのテキストデータを格納する記憶部と、を用いて行うデータ管理支援方法であって、
前記プロセッサは、
前記ユーザによる前記チェックリストのマスタの変更があった場合に、前記マスタの変更前の内容と、前記マスタの変更後の内容と、に基づいて、前記チェックリストの更新の候補である更新候補の情報および/または前記ユーザが記入した情報の引継ぎ候補を生成する、
ことを特徴とするデータ管理支援方法。
【請求項14】
請求項13に記載のデータ管理支援方法であって、
前記プロセッサは、
生成した情報を確認する画面を提示するデータを生成する、
ことを特徴とするデータ管理支援方法。
【請求項15】
請求項13に記載のデータ管理支援方法をプロセッサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ管理支援装置、データ管理支援システム、および、データ管理支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、過去障害についての障害情報および設計書の記載内容を用いて設計書を自動分析し、過去障害に紐付くチェック項目を含むチェック情報を出力するか、または過去障害についての障害情報とそれに紐付くチェック項目を含むチェック情報とを出力し、設計書のレビューの自動化を図る技術を開示する。
【0003】
特許文献2は、設計文書から管理するべき項目を自動抽出する技術を開示する。すなわち、特許文献2は、「設計プロセスの入力情報となる設計文書を管理する第1の管理手段と、前記第1の管理手段により管理される設計文書より、仕様未決定項目、成果物の検証項目及び設計上の注意点の項目のうち少なくとも1つの項目をキーワードにより抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された項目のリストを表示する表示手段とを備えたことを特徴とする設計支援装置。」を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-80024号公報
【特許文献2】特開2007-41841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ナレッジを集約する場合、チェックリストと構成管理ツールを利用してデータ管理を行うことが考えられる。ここで、チェックリストのファイル形式は、表計算ソフトの形式であると考えられ、チェックリストは、例えば、チェック項目、このチェック項目に関連する情報等を格納すると考えられる。そして、チェックリストの内容の変更があった場合に、内容を確認する作業者(確認作業者)は、例えば、その内容を理解しながら設計書等と突き合わせを行い、チェックリスト内の情報を確認する必要があると考えられる。
【0006】
しかしながら、内容の変更に伴う確認作業によって負担が生じる。そこで、自動化を図ることで、当該確認作業の負担を軽減することに課題がある。
【0007】
なお、特許文献1および特許文献2の技術には、設計書からチェックリストを新たに生成するアイデアはなく、チェックリストの変更履歴や構成管理情報を扱っていないと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、下記のデータ管理支援装置が提供される。このデータ管理支援装置は、プロセッサと、記憶部と、を備える。記憶部は、構成管理ツールに用いられ、構成管理ツールのユーザがチェックにおいて記入するチェックリストのテキストデータを格納する。プロセッサは、構成管理ツールのユーザによるチェックリストのマスタの変更を検知した際に、マスタの変更前の内容と、マスタの変更後の内容と、に基づいて、チェックリストの更新の候補である更新候補を生成する。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、下記のデータ管理支援装置が提供される。このデータ管理支援装置は、プロセッサと、記憶部と、を備える。記憶部は、構成管理ツールに用いられ、構成管理ツールのユーザがチェックにおいて記入するチェックリストのテキストデータを格納する。プロセッサは、構成管理ツールのユーザによるチェックリストのマスタの変更を検知した際に、マスタの変更前の内容と、マスタの変更後の内容と、に基づいて、ユーザが記入したデータの引継ぎ候補を生成する。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、下記のデータ管理支援方法が提供される。このデータ管理支援方法は、プロセッサと、構成管理ツールに用いられ、構成管理ツールのユーザが記入するチェックリストのテキストデータを格納する記憶部と、を用いて行う方法である。プロセッサは、ユーザによるチェックリストのマスタの変更があった場合に、マスタの変更前の内容と、マスタの変更後の内容と、に基づいて、チェックリストの更新の候補である更新候補の情報および/またはユーザが記入した情報の引継ぎ候補を生成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、チェックリストと構成管理ツールを利用したデータ管理を行う場合において、チェックリストの内容の変更があった際に、確認する作業負担の軽減を図ることができる。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の発明を実施するための形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】データ管理支援装置の構成の一例を示す図。
図2】データ管理支援装置を実現するハードウェア構成の一例を示す図。
図3】データ管理支援装置の処理の一例を示すフローチャート。
図4】CLマスタのデータ構造の一例を示す図。
図5】参考文書のデータの一例を示す図。
図6】CLマスタに関するテキストデータの一例を示す図。
図7】CLマスタに関する変更前後のテキストデータの差分の一例について示す図。
図8】CLマスタの処理に関する更新パタンマスタのデータ構造の一例を示す図。
図9】参考文書に関するテキストデータの一例を示す図。
図10】参考文書に関する変更前後のテキストデータの差分の一例について示す図。
図11】参考文書の処理に関する更新パタンマスタのデータ構造の一例を示す図。
図12】チェックリスト変更時における分析処理の流れの一例について説明するための図。
図13】コミットログ生成支援部の処理の一例を説明するためのフローチャート。
図14】CL-参考文書分析部の処理の一例を説明するためのフローチャート。
図15】CL-参考文書関係候補生成部の処理の一例を説明するためのフローチャート。
図16】CLマスタ更新結果候補生成部の処理の一例を説明するためのフローチャート。
図17】分析結果に基づいた表示画面の一例を示す図。
図18】分析結果に基づいた表示画面の一例を示す図。
図19】分析結果に基づいた表示画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。実施形態は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
各種情報の例として、「テーブル」、「リスト」、「キュー」等の表現にて説明することがあるが、各種情報はこれら以外のデータ構造で表現されてもよい。例えば、「XXテーブル」、「XXリスト」、「XXキュー」等の各種情報は、「XX情報」としてもよい。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能である。
同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
実施形態において、プログラムを実行して行う処理について説明する場合がある。ここで、計算機は、プロセッサ(例えばCPU、GPU)によりプログラムを実行し、記憶資源(例えばメモリ)やインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら、プログラムで定められた処理を行う。そのため、プログラムを実行して行う処理の主体を、プロセッサとしてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路を含んでいてもよい。ここで、専用回路とは、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等である。
プログラムは、プログラムソースから計算機にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、実施形態において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0014】
先ず、図1を参照しながら、データ管理支援装置の構成の一例について説明する。図1に示すように、データ管理支援装置100は、チェックリストマスタ(CLマスタ101)と、チェックリストバイナリ格納部(CLバイナリ格納部102)と、チェックリストテキスト抽出部(CLテキスト抽出部103)と、を備える。チェックリストマスタは、ナレッジが集約されるデータである。本実施形態では、チェックリストマスタは、表計算ソフトの形式であり、その一例を後で詳しく説明する。CLバイナリ格納部102は、一般的な物理/仮想のファイルフォルダを想定し、CLマスタ101のバイナリを格納する。CLテキスト抽出部103は、適宜の手法(例えば、公知の手法)に基づいて、CLマスタ101のバイナリからテキストデータを抽出する。なお、本明細書中において、チェックリストをCLと記載することがある。
【0015】
データ管理支援装置100は、参考文書バイナリ格納部104と、参考文書テキスト抽出部105と、を備える。参考文書バイナリ格納部104は、一般的な物理/仮想のファイルフォルダを想定し、参考文書のバイナリを格納する。参考文書テキスト抽出部105は、適宜の手法(例えば、公知の手法)に基づいて、参考文書のバイナリからテキストデータを抽出する。ここで、参考文書は、例えば、設計書、ガイドなどが挙げられる。なお、本実施形態で用いる参考文書の一例を後で詳しく説明する。
【0016】
データ管理支援装置100は、更新パタンマスタ106と、コミットログ生成支援部107と、を備える。更新パタンマスタ106は、変更があった際の処理に用いるデータであり、予め設定され、保存される。なお、本実施形態で用いる更新パタンマスタの一例を後で詳しく説明する。コミットログ生成支援部107は、変更に関する構成管理ツールのユーザのコミットを検出し、コミットログを生成する。
【0017】
データ管理支援装置100は、構成管理ツール108と、CL-参考文書分析部109と、を備える。ここで、構成管理ツール108は、構成管理(コンフィギュレーションマネジメントと呼ばれることもある)を補助するソフトウェアであり、その一例として、GITが挙げられる。なお、適切な構成管理ができればよく、構成管理ツール108はGITとは異なる他の公知のソフトウェアであってもよい。また、CLと参考文書に対する構成管理ツール(GIT等)は、同一であってもよいし、異っていてもよい。CL-参考文書分析部109は、データ分析を行い、その分析結果であるCL-参考文書分析データ110を出力する。
【0018】
データ管理支援装置100は、CL-参考文書関係候補生成部111と、CLマスタ更新結果候補生成部112と、を備える。これらは、CL-参考文書分析データ110に基づいて、分析結果の表示に用いるデータを生成することができる。なお、処理の詳細な説明は後述する。
【0019】
また、データ管理支援装置100は、適宜のユーザインタフェース113にデータを出力することができ、データ管理支援装置100には、該ユーザインタフェース113を介してデータの入力が可能である。ユーザインタフェース113は、適宜の入力装置および出力装置を用いて構成することができる。ユーザインタフェース113は、構成管理ツール108を扱うためのユーザインタフェース、および、分析結果を扱うユーザインタフェースを統合した構成であってもよい。その一方で、構成管理ツール108を扱うユーザインタフェースと、分析結果を扱うユーザインタフェースと、が別々に用いられてもよい。
【0020】
次に、図2を参照しながら、データ管理支援装置を実現するハードウェア構成の一例について説明する。図2に示すように、データ管理支援装置100は、一例として、CPU202(プロセッサ)と、メモリ203と、外部記憶装置204と、表示装置205と、入力装置206と、外部媒体出力装置207と、ネットワーク通信装置208と、を備える計算機201によって構成される。
【0021】
CPU202(Central Processing Unit)は、プロセッサの一例であり、データ処理を行う主体である。なお、所定のデータ処理を実行することができればよく、データ管理支援装置100には、例えば、CPU202とは異なる半導体デバイスが用いられてもよい。
【0022】
メモリ203は、主記憶装置であり、例えば、RAM(Random Access Memory)である。CPU202による処理の実行時に、CPU202がメモリ203にデータを格納する。
【0023】
外部記憶装置204は、補助記憶装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)である。外部記憶装置204は、処理に用いるプログラム、CLマスタ、参考文書、分析内容などの適宜のデータを格納する。
【0024】
表示装置205は、適宜のディスプレイを用いて構成される。入力装置206は、キーボードやマウスなどの適宜の装置を用いて構成される。なお、表示装置205と入力装置206は、タッチパネル等を用いて、一体として構成されてもよい。
【0025】
外部媒体出力装置207は、接続されるデバイスとのデータの入出力に用いられる。この計算機201は、適宜のデバイス(例えば、USBメモリ(USB flash drive)等の補助記憶装置)を接続可能に構成することができ、外部媒体出力装置207を用いてデータを出力することができる。
【0026】
ネットワーク通信装置208は、外部装置との通信に用いる装置である。CPU202は、ネットワーク通信装置208を介した外部装置との通信によって、外部装置からデータを取得することができる。また、CPU202は、ネットワーク通信装置208を介した外部装置との通信によって、外部装置にデータを出力することができる。
【0027】
なお、この構成例は一例であり、適宜の変更が可能である。この構成例では、表示装置205および入力装置206は、構成管理ツール108を扱うユーザインタフェースとされる。ただし、表示装置205および入力装置206は、分析結果を扱うユーザインタフェースとしても用いられてもよい。
【0028】
また、構成管理ツール108および分析結果に対するデータの入力が、外部装置のユーザインタフェースから行われてもよい。また、構成管理ツール108および分析結果に関するデータの出力が、外部装置のユーザインタフェースに行われてもよい。すなわち、データ管理支援装置100が外部装置に対するサーバとして用いられ、構成管理ツール108に関するデータの入力、構成管理ツール108に関するデータの出力、分析結果のデータの出力、および、分析結果の確認作業に基づいたデータの入力が、外部装置を用いて行われてもよい。
【0029】
すなわち、データ管理支援装置100と、データ管理支援装置100にネットワークを介して接続される外部装置と、を備え、データ管理支援装置100は、生成したデータを外部装置に出力するデータ管理支援システムが提供されてもよい。ここで、外部装置は、複数用意されてもよい。また、複数の外部装置が、それぞれ異なる場所に配置されてもよい。また、外部装置は、例えば、CPU等のプロセッサ、主記憶装置、補助記憶装置、ネットワーク通信装置、および、適宜のユーザインタフェース(表示装置、入力装置など)、を備える構成とすることができる。
【0030】
また、この場合(すなわち、データ管理支援装置100がサーバとして用いられる場合)、例えば、データ管理支援装置100のユーザインタフェース(表示装置205および入力装置206)は、省略されてもよい。また、データ管理支援装置100は、外部装置に対して遠隔地、クラウド上等に構築されてもよい。
【0031】
次に、図3を参照しながら、データ管理支援装置の処理フローの一例について説明する。なお、データ管理支援装置の処理は、CPU202が主体となって実行される。
【0032】
データ管理支援装置100は、CLのテキストデータを構成管理ツール108に登録する(S301)。すなわち、CLテキスト抽出部103は、CLバイナリ格納部102のファイル群を分析し、CLをテキスト化し、当該テキストを構成管理ツール108に登録する。また、データ管理支援装置100は、参考文書のテキストデータを構成管理ツール108に登録する(S302)。すなわち、参考文書バイナリ抽出部105は、参考文書バイナリ格納部104のファイル群を分析し、参考文書をテキスト化し、当該テキストを構成管理ツール108に登録する。
【0033】
データ管理支援装置100は、CLに関するコミットログを生成する(S303)。すなわち、コミットログ生成支援部107は、構成管理ツール108に登録されるCL情報を監視し、コミットログを生成する。また、データ管理支援装置100は、参考文書に関するコミットログを生成する(S304)。すなわち、コミットログ生成支援部107は、構成管理ツール108に登録される参考文書情報を監視し、コミットログを生成する。
【0034】
データ管理支援装置100は、CL-参考文書分析データ110を生成する(S305)。CL-参考文書分析データ110は、分析内容に関するデータであり、CL-参考文書分析部109は、一例として、構成管理ツール108に蓄積されたデータを取得して分析を行い、CL-参考文書分析データ110を生成する。
【0035】
次に、データ管理支援装置100は、ユーザインタフェースを介してユーザ(確認作業者)に提示する情報を生成する(S306)。ユースケース実現部(CL-参考文書関係候補生成部111、CLマスタ更新結果候補生成部112)は、CL-参考文書分析データ110を取得して分析を行い、ユーザインタフェースを介して提示する情報を生成する。
【0036】
図4を参照しながら、CLマスタのデータ構造の一例を説明する。本実施形態では、CLマスタ101は、一例として、事故やトラブルの再発防止を目的とするためのチェックリストとされる。CLマスタ101には、予め目的に応じた内容が設定されている。この例では、CLマスタ101には、分類402、チェック内容403、参考文書(記載箇所)404、確認対象ドキュメント(記載箇所)405、チェック結果406、チェック担当者407、チェック日時408が含まれる。また、チェック内容403(すなわち、チェック項目)ごとに、異なるID401が付与されている。また、ID401、分類402、チェック内容403、参考文書(記載箇所)404がマスタとなっている。なお、CLマスタ101には、他の内容(符号401~408とは異なる内容)が含まれてもよい。
【0037】
参考文書(記載箇所)404は、参考文書内のチェック内容403に対応する部分を示す情報である。確認対象ドキュメント(記載箇所)405は、チェック担当者407が、チェック内容403のチェックに際して参照したドキュメント内の記載部分を示す情報である。この例では、チェック担当者が、ユーザインタフェース(データ管理支援装置100のユーザインタフェースあるいは外部装置のユーザインタフェース)を用いて、確認対象ドキュメント(記載箇所)405、チェック結果406、チェック担当者407、および、チェック日時408を入力することで、CLマスタ101に情報が記入される。
【0038】
なお、本実施形態では、「確認対象ドキュメント」は「参考文書」の例とする。ただし、他の種類の参考文書があってもよい。
【0039】
次に、図5を参照しながら、参考文書の一例を説明する。参考文書は、例えば、図4における参考文書(記載箇所)404の参照先となる章節項の番号を含むデータとされる。また、参考文書は、図や表を含んでもよい。チェックリストの「チェック結果406」を判断するチェック担当者は、設計書やガイド(参考文書)に、当該チェック(チェック内容403)のエビデンスが記載されていることを確認し、チェック結果406をCLマスタ101に記載する。
【0040】
次に、図6を参照しながら、CLマスタに関するテキストデータの一例について説明する。図6に示すように、本実施形態では、CLテキスト抽出部103は、テキスト化によりjson(JavaScript Object Notation)形式のテキストデータを取得し、このテキストデータには、CLマスタ101の各データが含まれる。なお、適切なテキストデータが取得されればよく、Json形式とは異なる種類のテキストデータが取得されてもよい。
【0041】
チェック担当者407(構成管理ツールのユーザであり、例えば、品質保証エンジニア、システムエンジニア)が、チェック内容403を検討したところ、CLマスタ101および/または参考文書の内容を変更することが適切であることを判断し、この判断に基づいて、CLマスタ101および/または参考文書の内容を変更(更新)することがある。チェック担当者407がCLマスタ101および/または参考文書の内容を更新した場合、取得されるテキストデータに差分が発生する。
【0042】
すなわち、チェック担当者407は、CLのマスタの部分を変更することがある。チェック担当者407が、例えば、図4に示すCLマスタにおけるID401がC1の参考文書(記載箇所)404に、XXガイド8.2節を追加した場合、図7に示すように、その差分が含まれるテキストデータが取得される。すなわち、L7(テキストファイルの7行目)の行末の,、および、L8(テキストファイルの8行目)の記載が含まれるテキストデータが取得される。そして、データ管理支援装置100は、ID=C1の内容に変更があったことを検知し、後で詳しく説明するように、この変更に対する分析を行い、システムエンジニア等の内容を確認する作業者(確認作業者)に対してその分析結果の提示を行う。
【0043】
次に、図8を参照しながら、CLマスタの処理に関する更新パタンマスタのデータ構造の一例について説明する。図8に示すように、この更新パタンマスタは、例えば、テーブル形式のデータとされ、更新パタン802と、判定方法803と、コミットメッセージ804と、参考文書の引継ぎ方式805と、チェック結果の引継ぎ方式806と、を含む。更新パタン802は、更新の種別を示し、更新の種別ごとにID801が付与されている。判定方法803は、CLマスタに変更があった場合に、どの更新パタン802かを判定するための条件を格納する。コミットメッセージ804は、分析結果として、内容の確認作業者に提示するメッセージを生成するためのデータを格納する。
【0044】
参考文書の引継ぎ方式805は、データ管理支援装置100が参考文書(記載箇所)404を引き継ぐ方式を定める。参考文書の引継ぎ方式805は、例えば、「条件」と「アクション」を定め、データ管理支援装置100は、分析において変更が「条件」を満たすかどうかを判定し、参考文書(記載箇所)404に関してその判定結果に基づく「アクション」を行う。ここで、引継ぎを行う場合、変更前後で内容が一致する。その一方で、引継ぎを行わない場合、変更後の内容がユーザにより変更された内容となる。また、参考文書の引継ぎ方式805は、条件に応じてアラートを出力する方式とすることができる。
【0045】
チェック結果の引継ぎ方式806は、データ管理支援装置がチェック結果406を引き継ぐ方式を定める。チェック結果の引継ぎ方式806は、一例として、参考文書の引継ぎ方式805と同様に、「条件」と「アクション」を定める方式とすることができる。また、このチェック結果の引継ぎ方式806は、条件に応じてアラートを出力する方式とすることができる。なお、本実施形態では、「チェック結果の引継ぎ方式」は、「参考文書の引継ぎ方式」と基本的には同様のため(すなわち、「参考文書」を「チェック結果」に代えて基本的には同様の条件とアクションであるため)、具体例を割愛する。
【0046】
また、CLマスタ101に、他の内容(CLマスタ101のマスタであり、図4に示すマスタとは異なる内容)が含まれる場合、更新パタンマスタは、この内容に関する引継ぎ方式を含んでもよい。また、CLマスタ101に、チェック結果(例えば、OKまたはNG)に関する他の内容(図4に示す符号406とは異なるチェック結果)が含まれる場合、更新パタンマスタは、この項目に関する引継ぎ方式を含んでもよい。
【0047】
上記では、CLテキスト抽出部103によりCLマスタ101のテキストデータが取得される例が説明されたが、参考文書のテキストデータについては、参考文書テキスト抽出部105が、適宜の手法(CLテキスト抽出部103と同様の手法、公知の手法等)に基づいて、参考文書のテキストデータを取得する。なお、参考文書に図形や表等が含まれる場合、参考文書テキスト抽出部105は、公知の手法に基づいて、図形や表などのデータをテキストデータとして取得する。図9の例では、テキストデータがプレインテキストで示されるが、テキストデータは、Json形式などの他の形式であってもよい。
【0048】
チェック担当者407が参考文書の内容を変更した場合、上記で説明したCLマスタの場合と同様に、取得されるテキストデータに差分が発生する。チェック担当者407が、例えば、図5に示す参考文書における2.信頼性に関する部分に、2.4その他の考慮事項に関する記載を追加した場合、図10に示すように、その差分が含まれるテキストデータが取得される。すなわち、L28(テキストファイルの28行目)の記載、および、L29(テキストファイルの29行目)の記載が含まれるテキストデータが取得される。そして、データ管理支援装置100は、変更があったことを検知し、後で詳しく説明するように、この変更に対する分析を行い、システムエンジニア等の内容を確認する作業者(確認作業者)に対してその分析結果の提示を行う。
【0049】
次に、図11を参照しながら、参考文書の処理に関する更新パタンマスタのデータ構造の一例について説明する。図11に示すように、この更新パタンマスタは、例えば、テーブル形式のデータとされ、更新パタン1102と、判定方法1103と、コミットメッセージ1104と、を含む。更新パタン1102は、更新の種別を示し、更新の種別ごとにID1101が付与されている。判定方法1103は、参考文書に変更があった場合に、どの更新パタン1102かを判定するための条件を格納する。コミットメッセージ1104は、分析結果として、内容の確認作業者に提示するメッセージを生成するためのデータを格納する。
【0050】
次に、図12を参照しながら、チェックリスト変更時における分析処理の流れの一例について説明する。図12の例では、あるチェックリスト(CL1)は、C1、C2、C3、C4によるID401が付与されたチェック項目(チェック内容403に対応)を含む。参考文書(参考文書1)は、チェック項目に対応するセクションを含む。図12の例では、それぞれのセクションが、セクションマークを用いて示されている。
【0051】
時刻t2において、チェック担当者が、C1~C5へ内容を変更する。そうすると、データ管理支援装置100は、CLに関する更新パタンマスタの判定方法803に基づいて、C2に対する変更が「分割」であり、C3およびC4に対する変更が「内容変更」であることを判定する。
【0052】
時刻t3において、データ管理支援装置100は、参考文書のセクション2を分割し、セクション2がセクション5になる。また、データ管理支援装置100は、それぞれのチェック内容403と参考文書の内容を対応させる。そして、時刻t4において、データ管理支援装置100は、分析結果として、それぞれのチェック内容403に参考文書の内容を対応させたデータを取得する。
【0053】
次に、図13図16を参照しながら、コミットログ生成支援部、CL-参考文書分析部、CL-参考文書関係候補生成部、CLマスタ更新結果候補生成部の処理の一例を詳細に説明する。
【0054】
図13を参照しながら、コミットログ生成支援部107について説明する。なお、コミットログ生成支援部107の処理は、CPU202が主体となって実行される。コミットログ生成支援部107は、構成管理ツール108と連携し、CLテキスト抽出部103からのコミットを検出する(S1301)。次に、コミットログ生成支援部107は、コミットされたCLと、前バージョンのCLを比較し、更新パタンマスタを参照し、更新パタンを判定する(S1302)。また、コミットログ生成支援部107は、コミットログの生成結果に関する情報を画面に表示するためのデータを生成する(S1303)。
【0055】
なお、この例では、簡潔化のため、CLのコミットがあったケースを説明したが、コミットログ生成支援部107は、参考文書のコミットがあったケースも同様に処理する。コミットログ生成支援部107は、参考文書テキスト抽出部105からのコミットを検出し、コミットログの生成結果に関する情報を画面に表示するためのデータを生成する。
【0056】
図14を参照しながら、CL-参考文書分析部について説明する。なお、CL-参考文書分析部109の処理は、CPU202が主体となって実行される。CL-参考文書分析部109は、構成管理ツール108と連携し、CLと参考文書の構成管理情報(各バージョンの構成、および、更新パタンを含むコミットログ)を取得する(S1401)。次に、CL-参考文書分析部109は、CLのコミットログを分析し、チェック項目のバージョン間の遷移と、当該遷移に対する更新パタンをデータ化する(S1402)。また、CL-参考文書分析部109は、参考文書のコミットログを分析し、章節項のバージョン間の遷移と、当該遷移に対する更新パタンをデータ化する(S1403)。そして、CL-参考文書分析部109は、前ステップ(S1402およびS1403)の結果をもとに、CL-参考文書分析データ110を生成する(S1404)。なお、CL-参考文書分析データ110は、一例として、外部記憶装置204に記憶される。
【0057】
図15を参照しながら、CL-参考文書関係候補生成部について説明する。なお、CL-参考文書関係候補生成部の処理は、CPU202が主体となって実行される。CL-参考文書関係候補生成部111は、CL-参考文書分析データ110を取得する(S1501)。そして、CL-参考文書関係候補生成部111は、現バージョンのCLのチェック項目ごとに、下記のS1502およびS1503を繰り返す。すなわち、CL-参考文書関係候補生成部111は、当該チェック項目に対し、CLと参考文書のバージョン間の遷移をトレースする(S1502)。また、CL-参考文書関係候補生成部111は、更新パタンマスタの「参考文書の引継ぎ方式805」をもとに、参考文書の更新候補を生成する(S1503)。更新候補は、CLの更新の候補であり、後述するように、確認作業者によってCLマスタ101に反映させる部分が含まれ得る。その後、CL-参考文書関係候補生成部111は、CL-参考文書関係候補の提示画面に表示する情報を生成する(S1504)。なお、本フローは、バッチ的に実行されてもよいし、ユーザインタフェースからの指示で実行されてもよい。
【0058】
また、簡潔化のため、「参考文書」の更新候補を求めるケースに絞って説明したが、データ管理支援装置100は、「参考文書」とは異なる内容(例えば、「チェック内容403」)の更新候補を求めるケースも同様のフローで実現できる。すなわち、データ管理支援装置100は、同様のフローに基づく処理を行い、対象内容に対する更新候補を生成する対象内容関係候補生成部を備え、当該対象内容関係候補生成部の処理をCPU202が実行することにより、対象内容の更新候補を求めることができる。また、当該対象内容関係候補生成部は、この対象内容に関して表示する情報を生成する。
【0059】
図16を参照しながら、CLマスタ更新結果候補生成部について説明する。なお、CLマスタ更新結果候補生成部112の処理は、CPU202が主体となって実行される。CLマスタ更新結果候補生成部112は、CL-参考文書分析データ110を取得する(S1601)。そして、CLマスタ更新結果候補生成部112は、現バージョンのCLのチェック項目ごとに、下記のS1602およびS1603を繰り返す。すなわち、CLマスタ更新結果候補生成部112は、当該チェック項目に対し、バージョン間の遷移をトレースする(S1602)。また、CLマスタ更新結果候補生成部112は、更新パタンマスタの「チェック結果の引継ぎ方式806」をもとに、チェック結果406の引継ぎ案(すなわち、引継ぎ候補)を生成する(S1603)。その後、CLマスタ更新結果候補生成部112は、CLマスタ更新結果候補の提示画面に表示する情報を生成する(S1604)。なお、本フローは、バッチ的に実行されてもよいし、ユーザインタフェースからの指示で実行されてもよい。
【0060】
また、簡潔化のため、「チェック結果」の引継ぎ案を求めるケースに絞って説明したが、データ管理支援装置100は、「チェック結果」とは異なる内容(例えば、チェック結果406とは異なる図4に不図示の内容であり、ユーザによって記入されるOKまたはNGに関する結果)の引継ぎ案(引継ぎ候補)を求めるケースも同様のフローで実現できる。すなわち、データ管理支援装置100は、同様のフローに基づく処理を行い、CLマスタにおいて対象内容に対する引継ぎ案を生成する対象内容結果候補生成部を備え、当該対象内容結果候補生成部の処理をCPU202が実行することにより、対象内容の引継ぎ案を求めることができる。また、当該対象内容結果候補生成部は、この対象内容に関して表示する情報を生成する。
【0061】
次に、図17図19を参照しながら、分析結果に基づいて提示する表示画面の一例について説明する。各種の表示画面(1701、1801、1901)を確認作業者が参照することで、作業負担の軽減が図られる。
【0062】
まず、図17を参照しながら、コミットに関する情報の表示画面の一例について説明する。データ管理支援装置100は、コミットログ生成支援部107により生成されたデータを取得し、図17に示すように、データ管理支援装置100は、更新パタンの分析に基づいたコミットメッセージ804を提示する。ここで、データ管理支援装置100は、CLマスタ101における列のデータを含むコミットメッセージ804を提示することができる。この例では、CLマスタ101におけるIDがC1である「XXをすべて解決しているか」に関する内容が分割されたことを示すメッセージが提示される。CLの内容の確認作業者は、メッセージを参照し、該メッセージの内容(この例では、変更の箇所と更新の種別)を確認することができる。
【0063】
なお、コミットメッセージ804を参照した確認作業者が、自己の判断に基づいて、更新パタンを手動で変更したい場合がある。例えば、データ管理支援装置100の分析結果では更新パタンが「分割」と判断され、分割に関するメッセージが提示されたが、実際には更新パタンが「追加」であることを、確認作業者が判断する場合がある。ここで、確認作業者が入力装置を用いてボタンを押すことで、手動で変更をするための画面(図17では、変更対象)が提示される。そして、確認作業者が、当該画面の内容を編集し、実行ボタンを押すことで、更新パタンの変更が可能である。
【0064】
なお、表示態様は一例であり、コミットメッセージに基づいたコミットの内容の提示、および、確認作業者による編集ができればよく、表示態様は、適宜に変更してもよい。
【0065】
図17ではCLマスタに関するコミットメッセージ804の提示が説明されたが、データ管理支援装置100は、コミットメッセージ1104に基づいた参考文書に関するコミットの情報を提示することができる。また、データ管理支援装置100は、参考文書に関して、手動による更新パタンの変更を行うための画面を提示することもできる。また、コミットメッセージに基づいたコミットの内容の提示、および、確認作業者による編集ができればよく、表示の態様は特に限定されない。
【0066】
次に、図18を参照しながら、チェックリスト‐参考文書の関係候補(参考文書のリコメンド)に関する情報の表示画面の一例について説明する。データ管理支援装置100は、CL-参考文書関係候補生成部111により生成されたデータを取得し、図18に示すように、データ管理支援装置100は、分析結果に関するチェックリスト‐参考文書の関係候補を提示する。この例では、CLマスタにおけるIDがC3である「XXをYYに依頼しているか」のチェック内容について、YYマニュアル9.4節の追加を含む更新候補の情報が提示される。
【0067】
なお、この例では、CL-参考文書関係候補生成部111の処理において、「参考文書の引継ぎ方式805」に基づいて、追加に関する部分にアラートを出力するアクションを行い、他の部分(この例で、バージョン間でそのまま引き継ぐ部分)にアラートを出力しないアクションを行うデータが生成されている。従って、追加に関する部分には、アラートが出力されている。ここで、アラートは、適宜の態様で行うことができ、他の部分と比較して強調した表示、記号等を付与した強調表示等、適宜の手法で実行される。
【0068】
確認作業者は、画面を参照し、データ管理支援装置100の分析結果を確認することができる。そして、確認作業者がマスタに反映の「実行」を押すことで、CLマスタ101に内容が反映される。この例では、CLマスタ101において、参考文書(記載箇所)404における追加に関する情報が反映される。なお、確認作業者が詳細の「確認」を押すことで、データ管理支援装置100は、対応する情報の詳細(例えば、参考文書の記述内容)を提示する。確認作業者は、反映させる内容の詳細を参照し、マスタに反映を実行するかを判断することができる。
【0069】
なお、データ管理支援装置100は、対象内容関係候補生成部により生成されたデータを取得し、対象内容関係候補生成部が処理対象とした内容の更新候補を提示してもよい。そして、上記と同様にして、データ管理支援装置100は、当該内容の詳細の提示、および、マスタへの反映に関する提示を行ってもよい。
【0070】
例えば、CLが複数の業種や案件に跨る場合であっても、データ管理支援装置100の自動分析結果を用いることで、確認作業者の作業負担の軽減を図ることができる。そして、確認作業後のデータが反映されたCLマスタ101をユーザ間(例えば、構成管理ツール108のユーザ間)で共有することができる。
【0071】
なお、自動分析結果に基づく表示画面の表示態様は一例であり、更新候補の情報の提示、および、マスタにデータを反映させる確認作業者による作業ができればよく、表示態様は、適宜に変更してもよい。
【0072】
次に、図19を参照しながら、チェックリストマスタの変更(入力済データの引継ぎ)の一例について説明する。データ管理支援装置100は、CLマスタ更新結果候補生成部112により生成されたデータを取得し、図19に示すように、データ管理支援装置100は、分析結果に関するチェック結果の引継ぎに関する情報(引継ぎ候補)を提示する。この例では、各チェック内容403のチェック結果406の引継ぎに関する情報が提示される。
【0073】
なお、この例では、CLマスタ更新結果候補生成部112の処理において、「チェック結果の引継ぎ方式806」に基づいて、ユーザによる変更に伴って再チェックが必要な箇所にアラートを出力するアクションを行うデータが生成されている。ここで、アラートは、適宜の態様で行うことができ、他の部分と比較して強調した表示、記号等を付与した強調表示等、適宜の手法で実行される。
【0074】
確認作業者は、画面を参照し、データ管理支援装置100の分析結果を確認することができる。なお、確認作業者が、対象のチェックリストを識別する情報(一例として、対象のチェックリストの名称)、および、変更前後のバージョンを指定することで、データ管理支援装置100は、指定された情報を提示することができる。
【0075】
なお、データ管理支援装置100は、対象内容結果候補生成部により生成されたデータを取得し、対象内容結果候補生成部が処理対象とした内容に関して、入力済データの引継ぎ候補を提示してもよい。
【0076】
自動分析結果を用いることで、確認作業における作業負担の軽減を図ることができる。また、自動分析結果に基づいた入力済データの引き継ぎに関する画面(すなわち、引継ぎ候補に関する画面)を用いることで、確認作業における作業負担の軽減を図ることができる。また、アラートを出力することで、再チェックが必要な部分を容易に把握することができる。
【0077】
データ管理支援装置100を用いて集約したナレッジは、適切に活用することができる。例えば、ナレッジを集約するCLが事故やトラブルの再発防止目的に関する場合、CLは過去からの事故再発防止、改善の蓄積であり、該CLを公開することで、品質確保の確認、気付きに貢献することができる。
【0078】
また、例えば、チェック項目や参考情報が多数の場合、人手でチェック項目や参考情報を管理するのは容易ではないが、本実施形態によれば、自動化による確認作業者の負担を軽減することで、経済的な観点(例えば、コスト低減の観点)で貢献することができる。
【0079】
以上、実施形態について説明されたが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、例えば、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をしてもよい。
【0080】
補助記憶装置を適宜に用いて記憶部を構成することができる。
【0081】
CLバイナリ格納部102、参考文書バイナリ格納部104、CL-参考文書関係候補生成部111、対象内容関係候補生成部、CLマスタ更新結果候補生成部112、対象内容結果候補生成部は、プログラムを用いて実現することができる。また、構成管理ツール108は、外部記憶装置204に配置されてもよい。なお、プログラムは、データ管理支援装置100に接続される補助記憶装置(例えば、USBメモリ等の可搬性を有するデバイス)に格納され、この補助記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサが実行することで、所定の処理が実現されてもよい。また、データ管理支援装置100に接続される補助記憶装置に、CLマスタ101、参考文書、更新パタンマスタ106、CL-参考文書分析データ110等の適宜のデータが格納されてもよい。
【符号の説明】
【0082】
100 データ管理支援装置
101 CLマスタ
108 更新管理ツール
109 CL-参考文書分析部
111 CL-参考文書関係候補生成部
112 CL-マスタ更新結果候補生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19